JP2004255937A - 支持体および空気入りランフラットタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素の存在等による腐食性の高い環境下でも劣化しにくい脚部を有し、ランフラット走行において高い耐久性を発揮し得る支持体、および該支持体を具備する空気入りランフラットタイヤを提供する。
【解決手段】ランフラット走行時に空気入りタイヤの内面と当接する支持部26と、支持部26の端部に設けられた脚部28と、からなり、脚部28が、弾性体28Bと、弾性体28Bの外周の少なくとも一部に設けられており、空気透過係数が1.0×10−14〜1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHgの空気不透過層28Aと、からなることを特徴とする支持体である。
また、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体が備えられた空気入りランフラットタイヤであって、前記支持体が、既述の支持体であり、当該支持体の脚部が、空気入りタイヤと共にリムに組み付けられていることを特徴とする空気入りランフラットタイヤである。
【選択図】 図1
【解決手段】ランフラット走行時に空気入りタイヤの内面と当接する支持部26と、支持部26の端部に設けられた脚部28と、からなり、脚部28が、弾性体28Bと、弾性体28Bの外周の少なくとも一部に設けられており、空気透過係数が1.0×10−14〜1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHgの空気不透過層28Aと、からなることを特徴とする支持体である。
また、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体が備えられた空気入りランフラットタイヤであって、前記支持体が、既述の支持体であり、当該支持体の脚部が、空気入りタイヤと共にリムに組み付けられていることを特徴とする空気入りランフラットタイヤである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤがパンクした場合、その状態のまま相当の距離を走行し得るようにタイヤの内部に配設される支持体および該支持体を装着した空気入りランフラットタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤでランフラット走行が可能、即ち、パンクしてタイヤ内圧が0kg/cm2になっても、ある程度の距離を安心して走行できるタイヤ(以後、「空気入りランフラットタイヤ」もしくは「ランフラットタイヤ」と呼ぶ。)として、タイヤの空気室内におけるリムの部分に、中子(支持体)を取り付けた中子タイプのランフラットタイヤが知られている。(例えば、特許文献1および2参照)
【0003】
この中子タイプでは、リムに組み込む回転中子タイプと、リムに取り付けられるタイヤ径方向断面において外側に2つの凸部を有する形状(二山形状)の中子タイプが知られている。回転中子タイプは回転中子を固定するための特殊ホイールが必要とされる点で汎用性に問題がある。一方、二山形状の中子タイプは、従来のリムに取り付けられるため汎用性が高い。
かかるランフラットタイヤでは、中子(支持体)は、その両端部が環状の脚部を介してリムに取り付けられている。
【0004】
当該脚部は支持体の固定とともに、ランフラット走行時の走行安定性とリム組み込み、リム解きの作業性等を向上させるために設けられる。脚部の材質としては耐久性、耐熱性を考慮して、NR(天然ゴム)系、IR(イソプレンゴム)系、BR(ブタジエンゴム)系、SBR(スチレンブタジエンゴム)系、IIR(ブチルゴム)系、等を単独もしくは適宜コンパウンドした加硫ゴムが使用されている。
【0005】
ところで、タイヤ内は高圧、高酸素、高温状態となっており、タイヤ内に組み込まれる脚部は、腐食されやすい雰囲気に晒されることになる。特に、脚部を構成する弾性体表面や弾性体と金属との接着層が劣化を受けることで、ランフラット走行時に弾性体の破壊や接着破壊が起こり、耐久性上、大きな問題となる。しかし、このような事情にも関わらず、これまで支持体の脚部の劣化防止については、ほとんど検討されることはなかった。
【0006】
【特許文献1】
特表2001−519279号公報
【特許文献2】
特開2001−301410号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、下記目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明は、酸素の存在等による腐食性の高い環境下でも劣化しにくい脚部を有し、ランフラット走行において高い耐久性を発揮し得る支持体、および該支持体を具備する空気入りランフラットタイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく鋭意検討の結果、本発明者らは、下記本発明に想到した。
すなわち、本発明は、空気入りタイヤの内部に配設され、前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体であって、前記ランフラット走行時に前記空気入りタイヤの内面と当接する支持部と、該支持部の端部に設けられた脚部と、からなり、前記脚部が、弾性体と、該弾性体の外周の少なくとも一部に設けられており、空気透過係数が1.0×10−14〜1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHgの空気不透過層と、からなることを特徴とする支持体である。
脚部の腐食は、その表面に高温の空気等が接触することで生じる。従って、当該脚部の外周全部または一部を、空気等に対して耐食性の高い材質、すなわち、空気透過係数が上記範囲の空気不透過層とすることで、脚部の腐食を防ぐことができる。その結果、ランフラット走行時の支持体の耐久性を向上させることができる。
