JP2004253442A - 結晶質半導体膜の製造方法および結晶質半導体膜 - Google Patents

結晶質半導体膜の製造方法および結晶質半導体膜 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶粒のサイズを十分に大きくすることができる結晶質半導体膜の製造方法および結晶質半導体膜を提供する。
【解決手段】本発明の結晶質半導体膜の製造方法は、絶縁基板90上に形成された半導体膜92を用意する工程と、半導体膜92の第1領域102と第1領域に隣接する第2領域104とを含む領域にエネルギーを付与することによって、第1領域102と第1領域よりも温度が高い第2領域104とを含む溶融領域106を選択的に形成し、非溶融領域100に隣接する第1領域102に結晶粒108Aを生成させて、その結晶粒を第2領域104に向けて横成長させる、第1結晶化工程と、結晶粒108Aの成長端110が第1領域または第2領域内に存在している間に、少なくとも成長端の成長方向側に存在する溶融領域の一部を含む第3領域112にエネルギーを付与することにより、結晶粒をさらに第3領域に横成長させる、第2結晶化工程とを包含する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は結晶質半導体膜の製造方法に関し、特に、基板上に形成された半導体膜に熱、光または荷電粒子ビーム等のエネルギーを付与し、半導体膜を結晶化することによって得られる結晶質半導体膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば薄膜トランジスタに用いる半導体薄膜として、近年、結晶質シリコン膜の開発が進められている。結晶質シリコン膜の製造方法には、600℃前後の高温で熱処理することによって結晶成長させる方法(固相成長法)があるが、高温のプロセスに耐えられないガラス基板を用いる場合などにおいてはレーザを用いた結晶化方法が効果的である。以下、レーザを用いた結晶質シリコン膜の製造方法を説明する。
【0003】
大出力のエキシマレーザを用いてガラス基板上の非晶質シリコン薄膜を加熱する手法は、鮫島らによって始められた(非特許文献1参照)。当初、レーザのエネルギー密度は、シリコン薄膜の上部が部分的に溶融(部分溶融)するような値が選択された。やがて、エネルギー密度と、形成される結晶粒径との関係が詳細に調べられ、エネルギー密度の増加と共に、結晶粒径も増大していくことが明らかとなった。
【0004】
特に、溶融深さをシリコン薄膜の膜厚と一致する直前、すなわちシリコン薄膜が下の界面(底面)まで溶融する直前となるようにエネルギー密度を設定した場合、数μmに達する巨大な結晶粒が形成されることが見出された。これは、シリコン薄膜の底面に、わずかに溶融されずに残った結晶粒が固化時の核となり、大きな結晶粒の成長が可能となるためである(非特許文献2参照)。
【0005】
しかし、エネルギー密度がこの値を超えて、底面まで完全な溶融(完全溶融)が起きると、急激な冷却過程でランダムな核発生が起こるため、結晶粒は非常に小さくなるか、または、非晶質化が起こる。従って、レーザのエネルギー密度は、レーザ出力の揺らぎを考慮して、完全溶融が起こるエネルギー密度よりもわずかに低い値に設定される。その結果、上記レーザ光の照射条件で得られる結晶粒の粒径は数百nm程度になる。上記の条件の下で得られた多結晶シリコン膜を用いて作製されたTFTの典型的な移動度は、150cm/Vs(n−ch)、80cm/Vs(p−ch)である。
【0006】
近年、移動度の高い、より高性能なポリシリコンTFTが求められている。また、複数のポリシリコンTFTを同一基板上に高密度で作製することにより、高精細な表示装置の開発や、液晶ドライバIC、コントローラー、および電源用IC等の様々な機能部品をアクティブマトリックス基板上に形成したシステム液晶表示装置の開発がなされている。多結晶シリコン膜に結晶粒界は電子移動度を低下させるので、優れた特性を有する多結晶シリコン膜を得るには、結晶粒界密度を小さくする必要がある。
【0007】
例えばレーザビームの照射によってシリコン膜を完全溶融させ、尚且つランダムな核発生を抑制し、横方向の結晶成長を制御して結晶質シリコン膜を形成する方法が提案されている。具体的には、例えば、非晶質シリコン膜または多結晶シリコン膜にレーザビームをパルス状に照射しながら走査し、レーザビームの照射位置を順次ずらしていくことにより、レーザビームの走査方向に結晶粒を成長させて結晶質シリコン膜を形成する。この方法によれば、1回の溶融結晶化によって形成される結晶粒のサイズよりも大きい結晶粒を形成することができるので、結晶性に優れた結晶質膜を形成することができる。
【0008】
あるいは、シリコン膜上に形成した反射膜(反射部および開口部で構成される)を介してレーザビームを照射することにより、シリコン膜の面内に溶融領域および非溶融領域を形成し、非溶融領域から溶融領域に結晶粒を横方向に成長させて結晶質シリコン膜を形成する(非特許文献3参照)。この方法によれば、大面積のシリコン膜に1回のレーザビームを照射することによって結晶質シリコン膜を得ることができるので、量産性に優れるという効果がある。また、反射部の配置に応じて、同一照射領域内に異なる方向に成長した結晶粒を形成できるという効果がある。
【0009】
以下、図15を参照しながら、反射膜を用いて結晶質シリコン膜を形成する方法を詳細に説明する(非特許文献4参照)。図15(a)はこの結晶質シリコン膜の製造方法を説明するための断面図であり、図15(b)はこの方法によって得られた結晶質シリコン膜の平面図である。
【0010】
まず、図15(a)に示すように、絶縁基板2の主面に非晶質状態(アモルファス状態)のシリコン膜4を形成し、このシリコン膜4の主面にアルミニウムからなる反射膜10を形成する。反射膜10は、ストライプ形状を有する複数の反射部(ビーム反射部)12および開口部14を備えている。それぞれの開口部14を挟んで両側に反射部12が配置されるように、反射部12および開口部14は互いに隣接し、交互に配置されている。開口部14の幅(ストライプ状の開口部14の短辺の長さ、隣接する反射部12の間隔)D1は、1回の溶融結晶化によって形成される結晶粒のサイズ(以下、「1回の結晶成長距離」と称する場合がある)の2倍以下になるように設定されている。
