JP2004253445A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程における欠陥対策時期の適正化と、欠陥対策の迅速化などに有効なTEGを有する半導体装置、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置1に電気的欠陥の度合いを複数段階に分類可能な構造を有するTEGを複数設け、半導体装置の製造工程において、それぞれのTEGの画像をSEM式装置にて取得し、当該取得画像を自動欠陥分類機能(ADC)を用いて分類し、半導体装置1における電気的欠陥の度合いの面内分布を時系列的に把握する。
【選択図】 図14
【解決手段】半導体装置1に電気的欠陥の度合いを複数段階に分類可能な構造を有するTEGを複数設け、半導体装置の製造工程において、それぞれのTEGの画像をSEM式装置にて取得し、当該取得画像を自動欠陥分類機能(ADC)を用いて分類し、半導体装置1における電気的欠陥の度合いの面内分布を時系列的に把握する。
【選択図】 図14
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、TEG(test element group)を有した半導体装置とその製造方法に関し、特に、プロセスモニタ用のTEGを有し、自動欠陥分類機能(ADC:auto defect classification)を搭載した電子式の半導体ウェハ検査装置を用いたインライン検査工程を含む、半導体装置の製造方法に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者が検討したところによれば、TEGを用いた検査方法または製造方法に関しては、以下のような技術が考えられる。
【0003】
TEGを含めた半導体装置の製造工程において、そのインライン検査で使用する検査装置として、自動欠陥レビュー機能や自動欠陥分類機能などを搭載した電子ビーム式の半導体ウェハ検査装置が市販されている。前記検査装置の特徴として、電位コントラスト像を観察することで、配線のオープンやショートのほかに、コンタクトの導通/非導通などが確認できる。
【0004】
前記検査装置を使用した検査方法として、配線のオープンやショートを検出するための一般的なTEGを半導体装置内に設けて、そのTEGの電位コントラスト画像を観察するという方法があげられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、前記のようなTEGに加えて、コンタクトの導通/非導通を検出するためのTEGを設け、さらに、それらの検査結果より欠陥モードを分類し、ウェハマップの表示や欠陥数の統計処理等を行う検査システムも存在する(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−294344号公報
【0007】
【非特許文献1】
Kurt Weiner、他4名、“Winter 2002 Yield Management Solutions”、[online]、2002年2月22日、p15−27、[2002年12月4日検索]、インターネット<URL:http://www.kla−tencor.com/company_info/magazine/winter02/winter02.pdf>
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のようなTEGを含む半導体装置の検査技術または製造技術について、製造工程における問題点も含めて本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。
【0009】
半導体装置の製造工程においては、例えばホール形成工程におけるアンダーエッチングや穴底へのレジスト残り、コンタクトへの埋め込み膜の形成欠陥、異物やパターン合わせずれに起因する配線のオープンならびにショートなどの欠陥が作り込まれている。しかしながら、前記のような欠陥のうち、特に外観欠陥を伴わずに、光学的に観察不可能なものはプローブ検査まで見逃される可能性が高く、場合によっては、プローブ検査で見逃されることも有り得る。したがって、このような電気的欠陥を検出し、欠陥モードを分類するため、前記のような従来技術が利用できると考えられる。
【0010】
しかしながら、前記のような従来技術は、電気的欠陥の有無および欠陥モードは判別できるが、電気的欠陥の度合いは判別することができない。電気的欠陥の度合いとは、半導体装置がどの程度のプロセスマージンを持って製造されているかというようなことを意味し、製造装置起因等によるプロセス状態の時系列的変動、および半導体装置面内におけるプロセス状態の差異といった可変的な要素を含んでいる。
【0011】
前記のような電気的欠陥の度合いが判別できないことによって、以下のような問題が生じると考えられる。
【0012】
すなわち、従来技術では、TEGを製品に見立て、このTEGで製品の良し悪しを判別している。このため、製造工程において、製品が欠陥に至るレベルにまでプロセス状態が変動することで、ようやくプロセスに異変が生じていることを察知できる。すると、その直前に製造した半導体装置に対しても、欠陥が作り込まれている可能性が高くなるため、対策開始時期が適正でないなどの問題が有ると言える。
【0013】
また、前記電気的欠陥の度合いなどに関する情報が得られないため、欠陥原因の特定および推定、さらには対策を行うための情報も不足し、対策が遅れて製造装置が止まるなど、生産効率が低下するといった問題も考えられる。
【0014】
以上のような問題を鑑みて、本発明者は、半導体装置の製造工程で発生する前記のような欠陥が、前記半導体装置面内の比較的広い領域で特徴をもって分布する場合が多いことに着目した。すなわち、前記のような電気的欠陥の度合いの半導体装置面内における分布を時系列に把握することが、欠陥対策時期の適正化および欠陥対策の迅速化といった製造工程の管理面で重要であることを見出した。
【0015】
そこで、本発明の目的は、製造工程における欠陥対策時期の適正化と、欠陥対策の迅速化などに有効なTEGを有する半導体装置、およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
本発明による半導体装置は、TEGを有し、前記TEGは、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置によって検査されることで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類できる構造を有するものである。
【0019】
また、前記TEGは、特定箇所のレイアウトサイズが複数通りに振り分けられた構造を有しており、前記複数通りに振り分けられたレイアウトサイズによって、前記電気的欠陥を複数段階の度合いに分類するものである。
【0020】
そして、本発明による半導体装置の製造方法は、その非製品領域に複数配置されたTEGを利用した製造方法であり、プロセス工程と、インライン検査工程と、フィードバック工程とが含まれている。
【0021】
まず、前記プロセス工程は、複数のチップおよびTEGなどを含む半導体装置を製作する工程で、前記インライン検査工程と交互に実施される工程となっている。
【0022】
つぎに、前記インライン検査工程は、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いて、前記複数のTEGを検査し、それぞれの前記TEGに対し、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類する工程となっている。
【0023】
そして、前記フィードバック工程は、前記インライン検査工程の前記分類された結果を前記プロセス工程に反映する工程となっている。
【0024】
また、前記フィードバック工程は、前記分類された複数段階の度合いにおいて、予め定めた、製品領域に欠陥が発生する前の段階と判断される前記度合いと、前記度合いに該当する前記TEGの数量の管理値とを用いて、前記プロセス工程を管理するものである。
【0025】
また、前記フィードバック工程は、前記インライン検査工程の前記分類された結果を用いて、前記半導体装置面内における電気的欠陥の度合いの分布データを作成し、前記分布データより、分布の偏り具合の特徴を認識し、過去に発生した異変時の分布データから、前記特徴と類似した事例を検索し、類似したものがあった場合、前記事例に基づいて前記プロセス工程にフィードバック(フィードフォワード)するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
まず、図1により、本発明の一実施の形態の半導体装置の構成例を説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施の形態の半導体装置を示す概略図であり、(a)はチップ領域2にTEGを有する構成例、(b)はスクライブ領域3にTEGを有する構成例、(c)はチップ領域2に製品とTEGを有する構成例である。
【0029】
前記(a)の構成例は、通常、製品が配置される領域にTEGが配置されたもので、当該TEGは、主に新製品の開発時に用いられ、新製品の回路およびプロセスのデバックなどを目的としている。
【0030】
前記(b),(c)の構成例は、非製品領域にTEGが配置されたものあり、これらのTEGは、主に製品の量産時に用いられ、プロセス状態の管理などを目的としている。
【0031】
つぎに、図2〜図13の各図によって、本発明の一実施の形態の半導体装置におけるTEGの構成例、および電気的欠陥の検出および分類が可能な装置の一つであるSEM式装置による観察例を説明する。なお、SEM式装置としては、例えばSEM式検査装置、SEM式レビュー装置などが挙げられる。
【0032】
まずは、図2(a),(b)により、ホール(コンタクトホール、スルーホールなどを含む)形成工程を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0033】
図2(a)は、当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるA−A’間の断面図である。当該TEGは、ホール径(レイアウトサイズ)が3通りに振り分けられた構造を有している。例えば、前記3通りの径を有するホールの内、最も大きい径のホール4を現世代製品の最小径(製品と同じ径)、次に大きい径のホール5を次世代製品の最小径、最も小さい径のホール6を次々世代製品の最小径などにする。勿論、ホール径やホールの数はこれらに限定されるものではない。
【0034】
また、ここでは、ホール径を振り分けた例を示したが、他の構成例として、製品が備えるホールと同じ径/深さ/構造/存在密度/下地のホールと、当該ホールに対して径/深さ/構造/存在密度の少なくとも1条件が所定量異なるホールを1種類以上、とからなる構造が、少なくとも1組以上備わった構成も考えられる。
【0035】
次に、図2(c)〜(e)により、前記図2(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0036】
図2(c)は、ホール形成工程が正常に行われた際(断面図が前記(b)のような場合)の観察結果の一例であり、(d)は、ホール形成工程に異変があった際の一例で、この場合の当該TEGの断面図、(e)は、前記(d)におけるTEGを観察した際の観察結果の一例である。ここで、(d)におけるホール形成工程での異変は、プロセス状態の変動により、アンダーエッチングが生じ、前記最も小さい径のホール6が完全に形成されなかったこととする。
【0037】
ホール形成工程が正常に行われた場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記(c)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像が得られる。一般的に、ホール径が異なる2つ以上のホールを前記装置で観察すると、ホール径が小さい方は大きい方に比べて若干暗く見える。
【0038】
しかしながら、ホール形成工程に異変があった場合、例えば、前記(d)のようにアンダーエッチングが生じた場合において、SEM式装置で観察すると、(e)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像となる。この場合、前記(d)の、最も小さい径のホールにおいて、エッチング残りによりホールの底から十分な電子が放出されないため、前記(e)の二次電子像は、前記(c)に比べて暗い像となる。また、プロセス状態が更に変動し、アンダーエッチングが更に進むと、より大きい径を有するホールにおいても異変が観察されるようになる。
【0039】
そして、図2(c),(e)のような観察結果における、前記各ホールの明暗状態を、前記自動欠陥分類機能(ADC)を用いて分類することで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。このADCによる、電気的欠陥の度合いの分類に関しては、図14において後述する。
【0040】
つぎに、図3(a),(b)により、プラグ形成工程を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0041】
図3(a)は、当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるB−B’間の断面図である。当該TEGは、前記図2(a),(b)で示したホール形成工程のTEGに対して、プラグを形成した例である。従って、構成も前記図2(a),(b)と同様に、ホール径(レイアウトサイズ)が3通りに振り分けられた構造をもつホールに対して、プラグが埋め込まれた構成となる。つまり、図3(a)において、最も大きい径のプラグ9と、次に大きい径のプラグ10と、最も小さい径のプラグ11を有している。その他、構成に関する説明も前記図2(a),(b)と同様のことが言える。
【0042】
次に、図3(c)〜(e)により、前記図3(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0043】
