JP2004253627A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも大きな自発分極値を有する強誘電体膜をMOCVD法で形成することができる半導体装置とその製造方法を提供すること。
【解決手段】シリコン(半導体)基板1の上方に下地絶縁膜10bを形成する工程と、下地絶縁膜10b上にイリジウム層15を形成する工程と、イリジウム層15の表層を酸化する工程と、前記酸化されたイリジウム層15上にMOCVD法により強誘電体膜16を形成する工程と、強誘電体膜16上に上部電極用導電層17を形成する工程と、イリジウム層15、強誘電体膜16、及び上部電極用導電層17をパターニングすることにより、イリジウム層15を下部電極15aとし、強誘電体膜16をキャパシタ強誘電体膜16aとし、上部電極用導電層17を上部電極17aとする工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法による。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、より詳しくは、強誘電体キャパシタを備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電源を切っても情報が残存する不揮発性メモリには幾つかのタイプがあるが、中でもFeRAM (Ferroelectric Random Access Memory)はその高速動作と低電圧動作とにより近年注目されている。
【0003】
FeRAMは、下部電極、キャパシタ強誘電体膜、及び上部電極をこの順に積層してなる強誘電体キャパシタを備え、キャパシタ強誘電体膜の二つの分極方向をそれぞれ「0」、「1」に対応させることで情報を記憶する。「0」、「1」の分別は、キャパシタ強誘電体膜の分極量が大きい程容易となるが、そのためには良好な結晶性がキャパシタ強誘電体膜に要求される。
【0004】
一般的に使用されるキャパシタ強誘電体膜としてはPZT(Pb(Zr, Ti1−x)O)膜があり、このPZT膜は(001)方向に分極する。従って、PZT膜では、その配向を(001)方向に揃えることにより自発分極を最大にできるが、通常は(001)方向へ配向を揃えることはできず、代わりに(111)方向へ配向を揃えることにより自発分極を稼ぐのが一般的である。
【0005】
PZT膜の膜質はその成膜方法と下部電極の構成材料とに大きく依存するため、PZTの成膜方法と相性の良い下部電極を見つけることが重要となる。例えば、PZT膜をスパッタ法により形成する場合は、Ti膜とPt膜とをこの順に積層したPt/Ti膜が下部電極として採用されている。この場合、Pt膜は、(111)方向に配向するように形成される。
【0006】
このようなPt/Ti下部電極によれば、スパッタで形成されたPZT膜に対して結晶化アニールを行う際、アニールの熱によってTi膜中のTi原子がPt膜内でPt結晶粒界に沿って拡散してPt膜表面にまで達し、そのTi原子がPZT膜中の酸素によって酸化されてTiO核となる。
【0007】
このTiO核は、PZT膜の初期成長核となると共に、PZT膜の配向を(111)方向に揃える役割を果たすので、得られたPZTは(111)方向に配向したFeRAMに好適な膜となる。しかも、共に(111)方向に配向したPt膜とPZT膜との格子定数が近いため、これらの膜の間に格子不整合が殆ど生じず、(111)方向の配向がPZT膜に現れやすくなる。
【0008】
上記では、スパッタ法によりPZT膜を形成したが、この他にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法でPZT膜を形成する方法も現在検討されている。MOCVD法で形成したPZT膜は、スパッタ法で形成したものよりも高密度な結晶となるため、強誘電体キャパシタを微細化しても大きな残留分極量を確保することが可能となり、FeRAMの高集積化を推し進めることが可能となる。
【0009】
ところが、上記のPt/Ti下部電極上にMOCVD法によりPZT膜を形成すると、下部電極のPtとMOCVDの雰囲気中のPbとが反応してリーク電流の大きなPZT膜しか得られず、また、下部電極に表面荒れが生じてしまう。
【0010】
このような不都合を解消するため、Ptと同じ白金族元素であるIrをPtに代えて使用し、Ir/Ti膜で下部電極を構成することも検討されている。
【0011】
しかしながら、IrはPtに比べて密でありグレインサイズも小さいため、下地のTiがIr膜を拡散してIr膜の表面に至ることができず、PZTの成長核となるべきTiO核を形成することができない。更に、PZT膜の配向を(111)方向にすべくIr膜の配向を(111)方向に揃えても、(111)方向に配向したIr膜の格子定数が(111)方向に配向したPZT膜のそれより小さいため二つの膜の間で格子定数のミスマッチが生じ、PZT膜が(100)方向やランダムな方向に成長してしまう。
【0012】
これとは別の下部電極構造として、Ir膜の上にスパッタ法によりIrO膜を形成し、得られたIrO/Irを下部電極として使用することが特許文献1において提案されている。
【0013】
また、公開はされていないが、特願2001−252974においては、(111)方向に配向したIr層と(200)方向に配向したIrOとをこの順に積層し、それらを下部電極として使用することが提案されている。
【0014】
更に、特許文献2によると、単一金属元素で構成された電極では金属が結晶質となって電極表面に凹凸が生じ、これによりキャパシタ誘電体膜を薄膜化できない点が開示されている。この不都合を回避するために、特許文献2では、複数の金属からなる合金で電極を形成し、これにより電極を非晶質化してその表面の凹凸を小さくする点が開示されている。
