JP2004256610A - 炭化物包装体と炭化物包装体生成施設 - Google Patents

炭化物包装体と炭化物包装体生成施設 Download PDF

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佳行 柏木
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Abstract

【課題】各種被処理物に含まれる有機物質を熱分解処理して有効利用できる炭化物を生成し、これを自然発火が起こらないように保管貯留すること。
【解決手段】各種被処理物に含まれる有機物質を熱分解処理して炭化物を生成し、袋詰め装置81、脱酸素剤水溶液注入手段83により、脱酸素剤水溶液と共に炭化物を袋詰めする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種被処理物に含まれる有機物質を原料として、これを熱分解処理して炭化物を生成し有効利用する技術に関するもので、特に生成した炭化物を脱酸素剤を含む水溶液を含浸して袋詰めする技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境への配慮から従来は廃棄されていた各種汚泥、植物由来の端材、プラスチック類等石油製品由来の高分子物質等、各種物質に含まれる有機物質を熱分解処理し炭化物を得、肥料用資材、土壌改良資材、融雪資材等として有効利用する技術が開示されている。
【0003】
通常、生成した炭化物は貯留サイロ、フレコンパック、袋詰め等の各種形態で保管貯留されている。
【0004】
なお、被処理物を炭化して得た炭化物を袋詰めする手段としては、例えば下記に開示されたものが知られている。
【0005】
廃木材を加熱処理することにより生成され排出コンベアから排出された炭化物は、ロータリーバルブを経て、製品コンベアで製品タンクに貯留される。製品タンクの下方には、計量機、袋詰め機及びシール機が配置されており、製品タンクから落下する炭化物が計量機で所定量ずつ計量されて、袋詰め機内に待機している袋に投入され、シール機で当該袋を封止することにより、所定量ずつ袋詰めされた炭化物が得られる。(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−12875号公報(第4項、図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の熱分解処理加工により得た炭化物を各種形態(例えば袋詰等)により貯留保管する場合において、その炭化物の自然発火により火災に至る問題が生じている。このように炭化物が自然発火する現象の原因については、明確には解明されていないが、例えば炭化物中で化合物として残存する水素、酸素等の成分や可燃性成分(有機物等)による化学反応等(例えば、水素、酸素の酸化反応)を起因とした現象、炭化物に含有(残存)するAl、Fe、Ca等の成分による化学反応等(例えば、各種被処理物由来の炭化物に含まれる各種金属が触媒として機能した酸化反応)を起因とした現象、が作用しているものと考えられる。
【0008】
一般に熱分解処理温度が高い場合には、生成する炭化物中の化合物として存在する酸素、水素等、及び可燃性物質(有機物等)の含有量は減少するが、熱分解処理温度のが低い場合には前記酸素、水素等及び可燃性物質(有機物等)の成分の残存量は多くなる。
【0009】
従って熱分解処理温度を高く設定(例えば800〜1000℃)すれば発火現象を惹起しない炭化物を得やすいが、炭化物生成のエネルギーコストが増加し、また熱分解処理中に炭化物が燃焼する現象が生じてしまう等、安定して炭化物を得ることが困難となる。
【0010】
また高温処理には施設を耐高温使用にする必要があり、施設が高額なものになってしまう。さらには維持管理費も高額になってしまう。
【0011】
一方、熱分解処理温度を500〜700℃程度に設定すると、低コストで且つ安定して炭化物を得ることができるが、生成する炭化物中に可燃性成分が残存しやすく、発火現象を惹起しやすいとされる炭化物が生成する傾向にある。この問題は熱分解処理時間を長く設定することで回避できるがエネルギーコスト、施設コスト、維持管理コストが増加してしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的は、各種被処理物に含まれる有機物質を熱分解処理して有効利用できる炭化物を生成し、これを発火が起こらないように保管貯留できる炭化物包装体と炭化物生成施設を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、生成炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を含浸することで、炭化物の酸化現象を抑制している。本発明の特徴を以下に示す。
