JP2004258385A - 光偏向装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型でかつ、可動部の環境温度変化、並びに自己発熱によるミラー回動角度の安定性、定常性悪化を回避する。
【解決手段】演算IC16は、A/Dコンバータ17、位相補償演算部18、ゲイン補正演算部19、温度補正演算部25、D/Aコンバータ20を有して構成され、センサーミラー10の位置検出信号をA/Dコンバータ17でデジタル値に変換した直後に、外部制御機21から入力される偏向ミラー8のミラー角度指示量を加算することで偏向ミラー8を所望の回動角度にサーボ制御している。
【選択図】 図1
【解決手段】演算IC16は、A/Dコンバータ17、位相補償演算部18、ゲイン補正演算部19、温度補正演算部25、D/Aコンバータ20を有して構成され、センサーミラー10の位置検出信号をA/Dコンバータ17でデジタル値に変換した直後に、外部制御機21から入力される偏向ミラー8のミラー角度指示量を加算することで偏向ミラー8を所望の回動角度にサーボ制御している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザプリンタ、光通信等に用いられる光偏向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーザプリンタ、光通信等においては光路切換え素子を有する光偏向装置が利用されている。光偏向装置は入力された入射光を、所望の方向に選択的に出力する。
【0003】
光偏向装置においては、例えば特開2001−264663号公報明細書に示されるようなミラー角度制御手段を有する光路切り換え素子が開示されている。
【0004】
図7はミラー角度を検出する手段、図8は検出したミラー角度検出信号に応じて駆動電流をコイルに印可しミラーを駆動する手段を示している。
【0005】
図7では、X軸の中心の両側に配置される図8に示したコイル155aと磁石151aの電磁力作用によって、X軸を中心にミラー150が回動される構成(可動部)が示されている。また、前記ミラー150の裏面側反射面150bには、LD158のレーザ光が入射した後反射され、光位置検出器162に入射され前記ミラー150の回動角度を検出している。
【0006】
この結果は図8で示した駆動電流として増幅器167に入力し、可動部にフィードバックすることでミラー角度を一定に保持する制御を行っている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−264663号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7、図8に示される構成のミラー駆動回路、即ちミラー角度に比例して駆動電流を制御する駆動回路においては、コイルの温度変化によるコイル抵抗値の変動が問題となる。
【0009】
図7、図8では、前記ミラー150の回動角度に比例してコイルに駆動電流を印加している。また、回動角度は駆動電流に比例して発生するため、角度を一定に保つ制御系全体のゲイン特性は常に一定に保たれる。
【0010】
しかし、図8の増幅器167がもしも出力段の負荷、つまりコイルの抵抗値に応じて、そのゲイン特性が変動する構成の場合、駆動電流の印加によりコイル温度が変化することでコイル自身の抵抗値が変動し、系全体のゲイン特性は一定に保たれなくなる。また、装置が設置されている環境温度の変化によってもコイル抵抗値の変動は発生するため、同様にゲイン特性は一定に保たれなくなる。
【0011】
系全体のゲイン特性が一定に保たれなくなると、例えばゲインが低下した場合、ミラー部分に生じる振動を抑圧する力が低下し、目論見の角度制御ができなくなり定常特性が悪くなる。また、系全体の伝達特性のゲイン余裕、位相余裕が最適で無くなり、安定性が悪くなることにも繋がる。一方、ゲインが上昇する場合も同様に安定性が悪くなることに繋がる。
【0012】
そこで、図9に示すような駆動回路方式が考えられる。図9の方式は一般に定電流駆動方式と呼ばれ、前記駆動アンプ入力部へのフィードバック制御により負荷変動(コイル抵抗値変動)の影響は回避される。
【0013】
しかし、コイル周辺の回路規模が大きくなり装置の小型化が困難なこと、また前記駆動アンプ入力部へのフィードバックループの形成は、周波数帯域が低下するという問題がある。
【0014】
一方、図10に示すように小型化を優先し、前記の定電流駆動に必要な回路を使用しない、コイル両端の電圧を制御する方式もあり一般的に、定電圧駆動方式と呼ばれる。
【0015】
図10の場合、図9の電流検出抵抗、電流検出アンプ、エラーアンプが不要となり回路の構成が簡単となる。そのため、装置の小型化が容易であり、周波数帯域も向上する。
【0016】
しかし、前述したようにコイル抵抗の変動の影響を受けるため、前記ミラー回動角度サーボ系全体のゲイン変動が発生し安定性、定常特性が悪化する問題がある。
【0017】
図11は図10のコイル抵抗値の特性を説明する等価回路であって、前記コイルの温度Tは、コイル自身の電流消費による発熱と、駆動系によるコイル周辺環境温度Taにより定まり、以下の式(1)〜(4)の基本式の関係があり、最終的に関係式(5)で前記コイルの抵抗値が算出される。
【0018】
【数1】
R=R0+k(T−T0) ‥‥(1)
【数2】
αP=T−T0 ‥‥(2)
【数3】
P=IV ‥‥(3)
【数4】
I=V/R ‥‥(4)
【数5】
例えば、図12は関係式(5)から装置が設置されている環境温度が−10°C、+25°C、+65°Cと変化し、また、前記コイル両端の電圧Vが0〜0.2[V]と変化した場合のコイル抵抗値の変化を示している。