【0015】
【特許文献1】
特開2002−151656号公報
【特許文献2】
特開平11−330388号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1では、スパッタで形成されたIrO膜が(110)方向に配向するため、IrO膜と(111)方向に配向したPZT膜との格子不整合が大きなり、PZT膜が(101)方向、(110)方向、又はランダムに配向して、PZT膜の残留分極量が小さくなってしまう。
【0017】
また、特願2001−252974では、IrO/Ir下部電極のIrO膜を(200)に配向させることにより、(111)方向に配向したPZT膜とIrO膜との格子定数の差を小さくしているが、IrO膜の配向をこのように制御するのは非常に難しい。そのため、(200)以外の配向、例えば(110)方向等の配向がIrO膜内に現れる可能性が高くなり、PZT膜の配向が(111)方向に支配的であっても別方向の配向がPZT膜に形成され、結果的にPZT膜の自発分極値が低下してしまう。
【0018】
本発明の目的は、従来よりも大きな自発分極値を有する強誘電体膜をMOCVD法で形成することができる半導体装置とその製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上方に形成された絶縁膜と、下部電極、強誘電体膜、及び上部電極を前記絶縁膜上に順に形成してなる強誘電体キャパシタと、を有し、前記下部電極は、表層部分がアモルファス化したイリジウム層を最上層に有する半導体装置が提供される。
【0020】
また、本発明の別の観点によれば、半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上にイリジウム層を形成する工程と、前記イリジウム層の表層を酸化する工程と、前記酸化されたイリジウム層上にMOCVD法により強誘電体膜を形成する工程と、前記強誘電体膜上に上部電極用導電層を形成する工程と、前記イリジウム層、前記強誘電体膜、及び前記上部電極用導電層をパターニングすることにより、前記イリジウム層を下部電極とし、前記強誘電体膜をキャパシタ強誘電体膜とし、前記上部電極用導電層を上部電極とする工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0021】
次に、本発明の作用について説明する。
【0022】
本発明によれば、イリジウム層の表層を酸化して二酸化イリジウム層を形成し、その上にMOCVD法により強誘電体膜を形成するので、MOCVDの成膜雰囲気中に含まれる金属元素が二酸化イリジウム層から供給される酸素によって酸化されて金属酸化物が生成され、その金属酸化物によって特定方向の配向が強誘電体膜に誘起される。
【0023】
しかも、二酸化イリジウム層は、強誘電体膜の成膜終了時にはその中の酸素が全て無くなってアモルファスイリジウム層へと変化し、このアモルファスイリジウム層が強誘電体膜とイリジウム層との格子不整合を緩衝する緩衝層として機能するので、特定方向以外の配向が強誘電体膜に現れるのが防止され、強誘電体膜の自発分極が大きくなる。
【0024】
なお、強誘電体膜としてPb(Zr, Ti1−x)O(但し、xは0≦x≦1を満たす実数) 、PLZT、及びPCSLZTのいずれかにより構成される膜を形成する場合は、上記の金属酸化物としてTiOが生成され、このTiOにより(111)方向の配向が強誘電体膜に誘起される。
【0025】
また、イリジウム層の酸化を熱酸化により行うと、イリジウム層の表面からある程度の深さまで酸化が行われると酸化速度が遅くなるので、二酸化イリジウム層の膜厚を時間によって容易に制御することが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1〜図6は、本発明の実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図である。以下では、強誘電体キャパシタの直下に導電性プラグが形成されるスタック型のFeRAMを例にしながら説明するが、本発明はこれに限定されず、プレーナ型のFeRAMにも適用することができる。
【0028】
まず、図1(a)に示す断面構造を形成するまでの工程を説明する。
【0029】
図1(a)に示すように、n型又はp型のシリコン(半導体)基板1のトランジスタ形成領域の周囲にフォトリソグラフィー法により素子分離用溝を形成した後に、素子分離用溝の中に酸化シリコン(SiO)を埋め込んで素子分離絶縁膜2を形成する。そのような構造の素子分離絶縁膜2は、STI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれる。なお、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により形成した絶縁膜を素子分離絶縁膜として採用してもよい。
【0030】
続いて、シリコン基板1のトランジスタ形成領域にp型不純物を導入してpウェル1aを形成する。さらに、シリコン基板1のトランジスタ形成領域表面を熱酸化して、ゲート絶縁膜3となるシリコン酸化膜を形成する。
【0031】
次に、シリコン基板1の上側全面に非晶質又は多結晶のファスシリコン膜及びタングステンシリサイド膜を順次形成し、これらのシリコン膜及びタングステンシリサイド膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングして、ゲート電極4a,4bを形成する。
【0032】
なお、1つのpウェル1a上には2つのゲート電極4a,4bが並列に形成され、それらのゲート電極4a,4bはワード線の一部を構成する。
【0033】
