JP2004257769A - 多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定光学系路を1系統とし、従来のチョッパ機構を利用して多色赤外線撮像装置を得る。
【解決手段】被写体1の赤外放射エネルギーを垂直及び水平走査鏡8及び9及びチョッパ兼フィルタ(BPF)から成る遮光手段24を介して1次元ラインセンサ26に所定の多波長の内の1つの赤外線エネルギーを取り込み、このエネルギーを少なくとも1水平走査(1H)内、或は毎に取得し、1次元ライン26に集光させたエネルギーを垂直走査鏡により1素子分移動させて、複数のフィルタF1 ,F2 ‥‥を入れ替えることで、少なくとも1水平走査内或は毎の多波長の温度測定を行なう様に成した多色赤外線撮像装置を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】被写体1の赤外放射エネルギーを垂直及び水平走査鏡8及び9及びチョッパ兼フィルタ(BPF)から成る遮光手段24を介して1次元ラインセンサ26に所定の多波長の内の1つの赤外線エネルギーを取り込み、このエネルギーを少なくとも1水平走査(1H)内、或は毎に取得し、1次元ライン26に集光させたエネルギーを垂直走査鏡により1素子分移動させて、複数のフィルタF1 ,F2 ‥‥を入れ替えることで、少なくとも1水平走査内或は毎の多波長の温度測定を行なう様に成した多色赤外線撮像装置を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法に係わり、特にライン順次型走査機構を用いて多波長での測定が小誤差内で可能な多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている、赤外線撮像装置(サーモグラフィ装置)の基本的構成は放射温度計に走査機能を付加したもので、一般的には図7に示す如く被写体1を垂直及び水平走査鏡8及び9並びに光学系10を介して所定の視野20内で撮像すると共に1次或は2次元のセンサ(HgcdTe,PtSi,InSb等)5に供給し、被写体1からの放射エネルギーをセンサ5で検出して増幅器11で増幅する検出部19と、制御部22を構成するCPU(マイクロコンピュータ)等の演算手段14並びに被写体1の温度状態を色表示する為のディスプレイ16等で構成させたものが非特許文献1に記載されている。
【0003】
また、従来の多色赤外線撮像装置の光学系は図8の如く、被写体1で計測した。例えば2波長の放射エネルギーは垂直走査鏡8及び水平走査鏡9等の走査系を介して、光学系を構成する対物レンズ10及び光学フィルタより成る第1通過濾波器(BPF)4a及び第2の通過濾波器4bから成る光学系路を経てセンサ5に取り込まれる。
【0004】
上述の第1及び第2のBPF4a及び4bは矢印で示す様に機械的に光路上に1フィールド或は1フレーム撮像毎に着脱挿入されている。
【0005】
更に、近赤外線の3波長で同視野を同時に観測できる広視野用のサーベイ観測用多色同時赤外線カメラ「SIRIUS」(Simultaneous−color Infrared Imager for Unbiased Survey) として光学系にビームスプリッタを配し3分割して3バンドを同時観測し、検出器に1024×1024素子のHgcdTe赤外アレイを3個装備させ、波長1.25μm、1.65μm、2.1μmで視野同時撮像する赤外線カメラが非特許文献2に開示されている。
【0006】
【非特許文献1】
「サーモグラフィの原理と応用」 NEC三栄株式会社 三栄レポートNo.106 5頁 図5
【非特許文献2】
長嶋千恵 外15名 サーベイ 観測用多色同時赤外線カメラSIRIUS
(平成14年9月26日検索)インターネット<http//optik2.mtk.nao.ac.jp/`hide/s−poster98024.pdf>
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図8で説明した多色赤外線撮像装置の光学系によると、多波長に分割するための第1乃至第nの光学的BPF4a,4b‥‥を必要とし、被写体1を第1のBPF4aで計測後に機械的に光学的BPFを切換えて次の第2のBPF4bで計測するため、光学系が大型化され、非常に高価となり、計測時の同時性が失われ、高速に波長の異なる赤外線エネルギーを取り出せない課題を有していた。又、非特許文献2に開示されている様なビームスプリッタによって、多波長に分割する場合は高速にデータを取得することは出来るが、分割しただけの数のセンサを必要とし、これらセンサ間の誤差を無くすことが出来ない等の課題を有していた。
【0008】
本発明は叙上の課題を解消するために成されたもので本発明では1個のラインセンサを用いることで同時性の誤差を最小限に抑えると共に測定系の光路を1系統とすることで光学的BPFを含む光路を簡略化し、複数の波長データを加算平均して、S/N改善を図る様にしたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の赤外線撮像装置は被写体を撮像して被写体の放射エネルギーを測定する様に成された多色赤外線撮像装置に於いて、少なくとも2波長の光学的通過濾波手段を有する遮光手段を回動自在に光路内に配設し、被写体からの放射エネルギーを検出する1次元ライン検出手段と、1次元ライン検出手段の1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に走査する垂直走査手段と、少なくとも2波長の1次元ライン検出手段よりの少なくとも1水平走査期間分のデータを記憶させる記憶手段と、記憶手段に記憶した記憶データを加算演算する演算手段とを具備し、演算手段で得られた演算データを熱画像データに変換して表示させて成るものである。
【0010】
第2の本発明の多色赤外線撮像装置の1次元ライン検出手段の出力は複数画素間のバラツキを補償手段を設けて補償する様に成したものである。
【0011】
第3の本発明の多色赤外線撮像装置の遮光手段はチョッパ兼用の光学フィルタとしたものである。
【0012】
第4の本発明の多色赤外線撮像装置の演算手段は加算平均演算手段と成したものである。
【0013】
第5の本発明の多色赤外線撮像装置は被写体を撮像して、被写体の放射エネルギーを測定する様に成された多色赤外線撮像装置に於いて、放射エネルギー検出手段に用いるラインセンサを1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に走査させてライン順次色温度画像データを得る様に成したものである。
【0014】
第1の本発明の赤外エネルギーデータ処理方法は被写体を撮像して、被写体の放射エネルギーを測定する様に成された赤外エネルギーデータ処理方法に於いて、少なくとも2波長の光学的通過濾波手段を有する遮光手段を回動自在に配設し、被写体からの放射エネルギーを1次元ライン検出手段を介して検出し、この1次元ライン検出手段の1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に垂直走査手段を介して走査し、少なくとも2波長の1次元ライン検出手段よりの少なくとも1水平走査期間分のデータを記憶手段に記憶し、記憶手段に記憶した記憶データを演算手段を介して演算し、演算手段で得られた演算データを熱画像データに変換して表示させて成るものである。