【0009】
前記空気不透過層は、1以上の層からなり、少なくとも1の層が、ブチルゴム若しくはハロゲン化ブチルゴムを含む被覆弾性体層、または、空気不透過フィルムからなる層、であることが好ましい。前記空気不透過フィルムからなる層の厚さは、5〜100μmであることが好ましい。前記空気不透過フィルムは、架橋されたポリビニルアルコール、または、架橋されたエチレン・ビニルアルコールからなることが好ましい。
また、前記被覆弾性体層の厚さは、0.3〜2.0mmであることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明は、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体が備えられた空気入りランフラットタイヤであって、
前記支持体が、既述の本発明の支持体であり、
当該支持体の脚部が、空気入りタイヤと共にリムに組み付けられていることを特徴とする空気入りランフラットタイヤである。
既述の通り、本発明の支持体はその脚部が耐食性に優れているため、かかる支持体を装着した空気入りランフラットタイヤも、脚部の腐食に起因する破壊が防がれ、高い耐久性を有することになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の支持体および空気入りランフラットタイヤについて詳細に説明する。
【0012】
〔支持体〕
本発明の支持体は、空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、空気入りタイヤの内部に配設され、ランフラット走行時に荷重を支持するものである。図1に本発明の支持体を例示する。
【0013】
図1に示すように、環状とされている支持体16は、環状の支持部26と、支持部26の両端に設けられた脚部28とから構成されている。支持部26には、軸方向中央部に互いに離れた2個の拡径部26A、26Bが形成され、その間に径方向内側に凸となる凹部26Cが形成されている。ランフラット走行時には、支持部26の拡径部26A、26Bが、空気入りタイヤの内面と当接し、タイヤおよび車体等の荷重を支持する。
【0014】
また、支持部26は、円筒状の金属プレート等から形成されている。そして、支持部26の拡径部26Aから見て拡径部26Bと反対側の側面及び、拡径部26Bから見て拡径部26Aと反対側の側面は、半径方向内側へ延長されたサイド部26D及び26Eとなっている。さらに、このサイド部26D、26Eの径方向内側の部分には、軸方向に延在するフランジ部26F、26Gがそれぞれ形成されている。
支持部26の材料としては、鉄やSUS等の金属の他、プラスチック、FRP等を使用することもできる。
【0015】
脚部28は、弾性体28Bと、その外周に設けられた空気不透過層28Aとから構成されている。かかる空気不透過層28Aの存在により、通常のタイヤの使用条件、すなわち、高温、高酸素等の腐食しやすい雰囲気でも、脚部28内部への酸素の侵入を防ぐことが可能となる。その結果、腐食に起因する破壊が防がれ、耐久性の高い支持体とすることができる。
【0016】
空気不透過層28Aの空気透過係数は、1.0×10−14〜1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHgとする。1.0×10−14cm3・cm/cm2・sec・cmHg未満では、バリア性は充分だが、ゴムらしさを失い、もろくなってしまい好ましくない。1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHgを超えると、脚部内部への空気(酸素等)の進入を充分に防ぐことが不可能となり、高い耐久性を得ることができない。
より好ましい空気透過係数は、1.0×10−14〜7.0×10−10cm3・cm/cm2・sec・cmHgである。
【0017】
空気不透過層28Aは、単一の層としてもよく、複数の層で構成してもよい。単一の層とする場合は、複数の層を構成するより生産性の面で有意である。一方、複数の層で構成する場合は、層を構成する材料を適宜選択することで、それぞれの特性を生かした脚部とすることができる。従って、単層とするか、複数の層とするかは、生産性や用途等により、選択することが好ましい。
【0018】
空気不透過層28Aのうち少なくとも1の層は、空気透過係数を既述の範囲とすることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、特開平11−254905号公報の段落0013〜0017に記載の層;ブチルゴム若しくはハロゲン化ブチルゴムを含む被覆弾性体層(以下、単に「被覆弾性体層」という。);空気不透過フィルムからなる層;等が挙げられる。なかでも、金属(支持部)とゴム(脚部)の接着層を酸素や水分の浸入から守るという点を考慮すると、被覆弾性体層、または、空気不透過フィルムからなる層であることが好ましい。また、空気不透過層28Aを、被覆弾性体層および空気不透過フィルムからなる層を積層した層としてもよい。
【0019】
被覆弾性体層としては、ブチルゴムもしくはハロゲン化ブチルゴムを含むことが好ましい。これらゴムは空気不透過性に優れることから、タイヤ用途でもインナーライナーとして多く用いられており、その有効性は立証されている。
ブチルゴムもしくはハロゲン化ブチルゴムは、充分な空気不透過性を発揮すべく、ゴム成分(被覆弾性体層)100質量部中、80質量部以上とすることが好ましい。
なお、ブチルゴムとともにハロゲン化ブチルゴムを使用してもよい。
【0020】
