JP2004254441A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータの運転音・振動を軽減するため、通電角を150°程度に設定して運転すると、1相当りの誘起電圧の連続検出が電気角30°分しか確保できず、脱調・乱調等の不安定現象が発生し易くなる傾向があった。
【解決手段】DCブラシレスモータの出力電圧を制御する領域と電流位相を制御する領域に分け、それぞれに最適な誘起電圧手段を有し、モータの回転が各領域の最適な切換え条件に達すると、モータ制御方法を移行してモータの速度制御を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】DCブラシレスモータの出力電圧を制御する領域と電流位相を制御する領域に分け、それぞれに最適な誘起電圧手段を有し、モータの回転が各領域の最適な切換え条件に達すると、モータ制御方法を移行してモータの速度制御を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスDCモータの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブラシレスDCモータの回転数を制御する方式として、120°通電方式と正弦波180°通電方式がある。
図5は、120°通電方式のモータ制御装置のブロック図である。直流交流変換手段16によりブラシレスDCモータ(BLM)17を駆動させ、ブラシレスDCモータ17の誘起電圧を誘起電圧検出手段18により検出し、さらにそのゼロクロス信号を検出し、電圧制御手段19により直流交流変換手段16の相電圧と基準電圧の比較を行なう。そして電圧制御手段19からの信号を正弦波PWMの制御手段20によりPWMの変調率を変化させることで前記直流交流変換手段16へフィードバック制御することによりブラシレスDCモータ17の回転数制御を行っている(例えば、特許文献1)。
【0003】
さらに、モータを高速回転させるには、180°通電方式にする必要がある。180°通電方式は、モータ巻線の中点電位と3相のインバータ出力電圧に対して3相Y結線した抵抗の中点電位との差分電圧を増幅し、それを積分回路に入力しその積分回路の出力信号と、その出力信号をフィルタ回路により処理した直流カットしたローパスフィルタ信号との比較により、誘起電圧に対応する位置検知信号を得ることで駆動する(例えば、特許文献2、3)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2642357号公報
【特許文献2】
特開平7−245982号公報
【特許文献3】
特開平7−337079号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来構成では、モータ高速回転を実現するために120°通電方式では、ブラシレスDCモータ17の誘起電圧部分のゼロクロスの比較を行うため、モータの負荷急変・電源電圧急変の状態が起きると、誘起電圧のゼロクロス信号がインバータ出力電圧領域内に隠れてしまい、検出できなくなる。
【0006】
そして、このような状態になると脱調により、インバータシステムが停止してしまう。また、1相当たりの誘起電圧が電気角60°連続して確認できるが、モータの運転音・振動を軽減するため、通電角を150°程度に設定して運転すると、1相当たりの誘起電圧の連続検出が電気角30°分しか確保できず、通常運転時においても脱調する危険性が増加し、また乱調等の不安定現象も発生し易くなる傾向があった。
【0007】
また、180°通電に近い運転は不可能であるという課題を有していた。図6は、120°通電方式の相電流波形と誘起電圧波形の位相関係図である。通常運転時には誘起電圧21に対して相電流22の位置に設定し、最高回転数を増加させる場合には相電流23の位置まで進角させる。しかし、相電流22の位置より進角させることは困難であるため、最高回転数も低くなり、限定された速度範囲でしか運転できない課題があった。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、機械的電磁ピックアップセンサを必要としない誘起電圧フィードバック制御の新方式により、従来の180°通電に必要な付属回路が必要でなく、位置センサ付正弦波180°通電と同等レベルの高速性能を実現し、かつ制御の安定性を確保したモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、ブラシレスDCモータの誘起電圧によりロータの磁極位置情報を検出するロータ位置検出手段と、低・中速領域であるモータの出力電圧制御領域と高速領域であり弱め界磁制御領域である電流位相制御領域とでそれぞれに最適な誘起電圧検出手段を有し、各領域を判定して誘起電圧検出方法を切り換える手段を有するモータ制御装置において、モータの回転数が、前記出力電圧制御領域であり且つ、その変調率が所定の最大値となると、電流位相制御領域に切り換えることでそれぞれに最適な誘起電圧手段とを有し、尚且つ各領域への最適な切り換り条件を判別し、脱調などの不安定現象を防止するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1及び図2は、本発明のDCブラシレスモータの回転数制御の制御領域を示す図である。