JP2004256262A - シールチェーン - Google Patents
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Abstract
【課題】シール手段を小型化してシールチェーン全体のコンパクト化に寄与でき、かつOリング等の弾性シールリングの摩耗を可及的に防止し得るようにしたシールチェーンを提供する。
【解決手段】シールチェーン1は、外リンクプレート2aと内リンクプレート4a間に、ピン5とブシュ7間に封入した潤滑剤をシールするシール手段を備える。該シール手段は、少なくともブシュ軸方向端面7aに接触するように配置される剛性リング部材11と、該リング部材11とそれに対向する外リンクプレート2aとの間に圧接される弾性シールリング13と、を備える。これにより、Oリング13をブシュ径方向に拡大させずにその厚み寸法増大をも抑えて小型化し、剛性リング部材11の径方向をも小さくして、シールチェーン1のコンパクト化に寄与し得る。
【選択図】 図3
【解決手段】シールチェーン1は、外リンクプレート2aと内リンクプレート4a間に、ピン5とブシュ7間に封入した潤滑剤をシールするシール手段を備える。該シール手段は、少なくともブシュ軸方向端面7aに接触するように配置される剛性リング部材11と、該リング部材11とそれに対向する外リンクプレート2aとの間に圧接される弾性シールリング13と、を備える。これにより、Oリング13をブシュ径方向に拡大させずにその厚み寸法増大をも抑えて小型化し、剛性リング部材11の径方向をも小さくして、シールチェーン1のコンパクト化に寄与し得る。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピンとブシュとからなる軸受部分にグリース等の潤滑剤を封入してシールするシールチェーンに係り、特に穀類、石炭、鉄鉱石、セメント、焼却灰、石灰、塩等のバラ物を搬送するバケットコンベヤ用等のシールチェーンに用いて好適であり、詳しくはシールチェーンのシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンベヤ用などのチェーンの延命化が市場で望まれている。特に、バケット付きチェーン等の連続アンローダ用チェーンは、チェーンの軸受部分であるピン・ブシュ間の摩耗が激しく、チェーンが延びてしまうなどの理由で、交換を余儀なくされていることが多い。従って、このような問題を解決するために様々なシールチェーンが使用されている。
【0003】
従来、この種のシールチェーンとして、ブシュの外周部分にて互いに対向する外リンクプレートと内リンクプレートとの間にOリングを圧入し、ブシュ内周面と該ブシュに嵌挿したピンの外周面との間に封入された潤滑剤の漏失や、ピンとブシュ間への異物の侵入を防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図8は特許文献1に開示されたシール構造に近似した構造を示す断面図であり、このものは上記外リンクプレートとOリングとの間、及び上記内リンクプレートとOリングとの間に、後述する表面粗さの良好な環状プレート18,19をそれぞれ介在して有している。なお、同図では、チェーン長さ方向にそれぞれ平行に配置される各2個ずつの外リンクプレート及び内リンクプレートのうち片側のみを図示している。同図に示すシール構造にあっては、内リンクプレート24から所定量突出したブシュ27を囲むようにしてシール手段が介在されており、該シール手段は、ピン25に被嵌しかつ外リンクプレート22の内径側に接した状態の上記環状プレート18と、ブシュ27に被嵌しかつ内リンクプレート24の内径側に接した状態の上記環状プレート19と、これら両環状プレート18,19間に圧入されたOリング20とからなっている。
【0005】
上記シール構造を有するシールチェーンは、例えば、バケットコンベヤ等のアンローダ用シールチェーンに適用する目的から、動力伝達用シールチェーンに比して大型寸法の部品が使用されることがある。その場合、外リンクプレート22及び内リンクプレート24それぞれの上記Oリング20との接触面の表面粗さを良好にして該Oリング20の摩耗を低減することは、コスト的に容易なことではない。したがって、Oリング20に接触する部分にのみ表面粗さの良好な上記環状プレート18,19を介在することにより、コストアップを回避しつつ、Oリング20との摺接状態を向上させることになる。
【0006】
【特許文献1】
実公昭55−23242号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したシール構造のシールチェーンによれば、上記Oリング20がブシュ27の外周部分に介在されることに起因して、該Oリング20の特に径方向寸法が拡大して大型化すると共に、これに伴い両環状プレート18,19もブシュ径方向外方に拡大することになり、したがって、上記外リンクプレート22と内リンクプレート24間に介在したシール手段が大型化して、シールチェーン全体のコンパクト性を損なうなどの不都合を招来する虞がある。また、上記Oリング20が径方向の拡大に伴ってその厚みも増大した場合には、上記外リンクプレート22,22(一方は図示を省略)間の幅寸法も拡大することになり、設備によってはその採用が困難になるなどの事態を招く虞がある。
【0008】
そこで本発明は上記事情に鑑み、Oリング等の弾性シールリングの摩耗を可及的に防止できるものでありながら、構成部材の配置改善等にてシール手段をより小型化しかつ低価格化させ、シールチェーン全体のコンパクト化に寄与し得るように構成し、もって上述した課題を解消したシールチェーンを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図7参照)、2個の外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)の両端部をピン(5)にて連結した外リンク(2又は3)と、2個の内リンクプレート(4a,4b)をブシュ(7)にて連結した内リンク(4)とを、前記ピン(5)を前記ブシュ(7)に遊嵌することにより交互に連結し、かつ前記ピンとブシュ間に封入される潤滑剤をシールするシール手段(11,12,13又は15,17)を備えてなるシールチェーン(1)において、
前記シール手段は、少なくとも前記ブシュ(7)の軸方向端面(7a)に接触するように配置されるリング部材(11、12又は15)と、該リング部材(11、12又は15)とそれに対向する前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)との間に圧接される弾性シールリング(13又は17)と、を備えてなる、
ことを特徴とするシールチェーンにある。
【0010】
なお、本発明における上記「リング部材」は、金属材料からなるもの、及び比較的高硬度の合成樹脂からなるものをも含む概念である。
【0011】
請求項2に係る本発明は(例えば図5ないし図7参照)、前記リング部材(11、12又は15)は、前記ブシュ(7)の径方向に延びる鍔状部(11a、12a又は15a)と、該鍔状部(12a又は15a)の外方端から前記弾性シールリング(13又は17)を囲繞するように延びる円筒部(12b又は15b)と、を備えてなる、
ことを特徴とする請求項1記載のシールチェーンにある。
【0012】
請求項3に係る本発明は(例えば図4及び図6参照)、前記ブシュ(7)の軸方向端面(7a)は、前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)に対向する前記内リンクプレート(4a,4b)の対向面(4d)から後退して、該後退したブシュ(7)の軸方向端面(7a)と前記外リンクプレートとの間に拡大空隙部(14)を形成し、
該拡大空隙部(14)に、前記ブシュ軸方向端面(7a)に前記リング部材(11又は12)を摺接して前記シール手段(11,13又は12,13)を配置してなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーンにある。
【0013】
