JP2013176672A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁化の定常状態自由歳差運動を利用してデータ収集を行う場合に、より良好に磁化の定常状態を維持することが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置は、渦電流による静磁場の変動を予測する磁場変動予測部と、予測された前記静磁場の変動に起因する磁化の位相シフト量に基づいて決定された変化量で送信位相が変化する複数の励起パルスを同一のフリップ角および一定の繰り返し時間で印加し、各励起パルスの印加時刻からエコーが生成される中心時刻までおよびエコーが生成される中心時刻から次の励起パルスの印加時刻までにおける傾斜磁場の0次モーメントがそれぞれゼロとなるように前記傾斜磁場を印加することによって所望の物質の磁化の定常状態自由歳差運動を得て磁気共鳴データを収集するデータ収集手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図7

Description

本発明は、被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF: radio frequency)信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する核磁気共鳴(NMR: nuclear magnetic resonance)信号から画像を再構成する磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)装置に係り、特に、定常状態自由歳差運動(SSFP: Steady State Free Precession)を利用してNMR信号を収集する磁気共鳴イメージング装置に関する。
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数のRF信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するNMR信号から画像を再構成する撮像法である。
この磁気共鳴イメージングの分野において、定常状態自由歳差運動(SSFP: Steady State Free Precession)を用いた撮像法が知られている。SSFPを利用した高速撮像シーケンスの代表例としては、TrueFISP (fast imaging with steady precession)と呼ばれるシーケンスがある(例えば特許文献1参照)。
図1は、従来のTrueFISPシーケンスを示すシーケンスチャートである。
図1に示すように従来のTrueFISPシーケンス等のSSFPシーケンスは、同一の励起角度(フリップ角)αでRF励起パルスを一定かつ短い繰り返し時間(TR: repetition time)で印加し、磁化を定常状態にすばやく至らしめるものである。ここで、傾斜磁場は、0次モーメント(時間積分)がゼロとなるように調整されている。また、リードアウト軸方向の傾斜磁場は極性が複数回反転するように制御される。この結果、得られるエコー信号は高いsignal to noise ratio(SNR)を有し、信号強度Sは式(1)で示されるように組織の緩和時間に依存する。
[数1]
S∝1/(1+T1/T2) (1)
尚、式(1)は、励起角度αが90度の場合における関係式である。また、T1およびT2はそれぞれ組織の縦緩和時間および横緩和時間である。式(1)に示すようにSSFPシーケンスで得られる信号の強度Sは組織の緩和時間比T1/T2に依存している。このため、心臓のシネ画像をSSFPシーケンスの適用対象とすることがコントラストの観点から最も効果的であることが知られている。また、腹部の血管系の撮像へのSSFPシーケンスの有効性も指摘されている。
ところで、SSFPシーケンスに必要とされる要件には、前述のように傾斜磁場のゼロ次モーメントがゼロになるという要件の他に、RFパルスの位相に関する要件がある。RFパルスの位相に関する最も単純な制御要件は、連続するRFパルスの位相が0度と180度(π radian)を交互に繰り返すというものである。
図2は、従来のSSFPシーケンスを用いたスキャンにおける磁化の変化を示す図である。
連続するRFパルスの励起角度をαとなるように角度制御し、かつRFパルスの位相が0度と180度を交互に繰り返すように位相制御を行うと、図2に示すベクトル表現のように、磁化の状態は状態(A)と状態(B)とを交互に繰り返す状態となる。
換言すれば、
励起角度 :α, α, α, …
励起パルスの位相:0°, 180°, 0°, …
磁化の状態:(A), (B), (A), …
となるように励起パルスの位相が制御される。
図2に示すように、定常状態に至った磁化は静磁場方向からα/2だけずれた状態(A)となる。この磁化の状態(A)において、励起パルスの位相を180°変えて印加すると、磁化の状態は状態(A)から状態(B)に変化する。さらに、磁化の状態(B)において、励起パルスの位相を180°変えて印加すると、磁化の状態は状態(B)から再び状態(A)に戻る。
このように、連続する励起パルスの位相を180°変化させることにより、定常状態が効果的に保たれることが分かる。また、このような励起パルスの位相制御により、熱平衡状態にある磁化を定常状態に移行させるために要する時間も短くなることが知られている。
図3は、従来のtureFISPシーケンスを改良したパルスシーケンスを示すシーケンスチャートである。
図3に示すように、TRの間隔で印加される同一の励起角度αのRF励起パルス列に先立って、励起角度α/2のプリパルスを印可する従来のtureFISPシーケンスを改良したパルスシーケンスも考案されている。プリパルスの位相角は、最初のRF励起パルスの位相角180°に対して180°異なるため0°となる。
米国特許第4769603号明細書
しかしながら、従来のSSFPシーケンスにおける励起パルスの位相角の制御方法は、あるケミカルシフトを有する単一の物質からの信号を収集する場合について適用可能であり、かつ装置側において撮像条件として設定される励起パルスの中心周波数が適用対象となる物質の共鳴周波数と同一となるように調整されている場合に限って効果を奏する。従って、装置側において設定される励起パルスの中心周波数と適用対象となる物質の共鳴周波数とがずれている場合には、ある励起パルスの印加から次の励起パルスが印加されるまでの間に、磁化が静磁場方向の周りに回転していくことになる。このような場合には、図2に示すような定常状態とは、異なる状態が生じることになる。
さらに、通常生体内には、多種多様な物質が存在し、各物質が固有のケミカルシフトを有している。生体内に存在する代表的な物質としては、水と脂肪成分が挙げられる。このため、水からの信号を強調した水画像や脂肪からの信号を強調した脂肪画像がしばしば収集される。従って、水画像と脂肪画像のどちらの画像を収集するかによってSSFPシーケンスにより収集される画像のコントラストは大きく変わることとなる。また、装置側において設定される励起パルスの中心周波数が、水の共鳴周波数と脂肪の共鳴周波数のどちらに合うように調整されているかによっても、SSFPシーケンスにより収集される画像のコントラストは大きく変わる。
このため、撮像目的と異なる物質の共鳴周波数に励起パルスの中心周波数が設定された場合にも、磁化は定常状態に良好に維持されず、所望のコントラストの画像を得ることができない恐れがある。また、磁化が定常状態になったとしても、磁化が定常状態になるまでの時間が長くなり、ゴーストやボケ等の画像アーチファクトが増加することに繋がる。
つまり、従来のSSFPシーケンスにおける励起パルスの位相角の制御方法を用いると、撮像条件として設定される励起パルスの中心周波数が適切に調整されず、撮像目的と異なる物質の共鳴周波数と異なる場合には、磁化の定常状態が良好に維持されず、良好なコントラストの画像が得られないという問題がある。
