JP2004254184A - ノイズ除去装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノイズ除去装置に関し、特に希望波からそれに重畳するパルス性ノイズのみを除去するノイズ除去装置を提供する。
【解決手段】信号近傍のノイズが重畳する信号からそのノイズを除去するノイズ除去装置は、信号帯域内の周波数を用いて前記信号を選択出力する第1ミキサ部と、信号帯域外の周波数を用いて前記信号近傍のノイズだけを選択出力する第2ミキサ部と、前記第1ミキサ部からの信号を第1受信部により受信する主信号受信部と、前記第2ミキサ部からのノイズを前記第1受信部と同じ受信特性を有する第2受信部により受信するノイズ検出部と、前記主信号受信部で受信した信号から前記ノイズ検出部で受信したノイズを減算処理して受信信号に重畳するノイズを除去する減算処理部と、を有する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はノイズ除去装置に関し、特に外部からのパルス性ノイズが重畳した信号から、そのパルス性ノイズを除去するパルス性ノイズ除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、受信信号にパルス性ノイズが重畳した一例を示したものである。
ここでは、一例として車載用のAM受信機の場合を考える。AM受信機にはイグニッションノイズやモータ駆動ノイズ等の車内で発生する種々のパルス性ノイズが頻繁に混入する。AM受信機のRFフィルタを通過した直後のパルス性ノイズは、その広い帯域にわたって分布する。それが受信チャネル信号(希望波)に重畳して図示するような特性を示す。
【0003】
AM受信機に混入するパルス性ノイズを除去するために、現行では一般にノイズキャンセラーが使用される。
図2は、従来のノイズキャンセラーによる幾つかのノイズ除去手法を図式的に示したものである。
図2の(a)及び(b)には、従来のノイズキャンセラーのノイズ検出方法を示している。ここでは、信号に重畳したノイズレベルを所定の閾値(Vth)と比較して、その閾値を超えるノイズ範囲をパルス状のノイズ検出信号として検出する。
【0004】
これから、図2の(c)では、ノイズ検出信号の継続時間中信号レベルを強制的にゼロ値に設定して信号中のパルス性ノイズ部分を除去する。また、図2の(d)では、ノイズ検出信号の立ち上がり時点の信号レベルをそのノイズ検出信号の継続時間中保持することで信号中のパルス性ノイズ部分を除去する。さらに、図2の(e)では、ノイズ検出信号の立ち上がり時点と立ち下り時点の2点間の信号レベルを直線で近似することにより信号中のパルス性ノイズ部分を除去する(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−297135号公報(図17参照)
【特許文献2】
特開平4−271523号公報(図9参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した図2の(c)〜(e)のいずれの手法も、信号波形をパルス性ノイズが重畳する前の信号波形に近似的に回復させるものである。図2の例では、図2の(e)が最もその近似精度が高く、図2の(d)から図2の(c)の順番で近似精度が低下していく。これらの場合、ノイズ除去と同時にノイズが重畳する希望波の一部も除去されるか、又は近似による別のノイズが信号に付加される。そのため、前記従来手法では一定以上の通信品質の向上は困難であるという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、上記問題点に鑑み、パルス性ノイズが重畳した信号から可能な限り純粋にパルス性ノイズのみを除去するパルス性ノイズ除去装置を提供することにある。
【0008】
本発明によれば、信号近傍のノイズが重畳する信号からそのノイズを除去するノイズ除去装置であって、信号帯域内の周波数を用いて前記信号を選択出力する第1ミキサ部と、信号帯域外の周波数を用いて前記信号近傍のノイズだけを選択出力する第2ミキサ部と、前記第1ミキサ部からの信号を第1受信部により受信する主信号受信部と、前記第2ミキサ部からのノイズを前記第1受信部と同じ受信特性を有する第2受信部により受信するノイズ検出部と、前記主信号受信部で受信した信号から前記ノイズ検出部で受信したノイズを減算処理することで受信した信号に重畳するノイズを除去する減算処理部と、で構成するノイズ除去装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、信号近傍のノイズが重畳する信号からそのノイズを除去するノイズ除去装置であって、信号帯域内の周波数を用いて