請求項4に係る本発明は(例えば図7参照)、前記ブシュ(7)の軸方向端面(7a)は、前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)に対向する前記内リンクプレート(4a,4b)の対向面(4d)から後退すると共に、前記内リンクプレート(4a,4b)は、前記後退したブシュ(7)の軸方向端面(7a)に整列する切欠き部(4c)を備え、
前記ブシュ軸方向端面(7a)及び前記切欠き部(4c)と前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)との間に拡大空隙部(14’)を形成し、
該拡大空隙部(14’)に、前記軸方向端面(7a)と前記切欠き部(4c)とに亘って前記リング部材(15)を摺接して前記シール手段(15,17)を配置してなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーンにある。
【0014】
請求項5に係る本発明は(例えば図3及び図5参照)、前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)に対向する前記内リンクプレート(4a,4b)の対向面(4d)と前記ブシュ軸方向端面(7a)とが整列してなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーンにある。
【0015】
請求項6に係る本発明は(例えば図1ないし図7参照)、前記シールチェーン(1)はコンベヤチェーンである、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のシールチェーンにある。
【0016】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、弾性シールリングを、従来技術のようなブシュ外周部分ではなくブシュの軸方向端面と外リンクプレートとの間に介在したので、上記弾性シールリングをブシュ径方向に拡大することなく、またその厚みの増大をも抑えて小型化し得ると共に、これに伴い該弾性シールリングに対応するリング部材の径方向寸法も小さくすることができる。これにより、弾性シールリング及びリング部材を具備するシール手段を小型化し、対向する2個の外リンクプレート間の幅寸法の増大を抑えてシールチェーンを全体的にコンパクト化でき、これに伴うコストダウンも期待することができる。更に、弾性シールリングの弾性力でリング部材をブシュ端部に押し付けることにより、チェーン屈曲時において、通常は摩擦係数の大きいゴム材等からなる弾性シールリングと外リンクプレートとの間、及び該弾性シールリングとリング部材との間での相対摺動を抑えつつ、ゴム材等に比して摩擦係数の小さい材料である金属や硬質の合成樹脂等から構成し得る上記リング部材と、上記ブシュ軸方向端面との間にて相対摺動させて、弾性シールリングの摩耗を可及的に回避し得る。
【0018】
請求項2に係る本発明によると、粉粒体搬送用等のようにピンとブシュ間の摺動部に異物が侵入し易い環境下で用いられるコンベヤチェーンに適用した場合であっても、弾性シールリングをリング部材の鍔状部と円筒部とで充分に覆うことにより、上記摺動部への異物侵入を効果的に防止できる。
【0019】
請求項3に係る本発明によると、ブシュ軸方向を従来に比して短縮する設計変更のみにて外リンクプレートとブシュ軸方向端面間に拡大空隙部を形成し、該拡大空隙部に、ブシュ軸方向端面にリング部材を摺接してシール手段を配置できるので、外リンクプレート間の幅寸法を何ら増大することなく良好なシールチェーン化を実現することができる。したがって、シールチェーンの製造にあたってブシュ以外の部品に従来仕様のものを採用し、既設備の使用を可能にして、チェーン自体の大きな設計変更やコストアップ等を招来することのない製品化を実現し得る。また、ブシュの後退部分にリング部材が入り込むことから、対向する外リンクプレート間の幅寸法の増大抑制効果がより向上する。
【0020】
請求項4に係る本発明によると、径方向寸法を切欠き部まで拡大した大きめのリング部材の使用が可能になるので、これに伴い、多層の弾性シールリングの使用、或いは複数の環状溝を形成したリング部材と各環状溝にそれぞれ挿入した複数の弾性シールリングとからなる複合シール手段の使用が可能になり、その結果、潤滑剤シール効果と共に摺動時の耐久性をより向上し得る。
【0021】
請求項5に係る本発明によると、内リンクプレートの対向面とブシュ軸方向端面とが整列するので、ブシュ径方向に若干大きめのリング部材や弾性シールリングを配置することが可能になり、潤滑剤シール効果や摺動時の耐久性をより向上することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によると、本シールチェーンを、ピンとブシュ間の摺動部に粉粒等の異物が侵入し易い過酷な環境下で使用されるコンベヤチェーンとして有効に活用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って本発明に係る実施の形態について説明する。図1は本発明を適用したシールチェーンを示し、(a)は該チェーンの全体的な構成を示す正面図、(b)は該チェーンの一部を示す(a)の上方から見た平面図、(c)は外リンクプレート2a,2bに備えた皿穴10を示す図2のIc−Ic線に沿った断面図である。また、図2は図1(a)に示すシールチェーン1を同図矢印A方向に見た状態で示す側面図、図3は本実施の形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図である。なお、図1(a)には、作図の便宜上、図3に示すリング部材11(以下、剛性リング部材という)及びOリング13は現れていない。
【0024】
コンベヤチェーンに用いて好適な本シールチェーン1は、図1(a)に示すように、外リンク2、内リンク4及び外リンク3が交互に連結されて無端状に構成されている。図示は省略するが、これら外リンク2、内リンク4、外リンク3はともに複数あって、これらが交互に連結して無端状のシールチェーンをなしている。
【0025】
上記外リンク2は、アタッチメントの取付けが可能にされて外リンク3よりも幅広に(つまり図2における上下方向長さが大きく)形成され、かつシールチェーン1内に所定ピッチで配置されるもので、互いに対向する2個の外リンクプレート2a,2bと、その両側部分にて両プレート2a,2bを連結(結合)する2個のピン5,5とから構成されている。また、上記内リンク4は、互いに対向する2個の内リンクプレート4a,4bと、その両側部分に貫通穿設された孔4e(図3参照)に堅く嵌合して両プレート4a,4bを連結する2個のブシュ7,7(図1(a)では一方のブシュ7のみを図示)と、該ブシュ7,7の外周に回転自在に被嵌しているローラ9,9とからなり、上記ピン5がブシュ7に摺動自在に嵌挿(即ち遊嵌)されることにより、他の外リンク2,3と連結されている。更に、上記外リンク3は、互いに対向する2個の外リンクプレート3a,3bと、その両端部分にて両プレート3a,3bを連結する2個のピン5,5とから構成される。
【0026】
図1(a),(b)に示すように、外リンクプレート2a,2b及び3a,3bにはそれぞれ、上記ピン5を嵌挿する孔8(図1(a)では両プレート2a,2bに関するもののみ図示)が形成されている。上記外リンクプレート2a,3a側から孔8に嵌挿されたピン5は、その先端部が該外リンクプレート2b,3bから突出した状態で、軸方向と直交するように形成されたピン孔(図示せず)に抜止めピン6が挿通されることにより、上記外リンクプレート2b,3bに対する相対位置が決められて抜け止めが図られる。なお、図3を参酌すると、上記ピン5は頭部5a、外リンクプレート2a,3a側の孔8に嵌合する大径部5b、及びブシュ7に嵌挿される小径部5cを有しており、該小径部5cの上記頭部5aと逆側に、上記抜止めピン6を貫通するための上記ピン孔(図示せず)が形成されている。
【0027】
