JP2004253645A - 超電導素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】配線部分のインダクタンスを低減するとともに接合間におけるIの分散を抑制して、良好な特性を示す超電導素子を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に積層されてジョセフソン接合を形成する、酸化物超電導体の下部電極層、絶縁性のバリア層、および酸化物超電導体の上部電極層とを含み、前記上部電極層が、下記式(A)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(B)で表される組成を有する主成長層と
YbBaCu …(A)
YbBaCuy’ …(B)
(ここで、3.0<w≦3.45、6≦y≦8、6≦y’≦8である。)
を有する超電導素子。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超電導素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
超電導体により形成されるSFQ回路(Single Flux Quantum:単一磁束量子素子)は、100GHzを超える周波数領域において動作可能な特性を持つことから、近未来の超高速論理回路作製に向けた要素技術として期待されている。SFQ回路の応用分野としては、移動体通信基地用の高速A/Dコンバータ、インターネットルータなどの通信インフラ、超高速性を生かした超ハイスループットコンピュータ用演算回路などが考えられている。
【0003】
SFQ回路を形成するにあたっては、低温超電導体よりも高温酸化物超電導体を用いることが有利なのは明らかである。すなわち、Nb系に代表される従来の低温超電導体を用いたSFQ回路は液体ヘリウムなどの冷媒を要し、4.2Kでしか動作できなかった。これに対して、高温酸化物超電導体を用いたSFQ回路は30〜40Kにおいても動作周波数500GHz程度のパフォーマンスが期待でき、GMクーラーなどのクライオクーラーにより冷却可能であるため冷却コストが極めて安価である。
【0004】
ただし、上記のような高速動作を実現するためには、接合部のI値などを最適化し、回路規模に応じて接合I値の分散を制御し、接合の配線部分のインダクタンス(以下Lと表記する)およびキャパシタンス(以下Cと表記する)を所望範囲内に設定し、配線長、配線幅、配線層厚みなどの回路設計マージンを向上させることが必要である。これらのうちC値低減に関しては、超電導層に隣接して配置される絶縁体層(すなわち基板および層間絶縁層)の動作条件下での比誘電率(以下、εと表記)を極力低下させることにより達成可能である。
【0005】
一方、I値の分散低減に関しては、接合界面部分での接合臨界電流密度の均一化を達成することが求められる。また、インダクタンス制御に関しては、配線部分のロンドン磁場侵入長(以下λと略記)をバルク値と同程度に低減し、かつ薄膜成長時に長いλを持つ配向を抑制することが求められている。
【0006】
以下、SFQ回路の超高速動作を実現するために、超電導接合部、配線部および絶縁層部がそれぞれ満たすべき条件を項目別により詳細に記述する。
【0007】
(I)設計上の条件
SFQを動作させるには、超電導接合と配線部によって構成されるリング部分に、単一磁束量子 (Single Flux Quantum) を担持させる。このとき、次の設計上の条件を満たすことが重要である。すなわち、接合Iとリングを形成する配線部のインダクタンスLとの積が下記の式(1)を満たさなければならない。
0.5φ<L・I<1.5φ …(1)
ここで、φは磁束量子である。
【0008】
また、グランドプレーン層上に層間絶縁層を挟んだ形で形成された超電導配線のストリップラインにおける配線インダクタンスLおよび単位正方形を基準とした配線インダクタンスL□は下記式(2)および(2’)で表される。
L=L□・d・(1/w) …(2)
L□=μ{tiso+λL(GP)coth(tGP/λL(GP))+λL(S)coth(t/λL(S))} …(2’)
ここで、tiso、tGP、t、λL(GP)、λL(S)は、それぞれ、絶縁層の厚み、グランドプレーン層の厚み、ストリップラインの厚み、グランドプレーン層のロンドン磁場侵入長、ストリップラインのロンドン磁場侵入長を表す。式(2’)から、グランドプレーン層またはストリップラインの厚みが薄いかまたはロンドン磁場侵入長が長いとL□が大きくなり、回路動作に悪影響を及ぼすことがわかる。
【0009】
上記の条件を満たすためには、LおよびIの絶対値の設計とプロセス上の制御性が重要になることがわかる。
【0010】
次に、ヒステリシスを持たないSFQ回路を形成するためには、接合の臨界電流値Iが、下記式(3)を満たさなければならない。
【0011】
β=I・R ・C/φ<1 …(3)
ここで、Rは接合抵抗、Cは接合容量、βはマッカンバーパラメータと呼ばれる量である。また、数十K程度での使用温度で熱雑音によるSFQ回路の誤動作を避けることが設計上必要となる。式(3)を満たし、熱雑音を回避するには、I値はおおよそ1mA程度であることが要求される。Iがおおよそ1mAのとき、L□は1×10−12H(ヘンリー)以下であることが要求される。
【0012】
次に、高速動作のためには、各接合が高いI・R積を持つ必要がある。I・R値からは、ストリップラインを通過する電磁波の位相速度vと周波数ωが下記式(4)および(4’)のように決定される。
【0013】
v=ω・λ∝(L・C)−1/2 …(4)
ω=I・R/φ …(4’)
ここで、LおよびCは配線部のインダクタンスおよび容量、λは電磁波の波長、φは磁束量子を表す。
【0014】
この際、ストリップラインの線長dは、下記式(5)を満たすことが必要である。
【0015】
d<λ …(5)
これは、ストリップラインの長さが電磁波の波長程度になると、電磁波の局在現象が生じ、電磁波がストリップラインを通過できなくなるためである。この条件により、式(2)の配線長dの上限が決まる。dの下限はプロセス精度およびL□の設計値から決定される。このような過程を経て、dの設計可能な範囲が決定される。
【0016】
以上のように、Lやdについては設計値の範囲が限定される。このため、配線長d、配線幅w、配線層厚みtなどの設計値のマージンを確保するためには、材料選択やプロセス技術の工夫により式(2)のL□をできるだけ低下させることが重要となる。
【0017】
さらに、d、w、tの設計値は、配線部の容量にも関係する。ストリップラインの容量Cは下記式(6)により表される。
