JP2004256940A - ダイレクト成形用強化繊維、成形材料および成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】経済性、生産性に優れたダイレクト成形に好適な集束性と分散性を両立した強化繊維を提供すること。および、成形材料、成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】強化繊維に、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分10〜99重量%と、(b)(b1)ポリエーテル、(b2)ポリエステル、(b3)ポリアミド、(b4)ポリウレタンから選択される少なくとも1種のブロック成分1〜90重量%から構成されるブロック共重合体が0.1〜20重量%付着してなるダイレクト成形用強化繊維。
【選択図】なし
【解決手段】強化繊維に、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分10〜99重量%と、(b)(b1)ポリエーテル、(b2)ポリエステル、(b3)ポリアミド、(b4)ポリウレタンから選択される少なくとも1種のブロック成分1〜90重量%から構成されるブロック共重合体が0.1〜20重量%付着してなるダイレクト成形用強化繊維。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂組成物のダイレクト成形に有用な強化繊維、および該強化繊維と熱可塑性樹脂組成物を混合してなる成形材料に関する。さらに詳しくは、混合時の繊維集束性とダイレクト成形時の繊維分散性を兼ね備えた強化繊維を提供することを目的とする。
【0002】
さらには、該成形材料をダイレクト成形することによって、経済性、生産性および成形品の力学特性に優れた成形品を製造する方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
強化繊維をマトリックス樹脂中に分散させた繊維強化熱可塑性樹脂は、力学特性、寸法安定性に優れることから、自動車、航空機、電気・電子機器、光学機器、精密機器、娯楽・玩具、家庭・事務電気製品などの幅広い分野で活用され、その需要は年々増加しつつある。とりわけ、優れた力学特性や、軽量性、導電性といった高い付加価値を付与する目的で、炭素繊維強化熱可塑性樹脂が好ましく用いられている。
【0004】
一般に、前記目的で使用される強化繊維は、繊維数が100〜350000本の単繊維から構成される繊維束で提供される。そこで、繊維強化熱可塑性樹脂の成形品を得る方法として、(I−A)予め、強化繊維と熱可塑性樹脂を押出機などで溶融混練して、強化繊維を熱可塑性樹脂中に均一に分散させた成形材料を製造する工程、または(I−B)予め、連続した強化繊維を溶融した熱可塑性樹脂で被覆して、冷却した後ペレット状にカットした長繊維ペレットという成形材料を製造する工程と、(II)得られた成形材料を射出成形する工程、からなる製造方法が広く用いられている。
【0005】
しかし、上記方法では、強化繊維から成形材料を製造する工程(I−AまたはI−B)を経ているため、その設備・運転費用が必要であるばかりか、生産リードタイムの遅延が余儀なくされる。従って、強化繊維と熱可塑性樹脂のペレットを、直接成形機に供給して成形するダイレクト成形方法が経済性、生産性の面で優れている。
【0006】
さらに、繊維強化熱可塑性樹脂の特長である力学特性などの面でもダイレクト成形は有用である。このことは、上記特性がマトリックス樹脂中に分散している繊維長が長いほど有利である点、強化繊維と熱可塑性樹脂を溶融混合する工程が多いほど、また溶融混合する際の剪断力が強いほど、強化繊維の折損が多い点から予測できる。
【0007】
ただし、ダイレクト成形に対応可能な強化繊維として、(1)運搬・取扱い時に繊維束の形状を維持するための強化繊維の集束性と、(2)成形機に供給後はそのシリンダー内ですみやかに繊維束から単繊維状に開繊する強化繊維の分散性、という相反する特性の両立が必要である。
【0008】
まず、強化繊維の集束性が不十分であると、成形する以前に繊維が開繊して取扱えないことや、成形機に安定して供給できないことが問題となる。とりわけ、強化繊維がチョップド糸やミルド糸の場合は、開繊、分裂した繊維同士が毛玉(ファイバーボール)を形成して成形機の供給口に詰まり、成形不能となるなどの問題がある。
【0009】
次に、成形機のシリンダー内での強化繊維の分散性が不十分であると、成形品表面に未開繊の繊維が視認される現象(ウキ)、成形品表面が部分的に膨れる現象(フクレ)などの表面欠陥が生じ、さらに、分散性が劣ると成形品への補強効果がほとんど得られない問題が生じ、とりわけ分散性が劣ると成形機のシリンダー内で繊維が集合体を形成し、該集合体が成形機内や金型内で詰まり、設備破損するなどの問題がある。
【0010】
一般的に、強化繊維は、繊維束の取扱い性を重視して、予め集束剤が付着されている場合が多く、上記した中で、特に、後者の強化繊維の分散性が課題となる。
【0011】
特許文献1には、ダイレクト成形に好適な特殊な成形機が提案されている。しかし、通常の成形機では実施できないため、設備・運転費用などに問題がある。
【0012】
また、特許文献2には、集束剤としてポリイミン樹脂を付着した炭素繊維チョップド糸が開示されている。しかし、ここで得られる成形品は、該集束剤により熱可塑性樹脂が分解するなどの問題があり、結果として、十分な表面外観や力学特性が得られないなどの問題がある。
【0013】
【特許文献1】
特公昭56−47847号公報(第1頁、第17行)
【0014】
【特許文献2】
特開平3−65311号公報(第1頁、第5行)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、経済性、生産性に優れたダイレクト成形に有用なダイレクト成形用強化繊維を提供することを目的とする。さらには、その成形材料ならびに、力学特性、寸法安定性に優れた成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、強化繊維に特定成分を付着させることにより、本発明の課題を解決できることを見出した。
【0017】
すなわち、本発明は、強化繊維に、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分10〜99重量%と、(b)(b1)ポリエーテル、(b2)ポリエステル、(b3)ポリアミド、(b4)ポリウレタンから選択される少なくとも1種のブロック成分1〜90重量%から構成されるブロック共重合体が0.1〜20重量%付着してなるダイレクト成形用強化繊維をその骨子とする。
【0018】
さらに、本発明の他の発明は、上記ダイレクト成形用強化繊維を、熱可塑性樹脂組成物と混合してなるダイレクト成形用の成形材料および成形品の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0020】
本発明においてダイレクト成形とは、2種以上の成分から構成される成形材料を、全成分を予め溶融混練した成形材料を製造することなしに、成形機に直接供給し成形品を得る成形方法を言う。特に、強化繊維熱可塑性樹脂のダイレクト成形とは、成形材料として強化繊維の一部または全量が、繊維束の状態で成形機に直接供給される成形方法を言う。
【0021】
成形材料を成形品に成型する方法には特に制限はなく、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、プレス成形、圧縮成形、インサート成形などの公知な方法が挙げられるが、中でも、経済性、生産性の観点から射出成形が好ましい。
【0022】
射出成形を行う際には、力学特性の観点から以下の点に配慮して強化繊維の折損を抑制することが好ましい。すなわち、成形条件の傾向としては、背圧が低いほど、射出速度が遅いほど、スクリュウ回転数が遅いほど好ましい。
【0023】
射出成形機におけるシリンダー内で、成形材料を溶融・可塑化し、同時に、その内部にスクリューを配置し、この回転により溶融状態の成形材料を成形品型まで搬送することが可能である。このときのスクリューの好ましい形態としては、螺旋状のフライトが形成されていることであり、フライトが複数個形成されるほど、フライトとシリンダーのクリアランスが小さいほど、スクリュー径が太くなる圧縮部を形成されるほど好ましい。
【0024】
本発明は、ダイレクト成形用材料の提供を目的とするものであるが、例えば、熱可塑性樹脂製造工程から成形品までの流れを一貫して行う等の目的で、単軸または多軸の押出機で簡易的に溶融混合した溶融状態の成形材料を、直接射出成形機のシリンダーに供給する方法を用いることもできる。
【0025】
本発明のダイレクト成形強化繊維は、ダイレクト成形を行うに好適な(1)繊維の集束性と(2)繊維の分散性を両立したものである。このため、得られる成形品は、一般にコンパウンド工程を経て成形したものに比べ、マトリックス樹脂中に分散している強化繊維の繊維長を長く維持することができ、優れた力学特性を得ることができる。
【0026】
本発明に使用される強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維などの高強度、高弾性率繊維が使用でき、これらは1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が力学特性の向上、成形品の軽量化効果の観点から好ましく、得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維がさらに好ましい。
【0027】
強化繊維としては、導電性を付与する目的では、金属繊維、炭素繊維、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維が好ましく用いられる。
【0028】
強化繊維の平均繊維径は特に限定されないが、得られる成形品の力学特性と表面外観の観点から、1〜20μmの範囲内であることが好ましく、3〜15μmの範囲内であることがより好ましい。強化繊維束のフィラメント数には、特に制限はなく、100〜350000本の範囲内で使用することができ、とりわけ500〜70000本の範囲内で使用することが取扱い性の観点から好ましい。
【0029】