図1及び図2において、領域1は出力電圧制御領域であり低・中速領域、領域2は電流位相制御領域であり弱め界磁制御が必要な高速領域である。図1に示すように領域1では、インバータの変調率の増加に伴ってモータ回転数を増加させて、モータの回転数を制御する領域である。また、領域2では進角の増加に伴ってモータ回転数を増加させてモータ回転数を制御する領域である。
【0012】
このように、変調率は領域1ではモータ回転数の増加と共に増加し、領域2では一定となる。一方、進角は領域1では一定で、領域2でモータ回転数の増加と共に増加する。
【0013】
また、図2に領域1における変調率に対するモータの回転数の関係と、領域2における進角に対するモータの回転数の関係を示す。変調率が100%以下では、モータの回転回転数5をf、変調率3をγとし、簡単化すると、
f≒a・γ (0%<γ≦100%、aは、任意定数:a>0)
の関係であり、変調率によりモータの回転数を制御する。変調率が100%以下の領域では、例えば変調率は、γi−1、γi、γi+1のステップで増減して、モータの回転数を制御する。モータの回転数が高くなり、変調率が100%以上になると変調率とモータの回転数の関係は、
f≒b・γ (bは任意定数:a>b>0)
γ100%≦γ≦γx<γmax(領域1の変調率の最大値6)
γ100% :変調率100%
γx:変調率変化点≒(γ100%+γmax)/2
γmax:領域1の変調率の最大値6
の関係となる。つまり、この領域では、変調率が100%以下の増減ステップと同じであれば、モータの回転数の増減は小さくなる。すなわち、変調率の増加度合いに対し、モータ回転数の増加度合いが鈍くなる。そのため変調率をγi−2、γi、γi+2のように増減ステップを変調率が100%以下の増減ステップより大きくしてモータの回転数の増減を制御する。さらに変調率がγx以上になると、変調率とモータの回転数の関係は、
f≒c・γ (cは任意定数:a>b>c>0、γx≦γ≦γmax)
となる。そのため、前記理由と同様に変調率をγi−3、γi、γi+3のように増減ステップをさらに大きくしてモータの回転数の増減を制御する。領域1では、入力電流位相の進角は一定である。
【0014】
一方、モータの回転数が高速回転している領域2では、モータ回転数と連動して入力電流位相を進角させる。図2の領域2は、入力電流位相の進角とモータの回転数の関係を示している。モータの回転数をf、入力電流位相の進角をθとすると、
f=f0(1+1/cosθ)
f0:領域2に切り換り直後のモータの回転数
θ:θ0(f0時の進角=0°:領域2の最小進角9)〜90°
となる。このとき、図1に示すように変調率は一定であり、モータの回転数は、出力電圧でなく、入力電流位相の進角の増減で制御する。図1、図2の点10は、領域1と領域2の切り換え点を示している。
【0015】
図3にモータの回転数が領域1から領域2に切り換るフローチャートを示す。図3(1)では、領域1において(ステップ101)、モータの回転数が大きくなり、インバータの変調率が所定の最大値6であると判断すると、切換え点10となり(ステップ102)、モータの回転数は、領域2の高速回転へと移行する(ステップ103)。モータの回転数が領域1から領域2に切り換わると、変調率は、領域2の変調率の所定の最大値11一定となり、領域2の変調率最大値11は、領域1の変調率最大値(γmax)6より大きい。モータの回転数が領域2に入ると、入力電流位相の進角を制御することで、モータ回転数を制御する。
【0016】
また、図3(2)〜(3)のようなフローチャートとすることもできる。図3(2)では、モータの領域1(ステップ104)から領域2(ステップ106)への切り換え条件が、モータの領域1におけるインバータの変調率が最大値6であり、且つ目標回転数>現在のモータ回転数である(ステップ105)。また、図3(3)では、モータの領域1(ステップ107)から領域2(ステップ109)への切り換え条件が、領域1におけるインバータの変調率が所定の最大値6であり、且つ目標回転数>(現在のモータ回転数+モータのヒステリシス成分)である(ステップ108)。