図3(c)は、プラグ形成工程が正常に行われた際(断面図が前記(b)のような場合)の観察結果の一例であり、(d)は、プラグ形成工程に異変があった際の一例で、この場合の当該TEGの断面図、(e)は、前記(d)におけるTEGを観察した際の観察結果の一例である。ここで、前記(d)におけるプラグ形成工程での異変は、プロセス状態の変動により、プラグ材料の埋め込みに不具合が生じ、前記最も小さいホール径のプラグ11が完全に形成されなかったこととする。
【0044】
プラグ形成工程が正常に行われた場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記(c)に示すように全プラグとも同程度の明るさ(暗さ)を有する二次電子像が得られる。
【0045】
しかしながら、プラグ形成工程に異変があった場合、例えば、前記(d)のようにプラグ材料の埋め込みに不具合が生じた場合において、SEM式装置で観察すると、前記(e)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像となる。この場合、前記(d)の、最も小さいホール径のプラグにおいて、プラグが穴底に接触しておらず、二次電子放出に伴い正に帯電し、正常に形成されたプラグに比べ放出される二次電子の量が少なくなるため、前記(e)の二次電子像は、前記(c)に比べて暗い像となる。また、プロセス状態が更に変動し、プラグ材料の埋め込み不具合が更に進むと、より大きいホール径に形成されるプラグにおいても異変が観察されるようになる。
【0046】
そして、前記ホール形成工程を評価するTEGと同様、図3(c),(e)のような観察結果における、前記各プラグの明暗状態を、前記ADCを用いて分類することで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0047】
つぎに、図4(a),(b)により、導電性膜の加工精度を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0048】
図4(a)は当該TEGの上面図、(b)は、(a)におけるC−C’間の断面図である。当該TEGは、導電性膜対の間隔(レイアウトサイズ)が3通りに振り分けられた構造を有している。例えば、前記導電性膜対の間隔は、その形成プロセスの加工精度前後の距離に近接させたものとし、加工精度±0%の導電性膜対14、加工精度−10%の導電性膜対15、加工精度−20%の導電性膜対16などにする。前記導電性膜対の内、一方はスルーホール17により接地され、他方は非接地とする。勿論、導電性膜対の数量や間隔はこれらに限定されるものではない。
【0049】
次に、図4(c),(d)により、前記図4(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0050】
図4(c)は導電性膜の加工精度が良好な場合の観察結果であり、(d)は導電性膜対の加工精度に異変が生じた場合の一例で、この場合の観察結果である。
【0051】
導電性膜の加工精度が良好な場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記(c)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像が得られる。前記(c)では、前記3通りの導電性膜対において、接地側の導電性膜と非接地側の導電性膜とで明暗の違いが生じている。
【0052】
しかしながら、導電性膜の加工精度に異変が生じた場合、SEM式装置で観察すると、例えば、前記(d)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像となる。この場合、前記加工精度−20%の導電性膜対16において、通常は接地側と非接地側に分離されている導電性膜対に、ショート19が発生し、両方の導電性膜が接地電位となるため、明暗に違いが生じなくなる。また、導電性膜の加工精度がさらに低下すると、より間隔が大きい導電性膜対においても異変が観察されるようになる。
【0053】
そして、これまでのTEGと同様、SEM式装置での観察結果における、前記各導電性膜対の明暗状態を、前記ADCを用いて分類することで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0054】
つぎに、図5(a),(b)により、層間パターンの合わせ精度を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0055】
図5(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるD−D’間の断面図である。前記(b)において、当該TEGは、1層目にプラグ20を形成し、当該プラグを接地し、2層目に下地まで貫通していないプラグ21を、前記1層目のプラグ20の極近傍に形成した構造である。また、前記(a)において、前記1層目のプラグ20におけるそれぞれの辺に対し、前記2層目のプラグを3個ずつ設け、前記3個のプラグは、前記1層目のプラグ20との間隔(レイアウトサイズ)が、広いプラグ22と狭いプラグ21の2通りに振り分けられている。
【0056】
前記のような構造を有することで、当該TEGは、パターン合わせ精度を、合わせずれの量と方向の観点から判別できる。また、前記1層目のプラグ20と2層目のプラグ21との間隔を、製品における層間合わせずれの許容値より小さく設定しておくなどで、製品に影響を与えない範囲内のパターン合わせずれの発生状況をモニタすることができる。
【0057】
次に、図5(c)〜(e)により、前記図5(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0058】
図5(c)は、X軸のマイナス方向に合わせずれが発生した場合の観測結果の一例で、(d)は、X軸のマイナス方向に加え、Y軸のマイナス方向にも合わせずれが発生した場合の観測結果の一例、(e)は、回転軸方向に合わせずれが発生した場合の観測結果の一例である。
【0059】
導電性膜の加工精度が良好な場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記2層目のプラグから得られる二次電子像は、全てほぼ同一の明るさ(暗さ)となる。
【0060】
しかしながら、層間パターンの合わせずれが生じた場合、SEM式装置で観察すると、例えば前記(c),(d)または(e)に示すように、前記2層目のプラグにおける二次電子像の明暗状態に違いが発生する。これらは、前記合わせずれの量と方向に応じて、前記2層目のプラグのいずれかが、接地された1層目のプラグ20とショートするためである。したがって、前記2層目のプラグの明暗状態の違いを観察することでずれの量と方向が判別できる。例えば、前記2層目のプラグが、(c)においては、X軸のマイナス方向に小さくずれていることが判り、(d)においては、X軸のマイナス方向に大きくずれ、さらにY軸のマイナス方向にも小さくずれていることが判り、(e)においては、回転軸方向に小さくずれていることが判る。
【0061】
前記のような層間パターンの合わせずれの検査を、半導体装置面内の全TEGもしくは適度に距離をおいて選択したTEGにて実施することにより、前記合わせずれの量と方向の面内分布を得ることができる。また、図5では、2層間の合わせずれ精度を評価するTEGの一例を説明したが、同様にして3層間以上でも適用可能である。さらに、図5のTEGより接触/非接触と正常/異常の関係を逆にした構造や、位置合わせ用のアライメントマークと兼用にした例も考えられる。
【0062】
そして、これまでのTEGと同様、SEM式装置での観察結果における、前記2層目の各プラグの明暗状態を、前記ADCを用いて分類することで、ずれの量と方向をパラメータとして、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0063】
つぎに、図6(a),(b)により、導電性膜の成膜状態を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0064】
図6(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるE−E’間の断面図である。当該TEGは、蛇行した導電性膜27を形成し、一方の端を、スルーホール25によって接地し、他方の端を、観察点26とした構造を有している。
【0065】
次に、図6(c),(d)により、前記図6(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0066】
図6(c)は、導電性膜の成膜状態が良好な場合の観測結果の一例で、(d)は、導電性膜の成膜状態に異変が発生した場合の観測結果の一例である。
【0067】
例えば、導電性膜の成膜状態が良好な場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記(c)のように、導電性膜27の全てにおいて、そこから得られる二次電子像は同一の明暗状態となる。
【0068】
しかしながら、導電性膜の成膜状態に異変が生じた場合、SEM式装置で観察すると、例えば(d)に示すように、欠陥箇所28を境に明暗状態が分離された二次電子像が観察される。
【0069】
そこで、前記図6に示すようなTEGにおいて、前記導電性膜の幅、長さ、形状、近接パターン、下地等を膜が正常に形成され難い条件にする、または、これらの条件を多段階に変えることによって、電気的欠陥の度合いを分類することが可能となる。この一例を図7に示す。
【0070】
図7は、前記図6(a),(b)に示したTEGに対し、同じ配線形成条件で、もしくは、導電性膜の幅等を変えた条件で4種類を作成し、前記観察点26を近接させた構造を有している。この場合、必ずしも前記導電性膜全てを観測する必要はなく、前記4種類の観測点26のみを1回で観察するなどで足りる。また、前記同じ配線形成条件を4種類設けたのは、電気的欠陥の確率上の度合いを見るためである。なお、当該TEGにおいて、4種類のパターンの構成および組み合わせは、それぞれのパターン毎に、配線幅や長さ(レイアウトサイズ)を変更したり、下地や形状を変更するなど多数考えられる。例えば、下地を変更した一例を図8に示す。
【0071】
図8(a)は前記図7のパターンの一部を示す上面図、(b)は、前記(a)におけるF−F’間の断面図を示す。当該TEGでは、前記(b)のように、前記導電性膜の下地に、長さ、深さ(高さ)などを変化させた凹凸を設けることで、導電性膜の付き具合を評価できる。導電性膜の付き具合が悪くなると、断線等が生じる可能性が高くなり、前記観察点26における観察で判別可能となる。
【0072】
そして、前記図7のように、複数種類の条件を含ませたTEGを形成し、前記4種類の観測点26などにおける明暗状態を、前記ADCを用いて分類することで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0073】
つぎに、図9(a),(b)により、導電性膜の埋め込み性を評価するTEGの構成例および観察例を以下に説明する。
【0074】
図9(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるG−G’間の断面図である。当該TEGは、下地に形成した蛇行した溝に、導電性膜32が埋め込まれており、一方の端を接地点29、他方の端を観察点30とした構造を有している。
【0075】
ある種の導電性膜は、下地に穴もしくは溝を形成した後に成膜され、CMPなどによって溝以外の部分が除去されたようなものがあり、この場合において、当該導電性膜の穴/溝への埋め込み性が重要となる。当該TEGは、前記のような導電性膜を評価するためのものである。なお、前記(a),(b)では蛇行した溝となっているが、勿論これに限定されるものではない。
【0076】
前記(a)で示した観察点30において、SEM式装置により、二次電子像、電位コントラスト像および陰影像とを観察すると、前記導電性膜の埋め込み性の良否に応じて、前記観察点30の明るさが変化する。この変化を顕著に捉えるために、前記観察点の近傍に、接地された導電性パターン31を形成しておき、これと比較する。
【0077】
また、溝の埋め込み成膜状況には方向性があり、これを明確に捉えるために、前記(a)の蛇行した溝において長辺を短辺に比べて相対的に細く作成し、方向を90度回転させたもう一つのTEGと対にして用いる。前記対の数は多いほど正確な結果が得られるので、2組以上にすることが好ましい。この一例を、図9(c)に示す。
【0078】
図9(c)は、前記対の数を2組とした場合の一例である。但し、前記対の組み合わせは、図9(c)のものに限定されるものではない。例えば、溝が走る方向を斜めとするパターンもあり得る。
【0079】
つぎに、図10(a),(b)により、イオン打ち込み量のばらつきを評価するTEGの構成例および観察例を以下に説明する。
【0080】
図10(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるH−H’間の断面図である。当該TEGは、ウェル33上に、折れ線状の溝34を備えた絶縁膜等の不純物打ち込み用のマスク35が形成され、前記折れ線状の溝34より、ウェル内の不純物とは種類または濃度の点で相違する不純物を打ち込んだ構成となっている。
【0081】
当該TEGに対し、SEM式装置により、観察領域37における二次電子像、電位コントラスト像を観察すると、前記ウェル33内における前記不純物が打ち込まれた領域36内外で、前記不純物の種類と濃度に応じて明暗状態が異なる。そして、前記明暗状態がより顕著に異なるようにするには、例えば、前記図10の構造のように、不純物打ち込み領域を折れ線状にし、その観察しない方の端部がウェル外にはみ出す構造にする、ならびに観察部の近傍に設定された導電パターンを形成し、その部分の明暗状態を基準にする、などが考えられる。
【0082】
従って、当該TEGを半導体装置面内全域で均一に配置し、それぞれを観察することで半導体装置面内の不純物ばらつきの分布が判明し、時系列的に半導体装置間で比較することで、不純物打ち込み工程の状況を把握することができる。
【0083】
但し、当該TEGは、その観察結果から、直接、不純物の打ち込み量を定量的に求めることはできないため、初期段階では、半導体装置面内の分布やウェハ・ロット毎の変動観察等に利用する。その後、前記半導体装置面内の分布とその半導体装置に対するテスタ等での電気的テストの結果が累積されれば、当該TEGの観察結果から製品の良し悪しがある程度推定可能になると考えられる。