本実施の形態におけるシールチェーン1は、図2に示すように、連続アンローダ用のコンベヤチェーン等に適用できるように外リンクプレート2a,2b(該プレートbは図示を省略)に、アタッチメント取付け用のボルト孔10がそれぞれ4箇所ずつ形成されている。該ボルト孔10は、図1(c)に示すように、図の下方に向かって内面がテーパ状に傾斜するように貫通穿設されている。なお、上記シールチェーン1は、バケットエレベータ、パンコンベヤ等のバラ物(穀類、鉄鉱石、石炭等)用アンローダとして用いて好適であるが、これに限らず、スラットコンベヤ、スラブコンベヤや、水処理用、レイキ用、沈砂・沈澱池用、コンティニュアスフローコンベヤ用等の他のコンベヤチェーンへの適用も可能であり、更に場合によっては動力伝達用チェーンへの適用も可能である。
【0028】
ついで、本発明に係るシールチェーン1の要部を図3に沿って説明する。なお、同図は該シールチェーン1の要部を示す断面図であるが、便宜上、図1(a)に示した各部材の上下方向を逆にした状態で記載している。また、外リンクプレート2a,2b,3a,3bは、幅や孔8の形状に違いはあるものの、シール手段に関与する構成はいずれも同じなので、以下、外リンクプレート2aを中心に説明を進める。つまり、外リンクプレート2a及び内リンクプレート4aについての説明を以下に展開するが、その説明する構成は外リンクプレート2b及び外リンクプレート3a,3bにおいても同様であることは勿論である。これらの点は後述の図4ないし図7に沿って説明する各実施の形態においても同様である。
【0029】
すなわち、本第1の実施形態におけるシールチェーン1は、図3に示すように、ブシュ7の軸方向端面7aと、その対向する外リンクプレート2aとの間に、ピン5外周面とブシュ7内周面との間の摺動部に封入されるグリース等の潤滑剤をシールするシール手段を有している。
【0030】
上記シール手段は、上記軸方向端面7aと上記外リンクプレート2aとの間に介在される剛性リング部材11と、該剛性リング部材11とその対向する上記外リンクプレート2aとの間に圧接(圧入)される合成ゴム等からなるOリング(弾性シールリング)13と、を有している。上記剛性リング部材11は、ブシュ7の径方向に延びて軸方向端面7aと摺接し得る鍔状部11aからなっており、該鍔状部11a及び上記Oリング13のブシュ7に対する径方向寸法(図3左右方向の寸法)は、それぞれ上記軸方向端面7aの径方向寸法と略々同じ又はそれ以下になるように設定されている。また、上記ブシュ7の軸方向端面7aは、内リンクプレート4aの外リンクプレート2aとの対向面4dと略々面一に整列する平坦面として形成されており、上記剛性リング部材11は、その鍔状部11aの径方向寸法が上記軸方向端面7aの径方向寸法と同等又はそれより小さく構成されている。なお、図中の符号CL1は、対向する外リンクプレート2aと内リンクプレート4aとの間のクリアランス間隔を示す。
【0031】
また、上記剛性リング部材11の材料として、例えば、クロムモリブデン鋼等の鋼材に、表面硬化及び防錆等の目的で窒化処理を施した金属材料を用いることができる。或いは、これに限らず、金属材料に更にフッ素コーティングしたもの、比較的硬度の高い合成樹脂、若しくは、焼結含油合金、青銅、リン青銅、青鉛鋼等の自己潤滑性材料を使用することも可能であり、上記鋼材に窒化処理を施したものを含め、低摩擦材料からなることが好ましい。このように本実施の形態における「剛性リング部材」は、金属材料によって構成できるものであり、また、比較的高硬度の合成樹脂によっても構成することができる。
【0032】
以上説明した本実施の形態によると、シール手段を、少なくともブシュ軸方向端面7aに接触するように配置される剛性リング部材11と、該リング部材11とそれに対向する外リンクプレート2aとの間に圧接されるOリング13とを備えるように構成したので、該Oリング13がブシュ7の外周部分ではなくブシュ軸方向端面7aと外リンクプレート2aとの間に介在され、従って該Oリング13をブシュ7の径方向(図3左右方向)に拡大することがなく、またその厚みの増大をも抑えて小型化することができる。そしてこれに伴い、該Oリング13に対応する剛性リング部材11の径方向寸法も小さくすることができる。これにより、Oリング13及び剛性リング部材11を有する上記シール手段を小型化して、シールチェーン1を全体的にコンパクト化することができ、また対向する外リンクプレート2a,2a間の幅寸法の増大を抑えることで、アタッチメント全体の再設計・製作が必要になるような事態を回避でき、これによるコストダウンも期待し得る。なお、内リンクプレート4a,4bの対向面4dとブシュ軸方向端面7aとが整列していることで、ブシュ径方向に若干大きめの剛性リング部材12や弾性シールリング13を配置することも可能となり、従って、潤滑剤シール効果や摺動時の耐久性をより向上することも可能である。
【0033】
そして、Oリング13の弾性力で剛性リング部材11をブシュ端部7aに押し付けるので、チェーン屈曲時において、摩擦係数の大きいゴム材等からなるOリング13と外リンクプレート2aとの間、及び該Oリング13と剛性リング部材11との間での相対摺動を抑えつつ、ゴム材等に比して摩擦係数の小さい材質からなる上記剛性リング部材11とブシュ軸方向端面7aとの間にて相対摺動させることができる。これにより、ピン5とブシュ7間の摺動部に封入した潤滑剤の漏失や該摺動部への異物侵入も有効に阻止しつつ、上記Oリング13の摩耗を可及的に防止することができる。したがって、例えば本シールチェーン1を、屈曲角度が大きくなるようなコンベヤチェーンに適用した場合であっても、Oリング13を早期に痛めるような不都合を回避できる。
【0034】
<第2の実施の形態>
次に、本発明に係る第2の実施の形態を図4に沿って説明する。本実施の形態は、図3に示した第1の実施形態に比し、ブシュ7の軸方向端面7aを対向面4dからやや後退するように形成した点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
すなわち本実施の形態においては、図4に示すように、ブシュ7の軸方向端面7aが、ブシュ7の軸方向と略々直交しかつ外リンクプレート2aに対向する内リンクプレート4aの対向面4dから所定量後退するように構成されて、上記外リンクプレート2aとの間に、クリアランス間隔CL1より広い拡大空隙部14が形成されている。
【0036】
本実施の形態は以上の構成を有するので、前述した第1の実施形態による作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。すなわち、ブシュ7の軸方向を若干短くする設計変更のみで、強度低下を招くことなく、対向する一対の外リンクプレート2a,2b間の幅寸法の増大をより有効に抑えることができる。したがって、シールチェーン1の製造に際してブシュ7以外の部品に従来仕様のものを採用できることから、既設備の使用を可能にし、チェーン自体の大きな設計変更やコストアップ等を招くことなく、シールチェーン化を廉価に実現し得る。
【0037】
<第3の実施の形態>
次に、本発明に係る第3の実施の形態を図5に沿って説明する。本実施の形態は、図3に示した第1の実施形態に比し、剛性リング部材12が鍔状部12aと共に円筒部12bを備える点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
すなわち本実施の形態では、図5に示すように、剛性リング部材12が、ブシュ7の径方向に延びる鍔状部12aと、該鍔状部12aの外方端からOリング13を囲繞するように図の上方に向かって延びる円筒部12bと、を備えている。そして、該鍔状部12aは、ブシュ7の軸方向端面7aからその径方向外方にやや突出して、該軸方向端面7aと、内リンクプレート4a対向面4dとの両方に亘って摺接し得るように配置されている。
【0039】
また、上記円筒部12bのブシュ7の軸方向に沿った寸法(軸方向寸法)は、該ブシュ7の軸方向端面7aと外リンクプレート2aとの間の寸法(本実施形態ではつまりクリアランス間隔CL1と同等の寸法)と同じに、又はそれより若干小さく設定することが可能である。そして剛性リング部材12は、上記円筒部12bの先端(上端)が外リンクプレート2aに摺接可能に密接し得る寸法に形成された場合、該円筒部12bと上記軸方向端面7aに密接する鍔状部12aとが、ピン5とブシュ7間の潤滑剤をOリング13と協働することで、より良好なシール状態の実現が可能になる。
