JP2004260254A - 送信回路、送信モジュール及び無線通信機器 - Google Patents
送信回路、送信モジュール及び無線通信機器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高周波増幅器で消費される電力を低減し、通話時間を延長することが出来る、送信回路、送信モジュール及び無線通信機器を提供する。
【解決手段】前段の高周波増幅器FAMPと後段の高周波増幅器RAMPの間にバンドパスフィルタTBPFを設け、デュプレクサの送信用バンドバスフィルタにおいて、受信帯域の減衰量を緩和し、挿入損失を改善することで、アンテナ−高周波増幅器間で発生するロスを低減出来、且つ、無線通信機器の電力を低減することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】前段の高周波増幅器FAMPと後段の高周波増幅器RAMPの間にバンドパスフィルタTBPFを設け、デュプレクサの送信用バンドバスフィルタにおいて、受信帯域の減衰量を緩和し、挿入損失を改善することで、アンテナ−高周波増幅器間で発生するロスを低減出来、且つ、無線通信機器の電力を低減することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送受信用のアンテナを共用するように構成した各種無線通信器において備えられる、送信回路、送信モジュール、さらに、これらの回路を使用した無線通信機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の携帯電話装置等の無線通信機器の構成例を示すブロック図である。図4において、変調されて高周波信号に変換された送信信号は、送信用バンドパスフィルタ(TBPF3)を介してフィルタリングされ、高周波増幅器(AMP3)によって電力増幅される。その後、分波器(DPX3)を介してアンテナに供給されて空間に放射される。一方、アンテナが捕捉した受信信号は、分波器(DPX3)を介して、受信回路に伝送される。
【0003】
移動用無線通信機器においては、その携帯性を高めるため、各部品に対する小形化、軽量化要求が大きく、所望の性能が達成できる単位でモジュール化されている。
【0004】
高周波増幅器は、増幅処理本体の他に、方向性結合器や検波器等もその構成要素として具備しており、モジュールの多層基板には、それらの構成要素がチップ部品として搭載されるか、多層基板の表や内部導体パターンによって形成されたキャパシタや抵抗やインダクタなどによって構成されている。
【0005】
また分波器、送信用フィルタ及び受信用フィルタは誘電体共振器や、弾性表面波フィルタ素子などによって構成されている。
【0006】
上述のような高周波電力増幅器や分波器のモジュールはそれぞれ、厳しい要求規格が課せられ、この要求規格を満足するように設計されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の分波器や高周波増幅器に対して小型化、軽量化を検討しても以下の課題を有していた。
【0008】
携帯電話装置等の無線通信機器においては、その携帯性を高めるために小形化、軽量化だけでなく特性劣化や信頼性劣化が生じないことが必要である。従来の高周波増幅器及び分波器に対して、構成する要素を多層基板内部に取り込み小型化する手法や、増幅器、分波器を構成する素子自身を小型化させる手法を用いて改善してきたが、高周波電力増幅器及び分波器は各々厳しい規格が課せられているため、電気的特性が劣化してしまうという問題があった。
【0009】
また近年、移動用無線通信機器は、音声通話だけでなく、近距離無線通信機能や赤外線通信機能、カメラによる撮影機能が付加されている。その結果、音声だけでなく膨大なデータを高速で通信する機会が増加しているが、その結果、バッテリーの電力が、他の制御IC等に使用されるにも関わらずバッテリー容量は増加していないことから無線の通話時間が減少するという問題があった。
【0010】
さらにアミューズメント機能を高めるため、アプリケーションソフトをダウンロードした後、駆動させる機会も増加している。そのため、無線の通話時間が従来の無線通信機器よりも短くなっており、いかに消費電流を抑えるかが問題となっていた。
【0011】
従って、本発明の目的は、小型で、高周波増幅器で消費される電力、特に電流を低減した送信回路、送信モジュールを提供することであり、さらに、かかる送信回路を使用して、小型かつ軽量で、通話時間を大幅に延長した、無線通信機器を提供することを可能とすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の送信回路においては、送信用バンドパスフィルタ、高周波増幅器、分波器を具備する送信回路であって、前記高周波増幅器が前段と後段に分けて形成されており、前記送信用バンドパスフィルタが、前段の高周波増幅器と後段の高周波増幅器の間に挿入されていることを特徴とする。
【0013】
上記送信回路においては、前記送信用バンドパスフィルタ及び分波器は、誘電体フィルタ、弾性表面波フィルタ、FBAR、BAWのうち1種で構成されていることが望ましい。さらに送信回路を構成する分波器の送信フィルタは、受信帯域の減衰量が23dB以上で構成されていることが望ましい。
【0014】
また、本発明の送信回路においては、異なった周波数帯の信号を分離するスイッチング回路または分岐回路を具備し、該スイッチング回路または分岐回路に、各周波数帯の信号を処理する上記の送信回路が接続されてなることを特徴とするものである。
【0015】
さらに、本発明の送信回路には、GPSの受信信号を処理するための受信回路と、異なった周波数帯の信号を分離するスイッチング回路または分岐回路を具備しており、該スイッチング回路または分岐回路に、各周波数帯の信号を処理する前記送信回路が接続されてなることを特徴とするものである。
【0016】
上記の前記GPSの受信信号を処理するための受信回路は、該GPS信号と受信信号をフィルタリングするバンドパスフィルタを具備することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の送信モジュールは、上記の送信回路を同一の多層基板に一体的に形成したことを特徴とする。