【0084】
また、不純物は、その目的によって種類、量、打ち込み時のエネルギー、打ち込み後の熱処理方法が大きく異なる。従って、前記図10に示したTEGの構造例も併せて変更する必要がある。
【0085】
つぎに、図11(a),(b)により、ゲート酸化膜の膜質を評価するTEGの構成例および観察例を以下に説明する。
【0086】
図11(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるI−I’間の断面図である。当該TEGは、面積が異なる複数の孤立パターンより構成される。その断面構造は、下地となるウェル33、ゲート酸化膜42およびその上に形成するゲート電極43ともに製品内のゲートと全く同じにする。
【0087】
当該TEGの各孤立パターンに対し、SEM式装置により電子線を照射し、その直後もしくは一定時間経過後にこれらの二次電子像、電位コントラスト像を観察する。前記電子線照射の程度がある程度より高い場合、ゲート酸化膜42に変質をきたし、その結果として二次電子像、電位コントラスト像の明暗状態が変質する前に比べ変化する。変質が著しい場合には、形状が変化する場合もあり、これを観察しても良い。
【0088】
当該TEGを半導体装置面内全域で均一に配置し、それぞれを観察することで半導体面内におけるゲート酸化膜質の分布が判明し、時系列的に半導体装置間で比較することで、ゲート酸化膜形成工程の状況を把握することができる。
【0089】
なお、ゲートの構造は、図11のものに限定されるものではなく、各孤立パターンの上面から見た形状を全て同じにして、電子線の照射条件などを各孤立パターン毎に変更してもよい。また、ゲート電極に相当する導電性膜の形成は必ずしも必須ではなく、対象もゲート酸化膜に限定されるものではない。そして、観察前に照射する電子線は、他の荷電粒子・電磁波(X線、紫外線など)としても良い。
【0090】
つぎに、図12により、ウォータマークを評価するTEGの構成例および観察例を以下に説明する。
【0091】
図12は、ウォータマークが形成され易い材料を用いた短形の窪み(例えば、削られた半導体ウェハ、削られた半導体ウェハ上の酸化膜等)などから構成されている。
【0092】
当該TEGを有する半導体装置において、洗浄−水洗−乾燥などの処理を実施し、当該TEGをSEM式装置により観察すると、前記処理の条件によっては、ウォータマークが観察される場合がある。特に、前記図12の角の部分において、ウォータマークが観察されやすい。
【0093】
当該TEGを複数設けることで、ウォータマークが観察されたTEGの数量などにより、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0094】
つぎに、図13により、膜厚を評価するTEGの構成例と、SEM式装置による観察例を以下に説明する。
【0095】
図13(a)は、当該TEGの断面図を示したものである。当該TEGは、膜厚評価用パターン38上に評価対象の膜を形成した構造となっている。そして、前記膜厚評価用パターンの電位コントラスト像および陰影像を観察することにより、膜厚に関する情報を得ることができる。
【0096】
図13(b)は、前記電位コントラスト像の観察結果例、図13(c)は、前記陰影像の観察結果例を示したものである。前記(b),(c)に示すような像は、前記評価対象となる膜の膜厚によって、前記膜厚評価用パターン38の認識度合いが異なる性質がある。したがって、当該TEGを、半導体装置面内全域において均等に配置し、それぞれの前記膜厚評価用パターン38の認識度合いを比較することで、半導体面内における膜厚の均一性等を評価することが可能となる。
【0097】
つぎに、これまでに説明してきた、自動欠陥分類機能(ADC)を用いて電気的欠陥を複数段階の度合いに分類する一例を図14により説明する。
【0098】
図14は、例えば、図2に示したホール形成工程を評価するTEGに対し、SEM式装置で観察した画像(取得画像)を前記ADCを用いて分類した一例である。図14の(a)は、前記取得画像と、分類結果(ADC結果)およびその判定結果と、前記分類結果に対応したアウトプットの関係の一例を示し、(b)は前記アウトプットを半導体装置面内で表示させた一例を示す。
【0099】
前記ADCによる分類手順は、例えば、前記図2の径が異なる3通りのホールにおいて、各ホールの明暗状態の組み合わせを前記ADCを用いて識別し、事前に定義した前記明暗状態の組み合わせと分類結果等の関係に基づいて、前記ADCを用いて分類を行うというものである。従って、前記図14(a)は、前記事前に定義した内容の一例を示すものとなる。
【0100】
前記図14(a)は、前記取得画像の明暗状態により、例えば、極めて良好、良好、要注意、警告、NG、判定対象より外すなどを定義しており、ここでは最も大きい径を有するホールが製品の最小径のホールと同一と仮定しているため、当該ホールに異変が生じるとNGという判定結果になる。また、当該ホールが正常で、それよりも径が小さいホールに異変が生じている範囲、すなわち、判定結果において良好、要注意、警告の範囲が許容範囲となり、製品に発生する電気的欠陥を未然に防止するためなどで重要な意味をもつ。また、最も径が小さいホールは正常であるのに、より径が大きいホールに異変が生じた場合などは、特異な原因が考えられるため、判定対象より外すなどの判定結果とする。これらの分類および判定結果を、その識別模様であるアウトプットに従い半導体装置面内で描画した例を図14(b)に示す。
【0101】
図14(b)は、半導体装置面内の各チップにおいて、それぞれ、そのチップ領域内またはスクライブ領域内に前記図2のようなTEGが属している場合に、前記各TEG毎に得られる前記アウトプットを、前記TEGが属するチップの代表値として表示させた一例である。この例では、ホール形成不良領域が、半導体装置面内のトップ側中央から左下にかけて特徴的に存在している。
【0102】
また、これまでの説明は、前記図2のTEGを例としてきたが、図3〜図13に示したTEGに対しても、前記図14(a)と同様にADCの定義を行うことで、電気的欠陥の度合いを分類できることは言うまでもない。
【0103】
なお、前記図14(a)で示した取得画像の明暗状態は、材質/ホール径/ホール深さ等の影響を受けるため、当該図に示した色彩に限定されるものではないが、少なくとも異変の識別は可能である。よって、断面観察やプローブ検査等の結果と前記取得画像の明暗状態の関係を事前に調査し、その調査結果から前記ADCの定義を行う場合も有りうる。また、これらと同様なことは、図3〜図13に示したTEGに対しても言える。
【0104】
また、前記のような明暗状態を詳細に判定するには、ヒストグラムを用いる方法が挙げられる。この方法は、SEM式装置にてTEGの画像をグレースケールにて取得する。この作業を、半導体装置面内の全てのTEGもしくは予め選択したTEGに対して実施し、得られた画像を画素ごとの明るさ分布で表示したもの(ヒストグラム)どうしで比較する。すると、前記画像内における特定の明るさを有する画素の多い少ないが判明し、明暗状態の相違を定量的に判断できる。このヒストグラムによる観察結果例を図15に示す。
【0105】
図15は、例えば、2つの前記図2に示すTEGに対して、最も径が小さいホールの観察領域39でヒストグラムを表示し、2つのTEG間で比較した例である。このヒストグラムは、縦軸を画素数、横軸を明るさとしている。図15の左側のヒストグラムには、明るい画素が多く含まれており、対して右側のヒストグラムには、暗い画素が多く含まれていることが判る。
【0106】
以上、これまでに示した例により、本実施の形態の半導体装置によれば、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いてTEGを検査することで、前記半導体装置の電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することができる。つまり、前記半導体装置において、電気的欠陥が発生し得る可能性、およびその可能性の程度を把握することが可能となる。
【0107】
また、半導体装置面内においてTEGを均一に配置し、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いて前記TEGを検査することで、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内における分布が判るようになる。
【0108】
つぎに、本実施の形態の半導体装置を製造する際にも、前記までに説明したTEGを活用して、効果的な製造工程を実現することができる。図16に、本発明の一実施の形態における半導体装置の製造フローの一例を示す。
【0109】
図16に示す半導体装置の製造フローは、例えば、本発明の一実施の形態の半導体装置を製作するプロセス工程(ステップS1)と、前記製作された半導体装置において、その非製品領域に配置されたTEGを用いることで前記プロセス工程を評価するインライン検査工程(ステップS2)と、インライン検査工程の結果をプロセス工程にフィードバックするフィードバック工程(ステップS3)とを有しており、下記の手順で行われる。
【0110】
ステップS1において、ホール形成工程、導電性膜形成工程などといった詳細プロセス群が実施され、ステップS2のインライン検査工程を挟んで、導電性膜形成工程、パターン形成工程Iなどといった別の詳細プロセス群が実施される。
【0111】
ステップS2において、前記ステップS1の各詳細プロセス群で製作された一部の半導体装置に対し、例えばSEM式装置などの、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置によって検査が行われる。
【0112】
ステップS3において、前記装置による検査結果を判断し、必要に応じて、前記プロセス工程に対しフィードバックなどを行う。なお、当該フィードバック工程の詳細例は図17にて後述する。
【0113】
本発明の前提として検討した半導体装置の製造方法においても、全体的なフローは図16に示すフローとほぼ同様であるが、主に以下の2点が前提とした製造方法とは異なる。
【0114】
まず、第1点目は、インライン検査の対象が製品であるかTEGであるかの違いである。これは、本発明が従来とは異なり、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内における分布、およびその時系列的推移に着目していることから、特にTEGによる検査が適しているためであり、また、TEGを用いることで多くの利点が得られるためでもある。ここで、前記TEGを用いる利点としては、(1)製品領域への電子線照射を行わないため、これに起因するダメージが発生しない、(2)検査時間が短い、(3)製品が異なってもTEGを共通にすることで、特に、多品種少量ラインにおいて有効な空きの少ないプロセスモニタが可能となる、(4)装置ダミーを使う必要がなく、また、ダミーを用いることによる不具合、例えば製品上不具合との整合性確認作業などを行う必要もなくなる、などが挙げられる。
【0115】
また、前記半導体装置面内における電気的欠陥の度合いの分布、およびその時系列的推移に着目した理由の一つは、本発明者が検討したところによれば、プロセス工程で発生する欠陥の主原因が、製造装置状態の変動に起因する膜の形成や加工(エッチングなど)の不均一性である場合が多いためである。このため、欠陥の特徴として半導体装置面内の特定部分に集中する傾向があり、また、この傾向は製造装置毎に特徴的に現れることが予想される。
【0116】
そして、第2点目は、前記フィードバック工程の違いである。
【0117】
図17に前記フィードバック工程における処理フローの一例を示す。図17のフィードバック工程は、前記インライン検査の結果を受けて、製品における電気的欠陥時期を予測し、予防するための工程であり、下記の手順にしたがって行われる。
【0118】
ステップS4において、インライン検査工程の結果を受けて、半導体装置面内のTEGにおける電気的欠陥の予備欠陥数および本欠陥数を集計する。前記予備欠陥数とは、半導体装置面内において、例えば、前記図14(a)にて説明した許容範囲内(良好、要注意、警告)に該当する欠陥数である。但し、許容範囲内にも3段階が含まれるため、段階毎に係数などによる換算を行ったり、良好を外したり、予備欠陥の種類を増やしたりなど累積的に最適な条件を決定していく必要がある。前記本欠陥数とは、本来、半導体装置面内において、製品領域の検査から得られる欠陥数のことを指す。但し、前記TEGに、製品領域の各要素部分の構造を反映させることで、TEGでの欠陥数(例えば、前記図14(a)のNGの数)として代替可能になると考えられる。
【0119】
ステップS5において、前記本欠陥数を本欠陥数の管理値と比較する。前記本欠陥数が前記管理値内であれば、ステップS6に進み、前記管理値外であれば、ステップS12に進む。
【0120】
ステップS6において、前記予備欠陥数を予備欠陥数の管理値を比較する。前記予備欠陥数が前記管理値外であれば、ステップS7に進み、前記管理値内であれば、ステップS13に進む。
【0121】
ステップS7において、当該半導体装置(ウェハ)の欠陥数は、予備欠陥数の管理値外であるが本欠陥数の管理値内であるため、当該半導体装置は次のプロセス工程へ流動させる。そして、ステップS8に進む。
【0122】
ステップS8において、インライン検査工程で取得した情報により、前記半導体装置面内における電気的欠陥の度合いの分布データ(例えば、前記図14(b)に示したようなもの)を作成し、ステップS9に進む。
【0123】
ステップS9において、前記分布データより欠陥の偏りを認識する。欠陥の偏りとは、例えば、前記図14(b)では、ホール形成不良領域が、半導体装置面内のトップ側中央から左下にかけて特徴的に存在している、というようなことである。そして、ステップS10に進む。
【0124】
ステップS10において、前記分布データの欠陥の偏りと類似した偏りを有する不具合事例を、不具合事例データベースより検索する。類似した事例があれば、ステップS11に進み、そうでなければステップS14に進む。
【0125】