また、空気不透過性が十分に維持される範囲内で他のゴム、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等のジエン系ゴムをブレンドすることができる。さらに、カーボンブラック(N550、N660等);クレー等の(白色)充填剤;カオリン、セリサイト、マイカ等の層状・板状充填剤等を適宜添加してもよい。また、スピンドルオイル、ステアリン酸、亜鉛華、ビス−(ベンゾチアゾリル−2)ジスルフィド(MBTS)、硫黄(S)、タッキファイヤー(粘着付与剤)等も適宜添加してもよい。
【0021】
被覆弾性体層の厚さは、0.3〜2.0mmとすることが好ましく、0.5〜1.5mmとすることより好ましい。0.3mm未満では、酸素の透過抑制効果が充分でないことがあり、2.0mmを超えると、剛性などの支持性としての機能が充分でないことがある。
【0022】
被覆弾性体層の空気透過係数(空気透過率)の測定は、JISK7126「プラスチックスフィルム及びシートの気体透過度試験方法」のA法(差圧式)により測定することができる。
【0023】
空気不透過フィルムとしては、架橋されたポリビニルアルコールや架橋されたエチレン・ビニルアルコール共重合体[エバール(エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン)から酢酸を除いて使用する]からなるフィルムが好ましい。
【0024】
架橋されたエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンとビニルアルコールとのモル比は特に制限されず、目的に応じて適宜設定することができる。エチレンを多くすることにより、よりタフなフィルムを得ることができ、ビニルアルコールを多くすることにより、フィルムの空気不透過性を高めることができる。また、空気不透過フィルムを構成するポリビニルアルコールまたはエチレン・ビニルアルコール共重合体の架橋方法は、特に制限されないが、作製したフィルムに直接作用させ得る電子線照射法が好ましい。
【0025】
これらの(共)重合体の空気透過係数は、ブチル系ゴム組成物の100分の1以下であるため、必要な厚さは100分の1以下で足りる場合がある。さらに、架橋されたポリビニルアルコールや架橋されたエチレン・ビニルアルコール共重合体はポリマー分子を架橋させているため、加硫の熱がかかっても溶融することがなく、所望の脚部性能を確実に得ることができる。
【0026】
架橋されたポリビニルアルコールや架橋されたエチレン・ビニルアルコール共重合体によるフィルムは、10μm程度の厚さで効果があり、タイヤの転動時の屈曲変形による破断が生じにくい。
【0027】
空気不透過フィルムの空気透過係数(空気透過率)の測定は、プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法(A法)[JISK7126]に準じて行う。試験気体としては空気(N2:O2=8:2)を使用し、試験温度は30℃とする。
【0028】
空気不透過層28Aを2以上の層とする場合は、既述の各層の他に、空気透過係数1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下のエラストマーよりなる補助層をさらに設けることが好ましい。
この理由は、1の空気不透過層にピンホールやクラック等が生じた場合に、この補助層により、空気不透過性を維持することができるからである。その場合の補助層の厚さは、0.3〜2.0mmであることが好ましい。0.3mm未満では、製造が困難な場合があり、たとえ製造できたとしてもガスバリアの効果が小さく、また、2.0mmを超えると、タイヤの重量が大きくなる場合があるからである。
【0029】
弾性体の外周に空気不透過層(被覆弾性体層)を設けるには、まず、未加硫ゴムからなる弾性体に、被覆弾性体層のゴムシートを貼付する。次いで、常法に従ってこれを加硫することで空気不透過層を設け、外周に空気不透過性層を有する脚部が作製される。なお、被覆弾性体は塗布してもよい。
【0030】
また、下記方法により、空気不透過性層(被覆弾性体層)を形成してもよい。すなわち、加硫後の弾性体に接着剤を塗布する。その後、被覆弾性体層の未加硫シートまたは原料等を外周に塗布し、必要に応じて加熱することにより硬化せしめることによって外周に空気不透過性層を有する脚部が作製される。
【0031】
さらに、空気不透過フィルムを空気不透過性層として、弾性体外周に設ける場合にも、上記いずれかと同様とすればよい。
【0032】
脚部28の弾性体28Bに使用するゴム材料としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム(U)等が挙げられ、これらは、単独で用いても、複数ブレンドして用いてもよい。
【0033】
また、上記ゴム材料は、充填剤を含有しており、ゴムの硬度(Hd)は、充填剤の量により調整する。これらのゴム材料に配合することのできる充填剤としては、軟化剤(例えば、オイル等)、ステアリン酸、亜鉛華、WAX、老化防止剤(6PPD:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)、加硫促進剤(CBS:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)、硫黄、カーボンブラック(N550、N660等)、CaCO3、胡粉、シリカ等の白色充填剤が挙げられる。
【0034】
〔空気入りランフラットタイヤ〕
本発明の空気入りランフラットタイヤは、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体が備えられた空気入りランフラットタイヤであって、前記支持体に本発明の支持体を適用し、当該支持体の脚部が、空気入りタイヤと共にリムに組み付けられている。
【0035】
図2に、本発明の空気入りランフラットタイヤを例示する。空気入りランフラットタイヤ10は、図1に示すように、一般的なホイルリム12に空気入りタイヤ14と支持体16とが組み付けられた構成となっている。
【0036】
