JP2004261510A - 手乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外部に向かって開口した空間部2を有し、この空間部2に挿入された手の両側から一対のノズル15、16から吹き出した空気流を吹き当てて手に付着した水分を払拭する手乾燥装置であって、空気流が手の挿入方向に互いにずらされた状態で噴出するようにした。
また、両側から吹き出した空気流がほぼ平行になるようにした。
さらに、両側からの空気流のずれ量を0mm〜30mmに設定した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄後の濡れた手を衛生的に乾燥させる乾燥装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
手を衛生的な状態に保全するには、手の洗浄とともに、洗浄後の乾燥処理も衛生的に行う必要があり、そのために、洗浄などによって濡れた手を直接的に乾燥させる手乾燥装置が知られている。
従来の手乾燥装置は、本体上部に開口した手乾燥室を有し、送風手段から発生した空気流をノズルを介して少なくとも3ケ所以上の吹出し口に連通し、手乾燥室には吹出し口が互いに対向することなく設けられていて、手を擦りあわせる空間を形成している。こうして、濡れた両手を手乾燥室に挿入し、3ケ所以上の吹出し口から吐出する吹出し風に当てながら両手を擦りあわせるなどして、手を乾燥させる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−346715号公報(第4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の手乾燥装置では、両手を擦りあわせる動作が煩雑になるため、ごく短時間で手を乾燥させることができず、また、使用感も悪い。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、第1には騒音を低減し、第2には乾燥時間を短縮し、第3には使用感の良い手乾燥装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外部に向かって開口した空間部を有し、この空間部に挿入された手の両側から空気流を吹き当てて手に付着した水分を払拭する手乾燥装置であって、先の両側からの空気流を手の挿入方向に互いにずらした状態で噴出するようにした。
【0007】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る手乾燥装置の縦断面図、図2は図1の平面図、図3は図1のノズル部分の拡大正面図である。図において、箱体1は手乾燥装置の外殻をなし、箱体1の上部には手を挿入できる手挿入室2が設けられ、その上面及び側面を開口して(上面のみを開口してもよい)、ほぼU字状をなす内壁面3を構成している。
【0008】
内壁面3は、対向する前面4と後面5、及び底面8とによって構成され、後面5は後上面6と後下面7により構成されるほぼ逆く字状をなし、後上面6は前方に向かって傾斜し、後下面7はほぼ垂直に形成されている。また、手挿入室2の底面8には手から飛散した水を排水する排水口9が設けられており、排水口9には排水管10が接続され、排水管10にはここから流出するドレン水を溜めるドレンタンク11が接続されている。
【0009】
手挿入室2には、手の挿入の有無を検出する第1、第2、第3の手検出手段12、13、14が設けられ、第1の手検出手段12は前面4の最上部付近に、第2の手検出手段13は内壁面5の後上面6に、第3の手検出手段14は底面8にそれぞれ配設されている。
【0010】
手挿入室2の内壁面3の前面4と後面5の上部には、高圧空気流(以下、単に空気流という)を吹き出して手を乾燥させる第1、第2のノズル15、16を上下方向に位置をずらして、すなわち第1のノズル15の位置を第2のノズル16の位置よりも下方向にずらして配設され、複数の噴出口が両ノズル15、16の長手方向に列状に配設されている。そして、図1に矢印で示すように、それぞれの空気流が上下方向にずれた状態で噴出し、噴出された空気流同士は対向する壁面に衝突する前に互いにぶつからないように構成してある。また、第1のノズル15の空気流は、後面5の後上面6に衝突した後、壁面に沿って方向を変え、後下面7方向に流れるようになっている。