【0019】
V=0.2[v]は駆動系モデルによる駆動特性の一例で、ミラー角度の最大振れ角約10[deg]である。また、それ以外の係数は下記を固定量として算出している。 R0=30Ω
T0=25°C
k=0.039Ω/°C
α=10000°C/W
ここで、T0は基準温度、R0はコイル温度T=T0ときのコイル抵抗、kはコイルの温度変化時の抵抗変化率、αはコイルの消費電力変化時の抵抗変化率である。
【0020】
図12の場合では、コイル抵抗値RはTa(周囲温度)=25°C、V=0[v]の時は理想的な値30Ωとなるが、例えばTa=65°C、V=0.2[v]の時では約32Ωとなり、最大誤差が約7%程度発生することが判る。
【0021】
つまり、この駆動系をミラー角度サーボ系に使用した場合ループゲインが7%低下し、ゲインの抑圧度、安定性の低下に繋がる。
【0022】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、小型でかつ、可動部の環境温度変化、並びに自己発熱によるミラー回動角度の安定性、定常性悪化を回避することのできる光偏向装置を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の光偏向装置は、光の方向を偏向すべく所定の偏向面を有する光偏向素子と、前記光偏向素子を回動自在に駆動するための駆動部と、前記光偏向素子の偏向角度を検出する検出部と前記検出部の出力信号に基づいて前記駆動部に駆動信号を印加する駆動回路と、前記駆動部の周囲温度を検出する少なくとも1つの温度検出器とを備え、前記駆動回路は前記駆動信号を前記温度検出器の前記検出温度出力信号に基づき補正するように構成される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について述べる。
【0025】
図1〜図5は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1は光偏向装置の構成を示す構成図、図2は図1の光偏向装置の構成を簡略化したブロック図、図3は図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がない場合のコイル抵抗値の特性を示す図、図4は図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がある場合のゲイン補正量の特性を示す図、図5は図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がある場合のコイル抵抗値の特性を示す図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態の光偏向装置1では、光路を切換える光路切換え素子2と、光路切換え素子2を一定の回動角度に制御するサーボ系の駆動回路を構成する演算IC16とを有して構成される。
【0027】
光路切換え素子2は、マグネット6a、6bの間に配置された可動部24と、可動部24の可動ホルダ9に互いに対向するように配置された偏向ミラー8及びセンサーミラー10と、該二つのミラーの両側に配置されたコイル7a、7bとを有する。
【0028】
平行に配置された偏向ミラー8、センサーミラー10は両ミラーの中心を軸に回動する構成を成しており、センサーミラー10は、偏向ミラー8の角度検出に使用される。
【0029】
具体的には発光素子駆動回路14を使って、発光素子11からレーザー光をセンサーミラー10に照射し、その反射光を分割PD12で受光し、該分割PD12の受光量に応じた検出電流を得る。その検出電流は後段のI/Vアンプ13で電圧信号に変換され、前記偏向ミラー8の位置検出信号として使用する。
【0030】
一方、偏向ミラー8、センサーミラー10を回動させるためのトルクは、前記コイル7a、7bにミラー駆動回路23から供給される駆動電流、および前記マグネット6a、6bとで発生する磁界とにより電磁力が作用させることで発生させる。コイル7a、7bの駆動電流の電流方向に応じて、前記偏向ミラー8の回動方向は切り換えられる。
【0031】
演算IC16は、A/Dコンバータ17、位相補償演算部18、ゲイン補正演算部19、温度補正演算部25、D/Aコンバータ20を有して構成され、前記センサーミラー10の位置検出信号を前記A/Dコンバータ17でデジタル値に変換した直後に、外部制御機21から入力される前記偏向ミラー8のミラー角度指示量を加算することで前記偏向ミラー8を所望の回動角度にサーボ制御している。
【0032】
前記センサーミラー10の検出信号は、前記A/Dコンバータ17に取り込まれる。取り込まれた結果に対しては、前記偏向ミラー8のミラー角度制御系全体の安定性、定常特性、速応性を改善するため位相補償演算部18で位相補償演算が実施される。
【0033】
位相補償演算部18の結果は、ゲイン補正演算部19で前記コイル7a、7bの温度変化により生じた抵抗値変化によるゲイン変動を打ち消すようにゲイン補正演算を実施した後、D/Aコンバータ20を介して電圧信号をミラー駆動回路23に入力させる。
【0034】
また、前記ゲイン補正演算部19には、光路切換え素子2近傍に設けられている温度検出器15を用いて検出した温度検出信号に温度補正演算部25で補正演算を行った結果、およびメモリ22に予め格納されているゲイン補正演算に必要な定数が入力される。
【0035】
なお、温度検出器15は前記コイル7a、7b自身の発熱の影響を受けないようにし、且つ、前記コイル7a、7bに作用する装置内の周囲温度を検出できる位置に配置する。
【0036】
また、温度検出器15の該検出温度出力信号は、周辺環境温度Taに対する電圧信号であり、温度補正部25は前記電圧信号を基に補正演算した後、ゲイン補正部19の演算部へ入力するものとする。