支持体16を組み付けるリム12は、空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リムである。この実施形態における空気入りタイヤ14は、一対のビード部18と、両ビード部18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する2枚のベルト層22と、ベルト層22の上部に形成されたトレッド部24とを備える。
【0037】
以上のような本発明のランフラットタイヤでは、空気入りタイヤ14の内圧が低下した場合、空気入りタイヤ14のトレッド部24を支持体16の支持部が支持して走行可能となる。
既述の通り、本発明の支持体はその脚部が耐食性に優れている。従って、かかる支持体を組み込んだ空気入りランフラットタイヤも、脚部の腐食に起因する破壊が防がれ、高い耐久性を有することになる。
このとき、トレッド部24の裏面や支持部26A、26Bに公知の潤滑材等を塗布すればランフラット走行時に生じる支持体とタイヤ裏面との磨耗を低減させて、耐久性をより向上させることができる。
【0038】
以上、本発明の支持体および空き入りランフラットタイヤについて説明したが、本発明は図1および図2に示されるような態様に限定されず、種々の変更を施すことが可能である。
例えば、支持体の支持部に形成された拡径部の数を1つもしくは3つ以上としたりすることが可能である。
また、既述の実施形態で示したタイヤは、一般的なタイヤ形状であるが、本発明は各種のタイヤ形状に適用できる。
【0039】
【実施例】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
(実施例1〜3)
SUS304の板(厚さ2.0mm)を図1に示されるような2山形状に成型した。その後、フランジ部には接着剤を塗布した。フランジ部に弾性体28Bを配置し、弾性体28Bのまわりに、空気不透過層28Aを配置させ(いずれも未加硫)、加硫接着させて弾性体28Bの外周に空気不透過層としての被覆弾性体層(厚さ:1.0mm)を形成し、図1に示されるような支持体を作製した。
なお、弾性体の材質は、下記表1の通りである。また、空気不透過層の材質を下記表2の通りに代えて、それぞれを実施例1〜3の支持体とした。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
実施形態で説明した空気入りランフラットタイヤと同様の構成(図2参照)であり、195/65R15サイズの空気入りタイヤに、作製した実施例1〜3の支持体をそれぞれ挿入し、上記タイヤサイズに対応する標準リム(6J)に組み付けた空気入りランフラットタイヤをそれぞれ作製した。
【0044】
〔実施例4〕
空気不透過層として、被覆弾性体層の代わりに、架橋されたエチレンビニルアルコール共重合体からなる空気不透過フィルム(厚さ:20μm)を使用した以外、実施例1と同様にして支持体を作製した。実施例1と同様にして、空気入りランフラットタイヤを作製した。
【0045】
(比較例1)
空気不透過層を形成しなかった以外、実施例1と同様にして支持体を作製した。実施例1と同様にして、空気入りランフラットタイヤを作製した。なお、脚部の外形は、実施例1の支持体の脚部と同じになるようにした。
【0046】
実施例1〜4および比較例で作製した空気入りランフラットタイヤ内に酸素ガスを充填し、2週間放置後RF耐久試験を行った。また、作製した空気入りランフラットタイヤ内に酸素ガスを充填し、4週間後の物性変化を観察しEB保持率を求めた。結果を下記表3に示す。
なお、EB保持率は、下記式により算出した。
式:EB保持率(%)=(4週間後のEB)÷(最初のEB)×100
【0047】
【表3】
【0048】
表3の結果より、空気不透過層を形成することで、脚部が弾性体のみで構成された比較例よりも、RF耐久性およびEB保持率がともに向上していることが確認された。
【0049】
また、実施例1〜4で作製したランフラットタイヤを乗用車に装着し、1つの車輪のみ空気圧ゼロとして、200kmのランフラット走行を行う走行試験を行った。走行試験結果は特に問題なく、十分に実用可能であることが確認された。かかる結果も、空気不透過層を形成することで、脚部の耐久性が向上したことに起因すると考えられる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の支持体の脚部は、酸素の存在等による腐食性の高い環境下でも劣化しにくいため、脚部の劣化に起因する支持体の破壊を防ぎ、耐久性を向上させることができる。また、かかる支持体を具備する空気入りランフラットタイヤも、耐久性が向上し、良好にランフラット走行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る支持体をタイヤ回転軸Oに沿って切断した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る支持体を組み付けた空気入りランフラットタイヤの車輪軸に沿って切断した端面図である(タイヤ回転軸Oに沿った端面のうち、上側部分のみを示す)。
【符号の説明】
10 空気入りランフラットタイヤ
14 空気入りタイヤ
16 支持体
20 カーカス
26 支持部
28 脚部
28A 空気不透過層
28B 弾性体
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤがパンクした場合、その状態のまま相当の距離を走行し得るようにタイヤの内部に配設される支持体および該支持体を装着した空気入りランフラットタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤでランフラット走行が可能、即ち、パンクしてタイヤ内圧が0kg/cm2になっても、ある程度の距離を安心して走行できるタイヤ(以後、「空気入りランフラットタイヤ」もしくは「ランフラットタイヤ」と呼ぶ。)として、タイヤの空気室内におけるリムの部分に、中子(支持体)を取り付けた中子タイプのランフラットタイヤが知られている。(例えば、特許文献1および2参照)
