JP2004260895A - 超音波モータの駆動装置、アクチュエータ、撮影装置及び超音波モータの駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】源発振信号CLK1を出力する発振器28と、駆動周波数の制御値に対応するカウント値の1/4の値、1/2の値及び3/4の値を演算する1/4演算部33、1/2演算部34及び3/4演算部35と、源発振信号CLK1の数をカウントし、このカウント値が、各演算部33〜35の演算値及び前記駆動周波数の制御値に対応するカウント値のうちいずれか1の値と一致したときにパルスを出力するカウンタ部30と、カウンタ部30の出力信号CLK2を1/4分周する分周器31と、分周器31の出力信号φ1,φ2に基づいて駆動信号V1,V2を生成し、電気機械エネルギー変換素子16aに印加する電力増幅器20とを備えた。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動信号の印加により変位する電気機械エネルギー変換素子を備える超音波モータの駆動装置、アクチュエータ、撮影装置及び超音波モータの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機械エネルギー変換素子に交流信号を印加することにより、該電気機械エネルギー変換素子の変位を利用して駆動対象物を駆動する超音波モータが広く知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この超音波モータに印加する交流信号を生成する駆動装置として、例えば図11に示す構成を備えたものがある。なお、図11は、超音波モータ101及びその駆動装置100をカメラに搭載し、焦点調節を行うフォーカスレンズ102をこの超音波モータ101により駆動する構成を示したものである。
【0004】
図11に示す駆動装置100は、検出した超音波モータ101の駆動速度が目標値となるように、超音波モータ101に印加する交流の駆動信号の周波数(以下、駆動周波数という)を制御する構成を備えたもので、駆動速度検出部103、周波数制御部104、駆動速度指示部105、モータ駆動部106及び電力増幅器107とを有している。
【0005】
駆動速度検出部103は、超音波モータ101の駆動速度を検出し、周波数制御部104は、駆動速度検出部103により検出された駆動速度の情報を取り込み、この駆動速度が、焦点調節を行うための焦点検出モジュール108によるデフォーカス量に基づいて及び駆動速度指示部105により算出された目標駆動速度となるように、設定すべき駆動周波数を算出する。周波数制御部104は、この算出した駆動周波数をディジタルのデータ(以下、周波数データという)にしてモータ駆動部106に出力する。この周波数データは、モータ駆動部106のカウンタ部1062のカウント値と比較される比較対象値であり、カウンタ部1062は、カウント値とこの周波数データとが一致した際に、パルスを分周器1063に出力する。
【0006】
モータ駆動部106は、発振器1061、カウンタ部1062及び分周器1063を備え、周波数制御部104から出力された周波数データに基づいて、超音波モータ101に印加する駆動信号V1’,V2’の周波数を得るものである。
【0007】
図12(a)に示すように、発振器1061は、駆動信号V1’,V2’より十分に高い周波数を有する発振信号CLK1を生成し、カウンタ部1062は、発振器1061から出力される発振信号CLK1をカウントして、図12(b)に示すように、そのカウント値が上記周波数データに対応する値に達するとパルスを出力する(カウンタ部1062の出力信号をCLK2’と表記する)。
【0008】
分周器1063は、図12(d)に示すように、カウンタ部1062の出力信号CLK2’を1/4分周した2相の信号φ1’,φ2’(φ1’のみ図示)を生成し、電力増幅器107は、図12(f)に示すように、分周器1063から出力される2相の信号φ1’,φ2’により、超音波モータ101に印加する駆動信号V1’,V2’ (V1’のみ図示)を生成し、駆動信号V1’,V2’を超音波モータ101に印加する。
【0009】
【特許文献1】
特許2669023号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような超音波モータ101の駆動装置100にあっては、駆動周波数を制御する際の分解能が十分でない場合がある。
【0011】
図11に示す駆動装置100においては、例えば、図12(c)に示すように、周波数データ(比較対象値)が1増加したときの該出力信号CLK2’の周期Tの増加分をΔTと表すものとすると、分周器1063は、図12(e)に示すように、カウンタ部1062から出力される信号CLK2’を1/4分周することから、分周器1063から出力される信号φ1’,φ2’は、周期が4×ΔTだけ大きくなる。その結果、図12(g)に示すように、電力増幅器107により生成される駆動信号V1’,V2’の周期も4×ΔTだけ大きくなる。つまり、駆動装置100は、(4×ΔT)単位で駆動信号V1’,V2’の周期を変化させるものである。
【0012】
ここで、通常、よく利用される、発振器1061の発振周波数及び駆動信号V1’,V2’の駆動周波数の値として、例えば、発振器1061の発振周波数を32MHz、駆動信号V1’,V2’の駆動周波数を40kHzとし、この場合の駆動周波数の分解能Δfを求めると、カウンタ部1062の出力信号CLK2’は、周波数データが1増加すると1/32×10−6(上記ΔTに相当)だけ周期が大きくなるから、駆動信号V1’,V2’は、4/32×10−6(上記4×ΔTに相当)だけ周期が大きくなる。
【0013】
したがって、駆動周波数の分解能Δfは、
Δf=1/4T−1/(4T+4ΔT) …(1)
から、Δf≒199Hzとなる。
【0014】
一般に、超音波モータ101に印加する駆動信号V1’,V2’の駆動周波数は、約2kHzの範囲で制御することから、上記の例の場合、駆動装置100は、10(≒2kHz/199Hz)段階で超音波モータ101の駆動速度を制御することが可能である。
【0015】