【0037】
ミラー駆動回路23は、入力された電圧に比例した電圧を前記コイル7a、7bの両端に印可する定電圧駆動方式の駆動回路である。従って、前述したようにコイル7a、7bの抵抗の変化により駆動電流は変化するものである。
【0038】
次に、ゲイン補正部19で実際に補正演算を行う方法について説明する。図1の構成を更に簡単なブロック図に置き換えると図2のフィードバック系で表すことができる。説明を簡略化するため、A/Dコンバータ17、D/Aコンバータ20での変換は考慮せずに、演算IC16の内部も電圧信号で演算されるように定義している。また、温度検出器15の特性も温度補正演算部25で補正されるため省略する。
【0039】
図2の構成で考えた場合、コイル抵抗R及びコイルに印加する電圧Vは以下の式(6)及び(7)によって表すことができる。なお、途中の演算については省略する。
【0040】
【数6】
ここで、Taは周辺環境温度、T0は基準温度、R0はコイル温度T=T0ときのコイル抵抗、kはコイルの温度変化時の抵抗変化率、αはコイルの消費電力変化時の抵抗変化率である。
【0041】
【数7】
ここで、Gpは位相補償演算部18のDCゲイン、Gtはゲイン補正部19のDCゲイン、Grvはミラー駆動回路23のDCゲイン、Vofはミラー角度指示電圧、Gaはコイル7a、7b、マグネット6a、6b、偏向ミラー8、センサーミラー10等から形成される駆動系のDC駆動感度、Gsは発光素子11、センサーミラー10、分割PD12、I/Vアンプ13等から形成される検出系のDC検出感度である。
【0042】
式(6)はコイル自身の電流消費による発熱と、コイル周辺環境温度によるコイルの温度からコイル抵抗値が求まることを意味している。
【0043】
また、ゲイン補正量Gtは前記コイル抵抗値Rの変化をうち消すような値としたいため式(8)の関係が成立する。
【0044】
【数8】
つまり、コイル抵抗値Rが常に一定の値R0に成るように制御する。
【0045】
以上の関係を整理すると、最終的にゲイン補正量Gtは式(9)により定まる。
【0046】
【数9】
なお、式(9)においては、式を簡単にするために下記の置き換えをしている。
【0047】
G1=Gp Grv Ga Gs、G2=Gp Grv、β=R0+k(Ta − T0)。
【0048】
式(9)を定める上で必要な諸パラメータのうち、Vof、Ta以外のパラメータは固定植であり予めメモリ22に格納しておき、演算に使用される。 Vof、Taは逐次変化するが何れも判明値であり、その時々の値を使って演算を実施する。
【0049】
また、この時、あるゲイン補正量Gtの時のコイル抵抗値Rは式(10)の関係式により求まる。
【0050】
【数10】
参考にゲイン補正演算がない場合のコイル抵抗値を図3、ゲイン補正演算がある場合のゲイン補正量、コイル抵抗値を計算した結果を図4、図5に示す。計算に際しては、実際の使用環境を考慮して周囲温度Taは−10°C〜+65°Cの範囲で、ミラー角度指示量Vofは角度量0〜10degに相当する0〜1.9Vの範囲で変化する量とし、それ以外のパラメータは下記の固定量としている。
【0051】
R0=30Ω
T0=25°C
k=0.039Ω/°C
α=10000°C/W
Gp=200V/V
Grv=4V/V
Ga=1500deg/A
Gs=0.19V/deg
図3の結果により、ゲイン補正を行わない場合、コイル抵抗値RはTa=25°C、Vof=0の時は理想的な抵抗値30Ωとなるが、例えばTa=65°C、Vof=1.9Vの時に約32Ωとなり最大誤差は約7%程度発生することが判る。また、計算に用いるパラメータを本実施の形態とは別の値にした場合には、誤差が更に大きくなる場合もあり得る。
【0052】
一方、ゲイン補正を行う場合のゲイン補正量、コイル抵抗値は図4、図5の結果となる。コイル抵抗値はゲイン補正を行わない図3の場合と同様に変化するが、図5からも判るようにGtの値がTa、Vofに応じて変化する。
【0053】
図2の関係からも判るように、ミラー角度サーボ系の中ではGt/Rとして系のゲインに寄与する。つまり抵抗値として考えた場合には、R/Gtとして寄与する。前述したゲイン補正がない場合と同じ条件でのR/Gtを求めてみると、30Ωとなっていることが判る。
【0054】
以上のことから、ゲイン補正演算を行うことでコイル抵抗値Rが温度により変化しても、ミラー角度サーボ系全体のゲインを一定に保つことができることが判る。
【0055】
また、前記コイル自身の電流消費による発熱と、コイル周辺環境温度により、コイル抵抗値が求まることを説明したが、一方、VofとTaが定まるとGt、R、Vなどの変化量が一意に定まるので、結果として式(1)もしくは式(2)の関係からコイル温度Tが求められることも示している。
【0056】
また、例えば、本実施の形態の光偏向装置1を多数使用する多チャンネルの光スイッチのような場合においては、駆動回路構成を定電圧方式にしたことで回路構成を大幅に削減できる。特に、ミラー駆動回路23とコイル7a、7bは近傍に配置されることが多いため、ミラー周辺部分の集積度を上げることにも繋がる。
【0057】
以上より、本実施の形態の光偏向装置1は、可動部のコイルの温度変化の影響を受けることなく安定したミラー角度制御を実現し、且つ装置小型化が可能となる。
【0058】
図6は本発明の第2の実施の形態に係る光偏向装置の構成を示す構成図である。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0059】