【0003】
この中子タイプでは、リムに組み込む回転中子タイプと、リムに取り付けられるタイヤ径方向断面において外側に2つの凸部を有する形状(二山形状)の中子タイプが知られている。回転中子タイプは回転中子を固定するための特殊ホイールが必要とされる点で汎用性に問題がある。一方、二山形状の中子タイプは、従来のリムに取り付けられるため汎用性が高い。
かかるランフラットタイヤでは、中子(支持体)は、その両端部が環状の脚部を介してリムに取り付けられている。
【0004】
当該脚部は支持体の固定とともに、ランフラット走行時の走行安定性とリム組み込み、リム解きの作業性等を向上させるために設けられる。脚部の材質としては耐久性、耐熱性を考慮して、NR(天然ゴム)系、IR(イソプレンゴム)系、BR(ブタジエンゴム)系、SBR(スチレンブタジエンゴム)系、IIR(ブチルゴム)系、等を単独もしくは適宜コンパウンドした加硫ゴムが使用されている。
【0005】
ところで、タイヤ内は高圧、高酸素、高温状態となっており、タイヤ内に組み込まれる脚部は、腐食されやすい雰囲気に晒されることになる。特に、脚部を構成する弾性体表面や弾性体と金属との接着層が劣化を受けることで、ランフラット走行時に弾性体の破壊や接着破壊が起こり、耐久性上、大きな問題となる。しかし、このような事情にも関わらず、これまで支持体の脚部の劣化防止については、ほとんど検討されることはなかった。
【0006】
【特許文献1】
特表2001−519279号公報
【特許文献2】
特開2001−301410号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、下記目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明は、酸素の存在等による腐食性の高い環境下でも劣化しにくい脚部を有し、ランフラット走行において高い耐久性を発揮し得る支持体、および該支持体を具備する空気入りランフラットタイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく鋭意検討の結果、本発明者らは、下記本発明に想到した。
すなわち、本発明は、空気入りタイヤの内部に配設され、前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体であって、前記ランフラット走行時に前記空気入りタイヤの内面と当接する支持部と、該支持部の端部に設けられた脚部と、からなり、前記脚部が、弾性体と、該弾性体の外周の少なくとも一部に設けられており、空気透過係数が1.0×10−14〜1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHgの空気不透過層と、からなることを特徴とする支持体である。
脚部の腐食は、その表面に高温の空気等が接触することで生じる。従って、当該脚部の外周全部または一部を、空気等に対して耐食性の高い材質、すなわち、空気透過係数が上記範囲の空気不透過層とすることで、脚部の腐食を防ぐことができる。その結果、ランフラット走行時の支持体の耐久性を向上させることができる。
【0009】
前記空気不透過層は、1以上の層からなり、少なくとも1の層が、ブチルゴム若しくはハロゲン化ブチルゴムを含む被覆弾性体層、または、空気不透過フィルムからなる層、であることが好ましい。前記空気不透過フィルムからなる層の厚さは、5〜100μmであることが好ましい。前記空気不透過フィルムは、架橋されたポリビニルアルコール、または、架橋されたエチレン・ビニルアルコールからなることが好ましい。
また、前記被覆弾性体層の厚さは、0.3〜2.0mmであることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明は、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体が備えられた空気入りランフラットタイヤであって、
前記支持体が、既述の本発明の支持体であり、
当該支持体の脚部が、空気入りタイヤと共にリムに組み付けられていることを特徴とする空気入りランフラットタイヤである。
既述の通り、本発明の支持体はその脚部が耐食性に優れているため、かかる支持体を装着した空気入りランフラットタイヤも、脚部の腐食に起因する破壊が防がれ、高い耐久性を有することになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の支持体および空気入りランフラットタイヤについて詳細に説明する。
【0012】
〔支持体〕
本発明の支持体は、空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、空気入りタイヤの内部に配設され、ランフラット走行時に荷重を支持するものである。図1に本発明の支持体を例示する。
【0013】
図1に示すように、環状とされている支持体16は、環状の支持部26と、支持部26の両端に設けられた脚部28とから構成されている。支持部26には、軸方向中央部に互いに離れた2個の拡径部26A、26Bが形成され、その間に径方向内側に凸となる凹部26Cが形成されている。ランフラット走行時には、支持部26の拡径部26A、26Bが、空気入りタイヤの内面と当接し、タイヤおよび車体等の荷重を支持する。
【0014】
また、支持部26は、円筒状の金属プレート等から形成されている。そして、支持部26の拡径部26Aから見て拡径部26Bと反対側の側面及び、拡径部26Bから見て拡径部26Aと反対側の側面は、半径方向内側へ延長されたサイド部26D及び26Eとなっている。さらに、このサイド部26D、26Eの径方向内側の部分には、軸方向に延在するフランジ部26F、26Gがそれぞれ形成されている。
支持部26の材料としては、鉄やSUS等の金属の他、プラスチック、FRP等を使用することもできる。