【0017】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。図4は実施の形態1とは逆に電流位相制御領域2から領域1への切換えのフローチャートである。図4(1)では、モータが高速回転して、モータの回転数が領域2にある状態において(ステップ110)、モータの回転数が減少し、モータの入力電流位相の進角が所定の最小値9であると判断すると(ステップ111)、図1に示す切換え点10となり、領域1に移行する(ステップ112)。モータの回転数が領域2から領域1へ切換えると、インバータの変調率により制御する。このとき、入力電流位相の進角は一定であり、領域1の入力電流位相の進角最小値15は、領域2の入力電流位相の進角最小値9(θ0)より小さい。
【0018】
また、図4(2)〜(3)のようなフローチャートにすることもできる。図4(2)では、領域2(ステップ113)から領域1(ステップ115)へ切り換る条件が、領域2におけるモータの入力電流位相の進角が所定の最小値9であり、且つ目標回転数<現在のモータ回転数である(ステップ114)。
【0019】
図4(3)では、領域2(ステップ116)から領域1(ステップ118)への切り換り条件が領域2におけるモータの入力電流位相の進角が所定の最小値9であり、且つ目標回転数<(現在のモータ回転回転数−ヒステリシス成分)である(ステップ117)。
【0020】
【発明の効果】
上記から明らかなように、本発明によればモータの回転数の領域1から領域2への切換えにおいて、領域1の変調率が最大値になると領域2へ切換えることで安定した制御の切り換えを行うことができ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0021】
また本発明によれば、変調率を100%以上とすることで領域1を最大限まで拡大し、領域2へ切換えることでモータ制御を安定させ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0022】
また本発明によれば、変調率が100%以上になると、変調率の増減に対しモータの回転数の増減が小さくなり、モータの回転数の増減も一定でないため、2段階に分けて変調率の増減ステップを大きくすることで、安定したモータ制御を行ない、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0023】
また本発明によれば、モータ回転数の、領域2から領域1への切換えにおいて、領域2の所定の進角最小値11になると領域1へ切り換ることで、安定した制御の切り換えを行うことができ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0024】
また本発明によれば、領域2の変調率の最大値11を領域2の変調率の最大値6より大きくすることで、切換え時のモータ制御を安定させ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0025】
また本発明によれば、領域1の入力電流位相の進角最小値15は、領域2の電流位相の進角最小値9より小さくすることで、安定した制御の切換えを行うことができ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態のパラメータの回転数領域図
【図2】本発明の第1及び第2の実施の形態のパラメータの回転数領域図
【図3】本発明の第1の実施の形態を示すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施の形態を示すフローチャート
【図5】従来の120°通電方式のモータ制御装置のブロック図
【図6】従来の120°通電制御の相電流波形と誘起電圧波形との関係を示す図
【符号の説明】
1 出力電圧制御領域
2 電流位相制御領域
6 出力電圧制御領域における変調率の最大値
9 入力電流位相領域2の入力電流位相の進角最小値
10 切換え点
11 領域2における変調率の最大値
15 領域1の入力電流位相の進角最小値
16 直流交流変換手段
17 ブラシレスDCモータ
18 誘起電圧検出手段
19 電圧制御手段
20 PWM制御手段
21 誘起電圧
22 相電流
23 相電流
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスDCモータの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブラシレスDCモータの回転数を制御する方式として、120°通電方式と正弦波180°通電方式がある。
図5は、120°通電方式のモータ制御装置のブロック図である。直流交流変換手段16によりブラシレスDCモータ(BLM)17を駆動させ、ブラシレスDCモータ17の誘起電圧を誘起電圧検出手段18により検出し、さらにそのゼロクロス信号を検出し、電圧制御手段19により直流交流変換手段16の相電圧と基準電圧の比較を行なう。そして電圧制御手段19からの信号を正弦波PWMの制御手段20によりPWMの変調率を変化させることで前記直流交流変換手段16へフィードバック制御することによりブラシレスDCモータ17の回転数制御を行っている(例えば、特許文献1)。
【0003】