【0040】
本実施の形態は以上の構成を有するので、前述した第1の実施形態による作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。すなわち、シール手段のOリング13が、剛性リング部材12の鍔状部12aと円筒部12bとで充分に覆われることにより、外部から粉粒等の異物が侵入し易い過酷な環境下で用いられるコンベヤチェーン等に適用した場合であっても、ピン5とブシュ7間の摺動部に封入した潤滑剤の漏失を防止しつつ、該摺動部への異物侵入を極めて効果的に防止できる。しかもOリング13及び剛性リング部材12は、ブシュ端部7aと外リンクプレート2a,2b等との間の狭い空間内に配置される小型の部品からなるので、シール手段のブシュ7周囲への拡大化を回避し、シールチェーン全体のコンパクト化に寄与することができる。また、内リンクプレート4a,4bの対向面4dとブシュ軸方向端面7aとが整列するので、ブシュ径方向に若干大きめの剛性リング部材12や弾性シールリング13を配置することができ、これにより、潤滑剤シール効果や摺動時の耐久性をより向上し得る。
【0041】
そして、剛性リング部材12に形成した鍔状部12aと円筒部12bという極めて簡単な構成要素にてOリング13の良好な被覆構造が実現するので、一対の外リンクプレート間2a,2bの幅寸法を拡大することがない。このため、例えば2本のシールチェーン1の内側にアタッチメントを装着するような設備にあっても、アタッチメント全体の再設計・製作を不要にすることができる。更に、Oリング13の弾性力により剛性リング部材12をブシュ7の軸方向端面7aに押し付け、該剛性リング部材12と軸方向端面7aとの接触面にて摺動できるので、チェーン屈曲角度が大きくなるような場合にあっても、摩耗によるOリング13の早期損傷を回避し得る。
【0042】
<第4の実施の形態>
ついで、本発明に係る第4の実施の形態を図6に沿って説明する。本実施の形態は、図5に示した第3の実施形態に比し、剛性リング部材12及びOリング13の径方向寸法をより小さく構成すると共に、ブシュ7の軸方向端面7aを若干短くすることで形成した拡大空隙部14にシール手段を収容した点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
本実施の形態は、図6に示すように、ブシュ7の軸方向端面7aが、図4にて説明した第2の実施形態と同様、内リンクプレート4aの対向面4dから後退するように構成されて、外リンクプレート2aとの間に、クリアランス間隔CL1より広い拡大空隙部14が形成されている。また、剛性リング部材12はその鍔状部12aがブシュ7の軸方向端面7aのサイズに合うように、図5のものより径方向寸法を小さく構成され、かつOリング13も、剛性リング部材12のサイズに応じて軸方向寸法及び径方向寸法が、図5のものより小さく構成されている。
【0044】
以上の本実施形態によると、前述した第3の実施形態による作用効果に加えて、ブシュ7の軸方向を短くする設計変更のみで外リンクプレート2a,2b間の幅寸法の増大をより効果的に抑えると共に、上記ブシュ7以外の部品に従来仕様のものを採用してシールチェーン化を廉価に実現し得るという作用効果を奏する。
【0045】
<第5の実施の形態>
ついで、本発明に係る第5の実施の形態を図7に沿って説明する。本実施の形態は、図6に示した第4の実施形態に比し、拡大空隙部14をブシュ径方向に更に広げて拡大空隙部14’とし、かつ該空隙部14’に図6の例よりもやや大きめのシール手段を収容した点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
すなわち本実施の形態では、図7(a)に示すように、切欠き部4cが、内リンクプレート4aの内径側に、図6と同様に対向面4dから後退した軸方向端面7aと略々面一に整列するように形成されている。そして、該軸方向端面7aと上記切欠き部4cとによって上記拡大空隙部14よりも径方向に拡大してなる拡大空隙部14’には、前記鍔状部12aよりやや大径に形成された剛性リング部材15の鍔状部15aが、上記軸方向端面7aと上記切欠き部4cとに亘って摺接可能に配置されている。更に上記鍔状部15aの外方端からは、円筒部15bが、外リンクプレート2aと剛性リング部材15間に圧接(圧入)された弾性シールリング17を囲繞するように延びている。
【0047】
上記弾性シールリング17は、図7(b)に示すように、前述したOリング13と同じ材料を用いて断面略々X字状に形成されており、そのサイズは、拡大空隙部14’が拡大空隙部14に比して拡大された分、ブシュ7の軸方向での厚み寸法及び該ブシュ7の径方向での寸法がOリング13より大きくされている。更に弾性シールリング17は、放射状に突出するリップ17a,17b,17c,17dを有すると共に、これらリップ17aと17b間、リップ17bと17d間、リップ17dと17c間、及びリップ17cと17a間にそれぞれ凹部17f,17g,17h,17eを有している。そして、該弾性シールリング17は、リップ17a,17cを外リンクプレート2aに、リップ17b,17dを鍔状部15aにそれぞれ弾性接触させている。
【0048】
以上の本実施形態によると、前述した第3の実施形態による作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、外リンクプレート2aとブシュ軸方向端面7aとの間にシール手段を介在したコンパクトなものでありながら、内リンクプレート4aの切欠き部4cまで径方向寸法を拡大したより大きな剛性リング部材15を使用することができるので、これに伴い、多層に構成した不図示の弾性シールリングの使用、或いは複数の環状溝を形成した剛性リング部材と各環状溝にそれぞれ圧接(圧入)した複数の弾性シールリングとからなる不図示の複合シール手段の使用が可能になり、その場合、潤滑剤シール効果と共に摺動時の耐久性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したシールチェーンを示し、(a)は該チェーンの全体的な構成を示す正面図、(b)は該チェーンの一部を示す(a)の上方から見た平面図、(c)は外リンクプレートに備えた皿穴を示す図2のIc−Ic線に沿った断面図。
【図2】図1のシールチェーンを同図矢印A方向に見た状態で示す側面図。
【図3】本発明に係る第1の実施形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図。
【図4】本発明に係る第2の実施形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図。
【図5】本発明に係る第3の実施形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図。
【図6】本発明に係る第4の実施形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図。
【図7】本発明に係る第5の実施形態におけるシールチェーンの要部を示し、(a)は該要部を全体的に示す断面図、(b)は該要部に配置したOリングの拡大断面図。
【図8】従来のシールチェーンの要部を示す断面図。
【符号の説明】
1 シールチェーン(コンベヤチェーン)
2,3 外リンク
2a,2b,3a,3b 外リンクプレート
4 内リンク
4a,4b 内リンクプレート
4d 対向面
5 ピン
7 ブシュ
7a ブシュの軸方向端面
11,12,15 シール手段、リング部材(剛性リング部材)
11a,12a,15a 鍔状部
12b,15b 円筒部
13 シール手段(弾性シールリング、Oリング)
14,14’ 拡大空隙部
