JP2004256122A - 炭化物包装体と炭化物生成施設 - Google Patents

炭化物包装体と炭化物生成施設 Download PDF

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Abstract

【課題】各種被処理物に含まれる有機物質を熱分解処理して有効利用できる炭化物を生成し、これを火災が起こらないように保管貯留すること。
【解決手段】各種被処理物に含まれる有機物質を熱分解処理して炭化物を生成し、脱酸素剤および/または脱酸素剤水溶液を供給し、脱気を行い袋内の酸素濃度を低減した状態で袋詰めする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種被処理物に含まれる有機物質を原料として、これを熱分解処理して炭化物を生成し有効利用する技術に関するもので、特に生成した炭化物を袋詰めする技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境への配慮から従来は廃棄されていた各種汚泥、植物由来の端材、プラスチック類等石油製品由来の高分子物質等、各種物質に含まれる有機物質を熱分解処理し炭化物を得、肥料用資材、土壌改良資材、融雪資材等として有効利用する技術が開示されている。
【0003】
通常、生成した炭化物は貯留サイロ、フレコンパック、袋詰め等の各種形態で保管貯留されている。
【0004】
なお、被処理物を炭化して得た炭化物を袋詰めする手段としては、例えば下記に開示されたものが知られている。
【0005】
廃木材を加熱処理することにより生成され排出コンベアから排出された炭化物は、ロータリーバルブを経て、製品コンベアで製品タンクに貯留される。製品タンクの下方には、計量機、袋詰め機及びシール機が配置されており、製品タンクから落下する炭化物が計量機で所定量ずつ計量されて、袋詰め機内に待機している袋に投入され、シール機で当該袋を封止することにより、所定量ずつ袋詰めされた炭化物が得られる。(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−12875号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の熱分解処理加工により得た炭化物を各種形態(例えば袋詰等)により貯留保管する場合において、その炭化物の自然発火により火災に至る問題が生じている。このように炭化物が自然発火する現象の原因については、明確には解明されていないが、例えば炭化物中で化合物として残存する水素、酸素等の成分や可燃性成分(有機物等)による化学反応等(例えば、水素、酸素の酸化反応)を起因とした現象、炭化物に含有(残存)するAl、Fe、Ca等の成分による化学反応等(例えば、各種被処理物由来の炭化物に含まれる各種金属が触媒として機能した酸化反応)を起因とした現象、が作用しているものと考えられる。
【0008】
一般に熱分解処理温度が高い場合には、生成する炭化物中の化合物として存在する酸素、水素等、及び可燃性物質(有機物等)の含有量は減少するが、熱分解処理温度のが低い場合には前記酸素、水素等及び可燃性物質(有機物等)の成分の残存量は多くなる。
【0009】
従って熱分解処理温度を高く設定(例えば800〜1000℃)すれば発火現象を惹起しない炭化物を得やすいが、炭化物生成のエネルギーコストが増加し、また熱分解処理中に炭化物が燃焼する現象が生じてしまう等、安定して炭化物を得ることが困難となる。
【0010】
また高温処理には施設を耐高温使用にする必要があり、施設が高額なものになってしまう。さらには維持管理費も高額になってしまう。
【0011】
一方、熱分解処理温度を500〜700℃程度に設定すると、低コストで且つ安定して炭化物を得ることができるが、生成する炭化物中に可燃性成分が残存しやすく、発火現象を惹起しやすいとされる炭化物が生成する傾向にある。