さらに、モータを高速回転させるには、180°通電方式にする必要がある。180°通電方式は、モータ巻線の中点電位と3相のインバータ出力電圧に対して3相Y結線した抵抗の中点電位との差分電圧を増幅し、それを積分回路に入力しその積分回路の出力信号と、その出力信号をフィルタ回路により処理した直流カットしたローパスフィルタ信号との比較により、誘起電圧に対応する位置検知信号を得ることで駆動する(例えば、特許文献2、3)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2642357号公報
【特許文献2】
特開平7−245982号公報
【特許文献3】
特開平7−337079号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来構成では、モータ高速回転を実現するために120°通電方式では、ブラシレスDCモータ17の誘起電圧部分のゼロクロスの比較を行うため、モータの負荷急変・電源電圧急変の状態が起きると、誘起電圧のゼロクロス信号がインバータ出力電圧領域内に隠れてしまい、検出できなくなる。
【0006】
そして、このような状態になると脱調により、インバータシステムが停止してしまう。また、1相当たりの誘起電圧が電気角60°連続して確認できるが、モータの運転音・振動を軽減するため、通電角を150°程度に設定して運転すると、1相当たりの誘起電圧の連続検出が電気角30°分しか確保できず、通常運転時においても脱調する危険性が増加し、また乱調等の不安定現象も発生し易くなる傾向があった。
【0007】
また、180°通電に近い運転は不可能であるという課題を有していた。図6は、120°通電方式の相電流波形と誘起電圧波形の位相関係図である。通常運転時には誘起電圧21に対して相電流22の位置に設定し、最高回転数を増加させる場合には相電流23の位置まで進角させる。しかし、相電流22の位置より進角させることは困難であるため、最高回転数も低くなり、限定された速度範囲でしか運転できない課題があった。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、機械的電磁ピックアップセンサを必要としない誘起電圧フィードバック制御の新方式により、従来の180°通電に必要な付属回路が必要でなく、位置センサ付正弦波180°通電と同等レベルの高速性能を実現し、かつ制御の安定性を確保したモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、ブラシレスDCモータの誘起電圧によりロータの磁極位置情報を検出するロータ位置検出手段と、低・中速領域であるモータの出力電圧制御領域と高速領域であり弱め界磁制御領域である電流位相制御領域とでそれぞれに最適な誘起電圧検出手段を有し、各領域を判定して誘起電圧検出方法を切り換える手段を有するモータ制御装置において、モータの回転数が、前記出力電圧制御領域であり且つ、その変調率が所定の最大値となると、電流位相制御領域に切り換えることでそれぞれに最適な誘起電圧手段とを有し、尚且つ各領域への最適な切り換り条件を判別し、脱調などの不安定現象を防止するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1及び図2は、本発明のDCブラシレスモータの回転数制御の制御領域を示す図である。図1及び図2において、領域1は出力電圧制御領域であり低・中速領域、領域2は電流位相制御領域であり弱め界磁制御が必要な高速領域である。図1に示すように領域1では、インバータの変調率の増加に伴ってモータ回転数を増加させて、モータの回転数を制御する領域である。また、領域2では進角の増加に伴ってモータ回転数を増加させてモータ回転数を制御する領域である。
【0012】
このように、変調率は領域1ではモータ回転数の増加と共に増加し、領域2では一定となる。一方、進角は領域1では一定で、領域2でモータ回転数の増加と共に増加する。
【0013】
また、図2に領域1における変調率に対するモータの回転数の関係と、領域2における進角に対するモータの回転数の関係を示す。変調率が100%以下では、モータの回転回転数5をf、変調率3をγとし、簡単化すると、
f≒a・γ (0%<γ≦100%、aは、任意定数:a>0)
の関係であり、変調率によりモータの回転数を制御する。変調率が100%以下の領域では、例えば変調率は、γi−1、γi、γi+1のステップで増減して、モータの回転数を制御する。モータの回転数が高くなり、変調率が100%以上になると変調率とモータの回転数の関係は、
f≒b・γ (bは任意定数:a>b>0)
γ100%≦γ≦γx<γmax(領域1の変調率の最大値6)
γ100% :変調率100%
γx:変調率変化点≒(γ100%+γmax)/2
γmax:領域1の変調率の最大値6