ところが、上記のように超音波モータ101及び駆動装置100を特にフォーカスレンズ102の駆動用としてカメラに搭載した場合には、フォーカスレンズ102を滑らかに駆動したり、フォーカスレンズ102の停止位置の精度を向上すべく緻密な速度制御を実現したりするためには、少なくとも32段階で超音波モータ101の駆動速度を制御することが要求されるため、上記の分解能では不十分であった。
【0016】
一方、高い発振周波数を有する発振器1061を用いることで、必要な分解能を得ることは可能であるが、発振周波数を高くすると消費電力が増加するとともに、発熱やノイズの増大の問題が発生する。
【0017】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、超音波モータに印加する駆動信号の駆動周波数を発振信号の分解能で制御することのできる超音波モータの駆動装置、アクチュエータ、撮影装置及び超音波モータの駆動方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、駆動信号の印加により変位する電気機械エネルギー変換素子の駆動速度を、前記駆動信号の駆動周波数を制御パラメータとしてフィードバック制御する超音波モータの駆動装置であって、前記電気機械エネルギー変換素子に印加する駆動信号に比して高い周波数の源発振信号を出力する発振手段と、前記源発振信号の数をカウントし、そのカウント値が前記駆動周波数の目標値に対応する第1の比較対象値に達するとリセットするカウント手段と、前記第1の比較対象値の1/Nの値(Nは整数)に1乃至(N−1)の整数をそれぞれ乗算することにより得られる値をそれぞれ第2乃至第Nの比較対象値として算出する演算手段と、前記カウント手段のカウント値と前記第1乃至第Nの比較対象値とを比較し、前記カウント手段のカウント値がいずれか1の比較対象値と一致するたびに、その旨を示す一致信号を出力する一致信号出力手段と、前記一致信号を所定の分周比で分周する分周手段と、前記分周手段から出力される信号に基づいて前記駆動信号を生成し、この駆動信号を前記電気機械エネルギー変換素子に印加する駆動信号生成手段とを備えることを特徴とするものである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、駆動信号の印加により変位する電気機械エネルギー変換素子の駆動速度を、前記駆動信号の駆動周波数を制御パラメータとしてフィードバック制御する超音波モータの駆動方法であって、前記電気機械エネルギー変換素子に印加する駆動信号に比して高い周波数の源発振信号を出力し、前記源発振信号の数をカウントし、そのカウント値が前記駆動周波数の目標値に対応する第1の比較対象値に達するとリセットし、前記第1の比較対象値の1/Nの値(Nは整数)に1乃至(N−1)の整数をそれぞれ乗算することにより得られる値をそれぞれ第2乃至第Nの比較対象値として算出し、前記カウント手段のカウント値と前記第1乃至第Nの比較対象値とを比較し、前記カウント手段のカウント値がいずれか1の比較対象値と一致するたびに、その旨を示す一致信号を出力し、前記一致信号を所定の分周比で分周し、前記分周手段から出力される信号に基づいて前記駆動信号を生成し、この駆動信号を前記電気機械エネルギー変換素子に印加することを備えることを特徴とするものである。
【0020】
これらの発明によれば、発振手段により、電気機械エネルギー変換素子に印加する駆動信号に比して高い周波数の源発振信号が出力され、カウント手段により、源発振信号の数がカウントされる。
【0021】
一方、演算手段により、第1の比較対象値の1/Nの値(Nは整数)に1乃至(N−1)の整数をそれぞれ乗算することにより得られる値がそれぞれ第2乃至第Nの比較対象値として算出される。
【0022】
そして、一致信号出力手段により、前記演算手段の演算値及び前記駆動周波数の制御値に対応するカウント値を比較対象値として、前記カウント手段のカウント値と前記比較対象値とが比較され、前記カウント手段のカウント値がいずれか1の比較対象値と一致するたびに、その旨を示す一致信号が出力される。なお、カウント手段は、カウント値が前記駆動周波数の制御値に対応するカウント値に達するとリセットすることから、一致信号出力手段によるカウント手段のカウント値と前記比較対象値との比較は、所定の周期で繰り返し行われる。
【0023】
その後、分周手段により、一致信号出力手段から出力される一致信号が所定の分周比で分周され、駆動信号生成手段により、分周手段から出力される信号に基づいて前記駆動信号が生成され、この駆動信号が電気機械エネルギー変換素子に印加される。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の超音波モータの駆動装置において、前記演算手段は、前記第1の比較対象値の4分の1である第2の比較対象値と、前記第1の比較対象値の2分の1である第3の比較対象値と、前記第1の比較対象値の4分の3である第4の比較対象値を演算することを特徴とするものである。
【0025】
請求項3に記載の発明は、駆動信号の印加により変位する電気機械エネルギー変換素子を有する超音波モータと、前記電気機械エネルギー変換素子の駆動速度を制御する請求項1または2に記載の駆動装置とを備えるアクチュエータである。
【0026】
請求項4に記載の発明は、被写体の光像を撮影する撮影手段と、請求項3に記載のアクチュエータにより駆動されるフォーカスレンズを含み、前記撮影手段に前記被写体の光像を導く光学系と、前記フォーカスレンズを光軸方向に駆動するための請求項3に記載のアクチュエータと、前記フォーカスレンズ及びアクチュエータによる合焦動作を指示するための第1の操作手段と、被写体の光像の撮影を指示するための第2の操作手段と、前記第1,第2の操作手段が操作されると、前記アクチュエータにフォーカスレンズの駆動を指示して焦点調節を行わせた後、前記撮影手段に被写体の光像を撮影させる撮影制御手段とを備える撮影装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について説明する。
【0028】
図1は、カメラの概略構成を示す図、図2は、超音波モータの駆動に関わる部分のカメラの制御ブロック図である。
【0029】
