JP2004256410A - パーマネントウェーブ剤 - Google Patents

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【解決手段】還元剤としてチオグリコール酸又はシステイン又はこれらの塩類を主成分として、単独または他の還元剤と混合するパーマネントウェーブ剤に、キシログルカン、ラミラナン、クレスチンのいずれか又は全てを添加した多糖類水溶液を混合する。該パーマネントウェーブ剤に、ペクチン、デキストラン、ブドウ糖、プルラン、レンチナン、サイクロデキストリン、トレハロースのいずれか又は全てを添加する。
【効果】毛母細胞を活性化し、毛髪や頭皮を傷めることなく使用することが可能である。既に傷んだ毛髪や頭皮を治癒する効果もある。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛母細胞を活性化すると共に、毛髪や頭皮を傷めることなく使用することが可能なパーマネントウェーブ剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、パーマネントウェーブは2液を混合することで行われる。最初にチオグリコール酸や、システインまたはその塩類を主成分とする還元剤により、毛髪中のシステインジスルフィド結合を切断する。続いて、過酸化水素、臭素酸ナトリウム等の酸化剤を使用して還元剤を中和させ、システインジスルフィド結合を修復する。
【0003】
チオグリコール酸等の還元剤を繰り返し使用すると毛髪を損傷することがある。そこで、特許文献1及び特許文献2において、毛髪の損傷を防止するパーマネントウェーブ剤が提案されている。
【0004】
特許文献1は、還元剤に、2−メチル−1,3−プロパンジオール0.1〜15重量%を混合することで、皮膚刺激や毛髪の損傷を防止できるとしている。
【0005】
特許文献2は、還元剤として1,3−プロパンジオールモノチオグリコレートを他の還元剤と混合するものである。特許文献2によると、毛髪に損傷を与えないpH値で作用し、皮膚に対する影響が小さくなるというものである。
【0006】
一方、当発明者は、皮膚細胞を活性化し、皮膚細胞の細胞機能低下による諸疾患を改善するものとして、皮膚細胞間質液と同様な環境を皮膚表面に作り出し、電解質バランス、浸透圧バランスを応用することで、皮膚の表面からも障害細胞の正常化を促進する水性皮膚及び毛髪化粧料を発明している(特許文献3)。この水性皮膚及び毛髪化粧料にあっては、シミ、赤ら顔の場合は皮下細胞を刺激、分裂させ、治癒に導びき、また、頭皮、ワキガ等に対しては浸透圧作用により毛母細胞を刺激し、発毛及び脱臭作用を促進させる効果が見られている。
【0007】
更に、当発明者は、口腔や鼻粘膜用の外用剤として使用しても副作用の虞が全く無く、例えば、口内炎や花粉症などといった、より広範囲な細胞レベルにおける諸疾患にも適用することが可能な細胞活性促進外用剤を発明している(特許文献4)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−220326号公報
【特許文献2】
特開平8−291031号公報
【特許文献3】
特許第1597430号公報
【特許文献4】
特許第2681527号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1及び特許文献2に記載されたパーマネントウェーブ剤では、皮膚刺激や毛髪の損傷を少なくすることは可能でも、毛母細胞を活性化して頭髪や頭皮を積極的に保護するパーマネントウェーブ剤ではなかった。
【0010】
一方、特許文献3及び特許文献4に記載された成分は、浸透圧作用により毛母細胞を刺激するもので、口腔や鼻粘膜用の外用剤として使用しても副作用の虞が全く無い成分である。
【0011】