【0011】
第1のノズル15の上部壁面には、第2のノズル16に対向した位置に例えば断面半円状の凹部17が形成されており、第2のノズル16から噴出した空気流は凹部17に衝突し、反転したあと手挿入室2の開口部側に向かうようにしてある。
【0012】
上記のように構成した第1、第2のノズル15、16の上下方向のずれ量は、0mm〜30mmに設定するのが好ましい。例えば、図4に示すように、ノズル位置のずれ量(mm)を変化させた場合の騒音変化(dB)は、ずれ量が0mm、10mm、20mmのとき、騒音はそれぞれ、ほぼ57dB、56dB、53dBとなり、ずれ量の増加に伴って騒音は低下していく。
【0013】
一方、図5に示すように、ずれ量(mm)を変化させた場合の乾燥時間(sec)は、ずれ量が0mm、10mm、20mm、30mmのとき、乾燥時間はそれぞれ、ほぼ7sec、6sec、6sec、7secとなり、ほぼU字形の線図をなす。
このようにして、ずれ量を0mm〜30mmに設定すると、乾燥効率が良好である。
【0014】
また、上記の構成において、内壁3の前面4側に位置する第1のノズル15の風量が、後面5側に位置する第2のノズル16の風量よりも多くなるように設定してある。
【0015】
手挿入室2の内壁面3に隣接して排気ダクト18が設けられており、この排気ダクト18には高圧空気流を送風する送風機を具備した高圧空気発生装置19が接続され、高圧空気発生装置19からの空気を排気ダクト18を通して第1、第2のノズル15、16に導く。高圧空気発生装置19の吸気口20には、吸気空気中の埃などを除去する着脱可能なフィルター21が設けられている。
【0016】
次に、本実施の形態の作用について説明する。まず、濡れた手を手挿入室2に挿入(通常、手の平を第1のノズル15側にして挿入する)すると、手挿入室2の壁面上に設けられた第2、第3の検知手段13、14が手の挿入を検知する。こうして、手が挿入されたと判断した制御手段(図示せず)が高圧空気発生装置19を作動させて、吸気口20から空気を吸い込む。このとき、空気中の埃等はフィルター21で除去されて、高圧空気発生装置19内で清浄な高圧空気が作られる。
【0017】
この清浄化された高圧空気は、手挿入室2に隣接する排気ダクト18に送られ、内壁面3に対向して設けられた第1、第2のノズル15、16から、図1、図2に矢印で示すように空気流となって吹き出され、手に当たる。このため、手挿入室2に挿入した手を擦り合わせることなく、手に付着した水滴を手の表面から手挿入室2の底部8に吹き飛ばして排除するので、濡れた手は乾燥した状態になる。一方、この吹き飛ばされた水滴は、排水管10からドレンタンク11に流れてここに溜まるので、飛散した水によって手乾燥装置の周囲が濡れることはない。
【0018】
その後、手を手挿入室2から上方に抜く乾燥動作にあっても、手挿入室2内に手がある状態では、第1、第2の手検知手段12、13が引き続き手を検知し続けるため、継続して第1、第2のノズル15、16から空気流が吹き出されているので、手の表面の水分等が排除されて、手はさらに乾燥する。手が手挿入室2から完全に抜き出されて第1、第2の手検知手段12、13が手を検知しなくなった後は、短時間、運転継続した後、運転を停止する。
乾燥過程の際、第1、第2のノズル15、16から噴出する空気流の噴出位置にはずれがあるため、手の平、手の甲の両面側の水分を効率よく排除することができる。
【0019】
乾燥動作が終了して、手が手挿入室2から完全に抜き出された後の運転継続時においては、第1、第2のノズル15、16から吐出する空気流が上下方向にずれているため互いの空気流が衝突せず、気流衝突音が発生しないので、騒音を低減することができる。特に、図6に示すように、凹部17を設けている場合は、第2のノズル16から噴出した空気流cは凹部17で反転して開口部側に流出して空気流dとなるため、第1のノズル15から流出した空気流aに干渉せず、騒音の発生が抑えられるとともに、使用者への使用感も向上する。また、後面5はほぼ逆く字状に構成されているので、第1のノズル15から流出した空気流aは傾斜した後上面6に衝突後、下方向に向かい、後下面7に沿って空気流bとして下降するので、第2のノズル16から噴出した空気流cと干渉せず、騒音の発生が抑えられる。
【0020】