図6を用いて本発明の第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態が前記演算IC16を用いて実施したのに対し、本実施の形態ではこれら構成をディスクリートの簡単なアナログ回路で実現している。
【0060】
すなわち、図6に示すように、I/Vアンプ13から出力されるミラー角度検出信号を演算アンプ26に入力する。演算アンプ26は図に示すように、外部制御機21の出力を角度指示量として加算する機能と、コンデンサ、抵抗の時定数からゲイン、位相の周波数特性を調整する位相補償機能と、温度検出器15で検出した温度検出電圧の値に応じてDCゲインを変える機能を有している。
【0061】
演算アンプ26の出力はミラー駆動回路23に入力し、第1の実施の形態と同様に偏向ミラー8の駆動を可能とする。
【0062】
次に、温度変化に応じて発生するコイル7a、7bの抵抗値変化を演算アンプ26で補正する方法について説明する。
【0063】
コイル7a、7bの抵抗値は、前記式(6)により求まり、図5に示したように変化する。図5においては、角度指示電圧Vofに対する抵抗値変化量よりも、環境温度Taに対する抵抗値変化量の方が大きい。
【0064】
そこで角度が変化した時の自己発熱によるコイル抵抗値の変化は無いものとして考える。この場合、式(6)でV=0(∵Vof=0)と定義することで、下記の関係式(11)によりコイル抵抗値Rが求まる。
【0065】
【数11】
この抵抗値Rの変化を演算アンプ26でゲイン補正を行う場合の補正量は、式(8)より求まる。
【0066】
【数12】
つまり、環境温度Taを変数とした一次関数とすれば良い。
【0067】
一方、演算アンプ26のDCゲインは下記の関係がある。
【0068】
【数13】
可変抵抗19の抵抗値Rtはその入力電圧Vtに対して、温度検出器15の出力Vtは環境温度Taに対して、いずれも線形の変化をするものを用いる。この時、式(13)よりDCゲインGは環境温度Taを変数とした一次関数となる。
【0069】
m、n、Ri、Rt0、R1、Vt0などの各定数を式(12)を満たすように定めれば、目論見のゲイン補正が可能となる。
【0070】
第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態が環境温度並びに、自己発熱によるコイル抵抗値の変化について補正したのに対し、自己発熱によるコイル抵抗値の変化は考慮していないため、第1の実施の形態よりも補正する精度は劣るものの、回路構成を簡略化することで装置サイズを小さく、且つ安価にしてコイル抵抗値の変化の支配的要因となっている環境温度の影響を排除することが可能となる。
【0071】
また、第2の実施の形態は、ミラー角度制御の位置決めに限らず、光記録装置等で使用される対物レンズの位置決めサーボ系等にも応用可能である。
【0072】
なお、第1及び第2の本実施の形態は共に、前記可動部にコイルを配置した系において説明しているが、可動部にマグネットを配置し、固定部にコイルを配置した系においても実施可能である。
【0073】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、小型でかつ、可動部の環境温度変化、並びに自己発熱によるミラー回動角度の安定性、定常性悪化を回避することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光偏向装置の構成を示す構成図
【図2】図1の光偏向装置の構成を簡略化したブロック図
【図3】図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がない場合のコイル抵抗値の特性を示す図
【図4】図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がある場合のゲイン補正量の特性を示す図
【図5】図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がある場合のコイル抵抗値の特性を示す図
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る光偏向装置の構成を示す構成図
【図7】従来の光偏向装置のミラー角度を検出する検出部の構成を示す図
【図8】従来の光偏向装置における、検出したミラー角度検出信号に応じて駆動電流をコイルに印可しミラーを駆動する駆動部の構成を示す図
【図9】従来の光偏向装置における定電流駆動方式の駆動回路の構成を示す図
【図10】従来の光偏向装置における定電圧駆動方式の駆動回路の構成を示す図
【図11】図10のコイル抵抗値の特性を説明する等価回路
【図12】従来の光偏向装置のコイル抵抗値の特性を示す図
【符号の説明】
1…光偏向装置
2…光路切換え素子
6a、6b…マグネット
7a、7b…コイル
8…偏向ミラー
9…可動ホルダ
10…センサーミラー
11…発光素子
12…分割PD
13…I/Vアンプ
14…発光素子駆動回路
15…温度検出器
16…演算IC
17…A/Dコンバータ
18…位相補償演算部
19…ゲイン補正演算部
20…D/Aコンバータ
21…外部制御機
22…メモリ
23…ミラー駆動回路
24…可動部
25…温度補正演算部
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザプリンタ、光通信等に用いられる光偏向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーザプリンタ、光通信等においては光路切換え素子を有する光偏向装置が利用されている。光偏向装置は入力された入射光を、所望の方向に選択的に出力する。
【0003】
光偏向装置においては、例えば特開2001−264663号公報明細書に示されるようなミラー角度制御手段を有する光路切り換え素子が開示されている。
