JP2004260391A - 畳み込み符号の最尤復号器および最尤復号方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】復号性能を保ちながら復号処理の高速化を図ることが可能な畳み込み符号の最尤復号器および最尤復号方法を提供する。
【解決手段】ビタビ復号器において、パスメモリ30は、各状態において選択した枝から生き残りパスに対応する情報を保存する。パスメモリ比較部71は、受信信号に対する誤りの量に関連する情報、たとえば、パスの過去の時点における合流の有無に応じて、トレースバックサイズを調節する。トレースバック部33は、パスメモリ比較部71により調節されたトレースバックサイズに基づき、最適状態の生き残りパスに対応する情報をパスメモリ中でトレースバックして復号系列を出力する。
【選択図】 図7
【解決手段】ビタビ復号器において、パスメモリ30は、各状態において選択した枝から生き残りパスに対応する情報を保存する。パスメモリ比較部71は、受信信号に対する誤りの量に関連する情報、たとえば、パスの過去の時点における合流の有無に応じて、トレースバックサイズを調節する。トレースバック部33は、パスメモリ比較部71により調節されたトレースバックサイズに基づき、最適状態の生き残りパスに対応する情報をパスメモリ中でトレースバックして復号系列を出力する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、畳み込み符号の最尤復号を実行するための最尤復号器および最尤復号方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放送や通信の分野では、デジタルデータを伝送する場合、伝送路のノイズ等により受信データに誤りが発生する。通常、この誤りを訂正する為に、データ伝送に際して、データに誤り訂正符号を付加するのが一般的である。
【0003】
誤り訂正符号は、「ブロック符号」と「畳み込み符号」の2種類に大きく分けられる。一定の長さの系列に符号化されるものがブロック符号であり、逐次的に符号化が行なわれ、理論的には無限の長さの系列に符号化されうるものが畳み込み符号である。
【0004】
ブロック符号は代数学の理論体系に基づいているために、符号の構成法や復号法が理論体系として厳密に定義できるという特長を持つ。このため、符号器や復号器が比較的簡単に構成できる。その反面、いわゆる「限界距離復号」に基づくため、訂正能力が限られるという欠点を持つ。
【0005】
上記ブロック符号の欠点である誤り訂正率の向上という面に対しては、劣悪な通信路環境が想定される無線通信等の分野では、以下のような特徴をもつ畳み込み符号が使用される。
【0006】
すなわち、第1に、畳み込み符号は、限界距離復号に比べて、より可能性の高い情報系列を推定する最尤復号に基づく復号が簡単に実現できる。
【0007】
第2に、畳み込み符号は、復号特性を大幅に改善する軟判定復号への対応が容易にできる。
【0008】
第3には、畳み込み符号は、通信路の状態に応じて伝送効率を変える可変符号化率にしても、パンクチャにて可変符号化率を実現すれば同じ復号器で実現できる。
【0009】
以下では、まず、畳み込み符号の符号化処理について説明する。
固定長データブロックに対して、他ブロックとは独立的に符号化されるブロック符号と異なり、畳み込み符号は、過去の数ビットの入力データと、現在のビットの相関を基に、一定の規則に従って逐次的に符号化されることを特徴としている。
【0010】
図15は、畳み込み符号化器の構成を説明するためのブロック図である。
畳み込み符号化器は、データ(情報系列)が入力される入力端子11と、入力端子11からの入力情報系列を受けて、順次1単位時間ずつ遅延させるための直列に接続された遅延素子12および13と、入力端子11からの信号と遅延素子13の出力との排他的論理和演算結果を出力端子16に与える排他的論理和回路14と、入力端子11からの信号と遅延素子12からの出力と遅延素子13の出力と3つの信号の排他的論理和演算結果を出力端子17に与える排他的論理和回路14とを備える。ここで、出力端子16および17から符号化されたデータが出力される。
【0011】
図15の例の畳み込み符号化器は、拘束長K=3、符号化率1/2の符号を生成する一例である。入力(情報系列)と、出力(畳み込み符号系列)との関係からは、いわゆる「トレリス線図」を一意的に求めることができる。
【0012】
図16は、このようなトレリス線図を示す概念図である。なお、トレリス線図において、時点tの状態と時点(t+1)の状態を結ぶ線分を「枝」と呼び、一つの時点の状態を一つずつ通っていく枝の連なりを「パス」と呼ぶ。
【0013】
受信側における復号は、受信した畳み込み符号系列から、最も可能性の高い情報系列を求める最尤復号が用いられ、効率的に実現する復号法としてビタビ復号法や逐次復号法等が用いられる。
【0014】
ビタビ復号法においては、後に説明するように、復号の過程で、トレリス線図中の全ての状態における、対応する枝の計算した枝メトリックを、パスメトリックに加算していくという全状態の加算比較選択(ACS)動作が各時刻で行なわれる。
【0015】
これに対して、逐次復号法ではパスメトリックの最尤パスをとる状態の部分だけ加算比較選択(ACS)動作を行なっていくものである。ビタビ復号法では同じ長さのパスメトリックを比較するのに対して、逐次復号法では異なる長さのパスのパスメトリックを比較するという点が大きな違いである。逐次復号法は、拘束長が大きい畳み込み符号に対して最尤復号を近似する方法としてよく知られている。
【0016】
ここで、畳み込み符号の最尤復号処理は、トレリス線図において最適な経路探索のためのトレースバックを繰り返して、すなわち、各生き残りパスに対応する復号シンボル系列を格納しているパスメモリ内で、所定の深さの分だけ蓄えられたデータのトレースバックを繰り返して正しい結果を求めるという処理を行なうため、復号処理に時間が掛かるという問題点があった。
【0017】
このような問題点に対しては、パスメモリ更新時に、パスメモリから復号結果を取り出した最も古いパスに上書きし、トレースバック開始位置を、上書き開始地点とすることにより、パスメモリ更新の手間を一部省くという技術がある(たとえば、特許文献1を参照)。
【0018】
あるいは、復号の性能は落ちるが、パスメモリサイズ(トレースバックサイズ)自体を常に短くする、等の方法が提案されていた。
【0019】
【特許文献1】
特開2000−357971号公報明細書
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、トレースバック開始位置を変更する方法には、どのような状況においてもトレースバックサイズは一定(パスメモリサイズと同値)のため復号にかかる時間は一定となる。一般に、パスメモリサイズは拘束長の5〜6倍とるために、特許文献1の方法では、拘束長の大きい符号になればなるほど復号処理時間がかかるという問題点がある。
【0021】
また、パスメモリサイズ自体を常に短く制限する方法では、“打ち切り誤り”という誤りが生じるおそれがあるという問題が発生する。
【0022】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、復号性能を保ちながら復号処理の高速化を図ることが可能な畳み込み符号の最尤復号器および最尤復号方法を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器および最尤復号方法では、パスメモリにおいて一定のサイズ分だけトレースバックするのではなく、誤りの量に関連する情報に応じて、トレースバックするサイズを変更する。
【0024】
好ましくは、誤りが少ない、すなわち復号結果が早く得られていると判断できた場合には、トレースバックするサイズを短く変える。また、好ましくは、十分な尤度ではなく復号結果が得られていないと判断できた場合にはトレースバックサイズを条件に応じて長く変える。
【0025】
すなわち、本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器は、受信系列に基づいて、受信系列に基づいて、トレリス線図における各状態から次の状態への遷移に対する枝メトリックを計算する枝メトリック計算手段と、枝メトリックをパスメトリックに順次加算し新たなパスメトリックを求め、各枝を比較して枝を選択する加算比較選択演算手段と、各状態のパスメトリックを保存しておくパスメトリックメモリと、全状態の中からパスメトリックが最適な状態を選択する最適状態選択手段と、各状態において選択した枝から生き残りパスに対応する情報を保存するパスメモリと、受信信号に対する誤りの量に関連する情報に応じて、トレースバックサイズを調節するトレースバックサイズ調整手段と、最適状態の生き残りパスに対応する情報をパスメモリ中でトレースバックして復号系列を得るトレースバック手段とを備え、トレースバック手段は、トレースバックサイズ調整手段により調節されたトレースバックサイズに基づき復号系列を出力する。
【0026】
好ましくは、トレースバックサイズ可変の条件としては、合流するパスを見つけられるかという条件を用いる。パスメモリ内のパスを比較し一致するかどうか見ることによりパスが合流しているかを判断し、パスが合流している場合には既に復号結果が得られているので、合流するパスの長さ分だけ短くしたトレースバックサイズとし復号結果を出力する。
【0027】
すなわち、好ましくは、トレースバックサイズ調整手段は、パスメモリの内部のパスを比較し、合流するパスの位置を検出するパス合流位置検出手段を含み、パス合流位置検出手段は、トレースバックサイズを、トレースバック開始位置からパス合流位置までとし、トレースバック手段は、トレースバックサイズに基づき復号系列を出力する。
【0028】
好ましくは、トレースバックサイズ調整手段は、受信信号に対する誤りの量に関連する情報として誤り量の判定基準となる誤り量判定パラメータを受けるパラメータ入力手段と、誤り量判定パラメータを基に、パスメモリに対するトレースバックサイズを決定するトレースバックサイズ決定手段と、誤り量が増加したときにはトレースバックサイズ大きく、誤り量が減少したときにはトレースバックサイズを小さくなるように、誤り量判定パラメータとトレースバックサイズとを関連付けてトレースバックサイズ設定テーブルとして格納するためのテーブル格納手段とを備え、トレースバックサイズ決定手段は、誤り量判定パラメータに応じて、トレースバックサイズ設定テーブルから、トレースバックサイズを選択する。