【0011】
この反射膜10を介してシリコン膜4にレーザビームを照射する。反射部12の下のシリコン膜4の領域は、開口部14の下のシリコン膜4の領域よりも、エネルギー密度のより低いレーザビームが照射される。レーザビームのエネルギー密度を調整することによって、反射部12の下のシリコン膜4の領域を非溶融領域6とし、開口部14の下にあるシリコン膜4の領域を溶融領域8とする。溶融領域8および非溶融領域6はそれぞれ、開口部14および反射部12に対応して形成されるため、交互に隣接して形成される。
【0012】
より低温領域から結晶化(固化)が起こるため、非溶融領域6を核として、溶融領域8と非溶融領域6との境界付近から結晶粒が形成され、溶融領域8に結晶粒が横方向(図15(a)の矢印の方向)に結晶成長する。溶融領域8の両側に非溶融領域6が配置されているので、図15(b)に示すように溶融領域8の非溶融領域6に接する両側から溶融領域8の中央に向かって結晶粒が成長する。この溶融領域8の両側から成長する結晶粒は、開口部14の幅D1が1回の結晶成長距離の2倍以下になるように設定されているため、溶融領域8のほぼ中央で衝突する。この衝突により、溶融領域8のほぼ中央に粒界18が形成される。以上により、図15(b)に示す結晶質シリコン膜が形成される。
【0013】
また、他の結晶質シリコン膜の形成方法として、半導体膜の同一領域に、異なるエネルギー密度を有する2種類のレーザビームを順次照射する方法(ダブルパルス法)がある。この方法では、結晶成長が基板に垂直な方向に進み、基板の面内方向に成長(横成長)させることができない(例えば特許文献1)。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−21776号公報
【非特許文献1】
T.Sameshima, S.Usui and M.Sekiya:“XeCl excimer laser annealing used in the fabrication of poly−Si TFT’s,” IEEE Electron Dev.Lett.,EDL−7,276,(1986)
【非特許文献2】
S.Brotherton,et al.:“Influence of melt depth in laser crystallized poly−Si thin film transistors” J.Appl.Phys.82,4086
【非特許文献3】
J.Jeon et al.:“A new poly−Si TFT with selectively doped channel fabricated by novel excimer laser annealing.” IEEE Electron Device Meeting, SanFrancisco,Dec.(2000)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図15に示したように反射膜を用いて結晶質半導体膜を作製する場合、結晶粒のサイズを1回の成長距離よりも大きくすることができない。また、ダブルパルス法を用いても結晶粒のサイズを十分に大きくすることができない。
【0016】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、結晶粒のサイズを十分に大きくすることができる結晶質半導体膜の製造方法および結晶質半導体膜を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の結晶質半導体膜の製造方法は、絶縁基板上に形成された半導体膜を用意する工程と、前記半導体膜の少なくとも1つの第1領域と前記第1領域に隣接する少なくとも1つの第2領域とを含む領域にエネルギーを付与することによって、前記第1領域と前記第1領域よりも温度が高い前記第2領域とを含む溶融領域を選択的に形成し、非溶融領域に隣接する前記第1領域に複数の結晶粒を生成させて、前記複数の結晶粒を前記第2領域に向けて横成長させる、第1結晶化工程と、前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記第1領域または前記第2領域内に存在している間に、少なくとも前記成長端の成長方向側に存在する前記溶融領域の一部を含む第3領域にエネルギーを付与することにより、前記複数の結晶粒をさらに前記第3領域に横成長させる、第2結晶化工程とを包含し、これにより上記の課題が解決される。
【0018】
ある好ましい実施形態では、前記第2結晶化工程によって横成長した前記複数の結晶粒のサイズは、前記第1結晶化工程におけるエネルギー付与によって成長可能な結晶粒のサイズよりも大きい。
【0019】
前記エネルギー付与は前記半導体膜にレーザビームを照射することにより実行されることが好ましい。
【0020】
前記第1結晶化工程の前に、反射部および開口部を含む反射膜を前記半導体膜上に形成する工程をさらに包含し、前記第1結晶化工程は、前記反射膜を介して前記半導体膜に第1のエネルギー密度を有する前記レーザビームを照射することにより、前記反射部の下の前記半導体膜の一部に前記第1領域を形成し、前記開口部の下の前記半導体膜に前記第2領域を形成する工程を包含し、前記第2結晶化工程は、前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記第1領域内に存在している間に、前記反射膜を介して前記半導体膜に第2のエネルギー密度を有する前記レーザビームを照射することにより、少なくとも前記第3領域を溶融する工程を包含してもよい。
【0021】