【0014】
請求項1記載の発明は、酸素を含有する炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を含浸して袋詰してなることを特徴とする炭化物包装体である。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の炭化物包装体において、脱酸素剤は、還元作用を起こす有機化合物であることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の炭化物包装体において、前記有機化合物は、アスコルビン酸、ビタミンE、ビタミンBで構成されるグループから選択したものを含んでなるものであることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の炭化物包装体において、炭化物は、有機性物質を炭化して得たものであることを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の炭化物包装体において、炭化物は、有機性物質を間接加熱によって熱分解処理加工して得た物質であることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の炭化物包装体において、有機性物質は、汚泥由来(下水汚泥、し尿汚泥、生産活動に伴い発生する各種産業汚泥等)のものであることを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明は、有機性物質は、請求項4または5記載の炭化物包装体において、植物由来(廃木材、間伐材、剪定材、茶、コーヒー粕、各種しぼりかす等)のものであることを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項4または5記載の炭化物包装体において有機性物質は、高分子化合物由来(プラスチック、樹脂、ゴム等)のものであることを特徴とする、。
【0022】
請求項9記載の発明は、被処理物を熱分解処理加工して炭化物を得る熱分解処理手段と、炭化物を計量して袋詰し炭化物包装体を得る計量袋詰手段と、前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を注入する脱酸素剤注入手段とを備えたことを特徴とする炭化物包装体生成施設である。
【0023】
なお、脱酸素剤に関する技術として、特公58−29069号公報、特表2001−503712号公報、特開平11−207177号公報、特開平5−269376号公報、特開平5−7772号公報、特開平5−7773号公報、特開昭55−61914号公報、特開昭54−98348号公報、特開昭52−10884号公報、特開昭51−136845号公報等が開示されている。
【0024】
例えば、脱酸素剤成分としてアスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸、D−iso−アスコルビン酸)を用いる技術、脱酸素剤成分としてアスコルビン酸塩(例えば、L−アスコルビン酸のナトリウム塩、D−iso−アスコルビン酸のナトリウム塩)を用いる技術、脱酸素剤成分として無機アルカリ性物質(例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等)を用いる技術、脱酸素剤成分として第一塩化鉄を用いる技術、脱酸素剤成分として分散剤(例えば、活性炭、結晶セルロース、二酸化ケイ素等)を用いる技術、脱酸素剤成分として潮解性物質を用いる技術、脱酸素剤成分として結合材を用いる技術、脱酸素剤成分として水を用いる技術、脱酸素剤成分として無機フィラー(鉄分を除去したものを用いてもよい)を用いる技術、脱酸素剤成分として酒石酸塩を用いる技術、脱酸素剤成分として活性炭(例えば原料が木材、石炭であるもの)を用いる技術、脱酸素剤成分として鉄粉を用いる技術、脱酸素剤成分として水溶性の結着剤を用いる技術、脱酸素剤成分としてゼオライトを用いる技術、脱酸素剤の表面をプラスチック樹脂で覆う技術、脱酸素剤を非通気性でヒートシール性を有する包材で覆う技術、脱酸素剤成分としてゼオライト担体にマグネシウムを担持させ還元剤により活性化処理し、炭酸ガスにより安定化したものを用いる技術、炭化物を詰める袋に脱酸素剤が組み込まれている技術、脱酸素剤成分としてがL−アスコルビン酸と硫酸第一鉄とアルカリ性物質からなりpHが7以上である水溶液を用いる技術、脱酸素剤の成分として酸化剤的作用をもつ銅化合物を用いる技術等が開示されている。
【0025】