17 シール手段(弾性シールリング)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピンとブシュとからなる軸受部分にグリース等の潤滑剤を封入してシールするシールチェーンに係り、特に穀類、石炭、鉄鉱石、セメント、焼却灰、石灰、塩等のバラ物を搬送するバケットコンベヤ用等のシールチェーンに用いて好適であり、詳しくはシールチェーンのシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンベヤ用などのチェーンの延命化が市場で望まれている。特に、バケット付きチェーン等の連続アンローダ用チェーンは、チェーンの軸受部分であるピン・ブシュ間の摩耗が激しく、チェーンが延びてしまうなどの理由で、交換を余儀なくされていることが多い。従って、このような問題を解決するために様々なシールチェーンが使用されている。
【0003】
従来、この種のシールチェーンとして、ブシュの外周部分にて互いに対向する外リンクプレートと内リンクプレートとの間にOリングを圧入し、ブシュ内周面と該ブシュに嵌挿したピンの外周面との間に封入された潤滑剤の漏失や、ピンとブシュ間への異物の侵入を防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図8は特許文献1に開示されたシール構造に近似した構造を示す断面図であり、このものは上記外リンクプレートとOリングとの間、及び上記内リンクプレートとOリングとの間に、後述する表面粗さの良好な環状プレート18,19をそれぞれ介在して有している。なお、同図では、チェーン長さ方向にそれぞれ平行に配置される各2個ずつの外リンクプレート及び内リンクプレートのうち片側のみを図示している。同図に示すシール構造にあっては、内リンクプレート24から所定量突出したブシュ27を囲むようにしてシール手段が介在されており、該シール手段は、ピン25に被嵌しかつ外リンクプレート22の内径側に接した状態の上記環状プレート18と、ブシュ27に被嵌しかつ内リンクプレート24の内径側に接した状態の上記環状プレート19と、これら両環状プレート18,19間に圧入されたOリング20とからなっている。
【0005】
上記シール構造を有するシールチェーンは、例えば、バケットコンベヤ等のアンローダ用シールチェーンに適用する目的から、動力伝達用シールチェーンに比して大型寸法の部品が使用されることがある。その場合、外リンクプレート22及び内リンクプレート24それぞれの上記Oリング20との接触面の表面粗さを良好にして該Oリング20の摩耗を低減することは、コスト的に容易なことではない。したがって、Oリング20に接触する部分にのみ表面粗さの良好な上記環状プレート18,19を介在することにより、コストアップを回避しつつ、Oリング20との摺接状態を向上させることになる。
【0006】
【特許文献1】
実公昭55−23242号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したシール構造のシールチェーンによれば、上記Oリング20がブシュ27の外周部分に介在されることに起因して、該Oリング20の特に径方向寸法が拡大して大型化すると共に、これに伴い両環状プレート18,19もブシュ径方向外方に拡大することになり、したがって、上記外リンクプレート22と内リンクプレート24間に介在したシール手段が大型化して、シールチェーン全体のコンパクト性を損なうなどの不都合を招来する虞がある。また、上記Oリング20が径方向の拡大に伴ってその厚みも増大した場合には、上記外リンクプレート22,22(一方は図示を省略)間の幅寸法も拡大することになり、設備によってはその採用が困難になるなどの事態を招く虞がある。
【0008】
そこで本発明は上記事情に鑑み、Oリング等の弾性シールリングの摩耗を可及的に防止できるものでありながら、構成部材の配置改善等にてシール手段をより小型化しかつ低価格化させ、シールチェーン全体のコンパクト化に寄与し得るように構成し、もって上述した課題を解消したシールチェーンを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図7参照)、2個の外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)の両端部をピン(5)にて連結した外リンク(2又は3)と、2個の内リンクプレート(4a,4b)をブシュ(7)にて連結した内リンク(4)とを、前記ピン(5)を前記ブシュ(7)に遊嵌することにより交互に連結し、かつ前記ピンとブシュ間に封入される潤滑剤をシールするシール手段(11,12,13又は15,17)を備えてなるシールチェーン(1)において、
前記シール手段は、少なくとも前記ブシュ(7)の軸方向端面(7a)に接触するように配置されるリング部材(11、12又は15)と、該リング部材(11、12又は15)とそれに対向する前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)との間に圧接される弾性シールリング(13又は17)と、を備えてなる、
ことを特徴とするシールチェーンにある。
【0010】
なお、本発明における上記「リング部材」は、金属材料からなるもの、及び比較的高硬度の合成樹脂からなるものをも含む概念である。
【0011】
請求項2に係る本発明は(例えば図5ないし図7参照)、前記リング部材(11、12又は15)は、前記ブシュ(7)の径方向に延びる鍔状部(11a、12a又は15a)と、該鍔状部(12a又は15a)の外方端から前記弾性シールリング(13又は17)を囲繞するように延びる円筒部(12b又は15b)と、を備えてなる、
ことを特徴とする請求項1記載のシールチェーンにある。
【0012】
請求項3に係る本発明は(例えば図4及び図6参照)、前記ブシュ(7)の軸方向端面(7a)は、前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)に対向する前記内リンクプレート(4a,4b)の対向面(4d)から後退して、該後退したブシュ(7)の軸方向端面(7a)と前記外リンクプレートとの間に拡大空隙部(14)を形成し、
該拡大空隙部(14)に、前記ブシュ軸方向端面(7a)に前記リング部材(11又は12)を摺接して前記シール手段(11,13又は12,13)を配置してなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーンにある。
【0013】
請求項4に係る本発明は(例えば図7参照)、前記ブシュ(7)の軸方向端面(7a)は、前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)に対向する前記内リンクプレート(4a,4b)の対向面(4d)から後退すると共に、前記内リンクプレート(4a,4b)は、前記後退したブシュ(7)の軸方向端面(7a)に整列する切欠き部(4c)を備え、
前記ブシュ軸方向端面(7a)及び前記切欠き部(4c)と前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)との間に拡大空隙部(14’)を形成し、
該拡大空隙部(14’)に、前記軸方向端面(7a)と前記切欠き部(4c)とに亘って前記リング部材(15)を摺接して前記シール手段(15,17)を配置してなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーンにある。
【0014】
請求項5に係る本発明は(例えば図3及び図5参照)、前記外リンクプレート(2a,2b又は3a,3b)に対向する前記内リンクプレート(4a,4b)の対向面(4d)と前記ブシュ軸方向端面(7a)とが整列してなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーンにある。
【0015】
請求項6に係る本発明は(例えば図1ないし図7参照)、前記シールチェーン(1)はコンベヤチェーンである、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のシールチェーンにある。