【0029】
好ましくは、トレースバックサイズ可変の条件としては、最適状態のパスメトリックを用いる。より好ましくは、最適状態のパスメトリックが最適値に近いほど正しい語であるという尤度になっているために、最適値にどれだけ近いかどうかから誤りの量が推定できるので、トレースバックサイズは、最適値に近いほど短く、最適値から離れるほど長くとるようにする。
【0030】
すなわち、好ましくは、誤り量判定パラメータは、最適状態を選択した際のパスメトリックであり、トレースバックサイズ決定手段は、最適状態のパスメトリックを基に、トレースバックサイズを決定する。
【0031】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、変調方式/符号化率である。変調方式や符号化率により誤り率が変わってくるために、その情報から誤りの量が推定できる。変調方式や符号化率の状態を与えることにより、トレースバックサイズは、変調方式が多値でなく符号化率が低いほど短く、変調方式が多値であり符号化率が高いほど長くとるようにする。
【0032】
すなわち、好ましくは、誤り量判定パラメータは、変調方式および符号化率を示す情報であり、トレースバックサイズ決定手段は、変調方式および符号化率を基に、トレースバックサイズを決定する。
【0033】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、上位レイヤからのQoS情報である。QoS情報は伝送路の状態を表しており、誤りの量を推定できるのでその状態を与えることにより誤りの量が推定できる。QoS情報は上位レイヤから与えることができ、トレースバックサイズを、伝送路状態が悪いときには長く、伝送路状態が良いときには短くとるようにする。
【0034】
すなわち、好ましくは、誤り量判定パラメータは、QoS情報であり、トレースバックサイズ決定手段は、QoS情報を基に、トレースバックサイズを決定する。
【0035】
この発明の他の局面に従うと、畳み込み符号を最尤復号する最尤復号方法であって、受信系列に基づいて、受信系列に基づいて、トレリス線図における各状態から次の状態への遷移に対する枝メトリックを計算するステップと、枝メトリックをパスメトリックに順次加算し新たなパスメトリックを求め、各枝を比較して枝を選択するステップと、各状態のパスメトリックをパスメトリックメモリに保存するステップと、全状態の中からパスメトリックが最適な状態を選択するステップと、各状態において選択した枝から生き残りパスに対応する情報をパスメモリに保存するステップと、受信信号に対する誤りの量に関連する情報に応じて、トレースバックサイズを調節するステップと、調節されたトレースバックサイズに基づき、最適状態の生き残りパスに対応する情報をパスメモリ中でトレースバックして復号系列を得るステップとを備える。
【0036】
好ましくは、トレースバックサイズを調節するステップは、パスメモリの内部のパスを比較し、合流するパスの位置を検出するステップと、トレースバックサイズを、トレースバック開始位置からパス合流位置までとするステップとを含む。
【0037】
好ましくは、トレースバックサイズを調節するステップは、受信信号に対する誤りの量に関連する情報として誤り量の判定基準となる誤り量判定パラメータを受けるステップと、誤り量が増加したときにはトレースバックサイズ大きく、誤り量が減少したときにはトレースバックサイズを小さくなるように、誤り量判定パラメータとトレースバックサイズとが関連付けられたトレースバックサイズ設定テーブルを参照して、誤り量判定パラメータに応じて、トレースバックサイズ設定テーブルから、トレースバックサイズを選択するステップとを含む。
【0038】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、最適状態を選択した際のパスメトリックである。
【0039】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、変調方式および符号化率を示す情報である。
【0040】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、QoS情報である。
以上のようにして、受信状況に応じて、トレースバックサイズを変更することで、無駄のないトレースバックサイズでの復号が行なえるために復号の際の信号処理量を削減し、復号処理の高速化を図ることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器および復号方法の構成を、図を参照して説明する。なお、図中同一部分には、同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0042】
[実施の形態1]
(ビタビ復号法におけるトレースバック処理の一例)
まず、本発明の本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の構成について説明する前提として、ビタビ復号のアルゴリズムを実行する際のトレースバック処理のための構成の一例を説明しておく。
【0043】
図1は、ビタビ復号法に基づくビタビ復号器の構成の一例を説明するための機能ブロック図である。
【0044】
畳み込み符号化されたデータは通信路を介して受信される。この際、通信路で生じたノイズが加算されて受信されている。したがって、受信データ(受信系列21)は、一般的には、受信データの信頼度を示す軟入力データとなって復号器に入力されている。
【0045】
まず、ビタビ復号器では、枝メトリック計算部22において、各時刻において入力された軟入力の受信系列21と、図16に示したようなトレリス線図の全ての枝に対する符号系列(各枝の出力値)との距離に基づく尤度、すなわち枝メトリックを全て計算する。全ての状態にq本の枝が入ってくるとすると、状態数=Mとすると、(q×M)本分の枝メトリックが求まる。
【0046】
次に、加算比較選択演算部(ACS:Add−Compare−Select)23において、全ての状態における、対応する枝の計算した枝メトリックをパスメトリックに加算する。ここでは各状態に対し、時点(t+1)のq本ずつの枝メトリックを時点tのパスメトリックに加算するので、時点(t+1)の各状態においてq通りのパスメトリックが求まる。各状態のq通りのパスメトリックを比較し、その中から最尤な(例えば最小値を持つ)パスメトリックを1つ選び、その状態の生き残りパスとする。また、ここで選択した枝の情報は、次のパスメモリ27に保存される。
【0047】
各状態の選択されたパスメトリック、すなわち生き残りパスのパスメトリックは、正規化演算部25において正規化が行なわれ、パスメトリックメモリ26の更新が行なわれる(パスメトリックメモリに保存される)。
【0048】
ここで、パスメトリックは一般に比較するだけのものなので、常に加算をしていくと単調非減少のために増加しつづける。そこで、最小値を持つ最適状態のパスメトリックを引くことにより、一定の範囲内にパスメトリックがおさまり、これが正規化と呼ばれる操作である。なお、正規化の過程で必要となる最適状態を求める操作(最適状態選択部24による操作)も必要となり、最適状態はパスメモリにおける出力位置のためにも必要となる。
【0049】
各状態において選択された枝の情報はパスメモリ27に保存され、パスメモリサイズ分だけ蓄えられる。
【0050】
図2は、図1に示したパスメモリ27の構造を詳細に示す機能ブロック図である。
【0051】
図2を参照して、加算比較選択(ACS)演算部23より選択した枝の情報が与えられ、全ての生き残りパスが連なるようにパスメモリ更新部32によって生き残りパス保存部34の格納情報を更新していく。
【0052】
また、最適状態選択部24によって求められた最適状態を与えると、トレースバック部33が、その状態の生き残りパスの最も古い枝をパスメモリ(生き残りパス保存部)34から読み出し、復号結果(復号系列28)として出力する。すなわち、蓄えているパスメモリサイズの分だけトレースバックして出力する。なお、パスメモリ更新部32とトレースバック部33は、更新中に読み出しが出来ないために制御手段31が備わっている。
【0053】
次に、図1で説明したパスメモリ30中で、生き残りパス保存部34に格納された生き残りパス情報の例を説明しておく。
【0054】
図3は、生き残りパス保存部34に格納された生き残りパス情報を示す概念図である。
【0055】
図3に示すとおり、生き残りパス保存部34は、生き残りパスのデータをマトリクスの形で格納する。すなわち、生き残りパス保存部34は、行にトレリス線図の各状態を、列に時点(左側に古いパス、右側に新しいパス)を表すことにより、各状態の生き残りパスの情報を蓄えているものである。
【0056】
例えば、状態S0の生き残りパスの復号シンボルの系列は古い方から「011…101」となる。
【0057】
このような生き残りパス保存部34では、加算比較選択(ACS)演算により選択された枝の情報を新しい枝として右側から入れて、それぞれ各時点を新しい枝に対応する状態のところを選択し左シフトすることにより、格納される情報が更新される。生き残りパス保存部34は、このような情報がメモリのサイズ(N)分だけさかのぼり蓄えられている。各状態の中から最適な状態(例えばパスメトリックが最小値をとる状態)を求め、その状態の生き残りパスの情報を、生き残りパス保存部34のサイズ分だけトレースバックし復号結果として出力する。例えば、最適状態がS0であったならば、状態S0をパスメモリサイズ(N)の分だけトレースバックし出力するので、(N−1)の時点のところにある0(図3中で下線部で示す)が出力される。
【0058】
図4は、このようなトレースバックの処理を説明するためのフローチャートである。
【0059】
図4を参照して、最新の時点において、加算比較選択(ACS)演算部23により選択された枝の情報を新しい枝として、対応する復号シンボルの情報を生き残りパス保存部34に右側から入力し(ステップS100)、パスメモリ27内の生き残りパス保存部34中の記憶情報の更新を行なう(ステップS102)。
【0060】