【0018】
C=ε・ε・w・d・(1/t) …(6)
ここで、εはグランドプレーン層とストリップラインに挟まれた層間絶縁層の比誘電率、εは真空の誘電率である。SFQ回路においても、他の回路と同様に、容量が増大すると電磁波の位相速度が低下し散逸が増大して高速動作に不向きとなるため、できるだけ容量Cを低下させることが望ましい。このように、容量の設計の観点からも、d、w、tの設計マージンを確保することが重要になってくる。
以上において議論したように、配線部のL□値をできるだけ低下させることが望まれる。
【0019】
(II)接合Iの分散に関連するプロセス上の条件
(I)で説明したように、4.2Kで接合Iの値は約1mAであることが要求される。しかし、超電導回路は数百から数千の接合を集積化した形態で形成され、同一ウェハー内および同一条件で作製された多数のウェハー間においてI値のバラツキ(分散)が大きいことが問題となっている。例えば、1000接合規模の超電導回路においてIの標準偏差は5%以下であることが要求されるにもかかわらず、現実には標準偏差が10%〜30%の範囲になっている。
【0020】
接合Iを均一化するためには、接合面積の均一化および接合臨界電流密度(以下、接合Jという)の均一化の両方を同時に達成することが必要である。このためには、フォトリソグラフィーにおけるパターニング精度の向上および接合を流れる超電導電流の電流密度の均一化の両方が求められる。
【0021】
しかし、フォトリソグラフィーのパターニング精度は、露光装置、レジスト材料、ベーキング温度、マスクパターンなどの外来的要因により決定されるため、現状以上の精度を求めることは困難と考えられる。このため、制御可能なプロセス上のパラメータは、単位面積当たりの接合Jの均一化となる。
【0022】
いま、電極層の膜厚が極めて薄い場合を想定すると、式(2)、(2’)においてt→0としたときに相当し、インダクタンスが膜厚に反比例して上昇することがわかる(すなわち、L∝1/t)。これは、ランプエッジ型接合の下部電極層の最も膜厚の薄い部分では、局所的にインダクタンスが上昇することを示唆する。インダクタンス上昇は、下記式(7)に示すように、電磁波の通過に対してインピーダンス成分の上昇をもたらす。
【0023】
Z=R+i(ωL−1/ωC) …(7)
(ここで、Z、R、i、ωは、それぞれ、全インピーダンス、抵抗成分、虚数単位、電磁波の周波数を表す)。
【0024】
薄いエッジ部のインダクタンス上昇により、電流がエッジ部分で分流され、下部電極層の最下部の電流密度は低下する。このことは、接合間での最薄層部のインダクタンスのバラツキ、ランプ角度のバラツキなどの要因により、接合Jの不均一につながり、結果的にウェハー内およびウェハー間のI分散を大きくする。
【0025】
以上において議論したように、接合Iの均一化を実現するには、接合Jの分散抑制を図ることが重要になる。
【0026】
(III)配線に関するプロセス上の条件
(I)の議論(式(2’))から、L□を低下させる(具体的には4.2Kで1×10−12H以下にする)ためには、ストリップラインのλが短いことが有利である。しかし、例えば基板温度が低い条件でYBaCuを成長させると、λの長い(100)配向膜となる。このため、基板温度が高い条件でYBaCuを成長させてλの短い(001)配向膜とすることが考えられる。ただし、基板温度が高い条件では配線層の膜厚が厚くなりやすいが、配線層の膜厚は接合Iの絶対値に影響を与えるため膜厚をあまり厚くできない。また、基板温度が高い条件で接合を形成すると、I値が所望値から逸脱して増大する傾向がある。そこで、基板温度が低い条件でも、λの長い(100)配向膜の成長を抑制できることが望ましい。
【0027】
上記のように、従来の超電導回路には様々な問題点があり、これらの問題点を総合的に解決することが求められていた。
【0028】
従来、上部電極層の成長直前にバリア層を形成する人工バリア型ランプエッジ接合においては、バリア層として、下部電極層および上部電極層の組成と類似しているがYサイトまたはCuサイトの組成を変化させた絶縁層を用い、バリア層の抵抗率制御により接合の電気特性を制御することが試みられている(例えば、非特許文献1、2)。しかし、このような技術では、配線部のインダクタンス制御、回路設計のマージン確保などの効果は得られない。
【0029】
【非特許文献1】
A.Flett et al. IEEE Transactions on Applied Superconductivity, V.5, p.2973, 1995
【0030】
【非特許文献2】
Q.X.Jia et al. IEEE Transactions on Applied Superconductivity, V.5, p.2103, 1995
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、配線部分のインダクタンスを低減するとともに接合間におけるIの分散を抑制して、良好な特性を示す超電導素子を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超電導素子は、基板と、基板上に積層されてジョセフソン接合を形成する、酸化物超電導体の下部電極層、絶縁性のバリア層、および酸化物超電導体の上部電極層とを含む構造を有する。
【0033】
本発明の第1の態様に係る超電導素子は、前記上部電極層が、下記式(A)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(B)で表される組成を有する主成長層とを有することを特徴とする。
【0034】
YbBaCu …(A)
YbBaCuy’ …(B)
(ここで、3.0<w≦3.45、6≦y≦8、6≦y’≦8である)。
【0035】
本発明の第2の態様に係る超電導素子は、前記下部電極層が、下記式(C)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(D)で表される組成を有する主成長層とを有することを特徴とする。
【0036】
YBaCu …(C)
YBaCuy’ …(D)
(ここで、2.65≦x<3.0、6≦y≦8、6≦y’≦8である)。
【0037】
本発明の第3の態様に係る超電導素子は、前記下部電極層が、下記式(E)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(F)で表される組成を有する主成長層とを有することを特徴とする。
【0038】
L11−aM1BaCu …(E)
L1BaCuy’ …(F)