の関係となる。つまり、この領域では、変調率が100%以下の増減ステップと同じであれば、モータの回転数の増減は小さくなる。すなわち、変調率の増加度合いに対し、モータ回転数の増加度合いが鈍くなる。そのため変調率をγi−2、γi、γi+2のように増減ステップを変調率が100%以下の増減ステップより大きくしてモータの回転数の増減を制御する。さらに変調率がγx以上になると、変調率とモータの回転数の関係は、
f≒c・γ (cは任意定数:a>b>c>0、γx≦γ≦γmax)
となる。そのため、前記理由と同様に変調率をγi−3、γi、γi+3のように増減ステップをさらに大きくしてモータの回転数の増減を制御する。領域1では、入力電流位相の進角は一定である。
【0014】
一方、モータの回転数が高速回転している領域2では、モータ回転数と連動して入力電流位相を進角させる。図2の領域2は、入力電流位相の進角とモータの回転数の関係を示している。モータの回転数をf、入力電流位相の進角をθとすると、
f=f0(1+1/cosθ)
f0:領域2に切り換り直後のモータの回転数
θ:θ0(f0時の進角=0°:領域2の最小進角9)〜90°
となる。このとき、図1に示すように変調率は一定であり、モータの回転数は、出力電圧でなく、入力電流位相の進角の増減で制御する。図1、図2の点10は、領域1と領域2の切り換え点を示している。
【0015】
図3にモータの回転数が領域1から領域2に切り換るフローチャートを示す。図3(1)では、領域1において(ステップ101)、モータの回転数が大きくなり、インバータの変調率が所定の最大値6であると判断すると、切換え点10となり(ステップ102)、モータの回転数は、領域2の高速回転へと移行する(ステップ103)。モータの回転数が領域1から領域2に切り換わると、変調率は、領域2の変調率の所定の最大値11一定となり、領域2の変調率最大値11は、領域1の変調率最大値(γmax)6より大きい。モータの回転数が領域2に入ると、入力電流位相の進角を制御することで、モータ回転数を制御する。
【0016】
また、図3(2)〜(3)のようなフローチャートとすることもできる。図3(2)では、モータの領域1(ステップ104)から領域2(ステップ106)への切り換え条件が、モータの領域1におけるインバータの変調率が最大値6であり、且つ目標回転数>現在のモータ回転数である(ステップ105)。また、図3(3)では、モータの領域1(ステップ107)から領域2(ステップ109)への切り換え条件が、領域1におけるインバータの変調率が所定の最大値6であり、且つ目標回転数>(現在のモータ回転数+モータのヒステリシス成分)である(ステップ108)。
【0017】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。図4は実施の形態1とは逆に電流位相制御領域2から領域1への切換えのフローチャートである。図4(1)では、モータが高速回転して、モータの回転数が領域2にある状態において(ステップ110)、モータの回転数が減少し、モータの入力電流位相の進角が所定の最小値9であると判断すると(ステップ111)、図1に示す切換え点10となり、領域1に移行する(ステップ112)。モータの回転数が領域2から領域1へ切換えると、インバータの変調率により制御する。このとき、入力電流位相の進角は一定であり、領域1の入力電流位相の進角最小値15は、領域2の入力電流位相の進角最小値9(θ0)より小さい。
【0018】
また、図4(2)〜(3)のようなフローチャートにすることもできる。図4(2)では、領域2(ステップ113)から領域1(ステップ115)へ切り換る条件が、領域2におけるモータの入力電流位相の進角が所定の最小値9であり、且つ目標回転数<現在のモータ回転数である(ステップ114)。
【0019】
図4(3)では、領域2(ステップ116)から領域1(ステップ118)への切り換り条件が領域2におけるモータの入力電流位相の進角が所定の最小値9であり、且つ目標回転数<(現在のモータ回転回転数−ヒステリシス成分)である(ステップ117)。
【0020】
【発明の効果】
上記から明らかなように、本発明によればモータの回転数の領域1から領域2への切換えにおいて、領域1の変調率が最大値になると領域2へ切換えることで安定した制御の切り換えを行うことができ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0021】
また本発明によれば、変調率を100%以上とすることで領域1を最大限まで拡大し、領域2へ切換えることでモータ制御を安定させ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0022】
また本発明によれば、変調率が100%以上になると、変調率の増減に対しモータの回転数の増減が小さくなり、モータの回転数の増減も一定でないため、2段階に分けて変調率の増減ステップを大きくすることで、安定したモータ制御を行ない、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0023】