続いて、トレースバック部33が、現時点で最適な生き残りパスについて、トレースバック処理を行ない当該パスについて最も古いデータを生き残りパス保存部34から取り出し(ステップS104)、最適な状態にあるパスのビットを復号シンボルとして出力する(ステップS106)。
【0061】
(本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の構成および動作)
以上の前提のもとに、以下、本発明の畳み込み符号の最尤復号器の構成および動作について説明する。
【0062】
図5は、本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の一例のビタビ復号器100の構成を説明するための概略ブロック図である。
【0063】
ただし、ビタビ復号器100の構成は、パスメモリ30の構成を除いては、基本的に、図1に示したビタビ復号器の構成と同様であるので、その構成についての説明は繰り返さない。
【0064】
図6は、ある時点において、各状態S0〜S3に対応する生き残りパスをトレリス線図上のパスとして表現した概念図である。
【0065】
図6に示すとおり、典型的な生き残りパスはある程度過去の時点で一致している。パスが現時点からみて合流する時点は、通信路の状態などによる誤りの量に依存し、早く合流する場合や合流するのに時間がかかる場合がある。そこで、合流するパスを見つけることができれば、復号処理の各時点で、必ず同じサイズまでトレースバックする必要はなく、復号結果を早く出力できる。また、変更したトレースバックサイズより深い位置のパスメモリは使用しないので更新する必要もない。
【0066】
すなわち、「受信信号に対する誤りの量に関連する情報」として、上述した「パスが合流する時点」を指針として、トレースバックサイズを更新する。
【0067】
図7は、ビタビ復号器100中のパスメモリ30の構成を説明するための機能ブロック図である。
【0068】
パスメモリ30は、図2に示したパスメモリ27の構成と比較して、パスメモリ比較部71をさらに備える。
【0069】
パスメモリ比較部71は、生き残りパス保存部34の中で古いパスを時点(N−1)から所定の範囲Rで比較することにより、一致していればパスが合流していると判断することができる。パスメモリ比較部71が、パスが合流していると判断した場合には、トレースバック部33にパスが合流している位置を送り、トレースバック部33はその情報を基にトレースバックサイズを決定し、トレースバックを行ない、復号系列を出力する。
【0070】
図8は、パスメモリ30内の生き残りパス保存部34中に蓄えられている各状態に対応した生き残りパスの情報と比較範囲Rを説明するための概念図である。
【0071】
図8に示した例では、パスメモリ比較部71は、時点(N−1)〜時点(N−2)の範囲で各状態についての生き残りパスに対応するデータを比較する。
【0072】
全ての状態に対応する生き残りパスに対応する情報が、(0,1)で一致しているので、パスメモリ比較部71は、時点(N−2)以降でパスが合流していると判断することができる。
【0073】
実際には、以下に説明するとおり、パスメモリ比較部71は、生き残りパス保存部34において、任意の時点からより新しい時点にかけての可変な範囲で、全ての状態における生き残りパスに対応する情報が一致しているかの比較を行なう。比較範囲Rは、このような可変に変化する範囲である。
【0074】
図8に示すような例のパスメモリにおいて、時点(N−1)から範囲2で比較した場合に、全ての状態において生き残りパス情報が一致しているために、一致している「01」を復号シンボル系列としてまとめて出力する。
【0075】
このとき、トレースバックサイズは、”N”から”(N−2)”となっている。一方、復号処理の途中において、トレースバックサイズがN未満のときに、範囲1で全状態のパスを比較した結果が一致しなかった場合、トレースバックサイズを1だけ増やす。このとき、復号結果の出力は行なわれない。
【0076】
図9は、以上説明したビタビ復号器100中のパスメモリ30の動作を説明するためのフローチャートである。
【0077】
図9を参照して、最新の時点において、加算比較選択(ACS)演算部23により選択された枝の情報を新しい枝として、対応する復号シンボルの情報を生き残りパス保存部34に右側から入力し(ステップS200)、パスメモリ30内の生き残りパス保存部34中の記憶情報の更新を行なう(ステップS202)。
【0078】
続いて、パスメモリ比較部71がパスの比較を行なう範囲の調整を行ない(ステップS204)、調整された範囲Rの中で、パスメモリ比較部71が全てのパスに対して、の生き残りパス保存部34中に蓄えられている各状態に対応した生き残りパスの情報の比較を行なう(ステップS206)。
【0079】
パスメモリ比較部71での比較の結果、全てのパスについて生き残りパスの情報が一致する場合(ステップS208)、トレースバック部33は、比較範囲Rに応じてトレースバックサイズを短く修正する(ステップS210)。さらに、トレースバック部33が、現時点のトレースバックによる最も古い時点から比較範囲Rに相当する長さの生き残りパスに対応する情報を復号シンボル系列として出力する(ステップS212)。
【0080】
一方、ステップS208において、全てのパスについて生き残りパスの情報が一致するわけではない場合(ステップS208)、続いて、トレースバック部33は、現時点のトレースバックサイズが予め定められるパスメモリのメモリ容量に対応する最大サイズであるかを判断する(ステップS214)。
【0081】
トレースバックサイズが最大である場合、最適な状態に対応する復号シンボル系列を出力する(ステップS212)。
【0082】
一方、ステップS214において、トレースバックサイズが最大値でない場合は、トレースバックのサイズを1つ増やす(ステップS216)。
【0083】
ステップS212またはステップS216の後には、次の時点について、再び、加算比較選択(ACS)演算部23が枝の選択を行なう。
【0084】
以上のような本発明の本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の構成または復号方法の構成においては、合流するパスの有無を基に誤り量を推定し、誤り量が少ない場合は、トレースバックサイズを短くし、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くする、との処理が行なわれることになる。
【0085】
このため、誤り量が少ない場合は、不必要なトレースバック処理を削減できる為、畳み込み符号の最尤復号における復号処理時間を短くできる。また、逆に、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くすることで、復号結果の尤度を高めることができ、打ち切り誤りの発生も防止できる。
【0086】
このような特徴は、拘束長が大きな符号になるほどパスメモリサイズは大きくなるので、得られる効果は大きくなる。
【0087】
なお、誤り量が少ない場合は、不必要なトレースバック処理やパスメモリ更新処理が減少する為、「消費電力の低減」という効果も得ることができる。
【0088】
また、畳み込み符号の終結処理は一般にS0状態に戻るようにテールビット処理を行ない、これはS0状態の生き残りパスのみで比較することと等価である。そこでS0状態のパスをまとめて出力することができ、同様にサイズを短くすることを利用できる。
【0089】
[実施の形態2]
実施の形態1のビタビ復号器100においては、生き残りパス保存部34において、現時点の各状態に対応するパスにおいて、現時点以前において全てのパスが合流するか否かを判定して、パスメモリ30に格納されている復号シンボル系列のいずれの位置から出力を行なうかを決定した。
【0090】
実施の形態2においては、このようなパスの合流を見つけるかわりに、誤りの量に関する情報を与えることにより、パスメモリの出力位置を与える。
【0091】
図10は、このような実施の形態2のパスメモリ30´の構成を説明するための機能ブロック図である。
【0092】
なお、実施の形態2のパスメモリ30´が使用されるビタビ復号器の構成も基本的に、実施の形態1のビタビ復号器100の構成と同様であるものとする。
【0093】
図10を参照して、パスメモリ30´において、誤りの量に関する情報は、パスメモリ30´の外部から与えられ、トレースバックサイズ決定部81に入力される。トレースバックサイズ決定部81は、入力された誤りの量の情報に基づきトレースバックサイズテーブル82を参照しトレースバックサイズを得る。
【0094】
トレースバックサイズテーブル82は、誤りの量の情報とトレースバックするサイズが1対1に対応するテーブルである。このような誤り量の情報とトレースバックサイズの関係は、特に限定されないが、たとえば、予めトレースバックサイズテーブル82中に格納しておくことが可能である。
【0095】
トレースバックサイズテーブル82を参照し得られたトレースバックサイズはトレースバック部33に送られ、トレースバック部33は与えられた値に基づきトレースバックを行ない、復号系列を出力できる場合は得られている復号系列を出力する。
【0096】
図11は、このようなパスメモリ30´の動作を説明するためのフローチャートである。
【0097】
図11を参照して、最新の時点において、加算比較選択(ACS)演算部23により選択された枝の情報を新しい枝として、対応する復号シンボルの情報を生き残りパス保存部34に右側から入力し(ステップS300)、パスメモリ30´内の生き残りパス保存部34中の記憶情報の更新を行なう(ステップS302)。
【0098】
続いて、トレースバックサイズ決定部81に、後に説明するような誤りの量に関連する情報が入力され(ステップS304)、トレースバックサイズ決定部81は、トレースバックサイズテーブル82を参照して、トレースバックサイズを決定する(ステップS306)。
【0099】
トレースバックサイズ決定部81により決定されたトレースバックサイズに基づき、トレースバック部33はそれまでのトレースバックサイズを修正し(ステップS308)、トレースバック部33は、トレースバックサイズがそれまでの値よりも長くなったかにつき判断する(ステップS310)。
【0100】