ステップS11において、不具合事例データベースの類似した事例に基づいて、プロセス工程へのフィードバックの計画立案および実施を行う。また、不具合事例データベースの更新などを行う。例えば、類似した事例が、直前に、原因/対策事項等が未判明のまま登録されてあった場合など、連続して欠陥が発生していることから、原因調査や対策などの計画を立案する。そして、不具合事例データベースに前記直前の事例からの時間差や電気的欠陥度合いの変動量などを登録し、後に原因や対策が判明すれば、併せて登録する。このようなデータを蓄積することで、不具合事例データベースよりプロセス状態が許容できなくなる時期などをある程度予測でき、適切な時期に、適切な方法でフィードバックを行う計画などが立案できるようになる。
【0126】
ステップS12において、前記ステップS5で本欠陥数が管理値外であった場合、装置の緊急使用停止および緊急対処(ウェハ流動の可否判定、装置清掃等)などを行う。
【0127】
ステップS13において、前記ステップS6で予備欠陥数が管理値内であった場合、正常なプロセス状態として、半導体装置は次のプロセス工程へ流動させる。
【0128】
ステップS14において、前記ステップS10で類似した事例が無かった場合、装置に対する原因調査や、場合によっては対策を行う。そして、ステップS15に進む。
【0129】
ステップS15において、不具合事例データベースに発生時期、前記分布データを登録し、また、前記ステップS14における原因/対策などの判明事項も併せて登録する。また、原因/対策事項などが未判明の分布データでも、前記ステップS11の説明のように、当該半導体装置の直後に検査された半導体装置において、同様な特徴の分布データが観測された場合などで有益な情報となる。
【0130】
本発明の前提として検討したフィードバック工程においては、前記本欠陥数を用いて管理されており、前記本欠陥数の管理値を上回った場合に原因究明を行い、フィードバックを行うといったものであった。これは、前記図17のS4,S5およびS12の部分に対応する(但しS4の予備欠陥数は無し)。
【0131】
したがって、製品領域にある程度の欠陥が発生した以降でないとフィードバックが行われず、その直前の半導体装置などに欠陥の作り込みが行われていた。さらに、電気的欠陥の度合いも1段階(例えば、前記図14(a)のNGに相当)であり、電気的欠陥の発生にもばらつきがあることから、その半導体装置の面内分布において、欠陥の特徴や時系列的傾向を十分に見出すことは容易ではなかった。但し、SEM式装置の感度を変えることで、電気的欠陥の度合いを判別する方法はあったが、その感度の調整は非常に困難である。
【0132】
これらによって、本発明の前提として検討したフィードバック工程においては、フィードバックを行う時期が適切でなく、欠陥の原因究明や対策方法を確定するのにも時間を要するため、欠陥の作り込みや装置稼働率の低下などが懸念された。
【0133】
しかしながら、前記図17のフィードバック工程を用いると、これまでに説明したように、TEGに、電気的欠陥の度合いが分類可能な仕組みを設け、当該TEGを検査することで予備欠陥数でも管理できる。さらに、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内分布を時系列的に管理することができるため、電気的欠陥の特徴や時系列的傾向の把握も容易となる。
【0134】
したがって、原因調査や対策に着手するフィードバック時期が適正化され、なおかつ前記原因調査や対策に要する時間も短縮されることから、前記のような欠陥の作り込みや、装置稼働率の低下などが改善されることが期待できる。
【0135】
ここで、前記フィードバック時期の適正化に関する具体例として、前記本欠陥数により管理を行った一例と、前記予備欠陥数および本欠陥数により管理を行った一例を図18を用いて比較する。
【0136】
図18(a)は、本発明の前提として検討した本欠陥数による管理結果の一例で、(b)は本発明の一実施の形態における予備欠陥数と本欠陥数による管理結果の一例である。前記(a),(b)共に、縦軸を欠陥数、横軸を時間とし、あるインライン検査工程で検査した半導体装置毎の欠陥数を時系列的に示したものである。前記(a)においては、前記本欠陥数が棒グラフ40で示され、破線で本欠陥数の管理値が示されている。前記(b)においては、前記予備欠陥数の棒グラフ41と前記本欠陥数の棒グラフ40が併せて示されている。また、破線にて前記予備欠陥数の管理値と前記本欠陥数の管理値がそれぞれ示されている。なお、前記(b)における本欠陥数は、前記(a)における本欠陥数と同じとする。
【0137】
前記(a)においては、これまでに説明したように、本欠陥数が管理値を上回った段階から対策および対策準備が行われる。
【0138】
前記(b)においては、これまでに説明したように、予備欠陥数が管理値を上回った段階から対策および対策準備が行われる。このため、時期的なメリットが得られている。また、前記予備欠陥数と本欠陥数は、原則的にはある程度の比例関係が存在するが、前記予備欠陥には複数の段階が含まれているため、前記本欠陥よりも確率的に高く欠陥を感知できると考えられる。したがって、本欠陥数の時系列的増減の傾向が若干ばらつくのに対し、予備欠陥数の傾向はある程度安定することが予想される。
【0139】
また、本欠陥数のデータが(b)において存在し、(a)においては存在しない箇所(図18(b)の破線で示した棒グラフ)は、前記TEGを用いる利点でも説明したように、多品種混在の製造工程などで、製品の進行にむらがあった場合でもTEGを共通にすることで、空きの少ないモニタが行える一例である。
【0140】
以上、これまでに示した例により、本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、プロセス状態の変動に伴う電気的欠陥の対策および原因究明を、適切な時期に、迅速な方法で行うことが可能になる。したがって、生産効率の向上や欠陥の作り込みの防止などで効果が得られる。
【0141】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0142】
例えば、前記本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法においては、主にTEGを活用して量産時のプロセス工程評価およびフィードバックを行う例を説明したが、当該TEGは製品開発時期においても、プロセスの条件出しやプロセスマージンの評価、およびウェハ面内のプロセス均一性評価といったプロセス開発向けのTEGとしても適用可能である。
【0143】
また、例えば、前記図14(a)に示したような分類情報に基づいて、前記プロセス工程で用いる装置の着工条件などに自動でフィードバックするAPC(advanced process control)などにも適用可能である。
【0144】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0145】
(1)電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いて検査されることで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することを可能にするTEG、およびそのTEGを有する半導体装置を提供できる。
【0146】
(2)前記(1)により、TEGを、半導体装置面内において均一に配置し、前記TEGを、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いて検査することで、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内での分布が把握できるようになる。
【0147】
(3)前記(2)により、半導体装置の製造工程において、TEGを検査するインライン検査工程を設けることで、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内における分布を時系列で把握でき、これにより、プロセス状態の変動に伴う電気的欠陥の対策および原因究明を、適切な時期に適切な方法で行うことが可能になる。
【0148】
(4)半導体装置の製造工程において、TEGに対してインライン検査を行うことで、製品領域にチャージアップなどのダメージを残さず、また、検査時間も短く、さらに、製品間でTEGを共通にすることで、空きの少ないプロセスモニタが可能となる。
【0149】
(5)前記(3),(4)により、生産効率の向上や欠陥の作り込み防止などに有益な半導体装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c)は、本発明の一実施の形態の半導体装置を示す構成図である。
【図2】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、ホール形成工程を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c),(e)は、当該TEGの観察結果例を示す図、(d)は、当該TEGに欠陥が発生した一例を示す断面図である。
【図3】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、プラグ形成工程を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c),(e)は、当該TEGの観察結果例を示す図、(d)は、当該TEGに欠陥が発生した一例を示す断面図である。
【図4】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、導電性膜の加工精度を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c),(d)は、当該TEGの観察結果例を示す図である。
【図5】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、層間パターンの合わせ精度を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c)〜(e)は、当該TEGの観察結果例を示す図である。
【図6】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、導電性膜の成膜状態を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c),(d)は、当該TEGの観察結果例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態の半導体装置において、図6のTEGを変形した構成例を示す上面図である。
【図8】本発明の一実施の形態の半導体装置において、図7の一部の構成における具体例を示す上面図および断面図である。
【図9】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、導電性膜の埋め込み性を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c)は、当該TEGを変形した構成例を示す上面図である。
【図10】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、イオン打ち込み量のばらつきを評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図である。
【図11】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、ゲート酸化膜の膜質を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図である。
【図12】本発明の一実施の形態の半導体装置において、ウォータマークを評価するTEGの構成例を示す概略図である。
【図13】(a)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、膜厚を評価するTEGの構成例を示す断面図、(b),(c)は、当該TEGの観察結果例を示す図である。
【図14】(a)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、TEGの観察結果から電気的欠陥の度合いを分類する方法の一例を示す説明図、(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、分類した結果を半導体装置面内で表示した一例を示す面内分布図である。
【図15】本発明の一実施の形態の半導体装置において、TEGの検査方法の一例を示す説明図である。
【図16】本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法を示す製造フロー図である。
【図17】本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法における、フィードバック工程のフローを示すフィードバックフロー図である。
【図18】(a)は,本発明の前提として検討した欠陥数管理の一例を示す説明図、(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法において、欠陥数管理の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 半導体装置
2 製品領域
3 スクライブ領域
4〜6 ホール
9〜11 プラグ
14〜16 導電性膜対
17,25 スルーホール
19 ショート箇所
20 1層目のプラグ
21,22 2層目のプラグ
26,30 観察点
27 導電性膜
28 欠陥箇所
29 接地点
31 接地された導電性パターン
32 埋め込まれた導電性膜
33 ウェル
34 溝
35 不純物打ち込み用マスク
36 不純物打ち込み領域
37,39 観察領域
38 膜厚評価用パターン
40 本欠陥数の棒グラフ
41 予備欠陥数の棒グラフ
42 ゲート酸化膜
43 ゲート電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、TEG(test element group)を有した半導体装置とその製造方法に関し、特に、プロセスモニタ用のTEGを有し、自動欠陥分類機能(ADC:auto defect classification)を搭載した電子式の半導体ウェハ検査装置を用いたインライン検査工程を含む、半導体装置の製造方法に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者が検討したところによれば、TEGを用いた検査方法または製造方法に関しては、以下のような技術が考えられる。