前記信号を選択出力するミキサ部と、前記ミキサ部からの信号を第1受信部で受信する主信号受信部と、前記ミキサ部からの信号から前記信号近傍のノイズだけを選択するフィルタ部を有し、そのフィルタ部からのノイズを前記第1受信部と同じ受信特性を有する第2受信部により受信するノイズ検出部と、前記主信号受信部で受信した信号から前記ノイズ検出部で受信したノイズを減算処理することで受信した信号に重畳するノイズを除去する減算処理部と、で構成するノイズ除去装置が提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、前記第2受信部は、ノイズを検波する検出部と、前記第1受信部と同じ遅延特性を与える遅延部と、前記第1受信部と同じレベル特性を与える増幅部と、で構成される。このように本発明では、信号近傍のノイズが重畳する信号からその信号を選択して受信する受信手段と、前記信号近傍のノイズだけを前記受信手段と同じ受信特性により検出する検出手段と、前記受信手段で受信した信号から前記検出手段で受信したノイズを減算処理することで受信した信号に重畳するノイズだけを除去する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明によるノイズ除去装置の基本構成を示したものである。
図3において、入力から与えられる信号は、図1で示したようにAM受信器のRF部等を通過した直後の信号である。その信号は、第1ミキサ(MIX1)1及び第2ミキサ(MIX2)3の各々一方の入力に与えられる。
【0012】
第1ミキサ1の他方の入力には、所望の中心周波数fを有する希望波を選択するために、局部発信周波数f が与えられる。また、第2ミキサ3の他方の入力には、純粋にパルス性ノイズのみを検出するために、中心周波数fの希望波の帯域にかからないΔf離れた点の局部発振周波数f + Δf が与えられる。
【0013】
主信号受信部2は、所望の希望波f の帯域外のノイズをフィルタリングして通過した希望波の利得調整を行なう。一方、ノイズ検出部4は、希望波の帯域にかからない純粋なノイズのみを、主信号受信部2と同じフィルタ構成で抽出する。
【0014】
よって、主信号受信部2とノイズ検出部4の信号通過帯域特性は同じであり、また主信号受信部2及びノイズ検出部4の時間応答特性も同じである。従って、主信号受信部2を通過した信号に重畳するパルス性ノイズとノイズ検出部4を通過したパルス性ノイズとは、同一の振幅、位相、及び時間応答特性を有するノイズ信号として受信出力される。
【0015】
減算処理部5は、主信号受信部2からのパルス性ノイズが重畳した信号からノイズ検出部4で抽出されたパルス性ノイズを直接減算し、ノイズのない純粋な信号を復元する。なお、減算処理部5による減算は、アナログ又はデジタルのいずれの減算処理によってもよい。デジタル処理の場合には、減算処理の前にA/D変換器を用いてアナログ信号をデジタル信号に変換し、その後にDSP処理する。
【0016】
図4は、図3の一実施例を示したものである。また、図5〜7には、図4の各部における動作波形のシュミレーション結果を示している。
図4では、図3と同じものには同一の符号を付している。また、図4の主信号系をなす主信号受信部2及び検出系をなすノイズ検出部4は、RF部の次段の中間周波受信部を構成している。
【0017】
本例では、図5以降のシュミレーションとの関連から、複数のバンドパスフィルタ及びAGC増幅器からなる簡易な構成としている。なお、主信号受信部2とノイズ検出部4とは、同一の電子部品を使用している。
【0018】
次に、図4〜7を参照しながら本実施例の動作を説明する。ここで、図4の(a)〜(q)で示す主信号受信部2及びノイズ検出部4の各部の信号波形は、図5〜7の信号波形(a)〜(q)にそれぞれ対応している。先ず、アンテナで受信されたパルス性ノイズが重畳する信号は、図1に示すように希望波に重畳するノイズが広帯域に分布した信号となってRF部から出力される。
【0019】
その信号は、第1ミキサ1及び第2ミキサ3のそれぞれ一方の入力に与えられる。第1ミキサ1の他方の入力には希望波を選択するために局部発信周波数f が与えられ、第2ミキサ3の他方の入力にはパルス性ノイズのみを検出するために希望波の帯域にかからない局部発振周波数f + Δf が与えられる。その結果、主信号受信部2の受信トランスからは受信信号にインパルス性ノイズが重畳された信号が出力され((a))、一方のノイズ検出部4の受信トランスからはインパルス性ノイズだけが出力される((i))。
【0020】