本発明において、強化繊維に付着されるブロック共重合体は、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分と、(b)(b1)ポリエーテル、(b2)ポリエステル、(b3)ポリアミド、(b4)ポリウレタンから選択される少なくとも1種のブロック成分から構成される。
【0030】
ここで、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分は、ポリアルキレングリコールから形成される。
【0031】
(a)オキシアルキレン基の具体例としては、ポリオキシエチレン骨格、ポリオキシプロピレン骨格、ポリオキシテトラメチレン骨格、ポリオキシヘキサメチレン骨格、ポリオキシネオペンチレン骨格を有する基が挙げられ、これらの骨格は1種または2種以上を有していてもよい。なかでもポリオキシエチレン骨格を有する基が特に好ましい。
【0032】
また、この(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分は、他のブロック成分とのブロック共重合体を形成させる目的で、その片末端および/または両末端が官能基で変性されていてもよい。使用できる官能基としては、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基などの反応性基が例示でき、強化繊維の分散性の観点からポリアミド形成性の官能基がより好ましく、例えば両末端がアミノ基で変性されたもの、または一方の末端がアミノ基で他方の末端がカルボキシル基で変性されたものがさらに好ましい。したがって、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分としては、オキシアルキレン基を有するジアミンとジカルボン酸の塩からなることが特に好ましく、とりわけビスアミノプロピルジアミンとジカルボン酸の塩からなることが好ましい。
【0033】
ここで使用するジカルボン酸としては、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、中でも、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸が塩の到達重合度の点から好ましく用いられ、とりわけアジピン酸がより好ましく用いられる。これらのジカルボン酸は1種または2種以上を併用してもよい。
【0034】
オキシアルキレン基を有するジアミンとジカルボン酸の塩とは、オキシアルキレン基を有するジアミン化合物とジカルボン酸化合物とを実質的に当モルで反応させた塩のことである。ここでいう「実質的に当モル」とは、オキシアルキレン基を有するジアミン化合物とジカルボン酸化合物のモル比が1±0.1の範囲であることを意味し、この範囲内であれば、重合速度や到達重合度の観点から、本発明の効果を発現するに十分である。
【0035】
ブロック成分(a)の分子量は特に制限はないが、得られる成形品の力学特性の観点から、数平均分子量が2000以下100以上が好ましく、さらに好ましくは1000以下200以上である。
【0036】
本発明に使用するブロック共重合体は、上記ブロック成分(a)と、(b)(b1)ポリエーテル、(b2)ポリエステル、(b3)ポリアミド、(b4)ポリウレタンから選択される少なくとも1種のブロック成分から構成される。
【0037】
ここで、(b1)ポリエーテル成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体などのポリ(アルキレンオキシド)グリコールが用いることができ、これらは1種または2種以上を併用してもよい。これらの中でも、繊維束の分散性の観点からポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0038】
また、(b2)ポリエステル成分とは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸などから選択される少なくとも1種の酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコールやポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどから選択される少なくとも1種のジオール成分との重縮合によって得られるものであり、さらに具体的には、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチロールテレフタレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/イソフタレート、ポリブチレンイソフタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステルなどを挙げることができ、これらは1種または2種以上を併用してもよい。
【0039】
さらには、これらのポリエステルには、さらに他の成分、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、スルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどを共重合させることもできる。
【0040】
また、(b3)ポリアミド成分とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる成分とする重合体である。重合体の原料の具体例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、p−アミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、かつこれらの原料から誘導されるホモポリマーまたはコポリマーを用いることができる。これらの中でも、繊維束の分散性の観点からラクタム環が開環重合して得られるものが好ましく、ε−カプロラクタムを用いることが特に好ましい。
【0041】
また、(d4)ポリウレタン成分とは、イソシアネートとポリオールの重付加によって得られる重合体である。イソシアネートの具体例としては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1−メチルエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、P,P’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが挙げられ、中でもテトラメチレンジイソシアネートが工業的に安価で好ましく用いられる。
【0042】
さらに、ポリオールの具体例としては、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、デカンジオール、グリセリンなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンメタノールなどの脂環式グリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコールなどの芳香族グリコールの短鎖ポリオールが挙げられる。さらには、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの高分子ポリオールを使用しても良く、これらは1種または2種以上を併用してもよい。中でも、1,6−ヘキサンジオールが安価であり、好ましく用いられる。
【0043】
本発明のブロック共重合体は、上記成分(a)と成分(b)が、結合してなるブロック共重合体である。結合形態は特に限定されないが、通常、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合から選択される1種以上の結合形態を有している。強化繊維の分散性の観点から、成分(a)と成分(b3)とがアミド結合したブロック共重合体がとりわけ好ましい。
【0044】
ブロック共重合体の成分割合は、成分(a)が10〜99重量%、好ましくは30〜90重量%、成分(b)が1〜90重量%、好ましくは10〜70重量%である。成分(a)が10重量%未満では強化繊維の分散性が不十分となる場合があり、99重量%を越えると強化繊維の集束性が不十分となる場合があるため好ましくない。
【0045】
また、ブロック共重合体の分子量は、繊維束の集束性と分散性のバランスの観点から、1000〜100000の範囲内が好ましく、2000〜50000の範囲内が特に好ましい。
【0046】
上記ブロック共重合体の付着量は強化繊維に0.1〜20重量%である必要があり、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。ブロック共重合体の付着量が0.1重量%未満では繊維束の集束性および分散性が不十分となる場合があり、20重量%を越えると成形品の力学特性が極端に低下したり、射出成形時の発泡などにより成形が不可能となる場合があるため好ましくない。
【0047】
ブロック共重合体を強化繊維に付着させる方法については特に制限はなく、例えば、ブロック共重合体を溶液にし、強化繊維を浸漬あるいは、強化繊維に溶液を滴下、散布した後、溶媒を乾燥、除去する方法などの方法が例示できる。
【0048】
なお、強化繊維は上記ブロック共重合体以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂や種々の熱可塑性樹脂など通常公知のサイジング剤を1種または2種以上併用してもよい。例えば、上記ブロック共重合体を付着させた後、通常公知のサイジング剤をさらに付着させる方法や、予め通常公知のサイジング剤を付着させた後、上記ブロック共重合体を付着させる方法、さらに上記ブロック共重合体と通常公知のサイジング剤を同時に付着させる方法などが例示できる。
【0049】
本発明における強化繊維の好ましい形状の一つとして、連続繊維であるロービングを所定の長さにカットしたチョップド糸、粉砕したミルド糸が挙げられ、特にダイレクト成形を行う際の取扱性の観点から、チョップド糸が好ましく用いられる。このチョップド糸における繊維長さは特に限定されるものでは無いが、サイジング剤により集束性を十分に発揮しカットされたあとの形状を十分に維持し得る観点から1〜30mmの範囲内が好ましく、2〜15mmの範囲内がより好ましい。
【0050】
本発明における成形材料は、上記強化繊維と、少なくとも熱可塑性樹脂を構成成分として含む熱可塑性樹脂組成物を混合したものである。ここでの混合は、溶融混練を特に必要とせず、強化繊維束と熱可塑性樹脂組成物の所定量を容器に混入したものでもよく、好ましくはタンブラー、V型ブレンダー、リボンミキサーなどで混合したものである。