【0018】
さらには、本発明の無線通信機器は、上記送信モジュールを内蔵することを特徴とするものである。
【0019】
一般に分波器は、送信信号と受信信号を分波するため、分波器の送信フィルタにおいて受信帯域で45dBm以上の減衰特性が必要となるが、本発明の上記送信回路構成によれば、送信用バンドパスフィルタが、前段の高周波増幅器と後段の高周波増幅器の間に挿入されることにより、分波器の減衰特性を24dBm以上へと緩和することが可能となる。
【0020】
通常、分波器の減衰特性を増加させると挿入損失は劣化する関係にある。そのため、分波器の減衰特性を緩和することにより、挿入損失を大幅に改善することができる。また高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減した結果、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることが可能となる。さらに、高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減し高周波増幅器から発生する出力を低減することは、高周波増幅器から発生する熱も低減することから、熱に対して電気的特性が変動しやすい弾性表面波フィルタに対して、熱設計が容易となる。
【0021】
また、上記のように、送信回路を同一の多層基板に一体的に形成するによって構成される送信モジュールは、送信用バンドパスフィルタ、高周波増幅器、分波器間などのインピーダンスマッチングを最適化し、損失を最小限にすることが出来る。また上記の送信回路を適用することによって、高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減した結果、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることが可能となる。
【0022】
さらに、複数の異なった周波数帯域の信号を受信する送信回路や、さらにはGPS信号を受信することが出来る回路において、上記の送信回路を適用することによって、高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減することが出来る。その結果、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の送信回路、送信モジュール、無線通信機器を詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の送信回路を示すブロック図である。
【0024】
図1の送信回路によれば、変調されて高周波信号に変換された送信信号は、RFIC(高周波集積回路)によって電力増幅された後、前段の高周波増幅器(FAMP1)によって電力増幅される。その後、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)によってフィルタリング処理(必要な帯域以外の周波数を有する信号のレベルが低減される)され、後段の高周波増幅器(RBPF1)にて送信信号が増幅される。出力信号は分波器(DPX1)の送信フィルタ(TXF1)によって、フィルタリング処理され、アンテナへ伝送される。
【0025】
送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)、分波器(DPX1)は誘電体フィルタ、弾性表面波フィルタ、FBAR、BAWのうち1種で構成されるが、前段の高周波増幅器(FAMP1)と後段の高周波増幅器(RAMP1)の間や、後段の高周波増幅器(RAMP1)の後に配置されるため、耐電力性が必要となる。弾性表面波フィルタの場合、弾性表面波素子は、例えば共振器型フィルタ・共振子ラダー型および格子型接続フィルタ・マルチIDT(Inter Digital Transducer)型フィルタ等が用いられるが、弾性表面波素子の耐電圧を高めるには、IDT電極の配向性を向上して形成する方法や、IDT電極を積層構造にして形成する方法で対処することができる。
【0026】
前段の高周波増幅器(FAMP1)、後段の高周波増幅器(RAMP1)に用いられる素子としては、それぞれpn接合ゲート型電界効果型トランジスタやショットキー障壁ゲート型電界効果型トランジスタ、ヘテロ接合型電界効果型トランジスタ、pn接合ゲート型へテロ接合型電界効果型トランジスタの群から選ばれる少なくとも1種が用いられる
また、携帯電話装置等の場合、分波器(DPX1)の送信用フィルタ(TXF1)がフィルタリングする送信周波数と受信用フィルタ(RXF1)がフィルタリングする受信周波数とは近接している。送信用フィルタ(TXF1)には通過帯域のすぐ近くに通過を確実に阻止したい帯域がある。送信回路から発生する信号が受信回路に回り込むのを抑えるためには、送信用フィルタ(TXF1)に高減衰の特性が必要となる。
【0027】
RFIC(高周波集積回路)から発生する受信熱雑音は送信出力が5dBm以下の場合、−135dBm以下が保証されている。従来の送信回路を用いた場合、送信用バンドパスフィルタ(TBPF3)の受信帯域における減衰量が39dBで、分波器(DPX3)の送信用フィルタの受信帯域における減衰量を46dB、高周波増幅器(AMP)の増幅量が28dB、NF5dB、低雑音増幅器の増幅量が10dB,NFが10dBを用いると、増幅器で発生する熱雑音を考慮した場合、低雑音増幅器の出力端で計測される受信熱雑音は−156.8dB以下となり、無線通信機器を構成する上で問題はない。
【0028】
本発明の送信回路を用いた場合、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)の減衰量が45dBで、分波器(DPX1)の送信用フィルタ(TXF1)の減衰量を24dB、前段の高周波増幅器(FAMP1)の増幅量が17dB、NF5dB、後段の高周波増幅器の増幅量(RAMP1)が10dB、NF7dB、低雑音増幅器の増幅量が15dB,NFが2dBを用いると、受信熱雑音は低雑音増幅器の出力端で計測される−156.4dB以下となり、無線通信機器を構成する上で問題はない。