(ここで、L1はYb、Y、Eu、Sm、NdおよびLaからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素、M1はCeおよびPrからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、0<a≦0.2、6≦y≦8、6≦y’≦8である)。
【0039】
本発明の第4の態様に係る超電導素子は、前記下部電極層および上部電極層のうち少なくとも一方が、下記式(G)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(H)で表される組成を有する主成長層とを有することを特徴とする。
L2Ba2−bM2Cu …(G)
L2BaCuy’ …(H)
(ここで、L2とM2の組み合わせはYbとNd、YとNd、YとLa、YとPr、SmとNdおよびNdとLaのいずれかであり、0<b≦0.15、6≦y≦8、6≦y’≦8である)。
【0040】
本発明に他の態様に係る超電導素子は、基板と、基板上に形成された酸化物超電導体のグランドプレーン層と、グランドプレーン層上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に積層されてジョセフソン接合を形成する、酸化物超電導体の下部電極層、絶縁性のバリア層、および酸化物超電導体の上部電極層とを含む構造を有していてもよい。
【0041】
この構造を有する超電導素子においては、前記グランドプレーン層が、下記式(I)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(J)で表される組成を有する主成長層とを有することが好ましい。
【0042】
L3Ba2−bM3Cu …(I)
L3BaCuy’ …(J)
(ここで、L3はYおよびYbからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素、M3はPr、LaおよびNdからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、0<b≦0.10、6≦y≦8、6≦y’≦8である)。
【0043】
また、前記グランドプレーン層が、下記式(K)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(N)で表される組成を有する主成長層とを有していてもよい。
【0044】
L4BaCu …(K)
L4BaCuy’ …(N)
(ここで、L4はY、SmおよびNdからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、2.65≦x<3.0、6≦y≦8、6≦y’≦8である)。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明に係る超電導素子に用いられる材料について説明する。
【0046】
基板としては、SrTiO、MgO、La−Sr−Al−Ta−O系酸化物、NdGaO、LaAlO、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)などが用いられる。
【0047】
上部電極層、下部電極層およびグランドプレーン層としては、代表的にLnBaCu(Lnはイットリウムおよび希土類金属からなる群より選択される少なくとも一種の金属元素、6.0≦z≦8.0)で表される銅系酸化物超電導体いわゆる123系超電導体が用いられる。各超電導層の間には、層間絶縁層が設けられる。これらの層は、スパッタ法、レーザーアブレーション法、蒸着法、CVD法などにより成膜される。
【0048】
ジョセフソン接合の形態には、積層型、ランプエッジ型、粒界接合型、ステップエッジ型などがある。超電導層にエッチングを施して界面形成を行うプロセスを用いる。
【0049】
バリア層は、Y1−xPrBaCu、YBaCu3−xCoなどの絶縁層を成長させてもよいし(人工バリア型ランプエッジ接合)、別途バリア層を成長させることなく下部電極層の界面を改質して形成してもよい(界面改質型ランプエッジ接合)。
【0050】
図1〜図4を参照して本発明に係る超電導素子を説明する。これらの超電導素子はいずれもランプエッジ接合を有するものである。
【0051】
図1に本発明の第1の態様に係る超電導素子を示す。基板11上には下部電極層12および層間絶縁膜13が形成されており、これらの層はランプエッジをなすように加工されている。下部電極層12の表面にはバリア層14が形成されている。これらの上に初期成長層15aと主成長層15bとを有する上部電極層15が形成されている。
【0052】
第1の態様に係る超電導素子における上部電極層15は、初期成長層15aが式(A)YbBaCu(3.0<w≦3.45)で表され、連続的に変化する組成を有し、主成長層15bが式(B)YbBaCuy’で表される組成を有する。すなわち、主成長層15bはストイキオメトリー組成を有するが、初期成長層15aは主成長層15bよりも高いCu組成(Cuリッチ)となるようにCu組成が制御されている。上部電極層15の初期成長層15aの組成をCuリッチとした場合には、λの長い(100)配向粒の発生を抑制することができるので、上部電極層15のインダクタンスを低下させることができる。
【0053】
なお、初期成長層15aおよび主成長層15bにおける酸素の組成を表すyとy’は同一でも異なっていてもよい。例えば、Cuが欠損すると、酸素組成が変化する可能性がある。また、図1では初期成長層15aと主成長層15bとを区別して図示しているが、初期成長層15aのCu組成を徐々に減少させて主成長層15bの組成(ストイキオメトリー組成)にまで連続的に変化させることから、両方の層が必ずしも明確に区別できるわけではない。これらの点は他の態様でも同様である。
【0054】
図2に本発明の第2および第3の態様に係る超電導素子を示す。基板11上には初期成長層12aと主成長層12bとを有する下部電極層12および層間絶縁膜13が形成されており、これらの層はランプエッジをなすように加工されている。下部電極層12の表面にはバリア層14が形成されている。これらの上に上部電極層15が形成されている。
【0055】