【0051】
本発明の成形材料に使用される熱可塑性樹脂組成物の形態としては、ペレット、フレーク、パウダー、シート、フィルムなどを使用することができるが、好ましくは一般的な射出成形に使用されるペレットである。
【0052】
上記熱可塑性樹脂組成物に使用される熱可塑性樹脂としては特に制限は無いが、例えば、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE樹脂)、ポリアセタール樹脂(POM樹脂)、液晶ポリエステル、ポリアリーレート、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)などのアクリル樹脂、塩化ビニル、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂、さらにはエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/一酸化炭素/ジエン共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルエーテルエラストマー、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエステルアミドエラストマー、ポリエステルエステルエラストマーなどの各種エラストマー類などが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用しても良い。
【0053】
さらに、本発明の目的を損なわない範囲で熱可塑性樹脂組成物には、無機充填材、添加剤を添加しても良い。ここで、無機充填材や添加剤の添加方法には特に制限はなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機やニーダーなどの溶融状態下での機械的剪断を行う等の公知の方法で製造することができる。
【0054】
ここで、無機充填材としては特に制限はなく、公知のものを使用することができる。具体例としては、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、アラミド繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維、層状珪酸塩(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土鉱物、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母)、焼成クレイ、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸カルシウム、金属ウィスカー、ワラステナイト、ゼオライト、セリナイト、カオリン、ベントナイト、アルミナシリコート、マイカ、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化鉄、フェライト、金属粉、水酸化鉄、窒化硼素などが挙げられる。これらは単独または2種以上を併用してもよい。なお、形状にも制限はなく、パウダー状、フレーク状、繊維状、ウィスカーバルーン状などの公知な形状で使用できる。
【0055】
無機充填材の中でも、層状珪酸塩に属するものは、その層間を有機オニウムイオン化処理したものが好ましく使用される。有機オニウムイオンとしては、特に制限はないが、アンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。有機オニウム化処理は、元来、層間に存在する交換性陽イオンを有機オニウムイオンで交換することを示し、その方法についても、特に制限はなく従来の方法で行うことができる。例えば、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法や、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させる方法などが挙げられる。
【0056】
また、添加剤としては、例えば、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、導電性付与剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが使用でき、これらは1種または2種以上を併用しても良い。
【0057】
とくに、導電性を付与する目的で、導電性付与剤が好ましく用いられる。導電性付与剤としては、例えば、カーボンブラック、アモルファスカーボン粉末、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、ピッチマイクロビーズ、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられるが、中でも、導電性向上の観点からカーボンブラック、気相成長炭素繊維またはカーボンナノチューブが好ましい。
【0058】
また、難燃性を付与する目的で、熱可塑性樹脂組成物には、難燃剤が好ましく添加される。ここで使用される難燃剤には特に制限はなく、ハロゲン系、燐系、無機系などの公知な難燃剤を使用できる。具体的には、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)及びその誘導体、デカブロモジフェニルエーテル、ブロモビスフェノールS、テトラブロモ無水フタル酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボランジカルモキシルイミド、ペンタブロモジフェニルオキサイド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、臭素化ポリフェニレンオキサイド系難燃剤、臭素化スチレン系難燃剤などのハロゲン系難燃剤、赤燐、アルキルホスフェート、アリルホスフェート、アルキルアリルフォスフェート、芳香族縮合燐酸エステル、塩化ホスフォニトリル誘導体、ホスフォノアミド系難燃剤、ビニルホスフォネート、アリルホスフォネート、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、メラミンホスフェートなどの燐系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、アルミン酸カルシウム、クレーなどの無機系難燃剤、さらにはメラミン、メラミンシアヌレートなどの含窒素系、シリコーン系重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの難燃助剤を挙げることができるが、機械特性とのバランス、環境への負荷および難燃性の観点から燐系難燃剤、とりわけ燐酸エステル、赤燐が好ましい。
【0059】
本発明の成形材料は、他の成形材料と混合してもよい。他の成形材料としては、例えば、他の熱可塑性樹脂、添加剤、またはこれらを予め混練したマスターバッチ、さらには本発明の繊維強化熱可塑性樹脂の成形品を粉砕してなる再生材などが例示できる。
【0060】
本発明の一つの製造方法は、ダイレクト成形用強化繊維を、熱可塑性樹脂組成物と混合してなるダイレクト成形用の成形材料を直接成形機に供給し、またはダイレクト成形用強化繊維と熱可塑性樹脂組成物とを個別に直接成形機に供給し、成形品型に注入、冷却固化させる方法である。
【0061】
本発明の強化繊維の好ましいもう一つ形態は、連続繊維であるロービングである。
【0062】
本発明の好ましいもう一つの製造方法は、連続繊維であるロービングを熱可塑性樹脂組成物とともに直接成形機に供給する方法である。または、ロービングを供給前でインラインでカットし、熱可塑性樹脂組成物とともに直接成形機に供給し、またはロービングと熱可塑性樹脂組成物を成形機シリンダーに直結した混練機で直接該シリンダーに供給し、成形品型に注入、冷却固化させる方法も使用できる。
【0063】
本発明で得られる成形品は、優れた力学特性、寸法安定性、経済性、生産性を活かし種々の用途に展開できる。例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、パソコン、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、筐体、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭・事務電気製品部品、パチンコ、スロットマシン、ゲーム機などに代表される遊技・娯楽製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、遊戯用器具、トイレタリー用品、玩具用品、化学プラント、航空部品などの各種用途に有用であるが、上記の中でも特にパソコン、ディスプレー、携帯電話、携帯情報端末などの電気、電子機器、OA機器の用途で、帯電防止性、制電性を活かした部品、部材、カバーなどに、また優れた電磁波シールド性を活かして筐体などに好適に用いることができる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではない。
【0065】
まず、ブロック共重合体の付着量の測定は次の方法により行った。
【0066】
共重合体を付着した強化繊維約5gを採取し、耐熱ガラス製の容器に投入する。次に、この容器を120℃で3時間乾燥し、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後、秤量した強化繊維の重量をW1(g)とする。次いで、容器ごと、窒素雰囲気中、450℃で15分間加熱後、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却し、秤量した強化繊維の重量をW2(g)とする。以上の処理を経て、強化繊維へのブロック共重合体の付着量を、次式により求めた。
付着量=100×{(W1−W2)/W2}(単位:重量%)
次に、繊維の集束性および成形品の特性評価方法について以下に示す。
【0067】
(1)繊維の集束性
調製された成形材料を用い、目開き10mmのメッシュにて全量スクリーニングを行い、残留したファイバーボールの重量を測定した。仕込んだチョップ糸に対するファイバーボールの重量割合が0.1重量%以下であれば、通常の射出成形機にてダイレクト成形を行う上で、繊維の集束性に優れているといえる。
【0068】