【0003】
TEGを含めた半導体装置の製造工程において、そのインライン検査で使用する検査装置として、自動欠陥レビュー機能や自動欠陥分類機能などを搭載した電子ビーム式の半導体ウェハ検査装置が市販されている。前記検査装置の特徴として、電位コントラスト像を観察することで、配線のオープンやショートのほかに、コンタクトの導通/非導通などが確認できる。
【0004】
前記検査装置を使用した検査方法として、配線のオープンやショートを検出するための一般的なTEGを半導体装置内に設けて、そのTEGの電位コントラスト画像を観察するという方法があげられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、前記のようなTEGに加えて、コンタクトの導通/非導通を検出するためのTEGを設け、さらに、それらの検査結果より欠陥モードを分類し、ウェハマップの表示や欠陥数の統計処理等を行う検査システムも存在する(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−294344号公報
【0007】
【非特許文献1】
Kurt Weiner、他4名、“Winter 2002 Yield Management Solutions”、[online]、2002年2月22日、p15−27、[2002年12月4日検索]、インターネット<URL:http://www.kla−tencor.com/company_info/magazine/winter02/winter02.pdf>
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のようなTEGを含む半導体装置の検査技術または製造技術について、製造工程における問題点も含めて本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。
【0009】
半導体装置の製造工程においては、例えばホール形成工程におけるアンダーエッチングや穴底へのレジスト残り、コンタクトへの埋め込み膜の形成欠陥、異物やパターン合わせずれに起因する配線のオープンならびにショートなどの欠陥が作り込まれている。しかしながら、前記のような欠陥のうち、特に外観欠陥を伴わずに、光学的に観察不可能なものはプローブ検査まで見逃される可能性が高く、場合によっては、プローブ検査で見逃されることも有り得る。したがって、このような電気的欠陥を検出し、欠陥モードを分類するため、前記のような従来技術が利用できると考えられる。
【0010】
しかしながら、前記のような従来技術は、電気的欠陥の有無および欠陥モードは判別できるが、電気的欠陥の度合いは判別することができない。電気的欠陥の度合いとは、半導体装置がどの程度のプロセスマージンを持って製造されているかというようなことを意味し、製造装置起因等によるプロセス状態の時系列的変動、および半導体装置面内におけるプロセス状態の差異といった可変的な要素を含んでいる。
【0011】
前記のような電気的欠陥の度合いが判別できないことによって、以下のような問題が生じると考えられる。
【0012】
すなわち、従来技術では、TEGを製品に見立て、このTEGで製品の良し悪しを判別している。このため、製造工程において、製品が欠陥に至るレベルにまでプロセス状態が変動することで、ようやくプロセスに異変が生じていることを察知できる。すると、その直前に製造した半導体装置に対しても、欠陥が作り込まれている可能性が高くなるため、対策開始時期が適正でないなどの問題が有ると言える。
【0013】
また、前記電気的欠陥の度合いなどに関する情報が得られないため、欠陥原因の特定および推定、さらには対策を行うための情報も不足し、対策が遅れて製造装置が止まるなど、生産効率が低下するといった問題も考えられる。
【0014】
以上のような問題を鑑みて、本発明者は、半導体装置の製造工程で発生する前記のような欠陥が、前記半導体装置面内の比較的広い領域で特徴をもって分布する場合が多いことに着目した。すなわち、前記のような電気的欠陥の度合いの半導体装置面内における分布を時系列に把握することが、欠陥対策時期の適正化および欠陥対策の迅速化といった製造工程の管理面で重要であることを見出した。
【0015】
そこで、本発明の目的は、製造工程における欠陥対策時期の適正化と、欠陥対策の迅速化などに有効なTEGを有する半導体装置、およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
本発明による半導体装置は、TEGを有し、前記TEGは、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置によって検査されることで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類できる構造を有するものである。
【0019】
また、前記TEGは、特定箇所のレイアウトサイズが複数通りに振り分けられた構造を有しており、前記複数通りに振り分けられたレイアウトサイズによって、前記電気的欠陥を複数段階の度合いに分類するものである。
【0020】
そして、本発明による半導体装置の製造方法は、その非製品領域に複数配置されたTEGを利用した製造方法であり、プロセス工程と、インライン検査工程と、フィードバック工程とが含まれている。
【0021】
まず、前記プロセス工程は、複数のチップおよびTEGなどを含む半導体装置を製作する工程で、前記インライン検査工程と交互に実施される工程となっている。
【0022】
つぎに、前記インライン検査工程は、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いて、前記複数のTEGを検査し、それぞれの前記TEGに対し、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類する工程となっている。
【0023】
そして、前記フィードバック工程は、前記インライン検査工程の前記分類された結果を前記プロセス工程に反映する工程となっている。
【0024】
また、前記フィードバック工程は、前記分類された複数段階の度合いにおいて、予め定めた、製品領域に欠陥が発生する前の段階と判断される前記度合いと、前記度合いに該当する前記TEGの数量の管理値とを用いて、前記プロセス工程を管理するものである。
【0025】
また、前記フィードバック工程は、前記インライン検査工程の前記分類された結果を用いて、前記半導体装置面内における電気的欠陥の度合いの分布データを作成し、前記分布データより、分布の偏り具合の特徴を認識し、過去に発生した異変時の分布データから、前記特徴と類似した事例を検索し、類似したものがあった場合、前記事例に基づいて前記プロセス工程にフィードバック(フィードフォワード)するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
まず、図1により、本発明の一実施の形態の半導体装置の構成例を説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施の形態の半導体装置を示す概略図であり、(a)はチップ領域2にTEGを有する構成例、(b)はスクライブ領域3にTEGを有する構成例、(c)はチップ領域2に製品とTEGを有する構成例である。
【0029】
前記(a)の構成例は、通常、製品が配置される領域にTEGが配置されたもので、当該TEGは、主に新製品の開発時に用いられ、新製品の回路およびプロセスのデバックなどを目的としている。
【0030】
前記(b),(c)の構成例は、非製品領域にTEGが配置されたものあり、これらのTEGは、主に製品の量産時に用いられ、プロセス状態の管理などを目的としている。
【0031】
つぎに、図2〜図13の各図によって、本発明の一実施の形態の半導体装置におけるTEGの構成例、および電気的欠陥の検出および分類が可能な装置の一つであるSEM式装置による観察例を説明する。なお、SEM式装置としては、例えばSEM式検査装置、SEM式レビュー装置などが挙げられる。
【0032】
まずは、図2(a),(b)により、ホール(コンタクトホール、スルーホールなどを含む)形成工程を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0033】
図2(a)は、当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるA−A’間の断面図である。当該TEGは、ホール径(レイアウトサイズ)が3通りに振り分けられた構造を有している。例えば、前記3通りの径を有するホールの内、最も大きい径のホール4を現世代製品の最小径(製品と同じ径)、次に大きい径のホール5を次世代製品の最小径、最も小さい径のホール6を次々世代製品の最小径などにする。勿論、ホール径やホールの数はこれらに限定されるものではない。
【0034】
また、ここでは、ホール径を振り分けた例を示したが、他の構成例として、製品が備えるホールと同じ径/深さ/構造/存在密度/下地のホールと、当該ホールに対して径/深さ/構造/存在密度の少なくとも1条件が所定量異なるホールを1種類以上、とからなる構造が、少なくとも1組以上備わった構成も考えられる。
【0035】
次に、図2(c)〜(e)により、前記図2(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0036】
図2(c)は、ホール形成工程が正常に行われた際(断面図が前記(b)のような場合)の観察結果の一例であり、(d)は、ホール形成工程に異変があった際の一例で、この場合の当該TEGの断面図、(e)は、前記(d)におけるTEGを観察した際の観察結果の一例である。ここで、(d)におけるホール形成工程での異変は、プロセス状態の変動により、アンダーエッチングが生じ、前記最も小さい径のホール6が完全に形成されなかったこととする。
【0037】
ホール形成工程が正常に行われた場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記(c)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像が得られる。一般的に、ホール径が異なる2つ以上のホールを前記装置で観察すると、ホール径が小さい方は大きい方に比べて若干暗く見える。
【0038】
しかしながら、ホール形成工程に異変があった場合、例えば、前記(d)のようにアンダーエッチングが生じた場合において、SEM式装置で観察すると、(e)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像となる。この場合、前記(d)の、最も小さい径のホールにおいて、エッチング残りによりホールの底から十分な電子が放出されないため、前記(e)の二次電子像は、前記(c)に比べて暗い像となる。また、プロセス状態が更に変動し、アンダーエッチングが更に進むと、より大きい径を有するホールにおいても異変が観察されるようになる。
【0039】
そして、図2(c),(e)のような観察結果における、前記各ホールの明暗状態を、前記自動欠陥分類機能(ADC)を用いて分類することで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。このADCによる、電気的欠陥の度合いの分類に関しては、図14において後述する。
【0040】
つぎに、図3(a),(b)により、プラグ形成工程を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0041】
図3(a)は、当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるB−B’間の断面図である。当該TEGは、前記図2(a),(b)で示したホール形成工程のTEGに対して、プラグを形成した例である。従って、構成も前記図2(a),(b)と同様に、ホール径(レイアウトサイズ)が3通りに振り分けられた構造をもつホールに対して、プラグが埋め込まれた構成となる。つまり、図3(a)において、最も大きい径のプラグ9と、次に大きい径のプラグ10と、最も小さい径のプラグ11を有している。その他、構成に関する説明も前記図2(a),(b)と同様のことが言える。
【0042】
次に、図3(c)〜(e)により、前記図3(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0043】
図3(c)は、プラグ形成工程が正常に行われた際(断面図が前記(b)のような場合)の観察結果の一例であり、(d)は、プラグ形成工程に異変があった際の一例で、この場合の当該TEGの断面図、(e)は、前記(d)におけるTEGを観察した際の観察結果の一例である。ここで、前記(d)におけるプラグ形成工程での異変は、プロセス状態の変動により、プラグ材料の埋め込みに不具合が生じ、前記最も小さいホール径のプラグ11が完全に形成されなかったこととする。
【0044】
プラグ形成工程が正常に行われた場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記(c)に示すように全プラグとも同程度の明るさ(暗さ)を有する二次電子像が得られる。
【0045】
しかしながら、プラグ形成工程に異変があった場合、例えば、前記(d)のようにプラグ材料の埋め込みに不具合が生じた場合において、SEM式装置で観察すると、前記(e)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像となる。この場合、前記(d)の、最も小さいホール径のプラグにおいて、プラグが穴底に接触しておらず、二次電子放出に伴い正に帯電し、正常に形成されたプラグに比べ放出される二次電子の量が少なくなるため、前記(e)の二次電子像は、前記(c)に比べて暗い像となる。また、プロセス状態が更に変動し、プラグ材料の埋め込み不具合が更に進むと、より大きいホール径に形成されるプラグにおいても異変が観察されるようになる。
【0046】
そして、前記ホール形成工程を評価するTEGと同様、図3(c),(e)のような観察結果における、前記各プラグの明暗状態を、前記ADCを用いて分類することで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0047】