【0029】
上記の構成より、分波器の送信用フィルタの受信帯域における減衰量が24dB以上であれば、送信回路から発生する信号が受信回路に回り込むのを抑えることができる。また、送信用フィルタの製造公差と、受信熱雑音の測定精度を鑑みると受信帯域における減衰量は26dB以上であることが特に望ましい。
【0030】
携帯電話装置等の通話時間を延長するための1手法として、高周波増幅器の効率を向上させ、消費電流を抑えるか、出力を低減して消費電流を抑えるのが望ましい。
【0031】
アンテナ端から空中へ送信する際、アンテナ端の出力を26dBmと規定すると、従来の送信回路を用いた場合、分波器(DPX3)、配線線路、検出回路(カプラ−等)の損失によって3.5dB減衰することから、高周波増幅器(AMP)端では29.5dBm出力する必要がある。増幅量が28dBの高周波増幅器を用い、3.4Vの電圧を印圧すると、690mAの電流が必要となる。
【0032】
ところが、本発明の送信回路を用いた場合、分波器(DPX1)の送信フィルタ(TXF1)が受信帯域で減衰量が45dBmから24dBmへと緩和されたため、挿入損失を2.2dBから1.2dBへと緩和することができる。この結果、分波器(DPX1)、配線線路、検出回路の損失は3.5dBから2.5dBへと低下したため、高周波増幅器端では28.5dBmの出力に抑えることが出来る。増幅量が17dBの前段の高周波増幅器(FAMP1)と10dBの後段の高周波増幅器(RAMP1)を用い、3.4Vの電圧を印圧すると、総電流は560mA必要となるため、従来の送信回路と比較して130mAの消費電流を削減することが出来る。その結果、無線通信機器等の通話時間を向上させることが出来る。
【0033】
次に本発明の送信モジュールを図2で説明する。
【0034】
本発明の送信モジュールは、多層基板Aによって構成されている。この多層基板Aは、複数の誘電体層1a〜1dを積層して成る絶縁基板1を具備し、この絶縁基板1の表面や内部には配線回路層2が形成され、また誘電体層1a〜1dには適宜、配線回路層2間を垂直に接続するビア導体3が形成されている。
【0035】
図2の送信モジュールにおいては、多層基板1の表面に、前段の高周波増幅器(FAMP1)、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)、後段の高周波増幅器(RAMP1)、分波器(DPX1)が順次配置され、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)は前段の高周波増幅器(FAMP1)と後段の高周波増幅器(RAMP1)の間に位置するように構成され、上述した送信回路と同様の回路構成が形成されている。これら表面に実装された部品は、封止樹脂4等によって封止されている。
【0036】
なお、分波器(DPX1)、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)は誘電体共振器フィルタ、弾性表面波フィルタ、FBAR(Film Bulk Acoustic resonator)、BAW(Bulk Acoustic Wave Filter)のうちの1種の部品によって構成される。送信モジュールの小型化要求に対応する為、上記フィルタはCSPで構成された弾性表面波フィルタや誘電体共振器フィルタを用いるのが望ましい。
【0037】
また、上記の高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)と送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)、高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)と分波器(DPX1)との間には、高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)から発生する熱を伝熱させないため、遮熱用壁を形成する方法や、熱伝熱率の異なる材質を配置する方法を用いることで放熱経路を限定することが望ましい。
【0038】
また、チップ部品からなる高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)と多層基板Aの表面の配線回路層2とは、ボンディングワイヤ5か半田ボールを利用して結線される。このような構成とすることにより、高密度の実装が可能となるため、よりモジュールを小型化できる。
【0039】
さらに、多層基板A内においては所定の誘電体層(例えば、誘電体層1d)を一対の電極6,6で挟持することで多層基板A内にコンデンサCを形成することができる。このことにより、表面実装部品数の低減を図ることができ、モジュールの小型化を図るとともに、作業性や、経済性に優れる。
【0040】
この多層基板Aは、例えば、ロウ材7を介して、外部回路基板B表面の配線回路層8に実装される。
【0041】
また、高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)から発生した熱を効率的に放熱するために、高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)が実装されている部分の直下に誘電体基板1を貫通するサーマルビア9などを設けて、多層基板Aの底面に形成した導体層10に誘導し、この導体層10を外部回路基板B表面に形成された導体層8とロウ材7などで接続することによって、発生した熱をサーマルビア9、導体層19、ロウ材7を経由して配線回路層8に放熱することができる。
【0042】
(デュアルタイプ)
また、本発明によれば、無線通信機器が複数の周波数帯に対応可能とするためには、送信回路、受信回路を複数構成する必要がある。例えば、800MHz帯(CDMA)と2GHz帯(IMT−2000)で送受信を行う回路構成を図3をもとに説明する。