【0015】
第2の本発明の赤外エネルギーデータ処理方法は被写体を撮像して、被写体の放射エネルギーを測定する様に成された赤外エネルギーデータ処理方法に於いて、放射エネルギー検出手段に用いるラインセンサを1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に走査させてライン順次色温度画像データを得る様に成したものである。
【0016】
斯かる、本発明の多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法によると、垂直走査鏡8と水平走査鏡9を介して複数の光学フィルタ(BPF)とチョッパから成る遮光手段を光路上に配すると共に1次元ラインセンサ26に対して少なくとも1水平期間内或は毎に垂直方向に1画素分、移動させる様にしたので被写体1の同位置を多波長で極めて短時間内に測定可能となり、これによって、同時性は少なくとも1水平期間(1H)内或は毎の遅延量となり、各波長に於ける温度誤差を低減させることができるほか、従来の走査型サーモグラフィを応用した構成で、2次元の多色温度計を実現できるため、比較的安価に製作が可能となる。
【0017】
また、2波長以上の測定も、フィルタ(BPF)を3、4種類と変更することで、対応でき、いずれもフィルタを入れるだけの簡単な構造で実現できる。また、複数の波長データをそれぞれ加算平均することができるので、S/Nを改善したデータを得ることができ、高画質な画像を安価に映出できる特徴を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法を図1乃至図6によって詳記する。
【0019】
図1は本発明の多色赤外線撮像装置の1形態例を示すブロック図、図2は本発明の多色赤外線撮像装置の光路内に配設した遮光手段の平面及び側面図、図3は本発明の遮光手段の他の構成を示す平面及び側面図、図4は本発明の赤外線撮像装置の走査方法を示す説明図、図5は走査波形図、図6は本発明の多色赤外線撮像装置の測定環境と多色赤外線撮像装置に入射する放射エネルギーを説明するための模式図である。
【0020】
図1により、本発明の多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法のブロックを説明する前に、図6を用いて一般的な赤外線撮像装置の測定環境として、炉33aの炉壁33b内に被写体1として、例えば、セラミック体を配置し、焼結時の真温度の測定等を行なう場合を以下に概観する。
【0021】
図6に於いて、炉33a内に配設した被写体1(セラミック体)の表面温度をT0 、被写体1の所定波長領域λでの放射率をε0 、周囲環境に基づく反射体温度、図6の場合は炉壁33bの温度をTh とすると、炉33a内の被写体1からの窓材23を経て検出される放射エネルギーE0 は数1で与えられる。
【0022】
【数1】
【0023】
ここでE0 =ε0 f(T0 )は被写体の放射エネルギー成分であり、Eh =(1−ε0 )f(Th )は炉壁33bからの反射エネルギー成分である。
【0024】
又、炉33a内の水蒸気、炭酸ガス等の雰囲気36中の放射率をεa 、温度をTa 、透過率をτa とすれば窓材23を介して検出される雰囲気36中の放射エネルギーEa は数2で与えられる。
【0025】
【数2】
Ea =τa ・f(T0 ,Th )+εa ・f(Ta )‥‥(2)
【0026】
更に、窓材23の温度をTw 、透過率をτw 、放射率をεw とすれば、この窓材23を介して検出される窓材23の放射エネルギーは数3で与えられる。
【0027】
【数3】
Ew =τw ・f(T0 ,Th )+εw ・f(Tw )‥‥(3)
【0028】
上述の数1乃至数3式で与えられる放射エネルギーから被写体1の真温度を正しく求めるためには不確定で誤差を発生させる要素を除去する必要がある。そこで、数2式の雰囲気中の透過及び放射エネルギー成分Ea は透過の影響がない測定波長帯を選択し、τa =1,εa =1とすることで炉22a内の水蒸気や炭酸ガスの影響を除去した。
【0029】
更に、数3式の窓材23での放射エネルギー成分Ew は窓材23の温度を一定に保ち、透過が最大である条件で波長選択して窓材23の温度特性や煤の影響等を除去したが、炉壁33bの反射成分であるEh =(1−ε0 )f(Th )は被写体(測定対象物)1の反射特性に影響を与え、被写体1の放射も放射特性に影響を与えることになるが、これらの不確定要素は除去できない。
【0030】
そこで本発明では3つの波長帯の放射温度を測定し、炉壁33bの反射成分である炉壁33bからの放射率と被写体1の反射(放射率)を計算で求めて、これらを外乱として除去して炉33a内の被写体1の真温度を計測する様にした。
【0031】
従って、図6で示す被写体1の窓材23から取り出される放射エネルギーは数2及び数3式が除去された数1式のみとなる。然し、被写体1の分光放射率ε0 は温度によって変化し、多波長(3波長λ1 ,λ2 ,λ3 )間の放射率は等しくはないが、これら放射率間には比例関係のελ1 =K・ελ2 =L・ελ3 が温度に係わらず成り立つと仮定し、数1式の分光感度特性を考慮した3波長λ1 ,λ2 ,λ3 の積分値を被写体1の温度に対するエネルギーとして、数1から数4を求める。
【0032】
【数4】
ここで数4式の計算を3波長λ1 ,λ2 ,λ3 について計算する。すると分光放射エネルギーMλは数5で求められる。
【0033】
【数5】
ここでCA は第1の放射定数(2πhC2 )3.74177×104 〔W・cm−1・μm4 〕、CB は第2の放射定数(ch/k)1.43877×104 〔μm・K〕、λは入力波長〔μm〕、Tは絶対温度(被写体温度)〔K〕である。
【0034】
上記数1及び数4乃至数5までの計算を3波長λ1 ,λ2 ,λ3 で行なってλ1 ,λ2 ,λ3 の波長時のエネルギーをE1 ,E2 ,E3 とした時にε1 λ1 =K・ε2 λ2 =L・ε3 λ3 からE1 ,E2 =E2 /K,E3 =E3 /Lで換算し、放射率ε0 の違いを吸収する様にする。
【0035】
被写体1がアルミナの場合の測定波長はλ1 =7.9μm、λ2 =11μm、λ3 =8〜12μmに選択している。
【0036】
上述の原理に基づいて被写体1内の真温度を得るための多色赤外線撮像装置を3波長の3色赤外線撮像装置とした構成で説明する。
【0037】
図1に於いて、被写体1からの入射エネルギーEλは窓材23から入射した赤外光を垂直走査鏡8及び水平走査鏡9で被写体1の像を水平及び垂直走査し、対物レンズ10で集光し、光軸上に配設した遮光手段24を通過する。
【0038】