図4は、従来のSSFPシーケンスに基づく励起パルスの位相角の制御方法による物質の磁化の変化を示す図である。
図4は、実験室系に対して励起パルスの中心周波数と同じ周波数で回転する系において、撮像対象となっているXY方向の物質の横磁化を静磁場方向から見た図である。
n番目のRF励起パルスの印加によって図4に示す(n)の位置に物質の横磁化が向いたとすると、励起パルスの中心周波数が撮像目的と異なる物質の共鳴周波数とΔf[Hz]だけ異なる場合には、n+1番目のRF励起パルスが印加される直前では、横磁化が2π・Δf・TRだけ回転することとなる。ここでTRは、RF励起パルスの繰り返し時間(repetition time)である。
また、n+1番目のRF励起パルスの位相角はn番目のRF励起パルスの位相角と180°だけ異なる。このため、n+1番目のRF励起パルスが印加された直後には、横磁化は、図4の(n+1)の位置に回転される。
このように、従来のSSFPシーケンスに基づく励起パルスの位相角の制御方法では、横磁化の大きさが励起毎に変化し、磁化の定常状態が維持されないことが分かる。そして、磁化の定常状態が良好に維持されないと、信号強度が変動し、画像にゴーストやボケといったアーチファクトの出現に繋がるのみならず、画像のコントラスト自体が変化することに繋がる。
また、従来のSSFPシーケンスにおける励起パルスの位相角の制御方法における問題として、静磁場の変動磁場の影響によって磁化の定常状態が崩れる恐れがあるという点が挙げられる。変動磁場として代表的なものに、傾斜磁場パルスの駆動に伴って発生する渦電流に起因して生じる一様な空間分布を有するB0磁場や傾斜磁場コイルあるいはシムコイルと静磁場磁石とのカップリングによって発生するB0磁場がある。このようなB0磁場が生じると、磁化は静磁場方向に回転をすることになる。この結果、RF励起パルスの中心周波数が不適切な周波数に設定されることによる磁化の位相シフトと同様な磁化の位相シフトが引き起こされる。
すなわち、各TRにおいて磁化はB0磁場によって静磁場周りの位相回転を起こし、引き続いて印加されるRF励起パルスとの位相の整合性が崩れてしまうことになる。このため、画像のコントラストが変化したり、アーチファクトが発生することに繋がる。つまり従来の励起パルスの位相コントロール技術では、B0磁場の影響が無視できない場合に、十分な磁化の定常状態を得ることができないという問題がある。
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、磁化の定常状態自由歳差運動を利用してデータ収集を行う場合に、B0磁場や励起パルスの中心周波数の調整ずれ等の定常状態を崩す要因があっても、より良好に磁化の定常状態を維持することが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、渦電流による静磁場の変動を予測する磁場変動予測部と、予測された前記静磁場の変動に起因する磁化の位相シフト量に基づいて決定された変化量で送信位相が変化する複数の励起パルスを同一のフリップ角および一定の繰り返し時間で印加し、各励起パルスの印加時刻からエコーが生成される中心時刻までおよびエコーが生成される中心時刻から次の励起パルスの印加時刻までにおける傾斜磁場の0次モーメントがそれぞれゼロとなるように前記傾斜磁場を印加することによって所望の物質の磁化の定常状態自由歳差運動を得て磁気共鳴データを収集するデータ収集手段と、前記磁気共鳴データに基づいて前記所望の物質の画像を生成する画像生成手段と、を有する。
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置においては、磁化の定常状態自由歳差運動を利用してデータ収集を行う場合に、B0磁場や励起パルスの中心周波数の調整ずれ等の定常状態を崩す要因があっても、より良好に磁化の定常状態を維持することができる。
従来のTrueFISPシーケンスを示すシーケンスチャート。 従来のSSFPシーケンスを用いたスキャンにおける磁化の変化を示す図。 従来のtureFISPシーケンスを改良したパルスシーケンスを示すシーケンスチャート。 従来のSSFPシーケンスに基づく励起パルスの位相角の制御方法による物質の磁化の変化を示す図。 本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態を示す構成図。 図5に示すコンピュータの機能ブロック図。 図5に示す撮影条件設定部において設定されるSSFPシーケンスの一例を示す図。 図7に示すようにSSFPシーケンスにおける各RF励起パルスの位相角を制御した場合の物質の横磁化の挙動を示す図。 図6に示す撮影条件設定部において設定されるα/2プリパルスの印加を伴うSSFPシーケンスの一例を示す図。 図6に示す撮影条件設定部において設定されるα/2ポストパルスの印加を伴うSSFPシーケンスの一例を示す図。 図6に示す中心周波数調整部によって表示装置に表示される参照画像の一例を示す図。 図6に示す撮影条件設定部において設定されるパルスシーケンス、パルスシーケンスの実行スケジュールに基づいて予測されたB0磁場の変動量およびB0磁場の変動による磁化の位相シフト量を示す図。 図5に示す受信器の詳細回路構成例を示す図。 図5に示す受信器における、シーケンシャル収集された受信信号の検波の位相Φ(n)をRF励起パルスの位相φ(n)に連動させて制御し、A/D変換後における受信信号の位相θ(n)に一部を反転する場合の制御量の例を示す図。 図5に示す受信器における、セントリック収集された受信信号の検波の位相Φ(n)をRF励起パルスの位相φ(n)に連動させて制御し、A/D変換後における受信信号の位相θ(n)に一部を反転する場合の制御量の例を示す図。 図1に示す磁気共鳴イメージング装置により被検体Pの画像を撮像する際の手順を示すフローチャート。 図1に示す磁気共鳴イメージング装置により水の共鳴周波数に合わせてRF励起パルスの中心周波数を自動調整する場合における位相シフト量の算出方法を示すフローチャート。
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図5は本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態を示す構成図である。
磁気共鳴イメージング装置20は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石21と、この静磁場用磁石21の内部に設けられたシムコイル22、傾斜磁場コイル23およびRFコイル24とを図示しないガントリに内蔵した構成である。
また、磁気共鳴イメージング装置20には、制御系25が備えられる。制御系25は、静磁場電源26、傾斜磁場電源27、シムコイル電源28、送信器29、受信器30、シーケンスコントローラ31およびコンピュータ32を具備している。制御系25の傾斜磁場電源27は、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zで構成される。また、コンピュータ32には、入力装置33、表示装置34、演算装置35および記憶装置36が備えられる。
静磁場用磁石21は静磁場電源26と接続され、静磁場電源26から供給された電流により撮像領域に静磁場を形成させる機能を有する。尚、静磁場用磁石21は超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源26と接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。また、静磁場用磁石21を永久磁石で構成し、静磁場電源26が設けられない場合もある。
また、静磁場用磁石21の内側には、同軸上に筒状のシムコイル22が設けられる。シムコイル22はシムコイル電源28と接続され、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて静磁場が均一化されるように構成される。