前記第1結晶化工程の前に、反射防止部および開口部を含む反射防止膜を前記半導体膜上に形成する工程をさらに包含し、前記第1結晶化工程は、前記反射防止膜を介して前記半導体膜に第1のエネルギー密度を有する前記レーザビームを照射することにより、前記開口部の下の前記半導体膜の一部に前記第1領域を形成し、前記反射防止部の下の前記半導体膜に前記第2領域を形成する工程を包含し、前記第2結晶化工程は、前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記第1領域内に存在している間に、前記反射防止膜を介して前記半導体膜に第2のエネルギー密度を有する前記レーザビームを照射することにより、少なくとも前記第3領域を溶融する工程を包含してもよい。
【0022】
前記第3領域は前記第2領域の一部を含んでもよい。
【0023】
前記反射膜の屈折率をn、前記レーザビームの波長をλとし、正の整数をkとしたときに、前記反射膜の厚さが(λ/4n)×2kであってもよい。
【0024】
前記反射防止膜の屈折率をn、前記レーザビームの波長をλとし、正の整数をkとしたときに、前記反射防止膜の厚さが(λ/4n)×(2k+1)であってもよい。
【0025】
前記第1結晶化工程の前に、複数のキャップ部と、それぞれが前記複数のキャップ部のそれぞれに隣接する複数の開口部とを備えたキャップ層を形成する工程を更に包含し、前記複数のキャップ部のそれぞれが、前記反射部または前記反射防止部に対応し、前記複数の開口部のそれぞれが前記開口部に対応してもよい。
【0026】
前記半導体膜はシリコンを含んでもよい。
【0027】
前記反射膜は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを含む積層膜、またはアルミニウム膜のいずれかである。
【0028】
前記反射防止膜は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを含む積層膜のいずれかである。
【0029】
本発明の結晶質半導体膜の製造方法は、絶縁基板上に形成された半導体膜を用意する工程と、反射部、および前記反射部の第1方向に隣接して配置された開口部を含む反射膜を前記半導体膜上に形成する工程と、前記反射膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記半導体膜の前記開口部の下の領域に溶融領域を形成すると共に、前記反射部の下の領域に溶融領域および前記溶融領域に隣接する非溶融領域を形成し、前記非溶融領域を核として複数の結晶粒を生成させて、前記複数の結晶粒を前記第1方向に沿って横成長させる第1結晶化工程と、前記第1結晶化工程の後であって、かつ、前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記反射部の下の前記溶融領域内に存在している間に、前記複数の結晶粒を完全に溶融しないように前記反射膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記複数の結晶粒を、前記開口部の下の溶融領域内に前記第1方向に沿ってさらに横成長させる第2結晶化工程とを包含し、これにより上記の課題が解決される。
【0030】
本発明の結晶質半導体膜の製造方法は、絶縁基板上に形成された半導体膜を用意する工程と、反射部、および前記反射部の第1方向に隣接して配置された開口部を含む反射膜を前記半導体膜上に形成する工程と、前記反射膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記半導体膜の前記開口部および前記反射部の下の領域に溶融領域を形成した後、冷却過程で、前記開口部の下の領域に固体領域を形成すると共に、前記反射部の下の領域に前記固体領域を核として第1の複数の結晶粒を生成させて、前記第1の複数の結晶粒を前記第1方向に沿って横成長させる第1結晶化工程と、前記第1結晶化工程の後であって、かつ、前記第1の複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記反射部の下の前記溶融領域内に存在している間に、前記第1の複数の結晶粒を完全に溶融しないように、かつ、前記固体領域を溶融するように、前記反射膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記第1の複数の結晶粒を、前記反射部の下の溶融領域内に前記第1方向に沿ってさらに横成長させるとともに、前記第1の複数の結晶粒を核として、前記開口部の下の領域に第2の複数の結晶粒を生成させて、前記第2の複数の結晶粒を前記第1方向と異なる第2方向に沿って横成長させる第2結晶化工程を包含し、これにより上記の課題が解決される。
【0031】
本発明の結晶質半導体膜の製造方法は、絶縁基板上に形成された半導体膜を用意する工程と、開口部、および前記開口部の第1方向に隣接して配置された反射防止部を含む反射防止膜を前記半導体膜上に形成する工程と、前記反射防止膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記半導体膜の前記反射防止部の下の領域に溶融領域を形成すると共に、前記開口部の下の領域に溶融領域および前記溶融領域に隣接する非溶融領域を形成し、前記非溶融領域を核として複数の結晶粒を生成させて、前記複数の結晶粒を前記第1方向に沿って横成長させる第1結晶化工程と、前記第1結晶化工程の後であって、かつ、前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記開口部の下の前記溶融領域内に存在している間に、前記複数の結晶粒を完全に溶融しないように前記反射防止膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記複数の結晶粒を、前記反射防止部の下の溶融領域内に前記第1方向に沿ってさらに横成長させる第2結晶化工程とを包含し、これにより上記の課題が解決される。
【0032】
前記第2結晶化工程によって横成長した前記複数の結晶粒のサイズは、前記第1結晶化工程におけるレーザビームの照射によって成長可能な結晶粒のサイズよりも大きいことが好ましい。