【0016】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、弾性シールリングを、従来技術のようなブシュ外周部分ではなくブシュの軸方向端面と外リンクプレートとの間に介在したので、上記弾性シールリングをブシュ径方向に拡大することなく、またその厚みの増大をも抑えて小型化し得ると共に、これに伴い該弾性シールリングに対応するリング部材の径方向寸法も小さくすることができる。これにより、弾性シールリング及びリング部材を具備するシール手段を小型化し、対向する2個の外リンクプレート間の幅寸法の増大を抑えてシールチェーンを全体的にコンパクト化でき、これに伴うコストダウンも期待することができる。更に、弾性シールリングの弾性力でリング部材をブシュ端部に押し付けることにより、チェーン屈曲時において、通常は摩擦係数の大きいゴム材等からなる弾性シールリングと外リンクプレートとの間、及び該弾性シールリングとリング部材との間での相対摺動を抑えつつ、ゴム材等に比して摩擦係数の小さい材料である金属や硬質の合成樹脂等から構成し得る上記リング部材と、上記ブシュ軸方向端面との間にて相対摺動させて、弾性シールリングの摩耗を可及的に回避し得る。
【0018】
請求項2に係る本発明によると、粉粒体搬送用等のようにピンとブシュ間の摺動部に異物が侵入し易い環境下で用いられるコンベヤチェーンに適用した場合であっても、弾性シールリングをリング部材の鍔状部と円筒部とで充分に覆うことにより、上記摺動部への異物侵入を効果的に防止できる。
【0019】
請求項3に係る本発明によると、ブシュ軸方向を従来に比して短縮する設計変更のみにて外リンクプレートとブシュ軸方向端面間に拡大空隙部を形成し、該拡大空隙部に、ブシュ軸方向端面にリング部材を摺接してシール手段を配置できるので、外リンクプレート間の幅寸法を何ら増大することなく良好なシールチェーン化を実現することができる。したがって、シールチェーンの製造にあたってブシュ以外の部品に従来仕様のものを採用し、既設備の使用を可能にして、チェーン自体の大きな設計変更やコストアップ等を招来することのない製品化を実現し得る。また、ブシュの後退部分にリング部材が入り込むことから、対向する外リンクプレート間の幅寸法の増大抑制効果がより向上する。
【0020】
請求項4に係る本発明によると、径方向寸法を切欠き部まで拡大した大きめのリング部材の使用が可能になるので、これに伴い、多層の弾性シールリングの使用、或いは複数の環状溝を形成したリング部材と各環状溝にそれぞれ挿入した複数の弾性シールリングとからなる複合シール手段の使用が可能になり、その結果、潤滑剤シール効果と共に摺動時の耐久性をより向上し得る。
【0021】
請求項5に係る本発明によると、内リンクプレートの対向面とブシュ軸方向端面とが整列するので、ブシュ径方向に若干大きめのリング部材や弾性シールリングを配置することが可能になり、潤滑剤シール効果や摺動時の耐久性をより向上することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によると、本シールチェーンを、ピンとブシュ間の摺動部に粉粒等の異物が侵入し易い過酷な環境下で使用されるコンベヤチェーンとして有効に活用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って本発明に係る実施の形態について説明する。図1は本発明を適用したシールチェーンを示し、(a)は該チェーンの全体的な構成を示す正面図、(b)は該チェーンの一部を示す(a)の上方から見た平面図、(c)は外リンクプレート2a,2bに備えた皿穴10を示す図2のIc−Ic線に沿った断面図である。また、図2は図1(a)に示すシールチェーン1を同図矢印A方向に見た状態で示す側面図、図3は本実施の形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図である。なお、図1(a)には、作図の便宜上、図3に示すリング部材11(以下、剛性リング部材という)及びOリング13は現れていない。
【0024】
コンベヤチェーンに用いて好適な本シールチェーン1は、図1(a)に示すように、外リンク2、内リンク4及び外リンク3が交互に連結されて無端状に構成されている。図示は省略するが、これら外リンク2、内リンク4、外リンク3はともに複数あって、これらが交互に連結して無端状のシールチェーンをなしている。
【0025】
上記外リンク2は、アタッチメントの取付けが可能にされて外リンク3よりも幅広に(つまり図2における上下方向長さが大きく)形成され、かつシールチェーン1内に所定ピッチで配置されるもので、互いに対向する2個の外リンクプレート2a,2bと、その両側部分にて両プレート2a,2bを連結(結合)する2個のピン5,5とから構成されている。また、上記内リンク4は、互いに対向する2個の内リンクプレート4a,4bと、その両側部分に貫通穿設された孔4e(図3参照)に堅く嵌合して両プレート4a,4bを連結する2個のブシュ7,7(図1(a)では一方のブシュ7のみを図示)と、該ブシュ7,7の外周に回転自在に被嵌しているローラ9,9とからなり、上記ピン5がブシュ7に摺動自在に嵌挿(即ち遊嵌)されることにより、他の外リンク2,3と連結されている。更に、上記外リンク3は、互いに対向する2個の外リンクプレート3a,3bと、その両端部分にて両プレート3a,3bを連結する2個のピン5,5とから構成される。
【0026】
図1(a),(b)に示すように、外リンクプレート2a,2b及び3a,3bにはそれぞれ、上記ピン5を嵌挿する孔8(図1(a)では両プレート2a,2bに関するもののみ図示)が形成されている。上記外リンクプレート2a,3a側から孔8に嵌挿されたピン5は、その先端部が該外リンクプレート2b,3bから突出した状態で、軸方向と直交するように形成されたピン孔(図示せず)に抜止めピン6が挿通されることにより、上記外リンクプレート2b,3bに対する相対位置が決められて抜け止めが図られる。なお、図3を参酌すると、上記ピン5は頭部5a、外リンクプレート2a,3a側の孔8に嵌合する大径部5b、及びブシュ7に嵌挿される小径部5cを有しており、該小径部5cの上記頭部5aと逆側に、上記抜止めピン6を貫通するための上記ピン孔(図示せず)が形成されている。
【0027】
本実施の形態におけるシールチェーン1は、図2に示すように、連続アンローダ用のコンベヤチェーン等に適用できるように外リンクプレート2a,2b(該プレートbは図示を省略)に、アタッチメント取付け用のボルト孔10がそれぞれ4箇所ずつ形成されている。該ボルト孔10は、図1(c)に示すように、図の下方に向かって内面がテーパ状に傾斜するように貫通穿設されている。なお、上記シールチェーン1は、バケットエレベータ、パンコンベヤ等のバラ物(穀類、鉄鉱石、石炭等)用アンローダとして用いて好適であるが、これに限らず、スラットコンベヤ、スラブコンベヤや、水処理用、レイキ用、沈砂・沈澱池用、コンティニュアスフローコンベヤ用等の他のコンベヤチェーンへの適用も可能であり、更に場合によっては動力伝達用チェーンへの適用も可能である。
【0028】
ついで、本発明に係るシールチェーン1の要部を図3に沿って説明する。なお、同図は該シールチェーン1の要部を示す断面図であるが、便宜上、図1(a)に示した各部材の上下方向を逆にした状態で記載している。また、外リンクプレート2a,2b,3a,3bは、幅や孔8の形状に違いはあるものの、シール手段に関与する構成はいずれも同じなので、以下、外リンクプレート2aを中心に説明を進める。つまり、外リンクプレート2a及び内リンクプレート4aについての説明を以下に展開するが、その説明する構成は外リンクプレート2b及び外リンクプレート3a,3bにおいても同様であることは勿論である。これらの点は後述の図4ないし図7に沿って説明する各実施の形態においても同様である。
【0029】
すなわち、本第1の実施形態におけるシールチェーン1は、図3に示すように、ブシュ7の軸方向端面7aと、その対向する外リンクプレート2aとの間に、ピン5外周面とブシュ7内周面との間の摺動部に封入されるグリース等の潤滑剤をシールするシール手段を有している。
【0030】