図1に示すように、カメラ1は、カメラ本体2と、該カメラ本体2に対して着脱可能な撮影レンズ3とを備えてなる。
【0030】
カメラ本体2は、被写体の光像を撮像する撮像素子4と、撮影レンズ3の合焦状態を検出するための検出モジュール5と、カメラ1の動作を統括制御する本体側制御部6とを有する。
【0031】
検出モジュール5は、半透鏡7により反射された被写体像の一部を撮像し、合焦状態や被写体距離等を算出するためのデータを本体側制御部6に送出する。
【0032】
本体側制御部6は、図2に示すように、検出モジュール5から送出されたデータに基づいて、焦点調節を行うための検出情報を生成する焦点検出情報生成部8と、この検出情報に基づき、撮影レンズ3に備えられるレンズ(フォーカスレンズユニット13のみ図示)の結像位置と撮像素子4との距離(デフォーカス量)を算出し、このデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズユニット13の駆動量を算出する駆動量算出部9と、フォーカスレンズユニット13の結像位置が撮像素子4の前方か後方かを判定してフォーカスレンズユニット13の駆動方向を決定する駆動方向制御部10と、図3に示すように、速度制御を行う上での駆動周波数と駆動速度との関係を記憶する記憶部11と、この駆動周波数と駆動速度との関係に基づいてフォーカスレンズユニット13の駆動速度を制御する駆動速度制御部12とを有する。
【0033】
図3(a)は、フォーカスレンズユニット13の速度制御を、移動開始からの位置と速度との関係で示す図である。
【0034】
図3(a)に示すように、駆動速度制御部12は、フォーカスレンズユニット13が移動開始位置から目標位置に到達するまでの間において、フォーカスレンズユニット13の駆動を開始する際には、フォーカスレンズユニット13の速度を所定の時間T1の間に略一定の速度変化率で速度Vまで上昇させる一方、フォーカスレンズユニット13の駆動を停止する際には、速度Vで駆動している状態から所定の時間T2の間に略一定の速度変化率で速度0まで減少させて目標位置に到達させるように、フォーカスレンズユニット13の移動速度を制御する。
【0035】
ここで、図3(b)の矢印A,Bに示すように、フォーカスレンズユニット13の駆動開始直後及び駆動停止直前で、速度変化率を小さくすると、フォーカスレンズユニット13の移動による衝撃を和らげることができるが、フォーカスレンズユニット13を移動開始位置から目標位置に移動させるのに時間がかかる。このように、フォーカスレンズユニット13の移動に時間がかかると、フォーカスレンズユニット13による合焦動作が完了して始めて撮影が実行可能に構成される撮像装置においては、シャッタースタートボタンにより撮影指示がなされても、その指示タイミングで撮影動作が行われず、遅延して撮影動作が行われる場合が生じる虞があり、カメラ1の操作感の低下を招く。
【0036】
一方、図3(c)に示すように、時間T1,T2の時間を短くして、フォーカスレンズユニット13の速度を急激に変化させると、フォーカスレンズユニット13の駆動時間は短縮化されるが、フォーカスレンズユニット13の駆動開始時や駆動停止時に、この大きな速度変化に起因して衝撃音などの異音が発生したり、矢印Cに示すように、フォーカスレンズユニット13を停止させる際、フォーカスレンズユニット13に作用する慣性力によって該フォーカスレンズユニット13が目標位置を超え、その停止位置に誤差が発生する虞がある。
【0037】
このため、時間T1,T2は、このような不具合が発生しない時間に設定され、この条件を満たすように速度の制御を行う必要がある。
【0038】
図1に戻り、本体側制御部6は、フォーカスレンズユニット13の駆動量、駆動方向及び駆動速度を撮影レンズ3の後述するレンズ側制御部15に指示するための情報を該レンズ側制御部15に送出する。
【0039】
撮影レンズ3は、フォーカスレンズユニット13を含む撮影レンズと、フォーカスレンズユニット13を光軸L方向に駆動するAFアクチュエータ14と、AFアクチュエータ14の動作を制御することによりフォーカスレンズユニット13の駆動を制御するレンズ側制御部15とを有する。
【0040】
図2に示すように、AFアクチュエータ14は、超音波モータ16と、温度検出部17、速度検出部18、モータ制御回路19及び電力増幅器20とを備える。
【0041】
超音波モータ16は、構造の詳細な説明は行わないが、2相の交流信号V1,V2が印加されることにより変位する電気機械エネルギー変換素子16aを備え、この電気機械エネルギー変換素子16aの変位を利用してフォーカスレンズユニット13を光軸L方向に駆動するように構成されたものである。
【0042】
超音波モータ16には、図4に示すように、2相の駆動信号V1,V2が印加される。駆動信号V1,V2の各最大電圧値は、後述する電力増幅器20に備えられる直流電源Vp等の特性により決定するもので一定値であるから、超音波モータ16の駆動速度は、駆動信号V1,V2の駆動周波数で決定する。また、駆動信号V1,V2のうち、オンしている時間T3,T4は、電力増幅器20に備えられる素子(後述のコイルL1,L2)等の特性により決定するものであり一定値である。
【0043】
したがって、レンズ側制御部15及びAFアクチュエータ14は、駆動信号V1,V2がオフしている時間T5,T6を変更することで、駆動信号V1,V2のデューティを制御し、超音波モータ16の駆動速度を制御する。さらに、レンズ側制御部15及びAFアクチュエータ14は、後述するように、電力増幅器20に駆動信号V1,V2を生成させるための源信号である2相の信号φ1,φ2の周波数(または周期)を制御することで、駆動信号V1,V2がオフしている時間を変更し、超音波モータ16の駆動速度を制御する。
【0044】
本実施形態のカメラ1においては、電力増幅器20に送出する上記の信号φ1,φ2の周波数(または周期)を、発振器28から出力される発振信号CLK1の発振周波数の分解能で制御できるようにしているところに特徴を有している。
【0045】
図2に戻り、温度検出部17は、超音波モータ16の温度を検出するものであり、例えばサーミスタ等で構成された温度センサを有する。
【0046】