傾斜磁場コイル23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zで構成され、静磁場用磁石21の内部において筒状に形成される。傾斜磁場コイル23の内側には寝台37が設けられて撮像領域とされ、寝台37には被検体Pがセットされる。RFコイル24はガントリに内蔵されず、寝台37や被検体P近傍に設けられる場合もある。
また、傾斜磁場コイル23は、傾斜磁場電源27と接続される。傾斜磁場コイル23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源27のX軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zと接続される。
そして、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成することができるように構成される。
RFコイル24は、送信器29および受信器30と接続される。RFコイル24は、送信器29からRF信号を受けて被検体Pに送信する機能と、被検体P内部の原子核スピンのRF信号による励起に伴って発生したNMR信号を受信して受信器30に与える機能を有する。
一方、制御系25のシーケンスコントローラ31は、傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30と接続される。シーケンスコントローラ31は傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源27に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する機能と、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることによりX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場GzおよびRF信号を発生させる機能を有する。
また、シーケンスコントローラ31は、受信器30におけるNMR信号の検波およびA/D (analog to digital)変換により得られた複素データである生データ(raw data)を受けてコンピュータ32に与えるように構成される。
このため、送信器29には、シーケンスコントローラ31から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える機能が備えられる一方、受信器30には、RFコイル24から受けたNMR信号を検波して所要の信号処理を実行するとともにA/D (analog to digital)変換することにより、デジタル化された複素データである生データを生成する機能と生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える機能とが備えられる。
さらに、磁気共鳴イメージング装置20には、被検体PのECG信号を取得するECGユニット38が備えられる。ECGユニット38により取得されたECG信号はシーケンスコントローラ31を介してコンピュータ32に出力されるように構成される。
尚、ECG信号の代わりに脈波同期(PPG: peripheral pulse gating)信号を取得することもできる。PPG信号は、例えば指先の脈波を光信号として検出した信号である。PPG信号を取得する場合には、PPG信号検出ユニットが設けられる。
そして、磁気共鳴イメージング装置20は、コンピュータ32による制御下において、ECG信号やPPG信号を利用して必要に応じて同期撮像を行うことができるように構成される。
また、コンピュータ32の記憶装置36に保存されたプログラムを演算装置35で実行することにより、コンピュータ32には各種機能が備えられる。ただし、プログラムによらず、各種機能を有する特定の回路を磁気共鳴イメージング装置20に設けてもよい。
図6は、図5に示すコンピュータ32の機能ブロック図である。
コンピュータ32は、プログラムにより撮影条件設定部40、シーケンスコントローラ制御部42、k空間データベース43、画像再構成部44、画像データベース45および画像処理部46として機能する。また、撮影条件設定部40は、中心周波数調整部41Aおよび磁場変動予測部41Bを有する。
撮影条件設定部40は、隣接するRF励起パルス間における位相角の差が180°と異なる角度となるようにRF励起パルスの位相角が制御されたSSFPシーケンスを用いて撮影条件を設定する機能と、設定したパルスシーケンスを含む撮影条件をシーケンスコントローラ制御部42に与える機能を有する。撮影条件の設定は、入力装置33からの指示情報に基づいて行うことができる。
そのために、撮影条件設定部40は、撮影条件の設定画面を表示装置34に表示させる機能を備えている。そして、ユーザは表示装置34に表示された設定画面を参照して入力装置33に操作を行うことにより、予め準備された撮影部位や撮影条件ごとの複数の撮影プロトコルの中から撮影に用いる撮影プロトコルを選択したり、必要なパラメータ値等の撮影条件を設定することができる。
図7は、図5に示す撮影条件設定部40において設定されるSSFPシーケンスの一例を示す図である。
図7においてRFはRF励起パルスを、SSはスライス軸方向のスライス選択用傾斜磁場を、PEは位相エンコード軸方向の位相エンコード用傾斜磁場を、ROはリードアウト(読出し)軸方向のリードアウト用傾斜磁場を、それぞれ示す。
図7に示すように、撮影条件設定部40において設定されるSSFPシーケンスは、同一の励起角度(フリップ角)αのRF励起パルスを一定かつ短いTRで印加し、磁化を定常状態にすばやく至らしめるものである。また、RF励起パルスの印加時刻からエコーが生成される中心時刻までおよびエコーが生成される中心時刻から次のRF励起パルスの印加時刻までにおける傾斜磁場の積分値である0次モーメント(面積)がゼロとなるように各方向の傾斜磁場が制御される。この結果、TR間におけるスライス軸、位相エンコード軸およびリードアウト軸の3軸方向における傾斜磁場の0次モーメントも、いずれもゼロとなる。
さらに、図7に示すSSFPシーケンスでは、隣接するRF励起パルス間における位相角の差がπ [radian](180°)と異なる一定の角度π+Δφ1となるように、各RF励起パルスの位相角がそれぞれ制御される。すなわち、n番目に印加されるRF励起パルスの位相角をφ(n)とすると、式(2)に示す関係式が成立するように各RF励起パルスの位相角がそれぞれ制御される。
[数2]
φ(n+1)-φ(n)= π+Δφ1 [radian] (2)
ただし、
φ(n)±2π=φ(n)
とする。
式(2)において、隣接するRF励起パルス間における位相角差のπからのシフト量Δφ1は、例えば、式(3)に示すようにRF励起パルスのTR [second]、設定されるRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]とから決定される。
[数3]
Δφ1= 2π・Δf・TR (3)
すなわち、隣接するRF励起パルス間における位相角差のπからのシフト量Δφ1は、RF励起パルスのTRと、設定されるRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δfとの積に2πを掛けた値に設定することができる。このように各RF励起パルスの位相角を制御すれば、RF励起パルスの中心周波数が撮像対象となる物質の共鳴周波数と正確に一致するように良好に調整されていない場合であっても撮像対象となる物質の磁化をより良好に定常状態に保つことができる。
図8は、図7に示すようにSSFPシーケンスにおける各RF励起パルスの位相角を制御した場合の物質の横磁化の挙動を示す図である。
図8は、実験室系に対して励起パルスの中心周波数と同じ周波数で回転する系において、撮像対象となっているXY方向の物質の横磁化を静磁場方向から見た図である。
n番目のRF励起パルスの印加によって図8に示す(n)の位置に物質の横磁化が向いたとすると、設定される励起パルスの中心周波数が撮像目的と異なる物質の共鳴周波数と差分値Δf[Hz]だけ異なる場合には、n+1番目のRF励起パルスが印加される直前では、横磁化が2π・Δf・TRだけ回転することとなる。