この遮光手段24は図2及び図3に示す様に構成されている。即ち、図2に於いては、通常用いられている歯車状のチョッパ円盤39の羽根C1 と羽根C2 との間の空間部に第1及び第2の波長帯域の赤外光を通過させる光学的通過濾波器(BPF、以下フィルタと記す)F1 ,F2 を配設すると共にチョッパ円盤39の中心に穿った透孔にモータ25の軸を挿通し、軸に固定したプーリを介してチョッパ円盤39を固定し、モータ25の回転によって、チョッパ及びフィルタ(遮光手段)24を回動自在と成したものである。
【0039】
図2の遮光手段24ではチョッパ円盤39の360°範囲を180°づつに2分割し、180°範囲の90°の範囲を赤外光を遮光するチョッパC1 ,C2 とし、他の90°範囲を第1の波長帯域の赤外光及び第2の波長帯域の赤外光のみを透過させるフィルタF1 ,F2 とし、1水平期間(1H)で半回転、2Hでチョッパ円盤39を1回転させる様に成したものである。
【0040】
図3に示す遮光手段24は金属板等の円盤40の中心部にモータ25の軸を固定し、円盤40の360°範囲を60°範囲に6等分し、所定半径R上で120°範囲で穿った3個の透孔内に60°範囲に亘った直径を有する円形の第1乃至第3の光学的通過濾波器であるフィルタF1 ,F2 ,F3 を嵌合させたものであり、遮光部となるチョッパC1 ,C2 ,C3 は通常の様に黒体との比較期間と成り、F1 +C1 ,F2 +C2 ,F3 +C3 の夫々の区間を1水平走査期間1Hで回転させる。即ち、1回転を3H区間で回転させる様に成されている。
【0041】
上述の説明ではチョッパC1 及びフィルタF1 、チョッパC2 及びフィルタF2 及びチョッパC3 及びフィルタF3 のチョッパ円盤39及び40を夫々2分割或は3分割して1H期間で回転した場合を説明したが、チョッパC及びフィルタFをn分割し、チョッパ円盤39及び40を0.5H〜nHで同期回転させる様にしてもよい。
【0042】
この光学的フィルタF1 ,F2 ,F3 に用いる波長帯域は被写体1の種類に応じて選択される。例えば、建物のガラスの様な物質をセンサとしてInSb等を用いて検出する場合は4.8〜5.2μmのBPFが用いられ、被写体がタイル、コンクリート等の反射率の低い、且つ放射率の高い温度測定時等では5〜8μmの波長範囲等が選択されているが、本例の場合のセラミック(アルミナ)では放射率が高く温度による放射率変化が小さいため、長波長帯域を7.9μm〜12μmに選択している。
【0043】
また、本例では光学的フィルタF1 ,F2 ,F3 として赤外線波長範囲λ1 =7.9μm、λ2 =11μm、λ3 =8〜12μmを1H以内の0.5乃至nHで1垂直同期信号に同期回転させる様に構成しているので1台で3(n)波長λ1 ,λ2 ,λ3 (λn )の計測が可能であり、非特許文献2の様に複数のセンサを用いる必要がないのでセンサ24の個体差を除くことが出来る。
【0044】
図1に戻って遮光手段24のフィルタF1 ,F2 ,F3 を通過した赤外線エネルギーEλは例えばHg・Cd・Te等の1つの1次元ラインセンサ24に入射される。
【0045】
1次元ラインセンサ24の各素子毎の例えばn個(図1では4個)の出力が加算回路27に供給される。加算回路27にはマイクロコンピュータ(以下CPUと記す)に接続されたオフセット信号発生回路(OG)35から各素子毎のオフセット値が供給されて、1次元ラインセンサ24の各素子間のオフセット補正が成される。
【0046】
加算回路27からのn個の出力は信号増幅回路11に供給され、所定レベルまでの増幅が行なわれた後にマルチプレクサ28に供給されるマルチプレクサ28では複数n個の入力並列信号を1つの直列信号に成され、アナログ−デジタル変換器(A/D)29でデジタルデータに変換された後に記憶手段(メモリ)30に格納される。
【0047】
メモリ30の出力は加算平均等の演算手段を含むデジタルコントローラを構成するCPU14に供給されるCPU14からはタイミング回路31を介して、A/D29、マルチプレクサ28、遮光手段25の回転用のモータ25、垂直走査鏡8を駆動するガルバノメータ41を駆動制御する様に成されている。
【0048】
CPU14には、炉33aの炉壁33bの炉壁環境33cに置かれた接触型の温度計34から、計測温度も供給されている。16は測定温度を擬似カラー化して表示するディスプレイ、32は例えばGPIB(General Purpose Interface Bas)等に接続されるインタフェースである。
【0049】
上述した多色赤外線撮像装置38の動作を図4及び図5によって説明する。
【0050】
図6で説明した様な例えば炉33a内のセラミック等の被写体1の赤外エネルギーEλを窓材23を通して垂直走査鏡8及び水平走査鏡9並びに対物レンズ10で1次元ラインセンサ26の受光面に収束させる。対物レンズ10とラインセンサ26間には図2に示す様なチョッパーC1 ,C2 、異なる2波長λ1 ,λ2 を通過させる光学濾波手段を構成するフィルタF1 ,F2 をチョッパ円盤39の周辺部に4分割した位置に配置したチョッパ及びフィルタ(遮光手段)24が設けられる。
【0051】
ここで、CPU14に接続されたタイミング回路31は図4の走査手順図及び図5の波形図に示す様なタイミングで線(ライン)順次走査を行なう。
【0052】
即ち、図2に示す遮光手段24をモータ25によって1H期間でフィルタF1 とチョッパC1 が半回転し、更に1H期間でフィルタF2 とチョッパC2 が半回転する様に回転させる。
【0053】
図5(A)はフィルタ及びチョッパから成る遮光手段24を介して2回転(4H)時の第1のフィルタF1 及び第2のフィルタF2 から透過したエネルギーをF11,F21,F12,F22で示すものであり、C11,C21,C12,C22はチョッピング期間で黒体との補正が成される。
【0054】
図5(B)は水平同期信号(1H)を示し、この水平同期パルスを分周したパルスを基にガルバノメータ41を駆動してラインセンサ26の一画素分だけ垂直走査鏡8を移動させる様に成されている。以下では4素子のラインセンサ26が4水平走査ライン(A,B,C,D)を同時に得る場合を説明する。
【0055】
図5(C)は1水平走査ラインAで第1及び第2(n)のフィルタF1 及びF2 (Fn )を通過したエネルギーF11,F21,F12,F22(‥‥Fn1,Fn2‥‥Fnn)をラインセンサ26の1素子で図4の様に受光して電気変換した信号を示すものでフィルタF1 ではS(4)乃至S(1)であり、フィルタF2 ではS′(4)乃至S′(1)であり、図4に示す様に、第1番目のA水平走査ラインの1H目では遮光手段24の第1のフィルタF1 を透過したエネルギーF11は水平同期パルスHP1 に同期したパルスに依って、ガルバノメータ41に供給したタイミング信号により、垂直走査鏡8を垂直走査方向にラインセンサ26の1画素分移動(4画素分同時移動)してA水平走査ライン上の始めの位置に来る様に持ち来されている。従って、1H(F1 )期間ではラインセンサ26の第4番目の素子4からS(4)信号を出力する。
【0056】
次の遮光手段24が1H分回転した2H位置では第2のフィルタF2 を透過したエネルギーF21は水平同期パルスHP2 に同期したパルスによって、ガルバノメータ41に供給したタイミング信号により、図4の2H(F2 )に示す様に垂直走査鏡8を垂直走査方向にラインセンサ26の1画素分移動してA水平走査ラインの2H水平走査鏡上ではラインセンサ26の第3番目の素子3上に持ち来されてS′(3)信号を出力する。又、この時、第4番目の素子(4)は新たなBラインを形成するためS′(4)信号を出力する。