ステップS310において、サイズが長くなったと判断された場合は、復号系列の出力は行なわず、その時点に対応する処理は終了する。
【0101】
一方、ステップS310において、サイズが長くなってないと判断された場合は、その時点で最適な状態に対応する復号系列の出力を行ない(ステップS312)、その時点に対応する処理は終了する。
【0102】
その時点に対する処理が終了すると、次の時点について、再び、加算比較選択(ACS)演算部23が枝の選択を行なう。
【0103】
すなわち、実施の形態2では、実施の形態1の「受信信号に対する誤りの量に関連する情報」として、以下ような、3つの例のいずれかを用いる。
【0104】
あるいは、必要に応じて、以下のような3つの例の情報を組み合わせてもよい。
【0105】
(誤りの量に関する情報1)
最初の例は、ビタビ復号器100内部において、最適状態のパスメトリックが最適値に近いほど正しい語であるという尤度になっているために、最適値にどれだけ近いかどうかの情報を与えることにより、誤りの量を知ることができる。
【0106】
図12は、一例として、メトリックの最適値を0とし、単調非減少となるようにメトリックを設定した場合に、最適状態のパスメトリック値に対するトレースバックサイズとの関係を示す図である。
【0107】
このようなパスメトリックの値は、最適状態選択部24から、トレースバックサイズ決定部81に与えられる。
【0108】
この図12のようなテーブルを、トレースバックサイズテーブル82中に格納しておくことができる。
【0109】
(誤りの量に関する情報2)
また、第2の例としては、ビタビ復号器のある物理レイヤ内部にある情報の変調方式や符号化率によっても誤り率が変わることから、変調方式や符号化率といった情報を与えることにより誤りの量を知ることができる。
【0110】
一般に、変調方式は多値になるほど復調の際に誤差が生じやすく、符号化率は高くなるほどパンクチャされているためにダミーのデータを入れるため誤りが多くなる。このような変調方式及び符号化率の情報は、通信の物理レイヤの情報として、トレースバックサイズ決定部81に与えられる。
【0111】
図13は、一例として、変調方式及び符号化率の情報とトレースバックサイズとの対応を示す図である。
【0112】
この図13のようなテーブルを、トレースバックサイズテーブル82中に格納しておくこともできる。
【0113】
(誤りの量に関する情報3)
さらに、第3の例として、通信プロトコルの上位レイヤにおいて、サービスやアプリケーションごとに伝送路の状態を決めるQoS(Quality of Service)情報から誤りの量を推定できる。
【0114】
したがって、このようなQoS情報が、トレースバックサイズ決定部81に与えられれば、これに基づいてトレースバックサイズを決定できる。
【0115】
伝送路の状態が良いときには誤りの量が少なく、伝送路の状態が悪いときには誤りの量が多いので、一例として、QoSのクラスを、最低の帯域しか割り当てない最低帯域保証、ユーザからの申告に応じて安定した帯域を割り当てる帯域保証、帯域保証の状態で再送をしない低遅延保証のように3つのクラスに分けることができる。
【0116】
図14は、一例として、QoSのクラスとトレースバックサイズとの対応を示す図である。
【0117】
この図14のようなテーブルを、トレースバックサイズテーブル82中に格納しておくこともできる。
【0118】
以上説明した3つのうちのいずれの場合においても、誤りの量となる目安を与えることにより、トレースバックサイズを決定する方法である。通信路の状況によっては様々な要素が複雑に関与するため、上記の誤りの量に関する情報を組み合わせてトレースバックサイズを決定することもある。
【0119】
以上のような実施の形態2の最尤復号器のビタビ復号器の構成によっても、実施の形態1と同様の効果を奏することが可能である。
【0120】
なお、実施例はビタビ復号法に基づき説明したが、逐次復号法においてもパスメモリにおけるトレースバックサイズを可変にすることは可能である。復号結果の出力時において、最適パスの長さを設定してあるトレースバックサイズまでとすることにより適用できる。
【0121】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明においては、受信信号に対する誤りの量に関連する情報として合流するパスの有無を基にし、誤り量を推定し、誤り量が少ない場合は、トレースバックサイズを短くし、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くする、との処理を行なう。
【0123】
あるいは、本発明においては、受信信号に対する誤りの量に関連する情報としてパスメトリックの最適値と最適状態パスメトリック間の差異の大きさ、変調方式/符号化率、または上位レイヤからのQoS情報のうちの少なくとも1つを用いて、受信状況を基に誤り量を推定し、誤り量が少ない場合は、トレースバックサイズを短くし、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くする、との処理を行なう。
【0124】
このため、誤り量が少ない場合は、不必要なトレースバック処理を削減できるので、畳み込み符号の最尤復号における復号処理時間を短くできる。また、逆に、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くすることで、復号結果の尤度を高めることができ、打ち切り誤りの発生も防止できる。
【0125】
このような特徴は、拘束長が大きな符号になるほどパスメモリサイズは大きくなるので、得られる効果は大きくなる。
【0126】
なお、誤り量が少ない場合は、不必要なトレースバック処理やパスメモリ更新処理が減少する為、「消費電力の低減」という効果も得ることができる。
【0127】
また、畳込み符号のテールビット部の処理は、一般に、S0状態に戻るようになっており、S0状態の生き残りパスをまとめて出力すればよく、同様にサイズを短くできることを利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビタビ復号法に基づくビタビ復号器の構成の一例を説明するための機能ブロック図である。
【図2】パスメモリ27の構造を詳細に示す機能ブロック図である。
【図3】生き残りパス保存部34に格納された生き残りパス情報を示す概念図である。
【図4】トレースバックの処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の一例のビタビ復号器100の構成を説明するための概略ブロック図である。
【図6】ある時点において、各状態S0〜S3に対応する生き残りパスをトレリス線図上のパスとして表現した概念図である。
【図7】ビタビ復号器100中のパスメモリ30の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図8】生き残りパス保存部34中に蓄えられている各状態に対応した生き残りパスの情報と比較範囲Rを説明するための概念図である。
【図9】ビタビ復号器100中のパスメモリ30の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態2のパスメモリ30´の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図11】パスメモリ30´の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】単調非減少となるようにメトリックを設定した場合に、最適状態のメトリック値に対するトレースバックサイズとの関係を示す図である。
【図13】変調方式の多値化の度合いとトレースバックサイズとの対応を示す図である。
【図14】QoSのクラスとトレースバックサイズとの対応を示す図である。
【図15】畳み込み符号化器の構成を説明するためのブロック図である。
【図16】トレリス線図を示す概念図である。
【符号の説明】
21 受信系列、22 枝メトリック計算部、23 加算比較選択演算部、24 最適状態選択部、25 正規化演算部、26 パスメトリックメモリ、27,30 パスメモリ、28 復号系列、31 制御部、32 パスメモリ更新部、33 トレースバック部、34 生き残りパス保存部、71 パスメモリ比較部、81 トレースバックサイズ決定部、82 トレースバックサイズテーブル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、畳み込み符号の最尤復号を実行するための最尤復号器および最尤復号方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放送や通信の分野では、デジタルデータを伝送する場合、伝送路のノイズ等により受信データに誤りが発生する。通常、この誤りを訂正する為に、データ伝送に際して、データに誤り訂正符号を付加するのが一般的である。
【0003】
誤り訂正符号は、「ブロック符号」と「畳み込み符号」の2種類に大きく分けられる。一定の長さの系列に符号化されるものがブロック符号であり、逐次的に符号化が行なわれ、理論的には無限の長さの系列に符号化されうるものが畳み込み符号である。
【0004】
ブロック符号は代数学の理論体系に基づいているために、符号の構成法や復号法が理論体系として厳密に定義できるという特長を持つ。このため、符号器や復号器が比較的簡単に構成できる。その反面、いわゆる「限界距離復号」に基づくため、訂正能力が限られるという欠点を持つ。
【0005】
上記ブロック符号の欠点である誤り訂正率の向上という面に対しては、劣悪な通信路環境が想定される無線通信等の分野では、以下のような特徴をもつ畳み込み符号が使用される。
【0006】
すなわち、第1に、畳み込み符号は、限界距離復号に比べて、より可能性の高い情報系列を推定する最尤復号に基づく復号が簡単に実現できる。
【0007】
第2に、畳み込み符号は、復号特性を大幅に改善する軟判定復号への対応が容易にできる。
【0008】
第3には、畳み込み符号は、通信路の状態に応じて伝送効率を変える可変符号化率にしても、パンクチャにて可変符号化率を実現すれば同じ復号器で実現できる。
【0009】
以下では、まず、畳み込み符号の符号化処理について説明する。