上記シール手段は、上記軸方向端面7aと上記外リンクプレート2aとの間に介在される剛性リング部材11と、該剛性リング部材11とその対向する上記外リンクプレート2aとの間に圧接(圧入)される合成ゴム等からなるOリング(弾性シールリング)13と、を有している。上記剛性リング部材11は、ブシュ7の径方向に延びて軸方向端面7aと摺接し得る鍔状部11aからなっており、該鍔状部11a及び上記Oリング13のブシュ7に対する径方向寸法(図3左右方向の寸法)は、それぞれ上記軸方向端面7aの径方向寸法と略々同じ又はそれ以下になるように設定されている。また、上記ブシュ7の軸方向端面7aは、内リンクプレート4aの外リンクプレート2aとの対向面4dと略々面一に整列する平坦面として形成されており、上記剛性リング部材11は、その鍔状部11aの径方向寸法が上記軸方向端面7aの径方向寸法と同等又はそれより小さく構成されている。なお、図中の符号CL1は、対向する外リンクプレート2aと内リンクプレート4aとの間のクリアランス間隔を示す。
【0031】
また、上記剛性リング部材11の材料として、例えば、クロムモリブデン鋼等の鋼材に、表面硬化及び防錆等の目的で窒化処理を施した金属材料を用いることができる。或いは、これに限らず、金属材料に更にフッ素コーティングしたもの、比較的硬度の高い合成樹脂、若しくは、焼結含油合金、青銅、リン青銅、青鉛鋼等の自己潤滑性材料を使用することも可能であり、上記鋼材に窒化処理を施したものを含め、低摩擦材料からなることが好ましい。このように本実施の形態における「剛性リング部材」は、金属材料によって構成できるものであり、また、比較的高硬度の合成樹脂によっても構成することができる。
【0032】
以上説明した本実施の形態によると、シール手段を、少なくともブシュ軸方向端面7aに接触するように配置される剛性リング部材11と、該リング部材11とそれに対向する外リンクプレート2aとの間に圧接されるOリング13とを備えるように構成したので、該Oリング13がブシュ7の外周部分ではなくブシュ軸方向端面7aと外リンクプレート2aとの間に介在され、従って該Oリング13をブシュ7の径方向(図3左右方向)に拡大することがなく、またその厚みの増大をも抑えて小型化することができる。そしてこれに伴い、該Oリング13に対応する剛性リング部材11の径方向寸法も小さくすることができる。これにより、Oリング13及び剛性リング部材11を有する上記シール手段を小型化して、シールチェーン1を全体的にコンパクト化することができ、また対向する外リンクプレート2a,2a間の幅寸法の増大を抑えることで、アタッチメント全体の再設計・製作が必要になるような事態を回避でき、これによるコストダウンも期待し得る。なお、内リンクプレート4a,4bの対向面4dとブシュ軸方向端面7aとが整列していることで、ブシュ径方向に若干大きめの剛性リング部材12や弾性シールリング13を配置することも可能となり、従って、潤滑剤シール効果や摺動時の耐久性をより向上することも可能である。
【0033】
そして、Oリング13の弾性力で剛性リング部材11をブシュ端部7aに押し付けるので、チェーン屈曲時において、摩擦係数の大きいゴム材等からなるOリング13と外リンクプレート2aとの間、及び該Oリング13と剛性リング部材11との間での相対摺動を抑えつつ、ゴム材等に比して摩擦係数の小さい材質からなる上記剛性リング部材11とブシュ軸方向端面7aとの間にて相対摺動させることができる。これにより、ピン5とブシュ7間の摺動部に封入した潤滑剤の漏失や該摺動部への異物侵入も有効に阻止しつつ、上記Oリング13の摩耗を可及的に防止することができる。したがって、例えば本シールチェーン1を、屈曲角度が大きくなるようなコンベヤチェーンに適用した場合であっても、Oリング13を早期に痛めるような不都合を回避できる。
【0034】
<第2の実施の形態>
次に、本発明に係る第2の実施の形態を図4に沿って説明する。本実施の形態は、図3に示した第1の実施形態に比し、ブシュ7の軸方向端面7aを対向面4dからやや後退するように形成した点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
すなわち本実施の形態においては、図4に示すように、ブシュ7の軸方向端面7aが、ブシュ7の軸方向と略々直交しかつ外リンクプレート2aに対向する内リンクプレート4aの対向面4dから所定量後退するように構成されて、上記外リンクプレート2aとの間に、クリアランス間隔CL1より広い拡大空隙部14が形成されている。
【0036】
本実施の形態は以上の構成を有するので、前述した第1の実施形態による作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。すなわち、ブシュ7の軸方向を若干短くする設計変更のみで、強度低下を招くことなく、対向する一対の外リンクプレート2a,2b間の幅寸法の増大をより有効に抑えることができる。したがって、シールチェーン1の製造に際してブシュ7以外の部品に従来仕様のものを採用できることから、既設備の使用を可能にし、チェーン自体の大きな設計変更やコストアップ等を招くことなく、シールチェーン化を廉価に実現し得る。
【0037】
<第3の実施の形態>
次に、本発明に係る第3の実施の形態を図5に沿って説明する。本実施の形態は、図3に示した第1の実施形態に比し、剛性リング部材12が鍔状部12aと共に円筒部12bを備える点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
すなわち本実施の形態では、図5に示すように、剛性リング部材12が、ブシュ7の径方向に延びる鍔状部12aと、該鍔状部12aの外方端からOリング13を囲繞するように図の上方に向かって延びる円筒部12bと、を備えている。そして、該鍔状部12aは、ブシュ7の軸方向端面7aからその径方向外方にやや突出して、該軸方向端面7aと、内リンクプレート4a対向面4dとの両方に亘って摺接し得るように配置されている。
【0039】
また、上記円筒部12bのブシュ7の軸方向に沿った寸法(軸方向寸法)は、該ブシュ7の軸方向端面7aと外リンクプレート2aとの間の寸法(本実施形態ではつまりクリアランス間隔CL1と同等の寸法)と同じに、又はそれより若干小さく設定することが可能である。そして剛性リング部材12は、上記円筒部12bの先端(上端)が外リンクプレート2aに摺接可能に密接し得る寸法に形成された場合、該円筒部12bと上記軸方向端面7aに密接する鍔状部12aとが、ピン5とブシュ7間の潤滑剤をOリング13と協働することで、より良好なシール状態の実現が可能になる。
【0040】
本実施の形態は以上の構成を有するので、前述した第1の実施形態による作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。すなわち、シール手段のOリング13が、剛性リング部材12の鍔状部12aと円筒部12bとで充分に覆われることにより、外部から粉粒等の異物が侵入し易い過酷な環境下で用いられるコンベヤチェーン等に適用した場合であっても、ピン5とブシュ7間の摺動部に封入した潤滑剤の漏失を防止しつつ、該摺動部への異物侵入を極めて効果的に防止できる。しかもOリング13及び剛性リング部材12は、ブシュ端部7aと外リンクプレート2a,2b等との間の狭い空間内に配置される小型の部品からなるので、シール手段のブシュ7周囲への拡大化を回避し、シールチェーン全体のコンパクト化に寄与することができる。また、内リンクプレート4a,4bの対向面4dとブシュ軸方向端面7aとが整列するので、ブシュ径方向に若干大きめの剛性リング部材12や弾性シールリング13を配置することができ、これにより、潤滑剤シール効果や摺動時の耐久性をより向上し得る。
【0041】
そして、剛性リング部材12に形成した鍔状部12aと円筒部12bという極めて簡単な構成要素にてOリング13の良好な被覆構造が実現するので、一対の外リンクプレート間2a,2bの幅寸法を拡大することがない。このため、例えば2本のシールチェーン1の内側にアタッチメントを装着するような設備にあっても、アタッチメント全体の再設計・製作を不要にすることができる。更に、Oリング13の弾性力により剛性リング部材12をブシュ7の軸方向端面7aに押し付け、該剛性リング部材12と軸方向端面7aとの接触面にて摺動できるので、チェーン屈曲角度が大きくなるような場合にあっても、摩耗によるOリング13の早期損傷を回避し得る。
【0042】
<第4の実施の形態>