これに対して、図13の比較例に示すように、凹部17がなく、後面が単に平面状に形成されている場合は、第2のノズル16aから噴出する空気流cが前面4aに衝突し、分流して空気流gとなり、第1のノズル15aから噴出される空気流aの根元に衝突するので、噴流衝突音、乱流音が発生する。また、分流した空気流dは前面4aに沿って上方に吹き上がるため、使用者側の使用感を損なうので好ましくない。また、第1のノズル15aから噴出する空気流aは後面5aに衝突して分流した一方の空気流hが後面5aに沿って上方に吹き上がり、第2のノズル16aから噴出した空気流cと衝突するため、噴流衝突音、乱流音が発生する。
【0021】
手の表面性状から、手の甲より手の平の方が水分の付着力が強く乾燥しにくいことは一般に知られているが、装置手前に位置する第1のノズル15の風量を、装置奥側に位置する第2のノズル16の風量よりも多く設定しているので、手挿入室2に挿入した手の平、手の甲の水分排除を均一にすることができる。
また、第1のノズル15を、第2のノズル16よりも下方(奥側)にずらして設置したので、より乾燥効率が向上する。
【0022】
なお、上記の説明では、第1、第2のノズル15、16は複数の噴出口が列状に配設されるとしたが、図7に示すようにスリット状の噴出口を有したものでもよく、あるいは、図8に示すように噴出口を有する複数のノズルを中央部が最上位になるようにへ字形状に列配列したものでもよい。さらに、図9に示すようにスリット状の噴出口を有するノズルをへの字形状にしたものでもよく、あるいは、図10に示すようにスリット状の噴出口を有するノズルをハ字形状にしたものであってもよい。
【0023】
また、上記の説明では、第1、第2のノズル15、16から噴出した空気流が壁に衝突する前にほぼ平行になるようにしておき、噴出した空気流同士が壁に到達する前に衝突しないようにして騒音の発生を防いでいるが、平行でなくても噴出された空気流同士が対向する壁に衝突する前に互いに衝突しなければよい。
【0024】
例えば、図11に示すように、第2のノズル16から空気流eをやや上方向に噴出して前面4に衝突させてもよく、また第1のノズル15からの空気fをやや下方向に噴出して後面5に衝突させてもよい。
【0025】
[実施の形態2]
図12は本発明の実施の形態2に係る手乾燥装置の断面図である。図において、箱体1は手乾燥装置の外殻をなし、この箱体1の前部には手を挿入できる手挿入室2が設けられ、その前面を開口してほぼコ字状をなす内壁面3を構成している。
【0026】
内壁面3は、対向する上面22と底面23、及び後面24とによって構成され、上面22は奥側に向かって下方向に傾斜している。手挿入室2の底面23には排水口9及び排水管10が接続され、排水管10はドレンタンク11に接続されている。また、手挿入室2には、手の挿入の有無を検出する検出手段12が、内壁面3の上面22に配設されている。
【0027】
手挿入室2の内壁面3の底面23の前側と上面22の前側とには、高圧空気流を吹き出して手を乾燥する第1、第2のノズル15、16が設けられており、第1のノズル15が第2のノズル16よりも0mm〜30mmほど後側に位置をずらして設けられており、複数の空気流が前後にずれた状態で噴出する。
【0028】
第1のノズル15の上面22には、第2のノズル16に対向した位置に凹部17が形成されており、第2のノズル16の空気流は凹部17に衝突して反転した後、手挿入室2の開口部側に向かうようにしてある。
第2のノズル16の後側の底面23には、第1のノズル15に対向した位置に手挿入室2の奥側に傾斜した傾斜面25が形成されており、第1のノズル15の空気流は傾斜面25に衝突した後、底面23に沿って手挿入室2の奥側に向かうようにしてある。
なお、内壁面3の上面22側に位置する第1のノズル15の風量が、底面23側に位置する第2のノズル16の風量よりも多くなるように設定してある。
【0029】
箱体1の内部には手挿入室2を囲むようにして排気風路18が設けられており、この排気風路18の上部には高圧空気流を送風する送風機を具備した高圧空気発生装置19が設置され、高圧空気発生装置19からの空気を排気風路18によって第1、第2のノズル15、16に導く。排気風路18の後部には吸気風路26が設けられており、その下部に位置する吸気口20には、吸気空気中の埃などを除去する着脱可能なフィルター21が設けられている。
【0030】