第2の態様に係る超電導素子における下部電極層12は、初期成長層12aが式(C)YBaCu(2.65≦x<3.0)で表され、連続的に変化する組成を有し、主成長層12bが式(D)YBaCuy’で表される組成を有する。すなわち、主成長層15bはストイキオメトリー組成を有するが、初期成長層12aは主成長層12bよりも低いCu組成(Cuプア)となるようにCu組成が制御されている。下部電極層12の初期成長層12aの組成をCuプアとした場合にも、λの長い(100)配向粒の発生を抑制することができる。また、初期成長層12a自体は結晶性が悪くインダクタンスが高いが、初期成長層12aのインダクタンスのみが上昇し、接合のIはストイキオメトリー組成を有する主成長層12bに集中する。そして、初期成長層12aおよび主成長層12bはいずれも良好に制御して形成することができるので、接合間でのIの分散を低下させることができる。
【0056】
第3の態様に係る超電導素子における下部電極層12は、初期成長層12aが式(E)L11−aM1BaCu(0<a≦0.2、M1はCeおよびPr)で表され、連続的に変化する組成を有し、主成長層12bが式(F)L1BaCuy’で表される組成を有する。すなわち、初期成長層12aのみでL1(Yb、Y、Eu、Sm、Nd、La)サイトの一部がCeまたはPrで置換されている。下部電極層12の初期成長層12aのL1サイトの一部をCeまたはPrで置換した場合にも、λの長い(100)配向粒の発生を抑制することができる。また、初期成長層12a自体は結晶性が悪くインダクタンスが高いが、初期成長層12aのインダクタンスのみが上昇し、接合のIは主成長層12bに集中する。そして、初期成長層12aおよび主成長層12bはいずれも良好に制御して形成することができるので、接合間でのIの分散を低下させることができる。
【0057】
また、図3に示すように、第1〜第3の態様を組み合わせて、初期成長層12aおよび主成長層12bを有する下部電極層12を形成するとともに初期成長層15aおよび主成長層15bを有する上部電極層15を形成してもよい。このように、下部電極層12および上部電極層15の両方の組成を最適化すれば、より一層良好な効果が得られる。
【0058】
本発明の第4の態様に係る超電導素子(図1〜図3のいずれかで示される)における下部電極層および上部電極層のうち少なくとも一方は、初期成長層が式(G)L2Ba2−bM2Cu(0<b≦0.15)で表され、連続的に変化する組成を有し、主成長層が式(H)L2BaCuy’で表される組成を有する(L2とM2との組合せは上述した通りである)。すなわち、初期成長層12aのみでBaサイトの一部が置換されている。この場合にも、上述した第1の態様または第2もしくは第3の態様と同様な効果が得られる。
【0059】
本発明の他の態様に係る超電導素子においては、上述したように下部電極層および上部電極層の組成を制御するのに加えて、グランドプレーン層の組成を制御してもよい。
【0060】
図4にこれらの態様に係る超電導素子を示す。基板11上には初期成長層21aと主成長層21bとを有するグランドプレーン層21および層間絶縁層22が形成されている。この層間絶縁層22上には下部電極層12および層間絶縁膜13が形成されており、これらの層はランプエッジをなすように加工されている。下部電極層12の表面にはバリア層14が形成されている。これらの上に上部電極層15が形成されている。図4には図示していないが、図1に示すように上部電極層15が初期成長層15aと主成長層15bを有する構造となっているか、図2に示すように下部電極層12が初期成長層12aと主成長層12bを有する構造となっているか、または図3に示すように下部電極層12および上部電極層15の両方が初期成長層と主成長層を有する構造となっている。
【0061】
例えば、グランドプレーン層21は、初期成長層21aが式(I)L3Ba2−bM3Cu(0<b≦0.10)で表される組成を有し、主成長層21bが式(J)L3BaCuy’で表される組成を有するものでもよい(L3およびM3は上述した通りである)。すなわち、初期成長層21aのみでBaサイトの一部が置換されている。
【0062】
また、グランドプレーン層21は、初期成長層21aが式(K)L4BaCu(2.65≦x<3.0)で表され、連続的に変化する組成を有し、主成長層21bが式(N)L4BaCuy’で表される組成を有するものでもよい(L4は上述した通りである)。すなわち、主成長層21bはストイキオメトリー組成を有するが、初期成長層21aは主成長層21bよりも低いCu組成(Cuプア)となるようにCu組成が制御されている。
【0063】
グランドプレーン層21の組成を上記のように制御した場合、初期成長層21aおよびグランドプレーン層21全体の平坦性が著しく向上し、グランドプレーン層21上に成長する下部電極層12、層間絶縁層13および上部電極層15の平坦性も向上する。この結果、接合間のIの分散低下に寄与する。
【0064】
したがって、グランドプレーン層、下部電極層および上部電極層の全ての組成を制御すればさらに高い効果が得られ、回路設計のマージンが確保され、回路動作が安定で高速性が保証された著しく良好な超電導回路を実現できる。
【0065】
本発明の各態様において、初期成長層の膜厚は、組成制御される層(上部電極層、下部電極層またはグランドプレーン層)の全膜厚の1〜10%であることが好ましい。1%未満では上述した初期成長層の効果が得られない。一方、10%を超えると、その上部に成長する層の表面凹凸が増大したり、析出物密度が増大したりするなど、その上部に形成される積層膜全体の品質が著しく劣化するうえに、ストイキオメトリー組成の部分が減少して所望の電気特性を有する層を得るのが困難になる。例えば、Cuリッチの超電導層は、ある膜厚以上になると酸化銅などの不純物を析出して表面性が劣化し、電気特性に影響を与える。
【0066】
以下、超電導層の組成を連続的に変化させるように制御する方法について説明する。
【0067】
まず、超電導層のCu組成を制御する方法について図5(a)および(b)を参照して説明する。図5(a)はYb−Ba−Cu−O超電導層を形成するために用いられるRFスパッタリング装置の模式図である。図5(a)において、基板11はヒーター51を内蔵した基板ホルダ上に設置される。一方、ターゲットとしては、YbBaCuターゲット52とCuターゲット53とが設けられる。各ターゲットには、マッチングボックス54a、54bおよびRF電源55a、55bが接続されている。YbBaCuターゲット52に加えてCuターゲット53を用いるのは以下のような理由による。すなわち、YbBaCuターゲットのみから飛来する粒子で形成される層の組成はほぼYbBaCu2.5となり、Cuが数十%程度欠損した状態になる。このため、所望の組成を有する超電導層が得られるように、Cuターゲット53からCuを補充する。
【0068】