(2)成形品の外観評価(繊維の分散性)
作製した長さ150mm×幅150mm×厚さ1.2mmの薄肉平板成形品の表面を目視観察し、強化繊維の分散不良欠陥(繊維束、浮き、膨れ)の数を測定した。測定は20サンプルについて行い、分散不良欠陥箇所の総数をサンプル数で除した平均欠陥数を判定基準とし、以下の4段階で評価した。○○と○が合格。△と×が不合格である。
○○:全成形品に分散不良欠陥が全く見られない。表面外観に特に優れる。
○ :平均欠陥数が0.1個/枚未満である。表面外観に優れる。
△ :平均欠陥数が0.1〜0.5個/枚である。表面外観にやや劣る。
× :全成形品に分散不良が見られる。表面外観に劣る。
【0069】
(3)成形品の力学特性
ASTM D790規格に従い、曲げ試験を行った。用いた試験片の厚みは6.4mmで、試験片の水分率0.1%以下、雰囲気温度23℃、湿度50重量%において曲げ弾性率(GPa)、曲げ強度(MPa)を求めた。
【0070】
(4)成形品中の強化繊維の数平均繊維長
上記曲げ試験片の中心部の一部から約1gを切り出し、蟻酸100ccに溶解して12時間放置した。樹脂成分が完全に溶解したのを確認した後、ペーパーフィルターを用いて強化繊維を濾過した。フィルター残査を顕微鏡にて観察し、無作為抽出した400本の強化繊維の繊維長を測定し、数平均値を算出した。最後に、上記評価項目の繊維の集束性、表面外観、力学的特性および経済性のバランスの判断基準を、○○:特に優れる、○:優れる、△:やや劣る、×:劣るとし、各段階にて総合的に評価した。○○と○が合格。△と×が不合格である。
【0071】
次に、本発明の実施例および比較例に用いた成分は以下に記載する。
【0072】
(参考例1)
ε−カプロラクタム30重量%と、数平均分子量800のポリエチレングリコールから得られるビスアミノプロピルポリエチレングリコールとアジピン酸のモル比1の塩70重量%の割合で容量1リットルの重合缶に仕込み、内部を窒素置換後、250℃で1MPaの加圧下、撹拌しながらで2時間重合し反応を完結させた。重合終了後、加熱を停止し、重合缶下部から吐出したポリマーをシート状にし、5mm角程度にカットした。得られた重合体の相対粘度は2.5であった。
【0073】
(実施例1)
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数48、000本の炭素繊維連続トウを得た。この連続トウの特性は次の通りであった。
単位長さ当たり質量 3.3g/m
比重 1.8
引張強度 3.0GPa
引張弾性率 225.0GPa
電気抵抗 36.0Ω・g/m2
炭素繊維連続トウに、参考例1で調整した重合体を濃度6重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、カートリッジカッターを用いて、炭素繊維を6mm長にカットし、さらにその後、熱風乾燥機で190℃で5分間乾燥してチョップド糸を得た。このとき得られたチョップド糸に付着している重合体の付着量は6.2重量%であった。
【0074】
ポリアミド6ホモポリマー(東レ(株)製 ”アミラン” CM1010:ペレット長約4mm)のペレットと、得られたチョップド糸とを炭素繊維含有量20重量%になるようにV型混合機を用いて、仕込量5.0kg、回転30rpmで60秒間混合し成形材料とした。得られた成形材料を用いて繊維の集束性試験を行った後、射出成形に供した。
【0075】
すなわち、成形材料を日本製鋼所(株)製J350EIII型射出成形機を用いて、シリンダー温度:260℃、金型温度:70℃にて特性評価用試験片を成形した。射出成形機のノズル、スクリュー、シリンダーは汎用仕様のもので、成形条件は背圧0.3MPa、スクリュー回転数25rpm、計量時間は20秒以内とした。成形後、デシケーター中で室温、3時間保管した乾燥状態の試験片について成形品の特性評価に供した。評価結果はまとめて表1に示した。
【0076】
(実施例2)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、参考例1で調整した重合体を濃度3重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着量0.3重量%となるように付着せしめた後、ウレタン樹脂(1、6−ヘキサメチレンカーボネートジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを重合した自己乳化型ポリウレタン樹脂)を付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は合計で、5.8重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0077】
(実施例3)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、参考例1で調整した重合体を濃度26重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は18.2重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0078】
(比較例1)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、エポキシ樹脂(油化シェル製 Ep828およびEp1001の等量混合品)を予め付着させた後に、ウレタン樹脂(1、6−ヘキサメチレンカーボネートジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを重合した自己乳化型ポリウレタン樹脂)を付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は合計で、6.0重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0079】
(比較例2)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、共重合ポリアミド樹脂(東レ(株)製 ”アミラン” CM4000)を濃度6重量%のアルコール溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は6.3重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0080】
(比較例3)
実施例1で使用した前記炭素繊維連続トウに、ポリエチレングリコール(和光純薬工業製 分子量20,000)を濃度6重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は6.0重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0081】
(比較例4)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、参考例1で調整した重合体を濃度26重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は28.0重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0082】
(比較例5)
日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、ポリアミド6ホモポリマー(東レ(株)製 ”アミラン” CM1010)をメインホッパーより供給し、次いで、その下流のサイドホッパーから実施例1で得られたチョップド糸を供給し、バレル温度250℃、回転数150rpmにて十分混練し、さらに下流の真空ベントより脱気を行う。供給は重量フィーダーによりチョップド糸が20重量%となるよう調整した。溶融樹脂をダイス口(φ5mm)より吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターにて切断してペレット状の成形材料とした。得られたペレットを熱風乾燥で90℃×3hr、さらに真空乾燥で80℃×6hrの乾燥を行い、水分率0.1%以下になるよう十分乾燥させた後、実施例1と同一の条件にて成形品の評価を行った。
【0083】
【表1】
【0084】
表1の実施例及び比較例より以下のことが明らかである。すなわち、実施例1の強化繊維は、ダイレクト成形する上での集束性に優れ、かつ成形品の表面外観が良好である。また、平均繊維長も比較例5と比べて長いため、力学特性に優れ、ダイレクト成形に有用である。この製造方法は、コンパウンド工程を経ていないため経済性に優れることは明らかである。
【0085】
実施例2、3においても、ダイレクト成形する上で十分な集束性を有し、かつ力学特性も優れていることからダイレクト成形に有用である。、
比較例1〜3では、ダイレクト成形によって強化繊維が十分に分散せず、力学特性、導電性についても十分な効果が得られなかった。また、比較例3では特にファイバーボールが発生し、繊維の集束性に劣る結果となった。また、比較例4では、ダイレクト成形によって強化繊維は分散しているものの、成形品は発泡現象が見られ、十分な力学特性が得られなかった。また、比較例5はコンパウンド工程を経ているため、経済性に劣り、かつ平均繊維長、力学特性も実施例1〜3には及ばない。
【0086】
【発明の効果】
本発明の強化繊維は、運搬・取扱い時の集束性と、熱可塑性樹脂との溶融成形時の分散性を両立したものであり、経済性、生産性に優れたダイレクト成形に好適である。得られた成形品は繊維長を長く保持できるため、優れた力学特性を達成でき、電気・電子機器、OA機器、家電機器、自動車用途の構造部材、各種部品または筐体等の一般産業分野に極めて有用である
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂組成物のダイレクト成形に有用な強化繊維、および該強化繊維と熱可塑性樹脂組成物を混合してなる成形材料に関する。さらに詳しくは、混合時の繊維集束性とダイレクト成形時の繊維分散性を兼ね備えた強化繊維を提供することを目的とする。
【0002】
さらには、該成形材料をダイレクト成形することによって、経済性、生産性および成形品の力学特性に優れた成形品を製造する方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