この問題は熱分解処理時間を長く設定することで回避できるがエネルギーコスト、施設コスト、維持管理コストが増加してしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的は、各種被処理物に含まれる有機物質を熱分解処理して有効利用できる炭化物を生成し、これを発火が起こらないように保管貯留できる炭化物包装体と炭化物生成施設を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1に記載の炭化物包装体は、炭化物と脱酸素剤とを袋内に充填して袋内を脱気して袋詰してなることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の炭化物包装体は、炭化物を脱気し脱酸素剤を含む水溶液を含浸して袋詰してなることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の炭化物包装体は、炭化物を脱気し脱酸素剤を添加し脱酸素剤を含む水溶液を含浸して袋詰してなることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の炭化物包装体は、請求項1〜3いずれか1つに記載の炭化物包装袋において炭化物は有機性物質を炭化して得たものであることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の炭化物包装体は、請求項4に記載の炭化物包装体において有機性物質は、汚泥由来(下水汚泥、し尿汚泥、生産活動に伴い発生する各種産業廃棄物等)のものであることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の炭化物包装体は、請求項4に記載の炭化物包装体において有機性物質は、植物由来(廃木材、間伐材、剪定材、茶、コーヒー粕、各種しぼり粕等)のものであることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の炭化物包装体は、請求項4に記載の炭化物包装体において有機性物質は、高分子化合物由来(プラスチック、樹脂、ゴム等)のものであることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の炭化物包装体は、請求項1〜7いずれか1つに記載の炭化物包装体において、炭化物は有機性物質を間接加熱によって熱分解処理加工して得た物質であることを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の炭化物包装体は、請求項1〜8いずれか1つに記載の炭化物包装体において脱酸素剤は、還元作用を起こす有機化合物であることを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の炭化物包装体は、請求項9に記載の炭化物包装体において前記有機化合物は、アスコルビン酸、ビタミンE、ビタミンBで構成されるグループから選択したものを含んでなるものであることを特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の炭化物包装体生成施設は、被処理物を熱分解処理加工して炭化物を得る熱分解処理手段と、前記炭化物を計量して袋詰めする計量袋詰め手段と、前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を添加する脱酸素剤添加手段と、前記袋内を脱気する脱気手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の炭化物包装体生成施設は、被処理物を熱分解処理加工して炭化物を得る熱分解処理手段と、前記炭化物を計量して袋詰めする計量袋詰め手段と、前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を注入する脱酸素剤水溶液注入手段と、前記袋内を脱気する脱気手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項13に記載の炭化物包装体生成施設は、被処理物を熱分解処理加工して炭化物を得る熱分解処理手段と、前記炭化物を計量して袋詰めする計量袋詰手段と、前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を添加する脱酸素剤添加手段と、前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を注入する脱酸素剤水溶液注入手段と、前記袋内を脱気する脱気手段とを備えたことを特徴とする。
【0026】
なお、炭化物ではないが粉粒体を脱気して袋詰めする技術として、例えば特開平7−187144号公報、特開平8−231051号公報、特開平10−101098号公報、特開2000−6902号公報等が開示されている。
【0027】
