JP2004258539A - 画像形成装置、プロセスカートリッジ、及び帯電バイアス電圧制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】潜像担持体に帯電部材を接触させ、帯電部材に交流電圧を重畳した直流バイアス電圧を印加して潜像担持体を帯電して画像形成を実行する画像形成装置において、像担持体に付着した異物除去を効果的に行うと同時に、潜像担持体の長寿命化を図る。
【解決手段】印加可能な交流ピ−ク間電圧値を3段階以上有し、ピ−ク間電圧を切り替えて印加した際の交流電流の検知結果により選択されたピ−ク間電圧が印加可能な最大のピ−ク間電圧よりも2段階以上低い場合に、前回転の少なくとも一部においてプリント時のピ−ク間電圧よりも2段階以上高いピ−ク間電圧を印加する。
【選択図】図4
【解決手段】印加可能な交流ピ−ク間電圧値を3段階以上有し、ピ−ク間電圧を切り替えて印加した際の交流電流の検知結果により選択されたピ−ク間電圧が印加可能な最大のピ−ク間電圧よりも2段階以上低い場合に、前回転の少なくとも一部においてプリント時のピ−ク間電圧よりも2段階以上高いピ−ク間電圧を印加する。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセスカートリッジ着脱方式のプリンタや複写機等の画像形成装置、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ、及び帯電バイアス電圧制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、レーザビームプリンタや複写機に代表される電子写真方式を採用する画像形成装置が広く普及している。
【0003】
図25に一般的な画像形成装置の一例の概略構成を示した。本例の画像形成装置は電子写真方式を採用するプリンタである。10は潜像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)であり、矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0004】
感光ドラム10はその回転過程で帯電装置11による所定の極性・電位の一様な帯電処理を受け、次いで露光装置12による像露光19を受ける。これにより感光ドラム面に画像に対応した静電潜像が形成される。次いでその静電潜像は現像装置13により現像されてトナー像として顕像化される。その感光ドラム面のトナー像が不図示の給紙部から給送された紙等の記録媒体14に対して転写装置15にて転写される。トナー像の転写を受けた記録媒体14は感光ドラム面から分離されて定着装置16へ導入されてトナー像の定着処理を受けて画像形成物として排紙される。記録媒体分離後の感光ドラム面はクリーニング装置17により転写残トナーを掻き取られて清掃され、繰り返して作像に供される。
【0005】
画像形成装置は、上記の手段を用い、帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニングの各工程を繰り返して、画像形成を行っている。
【0006】
帯電装置11としては、ローラ型、ブレード型などの帯電部材を感光ドラム表面に接触させ、該接触帯電部材に電圧を印加して感光ドラム表面の帯電を行う接触帯電方式が広く採用されている。特に、ローラ型の帯電部材(帯電ローラ)を用いた接触帯電方式は、長期にわたって、安定した帯電を行うことができる。
【0007】
接触帯電部材としての帯電ローラに対しては、帯電バイアス印加手段から帯電バイアス電圧が印加される。該帯電バイアス電圧は直流電圧のみでも良いが、特許文献1に示されるような、所望のドラム上暗電位Vdに相当する直流電圧Vdcに、直流電圧印加時放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧(Vpp)をもつ交流電圧を重畳したバイアス電圧が用いられる場合が多い。
【0008】
この帯電方法は、感光ドラム上を均一帯電するのに優れており、直流電圧に対して交流電圧を重畳印加することによって感光ドラム上の局所的な電位ムラが解消され、感光ドラム表面の帯電電位Vdは、直流印加電圧値Vdcに均一に収束する。
【0009】
また、交流電圧印加により放電が行われるため、感光ドラム表面を削れ易くする効果もある。そして、ドラムに接触して設けられているクリーニング装置により、転写せずにドラム上に残留したトナーを除去すると同時に、感光ドラム表面を研磨する。これにより、感光ドラム表面に残留物が無いようにして次の画像工程に入ることが可能な状態にできる。
【0010】
少なくとも感光ドラム及び接触帯電手段を含み、画像形成装置から着脱可能としたプロセスカートリッジ方式を採用する場合、帯電不良が起こらないようにし、なおかつ大きなバイアスがかかりすぎないようにすることが望ましい。
【0011】
この要求に対しては、特許文献2に示されるような交流成分の定電流制御方式や、特許文献3に示されるような放電量算出方式を採用すれば良い。
【特許文献1】
特開昭63−149669号公報
【特許文献2】
特公平06−093150号公報
【特許文献3】
特開2001−201920号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法では、図26の(a)のように、1個の電圧昇圧手段T−ACで交流と直流の重畳電圧を出力しようとすると、交流ピーク間電圧が低下する高温多湿、耐久後半などの条件下において、コンデンサを十分にチャージしきれなくなり、所望の直流電圧を得ることができない。これによって、感光ドラムへの帯電が良好に行なわれず、帯電不良が発生するなどの弊害が発生する。
【0013】
ここで図26の(a)の回路を詳しく説明すると、交流成分を定電圧制御した場合、直流電圧は交流出力用の昇圧トランスT−AC(電圧昇圧手段)からダイオードDを介して、直流電圧作成用のコンデンサCをつなぎ、該コンデンサCをピークチャージさせることによって作成することが可能であるため、1個の電圧昇圧手段T−ACのみで交流と直流の重畳バイアスを出力することが可能である。
【0014】
上記方法を用いた場合、1個の電圧昇圧手段T−ACで交流と直流の重畳電圧を出力することには限界があり、安定した帯電バイアス電圧を得るためには、直流電源T−DCと交流電源T−ACを切り分け、図26の(b)に示されるように、直流用と交流用の2個の電圧昇圧手段を搭載する必要がある。
【0015】
しかしながら、電圧昇圧手段は帯電発生回路の中でも高価な上に大型であるため、特に小型、低コスト画像形成装置においては、電源回路の省スペース化、低コスト化の観点から、電圧昇圧手段1個で安定した帯電バイアス電圧を出力することが望ましいが、図26の(a)の構成では本体のバイアスのばらつき、帯電部材のインピーダンス、感光ドラムの膜厚等の影響を受けやすい点が課題となっていた。
【0016】
また、転写せずにドラム上に残ったトナーなどの異物は、通常クリーニング装置に到達した時点で掻き取られ、次の画像形成プロセスには影響を及ぼさない。しかし、異物が残ってしまうとその部分で帯電不良が起こったり、トナーがその部分に現像できなかったりすることで、画像不良が発生する。
【0017】
その一例として、以下のような現象がある。図27にゴムブレードを用い、感光ドラムに当接するクリーニング装置の例を示した。画像形成プロセス終了後、プロセス動作が停止すると、その時にブレードとドラムのニップ近傍にあったトナーやドラムの削れ粉などがブレードの当接圧によってドラム表面に押し付けられ、強く付着することになる。すると、次の画像形成プロセス起動時にその押し付けられた部分がすり抜ける場合があり、この場合ドラム上に異物が残った状態でドラムが回転することになる。このような状態になると、異物が付着したドラム上の位置(以下、位置Pと記す)と、異物が付着していないその他の位置とでは、クリーニングブレードが通過する際に表面の摩擦係数が変化することになる。すると、位置Pをクリーニングブレードが通過した際に、周りの部分との摩擦係数の違いにより、通過時瞬間的にドラムの走行速度が変化する。よって、位置Pをクリーニングブレードが通過する際に、レーザ露光対向位置となる位置(以下、位置Qと記す)で、露光ブレが発生することになるので、その位置に対応して画像上長手一様に白スジが現れることになる。その後、クリーニングブレードが位置Pを通過する度にこのような現象が起こると図28に示されるような感光ドラム1周期毎(図中Lで示した)に発生する横白スジとなる。
【0018】
本発明者らの検討によれば、この現象は高温環境であるほど顕著に発生することが分かった。
【0019】
クリーニングブレードが位置Pを通過する度に、異物も徐々に掻き取られることになるので、この現象は連続プリントを行うと1枚目よりは2枚目、2枚目よりは3枚目というように徐々にレベルが良化する傾向がある。また、ページ内では画像の先端ほどレベルが悪く、画像の後端になるほどレベルが良化していく。
【0020】
よって、この現象は画像形成前の感光ドラム回転時間を延長することで解決できることが分かる。すなわち、異物付着地点をクリーニングブレードが通過する回数を多くすれば異物を除去できることになる。
【0021】
しかしながら、この方法では画像形成までの時間が延びてしまうことになり、ユーザにとっては不便になってしまう欠点があった。
【0022】
ゆえに、本発明の目的は、コストアップやスペース拡大を抑制しつつ、潜像担持体上に異物が付着することがあっても、画像形成動作前に確実に除去して画像不良が発生しないようにするとともに、画像形成までの時間を長くすることないようにできる画像形成装置、該画像形成装置から着脱可能としたプロセスカートリッジ、及び帯電バイアス電圧制御方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記に示した課題は、下記に示した構成を特徴とする画像形成装置及びプロセスカートリッジ、帯電バイアス電圧制御方法である本発明によって解決可能である。
【0024】
(1)少なくとも、潜像担持体と、潜像担持体に接触し潜像担持体の帯電動作を行う帯電手段、潜像担持体に当接配置されるクリーニング手段を含んだプロセスカートリッジが画像形成装置本体から着脱可能であり、
プロセスカートリッジの帯電手段に1つの電圧昇圧手段でn(n≧3)段階の交流ピーク間電圧Vpp−(1)、・・・、Vpp−(n)(但し、Vpp−(1)>・・・>Vpp−(n))に直流の重畳バイアス電圧を出力可能な帯電バイアス電源回路を有し、
該帯電バイアス電源回路は少なくとも帯電バイアス電圧印加時に像担持体に流れる交流電流を検知する帯電交流電流検知手段を有し、
交流ピーク間電圧を切り替えて帯電手段に印加したときに潜像担持体に流れる帯電交流電流を検知し、必要以上かつ最も小さい電流値を検出したピーク間電圧を画像形成時の帯電交流バイアス電圧として選ぶ画像形成装置において、
印加可能な最大のピーク間電圧Vpp−(1)印加時は常に必要最小電流以上となり、
Vpp−(j)とVpp−(j+1)(ただし、n−1≧j≧1)の差分は、
220≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧40、
好ましくは
160≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧80
なる関係を満たし、
さらに、重畳される直流電圧Vdcと印加可能な最小のピーク間電圧Vpp−(n)は
Vpp−(n)≧2×|Vdc|
なる関係を満たし、
選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を前回転時の少なくとも一部において印加することを特徴とする画像形成装置。
【0025】
(2)選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、前回転時に印加する画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧の印加時間は、少なくとも潜像担持体が1回転以上回転動作を行う時間以上であることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
【0026】
(3)潜像担持体の表面層の平均分子量Mは、5000≦M≦40000なる関係を満足することを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0027】
(4)必要最小電流値とは、放電電流値δ≧1200(μA・sec/m^2)なる関係を満たす交流電流値Iacであることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0028】
ただし、放電電流値δは以下の式で定義される値である。
【0029】
δ=((Iac−α×Vpp)/L/Vps)
さらに、略号は以下に示すように定められる。
【0030】
Vps(m/sec):潜像担持体の走行速度
Vpp(V):交流電圧のピーク間電圧
Iac(μA):交流電圧印加時に流れる交流電流
L(m):帯電手段の長手方向帯電幅
α(1/Ω):交流V−I特性で、帯電開始電圧Vthの2倍以下でのピーク電圧Vppに対するIacの比。この時α=Iac/Vppで表される。
【0031】
(5)プロセスカートリッジの寿命検知手段の検知結果に応じて、選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、前回転工程の少なくとも一部において画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を印加するかしないかを判断することを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0032】
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載の画像形成装置から着脱可能であり、少なくとも潜像担持体とそれに接触する帯電手段及びクリーニング手段を含むことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0033】
(7)少なくとも、潜像担持体と、潜像担持体に接触し潜像担持体の帯電動作を行う帯電手段、潜像担持体に当接配置されるクリーニング手段を含んだプロセスカートリッジが画像形成装置本体から着脱可能であり、
プロセスカートリッジの帯電手段に1つの電圧昇圧手段でn(n≧3)段階の交流ピーク間電圧Vpp−(1)、・・・、Vpp−(n)(但し、Vpp−(1)>・・・>Vpp−(n))に直流の重畳バイアス電圧を出力可能な帯電バイアス電源回路を有し、
該帯電バイアス電源回路は少なくとも帯電バイアス電圧印加時に像担持体に流れる交流電流を検知する帯電交流電流検知手段を有し、
交流ピーク間電圧を切り替えて帯電手段に印加したときに潜像担持体に流れる帯電交流電流を検知し、そのときの交流電流値必要かつ最も小さい電流値を検出したピーク間電圧を画像形成時の帯電交流バイアス電圧として選ぶ画像形成装置において、