次に、各受信トランスからの出力信号は、初段における帯域の広いバンドパスフィルタを通過した後((b)及び(j))に初段のACG増幅器によって所定のレベルに増幅される((c)及び(k))。以降、順次帯域が狭くなるバンドパスフィルタを通過して最終段のACG増幅器まで同様の処理が繰り返される((d)〜(g)及び(l)〜(o))。その後、検出部(DET)から半波整流された信号が出力される((h)及び(p))。
【0021】
ここでは、パルス性ノイズの時間応答波形が、主信号受信部2とノイズ検出部4とで相互に一致しているのが分かる。最初に受信されたインパルス性ノイズは高周波成分を多く含むことから狭く急峻な特性を有しているが((a)及び(i))、多段のバンドパスフィルタやAGC増幅器を通過しながら、各部の処理遅延と帯域制限とによる応答特性が付加されていく((g)及び(o))。
【0022】
本願発明では、主信号受信部2とノイズ検出部4とで同一部品を使用することで、パルス性ノイズのレベル特性及び時間応答特性を互いに一致させている((h)及び(p))。その結果、減算処理部5による信号同士の減算処理によって、ほぼ純粋な受信信号(希望波)が得られる。本例では減算処理部5にDSP (Digital Signal Processing) デバイスを使用しており、その各入力端にはA/Dコンバータが、そして出力端にはD/Aコンバータがそれぞれ内蔵されている。
【0023】
このように、本願発明によれば純粋にパルス性ノイズだけを除去可能となる。そのため、従来例の波形近似手法のように信号の一部が除去されたり、新たなノイズが信号に付加されたりせずに、高精度で信号だけを復元できる。
【0024】
図8は、本発明によるノイズ除去装置の別の構成例を示したものである。
図8は、図3の基本構成を簡易化したものであり、第1ミキサ(MIX1)1だけを使用している。本例では第2ミキサ(MIX2)(図3)を除去し、それに代えて、ノイズ検出部4’には中心周波数を希望波f からΔfだけずらしたフィルタ部を備える。これによってノイズ成分のみを抽出する。その他は、図3の基本構成と同じである。
【0025】
図9は、図8の一実施例を示したものである。
図9では、第1ミキサ(MIX1)1によって希望波f を選択し、その選択された信号は主信号系をなす信号フィルタ部2と検出系をなすノイズ検出部4’の双方に入力される。ノイズ検出部4’では、その初段にバンドパスフィルタ(網掛フィルタ部分)を設け、その中心周波数は純粋にノイズだけを検出する周波数f + Δf を設定している。他は、図4と同様である。
【0026】
本例の場合には、第2ミキサ(MIX1)の削減によるコスト面及び実装面でのメリットに加えて、ノイズ検出部4’で使用する部品も信号フィルタ部2のものと同一である。そのため、図3の構成で説明した本願発明と同様のメリットが得られる。ただし、ノイズ検出部4’における初段のバンドパスフィルタの特性は信号フィルタ部2のものとは異なるため、図3の構成に比べるとノイズ除去性能が若干低下する。
【0027】
図10は、図4の実施例をさらに簡易化した例を示したものである。また、図11には、図10の各部における動作波形のシュミレーション結果を示している。
図4の実施例では、ノイズ検出部4に使用するフィルタや増幅器の部品を信号フィルタ部2と同一部品を使用することで、高精度のノイズ除去性能を達成してきた。本例では、そのノイズ検出部4に簡易構成を適用することで、性能面よりもコスト面や実装面でのメリットをさらに優先させている。ここでは、本例によるノイズ検出部4’’として半波整流を行なう検出器(DET)11を初段に設け、その後段には一定の帯域制限を与えつつ遅延時間を調整する遅延回路(delay)12と信号レベルを調整するAGC増幅器13とを設けている。
【0028】
次に、図11の信号波形を参照しながら本実施例の動作を説明する。なお、図10の(r)〜(y)で示す主信号受信部2及びノイズ検出部4”の各部の信号波形は、図11の信号波形(r)〜(y)にそれぞれ対応している。本例でも、アンテナで受信されたインパルス性ノイズが重畳する信号は、図1に示すように希望波に重畳するノイズが広帯域に分布した信号となってRF部から出力される。
【0029】
第1ミキサ1及び主信号受信部2の各動作は図4の実施例と同じである。一方、第2ミキサ3から出力されるパルス性ノイズは((v))、初段の検出器(DET)11の半波整流により直ちに検出される((w))。遅延回路(delay)12の通過により、そのノイズには主信号受信部2側の処理遅延に相当する所定の遅延時間と所定の帯域制限とが加えられる((x))。
【0030】
さらに、後段のAGC増幅器13によってその帯域制限とともに主信号受信部2のレベルダイヤとの一致がはかられ、主信号受信部2側のノイズ成分とほぼ同様のノイズ成分が生成される((y))。以降の処理は図4の実施例と同じである。
【0031】