速度検出部18は、詳細には図示しないが、フォーカスレンズユニット13の駆動可能領域内にレンズ位置を示す複数種類のエンコーダパターンを有するエンコード板と、該エンコード板に接触しながらフォーカスレンズユニット13と一体的に移動するエンコーダブラシとを備えたレンズ位置検出機構を備え、エンコーダパターンに応じて出力される信号を用いて、フォーカスレンズの位置及び速度を算出し、この速度に基づいて超音波モータ16の速度を算出する。
【0047】
なお、上記レンズ位置検出機構の代替として周知の磁気抵抗素子を用いて構成された磁気抵抗センサ等を用いてもよい。
【0048】
ここで、説明の都合上、レンズ側制御部15の説明を行う。
【0049】
レンズ側制御部15は、機能的に、温度処理部21、速度処理部22、交信データ処理部23、駆動制御部24、方向指示部25、周波数算出部26及び周波数データ生成部27を備える。
【0050】
温度処理部21は、温度検出部17から出力されたアナログの信号をA/D変換するものである。速度処理部22は、速度検出部18から出力されたアナログの信号をA/D変換するものである。
【0051】
交信データ処理部23は、フォーカスレンズユニット13の駆動量、駆動方向及び駆動速度についての情報をカメラ本体2の本体側制御部6から受信するものである。
【0052】
駆動制御部24は、速度検出部18からの検出信号と、目標値としてカメラ本体2から交信データ処理部23を介して送信された駆動量情報及び駆動速度情報とに基づいて、超音波モータ16の駆動を開始または停止させるべく、モータ駆動回路19における後述の分周器31の出力を制御する信号(以下、駆動指示信号DRIVEという)を生成し、該駆動指示信号DRIVEを分周器31に出力するものである。
【0053】
方向指示部25は、本体側制御部6から指示された超音波モータ16の駆動方向となるように、該駆動方向を決定する、分周器31の出力信号φ1,φ2の位相差を指示するための信号(以下、方向指示信号DIRという)を生成し、この方向指示信号DIRを分周器31に出力するものである。
【0054】
周波数算出部26及び周波数データ生成部27は、超音波モータ16の駆動速度(速度処理部22からの速度情報)が、本体側制御部6から指示された超音波モータ16の駆動速度となるように超音波モータ16の駆動周波数を制御するものである。
【0055】
図5は、超音波モータ16の駆動速度Vと駆動周波数fとの関係を示すものであり、周波数算出部26は、この関係を例えばテーブル形式で記憶している。
【0056】
図5から判るように、超音波モータ16の駆動速度Vと駆動周波数fとは、超音波モータ16の駆動周波数fの増加に対して駆動速度Vが指数関数的に減少する関係を有している。また、曲線▲1▼,▲2▼,▲3▼に示すように、超音波モータ16の温度TがT1→T2→T3(T1<T2<T3)と上昇するほど、駆動速度Vと駆動周波数fとの関係を示す曲線は全体的に右側にシフト(▲1▼→▲2▼→▲3▼)し、同じ駆動速度V1を得る場合であっても、必要な駆動周波数は、fa→fb→fc(fa<fb<fc)と大きくなっていく。
【0057】
このように、超音波モータ16の温度Tに応じて駆動速度Vと駆動周波数fとの関係が変化することから、温度Tに応じた駆動速度V及び駆動周波数fの制御を行うため、温度検出部17及び温度処理部21を設け、周波数算出部26は温度処理部21から超音波モータ16の温度情報も取り込むようにしている。
【0058】
周波数算出部26は、図5において、例えば、超音波モータ16の温度TがT1、駆動速度VがV2であり、一方、カメラ本体2から超音波モータ16の駆動速度をV1(目標値)にするように要求された場合には、駆動周波数fの制御値をfdからfaに変更し、この駆動周波数faの情報を周波数データ生成部27に出力する。
【0059】
周波数データ生成部27は、駆動周波数fの目標値に対応するディジタルデータを生成するものである。
【0060】
一般に、発振器28の発振信号の周波数をf1(Hz)として、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の駆動周波数をf2(Hz)に制御する場合、駆動信号V1,V2は、発振器28が発振信号CLK1をf1/f2個出力する期間に1組のオンオフが存在すればよい。例えば、発振器28の発振信号の周波数f1を32(MHz)として、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の駆動周波数を40(kHz)に制御する場合には、駆動信号V1,V2は、発振器28が発振信号CLK1を800(=32(MHz)/40(kHz))個出力する期間に1組のオンオフが存在すればよい(図4参照)。
【0061】
周波数データ生成部27は、目標の駆動周波数f2(kHz)に対応する値として上記の周波数比f1/f2(上記の例では800)を演算し、この数値を2進数に変換したディジタルデータを生成する。周波数データ生成部27は、例えば、上記の例で言うと、周波数比800を示す「1100100000」の10ビットのデータを生成する。なお、以下の説明においては、このディジタルデータを周波数データというものとする。
【0062】
図2に戻り、レンズ側制御部15は、次に説明するAFアクチュエータ14のモータ駆動回路19と接続されており、レンズ側制御部15の上記各部で生成されたデータはモータ駆動回路19に送信される。
【0063】
モータ制御回路19は、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の駆動周波数を制御するもので、発振器28、演算部29、カウンタ部30及び分周器31を備える。
【0064】
発振器28は、水晶振動子又はセラミック振動子を用いてなり、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の駆動周波数に比して十分に高い周波数f1の発振信号CLK1を発生し、カウンタ部30に出力するものである。
【0065】
演算部29は、以下に説明するように、カウンタ部30から分周器31に出力する信号CLK2の出力タイミングを、レンズ側制御部15から送信される周波数データに基づいて算出するものである。
【0066】