【0057】
次に遮光手段24が1H回転した3H信号位置では元に戻り第1のフィルタF1 を通過したエネルギーF12は水平同期パルスHP3 に同期したパルスによってガルバノメータ41に供給したタイミング信号により、図4の3H(F)に示す様に垂直走査鏡8を垂直走査方向にラインセンサ26の1画素分移動してA水平走査ラインの3H水平走査線上ではラインセンサ26の第2番目の素子2上に持ち来されて、S(2)信号を出力する。又、この時、第3、第4番目の素子3,4は新たなC,Bラインを形成するためS(4),S(3)信号を出力する。
【0058】
更に、遮光手段24が1H回転した4H信号位置では、第2のフィルタF2 を通過したエネルギーE22は水平同期パルスHP4 に同期したパルスによってガルバノメータ41に供給したタイミング信号により図4の4H(F2 )に示す様に垂直走査鏡8を垂直走査方向にラインセンサ26の1画素分移動して、A水平走査ラインの4H水平走査線上ではラインセンサ26の第1番目の素子1上に持ち来されて、S′(1)信号を出力する。又、この時、第2番目の素子2は新たなBラインを形成しS′(2)信号を出力し、更に、新たなC,Dラインを形成するためにS′(3)とS′(4)信号を出力する。
【0059】
即ち、図4の5H(F1 )の様に4素子が垂直方向に4ライン分移動した状態でA水平走査ライン(1ライン)では第1及び第2のフィルタF1 及びF2 の回転により処理式F1 :〔S(4)+S(2)〕/2とF2 :〔S′(3)+S′(1)〕/2及びF1 :〔S(3)+S(1)〕/2とF2 :〔S′(4)+S′(2)〕/2に依って、CPU14が平均加算処理を行なう様に成されている。
【0060】
図5(D)及び図5(E)に示すものは加算回路27でオフセット補償を行なって、増幅回路11で増幅した各信号S(4)乃至S(1)及びS(4)乃至S′(1)をマルチプレクサ28を介して直列信号と成した後にA/D変換回路29でデジタル変換した後に、メモリ30に第1及び第2フィルタF1 及びF2 毎に格納した格納データM(4),M′(4.1),M(4.3.2),M′(4.3.2.1)を示す。
【0061】
上述の様にフィルタF1 及びフィルタF2 毎に4素子の温度データをメモリ30に格納しメモリライン26の素子上に持ち来す様に垂直走査鏡8を1画素分だけ垂直走査方向に移動させる様に同様の動作をN水平走査ライン(Nライン)まで行ない、図5(D),(F)の様にメモリ30に格納することで1フィールド(或はフレーム)走査を終了する。
【0062】
上述の構成ではラインセンサを4素子として説明したがラインセンサの素子数が垂直方向に波長数×n画素程度のものを1次元ラインセンサとして用いればn回のS/N改善が可能となる。
【0063】
図5(G)乃至(J)はメモリ30からCPU14を介して読み出された温度データであり、〔S(4)+S(2)〕/2と〔S′(3)+S′(1)〕/2及び〔S(3)+S(1)〕/2と〔S′(4)+S(2)〕/2の加算平均化処理を行なってディスプレイ16に擬似色画像表示する様に成されると共にGPIB等を介して他の計測装置にデータが取り込まれる。
【0064】
尚、真温度の演算はメモリ30に格納した従来の波長λ1 ,λ2 のエネルギーE0 と被写体1の温度T0 及び放射率ε0 並びに炉壁環境(炉壁温度)33cの温度Th の関係をメモリのテーブルを基に所定演算を行なって、真温度の演算を行なう様に成されている。
【0065】
本発明の赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法によると赤外線撮像装置にリニアセンサを採用することで、同時性の誤差を最小限に抑えられ、更に測定系を1系統とすることができる(リニアセンサと光学系を1個で実現できる)ため、複数のフィルタをまわすだけの簡単な構造で構成できる。また、この構成では複数の波長データをそれぞれ加算平均することができるので、S/Nを改善でき、安価に2次元の多色温度撮像装置を実現できる。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば多素子のセンサ列と少なくとも1水平走査(1H)内或は毎に入れ替わるフィルタ機能を設けることで、被写体の同じ位置での多波長による測定が可能と成り、これにより、同時性は少なくとも1水平走査(1H)内或は毎の遅延量のみとなり、温度測定誤差を低減できるほか、従来の走査型赤外線撮像装置を応用した構成で、2次元の多色温度計の如き多色赤外線撮像装置を実現できるため、比較的安価に製作が可能となる。また、2波長以上の測定も、フィルタを3、4種類と変更することで、対応でき、いずれもフィルタを入れるだけの簡単な構造で済み、更に、複数の波長データをそれぞれ加算平均することができるので、S/Nを改善したデータを得ることができ、高画質擬似色画像を安価に実現できる特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多色赤外線撮像装置の1形態例を示すブロック図である。
【図2】本発明の多色赤外線撮像装置の光路内に配設した遮光手段の平面及び側面図である。
【図3】本発明の多色赤外線撮像装置の他の遮光手段の構成を示す平面及び側面図である。
【図4】本発明の赤外線撮像装置の撮像方法を示す説明図である。
【図5】本発明の赤外線撮像装置のエネルギーデータの処理方法を説明するための波形図である。
【図6】本発明の多色赤外線撮像装置の測定環境と多色赤外撮像装置に入射する放射エネルギーを説明するための模式図である。
【図7】従来の赤外線撮像装置のブロック図である。
【図8】従来の多色赤外線撮像装置の光学系路説明図である。
【符号の説明】
1‥‥被写体、8‥‥垂直走査鏡、9‥‥水平走査鏡、10‥‥対物レンズ、14‥‥演算手段(CPU)、16‥‥ディスプレイ、24‥‥遮光手段(チョッパ及びフィルタ)、25‥‥モータ、26‥‥ラインセンサ、30‥‥メモリ、38‥‥多色赤外線撮像装置、F1 ,F2 ,F3 ‥‥フィルタ、C1 ,C2 ,C3 ‥‥チョッパ
【発明の属する技術分野】
本発明は多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法に係わり、特にライン順次型走査機構を用いて多波長での測定が小誤差内で可能な多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている、赤外線撮像装置(サーモグラフィ装置)の基本的構成は放射温度計に走査機能を付加したもので、一般的には図7に示す如く被写体1を垂直及び水平走査鏡8及び9並びに光学系10を介して所定の視野20内で撮像すると共に1次或は2次元のセンサ(HgcdTe,PtSi,InSb等)5に供給し、被写体1からの放射エネルギーをセンサ5で検出して増幅器11で増幅する検出部19と、制御部22を構成するCPU(マイクロコンピュータ)等の演算手段14並びに被写体1の温度状態を色表示する為のディスプレイ16等で構成させたものが非特許文献1に記載されている。