次に、pウェル1aのうちゲート電極4a,4bの両側にn型不純物をイオン注入してソース/ドレインとなる第1〜第3のn型不純物拡散領域5a〜5cを形成する。
【0034】
さらに、CVD法により絶縁膜、例えば酸化シリコン(SiO)膜をシリコン基板1の全面に形成した後に、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極4a,4bの両側部分に絶縁性のサイドウォールスペーサ6として残す。
【0035】
続いて、ゲート電極4a,4bとサイドウォールスペーサ6をマスクに使用して、第1〜第3のn型不純物拡散領域5a〜5cに再びn型不純物をイオン注入することにより、第1〜第3のn型不純物拡散領域5a〜5cをLDD(Lightly Doped Drain)構造にする。
【0036】
なお、1つのトランジスタ形成領域における2つのゲート電極4a,4bの間の第1のn型不純物拡散領域5aはビット線に電気的に接続され、トランジスタ形成領域の両端側の第2、第3のn型不純物拡散領域5b,5cはキャパシタの下部電極に電気的に接続される。
【0037】
以上の工程により、pウェル1aにはゲート電極4a,4bとLDD構造のn型不純物拡散層5a〜5cを有する2つのMOSトランジスタT,Tが形成される。
【0038】
次に、MOSトランジスタT,Tを覆うカバー絶縁膜7として約200nmの厚さの酸窒化シリコン(SiON)膜をプラズマCVD法によりシリコン基板1の全面に形成する。その後、TEOSガスを用いるプラズマCVD法により、膜厚1.0μm程度の酸化シリコン(SiO)を第1層間絶縁膜8としてカバー膜7の上に形成する。
【0039】
続いて、第1層間絶縁膜8の緻密化処理として、例えば常圧の窒素雰囲気中で第1層間絶縁膜8を700℃の温度で30分間熱処理する。その後に、第1層間絶縁膜8の上面を化学機械研磨(CMP)法により平坦化する。
【0040】
次に、図1(b)に示す構造を形成するまでの工程を説明する。
【0041】
まず、フォトリソグラフィー法によりカバー絶縁膜7と第1層間絶縁膜8をパターニングして、第1の不純物拡散領域5aに到達する深さの第1のコンタクトホール8aを形成する。その後、第1層間絶縁膜8上面とコンタクトホール8a内面に、グルー膜として膜厚30nmのチタン(Ti)膜と膜厚50nmの窒化チタン(TiN)膜をスパッタ法により順に形成する。さらに、WFを用いるCVD法によってタングステン(W)膜をTiN膜上に成長して第1のコンタクトホール8a内を完全に埋め込む。
【0042】
続いて、W膜、TiN膜及びTi膜をCMP法により研磨して第1層間絶縁膜8の上面上から除去する。第1のコンタクトホール8a内に残されたタングステン膜、TiN膜及びTi膜は第1導電性プラグ9として使用される。
【0043】
その後に、図1(c)に示すように、第1層間絶縁膜8上と第1導電性プラグ9上に、膜厚100nmの窒化シリコン(Si)よりなる酸化防止絶縁膜10aと膜厚100nmのSiOよりなる下地絶縁膜10bをプラズマCVD法により順に形成する。そのSiO膜はTEOSを用いてプラズマCVDにより成長される。酸化防止絶縁膜10aは、後のアニール等による熱処理の際にプラグ9が異常酸化してコンタクト不良を起こさないようにするために形成され、その膜厚を例えば70nm以上にすることが望ましい。
【0044】
次に、図2(a)に示すように、レジストパターン(不図示)を用いて酸化防止絶縁膜10a、下地絶縁膜10b及び第1層間絶縁膜8をエッチングすることにより、第2及び第3の不純物拡散領域5b,5cの上に第2及び第3のコンタクトホール8b,8cを形成する。
【0045】
さらに、下地絶縁膜10b上面と第2、第3のコンタクトホール8b,8c内面に、グルー膜として膜厚30nmのTi膜と膜厚50nmのTiN膜をスパッタ法により順に形成する。その後に、CVD法によりW膜をTiN膜上に成長して第2、第3のコンタクトホール8b,8c内を完全に埋め込む。
【0046】
続いて、図2(b)に示すように、W膜、TiN膜及びTi膜をCMP法により研磨して下地絶縁膜10bの上面上から除去する。これにより第2、第3のコンタクトホール8b,8c内に残されたタングステン膜、TiN膜及びTi膜をそれぞれ第2、第3導電性プラグ11a,11bとする。
【0047】
次に、図2(c)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
【0048】
まず、不図示のスパッタチャンバ内にシリコン基板1を容れて基板温度を550℃に保持し、流量が199sccmのArガスをスパッタガスとしてそのチャンバ内に導入すると共に、不図示の真空ポンプでチャンバ内を排気してチャンバ内の圧力を約7.5×10−4Torrに保持する。その後、イリジウム(Ir)のターゲット(不図示)に0.3kWのDCパワーを350秒間印加することにより、第2、第3導電性プラグ11a,11b上と下地絶縁膜10b上に厚さが約150nmのイリジウム層15を形成する。このイリジウム層15は多結晶構造を有し、その各グレインのイリジウム層15表面における配向は(111)方向となる。
【0049】
なお、イリジウム層15の形成方法はスパッタ法に限定されず、MOD (Metal Organic Deposition)法、ゾルゲル法、又はCVD法によりイリジウム層15を形成してもよい。
【0050】
その後に、図3(a)に示すように、不図示の横型電気炉内にシリコン基板1を容れて基板温度を500℃〜650℃、例えば650℃に保持し、100%のOを6slmの流量で炉内に流しながら常圧下でイリジウム層15の表層を熱酸化する。これにより、表面からの深さが10nm以下にあるイリジウム層15の表層部分が酸化され、厚さ10nmの二酸化イリジウム(IrO)層15bが形成される。これより厚い二酸化イリジウム層15bを形成しようとすると、酸化に長時間を要するので、二酸化イリジウム層15bの膜厚は10nmに留めておくのが好ましい。
