JP2004255833A - 生分解性繊維積層体及びその製造方法 - Google Patents

生分解性繊維積層体及びその製造方法 Download PDF

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Tatsuro Ito
達朗 伊藤
Shoji Murota
昭二 室田
Katsutoshi Mizuno
克俊 水野
Yukihiko Horiba
幸彦 堀場
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Toyoda Gosei Co Ltd
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Abstract

【課題】生分解性を備えて、かつプレスによる深絞り加工が可能な生分解性繊維積層体と、その製造方法を提供する。
【解決手段】竹繊維とポリ乳酸繊維とを所定の重量比で混合し、ニードルパンチ法などにより、両繊維を互いに絡み合わせて、綿状シートを形成する。この綿状シートで網目状シート18を挟み込み前成形体を形成する。次いで、この前成形体を、ポリ乳酸繊維の融点を超え、竹繊維の融点よりも低い温度に加熱する。この加熱された前成形体上に不織布15を載置し、表面を所定温度に加温した金型21にセットしプレス成形する。完全に型締めを行い所定時間保持した後、型締め圧を若干ゆるめて賦形されたトレイ11のアニーリングを行う。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄されたときに、自然環境下において微生物等により分解される生分解性材料で構成された生分解性繊維積層体及びその生分解性繊維積層体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用内装部品として、例えばドアトリムでは、熱硬化性樹脂を含浸させたドライマット等からなる芯材及び表皮材等が積層されたシートをプレス成形するものが知られている。そして、このドアトリムでは、シートの高展開率部位に切れやスケなどの不具合の発生を抑制するために、芯材の基材の高展開率部位に熱硬化性樹脂を含浸させたメッシュ体からなる補強材を載置し、芯材とともに熱プレスすることによって賦形を行っている(第1の従来構成、特許文献1参照。)。
【0003】
また、近年、廃棄物問題等、環境保全に対する関心が大きな高まりを見せる中、廃棄処分の容易であり、環境中に廃棄されても環境に与える負荷の少ない生分解性樹脂を利用した各種成形品が注目されている。このような流れは、車両用内装部品についても例外ではなく、車両用内装部品に天然繊維であるケナフの靭皮繊維と生分解性の熱可塑性樹脂とを混合させた繊維積層体ボードを用いることも提案されてきている(第2の従来構成、特許文献2参照。)。
【0004】
さらに、生分解性熱プレス成形品の強度を向上させるため、生分解性樹脂と、竹繊維、麻繊維、パイナップル繊維、バナナ繊維、ヤシ繊維の内1種類以上の天然繊維とを混合した生分解性樹脂複合材料も提案されている(第3の従来構成、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
実開平5−95733号公報(第5−6頁、第5,6図)
【特許文献2】
特開2000−141524号公報(第2頁、第1図)
【特許文献3】
特開2002−146219号公報(第2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、生分解性樹脂材料は、汎用エンジニアリングプラスチックに比べて、機械的特性が低いとともに、熱の影響を受けて変形しやすいという欠点を有している。このため、特に高い機械的強度と耐熱性の要求される車両用内装部品への生分解性樹脂の適用は、あまり進んでいないのが現状である。
【0007】
これに対して、前記第2及び第3の従来構成においては、前述のように、熱プレス成形品の強度の向上は図られている。しかしながら、深絞りを行うようなプレス成形では、金型内でシートに侵入してくるプラグに対して、材料を十分に追従させることが困難であり、成形品に切れやスケといった不具合が生じるおそれがある。
【0008】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、生分解性を備えて、かつプレスによる深絞り加工が可能な生分解性繊維積層体と、その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、生分解性繊維と生分解性樹脂とからなる基材層と、生分解性材料からなり、前記基材層の少なくとも片面に配置される表面層とを、積層一体化した生分解性繊維積層体において、前記基材層には、天然繊維からなる網目状シートが配設されていることを要旨とするものである。