次に、作用について説明する。まず、濡れた手を手挿入室2に挿入(通常、手の平を第1のノズル15側にして挿入する)すると、手挿入室2の検知手段12が手の挿入を検知し、高圧空気発生装置19を作動させ、フィルター21を通して吸気口20から清浄化された空気を吸い込む。この高圧空気は、吸気風路26を通って排気風路18に送られ、第1、第2のノズル15、16から吹き出されて、手に当たる。そして吹き飛ばされた水滴は、排水管10からドレンタンク11に流れる。
【0031】
その後、手が手挿入室2から完全に抜き出されて手検知手段12が手を検知しなくなった後は、短時間、運転継続した後、運転を停止する。
【0032】
乾燥動作が終了して、手が手挿入室2から完全に抜き出された後の運転継続時においては、第1、第2のノズル15、16から噴出する空気流が前後方向にずれているため、互いの空気流が衝突することはない。この場合、第1のノズル15の空気流は傾斜面25に当たった後、手挿入室2の奥側に向かい、また、第2のノズル16の噴流は凹部17に当たって反転した後、開口部側に流れる。
その他の作用、効果は、実施の形態1で示した場合と実質的に同様なので、説明を省略する。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、手挿入室に高圧空気発生装置により生成される高速空気流がノズルから噴出し、手挿入室に濡れた手をかざすように差し入れるだけで、手に付着した水分は高速空気流によって手から吹き飛ばされることになり、煩わしさ、面倒さ、違和感を伴うことなく簡単かつ迅速に、衛生的で快適な手の乾燥処理を行うことができる。特に騒音の発生が抑えられるため、使用感が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る手乾燥装置を模式的に示した縦断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1のノズルの拡大正面図である。
【図4】実施の形態1におけるノズル位置のずれ量と騒音との関係を示す線図である。
【図5】実施の形態1におけるノズル位置のずれ量と乾燥時間との関係を示す線図である。
【図6】図1の作用説明図である。
【図7】実施の形態1に係る他のノズルの拡大正面図である。
【図8】実施の形態1に係るさらに他のノズルの拡大正面図である。
【図9】実施の形態1に係る別のノズルの拡大正面図である。
【図10】実施の形態1に係るさらに別のノズルの拡大正面図である。
【図11】図1の作用説明図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る手乾燥装置を模式的に示した縦断面図である。
【図13】実施の形態1の比較例の説明図である。
【符号の説明】
1 箱体、2 手挿入室、3 内壁面、12 第1の手検知手段、13 第2の手検知手段、14 第3の手検知手段、15 第1のノズル、16 第2のノズル、17 凹部、25 傾斜面。
Claims (6)
- 外部に向かって開口した空間部を有し、該空間部に挿入された手の両側から空気流を吹き当てて手に付着した水分を払拭する手乾燥装置であって、
前記両側からの空気流を手の挿入方向に互いにずらした状態で噴出するようにしたことを特徴とする手乾燥装置。 - 前記両側からの空気流がほぼ平行状態に噴出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の手乾燥装置。
- 前記両側からの空気流のずれ量を0mm〜30mmに設定したことを特徴とする請求項1または2記載の手乾燥装置。
- 前記手の平が挿入される側の空気流の流量を手の甲が挿入される側の空気流の流量よりも多くし、かつ、前記手の平が挿入される側の空気流の位置を前記手の甲が挿入される側の空気流の位置よりも奥側に配置したことを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の手乾燥装置。
- 前記両側からの空気流のそれぞれが対向する壁面に衝突した後、それぞれの空気流の流れが衝突壁面側にある噴出空気流に干渉しない方向に流れることを特徴とする1、2、3、4のいずれかに記載の手乾燥装置。
- 前記空気流を噴出するノズルを対向面に設けた凹部や突出部に衝突させて反転させることを特徴とする請求項5記載の手乾燥装置。
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