【0043】
まず、800MHz帯の送信信号は、RFIC(高周波集積回路)によって電力増幅された後、前段の高周波増幅器(FAMP1)によって電力増幅される。その後、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)によってフィルタリング処理(必要な帯域以外の周波数を有する信号のレベルが低減される)され、後段の高周波増幅器(RBPF1)にて送信信号が増幅される。出力信号は分波器(DPX1)の送信フィルタ(TXF1)によってフィルタリング処理され、分岐回路(DIP)を経てアンテナへ伝送される。
【0044】
一方、2GHz帯の送信信号は、RFIC(高周波集積回路)によって電力増幅された後、前段の高周波増幅器(FAMP2)によって電力増幅される。その後、送信用バンドパスフィルタ(TBPF2)によってフィルタリング処理(必要な帯域以外の周波数を有する信号のレベルが低減される)され、後段の高周波増幅器(RAMP2)にて送信信号が増幅される。出力信号は分波器(DPX2)の送信フィルタ(TXF2)によって、フィルタリング処理され、分岐回路(DIP)を経てアンテナへ伝送される。
【0045】
また、アンテナを介して受信された800MHz帯の受信信号は、分岐回路(DIP)で周波数分離された後、分波器(DPX1)の受信フィルタで、フィルタリング処理され、すなわち、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、低雑音増幅器(LNA1)で増幅されたのち、受信用バンドパスフィルタ(RBPF1)で再度、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、フロントエンドICに入力される。
【0046】
また、アンテナを介して受信された2GHz帯の受信信号は、分岐回路(DIP)で周波数分離された後、分波器(DPX2)の受信フィルタで、フィルタリング処理され、すなわち、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、低雑音増幅器(LNA2)で増幅されたのち、受信用バンドパスフィルタ(RBPF2)で再度、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、フロントエンドICに入力される。
【0047】
さらに、本発明によれば、上記回路に、GPS(global positioning system)機能を付加させることも可能である。その場合の回路構成について説明すると、図3に示すように、アンテナを介して受信されるGPS信号を、分岐回路(DIP)で分離された後、GPS用バンドパスフィルタ(GBPF)で、フィルタリング処理され、すなわち、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、フロントエンドICに入力される。
【0048】
本発明によればこのようなデュアルバンド用、さらにはGPS機能を具備する場合においても、図3の点線で囲まれた領域を1つの多層基板に一体的に形成することによって大幅な小型化とともに、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることができる。また、一体化にあたっては、低雑音増幅器LNA1、LNA2、受信用バンドパスフィルタRBPF1、RBPF2、フロントエンドICを含め、さらにはRFICも含めて、前記送信回路と一体化することができる。
【0049】
この多層基板Aにおける誘電体基板1を構成する上記誘電体層1a〜1dは、例えばアルミナセラミックス、ムライトセラミックス、ガラスセラミックスなどの低温焼成セラミックスや、有機樹脂材料とセラミック材料との混合材料や、有機樹脂材料を用いることができる。とりわけ、導体としてCu、Agを使用し同時焼成にて形成する上では、ガラスセラミックスなどの低温焼成セラミックス、有機樹脂材料とセラミック材料との混合材料が挙げられ、熱的安定性に優れる点で、ガラスセラミックスなどの低温焼成セラミックスが最も望ましい。
【0050】
本発明に使用する高周波部に上述した送信回路及び送信モジュールを使用すれ極めて小型で、消費電力を抑えた各種無線通信機器を実現できる。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、送信用バンドパスフィルタを、高周波増幅器の前段と後段の間に挿入することにより、分波器の送信フィルタにおいて受信帯域の減衰特性を24dBm以上へと緩和することが可能となり、挿入損失は大幅に改善することができる。
【0052】
また高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減した結果、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることができるため、通話時間の大幅な向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の送信回路を示すブロック図である。
【図2】本発明の送信モジュールを示すブロック図である。
【図3】本発明の移動無線装置を構成する高周波部のブロック図である。
【図4】従来の移動無線装置に用いられる送信回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
FAMP 前段高周波増幅器
RAMP 後段高周波増幅器
TBPF 送信用バンドパスフィルタ
DPX 分波器
【発明の属する技術分野】
本発明は、送受信用のアンテナを共用するように構成した各種無線通信器において備えられる、送信回路、送信モジュール、さらに、これらの回路を使用した無線通信機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の携帯電話装置等の無線通信機器の構成例を示すブロック図である。図4において、変調されて高周波信号に変換された送信信号は、送信用バンドパスフィルタ(TBPF3)を介してフィルタリングされ、高周波増幅器(AMP3)によって電力増幅される。その後、分波器(DPX3)を介してアンテナに供給されて空間に放射される。一方、アンテナが捕捉した受信信号は、分波器(DPX3)を介して、受信回路に伝送される。