【0033】
前記第2結晶化工程によって横成長した前記第1の複数の結晶粒のサイズは、前記第1結晶化工程におけるレーザビームの照射によって成長可能な結晶粒のサイズよりも大きいことが好ましい。
【0034】
本発明の結晶質半導体膜は、上記に記載の方法で製造されることが好ましい。
【0035】
本発明の半導体装置は、上記に記載の結晶質半導体膜を備えることが好ましい。
【0036】
本発明の半導体装置は、上記結晶質半導体膜を備える半導体装置であって、キャリアの移動方向が前記成長方向に略平行であるように構成されていることが好ましい。
【0037】
本発明の半導体装置は、チャネル方向が前記成長方向に略平行に配置されたトランジスタを備えることが好ましい。
【0038】
本発明の表示装置は、上記に記載の半導体装置を備えることが好ましい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照しながら本発明の一実施形態の結晶質半導体膜の製造方法を説明する。
【0040】
まず、図1(a)に示すように、絶縁基板90上に形成された半導体膜92を用意する。
【0041】
次に、半導体膜92の少なくとも1つの第1領域102と、第1領域102に隣接する少なくとも1つの第2領域104とを含む領域にエネルギーを付与(1回目のエネルギー付与)することによって、第1領域102と、第1領域102よりも温度が高い第2領域104とを含む溶融領域106を選択的に形成する。第1領域102に隣接し、かつ、第1領域102を挟んで第2領域104と反対側に存在する領域100は、非溶融領域であり、固体状態にある。なお、固体領域100、第1領域102および第2領域104は、半導体膜92の面内で隣接している。
【0042】
溶融領域のうち、固体領域(非溶融領域)に接した温度の低い領域から結晶化が起こるので、上記1回目のエネルギー付与により、固体領域100を核として第1領域102に結晶粒108Aを生成させて、第2領域104に向けて横成長させることができる(第1結晶化工程)。図1(b)で結晶粒108A中に示されている矢印は、結晶粒108Aの成長方向を示している。
【0043】
次に、図1(c)に示すように、結晶粒108Aの成長端110が第1領域102または第2領域104内に存在している間に、成長端110の成長方向側に存在する溶融領域106の少なくとも一部を含む第3領域112にエネルギーを付与(2回目のエネルギー付与)することにより、図1(d)に示すように第3領域112に結晶粒108Aをさらに横成長させて結晶粒108Bを形成することができる(第2結晶化工程)。図1(d)で結晶粒108B中に示されている矢印は、結晶粒108Bの成長方向を示している。なお、半導体膜92において、第3領域は、上記第1領域102および第2領域104と同一面内に存在している。また第3領域は、本実施形態の場合、例えば第1領域102の一部と第2領域104の一部とを含んでいる。
【0044】
本実施形態の結晶質半導体膜は、以上の工程によって作製される。
【0045】
上述した本実施形態の結晶質半導体膜の製造方法は、第2回目のエネルギー付与に主な特徴を有している。
【0046】
第1回目のエネルギー付与の後に第2回目のエネルギーを付与しない場合、図2(a)に示すように、固体領域100を核として生成した結晶粒120は矢印方向に成長し、第2領域104内の一部にまでしか横成長できない。すなわち、1回のエネルギー付与によって得られる結晶粒120は上記結晶粒108Bよりも小さい。
【0047】
本実施形態では、結晶粒が成長している間、すなわち、上記結晶粒120が形成される前の時点で、第2回目のエネルギー付与(図1(c))を行う。より詳細に説明すると、第1結晶化工程で生成および成長された結晶粒108Aが成長端110を備えており、成長端110の成長方向側の領域(図1(b)の溶融領域106)が未だ固化しておらず溶融状態にあるときに、図1(c)に示すように第2回目のエネルギー付与を行う。第2回目のエネルギーが付与される第3領域112には、結晶粒108Aの成長端110の成長方向側に存在する溶融領域106の少なくとも一部が含まれる。
【0048】
上記のタイミングで第2回目のエネルギー付与を行うことにより、第1回目のエネルギー付与による溶融領域106のうちの少なくとも一部の領域が溶融状態にある時間を長時間化させている。すなわち、第1回目のエネルギー付与による溶融領域106のうちの少なくとも一部の領域が、Tc(結晶粒が形成される温度)以下の温度まで冷却されるのを抑制し、上記領域がTcを超える温度にある時間を長くしている。上記第1結晶化工程と第2結晶化工程とは、1つの連続した成長過程にある。
【0049】
このため本実施形態では、第1結晶化工程で生成された結晶粒108Aを、第2結晶化工程で、成長端110の成長方向側の溶融領域を含む第3領域112内に成長させることができる。第2結晶化工程後に得られる結晶粒の先端111の位置は、図2(a)に示した結晶粒120の先端121の位置に比べて、より成長方向側に形成される。従って本実施形態によると、結晶粒の1回の成長距離(結晶粒120の粒径)よりも大きい粒径を有する結晶粒108Bを形成することができる。また、結晶性が高く、より単結晶に近い結晶質半導体膜が形成される。従って、本実施形態の結晶質半導体膜を用いれば、閾値電圧のバラつきが小さく、オン電流の低下が抑制された高性能な半導体装置を作製することができる。
【0050】
上記第2結晶化工程で、結晶粒108Bが成長端を備えている間に、上記第2結晶化工程と同様の工程を繰り返し行えば、結晶粒の粒径をより大きくすることができる。
【0051】