上記の技術としては、粉体の包装に熱融着可能な材料で形成した包装袋を用いる技術、粉体の粒子径よりも小さな通気路を持つフィルターを備えた脱気用ノズルを包装袋内に挿入し脱気する技術、脱気用ノズルを包装体に挿入したまま包装袋の開口部を一対の弾性挟持体にて挟持し、包装袋内の空気をフィルター、ノズルを通して袋外に排出したのち、フィルターを包装袋に残したままノズルのみを包装袋から抜き出す技術、脱気された包装袋の開口部のうち弾性挟持体による挟持位置よりも袋底部側に偏位した部位を一対の押圧体にて挟持し、その挟持された包装袋の開口部をヒータで加熱し、包装袋の開口部をフィルターとともに熱溶着する技術、スクリューフィーダ式粉体充填装置を用い充填装置の運転と同時に脱気を開始する技術、スクリューフィーダ式粉体充填装置が、ケーシングの一端上部に設けられた粉体投入口を有するホッパーと、下方に粉体排出口を有し、その円筒内周面の少なくとも一部を構成するように脱気機構が組み込まれたケーシングと、このケーシング内に組み込まれたスクリューと、脱気機構を減圧吸引する吸引装置を有するたて型の粉体充填装置であるものを用いる技術、脱気機構が多孔質焼結体円筒である技術、脱気機構の少なくとも一方の面が粗面化されたリング状フィルタエレメントを用いて接触面の少なくとも一方の面が粗面化された面となるようにフィルタエレメントを積層してなる円筒状フィルタユニットを用いる技術、熱可塑性合成樹脂薄材から形成される袋本体の上端部又は下端部における袋本体の幅方向に沿ったシール部の下方又は上方において前後壁どうしが熱融着されて、熱融着部と前記シール部との間に非収納部が形成され、前記熱融着が少なくとも1ないし複数箇所の未融着部を残して断続的に行われて、袋本体内から前記非収納部に連通する空気抜き用連通部が形成される一方、前記非収納部壁面に空気抜き部が設けられてなる粒状物用熱可塑性合成樹脂薄材製包装用袋を用いる技術、充填物を排出部から下方に排出する手段と、袋の底部を下方から支持する手段と、排出手段、支持手段のいずれか一方または双方を上下に移動させる上下動機構を備えた装置を用いる技術、充填前に袋の底部と受入口部との間の距離を所定の最大値まで増加させ袋を一旦膨らませる技術、等がある。
【0028】
本発明では上記技術を、または上記技術を適宜組み合わせた技術を用いてもよい。
【0029】
また、脱酸素剤に関する技術として、特公58−29069号公報、特表2001−503712号公報、特開平11−207177号公報、特開平5−269376号公報、特開平5−7772号公報、特開平5−7773号公報、特開昭55−61914号公報、特開昭54−98348号公報、特開昭52−10884号公報、特開昭51−136845号公報、特開2001−314756号公報、特開2002−20746号公報、特開2001−203712号公報等が開示されている。
【0030】
例えば、脱酸素剤成分としてアスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸、D−iso−アスコルビン酸)を用いる技術、脱酸素剤成分としてアスコルビン酸塩(例えば、L−アスコルビン酸のナトリウム塩、D−iso−アスコルビン酸のナトリウム塩)を用いる技術、脱酸素剤成分として無機アルカリ性物質(例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等)を用いる技術、脱酸素剤成分として第一塩化鉄を用いる技術、脱酸素剤成分として分散剤(例えば、活性炭、結晶セルロース、二酸化ケイ素等)を用いる技術、脱酸素剤成分として潮解性物質を用いる技術、脱酸素剤成分として結合材を用いる技術、脱酸素剤成分として水を用いる技術、脱酸素剤成分として無機フィラー(鉄分を除去したものを用いてもよい)を用いる技術、脱酸素剤成分として酒石酸塩を用いる技術、脱酸素剤成分として活性炭(例えば原料が木材、石炭であるもの)を用いる技術、脱酸素剤成分として鉄粉を用いる技術、脱酸素剤成分として水溶性の結着剤を用いる技術、脱酸素剤成分としてゼオライトを用いる技術、脱酸素剤の表面をプラスチック樹脂で覆う技術、脱酸素剤を非通気性でヒートシール性を有する包材で覆う技術、脱酸素剤成分としてゼオライト担体にマグネシウムを担持させ還元剤により活性化処理し、炭酸ガスにより安定化したものを用いる技術、炭化物を詰める袋に脱酸素剤が組み込まれている技術、脱酸素剤成分としてがL−アスコルビン酸と硫酸第一鉄とアルカリ性物質からなりpHが7以上である水溶液を用いる技術、脱酸素剤の成分として酸化剤的作用をもつ銅化合物を用いる技術等が開示されている。
【0031】
本発明には上記の技術、または上記の技術を適宜組み合わせたものを用いることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は脱酸素剤添加手段を備えた熱分解処理手段を示す概略図である。
【0033】