固定長データブロックに対して、他ブロックとは独立的に符号化されるブロック符号と異なり、畳み込み符号は、過去の数ビットの入力データと、現在のビットの相関を基に、一定の規則に従って逐次的に符号化されることを特徴としている。
【0010】
図15は、畳み込み符号化器の構成を説明するためのブロック図である。
畳み込み符号化器は、データ(情報系列)が入力される入力端子11と、入力端子11からの入力情報系列を受けて、順次1単位時間ずつ遅延させるための直列に接続された遅延素子12および13と、入力端子11からの信号と遅延素子13の出力との排他的論理和演算結果を出力端子16に与える排他的論理和回路14と、入力端子11からの信号と遅延素子12からの出力と遅延素子13の出力と3つの信号の排他的論理和演算結果を出力端子17に与える排他的論理和回路14とを備える。ここで、出力端子16および17から符号化されたデータが出力される。
【0011】
図15の例の畳み込み符号化器は、拘束長K=3、符号化率1/2の符号を生成する一例である。入力(情報系列)と、出力(畳み込み符号系列)との関係からは、いわゆる「トレリス線図」を一意的に求めることができる。
【0012】
図16は、このようなトレリス線図を示す概念図である。なお、トレリス線図において、時点tの状態と時点(t+1)の状態を結ぶ線分を「枝」と呼び、一つの時点の状態を一つずつ通っていく枝の連なりを「パス」と呼ぶ。
【0013】
受信側における復号は、受信した畳み込み符号系列から、最も可能性の高い情報系列を求める最尤復号が用いられ、効率的に実現する復号法としてビタビ復号法や逐次復号法等が用いられる。
【0014】
ビタビ復号法においては、後に説明するように、復号の過程で、トレリス線図中の全ての状態における、対応する枝の計算した枝メトリックを、パスメトリックに加算していくという全状態の加算比較選択(ACS)動作が各時刻で行なわれる。
【0015】
これに対して、逐次復号法ではパスメトリックの最尤パスをとる状態の部分だけ加算比較選択(ACS)動作を行なっていくものである。ビタビ復号法では同じ長さのパスメトリックを比較するのに対して、逐次復号法では異なる長さのパスのパスメトリックを比較するという点が大きな違いである。逐次復号法は、拘束長が大きい畳み込み符号に対して最尤復号を近似する方法としてよく知られている。
【0016】
ここで、畳み込み符号の最尤復号処理は、トレリス線図において最適な経路探索のためのトレースバックを繰り返して、すなわち、各生き残りパスに対応する復号シンボル系列を格納しているパスメモリ内で、所定の深さの分だけ蓄えられたデータのトレースバックを繰り返して正しい結果を求めるという処理を行なうため、復号処理に時間が掛かるという問題点があった。
【0017】
このような問題点に対しては、パスメモリ更新時に、パスメモリから復号結果を取り出した最も古いパスに上書きし、トレースバック開始位置を、上書き開始地点とすることにより、パスメモリ更新の手間を一部省くという技術がある(たとえば、特許文献1を参照)。
【0018】
あるいは、復号の性能は落ちるが、パスメモリサイズ(トレースバックサイズ)自体を常に短くする、等の方法が提案されていた。
【0019】
【特許文献1】
特開2000−357971号公報明細書
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、トレースバック開始位置を変更する方法には、どのような状況においてもトレースバックサイズは一定(パスメモリサイズと同値)のため復号にかかる時間は一定となる。一般に、パスメモリサイズは拘束長の5〜6倍とるために、特許文献1の方法では、拘束長の大きい符号になればなるほど復号処理時間がかかるという問題点がある。
【0021】
また、パスメモリサイズ自体を常に短く制限する方法では、“打ち切り誤り”という誤りが生じるおそれがあるという問題が発生する。
【0022】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、復号性能を保ちながら復号処理の高速化を図ることが可能な畳み込み符号の最尤復号器および最尤復号方法を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器および最尤復号方法では、パスメモリにおいて一定のサイズ分だけトレースバックするのではなく、誤りの量に関連する情報に応じて、トレースバックするサイズを変更する。
【0024】
好ましくは、誤りが少ない、すなわち復号結果が早く得られていると判断できた場合には、トレースバックするサイズを短く変える。また、好ましくは、十分な尤度ではなく復号結果が得られていないと判断できた場合にはトレースバックサイズを条件に応じて長く変える。
【0025】
すなわち、本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器は、受信系列に基づいて、受信系列に基づいて、トレリス線図における各状態から次の状態への遷移に対する枝メトリックを計算する枝メトリック計算手段と、枝メトリックをパスメトリックに順次加算し新たなパスメトリックを求め、各枝を比較して枝を選択する加算比較選択演算手段と、各状態のパスメトリックを保存しておくパスメトリックメモリと、全状態の中からパスメトリックが最適な状態を選択する最適状態選択手段と、各状態において選択した枝から生き残りパスに対応する情報を保存するパスメモリと、受信信号に対する誤りの量に関連する情報に応じて、トレースバックサイズを調節するトレースバックサイズ調整手段と、最適状態の生き残りパスに対応する情報をパスメモリ中でトレースバックして復号系列を得るトレースバック手段とを備え、トレースバック手段は、トレースバックサイズ調整手段により調節されたトレースバックサイズに基づき復号系列を出力する。
【0026】
好ましくは、トレースバックサイズ可変の条件としては、合流するパスを見つけられるかという条件を用いる。パスメモリ内のパスを比較し一致するかどうか見ることによりパスが合流しているかを判断し、パスが合流している場合には既に復号結果が得られているので、合流するパスの長さ分だけ短くしたトレースバックサイズとし復号結果を出力する。
【0027】
すなわち、好ましくは、トレースバックサイズ調整手段は、パスメモリの内部のパスを比較し、合流するパスの位置を検出するパス合流位置検出手段を含み、パス合流位置検出手段は、トレースバックサイズを、トレースバック開始位置からパス合流位置までとし、トレースバック手段は、トレースバックサイズに基づき復号系列を出力する。
【0028】
好ましくは、トレースバックサイズ調整手段は、受信信号に対する誤りの量に関連する情報として誤り量の判定基準となる誤り量判定パラメータを受けるパラメータ入力手段と、誤り量判定パラメータを基に、パスメモリに対するトレースバックサイズを決定するトレースバックサイズ決定手段と、誤り量が増加したときにはトレースバックサイズ大きく、誤り量が減少したときにはトレースバックサイズを小さくなるように、誤り量判定パラメータとトレースバックサイズとを関連付けてトレースバックサイズ設定テーブルとして格納するためのテーブル格納手段とを備え、トレースバックサイズ決定手段は、誤り量判定パラメータに応じて、トレースバックサイズ設定テーブルから、トレースバックサイズを選択する。
【0029】
好ましくは、トレースバックサイズ可変の条件としては、最適状態のパスメトリックを用いる。より好ましくは、最適状態のパスメトリックが最適値に近いほど正しい語であるという尤度になっているために、最適値にどれだけ近いかどうかから誤りの量が推定できるので、トレースバックサイズは、最適値に近いほど短く、最適値から離れるほど長くとるようにする。
【0030】
すなわち、好ましくは、誤り量判定パラメータは、最適状態を選択した際のパスメトリックであり、トレースバックサイズ決定手段は、最適状態のパスメトリックを基に、トレースバックサイズを決定する。
【0031】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、変調方式/符号化率である。変調方式や符号化率により誤り率が変わってくるために、その情報から誤りの量が推定できる。変調方式や符号化率の状態を与えることにより、トレースバックサイズは、変調方式が多値でなく符号化率が低いほど短く、変調方式が多値であり符号化率が高いほど長くとるようにする。
【0032】
すなわち、好ましくは、誤り量判定パラメータは、変調方式および符号化率を示す情報であり、トレースバックサイズ決定手段は、変調方式および符号化率を基に、トレースバックサイズを決定する。
【0033】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、上位レイヤからのQoS情報である。QoS情報は伝送路の状態を表しており、誤りの量を推定できるのでその状態を与えることにより誤りの量が推定できる。QoS情報は上位レイヤから与えることができ、トレースバックサイズを、伝送路状態が悪いときには長く、伝送路状態が良いときには短くとるようにする。
【0034】
すなわち、好ましくは、誤り量判定パラメータは、QoS情報であり、トレースバックサイズ決定手段は、QoS情報を基に、トレースバックサイズを決定する。
【0035】
この発明の他の局面に従うと、畳み込み符号を最尤復号する最尤復号方法であって、受信系列に基づいて、受信系列に基づいて、トレリス線図における各状態から次の状態への遷移に対する枝メトリックを計算するステップと、枝メトリックをパスメトリックに順次加算し新たなパスメトリックを求め、各枝を比較して枝を選択するステップと、各状態のパスメトリックをパスメトリックメモリに保存するステップと、全状態の中からパスメトリックが最適な状態を選択するステップと、各状態において選択した枝から生き残りパスに対応する情報をパスメモリに保存するステップと、受信信号に対する誤りの量に関連する情報に応じて、トレースバックサイズを調節するステップと、調節されたトレースバックサイズに基づき、最適状態の生き残りパスに対応する情報をパスメモリ中でトレースバックして復号系列を得るステップとを備える。
【0036】
好ましくは、トレースバックサイズを調節するステップは、パスメモリの内部のパスを比較し、合流するパスの位置を検出するステップと、トレースバックサイズを、トレースバック開始位置からパス合流位置までとするステップとを含む。
【0037】