【0004】
図7はミラー角度を検出する手段、図8は検出したミラー角度検出信号に応じて駆動電流をコイルに印可しミラーを駆動する手段を示している。
【0005】
図7では、X軸の中心の両側に配置される図8に示したコイル155aと磁石151aの電磁力作用によって、X軸を中心にミラー150が回動される構成(可動部)が示されている。また、前記ミラー150の裏面側反射面150bには、LD158のレーザ光が入射した後反射され、光位置検出器162に入射され前記ミラー150の回動角度を検出している。
【0006】
この結果は図8で示した駆動電流として増幅器167に入力し、可動部にフィードバックすることでミラー角度を一定に保持する制御を行っている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−264663号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7、図8に示される構成のミラー駆動回路、即ちミラー角度に比例して駆動電流を制御する駆動回路においては、コイルの温度変化によるコイル抵抗値の変動が問題となる。
【0009】
図7、図8では、前記ミラー150の回動角度に比例してコイルに駆動電流を印加している。また、回動角度は駆動電流に比例して発生するため、角度を一定に保つ制御系全体のゲイン特性は常に一定に保たれる。
【0010】
しかし、図8の増幅器167がもしも出力段の負荷、つまりコイルの抵抗値に応じて、そのゲイン特性が変動する構成の場合、駆動電流の印加によりコイル温度が変化することでコイル自身の抵抗値が変動し、系全体のゲイン特性は一定に保たれなくなる。また、装置が設置されている環境温度の変化によってもコイル抵抗値の変動は発生するため、同様にゲイン特性は一定に保たれなくなる。
【0011】
系全体のゲイン特性が一定に保たれなくなると、例えばゲインが低下した場合、ミラー部分に生じる振動を抑圧する力が低下し、目論見の角度制御ができなくなり定常特性が悪くなる。また、系全体の伝達特性のゲイン余裕、位相余裕が最適で無くなり、安定性が悪くなることにも繋がる。一方、ゲインが上昇する場合も同様に安定性が悪くなることに繋がる。
【0012】
そこで、図9に示すような駆動回路方式が考えられる。図9の方式は一般に定電流駆動方式と呼ばれ、前記駆動アンプ入力部へのフィードバック制御により負荷変動(コイル抵抗値変動)の影響は回避される。
【0013】
しかし、コイル周辺の回路規模が大きくなり装置の小型化が困難なこと、また前記駆動アンプ入力部へのフィードバックループの形成は、周波数帯域が低下するという問題がある。
【0014】
一方、図10に示すように小型化を優先し、前記の定電流駆動に必要な回路を使用しない、コイル両端の電圧を制御する方式もあり一般的に、定電圧駆動方式と呼ばれる。
【0015】
図10の場合、図9の電流検出抵抗、電流検出アンプ、エラーアンプが不要となり回路の構成が簡単となる。そのため、装置の小型化が容易であり、周波数帯域も向上する。
【0016】
しかし、前述したようにコイル抵抗の変動の影響を受けるため、前記ミラー回動角度サーボ系全体のゲイン変動が発生し安定性、定常特性が悪化する問題がある。
【0017】
図11は図10のコイル抵抗値の特性を説明する等価回路であって、前記コイルの温度Tは、コイル自身の電流消費による発熱と、駆動系によるコイル周辺環境温度Taにより定まり、以下の式(1)〜(4)の基本式の関係があり、最終的に関係式(5)で前記コイルの抵抗値が算出される。
【0018】
【数1】
R=R0+k(T−T0) ‥‥(1)
【数2】
αP=T−T0 ‥‥(2)
【数3】
P=IV ‥‥(3)
【数4】
I=V/R ‥‥(4)
【数5】
例えば、図12は関係式(5)から装置が設置されている環境温度が−10°C、+25°C、+65°Cと変化し、また、前記コイル両端の電圧Vが0〜0.2[V]と変化した場合のコイル抵抗値の変化を示している。
【0019】
V=0.2[v]は駆動系モデルによる駆動特性の一例で、ミラー角度の最大振れ角約10[deg]である。また、それ以外の係数は下記を固定量として算出している。 R0=30Ω
T0=25°C
k=0.039Ω/°C
α=10000°C/W
ここで、T0は基準温度、R0はコイル温度T=T0ときのコイル抵抗、kはコイルの温度変化時の抵抗変化率、αはコイルの消費電力変化時の抵抗変化率である。
【0020】
図12の場合では、コイル抵抗値RはTa(周囲温度)=25°C、V=0[v]の時は理想的な値30Ωとなるが、例えばTa=65°C、V=0.2[v]の時では約32Ωとなり、最大誤差が約7%程度発生することが判る。
【0021】
つまり、この駆動系をミラー角度サーボ系に使用した場合ループゲインが7%低下し、ゲインの抑圧度、安定性の低下に繋がる。
【0022】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、小型でかつ、可動部の環境温度変化、並びに自己発熱によるミラー回動角度の安定性、定常性悪化を回避することのできる光偏向装置を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の光偏向装置は、光の方向を偏向すべく所定の偏向面を有する光偏向素子と、前記光偏向素子を回動自在に駆動するための駆動部と、前記光偏向素子の偏向角度を検出する検出部と前記検出部の出力信号に基づいて前記駆動部に駆動信号を印加する駆動回路と、前記駆動部の周囲温度を検出する少なくとも1つの温度検出器とを備え、前記駆動回路は前記駆動信号を前記温度検出器の前記検出温度出力信号に基づき補正するように構成される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について述べる。