なお、図2(a)に示したように結晶粒120が形成された後(全ての溶融領域が固化した後)に、図2(b)に示すように結晶粒120の先端121を含む固体領域122に2回目のエネルギーを付与し、この領域122を再度溶融すると、溶融領域122に結晶粒124を形成することができる。しかしこの場合、本実施形態のように1回目のエネルギー付与によって生成された結晶粒がさらに成長するのではない。図2(c)に示すように、2回目のエネルギー付与によって再度溶融された領域122に、領域122に隣接する固体領域(結晶粒120)を核として、新たな結晶粒124が形成される。この結晶粒124は、1回目のエネルギー付与によって形成された結晶粒120と異なる成長過程で成長するため、結晶粒124の成長のための核が形成された領域に粒界40が形成される場合がある。従って、本実施形態のように結晶粒のサイズを十分に大きくすることができず、また、結晶性が低い。
【0052】
また、第1領域に選択的に1回目のエネルギー付与を行い、結晶粒120が形成された後(全ての溶融領域が固化した後)に、レーザビームをステップ移動させて結晶粒120の先端121を含む固体領域122に選択的に2回目のエネルギーを付与し、結晶粒を横成長させる結晶化方法がある(SLS法)。しかしこの方法で得られる結晶粒も、1回目のエネルギー付与によって形成された結晶粒と異なる成長過程で成長するため、本実施形態に比べて結晶性が低い。
【0053】
第1結晶化工程で、半導体膜の面内に、互いに隣接しかつ、温度の異なる第1領域102、第2領域104を含む溶融領域を形成し、また、第2結晶化工程でエネルギーを付与する第3領域を形成するには、例えばキャップ膜を用いて半導体膜にレーザビーム照射する方法が簡易である。キャップ膜は、反射部および/または反射防止部(キャップ部)と、開口部とを有する。
【0054】
例えば、反射部と開口部とを有するキャップ膜(反射膜)を介して半導体膜にレーザビームを照射すると、反射部の下の半導体膜の領域は、開口部の下の半導体膜の領域よりもエネルギー密度の低いレーザビームが照射される。従って、例えば反射部の下の半導体膜の領域を部分的に溶融させて非溶融領域および溶融領域を形成するとともに、開口部の下の半導体膜の全領域を溶融させることができる。開口部の下の半導体膜の溶融領域は、反射部の下の半導体膜の溶融領域よりも温度が高いので、反射部の下の半導体膜の溶融領域が上記第1領域102に対応し、かつ、開口部の下の半導体膜の溶融領域が上記第2領域104を対応する。また、第2結晶化工程で、上記反射膜を介して、上記反射部の下の第1領域102が完全に溶融されないエネルギー密度のレーザビームを照射すれば、少なくとも開口部の下の第2領域にレーザビームが照射される。従って、少なくとも第2領域に、上記第3領域を形成することができる。
【0055】
一方、反射防止部と開口部とを有するキャップ膜(反射防止膜)を介して半導体膜にレーザビームを照射すると、反射防止部の下の半導体膜の領域は、開口部の下の半導体膜の領域よりもエネルギー密度の高いレーザビームが照射される。従って、例えば開口部の下の半導体膜の領域を部分的に溶融させて非溶融領域および溶融領域を形成するとともに、反射防止部の下の半導体膜の全領域を溶融させることができる。反射防止部の下の半導体膜の溶融領域は、開口部の下の半導体膜の溶融領域よりも温度が高いので、開口部の下の半導体膜の溶融領域が上記第1領域102に対応し、かつ、反射防止部の下の半導体膜の溶融領域が上記第2領域104を対応する。また、第2結晶化工程で、上記反射防止膜を介して、上記開口部の下の第1領域102が完全に溶融されないエネルギー密度のレーザビームを照射すれば、少なくとも反射防止部の下の第2領域にレーザビームが照射される。従って、少なくとも第2領域に、上記第3領域を形成することができる。
【0056】
キャップ膜に代えて、例えば波長依存性を有するマスクを用いても良い。例えば第1の波長を有する光を選択的に透過する第1の透光部および、第2の波長を有する光を選択的に透過する第2の透光部が所定のパターンで配置されたマスクを用いることができる。第1結晶化工程で、第1の波長を有するレーザビームをマスクを介して半導体膜の全面に照射することにより、第1の透光部の下の半導体膜の領域を部分的に溶融させて、非溶融領域と溶融領域とを形成する。溶融領域のうち、非溶融領域から離間した溶融領域は、非溶融領域に隣接する領域よりも温度が高い。従って、非溶融領域に隣接する領域が上記第1領域102に対応し、かつ、非溶融領域から離間した、より温度の高い溶融領域が上記第2領域104に対応する。また、第2結晶化工程で、第2の波長を有するレーザビームをマスクを介して半導体膜の全面に照射することにより、第2の透光部の下の半導体膜の領域にレーザビームを照射できる。従って、第2の透光部の下の半導体膜の領域に、上記第3領域を形成することができる。
【0057】
あるいは、キャップ膜またはマスクを用いる方法に代えて、シリコン薄膜の膜厚を部分的に変化させてもよい。半導体膜の所定の領域の膜厚を他の領域よりも大きくして、半導体膜の面内に膜厚の大きい領域および小さい領域を形成する(Huang−Chung Cheng et al.“High performance low−temperature processed polysilicon TFTs fabricated by excimer Laser Crystallization with recessed−channel structure”AM−LCD 2000 Digest,p281参照)。膜厚の小さい領域を完全に溶融することができるが、膜厚の大きい領域は部分的にしか溶融できないエネルギー密度のレーザビームを、半導体膜の全面に照射することにより、膜厚の大きい領域を部分的に溶融させて、非溶融領域と溶融領域とを形成するとともに、膜厚の小さい領域に溶融領域を形成する。膜厚の小さい領域に存在する溶融領域は、膜厚の大きい領域に存在する溶融領域よりも温度が高い。従って、膜厚の大きい領域に存在する溶融領域が上記第1領域102に対応し、膜厚の小さい領域に存在する溶融領域が上記第2領域104に対応する。また、第2結晶化工程で上記膜厚の大きい領域が完全に溶融されないエネルギー密度のレーザビームを照射すれば、少なくとも膜厚の小さい領域に上記第3領域を形成することができる。
【0058】