【0003】
移動用無線通信機器においては、その携帯性を高めるため、各部品に対する小形化、軽量化要求が大きく、所望の性能が達成できる単位でモジュール化されている。
【0004】
高周波増幅器は、増幅処理本体の他に、方向性結合器や検波器等もその構成要素として具備しており、モジュールの多層基板には、それらの構成要素がチップ部品として搭載されるか、多層基板の表や内部導体パターンによって形成されたキャパシタや抵抗やインダクタなどによって構成されている。
【0005】
また分波器、送信用フィルタ及び受信用フィルタは誘電体共振器や、弾性表面波フィルタ素子などによって構成されている。
【0006】
上述のような高周波電力増幅器や分波器のモジュールはそれぞれ、厳しい要求規格が課せられ、この要求規格を満足するように設計されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の分波器や高周波増幅器に対して小型化、軽量化を検討しても以下の課題を有していた。
【0008】
携帯電話装置等の無線通信機器においては、その携帯性を高めるために小形化、軽量化だけでなく特性劣化や信頼性劣化が生じないことが必要である。従来の高周波増幅器及び分波器に対して、構成する要素を多層基板内部に取り込み小型化する手法や、増幅器、分波器を構成する素子自身を小型化させる手法を用いて改善してきたが、高周波電力増幅器及び分波器は各々厳しい規格が課せられているため、電気的特性が劣化してしまうという問題があった。
【0009】
また近年、移動用無線通信機器は、音声通話だけでなく、近距離無線通信機能や赤外線通信機能、カメラによる撮影機能が付加されている。その結果、音声だけでなく膨大なデータを高速で通信する機会が増加しているが、その結果、バッテリーの電力が、他の制御IC等に使用されるにも関わらずバッテリー容量は増加していないことから無線の通話時間が減少するという問題があった。
【0010】
さらにアミューズメント機能を高めるため、アプリケーションソフトをダウンロードした後、駆動させる機会も増加している。そのため、無線の通話時間が従来の無線通信機器よりも短くなっており、いかに消費電流を抑えるかが問題となっていた。
【0011】
従って、本発明の目的は、小型で、高周波増幅器で消費される電力、特に電流を低減した送信回路、送信モジュールを提供することであり、さらに、かかる送信回路を使用して、小型かつ軽量で、通話時間を大幅に延長した、無線通信機器を提供することを可能とすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の送信回路においては、送信用バンドパスフィルタ、高周波増幅器、分波器を具備する送信回路であって、前記高周波増幅器が前段と後段に分けて形成されており、前記送信用バンドパスフィルタが、前段の高周波増幅器と後段の高周波増幅器の間に挿入されていることを特徴とする。
【0013】
上記送信回路においては、前記送信用バンドパスフィルタ及び分波器は、誘電体フィルタ、弾性表面波フィルタ、FBAR、BAWのうち1種で構成されていることが望ましい。さらに送信回路を構成する分波器の送信フィルタは、受信帯域の減衰量が23dB以上で構成されていることが望ましい。
【0014】
また、本発明の送信回路においては、異なった周波数帯の信号を分離するスイッチング回路または分岐回路を具備し、該スイッチング回路または分岐回路に、各周波数帯の信号を処理する上記の送信回路が接続されてなることを特徴とするものである。
【0015】
さらに、本発明の送信回路には、GPSの受信信号を処理するための受信回路と、異なった周波数帯の信号を分離するスイッチング回路または分岐回路を具備しており、該スイッチング回路または分岐回路に、各周波数帯の信号を処理する前記送信回路が接続されてなることを特徴とするものである。
【0016】
上記の前記GPSの受信信号を処理するための受信回路は、該GPS信号と受信信号をフィルタリングするバンドパスフィルタを具備することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の送信モジュールは、上記の送信回路を同一の多層基板に一体的に形成したことを特徴とする。
【0018】
さらには、本発明の無線通信機器は、上記送信モジュールを内蔵することを特徴とするものである。
【0019】
一般に分波器は、送信信号と受信信号を分波するため、分波器の送信フィルタにおいて受信帯域で45dBm以上の減衰特性が必要となるが、本発明の上記送信回路構成によれば、送信用バンドパスフィルタが、前段の高周波増幅器と後段の高周波増幅器の間に挿入されることにより、分波器の減衰特性を24dBm以上へと緩和することが可能となる。
【0020】
通常、分波器の減衰特性を増加させると挿入損失は劣化する関係にある。そのため、分波器の減衰特性を緩和することにより、挿入損失を大幅に改善することができる。また高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減した結果、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることが可能となる。さらに、高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減し高周波増幅器から発生する出力を低減することは、高周波増幅器から発生する熱も低減することから、熱に対して電気的特性が変動しやすい弾性表面波フィルタに対して、熱設計が容易となる。
【0021】
また、上記のように、送信回路を同一の多層基板に一体的に形成するによって構成される送信モジュールは、送信用バンドパスフィルタ、高周波増幅器、分波器間などのインピーダンスマッチングを最適化し、損失を最小限にすることが出来る。また上記の送信回路を適用することによって、高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減した結果、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることが可能となる。