【0025】
図1〜図5は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1は光偏向装置の構成を示す構成図、図2は図1の光偏向装置の構成を簡略化したブロック図、図3は図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がない場合のコイル抵抗値の特性を示す図、図4は図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がある場合のゲイン補正量の特性を示す図、図5は図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がある場合のコイル抵抗値の特性を示す図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態の光偏向装置1では、光路を切換える光路切換え素子2と、光路切換え素子2を一定の回動角度に制御するサーボ系の駆動回路を構成する演算IC16とを有して構成される。
【0027】
光路切換え素子2は、マグネット6a、6bの間に配置された可動部24と、可動部24の可動ホルダ9に互いに対向するように配置された偏向ミラー8及びセンサーミラー10と、該二つのミラーの両側に配置されたコイル7a、7bとを有する。
【0028】
平行に配置された偏向ミラー8、センサーミラー10は両ミラーの中心を軸に回動する構成を成しており、センサーミラー10は、偏向ミラー8の角度検出に使用される。
【0029】
具体的には発光素子駆動回路14を使って、発光素子11からレーザー光をセンサーミラー10に照射し、その反射光を分割PD12で受光し、該分割PD12の受光量に応じた検出電流を得る。その検出電流は後段のI/Vアンプ13で電圧信号に変換され、前記偏向ミラー8の位置検出信号として使用する。
【0030】
一方、偏向ミラー8、センサーミラー10を回動させるためのトルクは、前記コイル7a、7bにミラー駆動回路23から供給される駆動電流、および前記マグネット6a、6bとで発生する磁界とにより電磁力が作用させることで発生させる。コイル7a、7bの駆動電流の電流方向に応じて、前記偏向ミラー8の回動方向は切り換えられる。
【0031】
演算IC16は、A/Dコンバータ17、位相補償演算部18、ゲイン補正演算部19、温度補正演算部25、D/Aコンバータ20を有して構成され、前記センサーミラー10の位置検出信号を前記A/Dコンバータ17でデジタル値に変換した直後に、外部制御機21から入力される前記偏向ミラー8のミラー角度指示量を加算することで前記偏向ミラー8を所望の回動角度にサーボ制御している。
【0032】
前記センサーミラー10の検出信号は、前記A/Dコンバータ17に取り込まれる。取り込まれた結果に対しては、前記偏向ミラー8のミラー角度制御系全体の安定性、定常特性、速応性を改善するため位相補償演算部18で位相補償演算が実施される。
【0033】
位相補償演算部18の結果は、ゲイン補正演算部19で前記コイル7a、7bの温度変化により生じた抵抗値変化によるゲイン変動を打ち消すようにゲイン補正演算を実施した後、D/Aコンバータ20を介して電圧信号をミラー駆動回路23に入力させる。
【0034】
また、前記ゲイン補正演算部19には、光路切換え素子2近傍に設けられている温度検出器15を用いて検出した温度検出信号に温度補正演算部25で補正演算を行った結果、およびメモリ22に予め格納されているゲイン補正演算に必要な定数が入力される。
【0035】
なお、温度検出器15は前記コイル7a、7b自身の発熱の影響を受けないようにし、且つ、前記コイル7a、7bに作用する装置内の周囲温度を検出できる位置に配置する。
【0036】
また、温度検出器15の該検出温度出力信号は、周辺環境温度Taに対する電圧信号であり、温度補正部25は前記電圧信号を基に補正演算した後、ゲイン補正部19の演算部へ入力するものとする。
【0037】
ミラー駆動回路23は、入力された電圧に比例した電圧を前記コイル7a、7bの両端に印可する定電圧駆動方式の駆動回路である。従って、前述したようにコイル7a、7bの抵抗の変化により駆動電流は変化するものである。
【0038】
次に、ゲイン補正部19で実際に補正演算を行う方法について説明する。図1の構成を更に簡単なブロック図に置き換えると図2のフィードバック系で表すことができる。説明を簡略化するため、A/Dコンバータ17、D/Aコンバータ20での変換は考慮せずに、演算IC16の内部も電圧信号で演算されるように定義している。また、温度検出器15の特性も温度補正演算部25で補正されるため省略する。
【0039】
図2の構成で考えた場合、コイル抵抗R及びコイルに印加する電圧Vは以下の式(6)及び(7)によって表すことができる。なお、途中の演算については省略する。
【0040】
【数6】
ここで、Taは周辺環境温度、T0は基準温度、R0はコイル温度T=T0ときのコイル抵抗、kはコイルの温度変化時の抵抗変化率、αはコイルの消費電力変化時の抵抗変化率である。
【0041】
【数7】
ここで、Gpは位相補償演算部18のDCゲイン、Gtはゲイン補正部19のDCゲイン、Grvはミラー駆動回路23のDCゲイン、Vofはミラー角度指示電圧、Gaはコイル7a、7b、マグネット6a、6b、偏向ミラー8、センサーミラー10等から形成される駆動系のDC駆動感度、Gsは発光素子11、センサーミラー10、分割PD12、I/Vアンプ13等から形成される検出系のDC検出感度である。
【0042】