好ましくは、トレースバックサイズを調節するステップは、受信信号に対する誤りの量に関連する情報として誤り量の判定基準となる誤り量判定パラメータを受けるステップと、誤り量が増加したときにはトレースバックサイズ大きく、誤り量が減少したときにはトレースバックサイズを小さくなるように、誤り量判定パラメータとトレースバックサイズとが関連付けられたトレースバックサイズ設定テーブルを参照して、誤り量判定パラメータに応じて、トレースバックサイズ設定テーブルから、トレースバックサイズを選択するステップとを含む。
【0038】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、最適状態を選択した際のパスメトリックである。
【0039】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、変調方式および符号化率を示す情報である。
【0040】
好ましくは、誤り量判定パラメータは、QoS情報である。
以上のようにして、受信状況に応じて、トレースバックサイズを変更することで、無駄のないトレースバックサイズでの復号が行なえるために復号の際の信号処理量を削減し、復号処理の高速化を図ることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器および復号方法の構成を、図を参照して説明する。なお、図中同一部分には、同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0042】
[実施の形態1]
(ビタビ復号法におけるトレースバック処理の一例)
まず、本発明の本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の構成について説明する前提として、ビタビ復号のアルゴリズムを実行する際のトレースバック処理のための構成の一例を説明しておく。
【0043】
図1は、ビタビ復号法に基づくビタビ復号器の構成の一例を説明するための機能ブロック図である。
【0044】
畳み込み符号化されたデータは通信路を介して受信される。この際、通信路で生じたノイズが加算されて受信されている。したがって、受信データ(受信系列21)は、一般的には、受信データの信頼度を示す軟入力データとなって復号器に入力されている。
【0045】
まず、ビタビ復号器では、枝メトリック計算部22において、各時刻において入力された軟入力の受信系列21と、図16に示したようなトレリス線図の全ての枝に対する符号系列(各枝の出力値)との距離に基づく尤度、すなわち枝メトリックを全て計算する。全ての状態にq本の枝が入ってくるとすると、状態数=Mとすると、(q×M)本分の枝メトリックが求まる。
【0046】
次に、加算比較選択演算部(ACS:Add−Compare−Select)23において、全ての状態における、対応する枝の計算した枝メトリックをパスメトリックに加算する。ここでは各状態に対し、時点(t+1)のq本ずつの枝メトリックを時点tのパスメトリックに加算するので、時点(t+1)の各状態においてq通りのパスメトリックが求まる。各状態のq通りのパスメトリックを比較し、その中から最尤な(例えば最小値を持つ)パスメトリックを1つ選び、その状態の生き残りパスとする。また、ここで選択した枝の情報は、次のパスメモリ27に保存される。
【0047】
各状態の選択されたパスメトリック、すなわち生き残りパスのパスメトリックは、正規化演算部25において正規化が行なわれ、パスメトリックメモリ26の更新が行なわれる(パスメトリックメモリに保存される)。
【0048】
ここで、パスメトリックは一般に比較するだけのものなので、常に加算をしていくと単調非減少のために増加しつづける。そこで、最小値を持つ最適状態のパスメトリックを引くことにより、一定の範囲内にパスメトリックがおさまり、これが正規化と呼ばれる操作である。なお、正規化の過程で必要となる最適状態を求める操作(最適状態選択部24による操作)も必要となり、最適状態はパスメモリにおける出力位置のためにも必要となる。
【0049】
各状態において選択された枝の情報はパスメモリ27に保存され、パスメモリサイズ分だけ蓄えられる。
【0050】
図2は、図1に示したパスメモリ27の構造を詳細に示す機能ブロック図である。
【0051】
図2を参照して、加算比較選択(ACS)演算部23より選択した枝の情報が与えられ、全ての生き残りパスが連なるようにパスメモリ更新部32によって生き残りパス保存部34の格納情報を更新していく。
【0052】
また、最適状態選択部24によって求められた最適状態を与えると、トレースバック部33が、その状態の生き残りパスの最も古い枝をパスメモリ(生き残りパス保存部)34から読み出し、復号結果(復号系列28)として出力する。すなわち、蓄えているパスメモリサイズの分だけトレースバックして出力する。なお、パスメモリ更新部32とトレースバック部33は、更新中に読み出しが出来ないために制御手段31が備わっている。
【0053】
次に、図1で説明したパスメモリ30中で、生き残りパス保存部34に格納された生き残りパス情報の例を説明しておく。
【0054】
図3は、生き残りパス保存部34に格納された生き残りパス情報を示す概念図である。
【0055】
図3に示すとおり、生き残りパス保存部34は、生き残りパスのデータをマトリクスの形で格納する。すなわち、生き残りパス保存部34は、行にトレリス線図の各状態を、列に時点(左側に古いパス、右側に新しいパス)を表すことにより、各状態の生き残りパスの情報を蓄えているものである。
【0056】
例えば、状態S0の生き残りパスの復号シンボルの系列は古い方から「011…101」となる。
【0057】
このような生き残りパス保存部34では、加算比較選択(ACS)演算により選択された枝の情報を新しい枝として右側から入れて、それぞれ各時点を新しい枝に対応する状態のところを選択し左シフトすることにより、格納される情報が更新される。生き残りパス保存部34は、このような情報がメモリのサイズ(N)分だけさかのぼり蓄えられている。各状態の中から最適な状態(例えばパスメトリックが最小値をとる状態)を求め、その状態の生き残りパスの情報を、生き残りパス保存部34のサイズ分だけトレースバックし復号結果として出力する。例えば、最適状態がS0であったならば、状態S0をパスメモリサイズ(N)の分だけトレースバックし出力するので、(N−1)の時点のところにある0(図3中で下線部で示す)が出力される。
【0058】
図4は、このようなトレースバックの処理を説明するためのフローチャートである。
【0059】
図4を参照して、最新の時点において、加算比較選択(ACS)演算部23により選択された枝の情報を新しい枝として、対応する復号シンボルの情報を生き残りパス保存部34に右側から入力し(ステップS100)、パスメモリ27内の生き残りパス保存部34中の記憶情報の更新を行なう(ステップS102)。
【0060】
続いて、トレースバック部33が、現時点で最適な生き残りパスについて、トレースバック処理を行ない当該パスについて最も古いデータを生き残りパス保存部34から取り出し(ステップS104)、最適な状態にあるパスのビットを復号シンボルとして出力する(ステップS106)。
【0061】
(本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の構成および動作)
以上の前提のもとに、以下、本発明の畳み込み符号の最尤復号器の構成および動作について説明する。
【0062】
図5は、本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の一例のビタビ復号器100の構成を説明するための概略ブロック図である。
【0063】
ただし、ビタビ復号器100の構成は、パスメモリ30の構成を除いては、基本的に、図1に示したビタビ復号器の構成と同様であるので、その構成についての説明は繰り返さない。
【0064】
図6は、ある時点において、各状態S0〜S3に対応する生き残りパスをトレリス線図上のパスとして表現した概念図である。
【0065】
図6に示すとおり、典型的な生き残りパスはある程度過去の時点で一致している。パスが現時点からみて合流する時点は、通信路の状態などによる誤りの量に依存し、早く合流する場合や合流するのに時間がかかる場合がある。そこで、合流するパスを見つけることができれば、復号処理の各時点で、必ず同じサイズまでトレースバックする必要はなく、復号結果を早く出力できる。また、変更したトレースバックサイズより深い位置のパスメモリは使用しないので更新する必要もない。
【0066】
すなわち、「受信信号に対する誤りの量に関連する情報」として、上述した「パスが合流する時点」を指針として、トレースバックサイズを更新する。
【0067】
図7は、ビタビ復号器100中のパスメモリ30の構成を説明するための機能ブロック図である。
【0068】
パスメモリ30は、図2に示したパスメモリ27の構成と比較して、パスメモリ比較部71をさらに備える。
【0069】
パスメモリ比較部71は、生き残りパス保存部34の中で古いパスを時点(N−1)から所定の範囲Rで比較することにより、一致していればパスが合流していると判断することができる。パスメモリ比較部71が、パスが合流していると判断した場合には、トレースバック部33にパスが合流している位置を送り、トレースバック部33はその情報を基にトレースバックサイズを決定し、トレースバックを行ない、復号系列を出力する。
【0070】
図8は、パスメモリ30内の生き残りパス保存部34中に蓄えられている各状態に対応した生き残りパスの情報と比較範囲Rを説明するための概念図である。
【0071】
図8に示した例では、パスメモリ比較部71は、時点(N−1)〜時点(N−2)の範囲で各状態についての生き残りパスに対応するデータを比較する。
【0072】
全ての状態に対応する生き残りパスに対応する情報が、(0,1)で一致しているので、パスメモリ比較部71は、時点(N−2)以降でパスが合流していると判断することができる。
【0073】
実際には、以下に説明するとおり、パスメモリ比較部71は、生き残りパス保存部34において、任意の時点からより新しい時点にかけての可変な範囲で、全ての状態における生き残りパスに対応する情報が一致しているかの比較を行なう。比較範囲Rは、このような可変に変化する範囲である。