また、n+1番目のRF励起パルスの位相角とn番目のRF励起パルスの位相角は位相角差π+Δφ1だけ異なり、かつ位相角差π+Δφ1のπからのシフト量Δφ1は、励起パルスの中心周波数と物質の共鳴周波数との差分値Δfに応じた横磁化の回転量2π・Δf・TRに一致するように制御される。このため、n+1番目のRF励起パルスが印加された直後には、横磁化は、図8の(n+1)の位置に回転される。
図8に示すように、隣接するRF励起パルス間における位相角差のπからのシフト量Δφ1を、励起パルスの中心周波数が物質の共鳴周波数に適切に調整されていないことに起因する横磁化の回転量2π・Δf・TRに設定すれば、横磁化の大きさが一定となり、横磁化の定常状態が保たれることが分かる。
尚、図8には、横磁化の挙動のみが示されているが、縦磁化の挙動についても同様である。すなわち、隣接するRF励起パルス間における位相角差のπからのシフト量Δφ1を、励起パルスの中心周波数が物質の共鳴周波数に適切に調整されていないことに起因する縦磁化の回転量に設定すれば、縦磁化の大きさも一定となり、縦磁化の定常状態を維持することができる。
図9は、図6に示す撮影条件設定部40において設定されるα/2プリパルスの印加を伴うSSFPシーケンスの一例を示す図である。
図9においてRFはRF励起パルスを、SSはスライス軸方向のスライス選択用傾斜磁場を、PEは位相エンコード軸方向の位相エンコード用傾斜磁場を、ROはリードアウト軸方向のリードアウト用傾斜磁場を、それぞれ示す。
図7に示すようなSSFPシーケンスにおいてTRの間隔で印加される励起角度αのRF励起パルス列に先立って図9に示すような励起角度α/2のプリパルスが印可されるようにSSFPシーケンスを設定することもできる。図9に示すSSFPシーケンスは、TrueFISPシーケンスとも呼ばれる。
このように、α/2プリパルスの印加を伴う場合には、式(4)に示すような関係式が成立するようにα/2プリパルスの位相角φ(0)およびα/2プリパルスに続いて印加される1番目のRF励起パルスの位相角φ(1)の一方または双方を制御することが望ましい。
[数4]
φ(1)-φ(0)= π+Δφ1/2 [radian] (4)
すなわち、α/2プリパルスの位相角φ(0)とα/2プリパルスに続いて印加される1番目のRF励起パルスの位相角φ(1)との位相角差がπ+Δφ1/2となるようにα/2プリパルスの位相角φ(0)およびα/2プリパルスに続いて印加される1番目のRF励起パルスの位相角φ(1)の一方または双方が制御される。ここで、位相角のシフト量Δφ1は、式(3)のように決定されることが望ましい。
ここで、隣接するRF励起パルス間の位相角差を制御するための式(2)と異なり、式(4)では、Δφ1に1/2のファクタがかかっている。これは、α/2プリパルスの印加時刻からα/2プリパルスに続いて印加される1番目のRF励起パルスの印加時刻までの時間間隔がTR/2に等しく、この時間間隔TR/2において起こる磁化の位相シフト量が隣接する励起パルス間の時間間隔TRにおいて起こる磁化の位相シフト量2π・Δf・TRの1/2になっているためである。
式(3)および式(4)が満たされるようにα/2プリパルスの位相角φ(0)および最初のRF励起パルスの位相角φ(1)の一方または双方を制御すれば、α/2プリパルスおよびRF励起パルスの位相角を、励起パルスの中心周波数が物質の共鳴周波数に適切に調整されていないことに起因する磁化の位相シフト量に追従させることができる。そして、磁化をより早く定常状態に移行させることが可能となる。
図10は、図6に示す撮影条件設定部40において設定されるα/2ポストパルスの印加を伴うSSFPシーケンスの一例を示す図である。
図10においてRFはRF励起パルスを、SSはスライス軸方向のスライス選択用傾斜磁場を、PEは位相エンコード軸方向の位相エンコード用傾斜磁場を、ROはリードアウト軸方向のリードアウト用傾斜磁場を、それぞれ示す。
図7に示すようなSSFPシーケンスにおいてTRの間隔で印加される励起角度αのRF励起パルス列に続いて最後に図10に示すような励起角度α/2のポストパルスが印可されるようにSSFPシーケンスを設定することもできる。
このように、α/2ポストパルスの印加を伴う場合には、式(5)に示すような関係式が成立するようにα/2ポストパルスの位相角φ(END)を制御することが望ましい。
[数5]
φ(END)-φ(N)= Δφ1/2 [radian] (5)
式(5)において、φ(N)は最後のN番目に印加されるRF励起パルスの位相角である。すなわち、α/2ポストパルスの位相角φ(END)とα/2ポストパルスの前に印加されるN番目のRF励起パルスの位相角φ(N)との位相角差がΔφ1/2となるようにα/2ポストパルスの位相角φ(END)が制御される。ここで、位相角のシフト量Δφ1は、式(3)のように決定されることが望ましい。
式(3)および式(5)が満たされるようにα/2ポストパルスの位相角φ(END)を制御すれば、励起パルスの中心周波数が物質の共鳴周波数に適切に調整されていないことに起因する磁化の位相シフトが存在する場合であってもα/2ポストパルスが有する本来の作用を良好に得ることができる。α/2ポストパルスには定常状態にある磁化を縦磁化に戻す作用がある。このため、セグメントk-space法(segment k-space method)を用いたシーケンスに従って、データ収集を行う場合に各セグメントにおいてそれぞれ磁化の定常状態をほぼ一定に保つことができる。このため、アーチファクトの低減に繋がる。尚、セグメントk-space法は、k空間(周波数空間;フーリエ空間とも言う)をいくつかの領域に分割することによってセグメント化し、セグメントごとに順次k空間データを取り込んでいくデータ収集法である。
以上のように、n番目に印加されるRF励起パルスの位相角をφ(n)、α/2プリパルスの位相角φ(0)およびα/2ポストパルスの位相角φ(END)は、それぞれ式(2)、式(4)、式(5)に示されるように、隣接するRF励起パルス間における位相角差のπからのシフト量Δφ1に基づいて決定することができる。さらに、隣接するRF励起パルス間における位相角差のπからのシフト量Δφ1を式(3)に基づいて決定するためには、RF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]を正確に求めることが重要となる。
そこで、撮影条件設定部40の中心周波数調整部41Aには、予め取得された被検体Pの共鳴周波数変化に対する信号強度分布、すなわち磁気共鳴信号の周波数スペクトルおよび/または入力装置33から入力された物質を示す情報に基づいてRF励起パルスの中心周波数を調整する機能と、調整によって決定したRF励起パルスの中心周波数を撮影条件設定部40に通知する機能とが備えられる。また、中心周波数調整部41Aは、予め取得された被検体Pの共鳴周波数変化に対する信号強度分布とともに決定したRF励起パルスの中心周波数の位置を示す記号を参照画像として表示装置34に表示させるように構成される。
図11は、図6に示す中心周波数調整部41Aによって表示装置34に表示される参照画像の一例を示す図である。
図11に示す参照画像中のグラフにおいて、横軸は、周波数を示し、縦軸は、磁気共鳴信号の強度を示す。図11に示すように周波数スペクトルは、脂肪の共鳴周波数および水の共鳴周波数においてそれぞれピークを有する。
一般に、人間を撮像対象とする人用のMRI装置では、被検体PがMRI装置にセットされる度に、RF励起パルスの中心周波数が周波数スペクトルに基づいて励起対象となる物質の共鳴周波数に自動調整される。そこで、図5に示す磁気共鳴イメージング装置20においても、中心周波数調整部41AによってRF励起パルスの中心周波数が図11に示すような周波数スペクトルに基づいて励起対象となる物質の共鳴周波数に自動調整される。従って、RF励起パルスの中心周波数は、被検体Pごとに一定とならず異なる値となる。