印加可能な最大のピーク間電圧Vpp−(1)印加時は常に必要最小電流以上となり、
Vpp−(j)とVpp−(j+1)(ただし、n−1≧j≧1)の差分は、
220≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧40
(n−1≧j≧1)、
好ましくは
160≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧80
(n−1≧j≧1)
なる関係を満たし、
さらに、重畳される直流電圧Vdcと印加可能な最小のピーク間電圧Vpp−(n)は
Vpp−(n)≧2×|Vdc|
なる関係を満たし、
選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を前回転時の少なくとも一部において印加することを特徴とする帯電バイアス電圧制御方法。
【0034】
(8)選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、前回転時に印加する画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧の印加時間は、少なくとも潜像担持体が1回転以上回転動作を行う時間以上であることを特徴とする(7)に記載の帯電バイアス電圧制御方法。
【0035】
(9)必要最小電流値とは、放電電流値δ≧1200(μA・sec/m^2)なる関係を満たす交流電流値Iacであることを特徴とする(7)または(8)に記載の帯電バイアス電圧制御方法。
【0036】
(10)プロセスカートリッジの寿命検知手段の検知結果に応じて、選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を印加するかしないかを判断することを特徴とする(7)から(9)のいずれかに記載の帯電バイアス電圧制御方法。
【0037】
(作 用)
少なくとも3段階以上の交流ピーク間電圧に直流電圧を重畳した帯電バイアスを印加可能な画像形成装置において、交流電流検知により選択された画像形成時の帯電交流バイアスが、印加可能な最大ピーク間電圧よりも2段階以上低いピーク間電圧が選択された場合に、画像形成前の前回転時の少なくとも一部において、画像形成時の帯電交流バイアスよりも2段階以上高いバイアスを印加することにより、前回転中に、感光ドラム上に残留する異物に起因する画像不良を除去できる。
【0038】
一方、画像形成時の帯電バイアスとして、印加可能な最大ピーク間電圧及び1段低い帯電バイアスが選択される場合は、こうした画像不良が起こりにくい状況であるため、前回転時に帯電バイアスを大きくすることなく、ドラム寿命を延ばすことができる。
【0039】
また、本発明の構成では電圧昇圧手段1つの構成で、交流と直流の重畳帯電バイアス電圧を出力可能であるため、回路のコストアップを抑制できると同時に、交流電流検知結果を用いて画像形成時の帯電バイアスを選択するため、本体高圧のばらつきや接触帯電手段、感光ドラムのインピーダンスばらつきによらず、適正な帯電バイアスを印加できる。
【0040】
さらにカートリッジの寿命検知手段の検知結果を併用することで、放電電流値増加に伴うドラム削れ増大やクリーニングブレードめくれなどの弊害も抑制できる。
【0041】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
本実施例の特徴は、印加可能な4種類の交流ピーク間電圧Vpp−(1)、Vpp−(2)、Vpp−(3)、Vpp−(4)に直流電圧を重畳したバイアスを出力可能な帯電バイアス発生回路と、帯電バイアス電圧印加時に感光ドラムに流れる帯電交流電流Iacを検知する交流電流検知手段とを有する画像形成装置において、画像形成時の帯電バイアスとしてVpp−(3)またはVpp−(4)が選択された場合、前回転の一部工程において感光ドラム3周分Vpp−(1)を印加する点にある。
【0042】
以下、本実施例の画像形成装置及びプロセスカートリッジの構成について説明する。
【0043】
(1)画像形成装置の構成と動作の概略
図2は本実施例の画像形成装置の概略構成図である。本実施例の画像形成装置は、電子写真方式を採用し、プロセスカートリッジを着脱可能としたプリンタである。
【0044】
10は潜像担持体たる回転ドラム型の電子写真感光体(感光ドラム)である。本例の感光ドラム10は、支持体となるアルミニウムの基体に、電荷発生層、さらには電荷輸送層を形成してなる。なお、ここでは電荷輸送層にはポリカーボネート樹脂を用いている。感光ドラム10は、不図示の駆動用モータによって矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0045】
感光ドラム10はその回転過程において、帯電装置によって負の所定電位になるように一様な帯電処理を受ける。本実施例での帯電装置は、帯電部材として帯電ローラ11を用いた接触帯電装置である。
【0046】
帯電ローラ11は、両端部を軸受け11−1により回転自在に保持されるとともに、加圧バネ11−2などの押圧手段によって、感光ドラム10の中心方向へ押圧され、感光ドラム10に対して従動回転する。帯電ローラ11に対しては、帯電バイアス電源21から、加圧バネ11−2、導電性軸受け11−1を介してバイアス電圧が印加される。帯電バイアス電圧には、放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧(Vpp)を有する交流電圧に、所望のドラム上電位Vdに相当する直流電圧Vdcを重畳印加する方式が用いられている。この帯電方法は、直流電圧に交流電圧を重畳印加することによって、感光ドラム上の局所的な電位ムラを解消し、感光ドラム上を直流印加電圧Vdcに等しい電位Vdに均一帯電することを狙いとしている。
【0047】
次いで、露光装置12による像露光を受ける。露光装置12は、均一帯電された感光ドラム10に静電潜像を形成するものであり、本例では、半導体レーザスキャナを用いている。露光装置12は、画像形成装置内のホスト装置(不図示)から送られてくる画像信号に対応して変調されたレーザ光19を出力して、後述するプロセスカートリッジCの露光窓部aを通して感光ドラム10の均一帯電面を走査露光(像露光)する。感光ドラム表面は露光箇所の電位の絶対値が帯電電位の絶対値に比べて低くなることによって、画像情報に応じた静電潜像が順次形成される。
【0048】
さらに、その静電潜像は反転現像装置13により現像され、感光ドラム10上においてトナー像として顕像化される。現像装置13は、感光ドラム10上の静電潜像を現像剤たるトナー13−1で現像することによって、静電潜像を可視化(反転現像)するものであり、本例では、ジャンピング現像方式を用いている。この方式では、不図示の現像バイアス電源から現像スリーブ13−3に対して交流と直流を重畳した現像バイアス電圧を印加することによって、現像剤層厚規制部材13−1と現像スリーブ13−3の接触箇所で摩擦帯電により負極性に帯電されたトナー13−1を感光ドラム表面の静電潜像に反転現像する。
【0049】
その感光ドラム面のトナー像が不図示の給紙部から給送された紙等の記録媒体(以下、転写材と記す)14に対して転写装置にて転写される。本例では、転写ローラ15を用いた接触転写装置を採用している。転写ローラ15は感光ドラム10に対して感光ドラム中心方向に不図示の押圧バネなどの付勢手段によって押圧されている。転写材14が搬送されて転写工程が開始されると、不図示の転写バイアス電源から転写ローラ15に対して正極性の転写バイアス電圧が印加され、負極性に帯電している感光ドラム10上のトナーは転写材14上に転写される。
【0050】
トナー像の転写を受けた転写材14は感光ドラム面から分離されて定着装置16へ導入されてトナー像の定着処理を受けて画像形成装置本体外へ排出される。定着装置16は、転写材14に転写されたトナー像を転写材上に永久画像に定着するものである。
【0051】
転写材分離後の感光ドラム面はクリーニング装置17により転写残トナーを掻き取られて清掃され、次の画像形成動作に画像不良が発生しないようにしている。本例のクリーニング装置17は、ウレタンゴムを板金に支持する構成としたクリーニングブレードを用いている。クリーニングブレードは、転写工程時に感光ドラム10から転写材14に転写し切れなかった転写残トナーをドラム上から回収するものであり、一定の圧力で感光ドラム10に当接し転写残トナーを回収することによって感光ドラム表面を清掃する。クリーニング工程終了後、感光ドラム表面は再び帯電工程に入る。
【0052】
画像形成装置は、上記の手段を用い、帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニングの各工程を繰り返して画像形成を行う。
【0053】
Cは画像形成装置本体20に対して着脱交換自在のプロセスカートリッジである。本例のプロセスカートリッジCは、潜像担持体としての感光ドラム10と、感光ドラム10に対する接触帯電部材としての帯電ローラ11と、現像装置13と、クリーニング装置17の4つのプロセス機器を内包させてプロセスカートリッジとしてある。
【0054】
プロセスカートリッジCは画像形成装置本体20のカートリッジドア(本体ドア)18を開閉して画像形成装置本体20に対して着脱される。装着はカートリッジドア18を開いて画像形成装置本体20内にプロセスカートリッジCを所定の要領にて挿入装着してカートリッジドア18を閉じ込むことでなされる。プロセスカートリッジCは画像形成装置本体20に対して所定の配置で装着されることで画像形成装置本体20側と機械的・電気的に連結した状態になる。
【0055】
プロセスカートリッジCの画像形成装置本体20からの取り外しはカートリッジドア18を開いて画像形成装置本体20内のプロセスカートリッジCを所定に引き抜くことでなされる。プロセスカートリッジCは抜き外された状態時にはドラムカバー(不図示)が閉じ位置に移動していて感光ドラム10の露出下面を隠蔽保護している。また露光窓部aもシャッタ板(不図示)で閉じ状態に保持されている。ドラムカバーとシャッタ板はプロセスカートリッジCが画像形成装置本体20内に装着された状態においてはそれぞれ開き位置に移動して保持される。
【0056】
ここで、プロセスカートリッジとは、少なくとも帯電手段、及びクリーニング手段と電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱可能とするものであるものをいう。本実施例のプロセスカートリッジは、加えて現像手段を含んで一体化し画像形成装置本体に対して着脱可能としている。
【0057】
(2)プリンタ動作シーケンス
図3を用いて本実施例におけるプリンタ動作シーケンスの概略を説明する。まず、着脱可能なプロセスカートリッジCを画像形成装置本体20に装着して、カートリッジドア18が閉じられた状態で、画像形成装置内の電源がオンになるとプレ回転工程が始まる。この工程では、メインモータが感光ドラムを回転駆動させている間に、プロセスカートリッジの有り無し検知、転写ローラのクリーニングなどが行なわれる。
【0058】
プレ回転が終了すると、画像形成装置は待機(スタンバイ)状態に入る。不図示のホストコンピュータなどの出力手段から画像情報が画像形成装置に送られると、メインモータは画像形成装置本体を駆動して画像形成前回転工程(以下、前回転工程と記す)に入る。前回転工程に於いては、諸プロセス機器の印字準備動作が行なわれ、主として、感光ドラム上の予備帯電、レーザスキャナの立ち上げ、転写プリントバイアスの決定、定着装置の温度調節などが行なわれる。
【0059】
前回転工程が終了すると、印字工程が開始される。印字工程では、所定タイミングで転写材の給紙、感光ドラム上の像露光、現像などが行なわれる。
【0060】
印字工程が終了すると、次のプリント信号がある場合、次の転写材が到達するまでの間の紙間工程に入り、次の印字動作を待つ。
【0061】
また、印字動作終了後に、次のプリント信号がない場合は、画像形成装置は後回転工程に入る。後回転工程では、感光ドラム表面の除電や、転写ローラに付着したトナーを感光ドラムへ吐き出す(転写ローラのクリーニング)などの工程が行われている。
【0062】
後回転工程が終了すると、画像形成装置は、再び待機(スタンバイ)状態となり、次のプリント信号を待つ。
【0063】
本実施例の画像形成装置においては、プレ回転時に帯電バイアスの選択を、前回転時には帯電電流の検知及び異物除去を行っている。これについては後で詳しく説明する。
【0064】
(3)帯電バイアス作成方法(帯電バイアス電源回路)
本例で用いた帯電バイアス電源回路21について、図4を用いて概念的に説明する。
【0065】
本例では、帯電バイアス電源回路21は、交流発振出力22から4種類の交流ピーク間電圧Vpp(Vpp−(1)>Vpp−(2)>Vpp−(3)>Vpp−(4))を出力できる。
【0066】
まず、交流発振出力22から出力された出力電圧は、増幅回路23で増幅され、オペアンプ、抵抗、コンデンサなどからなる正弦電圧変換回路24で正弦変換された後、コンデンサC1を介して直流成分をゼロにカットされ、電圧昇圧手段たる昇圧トランスT1に入力される。昇圧トランスT1に入力された電圧は、トランスの巻き数に応じた正弦電圧に昇圧される。
【0067】
他方、コンデンサC2には、前記の昇圧された正弦電圧が整流回路D1で整流された後、ピークチャージされる。これによって、ある一定の直流電圧Vdc1が発生する。さらに、直流発振出力25からは、印字濃度になどによって決まる出力電圧が出力され、整流回路26で整流された後、一定電圧VaとしてオペアンプIC1のマイナス入力端子に入力される。また、同時にオペアンプIC1のプラス入力端子には昇圧トランスT1の一方の端子電圧を抵抗R1と抵抗R2で分圧された電圧Vbが入力され、両者(VaとVb)の値が等しくなるようにトランジスタQ1を駆動する。これによって、抵抗R1と抵抗R2には電流が流れ電圧降下が生じ、直流電圧Vdc2が発生する。
【0068】
以上に説明した直流電圧Vdc1、Vdc2を足し合わせて所望の直流電圧が得られる。この直流電圧が、交流電圧昇圧手段T1の2次側で前述した交流電圧と重畳され、プロセスカートリッジC内の帯電ローラ11に印加される。
【0069】
ここで説明した方式では、昇圧手段であるトランスは1つで済むので、トランスを2つ用いる図26の(b)のような方式に比べ、コストダウンが図れる。
【0070】
ここで、最も大きなピーク間電圧となるVpp−(1)に関しては、あらゆる場合において感光ドラムの帯電不良の発生しないピーク間電圧としておく必要がある。一般には、ドラムの電荷輸送層の膜厚が厚いカートリッジ初期かつ電流が流れにくくなる低温環境において、帯電部材や印加ピーク間電圧のばらつきを考慮しても帯電不良を引き起こさないようなピーク間電圧をVpp−(1)として用いる必要がある。一方、耐久によりドラムの電荷輸送層の膜厚が減少してくると大きな電流が流れるようになるため、他のVpp−(2)、Vpp−(3)及びVpp−(4)では、Vpp−(1)よりも低いピーク間電圧として、ドラムに大きな電流が流れつづけることがないようにしている。