【0003】
また、従来の多色赤外線撮像装置の光学系は図8の如く、被写体1で計測した。例えば2波長の放射エネルギーは垂直走査鏡8及び水平走査鏡9等の走査系を介して、光学系を構成する対物レンズ10及び光学フィルタより成る第1通過濾波器(BPF)4a及び第2の通過濾波器4bから成る光学系路を経てセンサ5に取り込まれる。
【0004】
上述の第1及び第2のBPF4a及び4bは矢印で示す様に機械的に光路上に1フィールド或は1フレーム撮像毎に着脱挿入されている。
【0005】
更に、近赤外線の3波長で同視野を同時に観測できる広視野用のサーベイ観測用多色同時赤外線カメラ「SIRIUS」(Simultaneous−color Infrared Imager for Unbiased Survey) として光学系にビームスプリッタを配し3分割して3バンドを同時観測し、検出器に1024×1024素子のHgcdTe赤外アレイを3個装備させ、波長1.25μm、1.65μm、2.1μmで視野同時撮像する赤外線カメラが非特許文献2に開示されている。
【0006】
【非特許文献1】
「サーモグラフィの原理と応用」 NEC三栄株式会社 三栄レポートNo.106 5頁 図5
【非特許文献2】
長嶋千恵 外15名 サーベイ 観測用多色同時赤外線カメラSIRIUS
(平成14年9月26日検索)インターネット<http//optik2.mtk.nao.ac.jp/`hide/s−poster98024.pdf>
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図8で説明した多色赤外線撮像装置の光学系によると、多波長に分割するための第1乃至第nの光学的BPF4a,4b‥‥を必要とし、被写体1を第1のBPF4aで計測後に機械的に光学的BPFを切換えて次の第2のBPF4bで計測するため、光学系が大型化され、非常に高価となり、計測時の同時性が失われ、高速に波長の異なる赤外線エネルギーを取り出せない課題を有していた。又、非特許文献2に開示されている様なビームスプリッタによって、多波長に分割する場合は高速にデータを取得することは出来るが、分割しただけの数のセンサを必要とし、これらセンサ間の誤差を無くすことが出来ない等の課題を有していた。
【0008】
本発明は叙上の課題を解消するために成されたもので本発明では1個のラインセンサを用いることで同時性の誤差を最小限に抑えると共に測定系の光路を1系統とすることで光学的BPFを含む光路を簡略化し、複数の波長データを加算平均して、S/N改善を図る様にしたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の赤外線撮像装置は被写体を撮像して被写体の放射エネルギーを測定する様に成された多色赤外線撮像装置に於いて、少なくとも2波長の光学的通過濾波手段を有する遮光手段を回動自在に光路内に配設し、被写体からの放射エネルギーを検出する1次元ライン検出手段と、1次元ライン検出手段の1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に走査する垂直走査手段と、少なくとも2波長の1次元ライン検出手段よりの少なくとも1水平走査期間分のデータを記憶させる記憶手段と、記憶手段に記憶した記憶データを加算演算する演算手段とを具備し、演算手段で得られた演算データを熱画像データに変換して表示させて成るものである。
【0010】
第2の本発明の多色赤外線撮像装置の1次元ライン検出手段の出力は複数画素間のバラツキを補償手段を設けて補償する様に成したものである。
【0011】
第3の本発明の多色赤外線撮像装置の遮光手段はチョッパ兼用の光学フィルタとしたものである。
【0012】
第4の本発明の多色赤外線撮像装置の演算手段は加算平均演算手段と成したものである。
【0013】
第5の本発明の多色赤外線撮像装置は被写体を撮像して、被写体の放射エネルギーを測定する様に成された多色赤外線撮像装置に於いて、放射エネルギー検出手段に用いるラインセンサを1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に走査させてライン順次色温度画像データを得る様に成したものである。
【0014】
第1の本発明の赤外エネルギーデータ処理方法は被写体を撮像して、被写体の放射エネルギーを測定する様に成された赤外エネルギーデータ処理方法に於いて、少なくとも2波長の光学的通過濾波手段を有する遮光手段を回動自在に配設し、被写体からの放射エネルギーを1次元ライン検出手段を介して検出し、この1次元ライン検出手段の1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に垂直走査手段を介して走査し、少なくとも2波長の1次元ライン検出手段よりの少なくとも1水平走査期間分のデータを記憶手段に記憶し、記憶手段に記憶した記憶データを演算手段を介して演算し、演算手段で得られた演算データを熱画像データに変換して表示させて成るものである。
【0015】
第2の本発明の赤外エネルギーデータ処理方法は被写体を撮像して、被写体の放射エネルギーを測定する様に成された赤外エネルギーデータ処理方法に於いて、放射エネルギー検出手段に用いるラインセンサを1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に走査させてライン順次色温度画像データを得る様に成したものである。
【0016】
斯かる、本発明の多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法によると、垂直走査鏡8と水平走査鏡9を介して複数の光学フィルタ(BPF)とチョッパから成る遮光手段を光路上に配すると共に1次元ラインセンサ26に対して少なくとも1水平期間内或は毎に垂直方向に1画素分、移動させる様にしたので被写体1の同位置を多波長で極めて短時間内に測定可能となり、これによって、同時性は少なくとも1水平期間(1H)内或は毎の遅延量となり、各波長に於ける温度誤差を低減させることができるほか、従来の走査型サーモグラフィを応用した構成で、2次元の多色温度計を実現できるため、比較的安価に製作が可能となる。
【0017】
また、2波長以上の測定も、フィルタ(BPF)を3、4種類と変更することで、対応でき、いずれもフィルタを入れるだけの簡単な構造で実現できる。また、複数の波長データをそれぞれ加算平均することができるので、S/Nを改善したデータを得ることができ、高画質な画像を安価に映出できる特徴を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法を図1乃至図6によって詳記する。
【0019】
図1は本発明の多色赤外線撮像装置の1形態例を示すブロック図、図2は本発明の多色赤外線撮像装置の光路内に配設した遮光手段の平面及び側面図、図3は本発明の遮光手段の他の構成を示す平面及び側面図、図4は本発明の赤外線撮像装置の走査方法を示す説明図、図5は走査波形図、図6は本発明の多色赤外線撮像装置の測定環境と多色赤外線撮像装置に入射する放射エネルギーを説明するための模式図である。