しかしながら、人間は概ね水と脂肪とから成り、水と脂肪の存在割合は被検体Pの部位や個体差によって異なる。このため、撮像部位によって、水の共鳴周波数において信号強度が最大値となる場合や、逆に脂肪の共鳴周波数において信号強度が最大値となる場合がある。従って、水と脂肪との間におけるケミカルシフトは3.5ppm程度と一定であるものの、中心周波数調整部41AにおいてRF励起パルスの中心周波数が誤って撮像対象(励起対象)でない水あるいは脂肪の共鳴周波数に合わせて自動調整されてしまう場合がある。すなわち、中心周波数調整部41Aが被検体Pごとの共鳴周波数スペクトル上における水の共鳴周波数のピークを脂肪の共鳴周波数であると誤って認識する場合や逆に脂肪の共鳴周波数のピークを水の共鳴周波数であると誤って認識する場合がある。
図11は、脂肪の共鳴周波数のピークが水の共鳴周波数であると誤って認識され、RF励起パルスの中心周波数が励起対象でない脂肪の共鳴周波数に自動設定された例を示している。
中心周波数調整部41Aが共鳴周波数を誤認識したか否かは、例えば表示装置34に表示される周波数スペクトル上のRF励起パルスの中心周波数が適切な周波数に設定されているか否かをユーザが目視によって確認することによって判断することができる。
ただし、脂肪と水のT1(縦緩和)時間の違いを利用してデータ収集タイミングにおける脂肪または水の信号強度が大きいか否かを判定することによって自動的にRF励起パルスの中心周波数が異なる物質の共鳴周波数に調整されたか否かを判断することも可能である。この場合には、この共鳴周波数の誤認識判断機能が中心周波数調整部41Aに設けられる。
そして、共鳴周波数が誤認識されたか否か、つまりRF励起パルスの中心周波数が異なる物質の共鳴周波数に調整されたか否かによってRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]を決定することができる。そこで、撮影条件設定部40には、入力装置33から共鳴周波数が誤認識されたか否かの情報を受けてRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]を決定する機能が備えられる。
特に撮像対象となる物質が水または脂肪である場合には、調整されたRF励起パルスの中心周波数が水の共鳴周波数に対応するか脂肪の共鳴周波数に対応するかという情報、つまり自動調整された励起パルスの中心周波数を共鳴周波数とする物質を示す情報が入力装置33から撮影条件設定部40に入力され、撮影条件設定部40は、入力装置33から入力された物質情報に応じてRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]を決定することができる。
尚、物質情報として物質名を直接入力する代わりに撮像部位を示す情報を入力するようにし、指定された撮像部位の撮像のために励起すべき物質を特定するようにしてもよい。
例えば、撮像対象となる物質が水である場合に、RF励起パルスの中心周波数f0が水の共鳴周波数f1に調整されている場合には、調整されたRF励起パルスの中心周波数f0が水の共鳴周波数f1に対応するという中心周波数調整結果情報を入力装置33から撮影条件設定部40に入力することができる。または、入力装置33から物質情報を撮影条件設定部40に入力しないこともできる。そうすると、撮影条件設定部40は、式(6)に示すようにRF励起パルスの中心周波数f0と水の共鳴周波数f1との差分値Δf[Hz]をゼロに設定する。
[数6]
Δf=0 (f0=f1) (6)
逆に、撮像対象となる物質が水である場合に、RF励起パルスの中心周波数f0が脂肪の共鳴周波数f2に調整されている場合には、調整されたRF励起パルスの中心周波数f0が脂肪の共鳴周波数f2に対応するという中心周波数調整結果情報、つまり脂肪という物質名を入力装置33から撮影条件設定部40に入力することができる。そうすると、撮影条件設定部40は、式(6)に示すようにRF励起パルスの中心周波数f0と水の共鳴周波数f1との差分値Δf[Hz]を設定する。
[数7]
Δf=ν×f0 (f0=f2) (7)
式(7)において、νは水のケミカルシフトと脂肪のケミカルシフトとの差分値である。すなわち、水のケミカルシフトと脂肪のケミカルシフトとの差分値をRF励起パルスの中心周波数f0に乗じた値がRF励起パルスの中心周波数f0と水の共鳴周波数f1との差分値Δf[Hz]として設定される。
式(6)および式(7)によりRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]を決定し、決定した差分値Δf[Hz]を用いてそれぞれ式(2)、式(3)、式(4)、式(5)に示すようにn番目に印加されるRF励起パルスの位相角をφ(n)、α/2プリパルスの位相角φ(0)およびα/2ポストパルスの位相角φ(END)を制御すれば、コントラストが良好で、かつアーチファクトの少ない水のSSFP画像を取得することが可能となる。
尚、通常のMRI装置では水のSSFP画像を得ることが多いが、逆に脂肪のSSFP画像を得ることが目的である場合であっても水のSSFP画像を得る場合と同様にRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]を決定することができる。
すなわち、撮像対象となる物質が脂肪である場合に、RF励起パルスの中心周波数f0が脂肪の共鳴周波数f2に調整されている場合には、調整されたRF励起パルスの中心周波数f0が脂肪の共鳴周波数f2に対応するという中心周波数調整結果情報を入力装置33から撮影条件設定部40に入力することができる。そうすると、撮影条件設定部40は、式(8)に示すようにRF励起パルスの中心周波数f0と脂肪の共鳴周波数f2との差分値Δf[Hz]をゼロに設定する。
[数8]
Δf=0 (f0=f2) (8)
逆に、撮像対象となる物質が脂肪である場合に、RF励起パルスの中心周波数f0が水の共鳴周波数f1に調整されている場合には、調整されたRF励起パルスの中心周波数f0が水の共鳴周波数f2に対応するという中心周波数調整結果情報を入力装置33から撮影条件設定部40に入力することができる。そうすると、撮影条件設定部40は、式(9)に示すようにRF励起パルスの中心周波数f0と脂肪の共鳴周波数f2との差分値Δf[Hz]を設定する。
[数9]
Δf=-ν×f0 (f0=f1) (9)
上述したように、RF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]を決定することによって、特定の物質のSSFP画像を良好に取得することができる。
ただし、生体はケミカルシフトの異なる複数の物質から構成されており、様々な物質に対するSSFP画像の取得が望まれる。特に生体内における存在量が多い水と脂肪に対するSSFP画像の取得が要求されることが多い。そこで、隣接するRF励起パルス間における位相角差のπからのシフト量Δφ1が式(10)を満たすようにRF励起パルスの位相角を制御すれば、水からの信号と脂肪からの信号とをそれぞれ分離可能な状態で収集することが可能となる。
[数10]
Δφ1=2π・Δf・TR・m=2πM (10)
ただし、m, Mは整数である。すなわち、上述したようにRF励起パルスの中心周波数と水または脂肪の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]を決定し、かつ隣接するRF励起パルス間における位相角差のπからのシフト量Δφ1が2πの整数倍となるように整数mおよびTRの一方または双方を決定すれば、水からの信号と脂肪からの信号との位相差が2πとなる。これにより、水信号と脂肪信号を分離可能に収集した上で、水のSSFP画像と脂肪のSSFP画像とを生成することが可能となる。このように、整数mおよびTRの少なくとも一方を調整し、少なくとも1つの物質の磁化がi周(iは整数)するようにすれば、その物質からの信号を他の物質からの信号から分離可能に収集することができる。