以上説明したようにキャップ膜またはマスクを用いる方法および、半導体膜の膜厚を部分的に変化させる方法を用いると、照射領域の強度分布が均一であるレーザビームを半導体膜の全面に照射すれば上記第1、第2および第3領域を容易に形成することができる。従って、例えば矩形状の照射領域を有するレーザビームをステップ移動させて結晶化させるSLS法に比べて製造方法が容易で、量産性に優れるという利点が得られる。
【0059】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、所定の領域を選択的に照射できるレーザビームを用いて、照射領域および照射のタイミングを調整し、上記第1領域および第2領域を含む溶融領域を形成するための第1回目のレーザビーム照射と、それに続く第3領域を形成するための第2回目のレーザビームを実行しても、上述の実施形態と同様に結晶粒のサイズの大きい結晶質シリコン薄膜を形成することができる。
【0060】
本実施形態で得られた結晶質半導体膜を用いて半導体装置を作製する場合、キャリアの移動方向が結晶粒の成長方向に略平行であるように構成することが好ましい。これにより、電子移動度の高い半導体装置を作製することができる。
【0061】
次に図3および図4を参照しながら、反射膜を用いて本実施形態の結晶質半導体膜を形成する方法を説明する。以下の説明では、半導体膜としてシリコン薄膜を用いる場合を例示する。
【0062】
(実施形態1)
まず、図3に示すように、絶縁基板(例えばガラス基板)22上に、下地膜24を形成する。下地膜24は例えば厚さ300nmのシリコン酸化膜であり、例えばスパッタリング法によって形成される。この下地膜24は、ガラス基板22からの不純物の拡散を防ぐために設けられる。
【0063】
次に、例えばプラズマCVD法により、膜厚45nmの非晶質状態のシリコン薄膜26を形成する。このシリコン薄膜26をあらかじめ多結晶化および脱水素化するために、例えば電気炉を用いて加熱温度を600℃とし、窒素雰囲気中で24時間アニールする。上記のように、あらかじめシリコン薄膜26を多結晶化しておくことにより、より結晶性の高い結晶質シリコン薄膜が得られる。
【0064】
次に、シリコン薄膜26上に、複数の反射部30および開口部32を有する反射膜28を形成する。本実施形態では反射膜28として、例えばシリコン酸化膜を形成している。反射膜28の厚さdは、反射膜の屈折率nとし、レーザビームの波長をλとし、正の整数をkとしたときに、d=(λ/4n)×2kとすることが好ましい。反射膜28がこの膜厚のときに、シリコン薄膜26(シリコン薄膜26と反射部30との界面)の表面におけるレーザビームの反射率を最も高くすることができる。従って、反射部30の下のシリコン薄膜26の領域と、開口部32の下のシリコン薄膜26の領域とに対して照射されるレーザビームのエネルギー密度の差を大きくし、それらの領域の間の温度差を大きくすることができる。なお、反射膜28にアルミニウム膜などの金属膜を用いても良い。
【0065】
図6は、シリコン薄膜26上に形成されたシリコン酸化膜の膜厚を変化させた場合に、シリコン薄膜26を完全に溶融するのに必要とされるエネルギー密度の測定結果を示している。シリコン薄膜26に対するエネルギーの付与は、XeClレーザ(波長:308nm)の照射によって行っている。
【0066】
図6に示すように、シリコン薄膜26上にシリコン酸化膜が形成されていない場合、すなわち、開口部32の下のシリコン薄膜26の領域は、エネルギー密度440mJ/cmのレーザビームの照射によって完全溶融する。また、シリコン薄膜26上に形成されるシリコン酸化膜(反射部30)の厚さが例えば203nmの場合、反射部30の下のシリコン薄膜26の領域は、エネルギー密度が560mJ/cmのレーザビームの照射によって完全溶融する。
【0067】
本実施形態では反射膜28(反射部30)の厚さを203nmとしている。また、反射部28および開口部32がストライプ状を有し、互いに隣接して配置されるようにパターニングを行っている。反射部28の短辺A1、および隣接する反射部28の間隔A2は、例えばそれぞれ3.5μm、および4μmである。
【0068】
以下、図4(a)〜(c)に示すように、反射膜28を備えるシリコン薄膜26にレーザビームの照射を行い、シリコン薄膜26を結晶化させる。図3に示したように本実施形態では、複数の反射部30のそれぞれの両側に開口部32が形成されているので、反射部30から、その両側の開口部32に向かう方向に沿ってシリコン薄膜26の結晶化が起こるが、説明を簡単にするために、主として一方向(図4(a)の矢印60方向)の結晶化の説明を行う。
【0069】
まず、図4(a)に示すように、反射膜28を介してシリコン薄膜26に第1のエネルギー密度を有するレーザビーム36を照射する(第1回目のレーザビーム照射)。本実施形態では、第1のエネルギー密度を530mJ/cmとしている。
【0070】
図6を参照して上述したように、開口部32の下のシリコン薄膜26の領域を完全に溶融するにはエネルギー密度が440mJ/cm以上のレーザビームを照射する必要があり、反射部30の下のシリコン薄膜26の領域を完全に溶融するには、エネルギー密度が560mJ/cm以上のレーザビームを照射する必要がある。エネルギー密度が530mJ/cmのレーザビームを、反射膜28を介してシリコン薄膜26に照射すると、開口部32の下のシリコン薄膜26の領域は完全に溶融するが、反射部30の下のシリコン薄膜26の領域は部分的に溶融し、一部に非溶融領域が残存する。
【0071】
従ってエネルギー密度が530mJ/cmのレーザビームの照射により、図4(a)に示すように、各反射部30の下のシリコン薄膜26の一部に非溶融領域(固体領域)26Sを残したまま、その他の領域に溶融領域26Mが形成される。このとき、溶融領域26Mのうち、開口部32の下の領域は反射部30の下の領域よりも温度が高い。従って、シリコン薄膜26の溶融領域26Mの中に、非溶融領域26Sに隣接する第1領域26Aと、第1領域26Aに隣接し、かつ第1領域26Aよりも温度の高い第2領域26Bとが形成される。