【0010】
この本願請求項1に記載の発明では、網目状シートにより、積層体に張りを保った状態で、プレス成形時における基材層の局所的な伸びが抑制される。このため、比較的延性の小さい生分解性樹脂をプレス加工により深絞りするような場合であっても、基材層の材料を金型の型面に沿って全体に分散させることができる。これにより、積層体が破れたり局部的に薄くなったりすることが抑制され、積層品の見栄えを向上することができる。
【0011】
また、基材層の生分解性樹脂と、表面層の生分解性材料とを、同系統の生分解性樹脂で構成することにより、基材層と表面層との密着性が向上し、積層品の見栄えをさらに向上させることができる。
【0012】
また、本願請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記基材層中の生分解性繊維は、天然繊維を含むことを要旨とするものである。
この本願請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の発明の効果に加えて、基材層の生分解性を生かしつつ、基材層自体の強度を向上することができて、成形品全体の強度を高めることができる。
【0013】
また、本願請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記表面層が、生分解性繊維の不織布からなることを要旨とするものである。
【0014】
この本願請求項3に記載の発明では、前記請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、不織布の表面状態を生かして、積層品の表面を起毛したような風合いに仕上げることができる。
【0015】
また、本願請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記網目状シートは、前記基材層中に埋設されていることを要旨とするものである。
【0016】
この本願請求項4に記載の発明では、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、網目状シートに起因する模様が表面層の表面に浮き出すことを抑制することができる。
【0017】
また、本願請求項5に記載の発明は、生分解性繊維と生分解性樹脂とからなる基材層と、生分解性材料からなり、前記基材層の少なくとも片面に配置される表面層とを積層一体化した生分解性繊維積層体の製造方法において、前記生分解性繊維と前記生分解性樹脂とを混合して綿状シートを形成し、その綿状シートと、天然繊維からなる網目状シートとを積層して前記基材層の前成形体を形成するとともに、その前成形体を前記生分解性樹脂の融点以上に加熱し、その基材層の前成形体と前記表面層とを積層した状態で、金型を用いてプレス成形して賦形することを要旨とするものである。
【0018】
この本願請求項5に記載の発明では、請求項1とほぼ同様の効果が発揮される。
また、本願請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記網目状シートを前記綿状シートの間に挟み込んで前記基材層の前成形体を形成することを要旨とするものである。
【0019】
この本願請求項6に記載の発明では、前記請求項5に記載の発明の効果に加えて、前成形体を加熱した後にプレスすることで、網目状シートを容易に基材層内に埋設することができる。また、積層体がプレス成形する際に基材層に網目状シートを内在した状態で展開されるため、基材層の均一な展開がより確実なものとなる。
【0020】
また、本願請求項7に記載の発明は、前記請求項5または請求項6に記載の発明において、前記プレス成形時において、前記金型の表面を、前記生分解性繊維の融点と生分解性樹脂の融点と生分解性材料の融点とのいずれよりも低く、成形の行われる環境の温度よりも高い温度に加熱し、その金型内で前記前成形体と表面層とをプレス状態で所定時間保持することを要旨とするものである。
【0021】
この本願請求項7に記載の発明では、前記請求項5または請求項6に記載の発明の効果に加えて、賦形された積層体を金型内で加温しながら、徐冷することができる。従って、積層体をいきなり成形している環境に放出して冷却する場合に比べて、基材層における生分解性樹脂の結晶化を進めることができて、積層体の耐熱性を向上させることができる。
【0022】
また、本願請求項8に記載の発明は、前記金型の表面を、前記生分解性繊維の融点と生分解性樹脂の融点と生分解性材料の融点とのいずれよりも低く、前記生分解性樹脂のガラス転移温度より高い温度に加熱し、その金型内で前記前成形体と表面層とをプレス状態で所定時間保持することを要旨とするものである。