また、ここまでは、RF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]に基づいてn番目に印加されるRF励起パルスの位相角φ(n)とn+1番目に印加されるRF励起パルスの位相角φ(n+1)との差を決定する方法について説明したが、撮像対象となる物質の共鳴周波数が空間的に変化している場合には、励起されるスライスの位置に応じてRF励起パルスの位相角の差を決定しても良い。
また、B0磁場の変動量に基づいてn番目に印加されるRF励起パルスの位相角φ(n)とn+1番目に印加されるRF励起パルスの位相角φ(n+1)との差を決定することもできる。B0磁場の変動量に基づいてn番目に印加されるRF励起パルスの位相角φ(n)とn+1番目に印加されるRF励起パルスの位相角φ(n+1)との差を決定すれば、B0磁場に変動があったとしても、B0磁場の変動の影響を回避して磁化の定常状態を良好に維持させることが可能となる。
一様な空間分布を有する変動B0磁場としては、傾斜磁場パルスの印加に伴って発生する渦電流によって作り出されるB0磁場や傾斜磁場コイル23あるいはシムコイル22と静磁場用磁石21とのカップリングによって発生するB0磁場が挙げられる。このような変動を伴うB0磁場が生じると、磁化は静磁場方向に回転をすることになり、従来の位相制御では十分に磁化の定常状態を得ることができない恐れがある。
そこで、撮影条件設定部40には、B0磁場の変動があったとしても磁化の定常状態が良好に維持されるようにB0磁場の変動量に基づいてRF励起パルスの位相角を制御する機能が備えられる。そのために、撮影条件設定部40の磁場変動予測部41Bは、パルスシーケンスの実行スケジュールに基づいてB0磁場の変動量を予測する機能を有する。B0磁場の変動量の予測方法はB0磁場の発生メカニズムに依存して異なるが、ここでは傾斜磁場パルスの印加に伴って発生する渦電流によって作り出されるB0磁場の変動量を予測する方法について説明する。別のメカニズムが原因となって生じるB0磁場の変動量の予測についても傾斜磁場パルスの印加に起因するB0磁場の変動量の予測と同様に考えることができる。
図12は、図6に示す撮影条件設定部40において設定されるパルスシーケンス、パルスシーケンスの実行スケジュールに基づいて予測されたB0磁場の変動量およびB0磁場の変動による磁化の位相シフト量を示す図である。
図12において、RFはRF励起パルスを、SSはスライス軸方向のスライス選択用傾斜磁場を、PEは位相エンコード軸方向の位相エンコード用傾斜磁場を、ROはリードアウト軸方向のリードアウト用傾斜磁場を、B0は、リードアウト用傾斜磁場パルスの印加に起因するB0磁場の変動量を、Δφ2は、B0磁場の変動による磁化の位相シフト量を、それぞれ示す。
図12に示すように、SSFPシーケンスが実行され、リードアウト用傾斜磁場パルスの印加によってリードアウト軸方向の傾斜磁場が変化すると、リードアウト軸方向の傾斜磁場の変化を打ち消す方向、つまり逆の極性方向にB0磁場が傾斜磁場の変化量に応じた量だけ変動する。さらに、変動したB0磁場は減衰していく。また、B0磁場の変動によって磁化の位相がB0磁場と同じ極性側にシフトする。
尚、図12には、簡単のため、リードアウト用傾斜磁場パルスの印加に起因するB0磁場の変動量および磁化の位相シフト量を示しているが、他の傾斜磁場パルスの印加によっても同様にB0磁場の変動および磁化の位相シフトが生じる。
図12に示すようなSSFPシーケンスにおける傾斜磁場パルスの実行スケジュールをG(t)、傾斜磁場パルスの実行スケジュールG(t)のラプラス変換をg(s)とすると、時刻tにおけるB0磁場の変動量B0(t)は式(11)のように表される。
[数11]
B0(t)=L-1{H(s)×g(s)} (11)
ただし、H(s)は、傾斜磁場パルスの印加に対するB0磁場のインパルス応答を示し、L-1はラプラス逆変換を示す。
さらに、n番目のRF励起パルスが時刻t=T(n)に、n+1番目のRF励起パルスが時刻t=T(n+1)に、それぞれ印可されるものとすると、n番目のRF励起パルスの印加とn+1番目のRF励起パルスの印加との間で起こる磁化の位相シフト量Δφ2(n+1)は、B0磁場の変動量B0(t)を用いて式(12)のように求めることができる。
Figure 2013176672
つまり、式(11)および式(12)に示すように、傾斜磁場パルスの実行スケジュールG(t)からB0磁場の変動量B0(t)を予測し、予測したB0磁場の変動量B0(t)に基づいて隣接するRF励起パルス間における磁化の位相シフト量Δφ2を計算することができる。そこで、撮影条件設定部40は、磁場変動予測部41Bにおいて予測したB0磁場の変動量B0(t)に基づいて隣接するRF励起パルス間における磁化の位相シフト量Δφ2を計算し、計算して得られた磁化の位相シフト量Δφ2を用いてRE励起パルスの位相角を制御するように構成される。
RE励起パルスの位相角は、式(2)と同様な式(13)を満たすように制御すれば良いことになる。
[数13]
φ(n+1)-φ(n)= π+Δφ2(n+1) [radian] (13)
すなわち、隣接するRF励起パルス間における位相角の差がπと異なる角度π+Δφ2(n+1)となるように、各RF励起パルスの位相角がそれぞれ制御される。
さらに、各RF励起パルスの位相角を、B0磁場の変動量B0(t)およびRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]の双方に基づいて制御することもできる。この場合には、式(14)に示すように、隣接するRF励起パルス間における位相角の差が、RF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]に基づいて決定される位相シフト量Δφ1とB0磁場の変動量B0(t)に基づいて決定される位相シフト量Δφ2の双方を用いて制御される。
[数14]
φ(n+1)-φ(n)= π+Δφ1+Δφ2(n+1) [radian] (14)
このように各RF励起パルスの位相角を制御することによって、RF励起パルスの中心周波数の共鳴周波数からのずれやB0磁場のような磁化の定常状態を崩す要因があっても、より良好に磁化の定常状態を維持することが可能となる。
ただし、上述したような、RF励起パルスの位相サイクリングによって、横磁化、つまり収集される信号の位相も変動することとなる。そこで、収集された信号に画像生成のための画像再構成処理が施される前に、信号の位相を補償することが望ましい。そこで、受信器30には、受信信号の位相を補償する機能を設けることが望ましい。
図13は、図5に示す受信器30の詳細回路構成例を示す図である。
図13に示すように受信器30は、検波回路30A、A/D変換器30Bおよび位相反転器30Cを備えている。尚、図13において、受信信号の位相の補償に関連しない受信器30の他の構成要素については図示および説明を省略する。
受信器30では、上述したように、RFコイル24から受けたNMR受信信号の検波およびA/D変換が行われる。受信信号の検波は、検波回路30Aにおいて行われ、検波後の受信信号は、A/D変換器30BにおいてA/D変換される。このため、受信信号の位相を補償するためには、検波の位相Φ(n)をRF励起パルスの位相φ(n)に連動させて制御すれば良い。そこで、検波回路30Aには、コンピュータ32の撮影条件設定部40からRF励起パルスの位相φ(n)がシーケンスコントローラ31を通じて通知されるように構成される。そして、検波回路30Aは、RF励起パルスの位相φ(n)に連動して変動した位相が補償されるように受信信号の検波の位相Φ(n)を設定する。すなわち、検波回路30Aにおける検波の位相Φ(n)は、コンピュータ32からの制御信号によって制御される。