ついで、本発明に係る第4の実施の形態を図6に沿って説明する。本実施の形態は、図5に示した第3の実施形態に比し、剛性リング部材12及びOリング13の径方向寸法をより小さく構成すると共に、ブシュ7の軸方向端面7aを若干短くすることで形成した拡大空隙部14にシール手段を収容した点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
本実施の形態は、図6に示すように、ブシュ7の軸方向端面7aが、図4にて説明した第2の実施形態と同様、内リンクプレート4aの対向面4dから後退するように構成されて、外リンクプレート2aとの間に、クリアランス間隔CL1より広い拡大空隙部14が形成されている。また、剛性リング部材12はその鍔状部12aがブシュ7の軸方向端面7aのサイズに合うように、図5のものより径方向寸法を小さく構成され、かつOリング13も、剛性リング部材12のサイズに応じて軸方向寸法及び径方向寸法が、図5のものより小さく構成されている。
【0044】
以上の本実施形態によると、前述した第3の実施形態による作用効果に加えて、ブシュ7の軸方向を短くする設計変更のみで外リンクプレート2a,2b間の幅寸法の増大をより効果的に抑えると共に、上記ブシュ7以外の部品に従来仕様のものを採用してシールチェーン化を廉価に実現し得るという作用効果を奏する。
【0045】
<第5の実施の形態>
ついで、本発明に係る第5の実施の形態を図7に沿って説明する。本実施の形態は、図6に示した第4の実施形態に比し、拡大空隙部14をブシュ径方向に更に広げて拡大空隙部14’とし、かつ該空隙部14’に図6の例よりもやや大きめのシール手段を収容した点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
すなわち本実施の形態では、図7(a)に示すように、切欠き部4cが、内リンクプレート4aの内径側に、図6と同様に対向面4dから後退した軸方向端面7aと略々面一に整列するように形成されている。そして、該軸方向端面7aと上記切欠き部4cとによって上記拡大空隙部14よりも径方向に拡大してなる拡大空隙部14’には、前記鍔状部12aよりやや大径に形成された剛性リング部材15の鍔状部15aが、上記軸方向端面7aと上記切欠き部4cとに亘って摺接可能に配置されている。更に上記鍔状部15aの外方端からは、円筒部15bが、外リンクプレート2aと剛性リング部材15間に圧接(圧入)された弾性シールリング17を囲繞するように延びている。
【0047】
上記弾性シールリング17は、図7(b)に示すように、前述したOリング13と同じ材料を用いて断面略々X字状に形成されており、そのサイズは、拡大空隙部14’が拡大空隙部14に比して拡大された分、ブシュ7の軸方向での厚み寸法及び該ブシュ7の径方向での寸法がOリング13より大きくされている。更に弾性シールリング17は、放射状に突出するリップ17a,17b,17c,17dを有すると共に、これらリップ17aと17b間、リップ17bと17d間、リップ17dと17c間、及びリップ17cと17a間にそれぞれ凹部17f,17g,17h,17eを有している。そして、該弾性シールリング17は、リップ17a,17cを外リンクプレート2aに、リップ17b,17dを鍔状部15aにそれぞれ弾性接触させている。
【0048】
以上の本実施形態によると、前述した第3の実施形態による作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、外リンクプレート2aとブシュ軸方向端面7aとの間にシール手段を介在したコンパクトなものでありながら、内リンクプレート4aの切欠き部4cまで径方向寸法を拡大したより大きな剛性リング部材15を使用することができるので、これに伴い、多層に構成した不図示の弾性シールリングの使用、或いは複数の環状溝を形成した剛性リング部材と各環状溝にそれぞれ圧接(圧入)した複数の弾性シールリングとからなる不図示の複合シール手段の使用が可能になり、その場合、潤滑剤シール効果と共に摺動時の耐久性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したシールチェーンを示し、(a)は該チェーンの全体的な構成を示す正面図、(b)は該チェーンの一部を示す(a)の上方から見た平面図、(c)は外リンクプレートに備えた皿穴を示す図2のIc−Ic線に沿った断面図。
【図2】図1のシールチェーンを同図矢印A方向に見た状態で示す側面図。
【図3】本発明に係る第1の実施形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図。
【図4】本発明に係る第2の実施形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図。
【図5】本発明に係る第3の実施形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図。
【図6】本発明に係る第4の実施形態におけるシールチェーンの要部を示す断面図。
【図7】本発明に係る第5の実施形態におけるシールチェーンの要部を示し、(a)は該要部を全体的に示す断面図、(b)は該要部に配置したOリングの拡大断面図。
【図8】従来のシールチェーンの要部を示す断面図。
【符号の説明】
1 シールチェーン(コンベヤチェーン)
2,3 外リンク
2a,2b,3a,3b 外リンクプレート
4 内リンク
4a,4b 内リンクプレート
4d 対向面
5 ピン
7 ブシュ
7a ブシュの軸方向端面
11,12,15 シール手段、リング部材(剛性リング部材)
11a,12a,15a 鍔状部
12b,15b 円筒部
13 シール手段(弾性シールリング、Oリング)
14,14’ 拡大空隙部
17 シール手段(弾性シールリング)
Claims (6)
- 2個の外リンクプレートの両端部をピンにて連結した外リンクと、2個の内リンクプレートをブシュにて連結した内リンクとを、前記ピンを前記ブシュに遊嵌することにより交互に連結し、かつ前記ピンとブシュ間に封入される潤滑剤をシールするシール手段を備えてなるシールチェーンにおいて、
前記シール手段は、少なくとも前記ブシュの軸方向端面に接触するように配置されるリング部材と、該リング部材とそれに対向する前記外リンクプレートとの間に圧接される弾性シールリングと、を備えてなる、
ことを特徴とするシールチェーン。 - 前記リング部材は、前記ブシュの径方向に延びる鍔状部と、該鍔状部の外方端から前記弾性シールリングを囲繞するように延びる円筒部と、を備えてなる、
ことを特徴とする請求項1記載のシールチェーン。 - 前記ブシュの軸方向端面は、前記外リンクプレートに対向する前記内リンクプレートの対向面から後退して、該後退したブシュの軸方向端面と前記外リンクプレートとの間に拡大空隙部を形成し、
該拡大空隙部に、前記ブシュ軸方向端面に前記リング部材を摺接して前記シール手段を配置してなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーン。 - 前記ブシュの軸方向端面は、前記外リンクプレートに対向する前記内リンクプレートの対向面から後退すると共に、前記内リンクプレートは、前記後退したブシュの軸方向端面に整列する切欠き部を備え、
前記ブシュ軸方向端面及び前記切欠き部と前記外リンクプレートとの間に拡大空隙部を形成し、
該拡大空隙部に、前記軸方向端面と前記切欠き部とに亘って前記リング部材を摺接して前記シール手段を配置してなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーン。 - 前記外リンクプレートに対向する前記内リンクプレートの対向面と前記ブシュ軸方向端面とが整列してなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーン。 - 前記シールチェーンはコンベヤチェーンである、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のシールチェーン。
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