【0022】
さらに、複数の異なった周波数帯域の信号を受信する送信回路や、さらにはGPS信号を受信することが出来る回路において、上記の送信回路を適用することによって、高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減することが出来る。その結果、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の送信回路、送信モジュール、無線通信機器を詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の送信回路を示すブロック図である。
【0024】
図1の送信回路によれば、変調されて高周波信号に変換された送信信号は、RFIC(高周波集積回路)によって電力増幅された後、前段の高周波増幅器(FAMP1)によって電力増幅される。その後、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)によってフィルタリング処理(必要な帯域以外の周波数を有する信号のレベルが低減される)され、後段の高周波増幅器(RBPF1)にて送信信号が増幅される。出力信号は分波器(DPX1)の送信フィルタ(TXF1)によって、フィルタリング処理され、アンテナへ伝送される。
【0025】
送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)、分波器(DPX1)は誘電体フィルタ、弾性表面波フィルタ、FBAR、BAWのうち1種で構成されるが、前段の高周波増幅器(FAMP1)と後段の高周波増幅器(RAMP1)の間や、後段の高周波増幅器(RAMP1)の後に配置されるため、耐電力性が必要となる。弾性表面波フィルタの場合、弾性表面波素子は、例えば共振器型フィルタ・共振子ラダー型および格子型接続フィルタ・マルチIDT(Inter Digital Transducer)型フィルタ等が用いられるが、弾性表面波素子の耐電圧を高めるには、IDT電極の配向性を向上して形成する方法や、IDT電極を積層構造にして形成する方法で対処することができる。
【0026】
前段の高周波増幅器(FAMP1)、後段の高周波増幅器(RAMP1)に用いられる素子としては、それぞれpn接合ゲート型電界効果型トランジスタやショットキー障壁ゲート型電界効果型トランジスタ、ヘテロ接合型電界効果型トランジスタ、pn接合ゲート型へテロ接合型電界効果型トランジスタの群から選ばれる少なくとも1種が用いられる
また、携帯電話装置等の場合、分波器(DPX1)の送信用フィルタ(TXF1)がフィルタリングする送信周波数と受信用フィルタ(RXF1)がフィルタリングする受信周波数とは近接している。送信用フィルタ(TXF1)には通過帯域のすぐ近くに通過を確実に阻止したい帯域がある。送信回路から発生する信号が受信回路に回り込むのを抑えるためには、送信用フィルタ(TXF1)に高減衰の特性が必要となる。
【0027】
RFIC(高周波集積回路)から発生する受信熱雑音は送信出力が5dBm以下の場合、−135dBm以下が保証されている。従来の送信回路を用いた場合、送信用バンドパスフィルタ(TBPF3)の受信帯域における減衰量が39dBで、分波器(DPX3)の送信用フィルタの受信帯域における減衰量を46dB、高周波増幅器(AMP)の増幅量が28dB、NF5dB、低雑音増幅器の増幅量が10dB,NFが10dBを用いると、増幅器で発生する熱雑音を考慮した場合、低雑音増幅器の出力端で計測される受信熱雑音は−156.8dB以下となり、無線通信機器を構成する上で問題はない。
【0028】
本発明の送信回路を用いた場合、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)の減衰量が45dBで、分波器(DPX1)の送信用フィルタ(TXF1)の減衰量を24dB、前段の高周波増幅器(FAMP1)の増幅量が17dB、NF5dB、後段の高周波増幅器の増幅量(RAMP1)が10dB、NF7dB、低雑音増幅器の増幅量が15dB,NFが2dBを用いると、受信熱雑音は低雑音増幅器の出力端で計測される−156.4dB以下となり、無線通信機器を構成する上で問題はない。
【0029】
上記の構成より、分波器の送信用フィルタの受信帯域における減衰量が24dB以上であれば、送信回路から発生する信号が受信回路に回り込むのを抑えることができる。また、送信用フィルタの製造公差と、受信熱雑音の測定精度を鑑みると受信帯域における減衰量は26dB以上であることが特に望ましい。
【0030】
携帯電話装置等の通話時間を延長するための1手法として、高周波増幅器の効率を向上させ、消費電流を抑えるか、出力を低減して消費電流を抑えるのが望ましい。
【0031】
アンテナ端から空中へ送信する際、アンテナ端の出力を26dBmと規定すると、従来の送信回路を用いた場合、分波器(DPX3)、配線線路、検出回路(カプラ−等)の損失によって3.5dB減衰することから、高周波増幅器(AMP)端では29.5dBm出力する必要がある。増幅量が28dBの高周波増幅器を用い、3.4Vの電圧を印圧すると、690mAの電流が必要となる。
【0032】
ところが、本発明の送信回路を用いた場合、分波器(DPX1)の送信フィルタ(TXF1)が受信帯域で減衰量が45dBmから24dBmへと緩和されたため、挿入損失を2.2dBから1.2dBへと緩和することができる。この結果、分波器(DPX1)、配線線路、検出回路の損失は3.5dBから2.5dBへと低下したため、高周波増幅器端では28.5dBmの出力に抑えることが出来る。増幅量が17dBの前段の高周波増幅器(FAMP1)と10dBの後段の高周波増幅器(RAMP1)を用い、3.4Vの電圧を印圧すると、総電流は560mA必要となるため、従来の送信回路と比較して130mAの消費電流を削減することが出来る。その結果、無線通信機器等の通話時間を向上させることが出来る。