【0023】
この本願請求項8に記載の発明では、前記請求項7に記載の発明の効果に加えて、より確実に積層体を徐冷することができる。このため、さらに基材層中の生分解性樹脂の結晶化を進行させることができる。
【0024】
また、本願請求項9に記載の発明は、前記請求項5〜請求項8のうちいずれか一項に記載の発明において、前記プレス成形時において、前記金型を型締め状態で所定時間保持した後に、その金型の型締め圧をゆるめた状態でさらに所定時間保持することを要旨とするものである。
【0025】
この本願請求項9に記載の発明では、前記請求項5〜請求項8のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、表面層として不織布を使用する場合に、表面層の起毛状態が損なわれることが抑制され、表面の風合いを良好に保つことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の生分解性繊維積層体及びその製造方法を、例えば車両のコンソールボックス、リヤパッケージトレイ、トランクルーム等に装着されるトレイと、その製造方法に具体化した一実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。
【0027】
図1に示すように、生分解繊維積層体としてのトレイ11は、例えば小物等の物品を収容するための四角箱状の収容部12と、その収容部12の開口縁の周囲から外方に向かって膨出されたフランジ部13とを有している。そして、図2に示すように、このトレイ11は、基材層14と、前記収容部12の内周面側の表面に配置される表面層としての不織布15とからなる生分解性シート16のプレス成形品となっている。
【0028】
前記基材層14は、天然繊維として、例えば竹繊維を補強材とし、生分解性樹脂としてのポリ乳酸をマトリックス樹脂とする基材シート17と、その基材シート17の内部に埋設され、天然繊維としての麻繊維等からなる網目状シート18とで構成されている。
【0029】
なお、基材シート17における竹繊維とポリ乳酸との配合割合は、竹繊維が30〜80重量%の範囲であることが好ましく、50〜70重量%の範囲であることがより好ましい。この前記基材シート17は、トレイ11をプレス成形する際に、竹繊維とポリ乳酸繊維とが互いに絡み合った綿状シート19(図3参照)と前記網目状シート18とが積層一体化されることにより形成される。
【0030】
ここで、竹繊維が30重量%を下回る時には基材シート17の強度を十分ではなく、一方竹繊維が80重量%を超えるとプレス成形時における基材シート17の伸びが低下する。
【0031】
また、ポリ乳酸繊維は、その繊維長が5〜500mmであることが好ましく、10〜50mmであることがより好ましい。また、そのポリ乳酸繊維の繊維径は、5〜1000μmであることが好ましく、5〜500μmであることがより好ましく、30〜300μmであることがさらに好ましい。ここで、繊維長が5mmを、繊維径が5μmを下回る場合には、竹繊維とポリ乳酸繊維との絡まり合いが弱くなる。一方、繊維長が500mmを、繊維径が1000μmを超える場合には、竹繊維とポリ乳酸繊維との均一分散性が低下することがある。
【0032】
前記不織布15は、生分解性材料として、例えばポリ乳酸繊維を用い、カード法、エアレイ法等の乾式法または湿式法により生分解性繊維ウェブを形成した後、水流絡合法、ニードルパンチ法、サーマルボンド法、ステッチボンド法、ケミカルボンド法等により製造することができる。この不織布15を構成するポリ乳酸繊維は、その繊維長が5〜500mmであることが好ましく、10〜50mmであることがより好ましい。また、そのポリ乳酸繊維の繊維径は、5〜500μmであることが好ましく、30〜300μmであることがより好ましい。ここで、繊維長が5mmを、繊維径が5μmを下回る場合には、不織布15の表面が起毛した状態となりにくくなる。一方、繊維長が500mmを、繊維径が500μmを超える場合には、繊維同士が絡み合いにくくなることがある。
【0033】
次に、このトレイ11の製造方法について説明する。
まず、竹繊維とポリ乳酸繊維とを所定の重量比で混合し、例えばニードルパンチ法などにより、両繊維を互いに絡み合わせて、綿状シート19を形成する。そして、図3に示すように、この綿状シート19で網目状シート18を挟み込み、前成形体20を形成する。次いで、この前成形体20を、ポリ乳酸繊維の融点(170℃)を超える170〜210℃、好ましくは180〜190℃程度に加熱する。ここで、この加熱温度は、竹繊維の融点よりも低いものとなっている。この加熱された前成形体20上に不織布15を載置し、金型21にセットする。
【0034】