式(6)はコイル自身の電流消費による発熱と、コイル周辺環境温度によるコイルの温度からコイル抵抗値が求まることを意味している。
【0043】
また、ゲイン補正量Gtは前記コイル抵抗値Rの変化をうち消すような値としたいため式(8)の関係が成立する。
【0044】
【数8】
つまり、コイル抵抗値Rが常に一定の値R0に成るように制御する。
【0045】
以上の関係を整理すると、最終的にゲイン補正量Gtは式(9)により定まる。
【0046】
【数9】
なお、式(9)においては、式を簡単にするために下記の置き換えをしている。
【0047】
G1=Gp Grv Ga Gs、G2=Gp Grv、β=R0+k(Ta − T0)。
【0048】
式(9)を定める上で必要な諸パラメータのうち、Vof、Ta以外のパラメータは固定植であり予めメモリ22に格納しておき、演算に使用される。 Vof、Taは逐次変化するが何れも判明値であり、その時々の値を使って演算を実施する。
【0049】
また、この時、あるゲイン補正量Gtの時のコイル抵抗値Rは式(10)の関係式により求まる。
【0050】
【数10】
参考にゲイン補正演算がない場合のコイル抵抗値を図3、ゲイン補正演算がある場合のゲイン補正量、コイル抵抗値を計算した結果を図4、図5に示す。計算に際しては、実際の使用環境を考慮して周囲温度Taは−10°C〜+65°Cの範囲で、ミラー角度指示量Vofは角度量0〜10degに相当する0〜1.9Vの範囲で変化する量とし、それ以外のパラメータは下記の固定量としている。
【0051】
R0=30Ω
T0=25°C
k=0.039Ω/°C
α=10000°C/W
Gp=200V/V
Grv=4V/V
Ga=1500deg/A
Gs=0.19V/deg
図3の結果により、ゲイン補正を行わない場合、コイル抵抗値RはTa=25°C、Vof=0の時は理想的な抵抗値30Ωとなるが、例えばTa=65°C、Vof=1.9Vの時に約32Ωとなり最大誤差は約7%程度発生することが判る。また、計算に用いるパラメータを本実施の形態とは別の値にした場合には、誤差が更に大きくなる場合もあり得る。
【0052】
一方、ゲイン補正を行う場合のゲイン補正量、コイル抵抗値は図4、図5の結果となる。コイル抵抗値はゲイン補正を行わない図3の場合と同様に変化するが、図5からも判るようにGtの値がTa、Vofに応じて変化する。
【0053】
図2の関係からも判るように、ミラー角度サーボ系の中ではGt/Rとして系のゲインに寄与する。つまり抵抗値として考えた場合には、R/Gtとして寄与する。前述したゲイン補正がない場合と同じ条件でのR/Gtを求めてみると、30Ωとなっていることが判る。
【0054】
以上のことから、ゲイン補正演算を行うことでコイル抵抗値Rが温度により変化しても、ミラー角度サーボ系全体のゲインを一定に保つことができることが判る。
【0055】
また、前記コイル自身の電流消費による発熱と、コイル周辺環境温度により、コイル抵抗値が求まることを説明したが、一方、VofとTaが定まるとGt、R、Vなどの変化量が一意に定まるので、結果として式(1)もしくは式(2)の関係からコイル温度Tが求められることも示している。
【0056】
また、例えば、本実施の形態の光偏向装置1を多数使用する多チャンネルの光スイッチのような場合においては、駆動回路構成を定電圧方式にしたことで回路構成を大幅に削減できる。特に、ミラー駆動回路23とコイル7a、7bは近傍に配置されることが多いため、ミラー周辺部分の集積度を上げることにも繋がる。
【0057】
以上より、本実施の形態の光偏向装置1は、可動部のコイルの温度変化の影響を受けることなく安定したミラー角度制御を実現し、且つ装置小型化が可能となる。
【0058】
図6は本発明の第2の実施の形態に係る光偏向装置の構成を示す構成図である。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0059】
図6を用いて本発明の第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態が前記演算IC16を用いて実施したのに対し、本実施の形態ではこれら構成をディスクリートの簡単なアナログ回路で実現している。
【0060】
すなわち、図6に示すように、I/Vアンプ13から出力されるミラー角度検出信号を演算アンプ26に入力する。演算アンプ26は図に示すように、外部制御機21の出力を角度指示量として加算する機能と、コンデンサ、抵抗の時定数からゲイン、位相の周波数特性を調整する位相補償機能と、温度検出器15で検出した温度検出電圧の値に応じてDCゲインを変える機能を有している。
【0061】
演算アンプ26の出力はミラー駆動回路23に入力し、第1の実施の形態と同様に偏向ミラー8の駆動を可能とする。
【0062】
次に、温度変化に応じて発生するコイル7a、7bの抵抗値変化を演算アンプ26で補正する方法について説明する。
【0063】
コイル7a、7bの抵抗値は、前記式(6)により求まり、図5に示したように変化する。図5においては、角度指示電圧Vofに対する抵抗値変化量よりも、環境温度Taに対する抵抗値変化量の方が大きい。
【0064】
そこで角度が変化した時の自己発熱によるコイル抵抗値の変化は無いものとして考える。この場合、式(6)でV=0(∵Vof=0)と定義することで、下記の関係式(11)によりコイル抵抗値Rが求まる。
【0065】
【数11】
この抵抗値Rの変化を演算アンプ26でゲイン補正を行う場合の補正量は、式(8)より求まる。
【0066】
【数12】
つまり、環境温度Taを変数とした一次関数とすれば良い。
【0067】
一方、演算アンプ26のDCゲインは下記の関係がある。
【0068】
【数13】