【0051】
なお、熱酸化の際の温度の上限を650℃としたのは、これより高い温度ではイリジウムがIrOとなって揮発してしまうためである。また、温度の下限を500℃としたのは、これよりも低い温度だと酸化に長時間を要し、FeRAMの製造工程のスループットが低下して好ましくないためである。
【0052】
このような熱酸化によれば、イリジウム層15の表面からある程度の深さまで酸化が行われると酸化速度が遅くなるので、二酸化イリジウム層15bの膜厚は時間によって容易に制御される。
【0053】
また、熱酸化で形成された二酸化イリジウム層15bの配向は主に(110)配向となるが、本実施形態ではその配向の向きは重要ではなく、無配向であってもよい。
【0054】
なお、上記の熱酸化用の処理装置としては、横型電気炉の他に、縦型電気炉、ホットプレート、RTA(Rapid Thermal Annealing)を使用してもよい。更に、酸化雰囲気も上記に限定されず、アルゴン(Ar)等の不活性ガスが添加された酸素雰囲気中で二酸化イリジウム層15bを形成してもよい。
【0055】
次に、図3(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
【0056】
まず、不図示のMOCVD(有機金属CVD)用のリアクタ内に基板1を容れて基板温度を620℃に保持する。
【0057】
その後、鉛(Pb)供給用の有機ソースとしてPb(thd)(Pb(C1119)をTHF(Tetra Hydro Furan: CO)液に0.3mol/lの濃度で溶解させたものを0.32ml/minの流量で気化器(不図示)に導入する。また、ジルコニウム(Zr)供給用の有機ソースとしてZr(DMHD)(Zr(C15)をTHF液に0.3mol/lの濃度で溶解させたものを使用し、それを0.2ml/minの流量で気化器に導入する。更に、チタン(Ti)供給用のソースとしてTi(O−iPr)(thd)(Ti(CO)(C1119)をTHF液に0.3mol/lの濃度で溶解させたものを使用し、それを0.2ml/minの流量で気化器に導入する。
【0058】
気化器は約260℃の温度に加熱されており、上述の各有機ソースは気化器内で気化する。気化した各有機ソースは、気化器において流量が2500sccmの酸素と混合された後、リアクタ上部のシャワーヘッドに導入されて一様な流れとなり、シャワーヘッドと対向して載置されたシリコン基板1に向けて均一に噴射される。なお、リアクタ内における酸素の分圧は例えば5Torrに保持される。
【0059】
このような状態を420秒間維持すると、二酸化イリジウム層15bがアモルファスイリジウム層15cに変化すると共に、厚さ120nmのPZT膜がそのアモルファスイリジウム層15c上に強誘電体膜16として形成される。二酸化イリジウム層がアモルファス化する理由については後述する。
【0060】
なお、PZT強誘電体膜16の組成比はPb(Zr, Ti1−x)O(0≦x≦1)中のxの値によって定まるが、この値は各有機ソースの混合比によって制御することが可能であり、特に限定されるものではない。
【0061】
次に、図4(a)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
【0062】
まず、強誘電体膜16の上に、上部電極用導電層17として例えば膜厚200nmの二酸化イリジウムをスパッタ法により形成する。
【0063】
その後、上部電極用導電層17上に、ハードマスク18としてTiN膜とSiO膜を順に形成する。そのハードマスク18は、フォトリソグラフィー法により第2及び第3導電性プラグ11a,11bの上方にキャパシタ平面形状となるようにパターニングされる。
【0064】
次に、図4(b)に示すように、ハードマスク18に覆われない領域の上部電極用導電層17、強誘電体膜16、アモルファスイリジウム層15c、及びイリジウム層15を順次エッチングする。この場合、強誘電体膜16は、塩素とアルゴンを含む雰囲気中でスパッタ反応によりエッチングされる。また、上部電極用導電層17、アモルファスイリジウム層15c、及びイリジウム層15は、臭素(Br)導入雰囲気中、Brを含む雰囲気中、又はHBrと酸素のみを導入した雰囲気中でスパッタ反応によりエッチングされる。
【0065】
以上により、下地絶縁膜10bの上には、イリジウム層15及びアモルファスイリジウム層15cよりなる下部電極15aと、強誘電体膜16よりなるキャパシタ強誘電体膜16aと、上部電極用導電層17よりなる上部電極17aとが形成され、これらにより強誘電体キャパシタQが構成される。
【0066】
そして、トランジスタ形成領域において、1つの下部電極15aは第2導電性プラグ11aを介して第2不純物拡散領域5bに電気的に接続され、また、別の下部電極15aは第3導電性プラグ11bを介して第3不純物拡散領域5cに電気的に接続される。
【0067】
その後に、ハードマスク18を除去する。
【0068】
続いて、エッチングによる強誘電体膜16のダメージを回復するために、回復アニールを行う。この場合の回復アニールは、例えば、基板温度550℃、60分間の条件で酸素雰囲気中で行われる。
【0069】
次に、図5(a)に示すように、強誘電体キャパシタQを覆う保護膜19として膜厚50nmのPZT膜をスパッタにより下地絶縁膜10bの上に形成した後に、酸素雰囲気中で650℃で60分間の条件でキャパシタQをアニールする。この保護膜19は、プロセスダメージからキャパシタQを保護するものであって、PZT膜の他、アルミナ膜を成膜してもよい。