図1において、乾燥炉1は、回転キルン方式を採用し、回転自在の回転炉11と、回転炉11の外周にガスダクトを形成し、熱風ガスを導入して回転炉11を外部から加熱する外部加熱手段としての加熱ジャケット12と、回転炉11を両端側で回転自在に支承する複数の支持ローラ110と、回転炉11を回転駆動する回転駆動源111と、を具備する。尚、熱風ガスは、熱風炉24から導入している。
【0034】
回転炉11は、その一端側に原料を搬入する供給口を、また他端側に排出口を設け、回転体11内部には搬送物を攪拌搬送するための送り羽根が複数枚具備する。そして、ダクト10から供給された原料を、供給口側から回転炉11に導入し、回転炉11の回転によって、原料を撹拌しながらの排出口側への移送を可能とさせている。また、ダクト10には、原料を投入するホッパー設備101が設けられる。
【0035】
炭化炉2は、乾燥炉1にて乾燥処理した原料を熱分解処理する手段で、回転キルン方式を採用し、乾燥炉1と同様の構成をなし、回転炉21と加熱ジャケット22とダクト23とを備える。
【0036】
乾燥炉1と炭化炉2は、図示されたように、炭化炉2の供給口が乾燥炉1の排出口と連絡するように配置される。このとき、乾燥炉1の排出口と炭化炉2の供給口には、これら排出口と供給口を覆って連通する連絡ダクト20が設けられる。連絡ダクト20には、乾燥炉1及び炭化炉2内で発生したガスをガス燃焼炉6に移送するための経路が接続されている。また、連絡ダクト20内には、乾燥した原料を炭化炉2に誘導するためのガイド201が設けられている。
【0037】
熱風炉24は、熱風ガスを供給するための手段で、熱風ガスを発生させるための燃焼バーナーを備えている。熱風ガスは、循環ブロア13によって炭化炉2の加熱ジャケット22に供され、回転炉21を加熱した後に、乾燥炉1の加熱ジャケット12内に供給され、回転炉11を加熱する。加熱ジャケット12から排出された熱風ガスは排気されるが、一部のガスはエゼクタブロア14によってガス燃焼炉6におけるエゼクタ駆動ガスとして利用に供される。
【0038】
また、熱風ガスは、温度調整用の空気が注入され、ガス温度が適宜調整される。例えば、原料が脱水汚泥である場合、原料は乾燥炉1において例えば例えば350℃で間接加熱され、次いで炭化炉2において例えば650℃で間接加熱される。このようにして、乾燥炉1内に導入された原料は乾燥処理される。また、炭化炉2内に導入された原料は熱分解処理されて炭化物となる。
【0039】
ガス燃焼炉6は、乾燥炉1で発生した水蒸気及び熱分解炉2で発生した熱分解ガスを、一定の雰囲気及び滞留時間のもとで(例えば、800℃以上の雰囲気、より具体的には、例えば約850℃の雰囲気で2秒以上の滞留時間)燃焼し、無害化処理する。このとき、いずれの被処理ガスにも、系外から燃焼補助のために空気が適宜導入される。
【0040】
ガス燃焼炉6は、導入したガスを燃焼するガス燃焼室を備える。ガス燃焼室においては、水蒸気及び熱分解ガスを、エゼクタ60を介して導入し、燃焼バーナーによって混合燃焼する。このとき、熱分解ガスが充分発生している場合には、燃焼バーナーによる燃焼は、燃料の供給を絞ることにより適宜制限される。
【0041】
ガス燃焼炉6にて燃焼処理したガスは、空気を冷却媒体とする気体−気体熱交換方式の熱交換器7によって200〜150℃程度までに冷却処理される。このとき、被冷却ガスには新鮮な空気が適宜供給され、ガス温度が適切に調整される。そして、冷却されたガスは、バグフィルタ71に供した後、ブロア72によって煙突73から大気に開放している。尚、本実施形態においては、熱交換器7にて加熱された空気は、熱風炉24での熱風ガスの生成や乾燥炉1の加熱ジャケット12に供される熱風ガスとしての利用に供している。
【0042】
炭化炉2で得た炭化物は、ダクト23から炭化物冷却手段8へ送られ空気や水等の冷媒を用いて冷却される。
【0043】
冷却された炭化物は分級手段87と脱酸素剤添加手段88とを具備する計量袋詰め装置81に送られる。分級手段87は得られた炭化物を一定の基準(粒子径の大きさ等)により分ける装置である。
【0044】
袋詰め装置81に送られた炭化物は分級手段87によって分級され、袋A、Bに一定量充填される。この時炭化物の重量は図示省略の計量器により測定する。なお、袋はA、Bの2種類のみに限定されず分級手段の分級基準によって分ける袋の数を増やすこともでき、または分級せずに袋に充填することもできる。袋詰めに使用する袋は後述のシーラにより融着されるものを用いる。
【0045】