【0071】
さらに、本方式では、交流電圧昇圧手段T1を用いて直流電圧を作製しているので、直流電圧は交流ピーク間電圧Vppに対して従属の関係にある。つまり、所望の直流電圧Vdcを得るためには、交流電圧昇圧手段T1によってコンデンサC2に一定水準の電荷をチャージさせる必要があり、図5に示されるように、所望の直流電圧Vdcを得るためには、交流ピーク間電圧Vppは、2×|Vdc|以上でなければならない。交流ピーク間電圧Vppが、2×|Vdc|よりも小さい領域では、コンデンサC2は十分にチャージしきれないため所望の直流電圧Vdcを得ることができないので、ドラム上電位Vdを所望の値に帯電させることができなくなり、良好な画像を得ることができない。
【0072】
他方、コンデンサC2の静電容量を大きくすれば電荷チャージ量を多くしてVdcを大きくとれる方向だが、コンデンサC2に電荷がチャージされる時間が長くなり、帯電波形が安定化するのに要する時間が長くなるため、感光ドラム表面電位Vdにムラが生じる場合がある。
【0073】
ゆえに、本例においては、交流ピーク間電圧Vppの出力できる範囲の最小値Vpp−(4)が、所望の直流電圧Vdcに対してVpp−(4)≧2×|Vdc|なる関係が成り立つように設定している。
【0074】
(4)放電電流値について
感光ドラムに対する単位面積あたりの交流電流値φ、及び放電電流値δ(いずれも単位は、μA・sec/m^2)について説明する。以下、特に断りのない限り、単位面積あたりの放電電流値は、単に放電電流値と記すこととする。
【0075】
単位面積あたりの交流電流値φは、感光ドラムに流れる交流電流値Iac(μA)、感光ドラムの移動速度Vps(m/sec)、長手方向の帯電幅をL(m)としたときに、
φ=Iac/L/Vps
で表される。
【0076】
一般的な(帯電ローラ+感光ドラム)の電気特性を図6に示す。横軸は交流ピーク間電圧Vpp(V)、縦軸は交流電流値φ(μA)とすると、Vppが帯電開始電圧Vthの2倍までの領域では交流電流値φはほぼ直線的に増加し、比例関係が成り立っている。このときの傾きは交流アドミタンス(以下、αで記す)を示している。
【0077】
一方、VppがVthの2倍を越える領域では、比例関係は成り立たず、Vppが増えるほどφが著しく増加していることが分かる。比例関係からの増分は、放電開始によって交流電流値が増えていることによる。
【0078】
すなわち、図6の関係から、放電電流値δを算出することが可能である。
【0079】
δ=(Iac−α×Vpp)/L/Vps
で表されることになる。
【0080】
(5)放電電流値とドラム削れ、帯電性
感光ドラムの電荷輸送層は、平均分子量が小さすぎると削れ量が増大し寿命が保たなくなり、大きすぎても削れそのものが減って十分な研磨効果が期待できなくなる。ゆえに平均分子量としては、5000以上、40000以下となるものが良い。
【0081】
また、放電電流値が大きければ研磨効果はそれだけ大きくなるが、表面層の膜厚がある一定の値になると、もはや十分なバイアスを印加しても所定の電位に帯電させることができなくなってしまうので、放電電流値を大きくして削れ量をあまりに大きくすることは感光ドラムの寿命を縮めることになり、好ましくない。よって、放電電流値が大きくなりすぎないように帯電バイアスを設定するのが普通である。
【0082】
ここで、放電電流値と感光ドラムの表面電位の関係を図7に示した。狙いの電位は−650Vとしている。表面電位は、図中の175(μA・sec/m^2)程度から安定していることがわかる。しかし、175〜1200(μA・sec/m^2)くらいの領域では、画像上、黒ポチや白ポチといった局所的な画像不良が現れる。こういった不良は局所的に帯電が不十分な部分があることに起因し、表面電位等のマクロな計測では検出できない。よって、帯電電位を安定化させつつ、局所的な帯電不良も無いようにするためには1200(μA・sec/m^2)以上とすることが好ましい。
【0083】
以上より、画像形成時の放電電流値δは、1200(μA・sec/m^2)よりも大きく、かつできるだけ1200(μA・sec/m^2)に近い値となるように帯電バイアスを設定することが望ましい。
【0084】
(6)帯電交流電流値の測定
続いて、帯電交流電流値の測定方法について図4を用いて説明する。図4において、帯電ローラ11に帯電バイアス電圧が印加されると、交流電流Iacは帯電ローラ11、感光ドラム10を経て高圧電源回路のGNDに流れる。このとき、交流電流検知手段27は、この交流電流を、抵抗、コンデンサなどからなる不図示のフィルタ回路で帯電周波数に等しい周波数をもった交流電流のみを抽出し、これを電圧変換して、この電圧値をエンジンコントローラ28へ入力する。なお、この交流電流検知手段27は、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどから構成することができるので、電源回路のコスト増加、および、スペース拡大の影響は少ない。この変換された電圧と交流電流の関係をあらかじめ調べておけば、電圧を検知することで交流電流値の検知が可能になる。
【0085】
電流値が検知できれば、あらかじめ図6のような電圧−電流特性を調べておくことにより、電流値から放電電流値を知ることができる。よって、所望の放電電流値となるような電流値を定めておけば放電電流値の制御が可能である。
【0086】
(7)帯電バイアス制御機構
次に本実施例の帯電バイアスの制御機構について説明する。画像形成時においては、(5)及び(6)の項でも述べたように、帯電不良を起こさない必要最小電流値以上かつ最小の交流電流値となるようなピーク間電圧をVpp−(1)からVpp−(4)のうちから選択することになる。
【0087】
なお、電源投入後またはカートリッジ装着後のプレ回転時には、バイアス選択シーケンスを、画像形成動作前の前回転時には、電流検知シーケンスを行っている。以下、それぞれのシーケンスについて説明する。
【0088】
(プレ回転時バイアス選択シーケンス)
プレ回転時の帯電バイアス選択シーケンスのフローチャートを図8に示す。電源投入またはカートリッジ装着後ドアが閉じられると、これを検知することによりプレ回転工程に入る。まず、印加可能な最も小さいピーク間電圧Vpp−(4)を印加する。
【0089】
交流電流検知手段27は、このとき流れる感光体と帯電ローラに流れる交流電流Iac−(4)を検知電圧V4に変換しエンジンコントローラ28にフィードバックする。カートリッジ有り無しの基準交流電流値をIac−(x)、そのときの検知電圧をVxとすると、V4<Vxであった場合はプロセスカートリッジ未装着と判断し、ユーザに報知する。
【0090】
一方、必要最小交流電流Iac−(0)、そのときの検知電圧をV0とすると、V4≧V0であったときは、Vpp−(4)をプリント時の帯電バイアスとして選択する。V4<V0のときは、次に高いピーク間電圧Vpp−(3)を印加し、そのときの電流Iac−(3)に対応する検知電圧V3が、V3≧V0であれば、Vpp−(3)を帯電バイアスとして選択する。V3<V0であれば、さらに高いピーク間電圧Vpp−(2)を印加し、V2≧V0であれば、帯電バイアスをVpp−(2)に定める。V2<V0であれば、Vpp−(1)を帯電バイアスに定める。
【0091】
ここで、Vpp−(1)印加時の検知電圧V1は常にV1≧V0を満たすようにしておく。これにより、いかなる状況下でも帯電不良が起こることはないようにできる。また、バイアス印加の順序は上記の通りでなくても良い。
【0092】
ここで、ピーク間電圧を切り替えて帯電バイアスを印加する場合、ドラムや帯電部材の周方向ムラなどを考えると、少なくとも少なくともドラム1周分以上印加し、電流検知を行うことが望ましい。
【0093】
(前回転時の電流検知シーケンス)
前回転時の帯電電流検知シーケンスのフローチャートを図9に示す。ここでは1枚プリント時のシーケンスを示した。
【0094】
ここでの特徴は、プレ回転時やその前のプリントジョブで選択された帯電バイアスよりも1段低い帯電バイアスを前回転時に印加して、そのときに流れる交流電流を検知し、プリント時の帯電バイアスを1段下げられるかを確認している点にある。
【0095】
プリントコマンドがエンジンコントローラに送られると、前回転動作に入る。このときに予備帯電を行うが、この予備帯電の一部でプリント時の帯電バイアスとして選択されている帯電バイアスVpp−(i)(ただし、i=1,2,3)よりも1段低いVpp−(i+1)(以下電流検知バイアスと記す)を印加し、そのときに流れる交流電流Iac−(i)に対応する検知電圧Viが基準電圧V0を上回っていたら、その後のプリント時の帯電バイアスをVpp−(i+1)、上回っていなければ帯電バイアスをVpp−(i)のままとすればよい。
【0096】
これにより、帯電バイアスの切り替えを特別なシーケンスを用いることなく行えることになる。一方、帯電バイアスが最も低いVpp−(4)であった場合はこれ以上下げられないので、Vpp−(4)のままとなる。
【0097】
また、後回転時はもっとも小さいVpp−(4)を印加するようにしておくことにより、ドラムへのダメージを抑制する構成とすることができる。
【0098】
前回転時に1段低い帯電バイアスを印加する場合も、ドラムや帯電部材の周方向ムラなどを考えると、少なくとも少なくともドラム1周分以上印加し、電流検知を行うことが望ましい。
【0099】
前回転時の検知バイアス印加後は、プリント時に選択される帯電バイアスにより、印加される帯電バイアスが変化する。詳細は後述する。
【0100】
(8)効 果
本実施例の効果を他の帯電バイアス制御と比較することで示す。
【0101】
(8)−1 カートリッジ初期での帯電バイアス選択
印加可能なピーク間電圧が1段階の定電圧制御を用いる場合、実際に必要最小となるピーク間電圧に公差分を上乗せしたピーク間電圧を中心値に定めることになる。こうすることで、電流が流れにくい低温低湿環境で、感光ドラムの膜厚が厚いカートリッジ使用初期において、バイアスや帯電部材のインピーダンスがばらついても帯電不良が起こらないようにできる。しかし、より電流が流れる高温高湿環境では電流が流れ過ぎるほか、必要最小以上のバイアスが印加されることになり、必ずしも最適な帯電バイアスを印加しているとはいえなかった。
【0102】
ここで、定電圧制御と本実施例で用いている定電圧切り替え制御の比較を示す。なお、カートリッジは使用初期の状態とした。ここでは、高温高湿環境:30℃、80%(以下H/Hと記す)、常温常湿環境:20℃、50%(以下J/Jと記す)、低温低湿環境:15℃、15%(以下L/Lと記す)としている。図10を用いて説明する。
【0103】
定電圧制御:Vpp=2000V
定電圧切り替え:Vpp=2000V、1900V、1800V、1700V印加可能
(L/L及びJ/J)
実際にL/Lでは、1900V印加で帯電不良が発生しない交流電流が得られるが、定電圧値の公差(±100Vとした)を見込むと、1つのピーク間電圧のみ印加可能とする定電圧制御では1900Vよりも高い値(=2000V)を中心値に定めざるを得ない。
【0104】
これに対し、定電圧切り替えでは、印加したときの交流電流値を検知し必要最小交流電流との比較を行った結果を基に、1900Vを印加することが可能である。
【0105】
J/Jでは、同じ1900V印加でもL/Lよりも電流が多く流れるが、1800V印加では帯電不良が発生する領域である。よって、帯電不良の発生しない最小のピーク間電圧は1900Vとなる。
【0106】
(H/H)
H/Hでは、J/Jよりもさらに電流が流れることになる。今度は1800V印加でも問題ないが、定電圧制御では公差に加え、L/Lなどでも帯電不良を発生しないようにする必要があるため、定電圧値としては2000Vとするしかない。これに対し、定電圧切り替え制御では同様にして1800V印加が可能である。
【0107】
以上述べてきたように、定電圧切り替え制御においては、カートリッジ初期においてL/L及びJ/Jでは定電圧制御よりもおおむね1段低いバイアスを、H/Hでは2段低いバイアスを印加することが可能になることがわかる。また、感光ドラム使用初期には、選択された帯電バイアスを元に大まかではあるが環境検知が可能になることもわかる。
【0108】
ドラムの膜厚が減ってくると、電流が多く流れるようになるため、印加Vppはより小さいものが選ばれることになる。図10に示した例では、Vpp−(1)(=2000V)は印加されないことになるが、先にも述べたVpp−(1)自体のばらつきなどを考えると必ず帯電不良を起こさない電圧として必要である。
【0109】
(8)−2 前回転時異物除去シーケンス
本実施例では、プリント時よりも1段低い帯電バイアスを前回転時に印加して電流検知を行った後、選択される帯電バイアスに応じて異物除去シーケンスを行うのが大きな特徴である。
【0110】
この異物除去シーケンスについては、以下のような検討を行い決定した。
【0111】
(実験1)
環境:H/H、L/L
プロセススピード:100mm/sec
帯電周波数:920Hz
カートリッジ:100枚プリント後(初期)
クリーニングブレード当接圧:45N/m
画像チェック:画像進行方向1600mm、長手方向216mmの紙を通紙し、ハーフトーン画像(1ドット1スペース横線、600dpi)をプリント
前回転電流検知:プリント時よりも1段低いバイアスをドラム1周分印加
前回転時電流検知後の印加Vpp:2000V、1900V、1800V、1700V(可変)
電流検知後:上記Vppをドラム3周分印加
この場合、H/Hでは先に示した図10から、プリント時の帯電バイアスとして1800Vが、L/Lでは1900Vが選択されることになるので、電流検知バイアスは、H/Hで1700V、L/Lで1800Vとなる。シーケンスとしてはH/Hが図11の(a)、L/Lが図11の(b)のようになる。
【0112】
図12に、横軸を印加Vpp、縦軸を発生したスジの本数をプロットした結果を示す。H/H環境では、印加Vpp=1900V以下では画像上横白スジが発生しているのに対し、印加Vpp=2000Vであれば、スジが発生していないことがわかる。この理由については、図13に示したようにVppを大きくすることで放電電流値が増大していることにより、ドラムの表面に付着した異物が放電により除去されていることによると考えられる。図14に、横軸を放電電流値でプロットし直した結果を示す。この結果からも分かるように、放電電流値が大きくなるほどスジが発生しにくくなっていることが分かる。
【0113】
一方、L/Lでは、印加Vppに依らずスジが発生していない。このことから、スジ発生には環境依存性があることがわかる。この原因については、H/H環境では転写せずにドラム上に残留するトナーが増えること、ブレードのゴムが軟化してニップ部のトナーがすり抜けやすくなることなどが挙げられる。
【0114】