【0070】
その後、TEOSガスを用いるプラズマCVD法により、第2層間絶縁膜20として膜厚1.0μm程度の酸化シリコン(SiO)を保護膜19上に形成する。さらに、第2層間絶縁膜20の上面をCMP法により平坦化する。この例では、CMP後の第2層間絶縁膜20の残りの膜厚は、キャパシタQの上部電極17a上で300nm程度とする。
【0071】
次に、レジストマスク(不図示)を用いて、図5(b)に示すように、第2層間絶縁膜20、保護膜19、酸化防止絶縁膜10a及び下地絶縁膜10bをエッチングすることにより第1導電プラグ9の上にホール20aを形成する。
【0072】
さらに、ホール20a内と第2層間絶縁膜20上に、グルー膜として膜厚50nmのTiN膜をスパッタ法により形成する。さらに、CVD法によりW膜をグルー層上に成長するとともにホール20a内を完全に埋め込む。
【0073】
続いて、W膜及びTiN膜をCMP法により研磨して第2層間絶縁膜20の上面上から除去する。そして、ホール20a内に残されたタングステン膜及びグルー層を、第4導電性プラグ21とする。この第4導電性プラグ21は、第1導電性プラグ9を介して第1不純物拡散領域5aに電気的に接続される。
【0074】
次に、図6に示す構造を形成するまでの工程を説明する。
【0075】
まず、第4導電性プラグ21上と第2層間絶縁膜20上に、第2の酸化防止膜(不図示)としてSiON膜をCVD法により形成する。さらに、第2の酸化防止膜と第2層間絶縁膜20をフォトリソグラフィー法によりパターニングしてキャパシタQの上部電極17a上にコンタクトホール20bを形成する。
【0076】
コンタクトホール20bを形成することによりダメージを受けた強誘電体キャパシタQはアニールによって回復される。そのアニールは、例えば酸素雰囲気中で基板温度550℃として60分間行われる。
【0077】
その後に、第2層間絶縁膜20上に形成された酸化防止膜をエッチバックによって除去するとともに、第4導電性プラグ21の表面を露出させる。
【0078】
次に、強誘電体キャパシタQの上部電極17a上のコンタクトホール20b内と第2層間絶縁膜20の上に多層金属膜を形成する。その後に、多層金属膜をパターニングすることにより、コンタクトホール20bを通して上部電極17aに接続される一層目金属配線21aと第4導電性プラグ21に接続される導電性パッド21bを形成する。その多層金属膜として、例えば、膜厚60nmのTi、膜厚30nmのTiN、膜厚400nmのAl−Cu、膜厚5nmのTi、及び膜70nmのTiNを順に形成した構造を採用する。
【0079】
なお、多層金属膜のパターニング方法として、多層金属膜の上に反射防止膜を形成し、さらに反射防止膜上にレジストを塗布した後に、レジストを露光、現像して配線形状等のレジストパターンを形成し、そのレジパターンを用いて反射防止膜と多層金属膜をエッチングする方法を採用する。
【0080】
この後は、第2層間絶縁膜20、一層目金属配線21a、及び導電性パッド21bの上に第3層間絶縁膜(不図示)を形成し、第4導電性プラグ21と電気的に接続される第5導電性プラグをその第3層間絶縁膜のホール内に形成するが、その詳細は省略する。
【0081】
上記した本実施形態によれば、イリジウム層15の表面を酸化して二酸化イリジウム層15bを形成した後、その上にMOCVD法によりPZT強誘電体膜16を形成する工程を採用している。本願発明者は、このPZT強誘電体膜16の成膜メカニズムとその特性を明らかにするため、次のような実験を行った。図7〜図8は、その実験において使用されたPZT強誘電体膜のサンプルの形成工程について示す断面図である。
【0082】
この実験においては、図7(a)に示すように、不図示のスパッタチャンバ内にシリコン基板30を容れて基板温度を550℃に保持し、流量が199sccmのArガスをスパッタガスとしてそのチャンバ内に導入すると共に、不図示の真空ポンプでチャンバ内を排気してチャンバ内の圧力を約7.5×10−4Torrに保持した。その後、イリジウム(Ir)のターゲット(不図示)に0.3kWのDCパワーを350秒間印加することにより、厚さが150nmのイリジウム層31をシリコン基板30上に形成した。このイリジウム層31は多結晶構造を呈し、その各グレインの配向は(111)方向となる。
【0083】
その後に、図7(b)に示すように、不図示の横型電気炉内にシリコン基板30を容れて基板温度を650℃に保持し、Oが100%の常圧雰囲気中でイリジウム層31の表面を熱酸化して厚さ10nmの二酸化イリジウム層31aを形成した。
【0084】
続いて、不図示のMOCVD用のリアクタ内にシリコン基板30を容れて基板温度を620℃に保持した。そして、Pb(thd)をTHF液に溶解させたものを0.32ml/min、Zr(DMHD)をTHF液に溶解させたものを0.2ml/min、及びTi(O−iPr)(thd)をTHF液に溶解させたものを0.2ml/minの流量でそれぞれ260℃に加熱された気化器(不図示)に導入した。なお、これらの有機ソースの濃度は上記したのと同様である。
【0085】
気化器で気化した上述の各有機ソースは、気化器内において流量が2500sccmの酸素と混合された後、リアクタ上部のシャワーヘッドに導入されて一様な流れとされ、シャワーヘッドと対向して載置されたシリコン基板30に向けて均一に噴射された。なお、リアクタ内の酸素の分圧は5Torrに保持された。
【0086】
これにより、リアクタ内はPZTの成膜雰囲気となるが、その雰囲気中に含まれるチタン(Ti)は、雰囲気中の他の元素よりも酸化され易い。
【0087】
そのため、図7(c)に示すように、PZT膜形成の初期において雰囲気中のチタンが二酸化イリジウム層31a中の酸素によって酸化され、二酸化イリジウム層31a上にTiO核33として析出する。