そして脱酸素剤成分供給手段88により袋に一定量の脱酸素剤および/または一定量の脱酸素剤水溶液を供給する。この時、脱酸素剤および/または脱酸素剤水溶液の重量は図示省略の計量器により測定する。脱酸素剤の成分としては、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸、D−iso−アスコルビン酸)、アスコルビン酸塩(例えば、L−アスコルビン酸のナトリウム塩、D−iso−アスコルビン酸のナトリウム塩)、無機アルカリ性物質(例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等)、第一塩化鉄、分散剤(例えば、活性炭、結晶セルロース、二酸化ケイ素等)、潮解性物質等を用いることができる。脱酸素剤水溶液の成分にはアスコルビン酸水溶液、ビタミンE、ビタミンB、無機アルカリ性物質(例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等)、第一塩化鉄等を用いることができる。
【0046】
また袋に炭化物と脱酸素剤および/または脱酸素剤水溶液とを供給する順序は任意に決定することができ、また同時に供給することができる。
【0047】
炭化物と脱酸素剤および/または脱酸素剤水溶液とを充填した袋は脱気装置89により脱気し、密閉する。
【0048】
図2〜図4を用いて脱気、袋詰め手段について説明するに当たり、シーラA〜Cの構造について述べる。シーラAは長方形状の棒体でありシーラBはシーラAと同じく長方形状の棒体で、かつ一方の面には半円形状の凹部85が形成されている。なお、シーラCはシーラBを外して袋を融着させる時に使用するブロック体である。なお、図2a、bは炭化物の袋詰めを示す概略図、図2cは脱気管を挿入時の上方視概略図である。図3はシーラBの取り外し、シーラCの取り付けを示す概略図である。図4は袋の融着密閉を示す要部拡大図である。
【0049】
図2aにおいて、前述の通り袋82に炭化物と脱酸素剤および/または脱酸素剤水溶液とを一定量充填する。
【0050】
その後、図2bに示すように、一端が吸引ポンプ84に接続された脱気管83を袋82に挿入し一対のシーラA、シーラBにより袋82の開口部を加熱融着し密閉する。この時に図2cに示すように脱気管82がシーラBの凹部85の位置にあるようにしておくことにより、袋82の開口部は脱気管83とともに密閉される。その後、吸引ポンプ84により袋82内の気体を吸引し袋82内を減圧する。なお、シーラは例えば加熱手段で袋82を融着させる装置である。
【0051】
脱気後、図3に示すように、脱気管83の下部に脱気孔86が形成される位置まで脱気管83を引き上げる。その後シーラBを取り外す。
【0052】
そして図4aに示すように、脱気管83の下部に形成された脱気孔86の位置にシーラCを装着し、図4bに示すように脱気孔86をシーラA、シーラCにより密閉、融着する。これにより袋82の開口部が密閉されるので脱気管83、シーラA、シーラCを取り外して炭化物と脱酸素剤および/または脱酸素剤水溶液の脱気袋詰めが完了する。
【0053】
上記のようにして炭化物と脱酸素剤および/または脱酸素剤水溶液とを袋詰めしたことで、炭化物が可燃性物質(有機物等)、金属成分等を含有していても袋内においてこれらが発火を起こすことはなく、安全に且つ安定に炭化物を保管貯留することができる。従って、乾留処理加工温度は高温(例えば800〜1000℃)ではなく、低い温度(例えば500〜700℃)で行うことができるから、処理エネルギーコストを低減できる。しかも、加工処理施設の耐久性を維持でき、処理施設を耐高温使用にする必要がないので処理施設を安価に構築できる。
【0054】
よって安価で安全な袋詰め炭化物が得られることから、従来は廃棄されていた物質を炭化物として資源再利用のために安価に提供できる。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0056】
袋内を脱気したことから袋内の酸素濃度は低減しており、また脱酸素剤の存在により袋内の酸素濃度は低減しているので、袋内において自然発火を起こすことはなく、安全に且つ安定に炭化物を保管貯留することができる。
【0057】
脱気したことで袋のかさを小さくでき、保管スペースが縮小できるメリットがある。
【0058】
従来は廃棄される汚泥を炭化物として安全に且つ安定に有効利用できる。
【0059】
従来は廃棄される植物由来の物質を炭化物として安全に且つ安定に有効利用できる。
【0060】
従来は廃棄される高分子由来の物質を炭化物として安全に且つ安定に有効利用できる。
【0061】