よって、異物除去を行うシーケンスとしては前回転時に2000V(=Vpp−(1))を印加するように設定するのがよいということがわかる。よって、本実施例では先の結果などを踏まえ、プリント時の帯電バイアスが1800Vまたは1700Vの時に、前回転の電流検知後異物除去を行うために2000Vを印加するようにした。なお、異物除去のシーケンスの間は停止時のブレード−ドラムの当接部が少なくとも1回以上帯電ローラ−ドラムのニップを通過する必要がある。よって本実施例では3回、帯電ローラ−ドラムのニップを通過するようにしている。
【0115】
以上の構成とすることにより、効果的に異物除去が行えることがわかる。
【0116】
故に、本実施例での帯電バイアス印加シーケンスは図1−a、図1−b、図1−c、図1−dのようになる。
【0117】
本実施例と以下の比較例で、H/H及びL/Lの両環境で、カートリッジ初期の状態でスジ除去の効果を確認した。このとき電流検知によって選択される画像形成時の帯電印加バイアスはH/Hでは1800V、L/Lでは1900Vであり、電流検知バイアスはH/Hで1700V、L/Lで1800V印加となる。結果を表1に示した。
【0118】
比較例1:2000V定電圧制御
比較例2:前回転時常に電流検知バイアス
【0119】
【表1】
【0120】
比較例2ではH/Hで横白スジが発生しているのに対し、前回転時2000V印加を行う本実施例及び比較例1では横白スジが発生せず優れていることがわかる。
【0121】
(8)−3 ドラム寿命
本実施例と前項で示した比較例を用いてドラム寿命の検討を行った。また、途中でハーフトーン画像をサンプリングすることで白スジの発生状況も合わせて確認した。
【0122】
(実験2)
比較例1及び比較例2の帯電バイアス印加シーケンスはそれぞれ図15、図16−a、図16−b、図16−c、図16−dのようになる。このとき、H/H及びL/Lで1枚間欠耐久を行い、ドラム寿命を確認した。このときの本実施例及び比較例1の交流電流値推移を図17(H/H)及び図18(L/L)に示した。実線が定電圧切り替え制御であり、破線が2000V定電圧制御である。ドラム寿命の結果を表2に、2K枚ごとにサンプリングした白スジ発生状況の結果を表3に示す。ただし、初期のみ0.1K枚時のサンプリングとした。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
ドラム寿命だけを見れば比較例2が優れているが、先にも示したようにH/Hでは白スジが発生した。
【0126】
一方、本実施例、比較例1では耐久を通じて白スジは発生しなかった。ただし、比較例1の6K枚時サンプリングは5.2Kでドラム寿命となったため、サンプリングできなかった。寿命と画像の点から考えて本実施例が最も優れているといえる。
【0127】
定電圧制御では電流が多く流れるH/H環境において耐久後半急激に電流が増大して早く寿命を迎えるのに対し、定電圧切り替え制御では必要最低電流を下回らないようにして印加Vppを切り替えていくことでドラム寿命が延ばせることがわかる。
【0128】
以上の構成とすることで、H/Hでは常に異物除去シーケンスが行われる状態になるので、横白スジが発生しないようにできると同時に定電圧制御に比べてドラム寿命を大幅に延ばすことができる。
【0129】
本例では、ピーク間電圧の刻み値を100Vとしたが、あまり大きすぎると図19に示したように流れる電流が大きくなりすぎてから切り替えを行うことになり、ドラム寿命が短くなってしまう。
【0130】
一方、刻み値が小さすぎると、図20に示したように比較的早い段階に切り替えが行われることになり、ドラム寿命後半での削れ増大が加速することになる。また、刻み値をあまりに増やすことは基板上の回路面積が増大することになるので、好ましくない。以上より、ピーク間電圧の刻みは40V以上220V以下、好ましくは80V以上160V以下とすることが望ましい。
【0131】
以上より、電流検知を元に帯電バイアス選択を行うことにより、簡易的な環境検知が行え、この結果を元に異物除去シーケンスを行うか行わないか判断できるので、画像不良発生防止とドラム長寿命化が図れることが示された。
【0132】
本実施例では、4段階のピーク間電圧を印加可能な帯電バイアス設定としたが、3段階以上であれば本発明の効果が発揮される構成とすることができる。また、本実施例で帯電バイアスVpp−(4)印加時は異物除去バイアスをVpp−(2)としても十分な放電電流値が得られるので、Vpp−(1)の代わりに印加してもよい。
【0133】
つまり、最大のピーク間電圧Vpp−(1)よりも2段階以上低いバイアスVpp−(i)(ただしi≧3)がプリント時のバイアスとして選択される場合、Vpp−(i)よりも2段階以上高いピーク間電圧となるVpp−(j)(ただしj≧i−2)なるバイアスを前回転時印加すれば、異物起因の横白スジ発生を抑制できることになる。
【0134】
(第2の実施例)
本実施例では、カートリッジの寿命検知手段の検知結果より異物除去シーケンスを行うか行わないか判断している点が大きな特徴である。第1実施例と同様の構成を用いる部分については同様の符号を付し説明を省略する。
第1実施例の項でも説明したように、電流値検知を用いた定電圧値切り替えによる帯電制御では、カートリッジ寿命末期においては最も低いVpp−(4)を印加することになる。この状態になれば、もはや定電圧値Vpp−(4)の定電圧制御と変わらなくなるため、プリントジョブが行われるほど放電電流値が増大することになる。
【0135】
放電電流値が増大するとドラムの削れ量が増えるほか、クリーニングブレードが振動することによりめくれやすくなるなど別の弊害も生じてくる。この状態で前回転の一部でVpp−(1)を印加すると、このような弊害がより起こりやすい状態になってしまう。とくに早い段階でVpp−(4)印加となるH/Hではより顕著である。
【0136】
さらに、異物起因の横白スジは放電電流値が大きくなると発生しなくなるのは先にも述べたとおりであり、図21にも示したようにドラムの電荷輸送層の膜厚が削れにより変化すると同じ電流値でも放電電流値が異なってくるので、寿命末期で放電電流値が増える傾向にある。すると、もはや異物除去シーケンスを行わなくても十分な放電電流値が得られることになり、異物起因の横白スジも発生しなくなる。
【0137】
よって、画像形成時のバイアスがVpp−(3)やVpp−(4)であってもカートリッジの寿命検知手段による検知結果で、所定の寿命に達していると判断されれば、異物除去シーケンスを行わないようにすることで、さらなるドラムの長寿命化や、クリーニングブレードめくれといった弊害の抑制が図れることになる。
【0138】
本実施例では、寿命検知手段の一例として定電圧印加時の電流値増加を用いてドラム寿命を判定する手段を採用した。これは図22にも示したように定電圧印加時、耐久によりドラムの膜厚が減少するのに伴い、ドラムと帯電手段に流れる交流電流が増大していくことを用いたものである。つまり、一定の膜厚に達したところで、そのときに流れる交流電流を規定することで寿命判定が行えることになる。
【0139】
(実験3)
ここで、H/H環境において図23のような電流値耐久推移を示す場合に、プリント枚数P1の時点で、第1実施例の(実験1)と同じ手法でスジが発生するか検討を行った。なお、P1の時点ではVpp−(4)印加時の交流電流値は閾値Iacthを超えているので、本実施例では異物除去シーケンスを行わないようにした。一方、比較例として用いる第1実施例では異物除去シーケンスを行っている。
【0140】
結果を表4に示した。
【0141】
【表4】
【0142】
これよりどちらの場合でもスジは発生していないことがわかる。このとき、図24に示したVpp−(4)印加時の放電電流値の推移から、Vpp−(3)からVpp−(4)に切り替わったプリント枚数P0時点に比べ、プリント枚数P1の時点ではVpp−(4)印加時でも放電電流値は十分に大きくなっているので、スジが発生しなくなっていることがわかる。
【0143】
(実験4)
同様に、第1実施例の(実験2)と同様にドラム寿命の検討を行った。その結果を表5に示す。
【0144】
【表5】
【0145】
前回転時Vpp−(1)を印加する期間が短くなる分、第1実施例に比べても寿命を延ばせることがわかる。
【0146】
以上より、第1実施例で述べた構成よりも、さらにドラムへのダメージを低減しつつ画像不良が発生しない構成とすることができることが示された。
【0147】
なお、ここでは定電圧制御時の電流値変化を用いてドラム寿命を判断する方法をカートリッジの寿命判定に用いたが、ドラムの帯電印加時間やプリント枚数などを用いても良い。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電流検知による定電圧切り替えにおいて選択されたピーク間電圧の値により、異物除去シーケンスを行うか行わないかを判断することができるので、異物起因の画像不良を発生しないようにしつつドラムの寿命を延ばすことが可能になる。
【0149】
また、カートリッジの寿命に応じてこのシーケンスを動作させるかを判断することで、寿命末期でのドラム削れの増大や、クリーニングブレードめくれなどの弊害も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1−a】第1実施例の画像形成装置の帯電シーケンス(Vpp−(4)選択時)
【図1−b】第1実施例の画像形成装置の帯電シーケンス(Vpp−(3)選択時)
【図1−c】第1実施例の画像形成装置の帯電シーケンス(Vpp−(2)選択時)
【図1−d】第1実施例の画像形成装置の帯電シーケンス(Vpp−(1)選択時)
【図2】第1実施例の画像形成装置を示す図
【図3】画像形成装置動作シーケンス概略図
【図4】帯電バイアス電源回路を説明する概念図
【図5】交流ピーク間電圧と出力可能な直流電圧との関係を示す図
【図6】(帯電ローラ+感光ドラム)の電気特性と放電電流値の説明
【図7】放電電流値と感光ドラムの表面電位の関係
【図8】プレ回転時の帯電バイアス選択フローチャート
【図9】前回転時の帯電バイアス選択フローチャート
【図10】環境毎のカートリッジ初期での帯電バイアス選択
【図11】実験1の帯電バイアス印加シーケンス
【図12】帯電Vppと白スジ発生本数の関係
【図13】帯電Vppと放電電流値の関係
【図14】放電電流値と白スジ発生本数の関係
【図15】第1実施例の比較例1での帯電印加シーケンス
【図16−a】第1実施例の比較例2での帯電印加シーケンス(Vpp−(4)選択時)
【図16−b】第1実施例の比較例2での帯電印加シーケンス(Vpp−(3)選択時)
【図16−c】第1実施例の比較例2での帯電印加シーケンス(Vpp−(2)選択時)
【図16−d】第1実施例の比較例2での帯電印加シーケンス(Vpp−(1)選択時)
【図17】H/H環境での本実施例及び比較例1の交流電流値推移
【図18】L/L環境での本実施例及び比較例1の交流電流値推移
【図19】印加可能なピーク間電圧の刻み値が大きい場合
【図20】印加可能なピーク間電圧の刻み値が小さい場合
【図21】同じ電流値に対する放電電流値の耐久推移
【図22】感光ドラムの膜厚と交流電流の関係
【図23】第2実施例におけるH/H環境での電流値耐久推移
【図24】第2実施例におけるH/H環境でのVpp−(4)印加時の放電電流値推移
【図25】従来の画像形成装置例の構成を説明する図
【図26】従来の帯電バイアス電源回路を説明する概念図
【図27】クリーニングブレード当接部に異物が付着する様子
【図28】横白スジ発生画像
【符号の説明】
10・・感光ドラム(潜像担持体)、11・・帯電手段、11−1・・軸受け、11−2・・加圧バネ、12・・露光手段、13・・現像装置、13−1・・トナー、13−2・・現像剤層厚規制部材、13−3・・現像スリーブ、14・・転写材、15・・転写手段、16・・定着手段、17・・クリーニング手段、18・・カートリッジドア、19・・レーザ露光、20・・画像形成装置本体、21・・帯電バイアス電源、22・・交流発振出力、23・・増幅回路、24・・正弦電圧変換回路、25・・直流発振出力、26・・整流回路、27・・交流電流検知回路、28・・エンジンコントローラ、C・・プロセスカートリッジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセスカートリッジ着脱方式のプリンタや複写機等の画像形成装置、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ、及び帯電バイアス電圧制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、レーザビームプリンタや複写機に代表される電子写真方式を採用する画像形成装置が広く普及している。
【0003】
図25に一般的な画像形成装置の一例の概略構成を示した。本例の画像形成装置は電子写真方式を採用するプリンタである。10は潜像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)であり、矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0004】
感光ドラム10はその回転過程で帯電装置11による所定の極性・電位の一様な帯電処理を受け、次いで露光装置12による像露光19を受ける。これにより感光ドラム面に画像に対応した静電潜像が形成される。次いでその静電潜像は現像装置13により現像されてトナー像として顕像化される。その感光ドラム面のトナー像が不図示の給紙部から給送された紙等の記録媒体14に対して転写装置15にて転写される。トナー像の転写を受けた記録媒体14は感光ドラム面から分離されて定着装置16へ導入されてトナー像の定着処理を受けて画像形成物として排紙される。記録媒体分離後の感光ドラム面はクリーニング装置17により転写残トナーを掻き取られて清掃され、繰り返して作像に供される。
【0005】
画像形成装置は、上記の手段を用い、帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニングの各工程を繰り返して、画像形成を行っている。
【0006】
帯電装置11としては、ローラ型、ブレード型などの帯電部材を感光ドラム表面に接触させ、該接触帯電部材に電圧を印加して感光ドラム表面の帯電を行う接触帯電方式が広く採用されている。特に、ローラ型の帯電部材(帯電ローラ)を用いた接触帯電方式は、長期にわたって、安定した帯電を行うことができる。
【0007】
接触帯電部材としての帯電ローラに対しては、帯電バイアス印加手段から帯電バイアス電圧が印加される。該帯電バイアス電圧は直流電圧のみでも良いが、特許文献1に示されるような、所望のドラム上暗電位Vdに相当する直流電圧Vdcに、直流電圧印加時放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧(Vpp)をもつ交流電圧を重畳したバイアス電圧が用いられる場合が多い。
【0008】
この帯電方法は、感光ドラム上を均一帯電するのに優れており、直流電圧に対して交流電圧を重畳印加することによって感光ドラム上の局所的な電位ムラが解消され、感光ドラム表面の帯電電位Vdは、直流印加電圧値Vdcに均一に収束する。
【0009】