図6は、演算部29の構成を示す図、図4は、演算部29、カウンタ部30、分周器31及び電力増幅器20の各出力を示す図である。
【0067】
図6に示すように、演算部29は、データラッチ部32、1/4演算部33、1/2演算部34、3/4演算部35、マルチプレクサ36及びタイミング選択部37を備える。
【0068】
後述するカウンタ部30は、発振器28から出力される発振信号CLK1をカウントするとともに、そのカウント値と所定の比較対象値とを比較して、一致したときにパルスを出力するようになっている。データラッチ部32、1/4演算部33、1/2演算部34及び3/4演算部35は、カウンタ部30のカウント値と比較される比較対象値についてのデータを生成し、このデータをカウンタ部30に提供するためのものである。
【0069】
データラッチ部32は、レンズ側制御部15における周波数データ生成部27から出力された周波数データを一時的に保持するものである。
【0070】
1/4演算部33は、データラッチ部32に保持されている周波数データを、下位側に2ビットシフトするものである。
【0071】
1/2演算部34は、データラッチ部32に保持されている周波数データを、下位側に1ビットシフトするものである。
【0072】
3/4演算部35は、1/4演算部33の演算結果と2/4演算部29の演算結果とを加算するものである。
【0073】
タイミング選択部37は、カウンタ部30の出力信号を源信号とする2進のリングカウンタで構成されており、図4に示すように、カウンタ部30から信号CLK2が出力されるたびに、「00」→「01」→「10」→「11」→「00」→「01」…とカウントするものである。
【0074】
マルチプレクサ36は、タイミング選択部37のカウント値「00」,「01」,「10」,「11」に応じて、データラッチ部32、1/4演算部33、1/2演算部34及び3/4演算部35の出力を択一的に選択し、この選択した出力をカウンタ部30に出力するものである。
【0075】
カウンタ部30は、発振器28から出力される発振信号をカウントするとともに、タイミング選択部37のカウント値がカウントアップする度に、マルチプレクサ36から出力されるデータをプリセットし、上述したように、上記発振信号のカウント値がマルチプレクサ36からの出力と一致すると、パルスを出力するものである。
【0076】
以上の構成により、カウンタ部30は、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の略1/4周期毎に分周器31へパルスを出力する。
【0077】
分周器31は、カウンタ部30の出力信号CLK2を、駆動制御部24及び方向指示部25からの信号に基づいて、略1/4周期の位相差を有する分周信号φ1,φ2に分周するものである。なお、分周比が1/4の分周器1063を利用しているのは、2相の信号φ1,φ2を生成する上で、駆動装置100の構成の複雑化を回避することができるからである。
【0078】
図7は、分周器31の回路構成の一例を示す図である。
【0079】
図7に示すように、分周器31は、第1,第2EX−OR回路38,39と、第1〜第4D−FF(Delay Flip Flop)40〜43と、第1〜第5NOT回路44〜48と、第1〜第4NOR回路49〜52とを備える。
【0080】
第1〜第4D−FF40〜43は、各クロック入力端子がカウンタ部30の出力端子に接続されている。第1NOT回路44は、入力端子がレンズ側制御部15における駆動制御部24の出力端子に接続されている一方、出力端子が第1〜第4D−FFの各CLRN端子に接続されている。
【0081】
第1EX−OR回路38は、一方の入力端子がレンズ側制御部15における方向指示部25の出力端子に接続され、他方の入力端子が第4D−FF43のD端子に接続されており、出力端子が第1D−FF40のD端子に接続されている。第2EX−OR回路39は、一方の入力端子がレンズ側制御部15における方向指示部25の出力端子に接続され、他方の入力端子が第2NOT回路45の出力端子に接続されており、出力端子が第3D−FF42のD端子に接続されている。
【0082】
第1D−FF40のQ端子は第2NOT回路45の入力端子に、第2D−FF41のQ端子は第3NOT回路46の入力端子に、第3D−FF43のQ端子は第4NOT回路47の入力端子に、第4D−FF44のQ端子は第5NOT回路48の入力端子にそれぞれ接続されている。また、第1D−FF40のQ端子は第2D−FF41のD端子に、第3D−FF46のQ端子は第4D−FF43のD端子にそれぞれ接続されている。
【0083】
第1NOR回路49は、一方の入力端子が第2NOT回路45の出力端子に接続され、他方の入力端子が第3NOT回路46の出力端子に接続されている。第2NOR回路50は、一方の入力端子が第4NOT回路47の出力端子に接続され、他方の入力端子が第5NOT回路48の出力端子に接続されている。
【0084】
第3NOR回路51は、一方の入力端子が第1NOR回路49の出力端子に接続され、他方の入力端子が第2D−FF41のQ端子に接続されている。第4NOR回路52は、一方の入力端子が第2NOR回路50の出力端子に接続され、他方の入力端子が第3D−FF42のQ端子に接続されている。第3,第4NOR回路51,52の各出力端子は、電力増幅器20の入力端子にそれぞれ接続されており、分周信号φ1,φ2を電力増幅器20に出力する。
【0085】
以上の構成を備える分周器31は次のように動作する。
【0086】
図8は、分周器31の入力信号と出力信号を示すタイムチャートである。
【0087】
図8に示すように、時刻t=t1で、超音波モータ16を駆動すべく、駆動制御部24の駆動制御信号DRIVEがローになると、分周器31は、カウンタ部30からの信号CLK2(周期T7)を1/4に分周した信号φ1,φ2(周期T8=4×T7)を出力する。信号φ2は、信号φ1に対し、T8×(1/4)だけ遅相である。
【0088】
また、超音波モータ16の駆動方向を逆方向にすべく、方向指示部25の方向指示信号DIRがハイになる(時刻t=t2)と、その直後の信号φ1のハイ時間が短くなる(時間T9)一方、信号φ2のロー時間が長くなる(時間T10)。これにより、信号φ1と信号φ2との位相差が変化し、信号φ2は、信号φ1に対し、T2×(1/4)だけ進相となる。その結果、超音波モータ16の駆動方向が逆方向に変換される。