【0074】
図8に示すような例のパスメモリにおいて、時点(N−1)から範囲2で比較した場合に、全ての状態において生き残りパス情報が一致しているために、一致している「01」を復号シンボル系列としてまとめて出力する。
【0075】
このとき、トレースバックサイズは、”N”から”(N−2)”となっている。一方、復号処理の途中において、トレースバックサイズがN未満のときに、範囲1で全状態のパスを比較した結果が一致しなかった場合、トレースバックサイズを1だけ増やす。このとき、復号結果の出力は行なわれない。
【0076】
図9は、以上説明したビタビ復号器100中のパスメモリ30の動作を説明するためのフローチャートである。
【0077】
図9を参照して、最新の時点において、加算比較選択(ACS)演算部23により選択された枝の情報を新しい枝として、対応する復号シンボルの情報を生き残りパス保存部34に右側から入力し(ステップS200)、パスメモリ30内の生き残りパス保存部34中の記憶情報の更新を行なう(ステップS202)。
【0078】
続いて、パスメモリ比較部71がパスの比較を行なう範囲の調整を行ない(ステップS204)、調整された範囲Rの中で、パスメモリ比較部71が全てのパスに対して、の生き残りパス保存部34中に蓄えられている各状態に対応した生き残りパスの情報の比較を行なう(ステップS206)。
【0079】
パスメモリ比較部71での比較の結果、全てのパスについて生き残りパスの情報が一致する場合(ステップS208)、トレースバック部33は、比較範囲Rに応じてトレースバックサイズを短く修正する(ステップS210)。さらに、トレースバック部33が、現時点のトレースバックによる最も古い時点から比較範囲Rに相当する長さの生き残りパスに対応する情報を復号シンボル系列として出力する(ステップS212)。
【0080】
一方、ステップS208において、全てのパスについて生き残りパスの情報が一致するわけではない場合(ステップS208)、続いて、トレースバック部33は、現時点のトレースバックサイズが予め定められるパスメモリのメモリ容量に対応する最大サイズであるかを判断する(ステップS214)。
【0081】
トレースバックサイズが最大である場合、最適な状態に対応する復号シンボル系列を出力する(ステップS212)。
【0082】
一方、ステップS214において、トレースバックサイズが最大値でない場合は、トレースバックのサイズを1つ増やす(ステップS216)。
【0083】
ステップS212またはステップS216の後には、次の時点について、再び、加算比較選択(ACS)演算部23が枝の選択を行なう。
【0084】
以上のような本発明の本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の構成または復号方法の構成においては、合流するパスの有無を基に誤り量を推定し、誤り量が少ない場合は、トレースバックサイズを短くし、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くする、との処理が行なわれることになる。
【0085】
このため、誤り量が少ない場合は、不必要なトレースバック処理を削減できる為、畳み込み符号の最尤復号における復号処理時間を短くできる。また、逆に、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くすることで、復号結果の尤度を高めることができ、打ち切り誤りの発生も防止できる。
【0086】
このような特徴は、拘束長が大きな符号になるほどパスメモリサイズは大きくなるので、得られる効果は大きくなる。
【0087】
なお、誤り量が少ない場合は、不必要なトレースバック処理やパスメモリ更新処理が減少する為、「消費電力の低減」という効果も得ることができる。
【0088】
また、畳み込み符号の終結処理は一般にS0状態に戻るようにテールビット処理を行ない、これはS0状態の生き残りパスのみで比較することと等価である。そこでS0状態のパスをまとめて出力することができ、同様にサイズを短くすることを利用できる。
【0089】
[実施の形態2]
実施の形態1のビタビ復号器100においては、生き残りパス保存部34において、現時点の各状態に対応するパスにおいて、現時点以前において全てのパスが合流するか否かを判定して、パスメモリ30に格納されている復号シンボル系列のいずれの位置から出力を行なうかを決定した。
【0090】
実施の形態2においては、このようなパスの合流を見つけるかわりに、誤りの量に関する情報を与えることにより、パスメモリの出力位置を与える。
【0091】
図10は、このような実施の形態2のパスメモリ30´の構成を説明するための機能ブロック図である。
【0092】
なお、実施の形態2のパスメモリ30´が使用されるビタビ復号器の構成も基本的に、実施の形態1のビタビ復号器100の構成と同様であるものとする。
【0093】
図10を参照して、パスメモリ30´において、誤りの量に関する情報は、パスメモリ30´の外部から与えられ、トレースバックサイズ決定部81に入力される。トレースバックサイズ決定部81は、入力された誤りの量の情報に基づきトレースバックサイズテーブル82を参照しトレースバックサイズを得る。
【0094】
トレースバックサイズテーブル82は、誤りの量の情報とトレースバックするサイズが1対1に対応するテーブルである。このような誤り量の情報とトレースバックサイズの関係は、特に限定されないが、たとえば、予めトレースバックサイズテーブル82中に格納しておくことが可能である。
【0095】
トレースバックサイズテーブル82を参照し得られたトレースバックサイズはトレースバック部33に送られ、トレースバック部33は与えられた値に基づきトレースバックを行ない、復号系列を出力できる場合は得られている復号系列を出力する。
【0096】
図11は、このようなパスメモリ30´の動作を説明するためのフローチャートである。
【0097】
図11を参照して、最新の時点において、加算比較選択(ACS)演算部23により選択された枝の情報を新しい枝として、対応する復号シンボルの情報を生き残りパス保存部34に右側から入力し(ステップS300)、パスメモリ30´内の生き残りパス保存部34中の記憶情報の更新を行なう(ステップS302)。
【0098】
続いて、トレースバックサイズ決定部81に、後に説明するような誤りの量に関連する情報が入力され(ステップS304)、トレースバックサイズ決定部81は、トレースバックサイズテーブル82を参照して、トレースバックサイズを決定する(ステップS306)。
【0099】
トレースバックサイズ決定部81により決定されたトレースバックサイズに基づき、トレースバック部33はそれまでのトレースバックサイズを修正し(ステップS308)、トレースバック部33は、トレースバックサイズがそれまでの値よりも長くなったかにつき判断する(ステップS310)。
【0100】
ステップS310において、サイズが長くなったと判断された場合は、復号系列の出力は行なわず、その時点に対応する処理は終了する。
【0101】
一方、ステップS310において、サイズが長くなってないと判断された場合は、その時点で最適な状態に対応する復号系列の出力を行ない(ステップS312)、その時点に対応する処理は終了する。
【0102】
その時点に対する処理が終了すると、次の時点について、再び、加算比較選択(ACS)演算部23が枝の選択を行なう。
【0103】
すなわち、実施の形態2では、実施の形態1の「受信信号に対する誤りの量に関連する情報」として、以下ような、3つの例のいずれかを用いる。
【0104】
あるいは、必要に応じて、以下のような3つの例の情報を組み合わせてもよい。
【0105】
(誤りの量に関する情報1)
最初の例は、ビタビ復号器100内部において、最適状態のパスメトリックが最適値に近いほど正しい語であるという尤度になっているために、最適値にどれだけ近いかどうかの情報を与えることにより、誤りの量を知ることができる。
【0106】
図12は、一例として、メトリックの最適値を0とし、単調非減少となるようにメトリックを設定した場合に、最適状態のパスメトリック値に対するトレースバックサイズとの関係を示す図である。
【0107】
このようなパスメトリックの値は、最適状態選択部24から、トレースバックサイズ決定部81に与えられる。
【0108】
この図12のようなテーブルを、トレースバックサイズテーブル82中に格納しておくことができる。
【0109】
(誤りの量に関する情報2)
また、第2の例としては、ビタビ復号器のある物理レイヤ内部にある情報の変調方式や符号化率によっても誤り率が変わることから、変調方式や符号化率といった情報を与えることにより誤りの量を知ることができる。
【0110】
一般に、変調方式は多値になるほど復調の際に誤差が生じやすく、符号化率は高くなるほどパンクチャされているためにダミーのデータを入れるため誤りが多くなる。このような変調方式及び符号化率の情報は、通信の物理レイヤの情報として、トレースバックサイズ決定部81に与えられる。
【0111】
図13は、一例として、変調方式及び符号化率の情報とトレースバックサイズとの対応を示す図である。
【0112】
この図13のようなテーブルを、トレースバックサイズテーブル82中に格納しておくこともできる。
【0113】
(誤りの量に関する情報3)
さらに、第3の例として、通信プロトコルの上位レイヤにおいて、サービスやアプリケーションごとに伝送路の状態を決めるQoS(Quality of Service)情報から誤りの量を推定できる。
【0114】
したがって、このようなQoS情報が、トレースバックサイズ決定部81に与えられれば、これに基づいてトレースバックサイズを決定できる。
【0115】
伝送路の状態が良いときには誤りの量が少なく、伝送路の状態が悪いときには誤りの量が多いので、一例として、QoSのクラスを、最低の帯域しか割り当てない最低帯域保証、ユーザからの申告に応じて安定した帯域を割り当てる帯域保証、帯域保証の状態で再送をしない低遅延保証のように3つのクラスに分けることができる。
【0116】
図14は、一例として、QoSのクラスとトレースバックサイズとの対応を示す図である。
【0117】
この図14のようなテーブルを、トレースバックサイズテーブル82中に格納しておくこともできる。
【0118】