【0015】
脚部28は、弾性体28Bと、その外周に設けられた空気不透過層28Aとから構成されている。かかる空気不透過層28Aの存在により、通常のタイヤの使用条件、すなわち、高温、高酸素等の腐食しやすい雰囲気でも、脚部28内部への酸素の侵入を防ぐことが可能となる。その結果、腐食に起因する破壊が防がれ、耐久性の高い支持体とすることができる。
【0016】
空気不透過層28Aの空気透過係数は、1.0×10−14〜1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHgとする。1.0×10−14cm3・cm/cm2・sec・cmHg未満では、バリア性は充分だが、ゴムらしさを失い、もろくなってしまい好ましくない。1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHgを超えると、脚部内部への空気(酸素等)の進入を充分に防ぐことが不可能となり、高い耐久性を得ることができない。
より好ましい空気透過係数は、1.0×10−14〜7.0×10−10cm3・cm/cm2・sec・cmHgである。
【0017】
空気不透過層28Aは、単一の層としてもよく、複数の層で構成してもよい。単一の層とする場合は、複数の層を構成するより生産性の面で有意である。一方、複数の層で構成する場合は、層を構成する材料を適宜選択することで、それぞれの特性を生かした脚部とすることができる。従って、単層とするか、複数の層とするかは、生産性や用途等により、選択することが好ましい。
【0018】
空気不透過層28Aのうち少なくとも1の層は、空気透過係数を既述の範囲とすることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、特開平11−254905号公報の段落0013〜0017に記載の層;ブチルゴム若しくはハロゲン化ブチルゴムを含む被覆弾性体層(以下、単に「被覆弾性体層」という。);空気不透過フィルムからなる層;等が挙げられる。なかでも、金属(支持部)とゴム(脚部)の接着層を酸素や水分の浸入から守るという点を考慮すると、被覆弾性体層、または、空気不透過フィルムからなる層であることが好ましい。また、空気不透過層28Aを、被覆弾性体層および空気不透過フィルムからなる層を積層した層としてもよい。
【0019】
被覆弾性体層としては、ブチルゴムもしくはハロゲン化ブチルゴムを含むことが好ましい。これらゴムは空気不透過性に優れることから、タイヤ用途でもインナーライナーとして多く用いられており、その有効性は立証されている。
ブチルゴムもしくはハロゲン化ブチルゴムは、充分な空気不透過性を発揮すべく、ゴム成分(被覆弾性体層)100質量部中、80質量部以上とすることが好ましい。
なお、ブチルゴムとともにハロゲン化ブチルゴムを使用してもよい。
【0020】
また、空気不透過性が十分に維持される範囲内で他のゴム、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等のジエン系ゴムをブレンドすることができる。さらに、カーボンブラック(N550、N660等);クレー等の(白色)充填剤;カオリン、セリサイト、マイカ等の層状・板状充填剤等を適宜添加してもよい。また、スピンドルオイル、ステアリン酸、亜鉛華、ビス−(ベンゾチアゾリル−2)ジスルフィド(MBTS)、硫黄(S)、タッキファイヤー(粘着付与剤)等も適宜添加してもよい。
【0021】
被覆弾性体層の厚さは、0.3〜2.0mmとすることが好ましく、0.5〜1.5mmとすることより好ましい。0.3mm未満では、酸素の透過抑制効果が充分でないことがあり、2.0mmを超えると、剛性などの支持性としての機能が充分でないことがある。
【0022】
被覆弾性体層の空気透過係数(空気透過率)の測定は、JISK7126「プラスチックスフィルム及びシートの気体透過度試験方法」のA法(差圧式)により測定することができる。
【0023】
空気不透過フィルムとしては、架橋されたポリビニルアルコールや架橋されたエチレン・ビニルアルコール共重合体[エバール(エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン)から酢酸を除いて使用する]からなるフィルムが好ましい。
【0024】
架橋されたエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンとビニルアルコールとのモル比は特に制限されず、目的に応じて適宜設定することができる。エチレンを多くすることにより、よりタフなフィルムを得ることができ、ビニルアルコールを多くすることにより、フィルムの空気不透過性を高めることができる。また、空気不透過フィルムを構成するポリビニルアルコールまたはエチレン・ビニルアルコール共重合体の架橋方法は、特に制限されないが、作製したフィルムに直接作用させ得る電子線照射法が好ましい。
【0025】
これらの(共)重合体の空気透過係数は、ブチル系ゴム組成物の100分の1以下であるため、必要な厚さは100分の1以下で足りる場合がある。さらに、架橋されたポリビニルアルコールや架橋されたエチレン・ビニルアルコール共重合体はポリマー分子を架橋させているため、加硫の熱がかかっても溶融することがなく、所望の脚部性能を確実に得ることができる。
【0026】
架橋されたポリビニルアルコールや架橋されたエチレン・ビニルアルコール共重合体によるフィルムは、10μm程度の厚さで効果があり、タイヤの転動時の屈曲変形による破断が生じにくい。
【0027】
空気不透過フィルムの空気透過係数(空気透過率)の測定は、プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法(A法)[JISK7126]に準じて行う。試験気体としては空気(N2:O2=8:2)を使用し、試験温度は30℃とする。
【0028】