また本発明によれば、モータ回転数の、領域2から領域1への切換えにおいて、領域2の所定の進角最小値11になると領域1へ切り換ることで、安定した制御の切り換えを行うことができ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0024】
また本発明によれば、領域2の変調率の最大値11を領域2の変調率の最大値6より大きくすることで、切換え時のモータ制御を安定させ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【0025】
また本発明によれば、領域1の入力電流位相の進角最小値15は、領域2の電流位相の進角最小値9より小さくすることで、安定した制御の切換えを行うことができ、回転数の乱調、脱調を防止するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態のパラメータの回転数領域図
【図2】本発明の第1及び第2の実施の形態のパラメータの回転数領域図
【図3】本発明の第1の実施の形態を示すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施の形態を示すフローチャート
【図5】従来の120°通電方式のモータ制御装置のブロック図
【図6】従来の120°通電制御の相電流波形と誘起電圧波形との関係を示す図
【符号の説明】
1 出力電圧制御領域
2 電流位相制御領域
6 出力電圧制御領域における変調率の最大値
9 入力電流位相領域2の入力電流位相の進角最小値
10 切換え点
11 領域2における変調率の最大値
15 領域1の入力電流位相の進角最小値
16 直流交流変換手段
17 ブラシレスDCモータ
18 誘起電圧検出手段
19 電圧制御手段
20 PWM制御手段
21 誘起電圧
22 相電流
23 相電流
Claims (11)
- DCブラシレスモータの誘起電圧によりロータの磁極位置情報を検出するロータ位置検出手段と、低・中速領域であるモータの出力電圧制御領域と高速領域である電流位相制御領域とでそれぞれに最適な誘起電圧検出手段を有し、各領域を判定して誘起電圧検出方法を切り換える手段を有するモータ制御装置において、モータの回転数が、前記出力電圧制御領域であり且つ、その変調率が所定の最大値となると、電流位相制御領域に切り換わることを特徴とするモータ制御装置。
- 電流位相制御領域への切り換えを実行する条件が、出力電圧制御領域の変調率が所定の最大値となり、且つ目標回転数が現在のモータの回転数より大なることを特徴とする、請求項1記載のモータ制御装置。
- 電流位相制御領域への切り換えを実行する条件が、出力電圧制御領域の変調率が所定の最大値となり、且つ目標回転数が現在のモータの回転回転数とヒステリシス成分の和よりも大なることを特徴とする、請求項1記載のモータ制御装置。
- 出力電圧制御領域の変調率の最大値は、100%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のモータ制御装置。
- 出力電圧制御領域の変調率が100%以上になると、変調率100%以下の変調率の増減ステップが変調率100%以上の増減ステップより小なることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のモータ制御装置。
- 変調率100%以上の増減ステップは、2段階にわけて増減ステップ幅を制御することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のモータ制御装置。
- モータの回転数が電流位相制御領域にあって、モータの入力電流の位相の進角が所定の最小値になると、出力電圧制御領域に切換わることを特徴とするモータ制御装置。
- モータの回転数が、電流位相制御領域にあって、出力電圧制御への切換え条件が、モータの入力電流の位相の進角が所定の最小値になり、且つ目標回転数が現在の回転数より小なることを特徴とする、請求項7記載のモータ制御装置。
- モータの回転数が、電流位相制御領域にあって、出力電圧制御への切換え条件が、モータの入力電流の位相の進角が所定の最小値になり、且つ目標回転数が現在の回転数からヒステリシス成分を差引いた値より小なることを特徴とする、請求項7記載のモータ制御装置。
- 出力電圧制御領域の変調率の最大値は、電流位相制御領域の変調率の最大値以下であることを特徴とする、請求項1乃至3および請求項7乃至9のいずれかに記載のモータ制御装置。
- モータの入力電流の位相進角の所定の最小値は、出力電圧制御領域における前記進角の最小値が電流位相制御領域における前記進角の最小値以下であることを特徴とする、請求項1乃至3および請求項7乃至9に記載のモータ制御装置。
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