また、交流電圧印加により放電が行われるため、感光ドラム表面を削れ易くする効果もある。そして、ドラムに接触して設けられているクリーニング装置により、転写せずにドラム上に残留したトナーを除去すると同時に、感光ドラム表面を研磨する。これにより、感光ドラム表面に残留物が無いようにして次の画像工程に入ることが可能な状態にできる。
【0010】
少なくとも感光ドラム及び接触帯電手段を含み、画像形成装置から着脱可能としたプロセスカートリッジ方式を採用する場合、帯電不良が起こらないようにし、なおかつ大きなバイアスがかかりすぎないようにすることが望ましい。
【0011】
この要求に対しては、特許文献2に示されるような交流成分の定電流制御方式や、特許文献3に示されるような放電量算出方式を採用すれば良い。
【特許文献1】
特開昭63−149669号公報
【特許文献2】
特公平06−093150号公報
【特許文献3】
特開2001−201920号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法では、図26の(a)のように、1個の電圧昇圧手段T−ACで交流と直流の重畳電圧を出力しようとすると、交流ピーク間電圧が低下する高温多湿、耐久後半などの条件下において、コンデンサを十分にチャージしきれなくなり、所望の直流電圧を得ることができない。これによって、感光ドラムへの帯電が良好に行なわれず、帯電不良が発生するなどの弊害が発生する。
【0013】
ここで図26の(a)の回路を詳しく説明すると、交流成分を定電圧制御した場合、直流電圧は交流出力用の昇圧トランスT−AC(電圧昇圧手段)からダイオードDを介して、直流電圧作成用のコンデンサCをつなぎ、該コンデンサCをピークチャージさせることによって作成することが可能であるため、1個の電圧昇圧手段T−ACのみで交流と直流の重畳バイアスを出力することが可能である。
【0014】
上記方法を用いた場合、1個の電圧昇圧手段T−ACで交流と直流の重畳電圧を出力することには限界があり、安定した帯電バイアス電圧を得るためには、直流電源T−DCと交流電源T−ACを切り分け、図26の(b)に示されるように、直流用と交流用の2個の電圧昇圧手段を搭載する必要がある。
【0015】
しかしながら、電圧昇圧手段は帯電発生回路の中でも高価な上に大型であるため、特に小型、低コスト画像形成装置においては、電源回路の省スペース化、低コスト化の観点から、電圧昇圧手段1個で安定した帯電バイアス電圧を出力することが望ましいが、図26の(a)の構成では本体のバイアスのばらつき、帯電部材のインピーダンス、感光ドラムの膜厚等の影響を受けやすい点が課題となっていた。
【0016】
また、転写せずにドラム上に残ったトナーなどの異物は、通常クリーニング装置に到達した時点で掻き取られ、次の画像形成プロセスには影響を及ぼさない。しかし、異物が残ってしまうとその部分で帯電不良が起こったり、トナーがその部分に現像できなかったりすることで、画像不良が発生する。
【0017】
その一例として、以下のような現象がある。図27にゴムブレードを用い、感光ドラムに当接するクリーニング装置の例を示した。画像形成プロセス終了後、プロセス動作が停止すると、その時にブレードとドラムのニップ近傍にあったトナーやドラムの削れ粉などがブレードの当接圧によってドラム表面に押し付けられ、強く付着することになる。すると、次の画像形成プロセス起動時にその押し付けられた部分がすり抜ける場合があり、この場合ドラム上に異物が残った状態でドラムが回転することになる。このような状態になると、異物が付着したドラム上の位置(以下、位置Pと記す)と、異物が付着していないその他の位置とでは、クリーニングブレードが通過する際に表面の摩擦係数が変化することになる。すると、位置Pをクリーニングブレードが通過した際に、周りの部分との摩擦係数の違いにより、通過時瞬間的にドラムの走行速度が変化する。よって、位置Pをクリーニングブレードが通過する際に、レーザ露光対向位置となる位置(以下、位置Qと記す)で、露光ブレが発生することになるので、その位置に対応して画像上長手一様に白スジが現れることになる。その後、クリーニングブレードが位置Pを通過する度にこのような現象が起こると図28に示されるような感光ドラム1周期毎(図中Lで示した)に発生する横白スジとなる。
【0018】
本発明者らの検討によれば、この現象は高温環境であるほど顕著に発生することが分かった。
【0019】
クリーニングブレードが位置Pを通過する度に、異物も徐々に掻き取られることになるので、この現象は連続プリントを行うと1枚目よりは2枚目、2枚目よりは3枚目というように徐々にレベルが良化する傾向がある。また、ページ内では画像の先端ほどレベルが悪く、画像の後端になるほどレベルが良化していく。
【0020】
よって、この現象は画像形成前の感光ドラム回転時間を延長することで解決できることが分かる。すなわち、異物付着地点をクリーニングブレードが通過する回数を多くすれば異物を除去できることになる。
【0021】
しかしながら、この方法では画像形成までの時間が延びてしまうことになり、ユーザにとっては不便になってしまう欠点があった。
【0022】
ゆえに、本発明の目的は、コストアップやスペース拡大を抑制しつつ、潜像担持体上に異物が付着することがあっても、画像形成動作前に確実に除去して画像不良が発生しないようにするとともに、画像形成までの時間を長くすることないようにできる画像形成装置、該画像形成装置から着脱可能としたプロセスカートリッジ、及び帯電バイアス電圧制御方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記に示した課題は、下記に示した構成を特徴とする画像形成装置及びプロセスカートリッジ、帯電バイアス電圧制御方法である本発明によって解決可能である。
【0024】
(1)少なくとも、潜像担持体と、潜像担持体に接触し潜像担持体の帯電動作を行う帯電手段、潜像担持体に当接配置されるクリーニング手段を含んだプロセスカートリッジが画像形成装置本体から着脱可能であり、
プロセスカートリッジの帯電手段に1つの電圧昇圧手段でn(n≧3)段階の交流ピーク間電圧Vpp−(1)、・・・、Vpp−(n)(但し、Vpp−(1)>・・・>Vpp−(n))に直流の重畳バイアス電圧を出力可能な帯電バイアス電源回路を有し、
該帯電バイアス電源回路は少なくとも帯電バイアス電圧印加時に像担持体に流れる交流電流を検知する帯電交流電流検知手段を有し、
交流ピーク間電圧を切り替えて帯電手段に印加したときに潜像担持体に流れる帯電交流電流を検知し、必要以上かつ最も小さい電流値を検出したピーク間電圧を画像形成時の帯電交流バイアス電圧として選ぶ画像形成装置において、
印加可能な最大のピーク間電圧Vpp−(1)印加時は常に必要最小電流以上となり、
Vpp−(j)とVpp−(j+1)(ただし、n−1≧j≧1)の差分は、
220≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧40、
好ましくは
160≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧80
なる関係を満たし、
さらに、重畳される直流電圧Vdcと印加可能な最小のピーク間電圧Vpp−(n)は
Vpp−(n)≧2×|Vdc|
なる関係を満たし、
選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を前回転時の少なくとも一部において印加することを特徴とする画像形成装置。
【0025】
(2)選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、前回転時に印加する画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧の印加時間は、少なくとも潜像担持体が1回転以上回転動作を行う時間以上であることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
【0026】
(3)潜像担持体の表面層の平均分子量Mは、5000≦M≦40000なる関係を満足することを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0027】
(4)必要最小電流値とは、放電電流値δ≧1200(μA・sec/m^2)なる関係を満たす交流電流値Iacであることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0028】
ただし、放電電流値δは以下の式で定義される値である。
【0029】
δ=((Iac−α×Vpp)/L/Vps)
さらに、略号は以下に示すように定められる。
【0030】
Vps(m/sec):潜像担持体の走行速度
Vpp(V):交流電圧のピーク間電圧
Iac(μA):交流電圧印加時に流れる交流電流
L(m):帯電手段の長手方向帯電幅
α(1/Ω):交流V−I特性で、帯電開始電圧Vthの2倍以下でのピーク電圧Vppに対するIacの比。この時α=Iac/Vppで表される。
【0031】
(5)プロセスカートリッジの寿命検知手段の検知結果に応じて、選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、前回転工程の少なくとも一部において画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を印加するかしないかを判断することを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0032】
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載の画像形成装置から着脱可能であり、少なくとも潜像担持体とそれに接触する帯電手段及びクリーニング手段を含むことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0033】
(7)少なくとも、潜像担持体と、潜像担持体に接触し潜像担持体の帯電動作を行う帯電手段、潜像担持体に当接配置されるクリーニング手段を含んだプロセスカートリッジが画像形成装置本体から着脱可能であり、
プロセスカートリッジの帯電手段に1つの電圧昇圧手段でn(n≧3)段階の交流ピーク間電圧Vpp−(1)、・・・、Vpp−(n)(但し、Vpp−(1)>・・・>Vpp−(n))に直流の重畳バイアス電圧を出力可能な帯電バイアス電源回路を有し、
該帯電バイアス電源回路は少なくとも帯電バイアス電圧印加時に像担持体に流れる交流電流を検知する帯電交流電流検知手段を有し、
交流ピーク間電圧を切り替えて帯電手段に印加したときに潜像担持体に流れる帯電交流電流を検知し、そのときの交流電流値必要かつ最も小さい電流値を検出したピーク間電圧を画像形成時の帯電交流バイアス電圧として選ぶ画像形成装置において、
印加可能な最大のピーク間電圧Vpp−(1)印加時は常に必要最小電流以上となり、
Vpp−(j)とVpp−(j+1)(ただし、n−1≧j≧1)の差分は、
220≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧40
(n−1≧j≧1)、
好ましくは
160≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧80
(n−1≧j≧1)
なる関係を満たし、
さらに、重畳される直流電圧Vdcと印加可能な最小のピーク間電圧Vpp−(n)は
Vpp−(n)≧2×|Vdc|
なる関係を満たし、
選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を前回転時の少なくとも一部において印加することを特徴とする帯電バイアス電圧制御方法。
【0034】
(8)選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、前回転時に印加する画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧の印加時間は、少なくとも潜像担持体が1回転以上回転動作を行う時間以上であることを特徴とする(7)に記載の帯電バイアス電圧制御方法。
【0035】
(9)必要最小電流値とは、放電電流値δ≧1200(μA・sec/m^2)なる関係を満たす交流電流値Iacであることを特徴とする(7)または(8)に記載の帯電バイアス電圧制御方法。
【0036】
(10)プロセスカートリッジの寿命検知手段の検知結果に応じて、選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を印加するかしないかを判断することを特徴とする(7)から(9)のいずれかに記載の帯電バイアス電圧制御方法。
【0037】
(作 用)
少なくとも3段階以上の交流ピーク間電圧に直流電圧を重畳した帯電バイアスを印加可能な画像形成装置において、交流電流検知により選択された画像形成時の帯電交流バイアスが、印加可能な最大ピーク間電圧よりも2段階以上低いピーク間電圧が選択された場合に、画像形成前の前回転時の少なくとも一部において、画像形成時の帯電交流バイアスよりも2段階以上高いバイアスを印加することにより、前回転中に、感光ドラム上に残留する異物に起因する画像不良を除去できる。
【0038】
一方、画像形成時の帯電バイアスとして、印加可能な最大ピーク間電圧及び1段低い帯電バイアスが選択される場合は、こうした画像不良が起こりにくい状況であるため、前回転時に帯電バイアスを大きくすることなく、ドラム寿命を延ばすことができる。
【0039】
また、本発明の構成では電圧昇圧手段1つの構成で、交流と直流の重畳帯電バイアス電圧を出力可能であるため、回路のコストアップを抑制できると同時に、交流電流検知結果を用いて画像形成時の帯電バイアスを選択するため、本体高圧のばらつきや接触帯電手段、感光ドラムのインピーダンスばらつきによらず、適正な帯電バイアスを印加できる。
【0040】
さらにカートリッジの寿命検知手段の検知結果を併用することで、放電電流値増加に伴うドラム削れ増大やクリーニングブレードめくれなどの弊害も抑制できる。
【0041】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
本実施例の特徴は、印加可能な4種類の交流ピーク間電圧Vpp−(1)、Vpp−(2)、Vpp−(3)、Vpp−(4)に直流電圧を重畳したバイアスを出力可能な帯電バイアス発生回路と、帯電バイアス電圧印加時に感光ドラムに流れる帯電交流電流Iacを検知する交流電流検知手段とを有する画像形成装置において、画像形成時の帯電バイアスとしてVpp−(3)またはVpp−(4)が選択された場合、前回転の一部工程において感光ドラム3周分Vpp−(1)を印加する点にある。
【0042】
以下、本実施例の画像形成装置及びプロセスカートリッジの構成について説明する。
【0043】
(1)画像形成装置の構成と動作の概略
図2は本実施例の画像形成装置の概略構成図である。本実施例の画像形成装置は、電子写真方式を採用し、プロセスカートリッジを着脱可能としたプリンタである。
【0044】