【0020】
図1により、本発明の多色赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法のブロックを説明する前に、図6を用いて一般的な赤外線撮像装置の測定環境として、炉33aの炉壁33b内に被写体1として、例えば、セラミック体を配置し、焼結時の真温度の測定等を行なう場合を以下に概観する。
【0021】
図6に於いて、炉33a内に配設した被写体1(セラミック体)の表面温度をT0 、被写体1の所定波長領域λでの放射率をε0 、周囲環境に基づく反射体温度、図6の場合は炉壁33bの温度をTh とすると、炉33a内の被写体1からの窓材23を経て検出される放射エネルギーE0 は数1で与えられる。
【0022】
【数1】
【0023】
ここでE0 =ε0 f(T0 )は被写体の放射エネルギー成分であり、Eh =(1−ε0 )f(Th )は炉壁33bからの反射エネルギー成分である。
【0024】
又、炉33a内の水蒸気、炭酸ガス等の雰囲気36中の放射率をεa 、温度をTa 、透過率をτa とすれば窓材23を介して検出される雰囲気36中の放射エネルギーEa は数2で与えられる。
【0025】
【数2】
Ea =τa ・f(T0 ,Th )+εa ・f(Ta )‥‥(2)
【0026】
更に、窓材23の温度をTw 、透過率をτw 、放射率をεw とすれば、この窓材23を介して検出される窓材23の放射エネルギーは数3で与えられる。
【0027】
【数3】
Ew =τw ・f(T0 ,Th )+εw ・f(Tw )‥‥(3)
【0028】
上述の数1乃至数3式で与えられる放射エネルギーから被写体1の真温度を正しく求めるためには不確定で誤差を発生させる要素を除去する必要がある。そこで、数2式の雰囲気中の透過及び放射エネルギー成分Ea は透過の影響がない測定波長帯を選択し、τa =1,εa =1とすることで炉22a内の水蒸気や炭酸ガスの影響を除去した。
【0029】
更に、数3式の窓材23での放射エネルギー成分Ew は窓材23の温度を一定に保ち、透過が最大である条件で波長選択して窓材23の温度特性や煤の影響等を除去したが、炉壁33bの反射成分であるEh =(1−ε0 )f(Th )は被写体(測定対象物)1の反射特性に影響を与え、被写体1の放射も放射特性に影響を与えることになるが、これらの不確定要素は除去できない。
【0030】
そこで本発明では3つの波長帯の放射温度を測定し、炉壁33bの反射成分である炉壁33bからの放射率と被写体1の反射(放射率)を計算で求めて、これらを外乱として除去して炉33a内の被写体1の真温度を計測する様にした。
【0031】
従って、図6で示す被写体1の窓材23から取り出される放射エネルギーは数2及び数3式が除去された数1式のみとなる。然し、被写体1の分光放射率ε0 は温度によって変化し、多波長(3波長λ1 ,λ2 ,λ3 )間の放射率は等しくはないが、これら放射率間には比例関係のελ1 =K・ελ2 =L・ελ3 が温度に係わらず成り立つと仮定し、数1式の分光感度特性を考慮した3波長λ1 ,λ2 ,λ3 の積分値を被写体1の温度に対するエネルギーとして、数1から数4を求める。
【0032】
【数4】
ここで数4式の計算を3波長λ1 ,λ2 ,λ3 について計算する。すると分光放射エネルギーMλは数5で求められる。
【0033】
【数5】
ここでCA は第1の放射定数(2πhC2 )3.74177×104 〔W・cm−1・μm4 〕、CB は第2の放射定数(ch/k)1.43877×104 〔μm・K〕、λは入力波長〔μm〕、Tは絶対温度(被写体温度)〔K〕である。
【0034】
上記数1及び数4乃至数5までの計算を3波長λ1 ,λ2 ,λ3 で行なってλ1 ,λ2 ,λ3 の波長時のエネルギーをE1 ,E2 ,E3 とした時にε1 λ1 =K・ε2 λ2 =L・ε3 λ3 からE1 ,E2 =E2 /K,E3 =E3 /Lで換算し、放射率ε0 の違いを吸収する様にする。
【0035】
被写体1がアルミナの場合の測定波長はλ1 =7.9μm、λ2 =11μm、λ3 =8〜12μmに選択している。
【0036】
上述の原理に基づいて被写体1内の真温度を得るための多色赤外線撮像装置を3波長の3色赤外線撮像装置とした構成で説明する。
【0037】
図1に於いて、被写体1からの入射エネルギーEλは窓材23から入射した赤外光を垂直走査鏡8及び水平走査鏡9で被写体1の像を水平及び垂直走査し、対物レンズ10で集光し、光軸上に配設した遮光手段24を通過する。
【0038】
この遮光手段24は図2及び図3に示す様に構成されている。即ち、図2に於いては、通常用いられている歯車状のチョッパ円盤39の羽根C1 と羽根C2 との間の空間部に第1及び第2の波長帯域の赤外光を通過させる光学的通過濾波器(BPF、以下フィルタと記す)F1 ,F2 を配設すると共にチョッパ円盤39の中心に穿った透孔にモータ25の軸を挿通し、軸に固定したプーリを介してチョッパ円盤39を固定し、モータ25の回転によって、チョッパ及びフィルタ(遮光手段)24を回動自在と成したものである。
【0039】
図2の遮光手段24ではチョッパ円盤39の360°範囲を180°づつに2分割し、180°範囲の90°の範囲を赤外光を遮光するチョッパC1 ,C2 とし、他の90°範囲を第1の波長帯域の赤外光及び第2の波長帯域の赤外光のみを透過させるフィルタF1 ,F2 とし、1水平期間(1H)で半回転、2Hでチョッパ円盤39を1回転させる様に成したものである。
【0040】
図3に示す遮光手段24は金属板等の円盤40の中心部にモータ25の軸を固定し、円盤40の360°範囲を60°範囲に6等分し、所定半径R上で120°範囲で穿った3個の透孔内に60°範囲に亘った直径を有する円形の第1乃至第3の光学的通過濾波器であるフィルタF1 ,F2 ,F3 を嵌合させたものであり、遮光部となるチョッパC1 ,C2 ,C3 は通常の様に黒体との比較期間と成り、F1 +C1 ,F2 +C2 ,F3 +C3 の夫々の区間を1水平走査期間1Hで回転させる。即ち、1回転を3H区間で回転させる様に成されている。
【0041】
上述の説明ではチョッパC1 及びフィルタF1 、チョッパC2 及びフィルタF2 及びチョッパC3 及びフィルタF3 のチョッパ円盤39及び40を夫々2分割或は3分割して1H期間で回転した場合を説明したが、チョッパC及びフィルタFをn分割し、チョッパ円盤39及び40を0.5H〜nHで同期回転させる様にしてもよい。
【0042】
この光学的フィルタF1 ,F2 ,F3 に用いる波長帯域は被写体1の種類に応じて選択される。例えば、建物のガラスの様な物質をセンサとしてInSb等を用いて検出する場合は4.8〜5.2μmのBPFが用いられ、被写体がタイル、コンクリート等の反射率の低い、且つ放射率の高い温度測定時等では5〜8μmの波長範囲等が選択されているが、本例の場合のセラミック(アルミナ)では放射率が高く温度による放射率変化が小さいため、長波長帯域を7.9μm〜12μmに選択している。
【0043】