そこで本発明は、特許文献3及び特許文献4に記載された成分をさらに改良し、毛母細胞を活性化すると共に、毛髪や頭皮を傷めることなく使用することが可能なパーマネントウェーブ剤の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成すべく本発明の第1の手段は、還元剤としてチオグリコール酸又はシステイン又はこれらの塩類を主成分として単独または他の還元剤と混合して含有するパーマネントウェーブ剤において、キシログルカン、ラミラナン、クレスチンのいずれか又は全てを添加した多糖類水溶液を配合することにある。
【0013】
また、前記パーマネントウェーブ剤に、ペクチン、デキストラン、ブドウ糖、プルラン、レンチナン、サイクロデキストリン、トレハロースのいずれか又は全てを添加する。
【0014】
さらに、前記パーマネントウェーブ剤に、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムのいずれか又は全てを添加することを課題解消のための手段とする。
【0015】
人間の皮膚における病変である炎症、色素沈着、脱毛症等の各種症状の原因は、紫外線、化学物質等の種々の因子が関連したものとなっており、その細胞レベルでの変化が限られているその根本は、細胞内小器官の一つであるミトコンドリアの膜や細胞膜の障害といえるものである。つまり、ミトコンドリアの膜の障害によって細胞内呼吸の阻害が生じ、これによって、細胞の活動源たるATP(アデノシン3リン酸)の産生が低下する。このようなATPの不足によって細胞膜の能動輸送の機能が低下し、細胞と間質液との間において物質の輸送能力の低下が起る。すると、細胞内におけるグルコース等の栄奏物質の不足を生じさせ、ひいてはATPの酸性の低下につながるといった悪循環をなすものである。
【0016】
以上のような細胞レベルでの変化を生じさせる原因は多様なものがあり、特に、毛母細胞においては、浸透圧作用で細胞問質液を引き上げることで、疾患部分の細胞を活性化することができる。更に、キシログルカンと、ラミラナンと、クレスチンとを添加することにより、頭皮の毛母細胞組織の免疫力や治癒力を高めることが可能になると考えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明パーマネントウェーブ剤は、還元剤としてチオグリコール酸を単独または他の還元剤と混合する全てのパーマネントウェーブ剤に適用する。また、次に分類されたパーマネントウェーブ剤に適用することも可能である。すなわち、コールド二浴式パーマネントウェーブ剤、加温二浴式パーマネントウェーブ剤、コールド一浴式パーマネントウェーブ剤、第1剤用時調整発熱式パーマネントウェーブ剤、コールド二浴式縮毛矯正剤、加温二浴式縮毛矯正剤、高圧整髪用アイロンを使用するコールド二浴式縮毛矯正剤、高圧整髪用アイロンを使用する加温二浴式縮毛矯正剤である。
【0018】
本発明は、このような従来から使用されているパーマネントウェーブ剤に、キシログルカン、ラミラナン、クレスチンのいずれか又は全てを添加した多糖類水溶液を混合したものである。
【0019】
また、前記パーマネントウェーブ剤に、ペクチン、デキストラン、ブドウ糖、プルラン、レンチナン、サイクロデキストリン、トレハロースのいずれか又は全てを添加してもよく、さらに、前記パーマネントウェーブ剤に、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムのいずれか又は全てを添加することも能である。
【0020】
前記成分を添加した多糖類水溶液を、パーマネントウェーブ剤に対し、全体の重量比で、0.1〜30%混合する。この多糖類水溶液の混合率は、パーマネントウェーブ剤の前記分類別に応じて任意に変更するものである。
【0021】
一方、多糖類水溶液に添加する成分は、多糖類を溶解する水溶液の全体の重量比で、1〜50%のキシログルカンと、1〜50%のラミラナンと、1〜50%のクレスチンとを添加するものである。
【0022】