【0072】
溶融領域のうち、固体領域に接した温度の低い領域から結晶化が起こるので、上記第1回目のレーザビーム照射により、図4(b)に示すように、固体領域26Sを核として第1領域26Aに結晶粒26C1を生成させて、結晶粒26C1を第2領域26Bに向けて横方向(シリコン薄膜26の面内)に成長させることができる(第1結晶化工程)。
【0073】
この第1結晶化工程では、反射部30と開口部32との境界よりも反射部30側にあるシリコン薄膜26の領域に、結晶成長のための核が形成されている。第1結晶化工程で照射するレーザビームのエネルギー密度が、反射部30の下のシリコン薄膜26の全領域を溶融するエネルギー密度よりも小さく、かつ、開口部の下のシリコン薄膜26の領域を溶融するエネルギー密度よりも大きい範囲内に設定されているため、開口部32の下のシリコン薄膜26の全領域と共に反射部30の下のシリコン薄膜26の一部の領域が溶融され、上記の位置に核が形成された。例えば、レーザビームのエネルギー密度を600mJ/cmとすれば、シリコン薄膜26の全領域が溶融されてしまい、溶融と同時には核が形成されない。一方、レーザビームのエネルギー密度を440mJ/cmとすれば、反射部30の下のシリコン薄膜26の領域が全く溶融されず、反射部30の下のシリコン薄膜26の全領域が核となり、反射部30と開口部32との境界付近を起点として結晶粒が形成される。反射部30の内側に核を形成する場合、第1結晶化工程で照射されるレーザビームのエネルギー密度は、440mJ/cmよりも大きく、560mJ/cmよりも小さい範囲内に設定される。反射部30の下に形成される核の位置は、照射するレーザビームのエネルギー密度を上記エネルギー密度の範囲内で制御することによって調整可能である。
【0074】
なお、本実施形態では、上記第1結晶化工程および後述する第2結晶化工程において行うエネルギーの付与は、例えばXeClレーザ(波長:308nm)を用いて行っている。レーザビーム照射の条件は、ビームサイズ0.5mm×100mm、Repetition Ratio80Hz、ステージ送り速度40mm/秒である。また、第1および第2結晶化工程で、例えばCOレーザを用いて基板を温めておくと、より結晶性の高い結晶質シリコン薄膜が得られる。
【0075】
後述する第2結晶化工程を行わない場合、上記第1回目のレーザビーム照射により、図7(a)に示すように、反射部30の端部(ストライプ形状の反射部30長辺)から反射部30の内側に(反射部30の短辺とほぼ平行方向)1.5μmの位置から開口部32に向かって1.8μm伸びる結晶粒26Cが形成される。
【0076】
本実施形態では図4(b)に示すように、上記結晶粒26Cが形成されてしまう前の時点で、結晶粒26C1の成長端が溶融領域26Mのうち、例えば第1領域26A内に存在している間に、第2のエネルギー密度を有するレーザビーム38を照射する(第2回目のレーザビーム照射)。第2のエネルギー密度は、例えば450mJ/cmである。
【0077】
ここで、第2のエネルギー密度は、第1結晶化工程で生成された結晶粒26Cを完全に溶融させるエネルギー密度を下回るように決められる。反射膜を用いると、上記結晶粒26Cを完全に溶融させるエネルギー密度が、シリコン薄膜26を完全に溶融させるエネルギー密度(開口部下のシリコン薄膜26の領域を完全に溶融させるエネルギー密度440mJ/cmに対応)を上回る。従って、反射膜を用いないで結晶質半導体膜を形成する場合に比べて、第2のエネルギー密度の選択の幅が広いという利点がある。第2のエネルギー密度を大きくすることができれば、第2結晶化工程による結晶成長距離を従来のダブルパルス法よりも長くすることができる。
【0078】
第2回目のレーザビームの照射により、結晶粒26C1の成長端の成長方向側に存在する溶融領域(第3領域)にエネルギーを付与する。本実施形態では、第3領域は、開口部32の下に配置されている第2領域26Bに対応する。
【0079】
結晶粒26C1の成長端の成長方向側に存在する溶融領域26Dおよび26Bが冷却される過程で結晶化が進み、図4(c)に示すように結晶粒26C1が溶融状態にある第3領域26B内に横成長し、結晶粒26C2が形成される(第2結晶化工程)。第2結晶化工程では、第1結晶化工程で生成された結晶粒26C1の成長方向側にエネルギーを付与することにより、結晶粒26C1をさらに成長させて、その結晶粒径をさらに大きくすることができる。
【0080】
以上の説明では、一方向60に進む結晶粒の成長について説明したが、複数の反射部30のそれぞれの両側に開口部32が形成されているので、実際には、方向60に対向する方向にも上記と同様の結晶粒の成長が起こっている。従って、第2結晶化工程において、向かい合う方向に成長する複数の結晶粒は、開口部32の中央付近(開口部32と反射部30との境界から2μmの位置)で衝突する。衝突位置には粒界40が形成される。以上により、結晶質シリコン薄膜が得られる。
【0081】
なお、第1の結晶化工程を行わず、第2のエネルギー密度のレーザビームを反射膜28を介してシリコン薄膜26に照射すると、図7(b)に示すように反射部30と開口部32との境界近傍から、開口部32の中央に向かって結晶粒26Cが成長し、開口部32の中央(開口部32と反射部30との境界から2μmの位置)で衝突する。すなわち、開口部32の幅A2は、1回の溶融結晶化によって形成される結晶粒のサイズの2倍以下になるように設定されている。
【0082】
本実施形態によって得られた結晶質シリコン薄膜から反射膜28を除去し、膜表面を観察した結果を図5に模式的に示す。本実施形態では、反射部の下のシリコン薄膜の領域の一部にも結晶粒が形成され、結晶粒径(開口部の短辺方向の長さ)が3.5μmの結晶粒を形成することができた。
【0083】
図15を参照して説明した従来の製造方法を用いて結晶質シリコン薄膜を形成すると、結晶粒径は結晶粒の1回の成長サイズ未満であるため、2μm未満である。従って本実施形態の製造方法によると、上記従来の製造方法に比べて結晶粒径を1.5μm大きくすることができる。