以上説明した3つのうちのいずれの場合においても、誤りの量となる目安を与えることにより、トレースバックサイズを決定する方法である。通信路の状況によっては様々な要素が複雑に関与するため、上記の誤りの量に関する情報を組み合わせてトレースバックサイズを決定することもある。
【0119】
以上のような実施の形態2の最尤復号器のビタビ復号器の構成によっても、実施の形態1と同様の効果を奏することが可能である。
【0120】
なお、実施例はビタビ復号法に基づき説明したが、逐次復号法においてもパスメモリにおけるトレースバックサイズを可変にすることは可能である。復号結果の出力時において、最適パスの長さを設定してあるトレースバックサイズまでとすることにより適用できる。
【0121】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明においては、受信信号に対する誤りの量に関連する情報として合流するパスの有無を基にし、誤り量を推定し、誤り量が少ない場合は、トレースバックサイズを短くし、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くする、との処理を行なう。
【0123】
あるいは、本発明においては、受信信号に対する誤りの量に関連する情報としてパスメトリックの最適値と最適状態パスメトリック間の差異の大きさ、変調方式/符号化率、または上位レイヤからのQoS情報のうちの少なくとも1つを用いて、受信状況を基に誤り量を推定し、誤り量が少ない場合は、トレースバックサイズを短くし、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くする、との処理を行なう。
【0124】
このため、誤り量が少ない場合は、不必要なトレースバック処理を削減できるので、畳み込み符号の最尤復号における復号処理時間を短くできる。また、逆に、誤り量が多い場合は、トレースバックサイズを長くすることで、復号結果の尤度を高めることができ、打ち切り誤りの発生も防止できる。
【0125】
このような特徴は、拘束長が大きな符号になるほどパスメモリサイズは大きくなるので、得られる効果は大きくなる。
【0126】
なお、誤り量が少ない場合は、不必要なトレースバック処理やパスメモリ更新処理が減少する為、「消費電力の低減」という効果も得ることができる。
【0127】
また、畳込み符号のテールビット部の処理は、一般に、S0状態に戻るようになっており、S0状態の生き残りパスをまとめて出力すればよく、同様にサイズを短くできることを利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビタビ復号法に基づくビタビ復号器の構成の一例を説明するための機能ブロック図である。
【図2】パスメモリ27の構造を詳細に示す機能ブロック図である。
【図3】生き残りパス保存部34に格納された生き残りパス情報を示す概念図である。
【図4】トレースバックの処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係る畳み込み符号の最尤復号器の一例のビタビ復号器100の構成を説明するための概略ブロック図である。
【図6】ある時点において、各状態S0〜S3に対応する生き残りパスをトレリス線図上のパスとして表現した概念図である。
【図7】ビタビ復号器100中のパスメモリ30の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図8】生き残りパス保存部34中に蓄えられている各状態に対応した生き残りパスの情報と比較範囲Rを説明するための概念図である。
【図9】ビタビ復号器100中のパスメモリ30の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態2のパスメモリ30´の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図11】パスメモリ30´の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】単調非減少となるようにメトリックを設定した場合に、最適状態のメトリック値に対するトレースバックサイズとの関係を示す図である。
【図13】変調方式の多値化の度合いとトレースバックサイズとの対応を示す図である。
【図14】QoSのクラスとトレースバックサイズとの対応を示す図である。
【図15】畳み込み符号化器の構成を説明するためのブロック図である。
【図16】トレリス線図を示す概念図である。
【符号の説明】
21 受信系列、22 枝メトリック計算部、23 加算比較選択演算部、24 最適状態選択部、25 正規化演算部、26 パスメトリックメモリ、27,30 パスメモリ、28 復号系列、31 制御部、32 パスメモリ更新部、33 トレースバック部、34 生き残りパス保存部、71 パスメモリ比較部、81 トレースバックサイズ決定部、82 トレースバックサイズテーブル。
Claims (12)
- 畳み込み符号の最尤復号器であって、
受信系列に基づいて、トレリス線図における各状態から次の状態への遷移に対する枝メトリックを計算する枝メトリック計算手段と、
前記枝メトリックをパスメトリックに順次加算し新たなパスメトリックを求め、各枝を比較して枝を選択する加算比較選択演算手段と、
各前記状態のパスメトリックを保存しておくパスメトリックメモリと、
全状態の中からパスメトリックが最適な状態を選択する最適状態選択手段と、各前記状態において選択した枝から生き残りパスに対応する情報を保存するパスメモリと、
前記受信信号に対する誤りの量に関連する情報に応じて、トレースバックサイズを調節するトレースバックサイズ調整手段と、
最適状態の前記生き残りパスに対応する情報を前記パスメモリ中でトレースバックして復号系列を得るトレースバック手段とを備え、
前記トレースバック手段は、前記トレースバックサイズ調整手段により調節されたトレースバックサイズに基づき復号系列を出力する、畳み込み符号の最尤復号器。 - 前記トレースバックサイズ調整手段は、前記パスメモリの内部のパスを比較し、合流するパスの位置を検出するパス合流位置検出手段を含み、
前記パス合流位置検出手段は、前記トレースバックサイズを、トレースバック開始位置からパス合流位置までとし、
前記トレースバック手段は、前記トレースバックサイズに基づき復号系列を出力する、請求項1記載の畳み込み符号の最尤復号器。 - 前記トレースバックサイズ調整手段は、
前記受信信号に対する誤りの量に関連する情報として誤り量の判定基準となる誤り量判定パラメータを受けるパラメータ入力手段と、
前記誤り量判定パラメータを基に、前記パスメモリに対する前記トレースバックサイズを決定するトレースバックサイズ決定手段と、
誤り量が増加したときには前記トレースバックサイズ大きく、誤り量が減少したときには前記トレースバックサイズを小さくなるように、前記誤り量判定パラメータと前記トレースバックサイズとを関連付けてトレースバックサイズ設定テーブルとして格納するためのテーブル格納手段とを備え、
前記トレースバックサイズ決定手段は、前記誤り量判定パラメータに応じて、前記トレースバックサイズ設定テーブルから、前記トレースバックサイズを選択する、請求項1記載の畳み込み符号の最尤復号器。 - 前記誤り量判定パラメータは、最適状態を選択した際のパスメトリックであり、
前記トレースバックサイズ決定手段は、前記最適状態のパスメトリックを基に、前記トレースバックサイズを決定する、請求項1記載の畳み込み符号の最尤復号器。 - 前記誤り量判定パラメータは、変調方式および符号化率を示す情報であり、
前記トレースバックサイズ決定手段は、前記変調方式および前記符号化率を基に、前記トレースバックサイズを決定する、請求項1記載の畳み込み符号の最尤復号器。 - 前記誤り量判定パラメータは、QoS情報であり、
前記トレースバックサイズ決定手段は、前記QoS情報を基に、前記トレースバックサイズを決定する、請求項1記載の畳み込み符号の最尤復号器。 - 畳み込み符号を最尤復号する最尤復号方法であって、
受信系列に基づいて、トレリス線図における各状態から次の状態への遷移に対する枝メトリックを計算するステップと、
前記枝メトリックをパスメトリックに順次加算し新たなパスメトリックを求め、各枝を比較して枝を選択するステップと、
各前記状態のパスメトリックをパスメトリックメモリに保存するステップと、
全状態の中からパスメトリックが最適な状態を選択するステップと、
各前記状態において選択した枝から生き残りパスに対応する情報をパスメモリに保存するステップと、
前記受信信号に対する誤りの量に関連する情報に応じて、トレースバックサイズを調節するステップと、
前記調節されたトレースバックサイズに基づき、最適状態の前記生き残りパスに対応する情報を前記パスメモリ中でトレースバックして復号系列を得るステップとを備える、最尤復号方法。 - 前記トレースバックサイズを調節するステップは、
前記パスメモリの内部のパスを比較し、合流するパスの位置を検出するステップと、
前記トレースバックサイズを、トレースバック開始位置からパス合流位置までとするステップとを含む、請求項7記載の最尤復号方法。 - 前記トレースバックサイズを調節するステップは、
前記受信信号に対する誤りの量に関連する情報として誤り量の判定基準となる誤り量判定パラメータを受けるステップと、
誤り量が増加したときには前記トレースバックサイズ大きく、誤り量が減少したときには前記トレースバックサイズを小さくなるように、前記誤り量判定パラメータと前記トレースバックサイズとが関連付けられたトレースバックサイズ設定テーブルを参照して、前記誤り量判定パラメータに応じて、前記トレースバックサイズ設定テーブルから、前記トレースバックサイズを選択するステップとを含む、請求項7記載の最尤復号方法。 - 前記誤り量判定パラメータは、最適状態を選択した際のパスメトリックである、請求項9記載の最尤復号方法。
- 前記誤り量判定パラメータは、変調方式および符号化率を示す情報である、請求項9記載の最尤復号方法。
- 前記誤り量判定パラメータは、QoS情報である、請求項9記載の最尤復号方法。
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2003
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