ここで、検波された受信信号はA/D変換されることになるが、通常A/D変換の際に受信系のDC (Direct Current)成分が受信信号に混入する。このため、通常はA/D変換後の2成分を有する受信信号の位相θ(n)を適宜反転し、DC成分の混入に起因するアーチファクトを画像の端に逃がすという制御が行われる。このA/D変換後における受信信号の位相θ(n)の反転処理は、位相反転器30Cにおいて行われる。そして、位相反転処理後における受信信号は生データとして受信器30から出力される。このため、検波回路30Aにおける受信信号の検波の位相Φ(n)は、位相反転器30Cにおける位相反転処理にも依存して決定される。
図14は、図5に示す受信器30における、シーケンシャル収集された受信信号の検波の位相Φ(n)をRF励起パルスの位相φ(n)に連動させて制御し、A/D変換後における受信信号の位相θ(n)に一部を反転する場合の制御量の例を示す図であり、図15は、図5に示す受信器30における、セントリック収集された受信信号の検波の位相Φ(n)をRF励起パルスの位相φ(n)に連動させて制御し、A/D変換後における受信信号の位相θ(n)に一部を反転する場合の制御量の例を示す図である。
図14および図15において、nは、受信信号が収集される順序を、PE(n)は、n番目に収集される受信信号が対応する位相エンコード番号を、φ(n)は、n番目に収集される受信信号に対応するRF励起パルスの位相角を、Φ(n)は、n番目に収集される受信信号の検波の位相を、θ(n)は、A/D変換後におけるn番目の受信信号の位相を、それぞれ示す。
図14および図15に示すように、A/D変換後における受信信号の位相θ(n)は、位相エンコード番号PE(n)に依存しており、位相エンコード番号PE(n)が偶数であるか奇数であるかによってπだけ異なる。すなわち、位相エンコード番号PE(n)が偶数の受信信号の位相θ(n)は、位相エンコード番号PE(n)が奇数の受信信号の位相θ(n)に対して反転している。
ここで、位相エンコードのマトリックス数をNpe(偶数)とすると、位相エンコード番号PE(n)は、k空間の中心における受信信号ではPE(n)=0、k空間の両端における各受信信号では、それぞれPE(n)=-Npe/2およびPE(n)=Npe/2-1となる。
RF励起パルスの位相角φ(n)は上述したように、励起開始からのRF励起パルスの数Nexに依存する。通常、励起開始直後は十分に磁化が定常状態に移行していない。このため、ダミーのRF励起パルスが印加される。従って、受信信号の番号nの数Nは、式(15)に示すように、励起開始からのRF励起パルスの数NexからダミーのRF励起パルスの数Ndummyを差し引いた値となる。
[数15]
N=Nex-Ndummy (15)
そして、制御対象となる受信信号の検波の位相Φ(n)は、RF励起パルスの位相角φ(n)およびA/D変換後における受信信号の位相θ(n)に依存して決定される。このため、結果的には、受信信号の検波の位相Φ(n)、RF励起パルスの位相角φ(n)、A/D変換後における受信信号の位相θ(n)は、位相エンコードの順序に依存することとなる。従って図14に示すシーケンシャル収集の場合と、図15に示すセントリック収集の場合とでは、受信信号の検波の位相Φ(n)が異なる。
尚、図14および図15のいずれも、セグメントk-space法によるセグメント分割を行わずに信号を収集し、かつ位相エンコードのマトリックス数Npeが10の場合の例を示しているが、セグメント分割を行う場合や任意の位相エンコードの順序による信号収集法により信号を収集する場合であっても、同様に規則的に決定することができる。
そして、このような受信信号の検波の位相Φ(n)の制御による受信信号の位相の補償によって、磁化の定常状態を効果的に維持できるのみならず、DCアーチファクトを除去した画像を得ることが可能である。
次に、コンピュータ32の他の機能について説明する。
シーケンスコントローラ制御部42は、入力装置33からのスキャン開始指示情報を受けた場合に、撮影条件設定部40からSSFPシーケンスを含む撮影条件をシーケンスコントローラ31に与えることにより駆動制御させる機能を有する。また、シーケンスコントローラ制御部42は、シーケンスコントローラ31から生データを受けてk空間データベース43に形成されたk空間に配置する機能を有する。このため、k空間データベース43には、受信器30において生成された各生データがk空間データとして保存され、k空間データベース43に形成されたk空間にk空間データが配置される。
画像再構成部44は、k空間データベース43からk空間データを取り込んでフーリエ変換(FT: Fourier transform)を含む画像再構成処理を施すことにより実空間データである被検体Pの画像データを再構成する機能と、再構成して得られた画像データを画像データベース45に書き込む機能を有する。このため、画像データベース45には、画像再構成部44において再構成された画像データが保存される。
画像処理部46は、画像データベース45から必要な画像データを読み込んで、差分処理やMIP処理等の画像処理を行うことによって表示用の画像データを生成する機能と、生成した表示用の画像データを表示装置34に与えることによって表示装置34に画像を表示させる機能とを有する。
次に磁気共鳴イメージング装置20の動作および作用について説明する。
図16は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置20により被検体Pの画像を撮像する際の手順を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
まずステップS1において、撮影条件設定部40において、SSFPシーケンスを用いた撮影条件が設定される。撮影条件の設定は、表示装置34に表示された設定画面を参照し、入力装置33の操作によって予め準備された関連部位や撮影条件ごとの複数の撮影プロトコルの中から、撮影に用いる撮影プロトコルを選択し、必要なパラメータを入力するのみで行うことができる。
特に、RF励起パルスの位相角が、上述したようにRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]に基づいて決定される位相シフト量Δφ1およびB0磁場の変動量B0(t)に基づいて決定される位相シフト量Δφ2の一方または双方を用いて設定される。
RF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]に基づいてRF励起パルスの位相角を制御する場合には、撮影条件の設定に先立つプリスキャン等の任意の手段によって予め被検体Pから収集される信号の強度を示す周波数スペクトルが取得される。そして、取得された周波数スペクトルに基づいて自動調整されるRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]に基づいて位相シフト量Δφ1が求められる。
図17は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置20により水の共鳴周波数に合わせてRF励起パルスの中心周波数を自動調整する場合における位相シフト量Δφ1の算出方法を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、ここでは水のSSFP画像を収集しようとする場合について説明する。
まずステップS10において、中心周波数調整部41Aにより被検体Pについての周波数スペクトルから1つのピークが検出され、RF励起パルスの中心周波数f0がピークに対応する周波数に自動調整される。自動調整されたRF励起パルスの中心周波数f0および周波数スペクトルは、中心周波数調整部41Aから表示装置34に出力され、表示装置34にはRF励起パルスの中心周波数f0が周波数スペクトルとともに表示される。
次に、ステップS11において、ユーザは、表示装置34を確認し、自動調整されたRF励起パルスの中心周波数f0を共鳴周波数とする物質Mを入力装置33の操作によって指定する。指定された物質M、すなわち水または脂肪の選択情報は、入力装置33から中心周波数調整結果情報として撮影条件設定部40に与えられる。
次に、ステップS12において、撮影条件設定部40は、指定された物質Mが水であるか否かを判定する。