このようなRFスパッタリング装置を用いて、第1の態様のようにCuリッチで組成が連続的に変化する初期成長層を有する上部電極層を形成する場合、図5(b)に示すように、Cuターゲットに投入するRFパワーを初期に高く設定し、ストイキオメトリー組成が得られるRFパワーまで連続的に減少させる。このようにすれば、上部電極層のCu組成のみを連続的に変化させることができる。
【0069】
逆に、第3の態様のようにCuプアな初期成長層を有する下部電極層を形成する場合、Cuターゲットに投入するRFパワーを初期に低く設定し、ストイキオメトリー組成が得られるRFパワーまで連続的に増加させる。
【0070】
また、第4の態様のように、YBaCuにおけるBaサイトをLaで置換した初期成長層を有する超電導層を形成するような場合、例えばターゲットとしてYBa2.5Cu3.5およびLaBaO2.5を用い、それぞれのターゲットに投入するRFパワーや圧力条件などを適切に制御する。
【0071】
【実施例】
実施例1
図1に示すように、上部電極層の組成制御を行った超電導素子について説明する。この例では、上部電極層のCu組成を制御した。
【0072】
基板11上にYBaCuで表される膜厚約200nmの下部電極層12をスパッタリングにより成膜した。下部電極層12を構成するYBaCuのλは酸素欠損および(100)配向粒を含まない良好な状態で約150nm程度である。したがって、インダクタンス制御のためには、下部電極層の膜厚は最低でも150nm以上であることが必要である。逆に、下部電極層の膜厚が厚過ぎると、接合Iが膜厚に比例して増大ししまうため好ましくない。これらの理由から、通常、YBaCu下部電極層12の超電導部分の膜厚は200nm程度に設定される。下部電極層12上に層間絶縁層13をスパッタリングにより成膜した。層間絶縁層13上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクとして層間絶縁層13に対して第1段のイオンエッチングを行った。レジストパターンの残渣を除去した後、下部電極層12に対して第2段のイオンエッチングを行った。これらのイオンエッチングにより、ランプエッジをなす層間絶縁層13および下部電極層12のパターンを形成した。このイオンエッチングにより下部電極層12の表面にバリア層となる変質層が形成される。
【0073】
次に、式(A)YbBaCuで表される組成を有する膜厚約20nmの初期成長層15aと、式(B)YbBaCuy’で表される組成を有する膜厚約200nmの主成長層15bとを有する上部電極層15をスパッタリングにより形成した。この上部電極層15の成膜時に、図5(a)図示のスパッタリング装置を用い、Cuターゲットに投入するRFパワーを図5(b)に示すように制御した。
【0074】
図6に、上部電極層15の膜厚方向におけるCuの組成変化を示す。初期成長層のCu組成(w)を基板側の3.15から主成長層側の3.0まで連続的に変化させて、初期成長層15aの方が主成長層15bよりもCuリッチとなるようにした。
【0075】
上記のようにしてランプエッジ型のジョセフソン結合を形成した。上部電極層15上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによりレジストパターン(図示せず)を形成した。レジストパターンをマスクとして上部電極層15をイオンエッチングすることにより上部電極層のパターンを形成した。その後、レジストパターンの残渣を除去した。また、金属電極の形成、酸化性雰囲気中でのアニールなどを行った。
【0076】
原子分解能を有するフィールドエミッション型TEM(透過電子顕微鏡)による上部電極層の構造解析の結果、組成および結晶構造が連続的に変化していることが判明した。
【0077】
図7に、Yb−Ba−Cu−O超電導層について結晶配向性のCu組成依存性を示す。図7において、横軸はCu組成(2.7〜3.3)を示し、縦軸は結晶配向性として(100)配向の体積分率および(001)配向膜のX線回折の(005)ピークの半値全幅(FWHM)を示している。
【0078】
図7に示されるように、CuリッチなYb−Ba−Cu−O薄膜では、(100)配向粒の発生が著しく抑制され(001)配向が優先的になるとともに、結晶性が向上する(FWHMが低下する)。このため、初期成長層上に形成される主成長層の結晶性も向上する。
【0079】
本実施例で得られた1チップ内の1000接合の電気特性を解析した。平均値で、I=0.96mA、R=2.12Ωが得られた。また、Iの標準偏差σ=4.3%であった。上部電極層を組成制御せずに形成した同等のIを持つ接合ではIの標準偏差σ=18.5%であったのと比較すると、非常に良好な特性を示した。
【0080】
上部電極層の単位面積あたりの配線インダクタンスはL□=0.67×10−12Hであり、組成制御せずに形成された上部電極層のL□=1.1×10−12Hと比較して良好であった。
【0081】
実施例2
図2に示すように、下部電極層の組成制御を行った超電導素子について説明する。この例では、下部電極層のCu組成を制御した。
【0082】
具体的には、式(C)YBaCuで表される組成を有する膜厚約20nmの初期成長層12aと、式(D)YBaCuy’で表される組成を有する膜厚約200nmの主成長層12bとを有する下部電極層12をスパッタリングにより形成した。
【0083】
図8に、下部電極層12の膜厚方向におけるCuの組成変化を示す。初期成長層のCu組成(x)を基板側の2.9から主成長層側の3.0まで連続的に変化させて、初期成長層12aの方が主成長層12bよりもCuプアとなるようにした。
【0084】
TEMなどによる構造解析から、初期成長層と主成長層との界面において、銅の組成が一方向的かつ連続的に変化していることがわかった。
【0085】
図9に、下部電極層12の膜厚方向における接合Jの変化を示す。この図に示されるように、接合Jは初期成長層12a内部で徐々に増加して主成長層12bの値まで変化する。
【0086】
図10に、Y−Ba−Cu−O超電導層について結晶配向性のCu組成依存性を示す。図10において、横軸はCu組成を示し、縦軸は結晶配向性として(100)配向の体積分率および(001)配向膜のX線回折の(005)ピークの半値全幅(FWHM)を示している。
【0087】
図10に示されるように、CuプアなY−Ba−Cu−O薄膜では、(100)配向粒の発生が著しく抑制され(001)配向が優先的になる。このように初期成長層で(100)配向粒の発生が著しく抑制されるので、下部電極層全体で(100)配向粒の発生が抑制される。しかし、CuプアなY−Ba−Cu−O薄膜では、結晶性が劣化する(FWHMが増加する)。このため、良好に制御して形成された初期成長層の部分のインダクタンスのみが上昇し、接合Iはほとんど全てが主成長層の部分に集中する。これによって、各接合間のI値の分散を低下させることができる。