10は潜像担持体たる回転ドラム型の電子写真感光体(感光ドラム)である。本例の感光ドラム10は、支持体となるアルミニウムの基体に、電荷発生層、さらには電荷輸送層を形成してなる。なお、ここでは電荷輸送層にはポリカーボネート樹脂を用いている。感光ドラム10は、不図示の駆動用モータによって矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0045】
感光ドラム10はその回転過程において、帯電装置によって負の所定電位になるように一様な帯電処理を受ける。本実施例での帯電装置は、帯電部材として帯電ローラ11を用いた接触帯電装置である。
【0046】
帯電ローラ11は、両端部を軸受け11−1により回転自在に保持されるとともに、加圧バネ11−2などの押圧手段によって、感光ドラム10の中心方向へ押圧され、感光ドラム10に対して従動回転する。帯電ローラ11に対しては、帯電バイアス電源21から、加圧バネ11−2、導電性軸受け11−1を介してバイアス電圧が印加される。帯電バイアス電圧には、放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧(Vpp)を有する交流電圧に、所望のドラム上電位Vdに相当する直流電圧Vdcを重畳印加する方式が用いられている。この帯電方法は、直流電圧に交流電圧を重畳印加することによって、感光ドラム上の局所的な電位ムラを解消し、感光ドラム上を直流印加電圧Vdcに等しい電位Vdに均一帯電することを狙いとしている。
【0047】
次いで、露光装置12による像露光を受ける。露光装置12は、均一帯電された感光ドラム10に静電潜像を形成するものであり、本例では、半導体レーザスキャナを用いている。露光装置12は、画像形成装置内のホスト装置(不図示)から送られてくる画像信号に対応して変調されたレーザ光19を出力して、後述するプロセスカートリッジCの露光窓部aを通して感光ドラム10の均一帯電面を走査露光(像露光)する。感光ドラム表面は露光箇所の電位の絶対値が帯電電位の絶対値に比べて低くなることによって、画像情報に応じた静電潜像が順次形成される。
【0048】
さらに、その静電潜像は反転現像装置13により現像され、感光ドラム10上においてトナー像として顕像化される。現像装置13は、感光ドラム10上の静電潜像を現像剤たるトナー13−1で現像することによって、静電潜像を可視化(反転現像)するものであり、本例では、ジャンピング現像方式を用いている。この方式では、不図示の現像バイアス電源から現像スリーブ13−3に対して交流と直流を重畳した現像バイアス電圧を印加することによって、現像剤層厚規制部材13−1と現像スリーブ13−3の接触箇所で摩擦帯電により負極性に帯電されたトナー13−1を感光ドラム表面の静電潜像に反転現像する。
【0049】
その感光ドラム面のトナー像が不図示の給紙部から給送された紙等の記録媒体(以下、転写材と記す)14に対して転写装置にて転写される。本例では、転写ローラ15を用いた接触転写装置を採用している。転写ローラ15は感光ドラム10に対して感光ドラム中心方向に不図示の押圧バネなどの付勢手段によって押圧されている。転写材14が搬送されて転写工程が開始されると、不図示の転写バイアス電源から転写ローラ15に対して正極性の転写バイアス電圧が印加され、負極性に帯電している感光ドラム10上のトナーは転写材14上に転写される。
【0050】
トナー像の転写を受けた転写材14は感光ドラム面から分離されて定着装置16へ導入されてトナー像の定着処理を受けて画像形成装置本体外へ排出される。定着装置16は、転写材14に転写されたトナー像を転写材上に永久画像に定着するものである。
【0051】
転写材分離後の感光ドラム面はクリーニング装置17により転写残トナーを掻き取られて清掃され、次の画像形成動作に画像不良が発生しないようにしている。本例のクリーニング装置17は、ウレタンゴムを板金に支持する構成としたクリーニングブレードを用いている。クリーニングブレードは、転写工程時に感光ドラム10から転写材14に転写し切れなかった転写残トナーをドラム上から回収するものであり、一定の圧力で感光ドラム10に当接し転写残トナーを回収することによって感光ドラム表面を清掃する。クリーニング工程終了後、感光ドラム表面は再び帯電工程に入る。
【0052】
画像形成装置は、上記の手段を用い、帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニングの各工程を繰り返して画像形成を行う。
【0053】
Cは画像形成装置本体20に対して着脱交換自在のプロセスカートリッジである。本例のプロセスカートリッジCは、潜像担持体としての感光ドラム10と、感光ドラム10に対する接触帯電部材としての帯電ローラ11と、現像装置13と、クリーニング装置17の4つのプロセス機器を内包させてプロセスカートリッジとしてある。
【0054】
プロセスカートリッジCは画像形成装置本体20のカートリッジドア(本体ドア)18を開閉して画像形成装置本体20に対して着脱される。装着はカートリッジドア18を開いて画像形成装置本体20内にプロセスカートリッジCを所定の要領にて挿入装着してカートリッジドア18を閉じ込むことでなされる。プロセスカートリッジCは画像形成装置本体20に対して所定の配置で装着されることで画像形成装置本体20側と機械的・電気的に連結した状態になる。
【0055】
プロセスカートリッジCの画像形成装置本体20からの取り外しはカートリッジドア18を開いて画像形成装置本体20内のプロセスカートリッジCを所定に引き抜くことでなされる。プロセスカートリッジCは抜き外された状態時にはドラムカバー(不図示)が閉じ位置に移動していて感光ドラム10の露出下面を隠蔽保護している。また露光窓部aもシャッタ板(不図示)で閉じ状態に保持されている。ドラムカバーとシャッタ板はプロセスカートリッジCが画像形成装置本体20内に装着された状態においてはそれぞれ開き位置に移動して保持される。
【0056】
ここで、プロセスカートリッジとは、少なくとも帯電手段、及びクリーニング手段と電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱可能とするものであるものをいう。本実施例のプロセスカートリッジは、加えて現像手段を含んで一体化し画像形成装置本体に対して着脱可能としている。
【0057】
(2)プリンタ動作シーケンス
図3を用いて本実施例におけるプリンタ動作シーケンスの概略を説明する。まず、着脱可能なプロセスカートリッジCを画像形成装置本体20に装着して、カートリッジドア18が閉じられた状態で、画像形成装置内の電源がオンになるとプレ回転工程が始まる。この工程では、メインモータが感光ドラムを回転駆動させている間に、プロセスカートリッジの有り無し検知、転写ローラのクリーニングなどが行なわれる。
【0058】
プレ回転が終了すると、画像形成装置は待機(スタンバイ)状態に入る。不図示のホストコンピュータなどの出力手段から画像情報が画像形成装置に送られると、メインモータは画像形成装置本体を駆動して画像形成前回転工程(以下、前回転工程と記す)に入る。前回転工程に於いては、諸プロセス機器の印字準備動作が行なわれ、主として、感光ドラム上の予備帯電、レーザスキャナの立ち上げ、転写プリントバイアスの決定、定着装置の温度調節などが行なわれる。
【0059】
前回転工程が終了すると、印字工程が開始される。印字工程では、所定タイミングで転写材の給紙、感光ドラム上の像露光、現像などが行なわれる。
【0060】
印字工程が終了すると、次のプリント信号がある場合、次の転写材が到達するまでの間の紙間工程に入り、次の印字動作を待つ。
【0061】
また、印字動作終了後に、次のプリント信号がない場合は、画像形成装置は後回転工程に入る。後回転工程では、感光ドラム表面の除電や、転写ローラに付着したトナーを感光ドラムへ吐き出す(転写ローラのクリーニング)などの工程が行われている。
【0062】
後回転工程が終了すると、画像形成装置は、再び待機(スタンバイ)状態となり、次のプリント信号を待つ。
【0063】
本実施例の画像形成装置においては、プレ回転時に帯電バイアスの選択を、前回転時には帯電電流の検知及び異物除去を行っている。これについては後で詳しく説明する。
【0064】
(3)帯電バイアス作成方法(帯電バイアス電源回路)
本例で用いた帯電バイアス電源回路21について、図4を用いて概念的に説明する。
【0065】
本例では、帯電バイアス電源回路21は、交流発振出力22から4種類の交流ピーク間電圧Vpp(Vpp−(1)>Vpp−(2)>Vpp−(3)>Vpp−(4))を出力できる。
【0066】
まず、交流発振出力22から出力された出力電圧は、増幅回路23で増幅され、オペアンプ、抵抗、コンデンサなどからなる正弦電圧変換回路24で正弦変換された後、コンデンサC1を介して直流成分をゼロにカットされ、電圧昇圧手段たる昇圧トランスT1に入力される。昇圧トランスT1に入力された電圧は、トランスの巻き数に応じた正弦電圧に昇圧される。
【0067】
他方、コンデンサC2には、前記の昇圧された正弦電圧が整流回路D1で整流された後、ピークチャージされる。これによって、ある一定の直流電圧Vdc1が発生する。さらに、直流発振出力25からは、印字濃度になどによって決まる出力電圧が出力され、整流回路26で整流された後、一定電圧VaとしてオペアンプIC1のマイナス入力端子に入力される。また、同時にオペアンプIC1のプラス入力端子には昇圧トランスT1の一方の端子電圧を抵抗R1と抵抗R2で分圧された電圧Vbが入力され、両者(VaとVb)の値が等しくなるようにトランジスタQ1を駆動する。これによって、抵抗R1と抵抗R2には電流が流れ電圧降下が生じ、直流電圧Vdc2が発生する。
【0068】
以上に説明した直流電圧Vdc1、Vdc2を足し合わせて所望の直流電圧が得られる。この直流電圧が、交流電圧昇圧手段T1の2次側で前述した交流電圧と重畳され、プロセスカートリッジC内の帯電ローラ11に印加される。
【0069】
ここで説明した方式では、昇圧手段であるトランスは1つで済むので、トランスを2つ用いる図26の(b)のような方式に比べ、コストダウンが図れる。
【0070】
ここで、最も大きなピーク間電圧となるVpp−(1)に関しては、あらゆる場合において感光ドラムの帯電不良の発生しないピーク間電圧としておく必要がある。一般には、ドラムの電荷輸送層の膜厚が厚いカートリッジ初期かつ電流が流れにくくなる低温環境において、帯電部材や印加ピーク間電圧のばらつきを考慮しても帯電不良を引き起こさないようなピーク間電圧をVpp−(1)として用いる必要がある。一方、耐久によりドラムの電荷輸送層の膜厚が減少してくると大きな電流が流れるようになるため、他のVpp−(2)、Vpp−(3)及びVpp−(4)では、Vpp−(1)よりも低いピーク間電圧として、ドラムに大きな電流が流れつづけることがないようにしている。
【0071】
さらに、本方式では、交流電圧昇圧手段T1を用いて直流電圧を作製しているので、直流電圧は交流ピーク間電圧Vppに対して従属の関係にある。つまり、所望の直流電圧Vdcを得るためには、交流電圧昇圧手段T1によってコンデンサC2に一定水準の電荷をチャージさせる必要があり、図5に示されるように、所望の直流電圧Vdcを得るためには、交流ピーク間電圧Vppは、2×|Vdc|以上でなければならない。交流ピーク間電圧Vppが、2×|Vdc|よりも小さい領域では、コンデンサC2は十分にチャージしきれないため所望の直流電圧Vdcを得ることができないので、ドラム上電位Vdを所望の値に帯電させることができなくなり、良好な画像を得ることができない。
【0072】
他方、コンデンサC2の静電容量を大きくすれば電荷チャージ量を多くしてVdcを大きくとれる方向だが、コンデンサC2に電荷がチャージされる時間が長くなり、帯電波形が安定化するのに要する時間が長くなるため、感光ドラム表面電位Vdにムラが生じる場合がある。
【0073】
ゆえに、本例においては、交流ピーク間電圧Vppの出力できる範囲の最小値Vpp−(4)が、所望の直流電圧Vdcに対してVpp−(4)≧2×|Vdc|なる関係が成り立つように設定している。
【0074】
(4)放電電流値について
感光ドラムに対する単位面積あたりの交流電流値φ、及び放電電流値δ(いずれも単位は、μA・sec/m^2)について説明する。以下、特に断りのない限り、単位面積あたりの放電電流値は、単に放電電流値と記すこととする。
【0075】
単位面積あたりの交流電流値φは、感光ドラムに流れる交流電流値Iac(μA)、感光ドラムの移動速度Vps(m/sec)、長手方向の帯電幅をL(m)としたときに、
φ=Iac/L/Vps
で表される。
【0076】
一般的な(帯電ローラ+感光ドラム)の電気特性を図6に示す。横軸は交流ピーク間電圧Vpp(V)、縦軸は交流電流値φ(μA)とすると、Vppが帯電開始電圧Vthの2倍までの領域では交流電流値φはほぼ直線的に増加し、比例関係が成り立っている。このときの傾きは交流アドミタンス(以下、αで記す)を示している。
【0077】
一方、VppがVthの2倍を越える領域では、比例関係は成り立たず、Vppが増えるほどφが著しく増加していることが分かる。比例関係からの増分は、放電開始によって交流電流値が増えていることによる。
【0078】
すなわち、図6の関係から、放電電流値δを算出することが可能である。
【0079】
δ=(Iac−α×Vpp)/L/Vps
で表されることになる。
【0080】
(5)放電電流値とドラム削れ、帯電性
感光ドラムの電荷輸送層は、平均分子量が小さすぎると削れ量が増大し寿命が保たなくなり、大きすぎても削れそのものが減って十分な研磨効果が期待できなくなる。ゆえに平均分子量としては、5000以上、40000以下となるものが良い。
【0081】
また、放電電流値が大きければ研磨効果はそれだけ大きくなるが、表面層の膜厚がある一定の値になると、もはや十分なバイアスを印加しても所定の電位に帯電させることができなくなってしまうので、放電電流値を大きくして削れ量をあまりに大きくすることは感光ドラムの寿命を縮めることになり、好ましくない。よって、放電電流値が大きくなりすぎないように帯電バイアスを設定するのが普通である。
【0082】
ここで、放電電流値と感光ドラムの表面電位の関係を図7に示した。狙いの電位は−650Vとしている。表面電位は、図中の175(μA・sec/m^2)程度から安定していることがわかる。しかし、175〜1200(μA・sec/m^2)くらいの領域では、画像上、黒ポチや白ポチといった局所的な画像不良が現れる。こういった不良は局所的に帯電が不十分な部分があることに起因し、表面電位等のマクロな計測では検出できない。よって、帯電電位を安定化させつつ、局所的な帯電不良も無いようにするためには1200(μA・sec/m^2)以上とすることが好ましい。
【0083】
以上より、画像形成時の放電電流値δは、1200(μA・sec/m^2)よりも大きく、かつできるだけ1200(μA・sec/m^2)に近い値となるように帯電バイアスを設定することが望ましい。
【0084】
(6)帯電交流電流値の測定