次に、図4に示すように、金型21を型締めするとともに、型締め状態で3〜20秒、好ましくは5〜10秒程度保持し、トレイ11の賦形を行う。次に、金型21のうちで移動型21aを0.1〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.0mm程度後退させ、型締め圧をゆるめた状態で、10〜120秒、好ましくは40〜60秒程度保持してアニーリングを行う。
【0035】
ここで、トレイ11を成形する際、金型21の表面は、好ましくは57〜130℃、より好ましくは90〜110℃に加熱されている。つまり、金型21は、基材シート17のマトリックス樹脂であるポリ乳酸のガラス転移点である57℃より高く、融点である170℃より低い温度に加熱されている。このように加熱された金型21内で賦形したトレイ11のアニーリングを行うことで、形態を保持した状態で賦形されたトレイ11を徐冷することができる。ここで、金型21の表面温度は、57℃より高ければ、ポリ乳酸の結晶化を進行させることが可能だが、結晶化を効果的に進行させるためには90℃以上とすることが望ましい。また、金型21の表面温度が110℃を超えると、その表面温度がポリ乳酸の融点に近くなるため、逆に結晶化の進行が遅くなり、冷却に多大な時間を要することになる。
【0036】
アニーリングを終えたトレイ11は、金型21から取り外して、プレス成形の行われる環境下でさらに冷却され、製品となる。
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0037】
(イ) このトレイ11は、竹繊維とポリ乳酸とからなる基材層14と、その片面にはポリ乳酸繊維の不織布15とが積層一体化されたものとなっている。その基材層14には、麻繊維からなる網目状シート18が埋設されている。
【0038】
このため、トレイ11を前成形体20と網目状シート18とからプレス成形する際に、トレイ11に張りを保ったまま、基材層14の局所的な伸びを抑制しつつ、材料を、金型21の型面に沿って収容部12とフランジ部13との全体に展開させることができる。このため、生分解性を有する深絞りタイプのトレイ11に、破れや局部的に薄い部分が生じることが抑制され、トレイ11の見栄えを向上することができる。
【0039】
(ロ) このトレイ11では、基材層14のマトリックス樹脂と、不織布15を構成する材料とが、いずれもポリ乳酸となっている。このため、ともに生分解異性を備える基材層14と不織布15との間の密着性を高くすることができる。このため、プレス成形時における基材層14の伸びに対する不織布15の伸びの追従性を高く保つことができ、トレイ11における破れや局部的に薄い部分の発生をより効果的に抑制することができる。従って、トレイ11の見栄えを、さらに向上させることができる。
【0040】
(ハ) このトレイ11では、基材層14に、プレス成形に先立つ加熱温度より高い融点を有する竹繊維が補強材として添加されている。このため、基材層14の生分解性を生かしつつ、基材層14自体の強度を向上することができて、トレイ11に生分解性を具備させつつも、トレイ11全体の強度を高めることができる。
【0041】
(ニ) このトレイ11は、基材層14上にポリ乳酸繊維の不織布15が積層一体化されている。このため、不織布15の表面状態を生かして、トレイ11の表面を起毛したような風合いに仕上げることができる。
【0042】
(ホ) このトレイ11では、麻繊維からなる網目状シート18が、基材層14中に埋設されている。このため、網目状シート18に起因する模様が不織布15の表面に浮き出すことを抑制することができる。
【0043】
(ヘ) このトレイ11の製造方法では、竹繊維とポリ乳酸繊維とを混合して綿状シート19を形成し、網目状シート18を綿状シート19の間に挟み込むようにして重ね合わせることで、基材層14の前成形体20を形成している。そして、その前成形体20をポリ乳酸の融点以上に加熱し、その前成形体20と不織布15とを積層した状態で、金型21を用いてプレス成形して賦形するようになっている。
【0044】
このため、網目状シート18を容易に基材層14内に埋設することができ、基材層14の強度を容易に高めることができる。また、トレイ11の収容部12は、プレス成形の際に基材層14に網目状シート18を内在した状態で展開されるため、基材層14の均一な展開がより確実なものとなる。これにより、この方法により製造したトレイ11において、前記(イ)〜(ハ)に記載の効果を容易かつより確実に発揮させることができる。
【0045】
(ト) このトレイ11の製造方法では、トレイ11のプレス成形時において、金型21の表面を、竹繊維及びポリ乳酸のいずれの融点よりも低く、ポリ乳酸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱している。そして、その金型21内で賦形したトレイ11をプレス状態で所定時間保持するようになっている。