【0088】
本実施例で得られた1チップ内の1000接合の電気特性を解析した。平均値で、I=1.01mA、R=1.9Ωが得られた。また、Iの標準偏差σ=3.3%であった。下部電極層を組成制御せずに形成した同等のIを持つ接合ではIの標準偏差σ=13.3%であったのと比較すると、非常に良好な特性を示した。
【0089】
実施例3
図2に示すように、下部電極層の組成制御を行った超電導素子について説明する。この例では、下部電極層の一部をPrで置換する制御を行った。
【0090】
具体的には、式(E’)Y1−aPrBaCu(0<a≦0.10)で表される組成を有する膜厚約20nmの初期成長層12aと、式(F’)YBaCuy’で表される組成を有する膜厚約200nmの主成長層12bとを有する下部電極層12をスパッタリングにより形成した。ここで、Y1−aPrBaCuのPr組成(a)が0.1を超えると固溶限界を超えるため、Prが実質的に固溶されなくなり、析出物の密度が著しく増大する。このため、初期成長層12aのPr組成を0.1以下に設定している。
【0091】
図11に、下部電極層12の膜厚方向におけるPrの組成変化を示す。初期成長層のPr組成(a)を基板側の0.10から主成長層側の0まで連続的に変化させた。
【0092】
図12に、Y1−aPrBaCu超電導層について結晶配向性のPr組成依存性を示す。図12において、横軸はPr組成としてaの値を示している。また、縦軸は結晶配向性として(100)配向の体積分率および(001)配向のX線回折の(005)ピークの半値全幅(FWHM)を示している。
【0093】
図12に示されるように、Prが固溶した初期成長層を用いた場合、(100)配向粒の発生が著しく抑制され(001)配向が優先的になるとともに、結晶性が向上する(FWHMが低下する)。このため、初期成長層上に形成される主成長層の結晶性も向上する。また、Prの固溶により超電導特性が抑制されて初期成長層のλが長くなる。この結果、良好に制御して形成された初期成長層のインダクタンスのみが上昇し、接合Iはほとんど全てが主成長層の部分に集中する。これによって、各接合間のI値の分散を低下させることができる。
【0094】
本実施例で得られた1チップ内の1000接合の電気特性を解析した。平均値で、I=0.93mA、R=3.7Ωが得られた。また、Iの標準偏差σ=4.5%であった。下部電極層を組成制御せずに形成した同等のIを持つ接合ではIの標準偏差σ=20.9%であったのと比較すると、非常に良好な特性を示した。図13に、本実施例で得られた接合の代表的なI−V特性を示す。
【0095】
下部電極層は、Tが90Kゼロ抵抗、配線部分の巨視的臨界電流密度としてのJが4.2Kにおいて5×10Acm−2であり、初期成長層によるTおよびJが低下するという影響は見られなかった。
【0096】
下部電極層の単位面積あたりの配線インダクタンスはL□=0.9×10−12Hであり、組成制御せずに形成された上部電極層のL□=1.5×10−12Hと比較して良好であった。
【0097】
本実施例においては、L1としてイットリウム(Y)を、M1としてプラセオジム(Pr)を用いているが、他の金属元素を用いた例でも上記と同様の効果が確認されている。
【0098】
実施例4
図1に示すように、上部電極層の組成制御を行った超電導素子について説明する。この例では、上部電極層のBaサイトの一部をNdで置換する制御を行った。
【0099】
具体的には、式(G’)YBa2−bNdCu(0<b≦0.09)で表される組成を有する膜厚約20nmの初期成長層15aと、式(H’)YBaCuy’で表される組成を有する膜厚約200nmの主成長層15bとを有する上部電極層15をスパッタリングにより形成した。ここで、YBa2−bNdCuのNd組成(b)が0.09を超えると上部電極層のTが低下し始め、接合界面付近のJに代表される超電導特性も同時に低下して、接合Iや接合Rの制御性にとって好ましくない。このため、初期成長層15aのNd組成を0.09以下に設定している。
【0100】
図14に、上部電極層15の膜厚方向におけるNdの組成変化を示す。初期成長層のNd組成(b)を基板側の0.09から主成長層側の0まで連続的に変化させた。
【0101】
図15に、YBa2−bNdCu超電導層について結晶配向性および臨界温度TのNd組成依存性を示す。図15において、横軸はNd組成としてbの値を示している。また、縦軸は結晶配向性として(100)配向の体積分率を示すとともに、臨界温度Tを示している。
【0102】
図15に示されるように、初期成長層にNdが固溶している場合、(100)配向粒の体積分率は単調に減少する。ただし、b≧0.10では、Tに代表される超電導特性が低下する。本実施例においては、初期成長層に0<b≦0.90の範囲のYBa2−bNdCu超電導層を用いることにより、上部電極層全体の結晶性を良好にすることができる。
【0103】
本実施例で得られた1チップ内の1000接合の電気特性を解析した。平均値で、I=0.96mA、R=2.12Ωが得られた。また、Iの標準偏差σ=4.3%であった。上部電極層を組成制御せずに形成した同等のIを持つ接合ではIの標準偏差σ=18.5%であったのと比較すると、非常に良好な特性を示した。
【0104】
上部電極層の単位面積あたりの配線インダクタンスはL□=0.67×10−12Hであり、組成制御せずに形成された上部電極層のL□=1.1×10−12Hと比較して良好であった。
【0105】
実施例5
図3に示すように、下部電極層および上部電極層の組成制御を行った超電導素子について説明する。この例では、下部電極層および上部電極層のBaサイトの一部をNdで置換する制御を行った。
【0106】
具体的には、式(G’)YBa2−bNdCu(0.10≦b≦0.20)で表される組成を有する膜厚約20nmの初期成長層12aと、式(H’)YBaCuy’で表される組成を有する膜厚約200nmの主成長層12bとを有する下部電極層12をスパッタリングにより形成した。また、実施例4と同様の初期成長層15aと主成長層15bとを有する上部電極層15をスパッタリングにより形成した。
【0107】
ここで、YBa2−bNdCu下部電極層を形成する場合、Tの低下などによる接合Iや接合Rなどへの影響を上部電極層ほど考慮する必要がない。また、YBa2−bNdCuにおいてもNd組成の上昇に伴い、初期成長層およびその上に成長する主成長層の結晶性が向上する。このため、下部電極層12の初期成長層12aのNd組成を、上部電極層15の初期成長層15aのNd組成(0<b≦0.90)よりも高くすることがむしろ好ましい。このため、本実施例では下部電極層12の初期成長層12aのNd組成を0.10≦b≦0.20に設定している。