【0033】
次に本発明の送信モジュールを図2で説明する。
【0034】
本発明の送信モジュールは、多層基板Aによって構成されている。この多層基板Aは、複数の誘電体層1a〜1dを積層して成る絶縁基板1を具備し、この絶縁基板1の表面や内部には配線回路層2が形成され、また誘電体層1a〜1dには適宜、配線回路層2間を垂直に接続するビア導体3が形成されている。
【0035】
図2の送信モジュールにおいては、多層基板1の表面に、前段の高周波増幅器(FAMP1)、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)、後段の高周波増幅器(RAMP1)、分波器(DPX1)が順次配置され、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)は前段の高周波増幅器(FAMP1)と後段の高周波増幅器(RAMP1)の間に位置するように構成され、上述した送信回路と同様の回路構成が形成されている。これら表面に実装された部品は、封止樹脂4等によって封止されている。
【0036】
なお、分波器(DPX1)、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)は誘電体共振器フィルタ、弾性表面波フィルタ、FBAR(Film Bulk Acoustic resonator)、BAW(Bulk Acoustic Wave Filter)のうちの1種の部品によって構成される。送信モジュールの小型化要求に対応する為、上記フィルタはCSPで構成された弾性表面波フィルタや誘電体共振器フィルタを用いるのが望ましい。
【0037】
また、上記の高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)と送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)、高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)と分波器(DPX1)との間には、高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)から発生する熱を伝熱させないため、遮熱用壁を形成する方法や、熱伝熱率の異なる材質を配置する方法を用いることで放熱経路を限定することが望ましい。
【0038】
また、チップ部品からなる高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)と多層基板Aの表面の配線回路層2とは、ボンディングワイヤ5か半田ボールを利用して結線される。このような構成とすることにより、高密度の実装が可能となるため、よりモジュールを小型化できる。
【0039】
さらに、多層基板A内においては所定の誘電体層(例えば、誘電体層1d)を一対の電極6,6で挟持することで多層基板A内にコンデンサCを形成することができる。このことにより、表面実装部品数の低減を図ることができ、モジュールの小型化を図るとともに、作業性や、経済性に優れる。
【0040】
この多層基板Aは、例えば、ロウ材7を介して、外部回路基板B表面の配線回路層8に実装される。
【0041】
また、高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)から発生した熱を効率的に放熱するために、高周波増幅器(FAMP1、RAMP1)が実装されている部分の直下に誘電体基板1を貫通するサーマルビア9などを設けて、多層基板Aの底面に形成した導体層10に誘導し、この導体層10を外部回路基板B表面に形成された導体層8とロウ材7などで接続することによって、発生した熱をサーマルビア9、導体層19、ロウ材7を経由して配線回路層8に放熱することができる。
【0042】
(デュアルタイプ)
また、本発明によれば、無線通信機器が複数の周波数帯に対応可能とするためには、送信回路、受信回路を複数構成する必要がある。例えば、800MHz帯(CDMA)と2GHz帯(IMT−2000)で送受信を行う回路構成を図3をもとに説明する。
【0043】
まず、800MHz帯の送信信号は、RFIC(高周波集積回路)によって電力増幅された後、前段の高周波増幅器(FAMP1)によって電力増幅される。その後、送信用バンドパスフィルタ(TBPF1)によってフィルタリング処理(必要な帯域以外の周波数を有する信号のレベルが低減される)され、後段の高周波増幅器(RBPF1)にて送信信号が増幅される。出力信号は分波器(DPX1)の送信フィルタ(TXF1)によってフィルタリング処理され、分岐回路(DIP)を経てアンテナへ伝送される。
【0044】
一方、2GHz帯の送信信号は、RFIC(高周波集積回路)によって電力増幅された後、前段の高周波増幅器(FAMP2)によって電力増幅される。その後、送信用バンドパスフィルタ(TBPF2)によってフィルタリング処理(必要な帯域以外の周波数を有する信号のレベルが低減される)され、後段の高周波増幅器(RAMP2)にて送信信号が増幅される。出力信号は分波器(DPX2)の送信フィルタ(TXF2)によって、フィルタリング処理され、分岐回路(DIP)を経てアンテナへ伝送される。
【0045】
また、アンテナを介して受信された800MHz帯の受信信号は、分岐回路(DIP)で周波数分離された後、分波器(DPX1)の受信フィルタで、フィルタリング処理され、すなわち、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、低雑音増幅器(LNA1)で増幅されたのち、受信用バンドパスフィルタ(RBPF1)で再度、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、フロントエンドICに入力される。
【0046】