【0046】
このため、賦形されたトレイ11を金型21内において、徐冷することができる。従って、トレイ11をいきなり成形している環境に放出して急冷する場合に比べて、基材層14におけるポリ乳酸の結晶化を進めることができて、トレイ11の耐熱性を向上させることができる。
【0047】
(チ) このトレイ11の製造方法では、トレイ11のプレス成形時において、金型21を型締め状態で所定時間保持した後に、その移動型21aを若干後退させて型締め圧をゆるめた状態で、トレイ11を金型21内に所定時間保持するようになっている。このため、基材層14のポリ乳酸の結晶化を進行させつつ、不織布15の表面の起毛が倒されてしまうことを抑制することができる。これにより、トレイ11の表面の起毛状態が損なわれることが抑制され、その表面の風合いを良好に保つことができて、トレイ11の外観及び触感を向上させることができる。
【0048】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変形してもよい。
・ 前記実施形態では、基材層14の生分解性樹脂をポリ乳酸としたが、この生分解性樹脂は、熱可塑性の材料であればポリ乳酸に限定されるものではない。すなわち、基材層14の生分解性樹脂としては、例えばポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、デンプン変性樹脂、セルロース変性樹脂またはこれらの混合物等を用いることができる。ただし、使用する生分解性樹脂の熱的性質に応じて、プレス加工時における温度条件を変更する必要がある。
【0049】
・ 前記実施形態では、基材層14の生分解性繊維を竹繊維としたが、基材層14に共存する生分解性樹脂より融点の高い繊維であれば竹繊維に限定されるものではない。すなわち、基材層14の生分解性繊維としては、例えば麻(亜麻、ラミー、マニラ麻、サイザル麻、ケナフ、ジュート等)繊維、綿繊維、パイナップル繊維、バナナ繊維、ヤシ繊維、その他木材繊維またはこれらの混合物等も用いることもできる。
【0050】
・ 前記実施形態では、網目状シート18を麻繊維からなるものとしたが、基材層14に共存する生分解性樹脂より融点の高い繊維からなるものであれば麻繊維の網目状構造体に限定されるものではない。すなわち、網目状シート18の生分解性繊維としては、例えばポリヒドロキシブチレート繊維、ポリカプロラクトン繊維、ポリブチレンサクシネート繊維、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)繊維、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)繊維、ポリエチレンサクシネート繊維、ポリビニルアルコール繊維、酢酸セルロース繊維、デンプン変性樹脂の繊維、セルロース変性樹脂の繊維、竹繊維、綿繊維、パイナップル繊維、バナナ繊維、ヤシ繊維、その他木材繊維またはこれらの混合物等を用いることもできる。
【0051】
・ 前記実施形態では、基材層14のマトリックス樹脂をポリ乳酸とするとともに、網目状シート18を麻繊維で形成した。これに対して、例えば基材層14のマトリックス樹脂を、低融点(140℃)タイプのポリ乳酸とし、網目状シート18を通常のポリ乳酸(融点170℃)の繊維からなるものとしてもよい。この場合、基材層14における網目状シート18とマトリックス樹脂との密着性を向上させることができる。
【0052】
・ 前記実施形態では、不織布15をポリ乳酸繊維からなるものとした。これに対して、不織布15として、例えばポリヒドロキシブチレート繊維、ポリカプロラクトン繊維、ポリブチレンサクシネート繊維、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)繊維、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)繊維、ポリエチレンサクシネート繊維、ポリビニルアルコール繊維、酢酸セルロース繊維、デンプン変性樹脂の繊維、セルロース変性樹脂の繊維、竹繊維、綿繊維、パイナップル繊維、バナナ繊維、ヤシ繊維、その他木材繊維またはこれらの混合物等からなるものを用いることもできる。
【0053】
・ 前記実施形態では、基材層14のマトリックス樹脂をポリ乳酸、不織布15をポリ乳酸繊維からなるものとした。これに対して、基材層14のマトリックス樹脂と、不織布15とを、生分解性を有するものであって、異なる材料で構成してもよい。ここで、その異なる材料同士の親和性が低い場合には、接着剤等を利用してもよいが、その接着剤も生分解性を有することが望ましい。