キシログルカンは、伸長・肥大している植物細胞の壁(一次壁)に普遍的に存在する構成糖鎖である。植物種特異性は、キシロース残基にガラクトースまたはフコシル−ガラクトースが結合することによって生じる。このガラクトース残基及びフコース残基にはそれぞれレクチンが結合できるが、これら分岐糖鎖の機能は分かっていない。植物細胞の成長は、細胞の持っている浸透圧に由来する吸水現象によって生じ、吸水力は、細胞壁のゆるみによる壁圧の減少によって生じる。この細胞壁のゆるみは、未だ解明されていないが、細胞伸長は常にキシログルカンの分解と可溶化を伴って生じており、細胞の生理活性をつかさどる多糖類のひとつとして注目されている。
【0023】
ラミラナンは、炭水化物の一でβグルカンのラミラナンとして分類される。椎茸をはじめとした茸類や昆布などの海草類に含まれるもので、免疫力を高める効果がある。
【0024】
クレスチンは、ヒト癌細胞のHLAクラスI抗原の発現を増強する免疫治療医薬品として使用されるもので、かわらたけ菌糸体より抽出される。このクレスチンは、胃癌、結腸・直腸癌、小細胞肺癌等の腫瘍性疾患に免疫治療作用が認められている。
【0025】
発明者は、数多くの多糖類の中から、外用剤に適した成分を研究した結果、これらのキシログルカン、ラミラナン、クレスチンを組合せることで、口腔や鼻粘膜等の細胞組織の免疫力や治癒力を高める外用剤を調製したものである。そして、この免疫力や治癒力は、パーマネントウェーブ剤によって生じる頭皮の皮膚障害や、頭髪のダメージを治癒する効果があることを発見したものである。
【0026】
これらの多糖類を溶解した水溶液中には、予め、水溶液全体の重量比で、1〜50%のペクチンと、1〜30%のデキストランと、1〜30%のブドウ糖と、1〜30%のレンチナンと、1〜50%のトレハロースとを含有せしめてある。
【0027】
ペクチンは、植物の細胞壁の構成成分としてセルロース等、他の成分と結合することで植物細胞をつなぎ合わせる働きをしている。ゲル化作用を持つ成分であり、本発明外用剤の添加剤として好適である。
【0028】
また、多糖類を溶解した水溶液中に、塩化ナトリウムと、塩化カルシウムと、塩化カリウムとを添加している。塩化ナトリウムの配合量は、皮膚に対する浸透圧バランス、電解質バランスの有効性、すなわち、皮膚細胞を活性化できるよう、全体の重量比で0.1〜1%とし、同様に、塩化カルシウムと、塩化カリウムにおいても0.1〜1%の各成分を水相成分に溶解する。
【0029】
【実施例】
次に、本発明の多糖類水溶液を混合するパーマネントウェーブ剤の処方を具体的に説明する。尚、実施例は、パーマネントウェーブ剤の一例にすぎず、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
まず、本発明のパーマネントウェーブ剤に混合する多糖類水溶液を具体的に説明する。
【0031】
−多糖類水溶液1−
デキストラン 18.0
ブドウ糖 10.0
サイクロデキストリン 2.0
トレハロース 3.0
プルラン 7.0
レンチナン 7.0
ラミナラン 2.0
クレスチン 1.0
ペクチン 3.0
キシログルカン 1.0
塩化ナトリウム 0.9
塩化カルシウム 0.3
塩化カリウム 0.3
精製水 44.5
計 重量(%) 100.0
【0032】
水相成分(精製水)は、純水のみで製造する。そして、これらの各成分と水相成分との混合に際しては、各成分の溶解を完全にするために、50〜100℃の温度で実施する。
【0033】
更に、別の混合比からなる多糖類水溶液を調合した。
【0034】
−多糖類水溶液2−
デキストラン 4.0
ブドウ糖 3.0
サイクロデキストリン 2.0
トレハロース 3.0
プルラン 3.0
レンチナン 3.0
ラミナラン 2.0
クレスチン 1.0
ペクチン 3.0
キシログルカン 50.0
塩化ナトリウム 0.4
塩化カルシウム 0.3
塩化カリウム 0.3
精製水 25.0
計 重量(%) 100.0
【0035】
この結果、処方例2以上にキシログルカンの濃度を上げると、溶解後分離するようになり不適当である。また、キシログルカンの他、ラミナラン、クレスチンのいずれにおいても有効性が認められるのは少なくとも夫々1%以上の濃度が必要であり、また夫々の濃度が50%以内の範囲とする。