【0088】
初期の段階においては、結晶化されたPZTが成長することはなく、極薄い未結晶PZT膜32が二酸化イリジウム層31a上に形成されるのみであり、二酸化イリジウム層31a内にも酸素が未だ残留する。
【0089】
ところが、或る程度時間が経過すると、酸素の供給源であった二酸化イリジウム層31aの厚さが10nmと薄いので、その中から酸素が完全に抜けてしまう。その結果、図8(a)に示すように、二酸化イリジウム層31aがアモルファスイリジウム層31bへと変化し、このアモルファスイリジウム層31bとイリジウム層31とで構成される下部電極31cが得られる。また、これと共に、TiO核33が結晶の成長核となって未結晶化PZT膜32の結晶化が開始し、PZT結晶粒32aがアモルファスイリジウム層31b上に成長する。
【0090】
このPZT結晶粒32aにはTiO核33の作用によって(111)方向の配向が誘起されるので、PZT結晶粒32aの成長を更に進めて得られた図8(b)のPZT膜32bの配向も(111)方向が支配的となる。しかも、アモルファスイリジウム層31bが緩衝層として機能するので、(111)イリジウム層31と(111)PZT膜32bとの格子不整合が緩和され、(111)以外の配向がPZT膜32bに現れるのが防止される。
【0091】
図9は、このPZT膜32bの成膜前後における二酸化イリジウム層31aの結晶構造をXRD(X Ray Diffraction)により調査して得られたグラフである。図9の横軸におけるθは、試料表面に対するX線の入射を示し、縦軸は、X線の回折光を任意単位で表したものである。
【0092】
これに示されるように、PZT膜32bの成膜前においては(110)方向の回折強度にピークが現れているので、二酸化イリジウム層31aの配向が(110)方向であることが理解される。
【0093】
一方、PZT膜32bの成膜後においては(110)方向のピークが観測されない。これは、二酸化イリジウム層31aから酸素が抜け、二酸化イリジウム層31aが全てアモルファスイリジウム層31bに変化したことを示す。
【0094】
なお、二酸化イリジウム層31aがアモルファス状態に変化したことについては、図12(a)、(b)を比較しても理解することができる。図12(a)、(b)は、イリジウム層31とPZT膜32bとの界面近傍の電子顕微鏡写真を基にして描いた断面図であり、図12(a)は二酸化イリジウム層31aを形成しない場合を示し、図12(b)はそれを熱酸化により形成した場合を示す。
【0095】
両者を比較すると、二酸化イリジウム層31aを形成しない場合(図12(a))では、イリジウム層31とPZT膜32bとの界面がはっきりしており、イリジウム層31の表層にアモルファス層が存在しないことが理解されるのに対し、二酸化イリジウム層31aを形成する場合(図12(b))はその界面がぼやけており、イリジウム層31の表層にアモルファスイリジウム層31bが形成されているのが理解される。
【0096】
図10は、上記のPZT膜32bと、従来例に係る下部電極上に形成されたPZT膜のそれぞれの結晶構造をXRDにより調査して得られたグラフである。図10の縦軸と横軸の意味は、図9のそれと同じなので、その説明は省略する。
【0097】
図10において、従来例1とは、スパッタ法で形成された単層のイリジウム層よりなる下部電極上に上記と同様のPZT膜をMOCVD法で形成した場合を示し、従来例2とは、そのイリジウム層上に二酸化イリジウム層をスパッタ法により形成してなる下部電極上に従来例1と同じPZT膜をMOCVD法で形成した場合を示す。
【0098】
図10に示すように、本実施形態のPZT膜32bは(111)方向に配向しているので、大きな自発分極値を期待できる。
【0099】
一方、従来例1のPZT膜では、PZTの分極方向である(001)方向に垂直な(100)方向に配向しているので、大きな自発分極値を期待することはできない。
【0100】
また、従来例2のPZT膜に至っては、特定の方向への配向すら有しておらず、ランダム配向となってしまっている。
【0101】
図11は、図10の三つのサンプルの各PZT膜上に二酸化イリジウム層よりなる上部電極を形成し、この上部電極、PZT膜、及び下部電極で構成される強誘電体キャパシタの自発分極を測定して得られたグラフである。図11の横軸は、上部電極と下部電極との間の電位差を示し、縦軸は、その電位差を与えたときのキャパシタの自発分極を示す。
【0102】
図11に示すように、電圧が1V以上の範囲においては、本発明の強誘電体キャパシタの自発分極が従来例よりも格段に大きくなる。これは、PZTの分極方向が(001)方向であり、この分極方向に0でない成分を有する(111)方向に本発明のPZT膜32bが配向しているためである。
【0103】
これらの実験結果によって、イリジウム層の表層を酸化して得られた二酸化イリジウム層上にMOCVD法でPZT強誘電体膜を形成することによりそのPZT強誘電体膜の(111)方向の配向強度が強められ、強誘電体キャパシタの自発分極が従来よりも大きくなることが確認することができた。
【0104】
MOCVD法で成膜されたPZT膜は、スパッタ法等の他の方法で成膜したPZT膜と比較して高密度であるため、既述のようなスタック型のFeRAMに本発明を適用することで、FeRAMの高集積化を更に推し進めることができる。
【0105】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記に限定されない。例えば、上記のPZTに代えて、PLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O)やこれにCa(カルシウム)とSr(ストロンチウム)を添加したPCSLZT等で強誘電体膜を構成してもよい。