【0108】
図15に示されるように、Nd≧0.10以上の組成領域においても(100)配向粒の発生が抑制されるが、Nd≧0.10以上の組成領域においてはTが単調に低下することに代表されるように、超電導特性が著しく低下し、初期成長層のλが長くなる。この結果、良好に制御して形成された初期成長層12aのインダクタンスのみが上昇し、接合Iはほとんど全てが主成長層の部分に集中する。これによって、各接合間のI値の分散を低下させることができる。
【0109】
本実施例で得られた1チップ内の1000接合の電気特性を解析した。平均値で、I=0.85mA、R=3.22Ωが得られた。また、Iの標準偏差σ=2.9%であった。上部電極層を組成制御せずに形成した同等のIを持つ接合ではIの標準偏差σ=25.0%であったのと比較すると、非常に良好な特性を示した。図16に、本実施例で得られた接合の代表的なI−V特性を示す。
【0110】
下部電極層の単位面積あたりの配線インダクタンスはL□=0.75×10−12H、上部電極層の単位面積あたりの配線インダクタンスはL□=0.56×10−12Hであり、組成制御せずに形成された下部電極層のL□=1.5×10−12H、上部電極層のL□=1.1×10−12Hと比較して良好であった。
【0111】
実施例6
図4に示すように、グランドプレーン層の組成制御を行った超電導素子について説明する。この例では、グランドプレーン層のBaサイトの一部をNdで置換する制御を行った。
【0112】
具体的には、式(I’)YBa2−bNdCu(0<b≦0.09)で表される組成を有する膜厚約20nmの初期成長層21aと、式(J’)YBaCuy’で表される組成を有する膜厚約200nmの主成長層21bとを有するグランドプレーン層21をスパッタリングにより形成した。図17に、グランドプレーン層21の膜厚方向におけるNdの組成変化を示す。初期成長層のNd組成(b)を基板側の0.05から主成長層側の0まで連続的に変化させた。接合を形成する下部電極層および上部電極層は実施例5と同様に形成した。
【0113】
本実施例で形成されたグランドプレーン層21の最表面を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、平坦性が著しく向上することが明らかとなった。すなわち、グランドプレーン層21の表面粗さRa(average roughness)は0.9nmとなり、組成制御を行わずに形成した場合のRa=3nmに比較して平坦性が著しく向上していた。また、グランドプレーン層21の平坦性が向上したことに伴い、その上に形成される下部電極層、層間絶縁層および上部電極層の平坦性も著しく向上することがわかった。
【0114】
本実施例で得られた1チップ内の1000接合の電気特性を解析した。平均値で、I=0.95mA、R=3.6Ωが得られた。また、Iの標準偏差σ=2.5%であった。
【0115】
図18に、本実施例に従って組成制御を行った場合と、組成制御を全く行わなかった場合とで、1ウェハー内20接合のIバラツキを比較した結果を示す。本実施例に従って組成制御を行った場合の標準偏差はσ=1.0%であり、組成制御なしの場合の21%と比較して著しく向上した。
【0116】
また、適宜構成されたSQUID回路パターンの動作から、グランドプレーン層において(100)配向粒の発生が抑制され、平坦性、結晶性などの薄膜の構造的品質も同時に向上されているので、グランドプレーン層のλ自体を低下できることも明らかとなった。これにより、下部電極層および上部電極層のインダクタンスをさらに低下させることが可能となる。
【0117】
下部電極層の単位面積あたりの配線インダクタンスはL□=0.55×10−12H、上部電極層の単位面積あたりの配線インダクタンスはL□=0.47×10−12Hであった。
【0118】
実施例7
図4に示すように、グランドプレーン層の組成制御を行った超電導素子について説明する。この例では、グランドプレーン層のCu組成を制御した。
【0119】
具体的には、式(K’)YBaCu(2.65≦b<3.0)で表される組成を有する膜厚約20nmの初期成長層21aと、式(N’)YBaCuy’で表される組成を有する膜厚約200nmの主成長層21bとを有するグランドプレーン層21をスパッタリングにより形成した。初期成長層のCu組成(x)を基板側の2.91から主成長層側の3.0まで連続的に変化させた。接合を形成する下部電極層および上部電極層は実施例5と同様に形成した。
【0120】
本実施例で形成されたグランドプレーン層21の最表面を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、Ra=1.0nmであり、組成制御を行わずに形成した場合と比較して著しく向上した。
【0121】
本実施例で得られた1チップ内の1000接合の電気特性を解析した。平均値で、I=0.83mA、R=3.45Ωが得られた。また、Iの標準偏差σ=2.3%であった。
【0122】
また、本実施例に従って組成制御を行った場合と、組成制御を全く行わなかった場合とで、10ウェハーのウェハー間におけるIバラツキを比較した結果、本実施例ではIバラツキ低減に効果があることも判明した。
【0123】
下部電極層の単位面積あたりの配線インダクタンスはL□=0.59×10−12H、上部電極層の単位面積あたりの配線インダクタンスはL□=0.50×10−12Hであった。
【0124】
【発明の効果】
以上記述のように本発明によれば、配線部分のインダクタンスを低減するとともに接合間におけるIの分散を抑制して、良好な特性を示す超電導素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の態様に係る超電導素子を示す断面図。
【図2】本発明の第2および第3の態様に係る超電導素子を示す断面図。
【図3】本発明の他の態様に係る超電導素子を示す断面図。
【図4】本発明の他の態様に係る超電導素子を示す断面図。
【図5】RFスパッタリング装置の模式図、およびターゲットに投入するRFパワーの変化を示す図。
【図6】実施例1の超伝導素子について上部電極層の膜厚方向におけるCuの組成変化を示す図。
【図7】Yb−Ba−Cu−O超電導層について結晶配向性のCu組成依存性を示す図。
【図8】実施例2の超伝導素子について下部電極層の膜厚方向におけるCuの組成変化を示す図。
【図9】実施例2の超伝導素子について下部電極層の膜厚方向における接合Jの変化を示す図。