【0036】
次に、多糖類水溶液1で処方した成分を、次のパーマネントウェーブ剤(コールド二浴式)に混合して第1剤とする。
Figure 2004256410
【0037】
パーマネントウェーブ剤の第2剤の処方は次のとおりである。
Figure 2004256410
【0038】
実施例1の第1剤を使用してドライヤー(約40℃)で20分間処理後、室温下(約22℃)で第2剤を使用し、15分間毛髪処理を行った。
【0039】
比較例として、前記第1剤の多糖類水溶液を精製水に代えたもので同じ処理を行った。
【0040】
サンプルとして、処理前の毛髪と処理後の毛髪とを採取し、それぞれの毛母細胞の状態を確認した。この結果、本発明パーマネントウェーブ剤を使用したサンプルでは、処理前と処理後とにおいて、ほとんど同じ状態であった。一方、従来のパーマネントウェーブ剤を使用したサンプルでは、処理後の毛母細胞が処理前の状態に比べて萎縮していることが判明した。
【0041】
次に、前記多糖類水溶液2で処方した成分を、次のパーマネントウェーブ剤(加温二浴式)に混合して第1剤とする。
Figure 2004256410
【0042】
パーマネントウェーブ剤の第2剤の処方は次のとおりである。
Figure 2004256410
【0043】
実施例2の第1剤を使用してドライヤー(約40℃)で20分間処理後、室温下(約22℃)で第2剤を使用し、15分間毛髪処理を行った。
【0044】
比較例として、実施例2における第1剤の多糖類水溶液を精製水に代えたもので同じ処理を行った。
【0045】
サンプルとして、処理前の毛髪と処理後の毛髪とを採取し、それぞれの毛母細胞の状態を確認した。この結果、本発明パーマネントウェーブ剤を使用したサンプルでは、処理前と処理後とにおいて、ほとんど同じ状態であった。また、サンプルによっては、処理後の毛母細胞が活性化しているものも見られる。これは、本発明パーマネントウェーブ剤が、より積極的に治癒効果を表したものと思われる。一方、従来のパーマネントウェーブ剤を使用したサンプルでは、処理後の毛母細胞が処理前の状態に比べて萎縮していることが判明した。
【0046】
【発明の効果】
本発明によると、還元剤としてチオグリコール酸又はシステイン又はこれらの塩類を主成分として単独または他の還元剤と混合して含有するパーマネントウェーブ剤において、キシログルカン、ラミラナン、クレスチンのいずれか又は全てを添加した多糖類水溶液を混合することにより、毛母細胞を活性化することで、毛髪や頭皮を傷めることなく使用することが可能になる。
【0047】
また、細胞組織の免疫力や治癒力を高めながら皮膚細胞間質液と同様な環境を作り出すことができるので、ミトコンドリアの膜の障害によって生じる、細胞内呼吸の阻害や、細胞の活動源たるATP(アデノシン3リン酸)の産生の低下を防止することができ、電解質バランス、浸透圧バランスを保ち、皮膚細胞や粘膜細胞の表層からも障害細胞の正常化を促進することが可能になる。この結果、既に傷んだ毛髪や頭皮を治癒する効果もある。

Claims (3)

  1. 還元剤としてチオグリコール酸又はシステイン又はこれらの塩類を主成分として、単独または他の還元剤と混合するパーマネントウェーブ剤において、キシログルカン、ラミラナン、クレスチンのいずれか又は全てを添加した多糖類水溶液を配合することを特徴とするパーマネントウェーブ剤。
  2. 前記パーマネントウェーブ剤に、ペクチン、デキストラン、ブドウ糖、プルラン、レンチナン、サイクロデキストリン、トレハロースのいずれか又は全てを添加する請求項1記載のパーマネントウェーブ剤。
  3. 前記パーマネントウェーブ剤に、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムのいずれか又は全てを添加する請求項1記載のパーマネントウェーブ剤。
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