【0089】
電力増幅器20は、分周器31からの信号φ1,φ2に基づいて、直流電源Vp(図9参照)から供給される電力を増幅した駆動信号V1,V2を生成し、該駆動信号V1,V2を超音波モータ16に印加するものである。
【0090】
図9は、電力増幅器20の回路構成の一例を示す回路図である。
【0091】
電力増幅器20は、直流電源Vpと超音波モータ16の電極16b,16cの間に接続されたコイルL1,L2と、コイルL1,L2に対して超音波モータ16と並列に接続されたスイッチング素子Q1,Q2とを有する。スイッチング素子Q1,Q2は、本実施形態ではNチャネルのMOSFETで構成されている。
【0092】
スイッチング素子Q1は、ゲート端子が分周器31(具体的には第3NOR回路51)の出力端子に、ドレイン端子がコイルL1と超音波モータ16の電極16bとの接続点Aに、各ソース端子がグランドに接続されている。スイッチング素子Q2は、ゲート端子が分周器31(具体的には第4NOR回路52)の出力端子に、ドレイン端子がコイルL2と超音波モータ16の電極16cとの接続点Bに、ソース端子がグランドに接続されている。
【0093】
スイッチング素子Q1,Q2は、分周器31からの信号φ1,φ2がハイレベルのときにオンとなり、スイッチング素子Q1,Q2に電流が流れる。したがって、超音波モータ16に印加される駆動信号V1,V2の電圧値は、分周器31からの信号φ1,φ2がハイレベルのとき(スイッチング素子Q1,Q2に電流が流れるとき)には略0となり、分周器31からの信号φ1,φ2がローレベルのときに、コイルL1,L2の電磁誘導作用により山形の形状に変化する。
【0094】
なお、図4においては、分周器31の出力φ1,φ2がローからハイに切り換わる前に、コイルL1,L2に蓄積されたエネルギーが全て放出され、駆動信号V1,V2の電圧値が0となっている。
【0095】
上述したように、超音波モータ16に駆動する駆動信号V1,V2の位相差に応じて超音波モータ16の回転方向が決定する。すなわち、図4に示すように、例えば駆動信号V1が駆動信号V2より進相である場合には正回転し、駆動信号V1が駆動信号V2より遅相である場合には逆方向に回転する。
【0096】
以上の構成を有する撮像装置1において、発振器28の発振信号の周波数f1を32(MHz)として、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の駆動周波数を40(kHz)に制御する場合の、発振器28、演算部29、カウンタ部30、分周器31及び電力増幅器20の動作について説明する。なお、32(MHz)及び40(kHz)の値は、図2に示す周波数データ生成部27の説明の際に、発振信号の周波数f1及び駆動信号V1,V2の駆動周波数f2の一例として挙げた値である。
【0097】
まず、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の駆動周波数を40(kHz)に制御する場合、上述したように、周波数データ生成部27は、800を2進数に変換した「1100100000」の10ビットのデータを生成する。
【0098】
データラッチ部32は、この「1100100000」のデータを周波数データ生成部27から取り込んで保持する。これにより、カウンタ部30のカウント値と比較される比較対象値の一つとして800に対応する値が設定される。
【0099】
1/4演算部33は、データラッチ部32に保持されている「1100100000」のデータを2ビット下位側にシフトした「0011001000」のデータを生成する。このデータは、上記の値800の1/4である200を示すデータであり、カウンタ部30のカウント値と比較される比較対象値の一つとして200に対応する値が設定される。
【0100】
1/2演算部34は、データラッチ部32に保持されている「1100100000」のデータを1ビット下位側にシフトした「0110010000」のデータを生成する。このデータは、上記の値800の1/2である400を示すデータであり、カウンタ部30のカウント値と比較される比較対象値の一つとして400に対応する値が設定される。
【0101】
3/4演算部35は、1/4演算部33の演算結果である「0011001000」と、2/4演算部29の演算結果である「0110010000」とを加算した「1001011000」のデータを生成する。このデータは、上記の値800の3/4である600を示すデータであり、カウンタ部30のカウント値と比較される比較対象値の一つとして600に対応する値が設定される。
【0102】
タイミング選択部37のカウント値が「00」となる(時刻t=t3)と、1/4演算部33の出力「0011001000」(上記の値200に対応するデータ)がマルチプレクサ36から出力され、発振信号CLK1のカウント値が200個に達すると、カウンタ部30からパルスが出力されるとともに、タイミング選択部37のカウント値が「01」となる(時刻t=t4)。
【0103】
タイミング選択部37のカウント値が「01」となる(時刻t=t4)と、1/2演算部34の出力「0110010000」(上記「400」に対応するデータ)がマルチプレクサ36から出力され、発振信号CLK1のカウント値が400個に達すると、カウンタ部30からパルスが出力されるとともに、タイミング選択部37のカウント値が「10」となる(時刻t=t5)。
【0104】
タイミング選択部37のカウント値が「10」となる(時刻t=t5)と、3/4演算部35の出力「1001011000」(上記「600」に対応するデータ)がマルチプレクサ36から出力され、発振信号CLK1のカウント値が600個に達すると、カウンタ部30からパルスが出力されるとともに、タイミング選択部37のカウント値が「11」となる(時刻t=t6)。
【0105】
タイミング選択部37のカウント値が「11」となる(時刻t=t6)と、データラッチ部32の出力「1100100000」(上記「800」に対応するデータ)がマルチプレクサ36から出力され、発振信号CLK1のカウント値が800個に達すると、カウンタ部30からパルスが出力されるとともに、タイミング選択部37のカウント値が「00」となる(時刻t=t7)。