【図10】Y−Ba−Cu−O超電導層について結晶配向性のCu組成依存性を示す図。
【図11】実施例3の超伝導素子について下部電極層の膜厚方向におけるPrの組成変化を示す図。
【図12】Y1−aPrBaCu超電導層について結晶配向性のPr組成依存性を示す図。
【図13】実施例3で得られた接合の代表的なI−V特性を示す図。
【図14】実施例4の超伝導素子について上部電極層の膜厚方向におけるNdの組成変化を示す図。
【図15】YBa2−bNdCu超電導層について結晶配向性および臨界温度TのNd組成依存性を示す図。
【図16】実施例5で得られた接合の代表的なI−V特性を示す図。
【図17】実施例6の超伝導素子についてグランドプレーン層の膜厚方向におけるNdの組成変化を示す図。
【図18】実施例6に従って組成制御を行った場合と、組成制御を全く行わなかった場合とで、1ウェハー内20接合のIバラツキを比較した結果を示す図。
【符号の説明】
11…基板、12…下部電極層、12a…初期成長層、12b…主成長層、13…層間絶縁膜、14…バリア層、15…上部電極層、15a…初期成長層、15b…主成長層、21…グランドプレーン層、21a…初期成長層、21b…主成長層、22…層間絶縁層、51…ヒーター、52…YbBaCuターゲット、53…Cuターゲット、54a、54b…マッチングボックス、55a、55b…RF電源。

Claims (6)

  1. 基板と、基板上に積層されてジョセフソン接合を形成する、酸化物超電導体の下部電極層、絶縁性のバリア層、および酸化物超電導体の上部電極層とを含み、前記上部電極層が、下記式(A)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(B)で表される組成を有する主成長層と
    YbBaCu …(A)
    YbBaCuy’ …(B)
    (ここで、3.0<w≦3.45、6≦y≦8、6≦y’≦8である。)
    を有することを特徴とする超電導素子。
  2. 基板と、基板上に積層されてジョセフソン接合を形成する、酸化物超電導体の下部電極層、絶縁性のバリア層、および酸化物超電導体の上部電極層とを含み、前記下部電極層が、下記式(C)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(D)で表される組成を有する主成長層と
    YBaCu …(C)
    YBaCuy’ …(D)
    (ここで、2.65≦x<3.0、6≦y≦8、6≦y’≦8である。)
    を有することを特徴とする超電導素子。
  3. 基板と、基板上に積層されてジョセフソン接合を形成する、酸化物超電導体の下部電極層、絶縁性のバリア層、および酸化物超電導体の上部電極層とを含み、前記下部電極層が、下記式(E)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(F)で表される組成を有する主成長層と
    L11−aM1BaCu …(E)
    L1BaCuy’ …(F)
    (ここで、L1はYb、Y、Eu、Sm、NdおよびLaからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素、M1はCeおよびPrからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、0<a≦0.2、6≦y≦8、6≦y’≦8である。)
    を有することを特徴とする超電導素子。
  4. 基板と、基板上に積層されてジョセフソン接合を形成する、酸化物超電導体の下部電極層、絶縁性のバリア層、および酸化物超電導体の上部電極層とを含み、前記下部電極層および上部電極層のうち少なくとも一方が、下記式(G)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(H)で表される組成を有する主成長層と
    L2Ba2−bM2Cu …(G)
    L2BaCuy’ …(H)
    (ここで、L2とM2の組み合わせはYbとNd、YとNd、YとLa、YとPr、SmとNdおよびNdとLaのいずれかであり、0<b≦0.20、6≦y≦8、6≦y’≦8である。)
    を有することを特徴とする超電導素子。
  5. 基板と、基板上に形成された酸化物超電導体のグランドプレーン層と、グランドプレーン層上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に積層されてジョセフソン接合を形成する、酸化物超電導体の下部電極層、絶縁性のバリア層、および酸化物超電導体の上部電極層とを含み、前記グランドプレーン層が、下記式(I)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(J)で表される組成を有する主成長層と
    L3Ba2−bM3Cu …(I)
    L3BaCuy’ …(J)
    (ここで、L3はYおよびYbからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素、M3はPr、LaおよびNdからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、0<b≦0.10、6≦y≦8、6≦y’≦8である。)
    を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の超電導素子。
  6. 基板と、基板上に形成された酸化物超電導体のグランドプレーン層と、グランドプレーン層上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に積層されてジョセフソン接合を形成する、酸化物超電導体の下部電極層、絶縁性のバリア層、および酸化物超電導体の上部電極層とを含み、前記グランドプレーン層が、下記式(K)で表され、組成が連続的に変化している初期成長層と、下記式(N)で表される組成を有する主成長層と
    L4BaCu …(K)
    L4BaCuy’ …(N)
    (ここで、L4はY、SmおよびNdからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、2.65≦x<3.0、6≦y≦8、6≦y’≦8である。)
    を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の超電導素子。
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