つぎに、図4(a),(b)により、導電性膜の加工精度を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0048】
図4(a)は当該TEGの上面図、(b)は、(a)におけるC−C’間の断面図である。当該TEGは、導電性膜対の間隔(レイアウトサイズ)が3通りに振り分けられた構造を有している。例えば、前記導電性膜対の間隔は、その形成プロセスの加工精度前後の距離に近接させたものとし、加工精度±0%の導電性膜対14、加工精度−10%の導電性膜対15、加工精度−20%の導電性膜対16などにする。前記導電性膜対の内、一方はスルーホール17により接地され、他方は非接地とする。勿論、導電性膜対の数量や間隔はこれらに限定されるものではない。
【0049】
次に、図4(c),(d)により、前記図4(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0050】
図4(c)は導電性膜の加工精度が良好な場合の観察結果であり、(d)は導電性膜対の加工精度に異変が生じた場合の一例で、この場合の観察結果である。
【0051】
導電性膜の加工精度が良好な場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記(c)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像が得られる。前記(c)では、前記3通りの導電性膜対において、接地側の導電性膜と非接地側の導電性膜とで明暗の違いが生じている。
【0052】
しかしながら、導電性膜の加工精度に異変が生じた場合、SEM式装置で観察すると、例えば、前記(d)に示すような明るさ(暗さ)を有する二次電子像となる。この場合、前記加工精度−20%の導電性膜対16において、通常は接地側と非接地側に分離されている導電性膜対に、ショート19が発生し、両方の導電性膜が接地電位となるため、明暗に違いが生じなくなる。また、導電性膜の加工精度がさらに低下すると、より間隔が大きい導電性膜対においても異変が観察されるようになる。
【0053】
そして、これまでのTEGと同様、SEM式装置での観察結果における、前記各導電性膜対の明暗状態を、前記ADCを用いて分類することで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0054】
つぎに、図5(a),(b)により、層間パターンの合わせ精度を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0055】
図5(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるD−D’間の断面図である。前記(b)において、当該TEGは、1層目にプラグ20を形成し、当該プラグを接地し、2層目に下地まで貫通していないプラグ21を、前記1層目のプラグ20の極近傍に形成した構造である。また、前記(a)において、前記1層目のプラグ20におけるそれぞれの辺に対し、前記2層目のプラグを3個ずつ設け、前記3個のプラグは、前記1層目のプラグ20との間隔(レイアウトサイズ)が、広いプラグ22と狭いプラグ21の2通りに振り分けられている。
【0056】
前記のような構造を有することで、当該TEGは、パターン合わせ精度を、合わせずれの量と方向の観点から判別できる。また、前記1層目のプラグ20と2層目のプラグ21との間隔を、製品における層間合わせずれの許容値より小さく設定しておくなどで、製品に影響を与えない範囲内のパターン合わせずれの発生状況をモニタすることができる。
【0057】
次に、図5(c)〜(e)により、前記図5(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0058】
図5(c)は、X軸のマイナス方向に合わせずれが発生した場合の観測結果の一例で、(d)は、X軸のマイナス方向に加え、Y軸のマイナス方向にも合わせずれが発生した場合の観測結果の一例、(e)は、回転軸方向に合わせずれが発生した場合の観測結果の一例である。
【0059】
導電性膜の加工精度が良好な場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記2層目のプラグから得られる二次電子像は、全てほぼ同一の明るさ(暗さ)となる。
【0060】
しかしながら、層間パターンの合わせずれが生じた場合、SEM式装置で観察すると、例えば前記(c),(d)または(e)に示すように、前記2層目のプラグにおける二次電子像の明暗状態に違いが発生する。これらは、前記合わせずれの量と方向に応じて、前記2層目のプラグのいずれかが、接地された1層目のプラグ20とショートするためである。したがって、前記2層目のプラグの明暗状態の違いを観察することでずれの量と方向が判別できる。例えば、前記2層目のプラグが、(c)においては、X軸のマイナス方向に小さくずれていることが判り、(d)においては、X軸のマイナス方向に大きくずれ、さらにY軸のマイナス方向にも小さくずれていることが判り、(e)においては、回転軸方向に小さくずれていることが判る。
【0061】
前記のような層間パターンの合わせずれの検査を、半導体装置面内の全TEGもしくは適度に距離をおいて選択したTEGにて実施することにより、前記合わせずれの量と方向の面内分布を得ることができる。また、図5では、2層間の合わせずれ精度を評価するTEGの一例を説明したが、同様にして3層間以上でも適用可能である。さらに、図5のTEGより接触/非接触と正常/異常の関係を逆にした構造や、位置合わせ用のアライメントマークと兼用にした例も考えられる。
【0062】
そして、これまでのTEGと同様、SEM式装置での観察結果における、前記2層目の各プラグの明暗状態を、前記ADCを用いて分類することで、ずれの量と方向をパラメータとして、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0063】
つぎに、図6(a),(b)により、導電性膜の成膜状態を評価するTEGの構成例を以下に説明する。
【0064】
図6(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるE−E’間の断面図である。当該TEGは、蛇行した導電性膜27を形成し、一方の端を、スルーホール25によって接地し、他方の端を、観察点26とした構造を有している。
【0065】
次に、図6(c),(d)により、前記図6(a),(b)で示したTEGをSEM式装置により観察した一例を以下に説明する。
【0066】
図6(c)は、導電性膜の成膜状態が良好な場合の観測結果の一例で、(d)は、導電性膜の成膜状態に異変が発生した場合の観測結果の一例である。
【0067】
例えば、導電性膜の成膜状態が良好な場合(プロセス状態が良好な場合)、当該TEGを上面よりSEM式装置で観察すると、前記(c)のように、導電性膜27の全てにおいて、そこから得られる二次電子像は同一の明暗状態となる。
【0068】
しかしながら、導電性膜の成膜状態に異変が生じた場合、SEM式装置で観察すると、例えば(d)に示すように、欠陥箇所28を境に明暗状態が分離された二次電子像が観察される。
【0069】
そこで、前記図6に示すようなTEGにおいて、前記導電性膜の幅、長さ、形状、近接パターン、下地等を膜が正常に形成され難い条件にする、または、これらの条件を多段階に変えることによって、電気的欠陥の度合いを分類することが可能となる。この一例を図7に示す。
【0070】
図7は、前記図6(a),(b)に示したTEGに対し、同じ配線形成条件で、もしくは、導電性膜の幅等を変えた条件で4種類を作成し、前記観察点26を近接させた構造を有している。この場合、必ずしも前記導電性膜全てを観測する必要はなく、前記4種類の観測点26のみを1回で観察するなどで足りる。また、前記同じ配線形成条件を4種類設けたのは、電気的欠陥の確率上の度合いを見るためである。なお、当該TEGにおいて、4種類のパターンの構成および組み合わせは、それぞれのパターン毎に、配線幅や長さ(レイアウトサイズ)を変更したり、下地や形状を変更するなど多数考えられる。例えば、下地を変更した一例を図8に示す。
【0071】
図8(a)は前記図7のパターンの一部を示す上面図、(b)は、前記(a)におけるF−F’間の断面図を示す。当該TEGでは、前記(b)のように、前記導電性膜の下地に、長さ、深さ(高さ)などを変化させた凹凸を設けることで、導電性膜の付き具合を評価できる。導電性膜の付き具合が悪くなると、断線等が生じる可能性が高くなり、前記観察点26における観察で判別可能となる。
【0072】
そして、前記図7のように、複数種類の条件を含ませたTEGを形成し、前記4種類の観測点26などにおける明暗状態を、前記ADCを用いて分類することで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0073】
つぎに、図9(a),(b)により、導電性膜の埋め込み性を評価するTEGの構成例および観察例を以下に説明する。
【0074】
図9(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるG−G’間の断面図である。当該TEGは、下地に形成した蛇行した溝に、導電性膜32が埋め込まれており、一方の端を接地点29、他方の端を観察点30とした構造を有している。
【0075】
ある種の導電性膜は、下地に穴もしくは溝を形成した後に成膜され、CMPなどによって溝以外の部分が除去されたようなものがあり、この場合において、当該導電性膜の穴/溝への埋め込み性が重要となる。当該TEGは、前記のような導電性膜を評価するためのものである。なお、前記(a),(b)では蛇行した溝となっているが、勿論これに限定されるものではない。
【0076】
前記(a)で示した観察点30において、SEM式装置により、二次電子像、電位コントラスト像および陰影像とを観察すると、前記導電性膜の埋め込み性の良否に応じて、前記観察点30の明るさが変化する。この変化を顕著に捉えるために、前記観察点の近傍に、接地された導電性パターン31を形成しておき、これと比較する。
【0077】
また、溝の埋め込み成膜状況には方向性があり、これを明確に捉えるために、前記(a)の蛇行した溝において長辺を短辺に比べて相対的に細く作成し、方向を90度回転させたもう一つのTEGと対にして用いる。前記対の数は多いほど正確な結果が得られるので、2組以上にすることが好ましい。この一例を、図9(c)に示す。
【0078】
図9(c)は、前記対の数を2組とした場合の一例である。但し、前記対の組み合わせは、図9(c)のものに限定されるものではない。例えば、溝が走る方向を斜めとするパターンもあり得る。
【0079】
つぎに、図10(a),(b)により、イオン打ち込み量のばらつきを評価するTEGの構成例および観察例を以下に説明する。
【0080】
図10(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるH−H’間の断面図である。当該TEGは、ウェル33上に、折れ線状の溝34を備えた絶縁膜等の不純物打ち込み用のマスク35が形成され、前記折れ線状の溝34より、ウェル内の不純物とは種類または濃度の点で相違する不純物を打ち込んだ構成となっている。
【0081】
当該TEGに対し、SEM式装置により、観察領域37における二次電子像、電位コントラスト像を観察すると、前記ウェル33内における前記不純物が打ち込まれた領域36内外で、前記不純物の種類と濃度に応じて明暗状態が異なる。そして、前記明暗状態がより顕著に異なるようにするには、例えば、前記図10の構造のように、不純物打ち込み領域を折れ線状にし、その観察しない方の端部がウェル外にはみ出す構造にする、ならびに観察部の近傍に設定された導電パターンを形成し、その部分の明暗状態を基準にする、などが考えられる。
【0082】
従って、当該TEGを半導体装置面内全域で均一に配置し、それぞれを観察することで半導体装置面内の不純物ばらつきの分布が判明し、時系列的に半導体装置間で比較することで、不純物打ち込み工程の状況を把握することができる。
【0083】
但し、当該TEGは、その観察結果から、直接、不純物の打ち込み量を定量的に求めることはできないため、初期段階では、半導体装置面内の分布やウェハ・ロット毎の変動観察等に利用する。その後、前記半導体装置面内の分布とその半導体装置に対するテスタ等での電気的テストの結果が累積されれば、当該TEGの観察結果から製品の良し悪しがある程度推定可能になると考えられる。
【0084】
また、不純物は、その目的によって種類、量、打ち込み時のエネルギー、打ち込み後の熱処理方法が大きく異なる。従って、前記図10に示したTEGの構造例も併せて変更する必要がある。
【0085】
つぎに、図11(a),(b)により、ゲート酸化膜の膜質を評価するTEGの構成例および観察例を以下に説明する。
【0086】
図11(a)は当該TEGの上面図、(b)は、前記(a)におけるI−I’間の断面図である。当該TEGは、面積が異なる複数の孤立パターンより構成される。その断面構造は、下地となるウェル33、ゲート酸化膜42およびその上に形成するゲート電極43ともに製品内のゲートと全く同じにする。
【0087】
当該TEGの各孤立パターンに対し、SEM式装置により電子線を照射し、その直後もしくは一定時間経過後にこれらの二次電子像、電位コントラスト像を観察する。前記電子線照射の程度がある程度より高い場合、ゲート酸化膜42に変質をきたし、その結果として二次電子像、電位コントラスト像の明暗状態が変質する前に比べ変化する。変質が著しい場合には、形状が変化する場合もあり、これを観察しても良い。
【0088】
当該TEGを半導体装置面内全域で均一に配置し、それぞれを観察することで半導体面内におけるゲート酸化膜質の分布が判明し、時系列的に半導体装置間で比較することで、ゲート酸化膜形成工程の状況を把握することができる。
【0089】
なお、ゲートの構造は、図11のものに限定されるものではなく、各孤立パターンの上面から見た形状を全て同じにして、電子線の照射条件などを各孤立パターン毎に変更してもよい。また、ゲート電極に相当する導電性膜の形成は必ずしも必須ではなく、対象もゲート酸化膜に限定されるものではない。そして、観察前に照射する電子線は、他の荷電粒子・電磁波(X線、紫外線など)としても良い。