空気不透過層28Aを2以上の層とする場合は、既述の各層の他に、空気透過係数1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下のエラストマーよりなる補助層をさらに設けることが好ましい。
この理由は、1の空気不透過層にピンホールやクラック等が生じた場合に、この補助層により、空気不透過性を維持することができるからである。その場合の補助層の厚さは、0.3〜2.0mmであることが好ましい。0.3mm未満では、製造が困難な場合があり、たとえ製造できたとしてもガスバリアの効果が小さく、また、2.0mmを超えると、タイヤの重量が大きくなる場合があるからである。
【0029】
弾性体の外周に空気不透過層(被覆弾性体層)を設けるには、まず、未加硫ゴムからなる弾性体に、被覆弾性体層のゴムシートを貼付する。次いで、常法に従ってこれを加硫することで空気不透過層を設け、外周に空気不透過性層を有する脚部が作製される。なお、被覆弾性体は塗布してもよい。
【0030】
また、下記方法により、空気不透過性層(被覆弾性体層)を形成してもよい。すなわち、加硫後の弾性体に接着剤を塗布する。その後、被覆弾性体層の未加硫シートまたは原料等を外周に塗布し、必要に応じて加熱することにより硬化せしめることによって外周に空気不透過性層を有する脚部が作製される。
【0031】
さらに、空気不透過フィルムを空気不透過性層として、弾性体外周に設ける場合にも、上記いずれかと同様とすればよい。
【0032】
脚部28の弾性体28Bに使用するゴム材料としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム(U)等が挙げられ、これらは、単独で用いても、複数ブレンドして用いてもよい。
【0033】
また、上記ゴム材料は、充填剤を含有しており、ゴムの硬度(Hd)は、充填剤の量により調整する。これらのゴム材料に配合することのできる充填剤としては、軟化剤(例えば、オイル等)、ステアリン酸、亜鉛華、WAX、老化防止剤(6PPD:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)、加硫促進剤(CBS:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)、硫黄、カーボンブラック(N550、N660等)、CaCO3、胡粉、シリカ等の白色充填剤が挙げられる。
【0034】
〔空気入りランフラットタイヤ〕
本発明の空気入りランフラットタイヤは、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体が備えられた空気入りランフラットタイヤであって、前記支持体に本発明の支持体を適用し、当該支持体の脚部が、空気入りタイヤと共にリムに組み付けられている。
【0035】
図2に、本発明の空気入りランフラットタイヤを例示する。空気入りランフラットタイヤ10は、図1に示すように、一般的なホイルリム12に空気入りタイヤ14と支持体16とが組み付けられた構成となっている。
【0036】
支持体16を組み付けるリム12は、空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リムである。この実施形態における空気入りタイヤ14は、一対のビード部18と、両ビード部18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する2枚のベルト層22と、ベルト層22の上部に形成されたトレッド部24とを備える。
【0037】
以上のような本発明のランフラットタイヤでは、空気入りタイヤ14の内圧が低下した場合、空気入りタイヤ14のトレッド部24を支持体16の支持部が支持して走行可能となる。
既述の通り、本発明の支持体はその脚部が耐食性に優れている。従って、かかる支持体を組み込んだ空気入りランフラットタイヤも、脚部の腐食に起因する破壊が防がれ、高い耐久性を有することになる。
このとき、トレッド部24の裏面や支持部26A、26Bに公知の潤滑材等を塗布すればランフラット走行時に生じる支持体とタイヤ裏面との磨耗を低減させて、耐久性をより向上させることができる。
【0038】
以上、本発明の支持体および空き入りランフラットタイヤについて説明したが、本発明は図1および図2に示されるような態様に限定されず、種々の変更を施すことが可能である。
例えば、支持体の支持部に形成された拡径部の数を1つもしくは3つ以上としたりすることが可能である。
また、既述の実施形態で示したタイヤは、一般的なタイヤ形状であるが、本発明は各種のタイヤ形状に適用できる。
【0039】
【実施例】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
(実施例1〜3)
SUS304の板(厚さ2.0mm)を図1に示されるような2山形状に成型した。その後、フランジ部には接着剤を塗布した。フランジ部に弾性体28Bを配置し、弾性体28Bのまわりに、空気不透過層28Aを配置させ(いずれも未加硫)、加硫接着させて弾性体28Bの外周に空気不透過層としての被覆弾性体層(厚さ:1.0mm)を形成し、図1に示されるような支持体を作製した。
なお、弾性体の材質は、下記表1の通りである。また、空気不透過層の材質を下記表2の通りに代えて、それぞれを実施例1〜3の支持体とした。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
実施形態で説明した空気入りランフラットタイヤと同様の構成(図2参照)であり、195/65R15サイズの空気入りタイヤに、作製した実施例1〜3の支持体をそれぞれ挿入し、上記タイヤサイズに対応する標準リム(6J)に組み付けた空気入りランフラットタイヤをそれぞれ作製した。
【0044】
〔実施例4〕