また、本例では光学的フィルタF1 ,F2 ,F3 として赤外線波長範囲λ1 =7.9μm、λ2 =11μm、λ3 =8〜12μmを1H以内の0.5乃至nHで1垂直同期信号に同期回転させる様に構成しているので1台で3(n)波長λ1 ,λ2 ,λ3 (λn )の計測が可能であり、非特許文献2の様に複数のセンサを用いる必要がないのでセンサ24の個体差を除くことが出来る。
【0044】
図1に戻って遮光手段24のフィルタF1 ,F2 ,F3 を通過した赤外線エネルギーEλは例えばHg・Cd・Te等の1つの1次元ラインセンサ24に入射される。
【0045】
1次元ラインセンサ24の各素子毎の例えばn個(図1では4個)の出力が加算回路27に供給される。加算回路27にはマイクロコンピュータ(以下CPUと記す)に接続されたオフセット信号発生回路(OG)35から各素子毎のオフセット値が供給されて、1次元ラインセンサ24の各素子間のオフセット補正が成される。
【0046】
加算回路27からのn個の出力は信号増幅回路11に供給され、所定レベルまでの増幅が行なわれた後にマルチプレクサ28に供給されるマルチプレクサ28では複数n個の入力並列信号を1つの直列信号に成され、アナログ−デジタル変換器(A/D)29でデジタルデータに変換された後に記憶手段(メモリ)30に格納される。
【0047】
メモリ30の出力は加算平均等の演算手段を含むデジタルコントローラを構成するCPU14に供給されるCPU14からはタイミング回路31を介して、A/D29、マルチプレクサ28、遮光手段25の回転用のモータ25、垂直走査鏡8を駆動するガルバノメータ41を駆動制御する様に成されている。
【0048】
CPU14には、炉33aの炉壁33bの炉壁環境33cに置かれた接触型の温度計34から、計測温度も供給されている。16は測定温度を擬似カラー化して表示するディスプレイ、32は例えばGPIB(General Purpose Interface Bas)等に接続されるインタフェースである。
【0049】
上述した多色赤外線撮像装置38の動作を図4及び図5によって説明する。
【0050】
図6で説明した様な例えば炉33a内のセラミック等の被写体1の赤外エネルギーEλを窓材23を通して垂直走査鏡8及び水平走査鏡9並びに対物レンズ10で1次元ラインセンサ26の受光面に収束させる。対物レンズ10とラインセンサ26間には図2に示す様なチョッパーC1 ,C2 、異なる2波長λ1 ,λ2 を通過させる光学濾波手段を構成するフィルタF1 ,F2 をチョッパ円盤39の周辺部に4分割した位置に配置したチョッパ及びフィルタ(遮光手段)24が設けられる。
【0051】
ここで、CPU14に接続されたタイミング回路31は図4の走査手順図及び図5の波形図に示す様なタイミングで線(ライン)順次走査を行なう。
【0052】
即ち、図2に示す遮光手段24をモータ25によって1H期間でフィルタF1 とチョッパC1 が半回転し、更に1H期間でフィルタF2 とチョッパC2 が半回転する様に回転させる。
【0053】
図5(A)はフィルタ及びチョッパから成る遮光手段24を介して2回転(4H)時の第1のフィルタF1 及び第2のフィルタF2 から透過したエネルギーをF11,F21,F12,F22で示すものであり、C11,C21,C12,C22はチョッピング期間で黒体との補正が成される。
【0054】
図5(B)は水平同期信号(1H)を示し、この水平同期パルスを分周したパルスを基にガルバノメータ41を駆動してラインセンサ26の一画素分だけ垂直走査鏡8を移動させる様に成されている。以下では4素子のラインセンサ26が4水平走査ライン(A,B,C,D)を同時に得る場合を説明する。
【0055】
図5(C)は1水平走査ラインAで第1及び第2(n)のフィルタF1 及びF2 (Fn )を通過したエネルギーF11,F21,F12,F22(‥‥Fn1,Fn2‥‥Fnn)をラインセンサ26の1素子で図4の様に受光して電気変換した信号を示すものでフィルタF1 ではS(4)乃至S(1)であり、フィルタF2 ではS′(4)乃至S′(1)であり、図4に示す様に、第1番目のA水平走査ラインの1H目では遮光手段24の第1のフィルタF1 を透過したエネルギーF11は水平同期パルスHP1 に同期したパルスに依って、ガルバノメータ41に供給したタイミング信号により、垂直走査鏡8を垂直走査方向にラインセンサ26の1画素分移動(4画素分同時移動)してA水平走査ライン上の始めの位置に来る様に持ち来されている。従って、1H(F1 )期間ではラインセンサ26の第4番目の素子4からS(4)信号を出力する。
【0056】
次の遮光手段24が1H分回転した2H位置では第2のフィルタF2 を透過したエネルギーF21は水平同期パルスHP2 に同期したパルスによって、ガルバノメータ41に供給したタイミング信号により、図4の2H(F2 )に示す様に垂直走査鏡8を垂直走査方向にラインセンサ26の1画素分移動してA水平走査ラインの2H水平走査鏡上ではラインセンサ26の第3番目の素子3上に持ち来されてS′(3)信号を出力する。又、この時、第4番目の素子(4)は新たなBラインを形成するためS′(4)信号を出力する。
【0057】
次に遮光手段24が1H回転した3H信号位置では元に戻り第1のフィルタF1 を通過したエネルギーF12は水平同期パルスHP3 に同期したパルスによってガルバノメータ41に供給したタイミング信号により、図4の3H(F)に示す様に垂直走査鏡8を垂直走査方向にラインセンサ26の1画素分移動してA水平走査ラインの3H水平走査線上ではラインセンサ26の第2番目の素子2上に持ち来されて、S(2)信号を出力する。又、この時、第3、第4番目の素子3,4は新たなC,Bラインを形成するためS(4),S(3)信号を出力する。
【0058】
更に、遮光手段24が1H回転した4H信号位置では、第2のフィルタF2 を通過したエネルギーE22は水平同期パルスHP4 に同期したパルスによってガルバノメータ41に供給したタイミング信号により図4の4H(F2 )に示す様に垂直走査鏡8を垂直走査方向にラインセンサ26の1画素分移動して、A水平走査ラインの4H水平走査線上ではラインセンサ26の第1番目の素子1上に持ち来されて、S′(1)信号を出力する。又、この時、第2番目の素子2は新たなBラインを形成しS′(2)信号を出力し、更に、新たなC,Dラインを形成するためにS′(3)とS′(4)信号を出力する。
【0059】
即ち、図4の5H(F1 )の様に4素子が垂直方向に4ライン分移動した状態でA水平走査ライン(1ライン)では第1及び第2のフィルタF1 及びF2 の回転により処理式F1 :〔S(4)+S(2)〕/2とF2 :〔S′(3)+S′(1)〕/2及びF1 :〔S(3)+S(1)〕/2とF2 :〔S′(4)+S′(2)〕/2に依って、CPU14が平均加算処理を行なう様に成されている。
【0060】
図5(D)及び図5(E)に示すものは加算回路27でオフセット補償を行なって、増幅回路11で増幅した各信号S(4)乃至S(1)及びS(4)乃至S′(1)をマルチプレクサ28を介して直列信号と成した後にA/D変換回路29でデジタル変換した後に、メモリ30に第1及び第2フィルタF1 及びF2 毎に格納した格納データM(4),M′(4.1),M(4.3.2),M′(4.3.2.1)を示す。