また、アンテナを介して受信された2GHz帯の受信信号は、分岐回路(DIP)で周波数分離された後、分波器(DPX2)の受信フィルタで、フィルタリング処理され、すなわち、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、低雑音増幅器(LNA2)で増幅されたのち、受信用バンドパスフィルタ(RBPF2)で再度、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、フロントエンドICに入力される。
【0047】
さらに、本発明によれば、上記回路に、GPS(global positioning system)機能を付加させることも可能である。その場合の回路構成について説明すると、図3に示すように、アンテナを介して受信されるGPS信号を、分岐回路(DIP)で分離された後、GPS用バンドパスフィルタ(GBPF)で、フィルタリング処理され、すなわち、必要な周波数帯域外の信号レベルが低減され、フロントエンドICに入力される。
【0048】
本発明によればこのようなデュアルバンド用、さらにはGPS機能を具備する場合においても、図3の点線で囲まれた領域を1つの多層基板に一体的に形成することによって大幅な小型化とともに、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることができる。また、一体化にあたっては、低雑音増幅器LNA1、LNA2、受信用バンドパスフィルタRBPF1、RBPF2、フロントエンドICを含め、さらにはRFICも含めて、前記送信回路と一体化することができる。
【0049】
この多層基板Aにおける誘電体基板1を構成する上記誘電体層1a〜1dは、例えばアルミナセラミックス、ムライトセラミックス、ガラスセラミックスなどの低温焼成セラミックスや、有機樹脂材料とセラミック材料との混合材料や、有機樹脂材料を用いることができる。とりわけ、導体としてCu、Agを使用し同時焼成にて形成する上では、ガラスセラミックスなどの低温焼成セラミックス、有機樹脂材料とセラミック材料との混合材料が挙げられ、熱的安定性に優れる点で、ガラスセラミックスなどの低温焼成セラミックスが最も望ましい。
【0050】
本発明に使用する高周波部に上述した送信回路及び送信モジュールを使用すれ極めて小型で、消費電力を抑えた各種無線通信機器を実現できる。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、送信用バンドパスフィルタを、高周波増幅器の前段と後段の間に挿入することにより、分波器の送信フィルタにおいて受信帯域の減衰特性を24dBm以上へと緩和することが可能となり、挿入損失は大幅に改善することができる。
【0052】
また高周波増幅器からアンテナ間で発生する損失を低減した結果、高周波増幅器から発生する出力を低減させることが可能となり、電流の低消費化を図ることができるため、通話時間の大幅な向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の送信回路を示すブロック図である。
【図2】本発明の送信モジュールを示すブロック図である。
【図3】本発明の移動無線装置を構成する高周波部のブロック図である。
【図4】従来の移動無線装置に用いられる送信回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
FAMP 前段高周波増幅器
RAMP 後段高周波増幅器
TBPF 送信用バンドパスフィルタ
DPX 分波器
Claims (8)
- 送信用バンドパスフィルタ、高周波増幅器、分波器を具備する送信回路であって、前記高周波増幅器が前段と後段に分けて形成されており、前記送信用バンドパスフィルタが、前段の高周波増幅器と後段の高周波増幅器の間に挿入されていることを特徴とする送信回路。
- 前記送信用バンドパスフィルタ及び分波器は、誘電体フィルタ、弾性表面波フィルタ、FBAR、BAWの1種で構成されていることを特徴とする請求項1記載の送信回路。
- 前記分波器の送信フィルタは、受信帯域の減衰量が24dB以上で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の送信回路。
- 異なった周波数帯の信号を分離するスイッチング回路または分岐回路を具備し、該スイッチング回路または分岐回路に、各周波数帯の信号を処理する請求項1乃至請求項3のいずれか記載の送信回路が接続されてなることを特徴とする送信回路。
- GPSの受信信号を処理するための受信回路と、異なった周波数帯の信号を分離するスイッチング回路または分岐回路を具備し、該スイッチング回路もしくは分岐回路に、各周波数帯の信号を処理する請求項1乃至請求項3のいずれか記載の送信回路が接続されてなることを特徴とする送信回路。
- 前記GPSの受信信号を処理するための受信回路が、該GPS信号と受信信号をフィルタリングするバンドパスフィルタを具備することを特徴とする送信回路。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか記載の送信回路を同一の多層基板に一体的に形成してなる送信モジュール。
- 請求項7記載の送信モジュールを具備することを特徴とする無線通信機器。
Priority Applications (1)
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JP2003045515A JP2004260254A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | 送信回路、送信モジュール及び無線通信機器 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9035453B2 (en) | 2005-02-28 | 2015-05-19 | Octec, Inc. | Semiconductor device |
-
2003
- 2003-02-24 JP JP2003045515A patent/JP2004260254A/ja active Pending
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