本発明には上記の技術、または上記の技術を適宜組み合わせたものを用いることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は脱酸素剤添加手段を備えた熱分解処理手段を示す概略図である。
【0027】
図1において、乾燥炉1は、回転キルン方式を採用し、回転自在の回転炉11と、回転炉11の外周にガスダクトを形成し、熱風ガスを導入して回転炉11を外部から加熱する外部加熱手段としての加熱ジャケット12と、回転炉11を両端側で回転自在に支承する複数の支持ローラ110と、回転炉11を回転駆動する回転駆動源111と、を具備する。尚、熱風ガスは、熱風炉24から導入している。
【0028】
回転炉11は、その一端側に原料を搬入する供給口を、また他端側に排出口を設け、回転体11内部には搬送物を攪拌搬送するための送り羽根が複数枚具備する。そして、ダクト10から供給された原料を、供給口側から回転炉11に導入し、回転炉11の回転によって、原料を撹拌しながらの排出口側への移送を可能とさせている。また、ダクト10には、原料を投入するホッパー設備101が設けられる。
【0029】
炭化炉2は、乾燥炉1にて乾燥処理した原料を熱分解処理する手段で、回転キルン方式を採用し、乾燥炉1と同様の構成をなし、回転炉21と加熱ジャケット22とダクト23とを備える。
【0030】
乾燥炉1と炭化炉2は、図示されたように、炭化炉2の供給口が乾燥炉1の排出口と連絡するように配置される。このとき、乾燥炉1の排出口と炭化炉2の供給口には、これら排出口と供給口を覆って連通する連絡ダクト20が設けられる。連絡ダクト20には、乾燥炉1及び炭化炉2内で発生したガスをガス燃焼炉6に移送するための経路が接続されている。また、連絡ダクト20内には、乾燥した原料を炭化炉2に誘導するためのガイド201が設けられている。
【0031】
熱風炉24は、熱風ガスを供給するための手段で、熱風ガスを発生させるための燃焼バーナーを備えている。熱風ガスは、循環ブロア13によって炭化炉2の加熱ジャケット22に供され、回転炉21を加熱した後に、乾燥炉1の加熱ジャケット12内に供給され、回転炉11を加熱する。加熱ジャケット12から排出された熱風ガスは排気されるが、一部のガスはエゼクタブロア14によってガス燃焼炉6におけるエゼクタ駆動ガスとして利用に供される。
【0032】
また、熱風ガスは、温度調整用の空気が注入され、ガス温度が適宜調整される。例えば、原料が脱水汚泥である場合、原料は乾燥炉1において例えば例えば350℃で間接加熱され、次いで炭化炉2において例えば650℃で間接加熱される。このようにして、乾燥炉1内に導入された原料は乾燥処理される。また、炭化炉2内に導入された原料は熱分解処理されて炭化物となる。
【0033】
ガス燃焼炉6は、乾燥炉1で発生した水蒸気及び熱分解炉2で発生した熱分解ガスを、一定の雰囲気及び滞留時間のもとで(例えば、800℃以上の雰囲気、より具体的には、例えば約850℃の雰囲気で2秒以上の滞留時間)燃焼し、無害化処理する。このとき、いずれの被処理ガスにも、系外から燃焼補助のために空気が適宜導入される。
【0034】
ガス燃焼炉6は、導入したガスを燃焼するガス燃焼室を備える。ガス燃焼室においては、水蒸気及び熱分解ガスを、エゼクタ60を介して導入し、燃焼バーナーによって混合燃焼する。このとき、熱分解ガスが充分発生している場合には、燃焼バーナーによる燃焼は、燃料の供給を絞ることにより適宜制限される。
【0035】
ガス燃焼炉6にて燃焼処理したガスは、空気を冷却媒体とする気体−気体熱交換方式の熱交換器7によって200〜150℃程度までに冷却処理される。このとき、被冷却ガスには新鮮な空気が適宜供給され、ガス温度が適切に調整される。そして、冷却されたガスは、バグフィルタ71に供した後、ブロア72によって煙突73から大気に開放している。尚、本実施形態においては、熱交換器7にて加熱された空気は、熱風炉24での熱風ガスの生成や乾燥炉1の加熱ジャケット12に供される熱風ガスとしての利用に供している。
【0036】
炭化炉2で得た炭化物は、ダクト23から炭化物冷却手段8へ送られ空気や水等の冷媒を用いて冷却される。
【0037】
冷却された炭化物は分級手段82と脱酸素剤水溶液添加手段83とを具備する計量袋詰め装置81に送らる。分級手段87は得られた炭化物を一定の基準(粒子径の大きさ等)により分ける装置である。
【0038】
袋詰め装置81に送られた炭化物は分級手段87によって分級され、袋A、Bに一定量充填される。この時炭化物の重量は図示省略の計量器により測定する。なお、袋はA、Bの2種類のみに限定されず分級手段の分級基準によって分ける袋数を増やすこともでき、または分級せずに袋に充填することもできる。
【0039】