可変抵抗19の抵抗値Rtはその入力電圧Vtに対して、温度検出器15の出力Vtは環境温度Taに対して、いずれも線形の変化をするものを用いる。この時、式(13)よりDCゲインGは環境温度Taを変数とした一次関数となる。
【0069】
m、n、Ri、Rt0、R1、Vt0などの各定数を式(12)を満たすように定めれば、目論見のゲイン補正が可能となる。
【0070】
第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態が環境温度並びに、自己発熱によるコイル抵抗値の変化について補正したのに対し、自己発熱によるコイル抵抗値の変化は考慮していないため、第1の実施の形態よりも補正する精度は劣るものの、回路構成を簡略化することで装置サイズを小さく、且つ安価にしてコイル抵抗値の変化の支配的要因となっている環境温度の影響を排除することが可能となる。
【0071】
また、第2の実施の形態は、ミラー角度制御の位置決めに限らず、光記録装置等で使用される対物レンズの位置決めサーボ系等にも応用可能である。
【0072】
なお、第1及び第2の本実施の形態は共に、前記可動部にコイルを配置した系において説明しているが、可動部にマグネットを配置し、固定部にコイルを配置した系においても実施可能である。
【0073】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、小型でかつ、可動部の環境温度変化、並びに自己発熱によるミラー回動角度の安定性、定常性悪化を回避することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光偏向装置の構成を示す構成図
【図2】図1の光偏向装置の構成を簡略化したブロック図
【図3】図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がない場合のコイル抵抗値の特性を示す図
【図4】図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がある場合のゲイン補正量の特性を示す図
【図5】図1の光偏向装置によるゲイン補正演算がある場合のコイル抵抗値の特性を示す図
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る光偏向装置の構成を示す構成図
【図7】従来の光偏向装置のミラー角度を検出する検出部の構成を示す図
【図8】従来の光偏向装置における、検出したミラー角度検出信号に応じて駆動電流をコイルに印可しミラーを駆動する駆動部の構成を示す図
【図9】従来の光偏向装置における定電流駆動方式の駆動回路の構成を示す図
【図10】従来の光偏向装置における定電圧駆動方式の駆動回路の構成を示す図
【図11】図10のコイル抵抗値の特性を説明する等価回路
【図12】従来の光偏向装置のコイル抵抗値の特性を示す図
【符号の説明】
1…光偏向装置
2…光路切換え素子
6a、6b…マグネット
7a、7b…コイル
8…偏向ミラー
9…可動ホルダ
10…センサーミラー
11…発光素子
12…分割PD
13…I/Vアンプ
14…発光素子駆動回路
15…温度検出器
16…演算IC
17…A/Dコンバータ
18…位相補償演算部
19…ゲイン補正演算部
20…D/Aコンバータ
21…外部制御機
22…メモリ
23…ミラー駆動回路
24…可動部
25…温度補正演算部
Claims (11)
- 光の方向を偏向すべく所定の偏向面を有する光偏向素子と、
前記光偏向素子を回動自在に駆動するための駆動部と、
前記光偏向素子の偏向角度を検出する検出部と
前記検出部の出力信号に基づいて前記駆動部に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記駆動部の周囲温度を検出する少なくとも1つの温度検出器と
を備え、
前記駆動回路は前記駆動信号を前記温度検出器の前記検出温度出力信号に基づき補正する
ことを特徴とする光偏向装置。 - 前記駆動回路は、定電圧駆動方式である
ことを特徴とする請求項1に記載の光偏向装置。 - 前記駆動回路は、定電圧駆動方式の演算アンプである
ことを特徴とする請求項1に記載の光偏向装置。 - 前記演算アンプのゲインが、周囲温度の一次関数である
ことを特徴とする請求項3に記載の光偏向装置。 - 前記駆動回路は、前記光偏向素子の角度指示量を、前記光偏向素子の偏向角度位置検出信号に加算させる
ことを特徴とする請求項1に記載の光偏向装置。 - 前記駆動回路は、前記駆動部のコイル温度変化によって生ずるゲイン変動を打ち消すようにゲイン補正演算を実施する
ことを特徴とする請求項1に記載の光偏向装置。 - 前記駆動回路は、前記駆動部のコイル温度変化を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の光偏向装置。 - 前記温度検出器による補正は、前記駆動部のコイル抵抗値である
ことを特徴とする請求項1に記載の光偏向装置。 - 前記駆動回路は、外部制御機、演算IC、メモリ、光偏向素子駆動回路で構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の光偏向装置。 - 前記演算ICは、A/Dコンバータ、位相補償演算部、ゲイン補正演算部、温度補正演算部、D/Aコンバータを含む
ことを特徴とする請求項9に記載の光偏向装置。 - 所定の演算定数を予め格納しているメモリを備え、
前記ゲイン補正演算は、前記駆動部のコイル温度と前記メモリに予め格納されている前記演算定数とによって実施される
ことを特徴とする請求項6に記載の光偏向装置。
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