【0061】
上述の様にフィルタF1 及びフィルタF2 毎に4素子の温度データをメモリ30に格納しメモリライン26の素子上に持ち来す様に垂直走査鏡8を1画素分だけ垂直走査方向に移動させる様に同様の動作をN水平走査ライン(Nライン)まで行ない、図5(D),(F)の様にメモリ30に格納することで1フィールド(或はフレーム)走査を終了する。
【0062】
上述の構成ではラインセンサを4素子として説明したがラインセンサの素子数が垂直方向に波長数×n画素程度のものを1次元ラインセンサとして用いればn回のS/N改善が可能となる。
【0063】
図5(G)乃至(J)はメモリ30からCPU14を介して読み出された温度データであり、〔S(4)+S(2)〕/2と〔S′(3)+S′(1)〕/2及び〔S(3)+S(1)〕/2と〔S′(4)+S(2)〕/2の加算平均化処理を行なってディスプレイ16に擬似色画像表示する様に成されると共にGPIB等を介して他の計測装置にデータが取り込まれる。
【0064】
尚、真温度の演算はメモリ30に格納した従来の波長λ1 ,λ2 のエネルギーE0 と被写体1の温度T0 及び放射率ε0 並びに炉壁環境(炉壁温度)33cの温度Th の関係をメモリのテーブルを基に所定演算を行なって、真温度の演算を行なう様に成されている。
【0065】
本発明の赤外線撮像装置及び赤外エネルギーデータ処理方法によると赤外線撮像装置にリニアセンサを採用することで、同時性の誤差を最小限に抑えられ、更に測定系を1系統とすることができる(リニアセンサと光学系を1個で実現できる)ため、複数のフィルタをまわすだけの簡単な構造で構成できる。また、この構成では複数の波長データをそれぞれ加算平均することができるので、S/Nを改善でき、安価に2次元の多色温度撮像装置を実現できる。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば多素子のセンサ列と少なくとも1水平走査(1H)内或は毎に入れ替わるフィルタ機能を設けることで、被写体の同じ位置での多波長による測定が可能と成り、これにより、同時性は少なくとも1水平走査(1H)内或は毎の遅延量のみとなり、温度測定誤差を低減できるほか、従来の走査型赤外線撮像装置を応用した構成で、2次元の多色温度計の如き多色赤外線撮像装置を実現できるため、比較的安価に製作が可能となる。また、2波長以上の測定も、フィルタを3、4種類と変更することで、対応でき、いずれもフィルタを入れるだけの簡単な構造で済み、更に、複数の波長データをそれぞれ加算平均することができるので、S/Nを改善したデータを得ることができ、高画質擬似色画像を安価に実現できる特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多色赤外線撮像装置の1形態例を示すブロック図である。
【図2】本発明の多色赤外線撮像装置の光路内に配設した遮光手段の平面及び側面図である。
【図3】本発明の多色赤外線撮像装置の他の遮光手段の構成を示す平面及び側面図である。
【図4】本発明の赤外線撮像装置の撮像方法を示す説明図である。
【図5】本発明の赤外線撮像装置のエネルギーデータの処理方法を説明するための波形図である。
【図6】本発明の多色赤外線撮像装置の測定環境と多色赤外撮像装置に入射する放射エネルギーを説明するための模式図である。
【図7】従来の赤外線撮像装置のブロック図である。
【図8】従来の多色赤外線撮像装置の光学系路説明図である。
【符号の説明】
1‥‥被写体、8‥‥垂直走査鏡、9‥‥水平走査鏡、10‥‥対物レンズ、14‥‥演算手段(CPU)、16‥‥ディスプレイ、24‥‥遮光手段(チョッパ及びフィルタ)、25‥‥モータ、26‥‥ラインセンサ、30‥‥メモリ、38‥‥多色赤外線撮像装置、F1 ,F2 ,F3 ‥‥フィルタ、C1 ,C2 ,C3 ‥‥チョッパ
Claims (7)
- 被写体を撮像して、該被写体の放射エネルギーを測定する様に成された多色赤外線撮像装置に於いて、
少なくとも2波長の光学的通過濾波手段を有する遮光手段を回動自在に光路内に配設し、上記被写体からの上記放射エネルギーを検出する1次元ライン検出手段と、
上記1次元ライン検出手段の1画素だけ少なくとも上記1水平走査期間内或は毎に垂直方向に走査する垂直走査手段と、
上記少なくとも2波長の上記1次元ライン検出手段よりの少なくとも1水平走査期間分のデータを記憶させる記憶手段と、
上記記憶手段に記憶した上記記憶データを加算演算する演算手段とを具備し、
上記演算手段で得られた演算データを熱画像データに変換して表示させて成ることを特徴とする多色赤外線撮像装置。 - 前記1次元ライン検出手段の出力は複数画素間のバラツキを補償手段によって補償する様に成したことを特徴とする請求項1記載の多色赤外線撮像装置。
- 前記遮光手段をチョッパ兼用の光学フィルタと成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の多色赤外線撮像装置。
- 前記演算手段は加算平均演算手段と成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいづれか1項記載の多色赤外線撮像装置。
- 被写体を撮像して、該被写体の放射エネルギーを測定する様に成された多色赤外線撮像装置に於いて、
上記放射エネルギー検出手段に用いるラインセンサを1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に走査させてライン順次色温度画像データを得る様に成したことを特徴とする多色赤外線撮像装置。 - 被写体を撮像して、被写体の放射エネルギーを測定する様に成された赤外エネルギーデータ処理方法に於いて、少なくとも2波長の光学的通過濾波手段を有する遮光手段を回動自在に配設し、上記被写体からの放射エネルギーを1次元ライン検出手段を介して検出し、
上記1次元ライン検出手段の1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に垂直走査手段を介して走査し、
上記少なくとも2波長の1次元ライン検出手段よりの少なくとも1水平走査期間分のデータを記憶手段に記憶し、
上記記憶手段に記憶した上記記憶データを演算手段を介して演算し、演算手段で得られた演算データを熱画像データに変換して表示させて成ることを特徴とする赤外エネルギーデータ処理方法。 - 被写体を撮像して、該被写体の放射エネルギーを測定する様に成された赤外エネルギーデータ処理方法に於いて、
放射エネルギー検出手段に用いるラインセンサを1画素だけ少なくとも1水平走査期間内或は毎に垂直方向に走査させてライン順次色温度画像データを得る様に成したことを特徴とする赤外エネルギーデータ処理方法。
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- 2003-02-24 JP JP2003046425A patent/JP2004257769A/ja active Pending
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