このように、本例では抽出されたノイズに一定の処理操作を行なうが、インパルス性ノイズが重畳した信号と抽出されたインパルス性ノイズとを使用し、その間で直接減算処理を行なう点で先の実施例と同様である。その結果、単にノイズが存在する時間位置を検出してその間の信号波形操作を行なう従来のノイズキャンセラーと比べて、十分に優れたノイズ除去性能が達成される。
【0032】
図12は、図9の実施例をさらに簡易化した実施例を示したものである。
本例のノイズ検出部4’’’ に適用される簡易化の手法は、前述した図10の実施例と同じである。従って、図9と10の双方のコスト面や実装面でのメリットを有しており、また従来のノイズキャンセラーと比べて十分に優れたノイズ除去性能も有している。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、パルス性ノイズが重畳した信号から可能な限り純粋にパルス性ノイズのみを除去するパルス性ノイズ除去装置が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】受信信号にパルス性ノイズが重畳した一例を示した図である。
【図2】従来のノイズキャンセラーによるノイズ除去手法を図式的に示した図である。
【図3】本発明によるノイズ除去装置の基本構成を示した図である。
【図4】図3の一実施例を示した図である。
【図5】図4の動作波形のシュミレーション結果(1)を示した図である。
【図6】図4の動作波形のシュミレーション結果(2)を示した図である。
【図7】図4の動作波形のシュミレーション結果(3)を示した図である。
【図8】本発明によるノイズ除去装置の別の構成例を示した図である。
【図9】図8の一実施例を示した図である。
【図10】図4の実施例をさらに簡易化した例を示した図である。
【図11】図10の動作波形のシュミレーション結果を示した図である。
【図12】図9の実施例をさらに簡易化した例を示した図である。
【符号の説明】
1…第1ミキサ
2…主信号受信部
3…第2ミキサ
4、4’、4’’、4’’’…ノイズ検出部
5…減算処理部
11…検出器
12…遅延回路
13…AGC増幅器

Claims (5)

  1. 信号近傍のノイズが重畳する信号からそのノイズを除去するノイズ除去装置であって、
    信号帯域内の周波数を用いて前記信号を選択出力する第1ミキサ部と、
    信号帯域外の周波数を用いて前記信号近傍のノイズだけを選択出力する第2ミキサ部と、
    前記第1ミキサ部からの信号を第1受信部により受信する主信号受信部と、
    前記第2ミキサ部からのノイズを前記第1受信部と同じ受信特性を有する第2受信部により受信するノイズ検出部と、
    前記主信号受信部で受信した信号から前記ノイズ検出部で受信したノイズを減算処理することで受信した信号に重畳するノイズを除去する減算処理部と、で構成することを特徴とするノイズ除去装置。
  2. 前記第2受信部は、
    前記第2ミキサ部からのノイズを検波する検出部と、
    前記第1受信部と同じ遅延特性を与える遅延部と、
    前記第1受信部と同じレベル特性を与える増幅部と、
    で構成される、請求項1記載のノイズ除去装置。
  3. 信号近傍のノイズが重畳する信号からそのノイズを除去するノイズ除去装置であって、
    信号帯域内の周波数を用いて前記信号を選択出力するミキサ部と、
    前記ミキサ部からの信号を第1受信部で受信する主信号受信部と、
    前記ミキサ部からの信号から前記信号近傍のノイズだけを選択するフィルタ部を有し、そのフィルタ部からのノイズを前記第1受信部と同じ受信特性を有する第2受信部により受信するノイズ検出部と、
    前記主信号受信部で受信した信号から前記ノイズ検出部で受信したノイズを減算処理することで受信した信号に重畳するノイズを除去する減算処理部と、で構成することを特徴とするノイズ除去装置。
  4. 前記第2受信部は、
    前記フィルタ部からのノイズを検波する検出部と、
    前記第1受信部と同じ遅延特性を与える遅延部と、
    前記第1受信部と同じレベル特性を与える増幅部と、
    で構成される、請求項3記載のノイズ除去装置。
  5. 信号近傍のノイズが重畳する信号からその信号を選択して受信する受信手段と、
    前記信号近傍のノイズだけを前記受信手段と同じ受信特性により検出する検出手段と、
    前記受信手段で受信した信号から前記検出手段で受信したノイズを減算処理することで受信した信号に重畳するノイズを除去する処理手段と、により構成することを特徴とするノイズ除去装置。
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