乾留処理加工温度は高温ではなく、低い温度で行うことができるから、処理エネルギーコストを低減できる。しかも、加工処理施設の耐久性を維持でき、処理施設を耐高温使用にする必要がないので処理施設を安価に構築できる。
【0062】
よって安価に安全に且つ安定に保管貯留することができる炭化物包装体を生成でき、従来は廃棄されていた物質を炭化物として資源再利用のために安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱酸素剤添加手段を備えた熱分解処理手段を示す概略図。
【図2】炭化物の脱気、袋詰めを示す概略図。
【図3】シーラBの取り外し、シーラCの取り付けを示す概略図。
【図4】炭化物の脱気、袋詰めを示す密閉部分の要部拡大図。
【符号の説明】
1…乾燥炉、11…回転炉、12…加熱ジャケット
2…炭化炉、21…回転炉、22…加熱ジャケット、24…熱風炉
6…ガス燃焼炉
7…熱交換器、71…バグフィルタ、72…ブロア、73…煙突
8…炭化物冷却手段、81…計量袋詰め装置、82…袋、83…脱気管、
84…ポンプ、85…凹部、86…脱気孔87…分級手段、
88…脱酸素剤添加手段、89…脱気装置

Claims (13)

  1. 炭化物と脱酸素剤とを袋内に充填して、袋内を脱気して袋詰してなることを特徴とする炭化物包装体。
  2. 炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を含浸し脱気して袋詰してなることを特徴とする炭化物包装体。
  3. 炭化物に脱酸素剤を添加し脱酸素剤を含む水溶液を含浸し脱気して袋詰してなることを特徴とする炭化物包装体。
  4. 炭化物は、有機性物質を炭化して得たものであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の炭化物包装体。
  5. 有機性物質は、汚泥由来のものであることを特徴とする請求項4に記載の炭化物包装体。
  6. 有機性物質は、植物由来のものであることを特徴とする請求項4に記載の炭化物包装体。
  7. 有機性物質は、高分子化合物由来のものであることを特徴とする請求項4に記載の炭化物包装体。
  8. 炭化物は、有機性物質を間接加熱によって熱分解処理加工して得た物質であることを特徴とする請求項1〜7いずれか1つに記載の炭化物包装体。
  9. 脱酸素剤は、還元作用を起こす有機化合物であることを特徴とする請求項1〜8いずれか1つに記載の炭化物包装体。
  10. 前記有機化合物は、アスコルビン酸、ビタミンE、ビタミンBで構成されるグループから選択したものを含んでなるものであることを特徴とする請求項9に記載の炭化物包装体。
  11. 被処理物を熱分解処理加工して炭化物を得る熱分解処理手段と、
    前記炭化物を計量して袋詰めする計量袋詰め手段と、
    前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を添加する脱酸素剤添加手段と、
    前記袋内を脱気する脱気手段とを備えたことを特徴とする炭化物包装体生成施設。
  12. 被処理物を熱分解処理加工して炭化物を得る熱分解処理手段と、
    前記炭化物を計量して袋詰めする計量袋詰め手段と、
    前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を注入する脱酸素剤水溶液注入手段と、
    前記袋内を脱気する脱気手段とを備えたことを特徴とする炭化物包装体生成施設。
  13. 被処理物を熱分解処理加工して炭化物を得る熱分解処理手段と、
    前記炭化物を計量して袋詰めする計量袋詰手段と、
    前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を添加する脱酸素剤添加手段と、
    前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を注入する脱酸素剤水溶液注入手段と、
    前記袋内を脱気する脱気手段とを備えたことを特徴とする炭化物包装体生成施設。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007246245A (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Ngk Insulators Ltd 粉粒体貯留方法および粉粒体貯留装置

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