【0090】
つぎに、図12により、ウォータマークを評価するTEGの構成例および観察例を以下に説明する。
【0091】
図12は、ウォータマークが形成され易い材料を用いた短形の窪み(例えば、削られた半導体ウェハ、削られた半導体ウェハ上の酸化膜等)などから構成されている。
【0092】
当該TEGを有する半導体装置において、洗浄−水洗−乾燥などの処理を実施し、当該TEGをSEM式装置により観察すると、前記処理の条件によっては、ウォータマークが観察される場合がある。特に、前記図12の角の部分において、ウォータマークが観察されやすい。
【0093】
当該TEGを複数設けることで、ウォータマークが観察されたTEGの数量などにより、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することが可能となる。
【0094】
つぎに、図13により、膜厚を評価するTEGの構成例と、SEM式装置による観察例を以下に説明する。
【0095】
図13(a)は、当該TEGの断面図を示したものである。当該TEGは、膜厚評価用パターン38上に評価対象の膜を形成した構造となっている。そして、前記膜厚評価用パターンの電位コントラスト像および陰影像を観察することにより、膜厚に関する情報を得ることができる。
【0096】
図13(b)は、前記電位コントラスト像の観察結果例、図13(c)は、前記陰影像の観察結果例を示したものである。前記(b),(c)に示すような像は、前記評価対象となる膜の膜厚によって、前記膜厚評価用パターン38の認識度合いが異なる性質がある。したがって、当該TEGを、半導体装置面内全域において均等に配置し、それぞれの前記膜厚評価用パターン38の認識度合いを比較することで、半導体面内における膜厚の均一性等を評価することが可能となる。
【0097】
つぎに、これまでに説明してきた、自動欠陥分類機能(ADC)を用いて電気的欠陥を複数段階の度合いに分類する一例を図14により説明する。
【0098】
図14は、例えば、図2に示したホール形成工程を評価するTEGに対し、SEM式装置で観察した画像(取得画像)を前記ADCを用いて分類した一例である。図14の(a)は、前記取得画像と、分類結果(ADC結果)およびその判定結果と、前記分類結果に対応したアウトプットの関係の一例を示し、(b)は前記アウトプットを半導体装置面内で表示させた一例を示す。
【0099】
前記ADCによる分類手順は、例えば、前記図2の径が異なる3通りのホールにおいて、各ホールの明暗状態の組み合わせを前記ADCを用いて識別し、事前に定義した前記明暗状態の組み合わせと分類結果等の関係に基づいて、前記ADCを用いて分類を行うというものである。従って、前記図14(a)は、前記事前に定義した内容の一例を示すものとなる。
【0100】
前記図14(a)は、前記取得画像の明暗状態により、例えば、極めて良好、良好、要注意、警告、NG、判定対象より外すなどを定義しており、ここでは最も大きい径を有するホールが製品の最小径のホールと同一と仮定しているため、当該ホールに異変が生じるとNGという判定結果になる。また、当該ホールが正常で、それよりも径が小さいホールに異変が生じている範囲、すなわち、判定結果において良好、要注意、警告の範囲が許容範囲となり、製品に発生する電気的欠陥を未然に防止するためなどで重要な意味をもつ。また、最も径が小さいホールは正常であるのに、より径が大きいホールに異変が生じた場合などは、特異な原因が考えられるため、判定対象より外すなどの判定結果とする。これらの分類および判定結果を、その識別模様であるアウトプットに従い半導体装置面内で描画した例を図14(b)に示す。
【0101】
図14(b)は、半導体装置面内の各チップにおいて、それぞれ、そのチップ領域内またはスクライブ領域内に前記図2のようなTEGが属している場合に、前記各TEG毎に得られる前記アウトプットを、前記TEGが属するチップの代表値として表示させた一例である。この例では、ホール形成不良領域が、半導体装置面内のトップ側中央から左下にかけて特徴的に存在している。
【0102】
また、これまでの説明は、前記図2のTEGを例としてきたが、図3〜図13に示したTEGに対しても、前記図14(a)と同様にADCの定義を行うことで、電気的欠陥の度合いを分類できることは言うまでもない。
【0103】
なお、前記図14(a)で示した取得画像の明暗状態は、材質/ホール径/ホール深さ等の影響を受けるため、当該図に示した色彩に限定されるものではないが、少なくとも異変の識別は可能である。よって、断面観察やプローブ検査等の結果と前記取得画像の明暗状態の関係を事前に調査し、その調査結果から前記ADCの定義を行う場合も有りうる。また、これらと同様なことは、図3〜図13に示したTEGに対しても言える。
【0104】
また、前記のような明暗状態を詳細に判定するには、ヒストグラムを用いる方法が挙げられる。この方法は、SEM式装置にてTEGの画像をグレースケールにて取得する。この作業を、半導体装置面内の全てのTEGもしくは予め選択したTEGに対して実施し、得られた画像を画素ごとの明るさ分布で表示したもの(ヒストグラム)どうしで比較する。すると、前記画像内における特定の明るさを有する画素の多い少ないが判明し、明暗状態の相違を定量的に判断できる。このヒストグラムによる観察結果例を図15に示す。
【0105】
図15は、例えば、2つの前記図2に示すTEGに対して、最も径が小さいホールの観察領域39でヒストグラムを表示し、2つのTEG間で比較した例である。このヒストグラムは、縦軸を画素数、横軸を明るさとしている。図15の左側のヒストグラムには、明るい画素が多く含まれており、対して右側のヒストグラムには、暗い画素が多く含まれていることが判る。
【0106】
以上、これまでに示した例により、本実施の形態の半導体装置によれば、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いてTEGを検査することで、前記半導体装置の電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することができる。つまり、前記半導体装置において、電気的欠陥が発生し得る可能性、およびその可能性の程度を把握することが可能となる。
【0107】
また、半導体装置面内においてTEGを均一に配置し、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いて前記TEGを検査することで、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内における分布が判るようになる。
【0108】
つぎに、本実施の形態の半導体装置を製造する際にも、前記までに説明したTEGを活用して、効果的な製造工程を実現することができる。図16に、本発明の一実施の形態における半導体装置の製造フローの一例を示す。
【0109】
図16に示す半導体装置の製造フローは、例えば、本発明の一実施の形態の半導体装置を製作するプロセス工程(ステップS1)と、前記製作された半導体装置において、その非製品領域に配置されたTEGを用いることで前記プロセス工程を評価するインライン検査工程(ステップS2)と、インライン検査工程の結果をプロセス工程にフィードバックするフィードバック工程(ステップS3)とを有しており、下記の手順で行われる。
【0110】
ステップS1において、ホール形成工程、導電性膜形成工程などといった詳細プロセス群が実施され、ステップS2のインライン検査工程を挟んで、導電性膜形成工程、パターン形成工程Iなどといった別の詳細プロセス群が実施される。
【0111】
ステップS2において、前記ステップS1の各詳細プロセス群で製作された一部の半導体装置に対し、例えばSEM式装置などの、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置によって検査が行われる。
【0112】
ステップS3において、前記装置による検査結果を判断し、必要に応じて、前記プロセス工程に対しフィードバックなどを行う。なお、当該フィードバック工程の詳細例は図17にて後述する。
【0113】
本発明の前提として検討した半導体装置の製造方法においても、全体的なフローは図16に示すフローとほぼ同様であるが、主に以下の2点が前提とした製造方法とは異なる。
【0114】
まず、第1点目は、インライン検査の対象が製品であるかTEGであるかの違いである。これは、本発明が従来とは異なり、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内における分布、およびその時系列的推移に着目していることから、特にTEGによる検査が適しているためであり、また、TEGを用いることで多くの利点が得られるためでもある。ここで、前記TEGを用いる利点としては、(1)製品領域への電子線照射を行わないため、これに起因するダメージが発生しない、(2)検査時間が短い、(3)製品が異なってもTEGを共通にすることで、特に、多品種少量ラインにおいて有効な空きの少ないプロセスモニタが可能となる、(4)装置ダミーを使う必要がなく、また、ダミーを用いることによる不具合、例えば製品上不具合との整合性確認作業などを行う必要もなくなる、などが挙げられる。
【0115】
また、前記半導体装置面内における電気的欠陥の度合いの分布、およびその時系列的推移に着目した理由の一つは、本発明者が検討したところによれば、プロセス工程で発生する欠陥の主原因が、製造装置状態の変動に起因する膜の形成や加工(エッチングなど)の不均一性である場合が多いためである。このため、欠陥の特徴として半導体装置面内の特定部分に集中する傾向があり、また、この傾向は製造装置毎に特徴的に現れることが予想される。
【0116】
そして、第2点目は、前記フィードバック工程の違いである。
【0117】
図17に前記フィードバック工程における処理フローの一例を示す。図17のフィードバック工程は、前記インライン検査の結果を受けて、製品における電気的欠陥時期を予測し、予防するための工程であり、下記の手順にしたがって行われる。
【0118】
ステップS4において、インライン検査工程の結果を受けて、半導体装置面内のTEGにおける電気的欠陥の予備欠陥数および本欠陥数を集計する。前記予備欠陥数とは、半導体装置面内において、例えば、前記図14(a)にて説明した許容範囲内(良好、要注意、警告)に該当する欠陥数である。但し、許容範囲内にも3段階が含まれるため、段階毎に係数などによる換算を行ったり、良好を外したり、予備欠陥の種類を増やしたりなど累積的に最適な条件を決定していく必要がある。前記本欠陥数とは、本来、半導体装置面内において、製品領域の検査から得られる欠陥数のことを指す。但し、前記TEGに、製品領域の各要素部分の構造を反映させることで、TEGでの欠陥数(例えば、前記図14(a)のNGの数)として代替可能になると考えられる。
【0119】
ステップS5において、前記本欠陥数を本欠陥数の管理値と比較する。前記本欠陥数が前記管理値内であれば、ステップS6に進み、前記管理値外であれば、ステップS12に進む。
【0120】
ステップS6において、前記予備欠陥数を予備欠陥数の管理値を比較する。前記予備欠陥数が前記管理値外であれば、ステップS7に進み、前記管理値内であれば、ステップS13に進む。
【0121】
ステップS7において、当該半導体装置(ウェハ)の欠陥数は、予備欠陥数の管理値外であるが本欠陥数の管理値内であるため、当該半導体装置は次のプロセス工程へ流動させる。そして、ステップS8に進む。
【0122】
ステップS8において、インライン検査工程で取得した情報により、前記半導体装置面内における電気的欠陥の度合いの分布データ(例えば、前記図14(b)に示したようなもの)を作成し、ステップS9に進む。
【0123】
ステップS9において、前記分布データより欠陥の偏りを認識する。欠陥の偏りとは、例えば、前記図14(b)では、ホール形成不良領域が、半導体装置面内のトップ側中央から左下にかけて特徴的に存在している、というようなことである。そして、ステップS10に進む。
【0124】
ステップS10において、前記分布データの欠陥の偏りと類似した偏りを有する不具合事例を、不具合事例データベースより検索する。類似した事例があれば、ステップS11に進み、そうでなければステップS14に進む。
【0125】
ステップS11において、不具合事例データベースの類似した事例に基づいて、プロセス工程へのフィードバックの計画立案および実施を行う。また、不具合事例データベースの更新などを行う。例えば、類似した事例が、直前に、原因/対策事項等が未判明のまま登録されてあった場合など、連続して欠陥が発生していることから、原因調査や対策などの計画を立案する。そして、不具合事例データベースに前記直前の事例からの時間差や電気的欠陥度合いの変動量などを登録し、後に原因や対策が判明すれば、併せて登録する。このようなデータを蓄積することで、不具合事例データベースよりプロセス状態が許容できなくなる時期などをある程度予測でき、適切な時期に、適切な方法でフィードバックを行う計画などが立案できるようになる。
【0126】
ステップS12において、前記ステップS5で本欠陥数が管理値外であった場合、装置の緊急使用停止および緊急対処(ウェハ流動の可否判定、装置清掃等)などを行う。
【0127】
ステップS13において、前記ステップS6で予備欠陥数が管理値内であった場合、正常なプロセス状態として、半導体装置は次のプロセス工程へ流動させる。
【0128】
ステップS14において、前記ステップS10で類似した事例が無かった場合、装置に対する原因調査や、場合によっては対策を行う。そして、ステップS15に進む。
【0129】
ステップS15において、不具合事例データベースに発生時期、前記分布データを登録し、また、前記ステップS14における原因/対策などの判明事項も併せて登録する。また、原因/対策事項などが未判明の分布データでも、前記ステップS11の説明のように、当該半導体装置の直後に検査された半導体装置において、同様な特徴の分布データが観測された場合などで有益な情報となる。
【0130】
本発明の前提として検討したフィードバック工程においては、前記本欠陥数を用いて管理されており、前記本欠陥数の管理値を上回った場合に原因究明を行い、フィードバックを行うといったものであった。これは、前記図17のS4,S5およびS12の部分に対応する(但しS4の予備欠陥数は無し)。