強化繊維をマトリックス樹脂中に分散させた繊維強化熱可塑性樹脂は、力学特性、寸法安定性に優れることから、自動車、航空機、電気・電子機器、光学機器、精密機器、娯楽・玩具、家庭・事務電気製品などの幅広い分野で活用され、その需要は年々増加しつつある。とりわけ、優れた力学特性や、軽量性、導電性といった高い付加価値を付与する目的で、炭素繊維強化熱可塑性樹脂が好ましく用いられている。
【0004】
一般に、前記目的で使用される強化繊維は、繊維数が100〜350000本の単繊維から構成される繊維束で提供される。そこで、繊維強化熱可塑性樹脂の成形品を得る方法として、(I−A)予め、強化繊維と熱可塑性樹脂を押出機などで溶融混練して、強化繊維を熱可塑性樹脂中に均一に分散させた成形材料を製造する工程、または(I−B)予め、連続した強化繊維を溶融した熱可塑性樹脂で被覆して、冷却した後ペレット状にカットした長繊維ペレットという成形材料を製造する工程と、(II)得られた成形材料を射出成形する工程、からなる製造方法が広く用いられている。
【0005】
しかし、上記方法では、強化繊維から成形材料を製造する工程(I−AまたはI−B)を経ているため、その設備・運転費用が必要であるばかりか、生産リードタイムの遅延が余儀なくされる。従って、強化繊維と熱可塑性樹脂のペレットを、直接成形機に供給して成形するダイレクト成形方法が経済性、生産性の面で優れている。
【0006】
さらに、繊維強化熱可塑性樹脂の特長である力学特性などの面でもダイレクト成形は有用である。このことは、上記特性がマトリックス樹脂中に分散している繊維長が長いほど有利である点、強化繊維と熱可塑性樹脂を溶融混合する工程が多いほど、また溶融混合する際の剪断力が強いほど、強化繊維の折損が多い点から予測できる。
【0007】
ただし、ダイレクト成形に対応可能な強化繊維として、(1)運搬・取扱い時に繊維束の形状を維持するための強化繊維の集束性と、(2)成形機に供給後はそのシリンダー内ですみやかに繊維束から単繊維状に開繊する強化繊維の分散性、という相反する特性の両立が必要である。
【0008】
まず、強化繊維の集束性が不十分であると、成形する以前に繊維が開繊して取扱えないことや、成形機に安定して供給できないことが問題となる。とりわけ、強化繊維がチョップド糸やミルド糸の場合は、開繊、分裂した繊維同士が毛玉(ファイバーボール)を形成して成形機の供給口に詰まり、成形不能となるなどの問題がある。
【0009】
次に、成形機のシリンダー内での強化繊維の分散性が不十分であると、成形品表面に未開繊の繊維が視認される現象(ウキ)、成形品表面が部分的に膨れる現象(フクレ)などの表面欠陥が生じ、さらに、分散性が劣ると成形品への補強効果がほとんど得られない問題が生じ、とりわけ分散性が劣ると成形機のシリンダー内で繊維が集合体を形成し、該集合体が成形機内や金型内で詰まり、設備破損するなどの問題がある。
【0010】
一般的に、強化繊維は、繊維束の取扱い性を重視して、予め集束剤が付着されている場合が多く、上記した中で、特に、後者の強化繊維の分散性が課題となる。
【0011】
特許文献1には、ダイレクト成形に好適な特殊な成形機が提案されている。しかし、通常の成形機では実施できないため、設備・運転費用などに問題がある。
【0012】
また、特許文献2には、集束剤としてポリイミン樹脂を付着した炭素繊維チョップド糸が開示されている。しかし、ここで得られる成形品は、該集束剤により熱可塑性樹脂が分解するなどの問題があり、結果として、十分な表面外観や力学特性が得られないなどの問題がある。
【0013】
【特許文献1】
特公昭56−47847号公報(第1頁、第17行)
【0014】
【特許文献2】
特開平3−65311号公報(第1頁、第5行)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、経済性、生産性に優れたダイレクト成形に有用なダイレクト成形用強化繊維を提供することを目的とする。さらには、その成形材料ならびに、力学特性、寸法安定性に優れた成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、強化繊維に特定成分を付着させることにより、本発明の課題を解決できることを見出した。
【0017】
すなわち、本発明は、強化繊維に、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分10〜99重量%と、(b)(b1)ポリエーテル、(b2)ポリエステル、(b3)ポリアミド、(b4)ポリウレタンから選択される少なくとも1種のブロック成分1〜90重量%から構成されるブロック共重合体が0.1〜20重量%付着してなるダイレクト成形用強化繊維をその骨子とする。
【0018】
さらに、本発明の他の発明は、上記ダイレクト成形用強化繊維を、熱可塑性樹脂組成物と混合してなるダイレクト成形用の成形材料および成形品の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0020】
本発明においてダイレクト成形とは、2種以上の成分から構成される成形材料を、全成分を予め溶融混練した成形材料を製造することなしに、成形機に直接供給し成形品を得る成形方法を言う。特に、強化繊維熱可塑性樹脂のダイレクト成形とは、成形材料として強化繊維の一部または全量が、繊維束の状態で成形機に直接供給される成形方法を言う。
【0021】
成形材料を成形品に成型する方法には特に制限はなく、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、プレス成形、圧縮成形、インサート成形などの公知な方法が挙げられるが、中でも、経済性、生産性の観点から射出成形が好ましい。
【0022】
射出成形を行う際には、力学特性の観点から以下の点に配慮して強化繊維の折損を抑制することが好ましい。すなわち、成形条件の傾向としては、背圧が低いほど、射出速度が遅いほど、スクリュウ回転数が遅いほど好ましい。
【0023】
射出成形機におけるシリンダー内で、成形材料を溶融・可塑化し、同時に、その内部にスクリューを配置し、この回転により溶融状態の成形材料を成形品型まで搬送することが可能である。このときのスクリューの好ましい形態としては、螺旋状のフライトが形成されていることであり、フライトが複数個形成されるほど、フライトとシリンダーのクリアランスが小さいほど、スクリュー径が太くなる圧縮部を形成されるほど好ましい。
【0024】
本発明は、ダイレクト成形用材料の提供を目的とするものであるが、例えば、熱可塑性樹脂製造工程から成形品までの流れを一貫して行う等の目的で、単軸または多軸の押出機で簡易的に溶融混合した溶融状態の成形材料を、直接射出成形機のシリンダーに供給する方法を用いることもできる。
【0025】
本発明のダイレクト成形強化繊維は、ダイレクト成形を行うに好適な(1)繊維の集束性と(2)繊維の分散性を両立したものである。このため、得られる成形品は、一般にコンパウンド工程を経て成形したものに比べ、マトリックス樹脂中に分散している強化繊維の繊維長を長く維持することができ、優れた力学特性を得ることができる。
【0026】
本発明に使用される強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維などの高強度、高弾性率繊維が使用でき、これらは1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が力学特性の向上、成形品の軽量化効果の観点から好ましく、得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維がさらに好ましい。
【0027】
強化繊維としては、導電性を付与する目的では、金属繊維、炭素繊維、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維が好ましく用いられる。
【0028】
強化繊維の平均繊維径は特に限定されないが、得られる成形品の力学特性と表面外観の観点から、1〜20μmの範囲内であることが好ましく、3〜15μmの範囲内であることがより好ましい。強化繊維束のフィラメント数には、特に制限はなく、100〜350000本の範囲内で使用することができ、とりわけ500〜70000本の範囲内で使用することが取扱い性の観点から好ましい。
【0029】
本発明において、強化繊維に付着されるブロック共重合体は、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分と、(b)(b1)ポリエーテル、(b2)ポリエステル、(b3)ポリアミド、(b4)ポリウレタンから選択される少なくとも1種のブロック成分から構成される。
【0030】
ここで、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分は、ポリアルキレングリコールから形成される。
【0031】
(a)オキシアルキレン基の具体例としては、ポリオキシエチレン骨格、ポリオキシプロピレン骨格、ポリオキシテトラメチレン骨格、ポリオキシヘキサメチレン骨格、ポリオキシネオペンチレン骨格を有する基が挙げられ、これらの骨格は1種または2種以上を有していてもよい。なかでもポリオキシエチレン骨格を有する基が特に好ましい。
【0032】
また、この(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分は、他のブロック成分とのブロック共重合体を形成させる目的で、その片末端および/または両末端が官能基で変性されていてもよい。使用できる官能基としては、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基などの反応性基が例示でき、強化繊維の分散性の観点からポリアミド形成性の官能基がより好ましく、例えば両末端がアミノ基で変性されたもの、または一方の末端がアミノ基で他方の末端がカルボキシル基で変性されたものがさらに好ましい。したがって、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分としては、オキシアルキレン基を有するジアミンとジカルボン酸の塩からなることが特に好ましく、とりわけビスアミノプロピルジアミンとジカルボン酸の塩からなることが好ましい。
【0033】
ここで使用するジカルボン酸としては、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、中でも、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸が塩の到達重合度の点から好ましく用いられ、とりわけアジピン酸がより好ましく用いられる。これらのジカルボン酸は1種または2種以上を併用してもよい。