続いて、帯電交流電流値の測定方法について図4を用いて説明する。図4において、帯電ローラ11に帯電バイアス電圧が印加されると、交流電流Iacは帯電ローラ11、感光ドラム10を経て高圧電源回路のGNDに流れる。このとき、交流電流検知手段27は、この交流電流を、抵抗、コンデンサなどからなる不図示のフィルタ回路で帯電周波数に等しい周波数をもった交流電流のみを抽出し、これを電圧変換して、この電圧値をエンジンコントローラ28へ入力する。なお、この交流電流検知手段27は、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどから構成することができるので、電源回路のコスト増加、および、スペース拡大の影響は少ない。この変換された電圧と交流電流の関係をあらかじめ調べておけば、電圧を検知することで交流電流値の検知が可能になる。
【0085】
電流値が検知できれば、あらかじめ図6のような電圧−電流特性を調べておくことにより、電流値から放電電流値を知ることができる。よって、所望の放電電流値となるような電流値を定めておけば放電電流値の制御が可能である。
【0086】
(7)帯電バイアス制御機構
次に本実施例の帯電バイアスの制御機構について説明する。画像形成時においては、(5)及び(6)の項でも述べたように、帯電不良を起こさない必要最小電流値以上かつ最小の交流電流値となるようなピーク間電圧をVpp−(1)からVpp−(4)のうちから選択することになる。
【0087】
なお、電源投入後またはカートリッジ装着後のプレ回転時には、バイアス選択シーケンスを、画像形成動作前の前回転時には、電流検知シーケンスを行っている。以下、それぞれのシーケンスについて説明する。
【0088】
(プレ回転時バイアス選択シーケンス)
プレ回転時の帯電バイアス選択シーケンスのフローチャートを図8に示す。電源投入またはカートリッジ装着後ドアが閉じられると、これを検知することによりプレ回転工程に入る。まず、印加可能な最も小さいピーク間電圧Vpp−(4)を印加する。
【0089】
交流電流検知手段27は、このとき流れる感光体と帯電ローラに流れる交流電流Iac−(4)を検知電圧V4に変換しエンジンコントローラ28にフィードバックする。カートリッジ有り無しの基準交流電流値をIac−(x)、そのときの検知電圧をVxとすると、V4<Vxであった場合はプロセスカートリッジ未装着と判断し、ユーザに報知する。
【0090】
一方、必要最小交流電流Iac−(0)、そのときの検知電圧をV0とすると、V4≧V0であったときは、Vpp−(4)をプリント時の帯電バイアスとして選択する。V4<V0のときは、次に高いピーク間電圧Vpp−(3)を印加し、そのときの電流Iac−(3)に対応する検知電圧V3が、V3≧V0であれば、Vpp−(3)を帯電バイアスとして選択する。V3<V0であれば、さらに高いピーク間電圧Vpp−(2)を印加し、V2≧V0であれば、帯電バイアスをVpp−(2)に定める。V2<V0であれば、Vpp−(1)を帯電バイアスに定める。
【0091】
ここで、Vpp−(1)印加時の検知電圧V1は常にV1≧V0を満たすようにしておく。これにより、いかなる状況下でも帯電不良が起こることはないようにできる。また、バイアス印加の順序は上記の通りでなくても良い。
【0092】
ここで、ピーク間電圧を切り替えて帯電バイアスを印加する場合、ドラムや帯電部材の周方向ムラなどを考えると、少なくとも少なくともドラム1周分以上印加し、電流検知を行うことが望ましい。
【0093】
(前回転時の電流検知シーケンス)
前回転時の帯電電流検知シーケンスのフローチャートを図9に示す。ここでは1枚プリント時のシーケンスを示した。
【0094】
ここでの特徴は、プレ回転時やその前のプリントジョブで選択された帯電バイアスよりも1段低い帯電バイアスを前回転時に印加して、そのときに流れる交流電流を検知し、プリント時の帯電バイアスを1段下げられるかを確認している点にある。
【0095】
プリントコマンドがエンジンコントローラに送られると、前回転動作に入る。このときに予備帯電を行うが、この予備帯電の一部でプリント時の帯電バイアスとして選択されている帯電バイアスVpp−(i)(ただし、i=1,2,3)よりも1段低いVpp−(i+1)(以下電流検知バイアスと記す)を印加し、そのときに流れる交流電流Iac−(i)に対応する検知電圧Viが基準電圧V0を上回っていたら、その後のプリント時の帯電バイアスをVpp−(i+1)、上回っていなければ帯電バイアスをVpp−(i)のままとすればよい。
【0096】
これにより、帯電バイアスの切り替えを特別なシーケンスを用いることなく行えることになる。一方、帯電バイアスが最も低いVpp−(4)であった場合はこれ以上下げられないので、Vpp−(4)のままとなる。
【0097】
また、後回転時はもっとも小さいVpp−(4)を印加するようにしておくことにより、ドラムへのダメージを抑制する構成とすることができる。
【0098】
前回転時に1段低い帯電バイアスを印加する場合も、ドラムや帯電部材の周方向ムラなどを考えると、少なくとも少なくともドラム1周分以上印加し、電流検知を行うことが望ましい。
【0099】
前回転時の検知バイアス印加後は、プリント時に選択される帯電バイアスにより、印加される帯電バイアスが変化する。詳細は後述する。
【0100】
(8)効 果
本実施例の効果を他の帯電バイアス制御と比較することで示す。
【0101】
(8)−1 カートリッジ初期での帯電バイアス選択
印加可能なピーク間電圧が1段階の定電圧制御を用いる場合、実際に必要最小となるピーク間電圧に公差分を上乗せしたピーク間電圧を中心値に定めることになる。こうすることで、電流が流れにくい低温低湿環境で、感光ドラムの膜厚が厚いカートリッジ使用初期において、バイアスや帯電部材のインピーダンスがばらついても帯電不良が起こらないようにできる。しかし、より電流が流れる高温高湿環境では電流が流れ過ぎるほか、必要最小以上のバイアスが印加されることになり、必ずしも最適な帯電バイアスを印加しているとはいえなかった。
【0102】
ここで、定電圧制御と本実施例で用いている定電圧切り替え制御の比較を示す。なお、カートリッジは使用初期の状態とした。ここでは、高温高湿環境:30℃、80%(以下H/Hと記す)、常温常湿環境:20℃、50%(以下J/Jと記す)、低温低湿環境:15℃、15%(以下L/Lと記す)としている。図10を用いて説明する。
【0103】
定電圧制御:Vpp=2000V
定電圧切り替え:Vpp=2000V、1900V、1800V、1700V印加可能
(L/L及びJ/J)
実際にL/Lでは、1900V印加で帯電不良が発生しない交流電流が得られるが、定電圧値の公差(±100Vとした)を見込むと、1つのピーク間電圧のみ印加可能とする定電圧制御では1900Vよりも高い値(=2000V)を中心値に定めざるを得ない。
【0104】
これに対し、定電圧切り替えでは、印加したときの交流電流値を検知し必要最小交流電流との比較を行った結果を基に、1900Vを印加することが可能である。
【0105】
J/Jでは、同じ1900V印加でもL/Lよりも電流が多く流れるが、1800V印加では帯電不良が発生する領域である。よって、帯電不良の発生しない最小のピーク間電圧は1900Vとなる。
【0106】
(H/H)
H/Hでは、J/Jよりもさらに電流が流れることになる。今度は1800V印加でも問題ないが、定電圧制御では公差に加え、L/Lなどでも帯電不良を発生しないようにする必要があるため、定電圧値としては2000Vとするしかない。これに対し、定電圧切り替え制御では同様にして1800V印加が可能である。
【0107】
以上述べてきたように、定電圧切り替え制御においては、カートリッジ初期においてL/L及びJ/Jでは定電圧制御よりもおおむね1段低いバイアスを、H/Hでは2段低いバイアスを印加することが可能になることがわかる。また、感光ドラム使用初期には、選択された帯電バイアスを元に大まかではあるが環境検知が可能になることもわかる。
【0108】
ドラムの膜厚が減ってくると、電流が多く流れるようになるため、印加Vppはより小さいものが選ばれることになる。図10に示した例では、Vpp−(1)(=2000V)は印加されないことになるが、先にも述べたVpp−(1)自体のばらつきなどを考えると必ず帯電不良を起こさない電圧として必要である。
【0109】
(8)−2 前回転時異物除去シーケンス
本実施例では、プリント時よりも1段低い帯電バイアスを前回転時に印加して電流検知を行った後、選択される帯電バイアスに応じて異物除去シーケンスを行うのが大きな特徴である。
【0110】
この異物除去シーケンスについては、以下のような検討を行い決定した。
【0111】
(実験1)
環境:H/H、L/L
プロセススピード:100mm/sec
帯電周波数:920Hz
カートリッジ:100枚プリント後(初期)
クリーニングブレード当接圧:45N/m
画像チェック:画像進行方向1600mm、長手方向216mmの紙を通紙し、ハーフトーン画像(1ドット1スペース横線、600dpi)をプリント
前回転電流検知:プリント時よりも1段低いバイアスをドラム1周分印加
前回転時電流検知後の印加Vpp:2000V、1900V、1800V、1700V(可変)
電流検知後:上記Vppをドラム3周分印加
この場合、H/Hでは先に示した図10から、プリント時の帯電バイアスとして1800Vが、L/Lでは1900Vが選択されることになるので、電流検知バイアスは、H/Hで1700V、L/Lで1800Vとなる。シーケンスとしてはH/Hが図11の(a)、L/Lが図11の(b)のようになる。
【0112】
図12に、横軸を印加Vpp、縦軸を発生したスジの本数をプロットした結果を示す。H/H環境では、印加Vpp=1900V以下では画像上横白スジが発生しているのに対し、印加Vpp=2000Vであれば、スジが発生していないことがわかる。この理由については、図13に示したようにVppを大きくすることで放電電流値が増大していることにより、ドラムの表面に付着した異物が放電により除去されていることによると考えられる。図14に、横軸を放電電流値でプロットし直した結果を示す。この結果からも分かるように、放電電流値が大きくなるほどスジが発生しにくくなっていることが分かる。
【0113】
一方、L/Lでは、印加Vppに依らずスジが発生していない。このことから、スジ発生には環境依存性があることがわかる。この原因については、H/H環境では転写せずにドラム上に残留するトナーが増えること、ブレードのゴムが軟化してニップ部のトナーがすり抜けやすくなることなどが挙げられる。
【0114】
よって、異物除去を行うシーケンスとしては前回転時に2000V(=Vpp−(1))を印加するように設定するのがよいということがわかる。よって、本実施例では先の結果などを踏まえ、プリント時の帯電バイアスが1800Vまたは1700Vの時に、前回転の電流検知後異物除去を行うために2000Vを印加するようにした。なお、異物除去のシーケンスの間は停止時のブレード−ドラムの当接部が少なくとも1回以上帯電ローラ−ドラムのニップを通過する必要がある。よって本実施例では3回、帯電ローラ−ドラムのニップを通過するようにしている。
【0115】
以上の構成とすることにより、効果的に異物除去が行えることがわかる。
【0116】
故に、本実施例での帯電バイアス印加シーケンスは図1−a、図1−b、図1−c、図1−dのようになる。
【0117】
本実施例と以下の比較例で、H/H及びL/Lの両環境で、カートリッジ初期の状態でスジ除去の効果を確認した。このとき電流検知によって選択される画像形成時の帯電印加バイアスはH/Hでは1800V、L/Lでは1900Vであり、電流検知バイアスはH/Hで1700V、L/Lで1800V印加となる。結果を表1に示した。
【0118】
比較例1:2000V定電圧制御
比較例2:前回転時常に電流検知バイアス
【0119】
【表1】
【0120】
比較例2ではH/Hで横白スジが発生しているのに対し、前回転時2000V印加を行う本実施例及び比較例1では横白スジが発生せず優れていることがわかる。
【0121】
(8)−3 ドラム寿命
本実施例と前項で示した比較例を用いてドラム寿命の検討を行った。また、途中でハーフトーン画像をサンプリングすることで白スジの発生状況も合わせて確認した。
【0122】
(実験2)
比較例1及び比較例2の帯電バイアス印加シーケンスはそれぞれ図15、図16−a、図16−b、図16−c、図16−dのようになる。このとき、H/H及びL/Lで1枚間欠耐久を行い、ドラム寿命を確認した。このときの本実施例及び比較例1の交流電流値推移を図17(H/H)及び図18(L/L)に示した。実線が定電圧切り替え制御であり、破線が2000V定電圧制御である。ドラム寿命の結果を表2に、2K枚ごとにサンプリングした白スジ発生状況の結果を表3に示す。ただし、初期のみ0.1K枚時のサンプリングとした。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
ドラム寿命だけを見れば比較例2が優れているが、先にも示したようにH/Hでは白スジが発生した。
【0126】
一方、本実施例、比較例1では耐久を通じて白スジは発生しなかった。ただし、比較例1の6K枚時サンプリングは5.2Kでドラム寿命となったため、サンプリングできなかった。寿命と画像の点から考えて本実施例が最も優れているといえる。
【0127】
定電圧制御では電流が多く流れるH/H環境において耐久後半急激に電流が増大して早く寿命を迎えるのに対し、定電圧切り替え制御では必要最低電流を下回らないようにして印加Vppを切り替えていくことでドラム寿命が延ばせることがわかる。
【0128】
以上の構成とすることで、H/Hでは常に異物除去シーケンスが行われる状態になるので、横白スジが発生しないようにできると同時に定電圧制御に比べてドラム寿命を大幅に延ばすことができる。
【0129】
本例では、ピーク間電圧の刻み値を100Vとしたが、あまり大きすぎると図19に示したように流れる電流が大きくなりすぎてから切り替えを行うことになり、ドラム寿命が短くなってしまう。
【0130】
一方、刻み値が小さすぎると、図20に示したように比較的早い段階に切り替えが行われることになり、ドラム寿命後半での削れ増大が加速することになる。また、刻み値をあまりに増やすことは基板上の回路面積が増大することになるので、好ましくない。以上より、ピーク間電圧の刻みは40V以上220V以下、好ましくは80V以上160V以下とすることが望ましい。
【0131】
以上より、電流検知を元に帯電バイアス選択を行うことにより、簡易的な環境検知が行え、この結果を元に異物除去シーケンスを行うか行わないか判断できるので、画像不良発生防止とドラム長寿命化が図れることが示された。
【0132】
本実施例では、4段階のピーク間電圧を印加可能な帯電バイアス設定としたが、3段階以上であれば本発明の効果が発揮される構成とすることができる。また、本実施例で帯電バイアスVpp−(4)印加時は異物除去バイアスをVpp−(2)としても十分な放電電流値が得られるので、Vpp−(1)の代わりに印加してもよい。
【0133】