【0054】
・ 前記実施形態において、金型21の表面を、プレス成形を行う環境の温度よりも高く、基材層14中のポリ乳酸のガラス転移温度よりも低い温度に加温して、トレイ11のアニーリングを行ってもよい。
【0055】
・ 前記実施形態において、基材層14中に複数の網目状シート18を設けてもよい。
・ 前記実施形態において、基材層14の両面に不織布15を設けてもよい。
【0056】
・ 前記実施形態において、網目状シート18を基材層14と不織布15との間に設けてもよい。
・ 前記実施形態において、基材層14の表面上に、不織布15に代えて、例えば生分解性樹脂含浸ファブリック、生分解性レザー、生分解性フィルム等を設けてもよい。
【0057】
・ 前記実施形態では、本発明を、車両のコンソールボックス、リヤパッケージトレイ、トランクルーム等に装着されるトレイと、その製造方法に具体化した。これに対して、本発明の生分解樹脂積層体とその製造方法は、車両用のインナパネル、ドアトリム、フェンダトリム、インストルメントパネル本体、コンソールボックス本体、リアパッケージトレイ本体、各種ガーニッシュ、天井の内張パネル、トランクルーム内の内張パネル等の車両用内装部品に適用することができる。また、本発明は、建築用内装部品にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をトレイに具体化した一実施形態を示す一部切欠斜視図。
【図2】図1の2−2線断面図。
【図3】図1のトレイの成形方法に関し、前成形体及び不織布を型開き状態の金型にセットする際の説明図。
【図4】図1のトレイの成形方法に関し、トレイのプレス状態を示す断面図。
【符号の説明】
11…生分解性繊維積層体としてのトレイ、14…基材層、15…表面層をなす不織布、18…網目状シート、19…綿状シート、20…前成形体、21…金型。

Claims (9)

  1. 生分解性繊維と生分解性樹脂とからなる基材層と、生分解性材料からなり、前記基材層の少なくとも片面に配置される表面層とを、積層一体化した生分解性繊維積層体において、
    前記基材層には、天然繊維からなる網目状シートが配設されていることを特徴とする生分解性繊維積層体。
  2. 前記基材層中の生分解性繊維は、天然繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の生分解性繊維積層体。
  3. 前記表面層が、生分解性繊維の不織布からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生分解性繊維積層体。
  4. 前記網目状シートは、前記基材層中に埋設されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の生分解性繊維積層体。
  5. 生分解性繊維と生分解性樹脂とからなる基材層と、生分解性材料からなり、前記基材層の少なくとも片面に配置される表面層とを積層一体化した生分解性繊維積層体の製造方法において、
    前記生分解性繊維と前記生分解性樹脂とを混合して綿状シートを形成し、その綿状シートと、天然繊維からなる網目状シートとを積層して前記基材層の前成形体を形成するとともに、その前成形体を前記生分解性樹脂の融点以上に加熱し、その基材層の前成形体と前記表面層とを積層した状態で、金型を用いてプレス成形して賦形することを特徴とする生分解性繊維積層体の製造方法。
  6. 前記網目状シートを前記綿状シートの間に挟み込んで前記基材層の前成形体を形成することを特徴とする請求項5に記載の生分解性繊維積層体の製造方法。
  7. 前記プレス成形時において、前記金型の表面を、前記生分解性繊維の融点と生分解性樹脂の融点と生分解性材料の融点とのいずれよりも低く、成形の行われる環境の温度よりも高い温度に加熱し、その金型内で前記前成形体と表面層とをプレス状態で所定時間保持することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の生分解性繊維積層体の製造方法。
  8. 前記金型の表面を、前記生分解性繊維の融点と生分解性樹脂の融点と生分解性材料の融点とのいずれよりも低く、前記生分解性樹脂のガラス転移温度より高い温度に加熱し、その金型内で前記前成形体と表面層とをプレス状態で所定時間保持することを特徴とする請求項7に記載の生分解性繊維積層体の製造方法。
  9. 前記プレス成形時において、前記金型を型締め状態で所定時間保持した後に、その金型の型締め圧をゆるめた状態でさらに所定時間保持することを特徴とする請求項5〜請求項8のうちいずれか一項に記載の生分解性繊維積層体の製造方法。
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