以下に、本発明の特徴を付記する。
【0106】
(付記1) 半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成された絶縁膜と、
下部電極、強誘電体膜、及び上部電極を前記絶縁膜上に順に形成してなる強誘電体キャパシタと、
を有し、
前記下部電極は、表層部分がアモルファス化したイリジウム層を最上層に有することを特徴とする半導体装置。
【0107】
(付記2) 前記イリジウム層は、前記アモルファス化した部分の下に多結晶のイリジウムを有することを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0108】
(付記3) 前記イリジウム層のアモルファス化した部分は、該イリジウム層の表面から10nm以内の深さに形成されることを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置。
【0109】
(付記4) 前記強誘電体膜は、Pb(Zr, Ti1−x)O(但し、xは0≦x≦1を満たす実数)、PLZT、及びPCSLZTのいずれかにより構成されることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の半導体装置。
【0110】
(付記5) 前記強誘電体膜のX線回折光は(111)方向にピークを有することを特徴とする付記4に記載の半導体装置。
【0111】
(付記6) 前記半導体基板の表層に形成された不純物拡散領域と、
前記不純物拡散領域の上方であって、前記下部電極の下の前記絶縁膜に形成されたホールと、
前記ホール内に形成されて前記不純物拡散領域と電気的に接続し、且つ前記下部電極と電気的に接続する導電性プラグと、を更に有することを特徴とする付記1乃至付記5のいずれかに記載の半導体装置。
【0112】
(付記7) 半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上にイリジウム層を形成する工程と、
前記イリジウム層の表層を酸化する工程と、
前記酸化されたイリジウム層上にMOCVD法により強誘電体膜を形成する工程と、
前記強誘電体膜上に上部電極用導電層を形成する工程と、
前記イリジウム層、前記強誘電体膜、及び前記上部電極用導電層をパターニングすることにより、前記イリジウム層を下部電極とし、前記強誘電体膜をキャパシタ強誘電体膜とし、前記上部電極用導電層を上部電極とする工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0113】
(付記8) 前記イリジウム層の酸化により、該イリジウム層の表層部分に二酸化イリジウム層が形成されることを特徴とする付記7に記載の半導体装置の製造方法。
【0114】
(付記9) 前記二酸化イリジウム層の膜厚は10nm以下であることを特徴とする付記8に記載の半導体装置の製造方法。
【0115】
(付記10) 前記二酸化イリジウム層のX線回折光は(110)方向にピークを有することを特徴とする付記8又は付記9に記載の半導体装置の製造方法。
【0116】
(付記11) 前記強誘電体膜を形成することにより前記(110)方向のピークが消失し、前記二酸化イリジウム層の全体がアモルファスイリジウム層となることを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
【0117】
(付記12) 前記アモルファスイリジウム層は酸素を含有しないことを特徴とする付記11に記載の半導体装置の製造方法。
【0118】
(付記13) 前記イリジウム層の酸化は熱酸化により行われることを特徴とする付記7乃至付記12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0119】
(付記14) 前記熱酸化は、酸素含有の常圧雰囲気中で行われることを特徴とする付記13に記載の半導体装置の製造方法。
【0120】
(付記15) 前記熱酸化は、基板温度を500℃〜650℃に保持して行われることを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
【0121】
(付記16) 前記強誘電体膜として、Pb(Zr, Ti1−x)O(但し、xは0≦x≦1を満たす実数)、PLZT、及びPCSLZTのいずれかにより構成される膜を形成することを特徴とする付記7乃至付記15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0122】
(付記17) 前記半導体基板の表層に不純物拡散領域を形成する工程と、
前記不純物拡散領域の上方であって、前記下部電極の下の前記絶縁膜にホールを形成する工程と、
前記不純物拡散領域と前記下部電極とに電気的に接続する導電性プラグを前記ホールの中に形成する工程と、
を更に有することを特徴とする付記7乃至付記16のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、イリジウム層の表層を酸化して二酸化イリジウム層を形成し、その上にMOCVD法により強誘電体膜を形成するので、特定方向の配向を強誘電体膜に誘起することができる。
【0124】
しかも、強誘電体膜の成膜終了時には二酸化イリジウム層がアモルファスイリジウム層へと変化し、このアモルファスイリジウム層が強誘電体膜とイリジウム層との格子不整合を緩衝する緩衝層として機能するので、特定方向以外の配向が強誘電体膜に現れるのが防止され、強誘電体膜の自発分極が大きくなる。
【0125】