そして脱酸素剤水溶液注入手段83により袋に一定量(炭化物の重量に対して5〜15重量%)の脱酸素剤水溶液を注入し、炭化物に含浸する。この時脱酸素剤水溶液の重量は図示省略の計量器により測定する。脱酸素剤水溶液の主成分にはアスコルビン酸水溶液(アスコルビン酸が10〜30重量%)を用いる。その他の脱酸素剤水溶液の成分として、ビタミンE、ビタミンB、無機アルカリ性物質(例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等)、第一塩化鉄等を用いることができる。
【0040】
炭化物と脱酸素剤水溶液とを充填した袋は特許文献1に開示の技術等により密閉してもよい。密閉する場合はシール機等の密閉手段により融着できる素材の袋を選択する。また袋に炭化物を充填する作業は、炭化物に脱酸素剤水溶液を噴霧等により含浸させて充填するのが好ましい。
【0041】
上記のようにして炭化物と共に脱酸素剤水溶液を含浸して袋詰めしたことで、炭化物が可燃性物質、金属成分等を含有していても袋内においてこれらが自然発火を起こすことはなく、安全に且つ安定に炭化物を保管貯留することができる。従って、乾留処理加工温度は高温(例えば800〜1000℃)ではなく、低い温度(例えば500〜700℃)で行うことができるから、処理エネルギーコストを低減できる。しかも、加工処理施設の耐久性を維持でき、処理施設を耐高温使用にする必要がないので処理施設を安価に構築できる。
【0042】
よって安価で安全な袋詰め炭化物が得られることから、従来は廃棄されていた物質を炭化物として資源再利用のために安価に提供できる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0044】
炭化物がその孔内に吸着している脱酸素剤の効果により袋内の酸素濃度は低減しているので、袋内において自然発火を起こすことはなく、安全に且つ安定に炭化物を保管貯留することができる。
【0045】
従来は廃棄される汚泥を炭化物として安全に且つ安定に有効利用できる。
【0046】
従来は廃棄される植物由来の物質を炭化物として安全に且つ安定に有効利用できる。
【0047】
従来は廃棄される高分子由来の物質を炭化物として安全に且つ安定に有効利用できる。
【0048】
乾留処理加工温度は高温ではなく、低い温度で行うことができるから、処理エネルギーコストを低減できる。しかも、加工処理施設の耐久性を維持でき、処理施設を耐高温使用にする必要がないので処理施設を安価に構築できる。
【0049】
よって安価に安全に且つ安定に保管貯留することができる炭化物包装体を生成でき、従来は廃棄されていた物質を炭化物として資源再利用のために安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱酸素剤水溶液注入手段を備えた熱分解処理手段を示す概略図。
【符号の説明】
1…乾燥炉、11…回転炉、12…加熱ジャケット
2…炭化炉、21…回転炉、22…加熱ジャケット、24…熱風炉
6…ガス燃焼炉
7…熱交換器、71…バグフィルタ、72…ブロア、73…煙突
8…炭化物冷却手段、81…計量袋詰め装置、82…分級手段、
83…脱酸素剤水溶液注入手段

Claims (9)

  1. 炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を含浸して袋詰してなることを特徴とする炭化物包装体。
  2. 脱酸素剤は、還元作用を起こす有機化合物であることを特徴とする請求項1記載の炭化物包装体。
  3. 前記有機化合物は、アスコルビン酸、ビタミンE、ビタミンBで構成されるグループから選択したものを含んでなるものであることを特徴とする請求項2記載の炭化物包装体。
  4. 炭化物は、有機性物質を炭化して得たものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の炭化物包装体。
  5. 炭化物は、有機性物質を間接加熱によって熱分解処理加工して得た物質であることを特徴とする請求項4記載の炭化物包装体。
  6. 有機性物質は、汚泥由来のものであることを特徴とする請求項4または5記載の炭化物包装体。
  7. 有機性物質は、植物由来のものであることを特徴とする請求項4または5記載の炭化物包装体。
  8. 有機性物質は、高分子化合物由来のものであることを特徴とする請求項4または5記載の炭化物包装体。
  9. 被処理物を熱分解処理加工して炭化物を得る熱分解処理手段と、
    炭化物を計量して袋詰し炭化物包装体を得る計量袋詰手段と、
    前記袋詰される炭化物に脱酸素剤を含む水溶液を注入する脱酸素剤注入手段とを備えたことを特徴とする炭化物包装体生成施設。
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