【0131】
したがって、製品領域にある程度の欠陥が発生した以降でないとフィードバックが行われず、その直前の半導体装置などに欠陥の作り込みが行われていた。さらに、電気的欠陥の度合いも1段階(例えば、前記図14(a)のNGに相当)であり、電気的欠陥の発生にもばらつきがあることから、その半導体装置の面内分布において、欠陥の特徴や時系列的傾向を十分に見出すことは容易ではなかった。但し、SEM式装置の感度を変えることで、電気的欠陥の度合いを判別する方法はあったが、その感度の調整は非常に困難である。
【0132】
これらによって、本発明の前提として検討したフィードバック工程においては、フィードバックを行う時期が適切でなく、欠陥の原因究明や対策方法を確定するのにも時間を要するため、欠陥の作り込みや装置稼働率の低下などが懸念された。
【0133】
しかしながら、前記図17のフィードバック工程を用いると、これまでに説明したように、TEGに、電気的欠陥の度合いが分類可能な仕組みを設け、当該TEGを検査することで予備欠陥数でも管理できる。さらに、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内分布を時系列的に管理することができるため、電気的欠陥の特徴や時系列的傾向の把握も容易となる。
【0134】
したがって、原因調査や対策に着手するフィードバック時期が適正化され、なおかつ前記原因調査や対策に要する時間も短縮されることから、前記のような欠陥の作り込みや、装置稼働率の低下などが改善されることが期待できる。
【0135】
ここで、前記フィードバック時期の適正化に関する具体例として、前記本欠陥数により管理を行った一例と、前記予備欠陥数および本欠陥数により管理を行った一例を図18を用いて比較する。
【0136】
図18(a)は、本発明の前提として検討した本欠陥数による管理結果の一例で、(b)は本発明の一実施の形態における予備欠陥数と本欠陥数による管理結果の一例である。前記(a),(b)共に、縦軸を欠陥数、横軸を時間とし、あるインライン検査工程で検査した半導体装置毎の欠陥数を時系列的に示したものである。前記(a)においては、前記本欠陥数が棒グラフ40で示され、破線で本欠陥数の管理値が示されている。前記(b)においては、前記予備欠陥数の棒グラフ41と前記本欠陥数の棒グラフ40が併せて示されている。また、破線にて前記予備欠陥数の管理値と前記本欠陥数の管理値がそれぞれ示されている。なお、前記(b)における本欠陥数は、前記(a)における本欠陥数と同じとする。
【0137】
前記(a)においては、これまでに説明したように、本欠陥数が管理値を上回った段階から対策および対策準備が行われる。
【0138】
前記(b)においては、これまでに説明したように、予備欠陥数が管理値を上回った段階から対策および対策準備が行われる。このため、時期的なメリットが得られている。また、前記予備欠陥数と本欠陥数は、原則的にはある程度の比例関係が存在するが、前記予備欠陥には複数の段階が含まれているため、前記本欠陥よりも確率的に高く欠陥を感知できると考えられる。したがって、本欠陥数の時系列的増減の傾向が若干ばらつくのに対し、予備欠陥数の傾向はある程度安定することが予想される。
【0139】
また、本欠陥数のデータが(b)において存在し、(a)においては存在しない箇所(図18(b)の破線で示した棒グラフ)は、前記TEGを用いる利点でも説明したように、多品種混在の製造工程などで、製品の進行にむらがあった場合でもTEGを共通にすることで、空きの少ないモニタが行える一例である。
【0140】
以上、これまでに示した例により、本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、プロセス状態の変動に伴う電気的欠陥の対策および原因究明を、適切な時期に、迅速な方法で行うことが可能になる。したがって、生産効率の向上や欠陥の作り込みの防止などで効果が得られる。
【0141】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0142】
例えば、前記本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法においては、主にTEGを活用して量産時のプロセス工程評価およびフィードバックを行う例を説明したが、当該TEGは製品開発時期においても、プロセスの条件出しやプロセスマージンの評価、およびウェハ面内のプロセス均一性評価といったプロセス開発向けのTEGとしても適用可能である。
【0143】
また、例えば、前記図14(a)に示したような分類情報に基づいて、前記プロセス工程で用いる装置の着工条件などに自動でフィードバックするAPC(advanced process control)などにも適用可能である。
【0144】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0145】
(1)電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いて検査されることで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することを可能にするTEG、およびそのTEGを有する半導体装置を提供できる。
【0146】
(2)前記(1)により、TEGを、半導体装置面内において均一に配置し、前記TEGを、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いて検査することで、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内での分布が把握できるようになる。
【0147】
(3)前記(2)により、半導体装置の製造工程において、TEGを検査するインライン検査工程を設けることで、電気的欠陥の度合いの半導体装置面内における分布を時系列で把握でき、これにより、プロセス状態の変動に伴う電気的欠陥の対策および原因究明を、適切な時期に適切な方法で行うことが可能になる。
【0148】
(4)半導体装置の製造工程において、TEGに対してインライン検査を行うことで、製品領域にチャージアップなどのダメージを残さず、また、検査時間も短く、さらに、製品間でTEGを共通にすることで、空きの少ないプロセスモニタが可能となる。
【0149】
(5)前記(3),(4)により、生産効率の向上や欠陥の作り込み防止などに有益な半導体装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c)は、本発明の一実施の形態の半導体装置を示す構成図である。
【図2】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、ホール形成工程を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c),(e)は、当該TEGの観察結果例を示す図、(d)は、当該TEGに欠陥が発生した一例を示す断面図である。
【図3】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、プラグ形成工程を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c),(e)は、当該TEGの観察結果例を示す図、(d)は、当該TEGに欠陥が発生した一例を示す断面図である。
【図4】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、導電性膜の加工精度を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c),(d)は、当該TEGの観察結果例を示す図である。
【図5】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、層間パターンの合わせ精度を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c)〜(e)は、当該TEGの観察結果例を示す図である。
【図6】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、導電性膜の成膜状態を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c),(d)は、当該TEGの観察結果例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態の半導体装置において、図6のTEGを変形した構成例を示す上面図である。
【図8】本発明の一実施の形態の半導体装置において、図7の一部の構成における具体例を示す上面図および断面図である。
【図9】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、導電性膜の埋め込み性を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図、(c)は、当該TEGを変形した構成例を示す上面図である。
【図10】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、イオン打ち込み量のばらつきを評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図である。
【図11】(a),(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、ゲート酸化膜の膜質を評価するTEGの構成例を示す上面図および断面図である。
【図12】本発明の一実施の形態の半導体装置において、ウォータマークを評価するTEGの構成例を示す概略図である。
【図13】(a)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、膜厚を評価するTEGの構成例を示す断面図、(b),(c)は、当該TEGの観察結果例を示す図である。
【図14】(a)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、TEGの観察結果から電気的欠陥の度合いを分類する方法の一例を示す説明図、(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置において、分類した結果を半導体装置面内で表示した一例を示す面内分布図である。
【図15】本発明の一実施の形態の半導体装置において、TEGの検査方法の一例を示す説明図である。
【図16】本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法を示す製造フロー図である。
【図17】本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法における、フィードバック工程のフローを示すフィードバックフロー図である。
【図18】(a)は,本発明の前提として検討した欠陥数管理の一例を示す説明図、(b)は、本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法において、欠陥数管理の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 半導体装置
2 製品領域
3 スクライブ領域
4〜6 ホール
9〜11 プラグ
14〜16 導電性膜対
17,25 スルーホール
19 ショート箇所
20 1層目のプラグ
21,22 2層目のプラグ
26,30 観察点
27 導電性膜
28 欠陥箇所
29 接地点
31 接地された導電性パターン
32 埋め込まれた導電性膜
33 ウェル
34 溝
35 不純物打ち込み用マスク
36 不純物打ち込み領域
37,39 観察領域
38 膜厚評価用パターン
40 本欠陥数の棒グラフ
41 予備欠陥数の棒グラフ
42 ゲート酸化膜
43 ゲート電極
Claims (5)
- TEGを有する半導体装置であって、
前記TEGは、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置によって検査されることで、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類できる構造を有することを特徴とする半導体装置。 - 請求項1記載の半導体装置であって、
前記TEGは、特定箇所のレイアウトサイズが複数通りに振り分けられた構造を有しており、
前記複数通りのレイアウトサイズによって、前記電気的欠陥を複数段階の度合いに分類することを特徴とする半導体装置。 - 半導体装置面内の非製品領域に複数配置されたTEGを有する半導体装置の製造方法であって、
前記複数のTEGに対して、電気的欠陥の検出および分類が可能な装置を用いて検査し、それぞれの前記TEGに対し、電気的欠陥を複数段階の度合いに分類するインライン検査工程と、
前記インライン検査工程と交互に実施され、前記複数のTEGやチップを製作するプロセス工程と、
前記インライン検査工程の前記分類された結果を前記プロセス工程に反映するフィードバック工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項3記載の半導体装置の製造方法であって、
前記フィードバック工程は、前記分類された複数段階の度合いにおいて、
予め定めた、製品領域に欠陥が発生する前の段階と判断される前記度合いと、
予め定めた、前記度合いに該当する前記TEGの数量の管理値とを用いて、前記プロセス工程を管理することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項3記載の半導体装置の製造方法であって、
前記フィードバック工程は、
前記インライン検査工程の前記分類された結果を用いて、前記半導体装置面内における電気的欠陥の度合いの分布データを作成し、
前記分布データより、分布の偏り具合の特徴を認識し、
過去に発生した異変時の分布データから、前記特徴と類似した事例を検索し、
類似したものがあった場合、前記事例に基づいて前記プロセス工程にフィードバックすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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