更に、イリジウム層の酸化を熱酸化により行うので、二酸化イリジウム層の膜厚を時間によって容易に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その3)である。
【図4】図4(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その4)である。
【図5】図5(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その5)である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その6)である。
【図7】図7(a)〜(c)は、本発明の実施の形態におけるPZT膜の特性を調べるために作製されたサンプルの形成工程について示す断面図(その1)である。
【図8】図8(a)、(b)は、本発明の実施の形態におけるPZT膜の特性を調べるために作製されたサンプルの形成工程について示す断面図(その2)である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態において、PZT膜の成膜前後における二酸化イリジウム層の結晶構造をXRDにより調査して得られたグラフである。
【図10】図10は、本発明の実施の形態におけるPZT膜と、従来例におけるPZT膜のそれぞれの結晶構造をXRDにより調査して得られたグラフである。
【図11】図11は、本発明の実施の形態における強誘電体キャパシタと、従来例における強誘電体キャパシタのそれぞれの自発分極値を調査して得られたグラフである。
【図12】図12(a)は、イリジウム層の表層を熱酸化しない場合のイリジウム層とPZT膜との界面近傍の電子顕微鏡写真を基に描いた断面図であり、図12(b)は、イリジウム層の表層を熱酸化して二酸化イリジウム層を形成した場合のイリジウム層とPZT膜との界面近傍の電子顕微鏡写真を基に描いた断面図である。
【符号の説明】
1、30…シリコン(半導体)基板、2…素子分離絶縁膜、3…ゲート絶縁膜、4a,4b…ゲート電極、5a,5b,5c…不純物拡散領域、6…サイドウォールスペーサ、7…カバー絶縁膜、8…層間絶縁膜、9…導電性プラグ、10a…酸化防止絶縁膜、10b…下地絶縁膜、11a,11b…導電性プラグ、15、31…イリジウム層、15a…下部電極、15b、31a…二酸化イリジウム層、15c…アモルファスイリジウム層、16…強誘電体膜、16a…誘電体膜、17…上部電極用導電層、17a…上部電極、18…ハードマスク、19…保護膜、20…層間絶縁膜、21…導電性プラグ、32…未結晶PZT膜、33…TiO核、32a…PZT結晶粒、32b…PZT膜。

Claims (10)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の上方に形成された絶縁膜と、
    下部電極、強誘電体膜、及び上部電極を前記絶縁膜上に順に形成してなる強誘電体キャパシタと、
    を有し、
    前記下部電極は、表層部分がアモルファス化したイリジウム層を最上層に有することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記イリジウム層は、前記アモルファス化した部分の下に多結晶のイリジウムを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記強誘電体膜は、Pb(Zr, Ti1−x)O(但し、xは0≦x≦1を満たす実数)、PLZT、及びPCSLZTのいずれかにより構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記強誘電体膜のX線回折光は(111)方向にピークを有することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  5. 半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜上にイリジウム層を形成する工程と、
    前記イリジウム層の表層を酸化する工程と、
    前記酸化されたイリジウム層上にMOCVD法により強誘電体膜を形成する工程と、
    前記強誘電体膜上に上部電極用導電層を形成する工程と、
    前記イリジウム層、前記強誘電体膜、及び前記上部電極用導電層をパターニングすることにより、前記イリジウム層を下部電極とし、前記強誘電体膜をキャパシタ強誘電体膜とし、前記上部電極用導電層を上部電極とする工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 前記イリジウム層の酸化により、該イリジウム層の表層部分に二酸化イリジウム層が形成されることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記二酸化イリジウム層のX線回折光は(110)方向にピークを有することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記強誘電体膜を形成することにより前記(110)方向のピークが消失し、前記二酸化イリジウム層の全体がアモルファスイリジウム層となることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記イリジウム層の酸化は熱酸化により行われることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記熱酸化は、酸素含有の常圧雰囲気中で行われることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
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