【0034】
オキシアルキレン基を有するジアミンとジカルボン酸の塩とは、オキシアルキレン基を有するジアミン化合物とジカルボン酸化合物とを実質的に当モルで反応させた塩のことである。ここでいう「実質的に当モル」とは、オキシアルキレン基を有するジアミン化合物とジカルボン酸化合物のモル比が1±0.1の範囲であることを意味し、この範囲内であれば、重合速度や到達重合度の観点から、本発明の効果を発現するに十分である。
【0035】
ブロック成分(a)の分子量は特に制限はないが、得られる成形品の力学特性の観点から、数平均分子量が2000以下100以上が好ましく、さらに好ましくは1000以下200以上である。
【0036】
本発明に使用するブロック共重合体は、上記ブロック成分(a)と、(b)(b1)ポリエーテル、(b2)ポリエステル、(b3)ポリアミド、(b4)ポリウレタンから選択される少なくとも1種のブロック成分から構成される。
【0037】
ここで、(b1)ポリエーテル成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体などのポリ(アルキレンオキシド)グリコールが用いることができ、これらは1種または2種以上を併用してもよい。これらの中でも、繊維束の分散性の観点からポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0038】
また、(b2)ポリエステル成分とは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸などから選択される少なくとも1種の酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコールやポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどから選択される少なくとも1種のジオール成分との重縮合によって得られるものであり、さらに具体的には、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチロールテレフタレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/イソフタレート、ポリブチレンイソフタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステルなどを挙げることができ、これらは1種または2種以上を併用してもよい。
【0039】
さらには、これらのポリエステルには、さらに他の成分、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、スルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどを共重合させることもできる。
【0040】
また、(b3)ポリアミド成分とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる成分とする重合体である。重合体の原料の具体例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、p−アミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、かつこれらの原料から誘導されるホモポリマーまたはコポリマーを用いることができる。これらの中でも、繊維束の分散性の観点からラクタム環が開環重合して得られるものが好ましく、ε−カプロラクタムを用いることが特に好ましい。
【0041】
また、(d4)ポリウレタン成分とは、イソシアネートとポリオールの重付加によって得られる重合体である。イソシアネートの具体例としては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1−メチルエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、P,P’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが挙げられ、中でもテトラメチレンジイソシアネートが工業的に安価で好ましく用いられる。
【0042】
さらに、ポリオールの具体例としては、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、デカンジオール、グリセリンなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンメタノールなどの脂環式グリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコールなどの芳香族グリコールの短鎖ポリオールが挙げられる。さらには、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの高分子ポリオールを使用しても良く、これらは1種または2種以上を併用してもよい。中でも、1,6−ヘキサンジオールが安価であり、好ましく用いられる。
【0043】
本発明のブロック共重合体は、上記成分(a)と成分(b)が、結合してなるブロック共重合体である。結合形態は特に限定されないが、通常、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合から選択される1種以上の結合形態を有している。強化繊維の分散性の観点から、成分(a)と成分(b3)とがアミド結合したブロック共重合体がとりわけ好ましい。
【0044】
ブロック共重合体の成分割合は、成分(a)が10〜99重量%、好ましくは30〜90重量%、成分(b)が1〜90重量%、好ましくは10〜70重量%である。成分(a)が10重量%未満では強化繊維の分散性が不十分となる場合があり、99重量%を越えると強化繊維の集束性が不十分となる場合があるため好ましくない。
【0045】
また、ブロック共重合体の分子量は、繊維束の集束性と分散性のバランスの観点から、1000〜100000の範囲内が好ましく、2000〜50000の範囲内が特に好ましい。
【0046】
上記ブロック共重合体の付着量は強化繊維に0.1〜20重量%である必要があり、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。ブロック共重合体の付着量が0.1重量%未満では繊維束の集束性および分散性が不十分となる場合があり、20重量%を越えると成形品の力学特性が極端に低下したり、射出成形時の発泡などにより成形が不可能となる場合があるため好ましくない。
【0047】
ブロック共重合体を強化繊維に付着させる方法については特に制限はなく、例えば、ブロック共重合体を溶液にし、強化繊維を浸漬あるいは、強化繊維に溶液を滴下、散布した後、溶媒を乾燥、除去する方法などの方法が例示できる。
【0048】
なお、強化繊維は上記ブロック共重合体以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂や種々の熱可塑性樹脂など通常公知のサイジング剤を1種または2種以上併用してもよい。例えば、上記ブロック共重合体を付着させた後、通常公知のサイジング剤をさらに付着させる方法や、予め通常公知のサイジング剤を付着させた後、上記ブロック共重合体を付着させる方法、さらに上記ブロック共重合体と通常公知のサイジング剤を同時に付着させる方法などが例示できる。
【0049】
本発明における強化繊維の好ましい形状の一つとして、連続繊維であるロービングを所定の長さにカットしたチョップド糸、粉砕したミルド糸が挙げられ、特にダイレクト成形を行う際の取扱性の観点から、チョップド糸が好ましく用いられる。このチョップド糸における繊維長さは特に限定されるものでは無いが、サイジング剤により集束性を十分に発揮しカットされたあとの形状を十分に維持し得る観点から1〜30mmの範囲内が好ましく、2〜15mmの範囲内がより好ましい。
【0050】
本発明における成形材料は、上記強化繊維と、少なくとも熱可塑性樹脂を構成成分として含む熱可塑性樹脂組成物を混合したものである。ここでの混合は、溶融混練を特に必要とせず、強化繊維束と熱可塑性樹脂組成物の所定量を容器に混入したものでもよく、好ましくはタンブラー、V型ブレンダー、リボンミキサーなどで混合したものである。
【0051】
本発明の成形材料に使用される熱可塑性樹脂組成物の形態としては、ペレット、フレーク、パウダー、シート、フィルムなどを使用することができるが、好ましくは一般的な射出成形に使用されるペレットである。
【0052】
上記熱可塑性樹脂組成物に使用される熱可塑性樹脂としては特に制限は無いが、例えば、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE樹脂)、ポリアセタール樹脂(POM樹脂)、液晶ポリエステル、ポリアリーレート、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)などのアクリル樹脂、塩化ビニル、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂、さらにはエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/一酸化炭素/ジエン共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルエーテルエラストマー、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエステルアミドエラストマー、ポリエステルエステルエラストマーなどの各種エラストマー類などが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用しても良い。
【0053】
さらに、本発明の目的を損なわない範囲で熱可塑性樹脂組成物には、無機充填材、添加剤を添加しても良い。ここで、無機充填材や添加剤の添加方法には特に制限はなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機やニーダーなどの溶融状態下での機械的剪断を行う等の公知の方法で製造することができる。
【0054】