そして、指定された物質Mが水である場合には中心周波数f0の調整が適切に行われたことになるため、ステップS13において、撮影条件設定部40は、RF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δfをゼロに設定する。逆に、指定された物質Mが水でない場合にはステップS14において、撮影条件設定部40は、式(7)に示すように水のケミカルシフトと脂肪のケミカルシフトとの差分値νをRF励起パルスの中心周波数f0に乗じた値をRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δfとして設定する。
次に、ステップS15において、撮影条件設定部40は、式(3)に示すようにRF励起パルスの中心周波数と撮像対象となる物質の共鳴周波数との差分値Δf[Hz]に基づいて位相シフト量Δφ1を求める。
そしてこのようにして求められた位相シフト量Δφ1を用いて、前述したようにステップS1において、SSFPシーケンスを用いた撮像条件が設定される。
一方、B0磁場の変動量B0(t)に基づいてRF励起パルスの位相角を制御する場合には、磁場変動予測部41Bにより、パルスシーケンスの実行スケジュールに基づいて例えば式(11)によりB0磁場の変動量B0(t)が予測される。次に、撮影条件設定部40は、予測されたB0磁場の変動量B0(t)に基づいてRF励起パルスの位相シフト量Δφ2を求める。そして、求められた位相シフト量Δφ2を用いて、前述したようにステップS1において、SSFPシーケンスを用いた撮像条件が設定される。
次に図16のステップS2において、設定された撮影条件に従ってデータ収集が行われる。
そのために、寝台37には被検体Pがセットされ、静磁場電源26により励磁された静磁場用磁石21(超伝導磁石)の撮像領域に静磁場が形成される。また、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて撮像領域に形成された静磁場が均一化される。
そして、入力装置33からシーケンスコントローラ制御部42に撮影開始指示が与えられると、シーケンスコントローラ制御部42は撮影条件設定部40からSSFPシーケンスを用いた撮影条件を取得してシーケンスコントローラ31に与える。シーケンスコントローラ31は、シーケンスコントローラ制御部42から受けた撮影条件に従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることにより被検体Pがセットされた撮像領域に傾斜磁場を形成させるとともに、RFコイル24からRF信号を発生させる。
このため、被検体Pの内部における核磁気共鳴により生じたNMR信号が、RFコイル24により受信されて受信器30に与えられる。受信器30は、RFコイル24からNMR信号を受けて、所要の信号処理を実行した後、A/D変換することにより、デジタルデータのNMR信号である生データを生成する。受信器30は、生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える。シーケンスコントローラ31は、生データをシーケンスコントローラ制御部42に与え、シーケンスコントローラ制御部42はk空間データベース43に形成されたk空間に生データをk空間データとして配置する。
尚、受信器30では、検波の位相がRF励起パルスの送信位相角と連動して制御され、位相サイクリングにより変動する受信信号の位相が補償される。また、A/D変換後の受信信号には、位相反転処理が施され、DC成分の混入に起因するアーチファクトが画像の端に逃がされる。
次にステップS3において、画像再構成部44により画像再構成処理が行われる。すなわち、画像再構成部44は、k空間データベース43からk空間データを取り込んで画像再構成処理を施すことにより画像データを再構成し、再構成して得られた画像データを画像データベース45に書き込む。
次にステップS4において、画像処理部46により画像データが生成され、表示装置34には、画像が表示される。すなわち、画像処理部46は、画像データベース45から画像データを読み込んで、必要な画像処理を行うことにより表示用の画像データを生成する。そして、生成された表示用の画像データが表示装置34に与えられ、画像が表示装置34に表示される。
表示装置34に表示される画像は、RF励起パルスの中心周波数の共鳴周波数からのずれやB0磁場の影響を受けないように各RF励起パルスの位相角が制御され、磁化の定常状態が良好に維持された状態で収集されたデータに基づいて作成されたものである。このため、ユーザは、良好なコントラストの水または脂肪のSSFP画像を用いて診断を行うことができる。
つまり以上のような磁気共鳴イメージング装置20は、SSFPシーケンスを利用してデータ収集を行う場合に、RF励起パルスの中心周波数の調整ずれやB0磁場の変動等の定常状態を崩す要因があっても、より良好に磁化の定常状態を維持することができるように、RF励起パルスの送信位相角の変化量を励起パルスの中心周波数と撮像目的となる物質の共鳴周波数との差やB0磁場の変動量に基づいて決定および制御するように構成したものである。
このため、磁気共鳴イメージング装置20によれば、RF励起パルスの送信位相角と磁化の位相角の双方が規則的になり、磁化の定常状態自由歳差運動を維持することができる。また、SSFPシーケンスを用いた撮像において、磁化が定常状態に移行する時間を短縮することができる。この結果、SNRやコントラストが良好なSSFP画像を得ることが可能となる。
20 磁気共鳴イメージング装置
21 静磁場用磁石
22 シムコイル
23 傾斜磁場コイル
24 RFコイル
25 制御系
26 静磁場電源
27 傾斜磁場電源
28 シムコイル電源
29 送信器
30 受信器
30A 検波回路
30B A/D変換器
30C 位相反転器
31 シーケンスコントローラ
32 コンピュータ
33 入力装置
34 表示装置
35 演算装置
36 記憶装置
37 寝台
38 ECGユニット
40 撮影条件設定部
41A 中心周波数調整部
41B 磁場変動予測部
42 シーケンスコントローラ制御部
43 k空間データベース
44 画像再構成部
45 画像データベース
46 画像処理部
P 被検体

Claims (4)

  1. 渦電流による静磁場の変動を予測する磁場変動予測部と、
    予測された前記静磁場の変動に起因する磁化の位相シフト量に基づいて決定された変化量で送信位相が変化する複数の励起パルスを同一のフリップ角および一定の繰り返し時間で印加し、各励起パルスの印加時刻からエコーが生成される中心時刻までおよびエコーが生成される中心時刻から次の励起パルスの印加時刻までにおける傾斜磁場の0次モーメントがそれぞれゼロとなるように前記傾斜磁場を印加することによって所望の物質の磁化の定常状態自由歳差運動を得て磁気共鳴データを収集するデータ収集手段と、
    前記磁気共鳴データに基づいて前記所望の物質の画像を生成する画像生成手段と、
    を有する磁気共鳴イメージング装置。
  2. 前記磁場変動予測部は、
    傾斜磁場の変化量から前記渦電流による静磁場の変動を予測する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  3. 前記磁場変動予測部は、
    傾斜磁場パルスの実行スケジュールと、前記傾斜磁場パルスの印加に対応する前記静磁場のインパルス応答とから、前記静磁場の変動を予測する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  4. 前記データ収集手段は、
    隣接する励起パルス間における前記送信位相の変化量を、前記静磁場の変動波形を前記隣接する励起パルス間で積分した値に基づいて決定する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
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