つまり、最大のピーク間電圧Vpp−(1)よりも2段階以上低いバイアスVpp−(i)(ただしi≧3)がプリント時のバイアスとして選択される場合、Vpp−(i)よりも2段階以上高いピーク間電圧となるVpp−(j)(ただしj≧i−2)なるバイアスを前回転時印加すれば、異物起因の横白スジ発生を抑制できることになる。
【0134】
(第2の実施例)
本実施例では、カートリッジの寿命検知手段の検知結果より異物除去シーケンスを行うか行わないか判断している点が大きな特徴である。第1実施例と同様の構成を用いる部分については同様の符号を付し説明を省略する。
第1実施例の項でも説明したように、電流値検知を用いた定電圧値切り替えによる帯電制御では、カートリッジ寿命末期においては最も低いVpp−(4)を印加することになる。この状態になれば、もはや定電圧値Vpp−(4)の定電圧制御と変わらなくなるため、プリントジョブが行われるほど放電電流値が増大することになる。
【0135】
放電電流値が増大するとドラムの削れ量が増えるほか、クリーニングブレードが振動することによりめくれやすくなるなど別の弊害も生じてくる。この状態で前回転の一部でVpp−(1)を印加すると、このような弊害がより起こりやすい状態になってしまう。とくに早い段階でVpp−(4)印加となるH/Hではより顕著である。
【0136】
さらに、異物起因の横白スジは放電電流値が大きくなると発生しなくなるのは先にも述べたとおりであり、図21にも示したようにドラムの電荷輸送層の膜厚が削れにより変化すると同じ電流値でも放電電流値が異なってくるので、寿命末期で放電電流値が増える傾向にある。すると、もはや異物除去シーケンスを行わなくても十分な放電電流値が得られることになり、異物起因の横白スジも発生しなくなる。
【0137】
よって、画像形成時のバイアスがVpp−(3)やVpp−(4)であってもカートリッジの寿命検知手段による検知結果で、所定の寿命に達していると判断されれば、異物除去シーケンスを行わないようにすることで、さらなるドラムの長寿命化や、クリーニングブレードめくれといった弊害の抑制が図れることになる。
【0138】
本実施例では、寿命検知手段の一例として定電圧印加時の電流値増加を用いてドラム寿命を判定する手段を採用した。これは図22にも示したように定電圧印加時、耐久によりドラムの膜厚が減少するのに伴い、ドラムと帯電手段に流れる交流電流が増大していくことを用いたものである。つまり、一定の膜厚に達したところで、そのときに流れる交流電流を規定することで寿命判定が行えることになる。
【0139】
(実験3)
ここで、H/H環境において図23のような電流値耐久推移を示す場合に、プリント枚数P1の時点で、第1実施例の(実験1)と同じ手法でスジが発生するか検討を行った。なお、P1の時点ではVpp−(4)印加時の交流電流値は閾値Iacthを超えているので、本実施例では異物除去シーケンスを行わないようにした。一方、比較例として用いる第1実施例では異物除去シーケンスを行っている。
【0140】
結果を表4に示した。
【0141】
【表4】
【0142】
これよりどちらの場合でもスジは発生していないことがわかる。このとき、図24に示したVpp−(4)印加時の放電電流値の推移から、Vpp−(3)からVpp−(4)に切り替わったプリント枚数P0時点に比べ、プリント枚数P1の時点ではVpp−(4)印加時でも放電電流値は十分に大きくなっているので、スジが発生しなくなっていることがわかる。
【0143】
(実験4)
同様に、第1実施例の(実験2)と同様にドラム寿命の検討を行った。その結果を表5に示す。
【0144】
【表5】
【0145】
前回転時Vpp−(1)を印加する期間が短くなる分、第1実施例に比べても寿命を延ばせることがわかる。
【0146】
以上より、第1実施例で述べた構成よりも、さらにドラムへのダメージを低減しつつ画像不良が発生しない構成とすることができることが示された。
【0147】
なお、ここでは定電圧制御時の電流値変化を用いてドラム寿命を判断する方法をカートリッジの寿命判定に用いたが、ドラムの帯電印加時間やプリント枚数などを用いても良い。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電流検知による定電圧切り替えにおいて選択されたピーク間電圧の値により、異物除去シーケンスを行うか行わないかを判断することができるので、異物起因の画像不良を発生しないようにしつつドラムの寿命を延ばすことが可能になる。
【0149】
また、カートリッジの寿命に応じてこのシーケンスを動作させるかを判断することで、寿命末期でのドラム削れの増大や、クリーニングブレードめくれなどの弊害も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1−a】第1実施例の画像形成装置の帯電シーケンス(Vpp−(4)選択時)
【図1−b】第1実施例の画像形成装置の帯電シーケンス(Vpp−(3)選択時)
【図1−c】第1実施例の画像形成装置の帯電シーケンス(Vpp−(2)選択時)
【図1−d】第1実施例の画像形成装置の帯電シーケンス(Vpp−(1)選択時)
【図2】第1実施例の画像形成装置を示す図
【図3】画像形成装置動作シーケンス概略図
【図4】帯電バイアス電源回路を説明する概念図
【図5】交流ピーク間電圧と出力可能な直流電圧との関係を示す図
【図6】(帯電ローラ+感光ドラム)の電気特性と放電電流値の説明
【図7】放電電流値と感光ドラムの表面電位の関係
【図8】プレ回転時の帯電バイアス選択フローチャート
【図9】前回転時の帯電バイアス選択フローチャート
【図10】環境毎のカートリッジ初期での帯電バイアス選択
【図11】実験1の帯電バイアス印加シーケンス
【図12】帯電Vppと白スジ発生本数の関係
【図13】帯電Vppと放電電流値の関係
【図14】放電電流値と白スジ発生本数の関係
【図15】第1実施例の比較例1での帯電印加シーケンス
【図16−a】第1実施例の比較例2での帯電印加シーケンス(Vpp−(4)選択時)
【図16−b】第1実施例の比較例2での帯電印加シーケンス(Vpp−(3)選択時)
【図16−c】第1実施例の比較例2での帯電印加シーケンス(Vpp−(2)選択時)
【図16−d】第1実施例の比較例2での帯電印加シーケンス(Vpp−(1)選択時)
【図17】H/H環境での本実施例及び比較例1の交流電流値推移
【図18】L/L環境での本実施例及び比較例1の交流電流値推移
【図19】印加可能なピーク間電圧の刻み値が大きい場合
【図20】印加可能なピーク間電圧の刻み値が小さい場合
【図21】同じ電流値に対する放電電流値の耐久推移
【図22】感光ドラムの膜厚と交流電流の関係
【図23】第2実施例におけるH/H環境での電流値耐久推移
【図24】第2実施例におけるH/H環境でのVpp−(4)印加時の放電電流値推移
【図25】従来の画像形成装置例の構成を説明する図
【図26】従来の帯電バイアス電源回路を説明する概念図
【図27】クリーニングブレード当接部に異物が付着する様子
【図28】横白スジ発生画像
【符号の説明】
10・・感光ドラム(潜像担持体)、11・・帯電手段、11−1・・軸受け、11−2・・加圧バネ、12・・露光手段、13・・現像装置、13−1・・トナー、13−2・・現像剤層厚規制部材、13−3・・現像スリーブ、14・・転写材、15・・転写手段、16・・定着手段、17・・クリーニング手段、18・・カートリッジドア、19・・レーザ露光、20・・画像形成装置本体、21・・帯電バイアス電源、22・・交流発振出力、23・・増幅回路、24・・正弦電圧変換回路、25・・直流発振出力、26・・整流回路、27・・交流電流検知回路、28・・エンジンコントローラ、C・・プロセスカートリッジ
Claims (10)
- 少なくとも、潜像担持体と、潜像担持体に接触し潜像担持体の帯電動作を行う帯電手段、潜像担持体に当接配置されるクリーニング手段を含んだプロセスカートリッジが画像形成装置本体から着脱可能であり、
プロセスカートリッジの帯電手段に1つの電圧昇圧手段でn(n≧3)段階の交流ピーク間電圧Vpp−(1)、・・・、Vpp−(n)(但し、Vpp−(1)>・・・>Vpp−(n))に直流の重畳バイアス電圧を出力可能な帯電バイアス電源回路を有し、
該帯電バイアス電源回路は少なくとも帯電バイアス電圧印加時に像担持体に流れる交流電流を検知する帯電交流電流検知手段を有し、
交流ピーク間電圧を切り替えて帯電手段に印加したときに潜像担持体に流れる帯電交流電流を検知し、必要以上かつ最も小さい電流値を検出したピーク間電圧を画像形成時の帯電交流バイアス電圧として選ぶ画像形成装置において、
印加可能な最大のピーク間電圧Vpp−(1)印加時は常に必要最小電流以上となり、
Vpp−(j)とVpp−(j+1)(ただし、n−1≧j≧1)の差分は、
220≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧40、
好ましくは
160≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧80
なる関係を満たし、
さらに、重畳される直流電圧Vdcと印加可能な最小のピーク間電圧Vpp−(n)は
Vpp−(n)≧2×|Vdc|
なる関係を満たし、
選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を前回転時の少なくとも一部において印加することを特徴とする画像形成装置。 - 選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、前回転時に印加する画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧の印加時間は、少なくとも潜像担持体が1回転以上回転動作を行う時間以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 潜像担持体の表面層の平均分子量Mは、5000≦M≦40000なる関係を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 必要最小電流値とは、放電電流値δ≧1200(μA・sec/m^2)なる関係を満たす交流電流値Iacであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
ただし、放電電流値δは以下の式で定義される値である。
δ=((Iac−α×Vpp)/L/Vps)
さらに、略号は以下に示すように定められる。
Vps(m/sec):潜像担持体の走行速度
Vpp(V):交流電圧のピーク間電圧
Iac(μA):交流電圧印加時に流れる交流電流
L(m):帯電手段の長手方向帯電幅
α(1/Ω):交流V−I特性で、帯電開始電圧Vthの2倍以下でのピーク電圧Vppに対するIacの比。この時α=Iac/Vppで表される。 - プロセスカートリッジの寿命検知手段の検知結果に応じて、選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、前回転工程の少なくとも一部において画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を印加するかしないかを判断することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置から着脱可能であり、少なくとも潜像担持体とそれに接触する帯電手段及びクリーニング手段を含むことを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 少なくとも、潜像担持体と、潜像担持体に接触し潜像担持体の帯電動作を行う帯電手段、潜像担持体に当接配置されるクリーニング手段を含んだプロセスカートリッジが画像形成装置本体から着脱可能であり、
プロセスカートリッジの帯電手段に1つの電圧昇圧手段でn(n≧3)段階の交流ピーク間電圧Vpp−(1)、・・・、Vpp−(n)(但し、Vpp−(1)>・・・>Vpp−(n))に直流の重畳バイアス電圧を出力可能な帯電バイアス電源回路を有し、
該帯電バイアス電源回路は少なくとも帯電バイアス電圧印加時に像担持体に流れる交流電流を検知する帯電交流電流検知手段を有し、
交流ピーク間電圧を切り替えて帯電手段に印加したときに潜像担持体に流れる帯電交流電流を検知し、そのときの交流電流値必要かつ最も小さい電流値を検出したピーク間電圧を画像形成時の帯電交流バイアス電圧として選ぶ画像形成装置において、
印加可能な最大のピーク間電圧Vpp−(1)印加時は常に必要最小電流以上となり、
Vpp−(j)とVpp−(j+1)(ただし、n−1≧j≧1)の差分は、
220≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧40
(n−1≧j≧1)、
好ましくは
160≧(Vpp−(j))−(Vpp−(j+1))≧80
(n−1≧j≧1)
なる関係を満たし、
さらに、重畳される直流電圧Vdcと印加可能な最小のピーク間電圧Vpp−(n)は
Vpp−(n)≧2×|Vdc|
なる関係を満たし、
選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を前回転時の少なくとも一部において印加することを特徴とする帯電バイアス電圧制御方法。 - 選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、前回転時に印加する画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧の印加時間は、少なくとも潜像担持体が1回転以上回転動作を行う時間以上であることを特徴とする請求項7に記載の帯電バイアス電圧制御方法。
- 必要最小電流値とは、放電電流値δ≧1200(μA・sec/m^2)なる関係を満たす交流電流値Iacであることを特徴とする請求項7または8に記載の帯電バイアス電圧制御方法。
- プロセスカートリッジの寿命検知手段の検知結果に応じて、選択された画像形成時の帯電ピーク間電圧がVpp−(1)より2段階以上低いバイアスとなる場合に、画像形成時より2段階以上高い帯電ピーク間電圧を印加するかしないかを判断することを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の帯電バイアス電圧制御方法。
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JP2003051728A JP2004258539A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 画像形成装置、プロセスカートリッジ、及び帯電バイアス電圧制御方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2003
- 2003-02-27 JP JP2003051728A patent/JP2004258539A/ja active Pending
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