ここで、無機充填材としては特に制限はなく、公知のものを使用することができる。具体例としては、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、アラミド繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維、層状珪酸塩(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土鉱物、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母)、焼成クレイ、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸カルシウム、金属ウィスカー、ワラステナイト、ゼオライト、セリナイト、カオリン、ベントナイト、アルミナシリコート、マイカ、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化鉄、フェライト、金属粉、水酸化鉄、窒化硼素などが挙げられる。これらは単独または2種以上を併用してもよい。なお、形状にも制限はなく、パウダー状、フレーク状、繊維状、ウィスカーバルーン状などの公知な形状で使用できる。
【0055】
無機充填材の中でも、層状珪酸塩に属するものは、その層間を有機オニウムイオン化処理したものが好ましく使用される。有機オニウムイオンとしては、特に制限はないが、アンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。有機オニウム化処理は、元来、層間に存在する交換性陽イオンを有機オニウムイオンで交換することを示し、その方法についても、特に制限はなく従来の方法で行うことができる。例えば、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法や、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させる方法などが挙げられる。
【0056】
また、添加剤としては、例えば、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、導電性付与剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが使用でき、これらは1種または2種以上を併用しても良い。
【0057】
とくに、導電性を付与する目的で、導電性付与剤が好ましく用いられる。導電性付与剤としては、例えば、カーボンブラック、アモルファスカーボン粉末、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、ピッチマイクロビーズ、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられるが、中でも、導電性向上の観点からカーボンブラック、気相成長炭素繊維またはカーボンナノチューブが好ましい。
【0058】
また、難燃性を付与する目的で、熱可塑性樹脂組成物には、難燃剤が好ましく添加される。ここで使用される難燃剤には特に制限はなく、ハロゲン系、燐系、無機系などの公知な難燃剤を使用できる。具体的には、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)及びその誘導体、デカブロモジフェニルエーテル、ブロモビスフェノールS、テトラブロモ無水フタル酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボランジカルモキシルイミド、ペンタブロモジフェニルオキサイド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、臭素化ポリフェニレンオキサイド系難燃剤、臭素化スチレン系難燃剤などのハロゲン系難燃剤、赤燐、アルキルホスフェート、アリルホスフェート、アルキルアリルフォスフェート、芳香族縮合燐酸エステル、塩化ホスフォニトリル誘導体、ホスフォノアミド系難燃剤、ビニルホスフォネート、アリルホスフォネート、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、メラミンホスフェートなどの燐系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、アルミン酸カルシウム、クレーなどの無機系難燃剤、さらにはメラミン、メラミンシアヌレートなどの含窒素系、シリコーン系重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの難燃助剤を挙げることができるが、機械特性とのバランス、環境への負荷および難燃性の観点から燐系難燃剤、とりわけ燐酸エステル、赤燐が好ましい。
【0059】
本発明の成形材料は、他の成形材料と混合してもよい。他の成形材料としては、例えば、他の熱可塑性樹脂、添加剤、またはこれらを予め混練したマスターバッチ、さらには本発明の繊維強化熱可塑性樹脂の成形品を粉砕してなる再生材などが例示できる。
【0060】
本発明の一つの製造方法は、ダイレクト成形用強化繊維を、熱可塑性樹脂組成物と混合してなるダイレクト成形用の成形材料を直接成形機に供給し、またはダイレクト成形用強化繊維と熱可塑性樹脂組成物とを個別に直接成形機に供給し、成形品型に注入、冷却固化させる方法である。
【0061】
本発明の強化繊維の好ましいもう一つ形態は、連続繊維であるロービングである。
【0062】
本発明の好ましいもう一つの製造方法は、連続繊維であるロービングを熱可塑性樹脂組成物とともに直接成形機に供給する方法である。または、ロービングを供給前でインラインでカットし、熱可塑性樹脂組成物とともに直接成形機に供給し、またはロービングと熱可塑性樹脂組成物を成形機シリンダーに直結した混練機で直接該シリンダーに供給し、成形品型に注入、冷却固化させる方法も使用できる。
【0063】
本発明で得られる成形品は、優れた力学特性、寸法安定性、経済性、生産性を活かし種々の用途に展開できる。例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、パソコン、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、筐体、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭・事務電気製品部品、パチンコ、スロットマシン、ゲーム機などに代表される遊技・娯楽製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、遊戯用器具、トイレタリー用品、玩具用品、化学プラント、航空部品などの各種用途に有用であるが、上記の中でも特にパソコン、ディスプレー、携帯電話、携帯情報端末などの電気、電子機器、OA機器の用途で、帯電防止性、制電性を活かした部品、部材、カバーなどに、また優れた電磁波シールド性を活かして筐体などに好適に用いることができる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではない。
【0065】
まず、ブロック共重合体の付着量の測定は次の方法により行った。
【0066】
共重合体を付着した強化繊維約5gを採取し、耐熱ガラス製の容器に投入する。次に、この容器を120℃で3時間乾燥し、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後、秤量した強化繊維の重量をW1(g)とする。次いで、容器ごと、窒素雰囲気中、450℃で15分間加熱後、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却し、秤量した強化繊維の重量をW2(g)とする。以上の処理を経て、強化繊維へのブロック共重合体の付着量を、次式により求めた。
付着量=100×{(W1−W2)/W2}(単位:重量%)
次に、繊維の集束性および成形品の特性評価方法について以下に示す。
【0067】
(1)繊維の集束性
調製された成形材料を用い、目開き10mmのメッシュにて全量スクリーニングを行い、残留したファイバーボールの重量を測定した。仕込んだチョップ糸に対するファイバーボールの重量割合が0.1重量%以下であれば、通常の射出成形機にてダイレクト成形を行う上で、繊維の集束性に優れているといえる。
【0068】
(2)成形品の外観評価(繊維の分散性)
作製した長さ150mm×幅150mm×厚さ1.2mmの薄肉平板成形品の表面を目視観察し、強化繊維の分散不良欠陥(繊維束、浮き、膨れ)の数を測定した。測定は20サンプルについて行い、分散不良欠陥箇所の総数をサンプル数で除した平均欠陥数を判定基準とし、以下の4段階で評価した。○○と○が合格。△と×が不合格である。
○○:全成形品に分散不良欠陥が全く見られない。表面外観に特に優れる。
○ :平均欠陥数が0.1個/枚未満である。表面外観に優れる。
△ :平均欠陥数が0.1〜0.5個/枚である。表面外観にやや劣る。
× :全成形品に分散不良が見られる。表面外観に劣る。
【0069】
(3)成形品の力学特性
ASTM D790規格に従い、曲げ試験を行った。用いた試験片の厚みは6.4mmで、試験片の水分率0.1%以下、雰囲気温度23℃、湿度50重量%において曲げ弾性率(GPa)、曲げ強度(MPa)を求めた。
【0070】
(4)成形品中の強化繊維の数平均繊維長
上記曲げ試験片の中心部の一部から約1gを切り出し、蟻酸100ccに溶解して12時間放置した。樹脂成分が完全に溶解したのを確認した後、ペーパーフィルターを用いて強化繊維を濾過した。フィルター残査を顕微鏡にて観察し、無作為抽出した400本の強化繊維の繊維長を測定し、数平均値を算出した。最後に、上記評価項目の繊維の集束性、表面外観、力学的特性および経済性のバランスの判断基準を、○○:特に優れる、○:優れる、△:やや劣る、×:劣るとし、各段階にて総合的に評価した。○○と○が合格。△と×が不合格である。
【0071】
次に、本発明の実施例および比較例に用いた成分は以下に記載する。
【0072】
(参考例1)
ε−カプロラクタム30重量%と、数平均分子量800のポリエチレングリコールから得られるビスアミノプロピルポリエチレングリコールとアジピン酸のモル比1の塩70重量%の割合で容量1リットルの重合缶に仕込み、内部を窒素置換後、250℃で1MPaの加圧下、撹拌しながらで2時間重合し反応を完結させた。重合終了後、加熱を停止し、重合缶下部から吐出したポリマーをシート状にし、5mm角程度にカットした。得られた重合体の相対粘度は2.5であった。