空気不透過層として、被覆弾性体層の代わりに、架橋されたエチレンビニルアルコール共重合体からなる空気不透過フィルム(厚さ:20μm)を使用した以外、実施例1と同様にして支持体を作製した。実施例1と同様にして、空気入りランフラットタイヤを作製した。
【0045】
(比較例1)
空気不透過層を形成しなかった以外、実施例1と同様にして支持体を作製した。実施例1と同様にして、空気入りランフラットタイヤを作製した。なお、脚部の外形は、実施例1の支持体の脚部と同じになるようにした。
【0046】
実施例1〜4および比較例で作製した空気入りランフラットタイヤ内に酸素ガスを充填し、2週間放置後RF耐久試験を行った。また、作製した空気入りランフラットタイヤ内に酸素ガスを充填し、4週間後の物性変化を観察しEB保持率を求めた。結果を下記表3に示す。
なお、EB保持率は、下記式により算出した。
式:EB保持率(%)=(4週間後のEB)÷(最初のEB)×100
【0047】
【表3】
【0048】
表3の結果より、空気不透過層を形成することで、脚部が弾性体のみで構成された比較例よりも、RF耐久性およびEB保持率がともに向上していることが確認された。
【0049】
また、実施例1〜4で作製したランフラットタイヤを乗用車に装着し、1つの車輪のみ空気圧ゼロとして、200kmのランフラット走行を行う走行試験を行った。走行試験結果は特に問題なく、十分に実用可能であることが確認された。かかる結果も、空気不透過層を形成することで、脚部の耐久性が向上したことに起因すると考えられる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の支持体の脚部は、酸素の存在等による腐食性の高い環境下でも劣化しにくいため、脚部の劣化に起因する支持体の破壊を防ぎ、耐久性を向上させることができる。また、かかる支持体を具備する空気入りランフラットタイヤも、耐久性が向上し、良好にランフラット走行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る支持体をタイヤ回転軸Oに沿って切断した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る支持体を組み付けた空気入りランフラットタイヤの車輪軸に沿って切断した端面図である(タイヤ回転軸Oに沿った端面のうち、上側部分のみを示す)。
【符号の説明】
10 空気入りランフラットタイヤ
14 空気入りタイヤ
16 支持体
20 カーカス
26 支持部
28 脚部
28A 空気不透過層
28B 弾性体
Claims (6)
- 空気入りタイヤの内部に配設され、前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体であって、
前記ランフラット走行時に前記空気入りタイヤの内面と当接する支持部と、該支持部の端部に設けられた脚部と、からなり、
前記脚部が、弾性体と、該弾性体の外周の少なくとも一部に設けられており、空気透過係数が1.0×10−14〜1.0×10−9cm3・cm/cm2・sec・cmHgの空気不透過層と、からなることを特徴とする支持体。 - 前記空気不透過層が、1以上の層からなり、少なくとも1の層が、ブチルゴム若しくはハロゲン化ブチルゴムを含む被覆弾性体層、または、空気不透過フィルムからなる層、であることを特徴とする請求項1に記載の支持体。
- 前記空気不透過フィルムからなる層の厚さが、5〜100μmであることを特徴とする請求項2に記載の支持体。
- 前記空気不透過フィルムが、架橋されたポリビニルアルコール、または、架橋されたエチレン・ビニルアルコールからなることを特徴とする請求項2または3に記載の支持体。
- 前記被覆弾性体層の厚さが、0.3〜2.0mmであることを特徴とする請求項2に記載の支持体。
- ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体が備えられた空気入りランフラットタイヤであって、
前記支持体が、請求項1〜5のいずれかに記載の支持体であり、
当該支持体の脚部が、空気入りタイヤと共にリムに組み付けられていることを特徴とする空気入りランフラットタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003046959A JP2004255937A (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | 支持体および空気入りランフラットタイヤ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7976666B2 (en) | 2005-09-30 | 2011-07-12 | The Yokohama Rubber Co., Ltd. | Poorly air-permeable rubber laminate composed of poorly air-permeable resin and rubber composition, and method for production thereof |
-
2003
- 2003-02-25 JP JP2003046959A patent/JP2004255937A/ja active Pending
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US7976666B2 (en) | 2005-09-30 | 2011-07-12 | The Yokohama Rubber Co., Ltd. | Poorly air-permeable rubber laminate composed of poorly air-permeable resin and rubber composition, and method for production thereof |
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