【0106】
以下、カウンタ部30によるカウント値が「800」に達するとリセットされ、上記の動作が繰り返し行われる。
【0107】
このように、本実施形態においては、駆動周波数f2の目標値に対応する周波数データを「1」単位で変更することができ(例えば800を801に変更することができ)、これは、駆動信号V1,V2の周期を、発振信号CLK1の周期を単位として変更できることを意味している。
【0108】
したがって、例えば、上記の例のように、発振信号の周波数f1を32(MHz)とし、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の駆動周波数f2を40(kHz)に制御する場合、
Δf=1/4T−1/(4T+ΔT)
から、Δf≒50Hzとなり、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の駆動周波数f2を約2kHzの範囲で制御するものとすると、40(=2kHz/50Hz)段階で超音波モータの駆動速度を制御することができる。
【0109】
これらのことから、本実施形態においては、超音波モータ16に印加する駆動信号V1,V2の駆動周波数f2を、発振信号CLK1の周波数の分解能で制御することができる。
【0110】
なお、周波数データが4の倍数でない場合(例えば上記の「801」等の場合)、1/4演算部33、1/2演算部34及び3/4演算部35により算出される値が整数解とならないため、1/4演算部33、1/2演算部34及び3/4演算部35の出力により決定されるカウンタ部30のパルスの出力タイミングについては誤差が生じることとなる。
【0111】
しかし、データラッチ部32の出力により決定されるカウンタ部30のパルスの出力タイミングについては、「4」で除算することはなく上記のような誤差は発生しないから、駆動信号V1,V2の周期は一定である。また、上記出力タイミングの誤差によって駆動信号V1,V2の位相差は変化するものの、その変化は、最大で3つ分の発振信号に対応するもので、発振信号は極めて周期が短いものであるから、この位相差の変化は微小なものであり、超音波モータの駆動特性に影響を与えるものではないとみなすことができる。
【0112】
本発明は、上記実施形態に限られず、以下の変形形態(1)〜(3)が採用可能である。
【0113】
(1)上記実施形態では、分周器31の2相の信号φ1,φ2を生成するにあたり、回路構成を簡素化できるという点で、4分の1に分周する図7に示す分周器31を採用したが、これに限られず、異なる分周比で分周する分周器を採用してもよい。
【0114】
(2)上記実施形態では、図5に示すように、超音波モータ16に印加する駆動信号の駆動速度を駆動周波数で制御するに際し、超音波モータ16の温度を考慮して制御するようにしたが、駆動負荷を考慮して、駆動信号の駆動速度を駆動周波数で制御するようにしてもよい。
【0115】
例えば、カメラ1の向きに応じてフォーカスレンズユニット13の駆動方向と順方向にフォーカスレンズユニット13に重力が作用しているか、駆動方向と逆方向に重力が作用しているかで、駆動負荷が変化する。
【0116】
そして、図10の曲線▲1▼,▲2▼,▲3▼に示すように、駆動負荷がL3→L2→L1と大きくなるにしたがって、同じ駆動周波数であっても得られる駆動速度が小さくなる。したがって、所望の駆動速度が得られるように、駆動負荷に応じて駆動周波数を調整するとよい。
【0117】
(3)上記実施形態では、駆動装置100の構成の複雑化を回避するために分周比が1/4で出力信号φ1,φ2の位相差が4分の1周期となる分周器1063を利用し、これに伴って、1/4演算部33、1/2演算部34及び3/4演算部35を採用したが、これに限らず、一般的に、信号φ1,φ2の位相差をN分の1周期とする場合には、周波数データ生成部27からデータラッチ部32を介して取り込んだ周波数データの1/Nの値(Nは整数)に1乃至(N−1)の整数をそれぞれ乗算するk/N演算部(N,kは整数、k=1,2,…,N−1)を備え、この演算部の各演算結果をマルチプレクサ36に出力するとともに、分周比が1/Nの分周器を利用すればよい。
【0118】
なお、上述した本発明の実施形態には、特許請求の範囲に記載した発明以外にも、以下の付記に示す発明を含む。
【0119】
[付記] 焦点調節を行うためのフォーカスレンズと、前記フォーカスレンズを所定の方向に駆動するための特許請求の範囲請求項3に記載のアクチュエータとを備えるレンズユニット。
【0120】
この発明によれば、焦点調節を行うためのフォーカスレンズと、前記フォーカスレンズを所定の方向に駆動するための特許請求の範囲請求項3に記載のアクチュエータとを備えるレンズユニットを構成したので、超音波モータに印加する駆動信号の駆動周波数を発振信号の分解能で制御することのできるレンズユニットが得られる。
【0121】
【発明の効果】
請求項1,5に記載の発明によれば、電気機械エネルギー変換素子に印加する駆動信号に比して高い周波数の源発振信号を出力し、前記源発振信号の数をカウントし、そのカウント値が前記駆動周波数の目標値に対応する第1の比較対象値に達するとリセットし、第1の比較対象値の1/Nの値(Nは整数)に1乃至(N−1)の整数をそれぞれ乗算することにより得られる値をそれぞれ第2乃至第Nの比較対象値として算出し、カウント手段のカウント値と前記第1乃至第Nの比較対象値とを比較し、カウント手段のカウント値がいずれか1の比較対象値と一致するたびに、その旨を示す一致信号を出力し、その一致信号を所定の分周比で分周し、分周手段から出力される信号に基づいて前記駆動信号を生成し、この駆動信号を前記電気機械エネルギー変換素子に印加するようにしたので、超音波モータに印加する駆動信号の駆動周波数を発振信号の分解能で制御することができる。
【0122】
請求項2に記載の発明によれば、演算手段を、第1の比較対象値の4分の1である第2の比較対象値と、第1の比較対象値の2分の1である第3の比較対象値と、第1の比較対象値の4分の3である第4の比較対象値を演算する構成としたので、駆動装置の構成が複雑化するのを回避することができる。