【0073】
(実施例1)
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数48、000本の炭素繊維連続トウを得た。この連続トウの特性は次の通りであった。
単位長さ当たり質量 3.3g/m
比重 1.8
引張強度 3.0GPa
引張弾性率 225.0GPa
電気抵抗 36.0Ω・g/m2
炭素繊維連続トウに、参考例1で調整した重合体を濃度6重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、カートリッジカッターを用いて、炭素繊維を6mm長にカットし、さらにその後、熱風乾燥機で190℃で5分間乾燥してチョップド糸を得た。このとき得られたチョップド糸に付着している重合体の付着量は6.2重量%であった。
【0074】
ポリアミド6ホモポリマー(東レ(株)製 ”アミラン” CM1010:ペレット長約4mm)のペレットと、得られたチョップド糸とを炭素繊維含有量20重量%になるようにV型混合機を用いて、仕込量5.0kg、回転30rpmで60秒間混合し成形材料とした。得られた成形材料を用いて繊維の集束性試験を行った後、射出成形に供した。
【0075】
すなわち、成形材料を日本製鋼所(株)製J350EIII型射出成形機を用いて、シリンダー温度:260℃、金型温度:70℃にて特性評価用試験片を成形した。射出成形機のノズル、スクリュー、シリンダーは汎用仕様のもので、成形条件は背圧0.3MPa、スクリュー回転数25rpm、計量時間は20秒以内とした。成形後、デシケーター中で室温、3時間保管した乾燥状態の試験片について成形品の特性評価に供した。評価結果はまとめて表1に示した。
【0076】
(実施例2)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、参考例1で調整した重合体を濃度3重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着量0.3重量%となるように付着せしめた後、ウレタン樹脂(1、6−ヘキサメチレンカーボネートジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを重合した自己乳化型ポリウレタン樹脂)を付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は合計で、5.8重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0077】
(実施例3)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、参考例1で調整した重合体を濃度26重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は18.2重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0078】
(比較例1)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、エポキシ樹脂(油化シェル製 Ep828およびEp1001の等量混合品)を予め付着させた後に、ウレタン樹脂(1、6−ヘキサメチレンカーボネートジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを重合した自己乳化型ポリウレタン樹脂)を付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は合計で、6.0重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0079】
(比較例2)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、共重合ポリアミド樹脂(東レ(株)製 ”アミラン” CM4000)を濃度6重量%のアルコール溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は6.3重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0080】
(比較例3)
実施例1で使用した前記炭素繊維連続トウに、ポリエチレングリコール(和光純薬工業製 分子量20,000)を濃度6重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は6.0重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0081】
(比較例4)
実施例1で使用した炭素繊維連続トウに、参考例1で調整した重合体を濃度26重量%の水溶液に調製し、含浸法により付着せしめた後、実施例1と同様のチョップド糸とした。付着量は28.0重量%であった。得られたチョップド糸を実施例1と同一の条件にて、成形材料および成形品の評価を行った。
【0082】
(比較例5)
日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、ポリアミド6ホモポリマー(東レ(株)製 ”アミラン” CM1010)をメインホッパーより供給し、次いで、その下流のサイドホッパーから実施例1で得られたチョップド糸を供給し、バレル温度250℃、回転数150rpmにて十分混練し、さらに下流の真空ベントより脱気を行う。供給は重量フィーダーによりチョップド糸が20重量%となるよう調整した。溶融樹脂をダイス口(φ5mm)より吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターにて切断してペレット状の成形材料とした。得られたペレットを熱風乾燥で90℃×3hr、さらに真空乾燥で80℃×6hrの乾燥を行い、水分率0.1%以下になるよう十分乾燥させた後、実施例1と同一の条件にて成形品の評価を行った。
【0083】
【表1】
【0084】
表1の実施例及び比較例より以下のことが明らかである。すなわち、実施例1の強化繊維は、ダイレクト成形する上での集束性に優れ、かつ成形品の表面外観が良好である。また、平均繊維長も比較例5と比べて長いため、力学特性に優れ、ダイレクト成形に有用である。この製造方法は、コンパウンド工程を経ていないため経済性に優れることは明らかである。
【0085】
実施例2、3においても、ダイレクト成形する上で十分な集束性を有し、かつ力学特性も優れていることからダイレクト成形に有用である。、
比較例1〜3では、ダイレクト成形によって強化繊維が十分に分散せず、力学特性、導電性についても十分な効果が得られなかった。また、比較例3では特にファイバーボールが発生し、繊維の集束性に劣る結果となった。また、比較例4では、ダイレクト成形によって強化繊維は分散しているものの、成形品は発泡現象が見られ、十分な力学特性が得られなかった。また、比較例5はコンパウンド工程を経ているため、経済性に劣り、かつ平均繊維長、力学特性も実施例1〜3には及ばない。
【0086】
【発明の効果】
本発明の強化繊維は、運搬・取扱い時の集束性と、熱可塑性樹脂との溶融成形時の分散性を両立したものであり、経済性、生産性に優れたダイレクト成形に好適である。得られた成形品は繊維長を長く保持できるため、優れた力学特性を達成でき、電気・電子機器、OA機器、家電機器、自動車用途の構造部材、各種部品または筐体等の一般産業分野に極めて有用である
Claims (10)
- 強化繊維に、(a)オキシアルキレン基を有するブロック成分10〜99重量%と、(b)(b1)ポリエーテル、(b2)ポリエステル、(b3)ポリアミド、(b4)ポリウレタンから選択される少なくとも1種のブロック成分1〜90重量%から構成されるブロック共重合体が0.1〜20重量%付着してなるダイレクト成形用強化繊維。
- のオキシアルキレン基がポリオキシエチレン骨格を有することを特徴とする請求項1に記載のダイレクト成形用強化繊維。
- 成分(a)が、オキシアルキレン基を有するジアミンとジカルボン酸の塩から形成されたブロックである請求項1または2に記載のダイレクト成形用強化繊維。
- 成分(b)がε−カプロラクタムから形成されたポリアミドブロックである請求項1〜3のいずれかに記載のダイレクト成形用強化繊維。
- 強化繊維が、炭素繊維である請求項1〜4のいずれかに記載のダイレクト成形用強化繊維。
- 強化繊維が、繊維長さが1〜30mmのチョップド糸またはミルド糸である請求項1〜5のいずれかに記載のダイレクト成形用強化繊維。
- 請求項6に記載のダイレクト成形用強化繊維を、熱可塑性樹脂組成物と混合してなるダイレクト成形用の成形材料。
- 請求項7に記載の成形材料を、直接、成形機に供給し射出成形する成形品の製造方法。
- 強化繊維が、連続繊維である請求項1〜5のいずれかに記載のダイレクト成形用強化繊維。
- 請求項9に記載のダイレクト成形用強化繊維を、熱可塑性樹脂組成物とともに、直接、成形機に供給し射出成形する成形品の製造方法。
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JP2003047016A JP2004256940A (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | ダイレクト成形用強化繊維、成形材料および成形品の製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009521570A (ja) * | 2005-12-23 | 2009-06-04 | ボストン サイエンティフィック リミテッド | 官能化されたブロックコポリマー |
JP2015140496A (ja) * | 2014-01-28 | 2015-08-03 | 松本油脂製薬株式会社 | アクリル繊維処理剤及びその用途 |
CN109243718A (zh) * | 2018-09-21 | 2019-01-18 | 上海晓宝增强塑料有限公司 | 一种非金属铠装丝的生产方法 |
-
2003
- 2003-02-25 JP JP2003047016A patent/JP2004256940A/ja active Pending
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