【0123】
請求項3に記載の発明によれば、駆動信号の印加により変位する電気機械エネルギー変換素子を有する超音波モータと、前記電気機械エネルギー変換素子の駆動速度を制御する請求項1または2に記載の駆動装置とを備えるアクチュエータを構成したので、超音波モータに印加する駆動信号の駆動周波数を発振信号の分解能で制御することのできるアクチュエータが得られる。
【0124】
請求項4に記載の発明によれば、被写体の光像を撮影する撮影手段と、請求項3に記載のアクチュエータにより駆動されるフォーカスレンズを含み、前記撮影手段に前記被写体の光像を導く光学系と、前記フォーカスレンズを光軸方向に駆動するための請求項3に記載のアクチュエータと、前記フォーカスレンズ及びアクチュエータによる合焦動作を指示するための第1の操作手段と、被写体の光像の撮影を指示するための第2の操作手段と、前記第1,第2の操作手段が操作されると、前記アクチュエータにフォーカスレンズの駆動を指示して焦点調節を行わせた後、前記撮影手段に被写体の光像を撮影させる撮影制御手段とを備える撮影装置を構成したので、超音波モータに印加する駆動信号の駆動周波数を発振信号の分解能で制御することのできる撮影装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カメラの概略構成を示す図である。
【図2】超音波モータの駆動に関わる部分のカメラの制御ブロック図である。
【図3】フォーカスレンズの速度制御を示す図である。
【図4】演算部、カウンタ部、分周器及び電力増幅器の各出力を示す図である。
【図5】超音波モータの駆動速度と駆動周波数との関係を示すものである。
【図6】演算部の構成を示す図である。
【図7】分周器の回路構成の一例を示す図である。
【図8】分周器の入力信号と出力信号を示すタイムチャートである。
【図9】電力増幅器の回路構成の一例を示す回路図である。
【図10】駆動負荷に応じた駆動速度と駆動周波数との関係を示す図である。
【図11】従来の超音波モータの駆動装置の構成を示す図である。
【図12】従来の超音波モータの駆動装置における各部の出力を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
3 レンズユニット
6 本体側制御部
14 AFアクチュエータ
15 レンズ側制御部
16 超音波モータ
17 温度検出部
18 速度検出部
19 モータ制御回路
20 電力増幅器
26 周波数算出部
27 周波数データ生成部
28 発振器
29 演算部
30 カウンタ部
31 分周器
32 データラッチ部
33 1/4演算部
34 1/2演算部
35 3/4演算部
36 マルチプレクサ
37 タイミング選択部
Claims (5)
- 駆動信号の印加により変位する電気機械エネルギー変換素子の駆動速度を、前記駆動信号の駆動周波数を制御パラメータとしてフィードバック制御する超音波モータの駆動装置であって、
前記電気機械エネルギー変換素子に印加する駆動信号に比して高い周波数の源発振信号を出力する発振手段と、
前記源発振信号の数をカウントし、そのカウント値が前記駆動周波数の目標値に対応する第1の比較対象値に達するとリセットするカウント手段と、
前記第1の比較対象値の1/Nの値(Nは整数)に1乃至(N−1)の整数をそれぞれ乗算することにより得られる値をそれぞれ第2乃至第Nの比較対象値として算出する演算手段と、
前記カウント手段のカウント値と前記第1乃至第Nの比較対象値とを比較し、前記カウント手段のカウント値がいずれか1の比較対象値と一致するたびに、その旨を示す一致信号を出力する一致信号出力手段と、
前記一致信号を所定の分周比で分周する分周手段と、
前記分周手段から出力される信号に基づいて前記駆動信号を生成し、この駆動信号を前記電気機械エネルギー変換素子に印加する駆動信号生成手段と
を備えることを特徴とする超音波モータの駆動装置。 - 前記演算手段は、前記第1の比較対象値の1/4の値を第2の比較対象値として、前記第1の比較対象値の1/2の値を第3の比較対象値として、前記第1の比較対象値の3/4の値を第4の比較対象値としてそれぞれ演算することを特徴とする請求項1記載の超音波モータの駆動装置。
- 駆動信号の印加により変位する電気機械エネルギー変換素子を有する超音波モータと、前記電気機械エネルギー変換素子の駆動速度を制御する請求項1または2に記載の駆動装置とを備えるアクチュエータ。
- 被写体の光像を撮影する撮影手段と、請求項3に記載のアクチュエータにより駆動されるフォーカスレンズを含み、前記撮影手段に前記被写体の光像を導く光学系と、前記フォーカスレンズを光軸方向に駆動するための請求項3に記載のアクチュエータと、前記フォーカスレンズ及びアクチュエータによる合焦動作を指示するための第1の操作手段と、被写体の光像の撮影を指示するための第2の操作手段と、前記第1,第2の操作手段が操作されると、前記アクチュエータにフォーカスレンズの駆動を指示して焦点調節を行わせた後、前記撮影手段に被写体の光像を撮影させる撮影制御手段とを備える撮影装置。
- 駆動信号の印加により変位する電気機械エネルギー変換素子の駆動速度を、前記駆動信号の駆動周波数を制御パラメータとしてフィードバック制御する超音波モータの駆動方法であって、
前記電気機械エネルギー変換素子に印加する駆動信号に比して高い周波数の源発振信号を出力し、
前記源発振信号の数をカウントし、そのカウント値が前記駆動周波数の目標値に対応する第1の比較対象値に達するとリセットし、
前記第1の比較対象値の1/Nの値(Nは整数)に1乃至(N−1)の整数をそれぞれ乗算することにより得られる値をそれぞれ第2乃至第Nの比較対象値として算出し、
前記カウント手段のカウント値と前記第1乃至第Nの比較対象値とを比較し、前記カウント手段のカウント値がいずれか1の比較対象値と一致するたびに、その旨を示す一致信号を出力し、
前記一致信号を所定の分周比で分周し、
前記分周手段から出力される信号に基づいて前記駆動信号を生成し、この駆動信号を前記電気機械エネルギー変換素子に印加することを備えることを特徴とする超音波モータの駆動方法。
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