【0084】
本実施形態によって得られた結晶性シリコン薄膜を用い、公知の方法により、n−chTFTを作製した。チャネル長を2μmとし、チャネル方向は、結晶成長方向(開口部の短辺方向)に平行な方向とした。このn−chTFTによると、移動度は320cm/Vsであり、また、閾値電圧のバラつきの大きい不良品の発生率は0/78(78個のTFTを測定した結果、規定値を外れたものが0個)であった。
【0085】
比較例として、第1回目のレーザビームの照射によって結晶粒26C(図7(a))が形成された後(全ての溶融領域が固化した後)、結晶粒26Cの先端側にある固化領域を再度溶融するように第2回目のレーザビームの照射を行う(図8参照)以外は、上記実施形態と同様の方法で結晶質シリコン薄膜を形成した。
【0086】
得られた結晶質シリコン薄膜から反射膜を除去し、膜表面を観察した結果を図9に模式的に示す。図9に示すように、反射部と開口部との境界の下のシリコン薄膜の領域に粒界40が形成された。また、この比較例の製造方法では、第1回目のレーザビームの照射によって溶融した領域が完全に固化した後に、結晶粒26Cの先端側にある固化領域を再度溶融することにより、結晶成長させている。従って、第1回目のレーザビームの照射によって生成された結晶粒26Cが第2回目のレーザビームの照射による結晶成長の核となる。
【0087】
比較例によって得られた結晶性シリコン薄膜を用い、上記と同様の方法でn−chTFTを作製した。移動度は300cm/Vsであったが、閾値電圧のバラつきの大きい不良品の発生率は8/78(78個のTFTを測定した結果、規定値を外れたものが8個)であった。
【0088】
以上説明したように、本実施形態により、結晶粒のサイズの大きい結晶質半導体膜を得ることができる。また、1つの連続した成長過程で結晶粒の粒径を大きくすることができるので、より結晶性の高い結晶質半導体膜が得られる。この結晶質半導体膜を用いて、閾値電圧のばらつきの小さい高性能な半導体装置を作製することができる。
【0089】
なお、反射膜28を用いて結晶質半導体膜を形成する場合、レーザビームのエネルギー密度を調整することにより、第2結晶化工程で、第1回目のレーザビームの照射によって生成された結晶粒26C1を成長方向側に成長させると共に、その成長方向と異なる方向に新たな結晶粒を成長させることができる。以下、図10(a)〜(d)を参照して説明する。なお、図10に示すシリコン薄膜26および反射膜の構成は図3と同様である。
【0090】
まず図10(a)に示すように、反射膜28を介して例えば600mJ/cmのエネルギー密度を有するレーザビームをシリコン薄膜26に照射する(第1回目のレーザビーム照射)。第1回目のレーザビームのエネルギー密度は、反射部30および開口部32の下のシリコン薄膜26の領域を完全に溶融させるエネルギー密度に決められる。第1回目のレーザビーム照射により、シリコン薄膜26の全領域が溶融領域となる。
【0091】
上記レーザビームの照射後、溶融領域が冷却される過程で、図10(b)に示すように、反射部30の下のシリコン薄膜26の領域よりも開口部32の下のシリコン薄膜26の領域の方が先に冷却される。開口部32の下のシリコン薄膜26の領域が選択的に固体領域となり、この固体領域を核として、結晶粒26C1を生成および成長させることができる(第1結晶化工程)。結晶粒26C1の成長方向を第1の方向60とする。
【0092】
上記第1結晶化工程の後、結晶粒26C1の成長端が反射部30の下の溶融領域内に存在している間に、図10(c)に示すように例えば450mJ/cmのエネルギー密度を有するレーザビームを照射する(第2回目のレーザビーム照射)。第2回目のレーザビームのエネルギー密度は、上記結晶粒26C1を完全に溶融しないように、かつ、開口部32の下の固体領域を溶融するように決められる。
【0093】
第2回目のレーザビームの照射により、図10(d)に示すように、結晶粒26C1を、反射部30の下の溶融領域内に第1方向60に沿ってさらに成長させて、結晶粒26C2を生成できる。さらにこれと同時に、結晶粒26C1を核として、開口部32の下の領域に結晶粒26C3を生成させて、この結晶粒を上記第1方向60と異なる第2方向に沿って成長させることができる。
【0094】
次に、反射防止膜を用いて本実施形態の結晶質半導体膜を形成する方法を説明する。
【0095】
(実施形態2)
図11に示すように、実施形態1と同様に、絶縁基板22上に下地膜24およびシリコン薄膜26(膜厚45nm)を形成する。
【0096】
次に、シリコン薄膜26上に、複数の反射防止部50および開口部32を有する反射防止膜52を形成する。本実施形態では反射防止膜52として、例えばシリコン酸化膜を形成している。反射防止膜52の厚さdは、反射防止膜52の屈折率nとし、レーザビームの波長をλとし、正の整数をkとしたときに、d=(λ/4n)×(2k+1)とすることが好ましい。反射防止膜52がこの膜厚のときに、シリコン薄膜26(シリコン薄膜26と反射防止部50との界面)の表面におけるレーザビームの反射率を最も低くすることができる。従って、反射防止部50の下のシリコン薄膜26の領域と、開口部32の下のシリコン薄膜26の領域とに対して照射されるレーザビームのエネルギー密度の差を大きくし、それらの領域の間の温度差を大きくすることができる。
【0097】
本実施形態では反射防止膜52(反射防止部50)の厚さを53nmとしている。また、反射防止部50および開口部32がストライプ状を有し、互いに隣接して配置されるようにパターニングを行っている。反射防止部50の短辺A3、および隣接する開口部32の間隔A4は、例えばそれぞれ4.0μm、および3.5μmである。
【0098】
以下、図12(a)〜(c)に示すように、反射防止膜52を備えるシリコン薄膜26にレーザビームの照射を行い、シリコン薄膜26を結晶化させる。本実施形態では、複数の開口部32のそれぞれの両側に反射防止部50が形成されているので、開口部32から、その両側の反射防止部50に向かう方向に沿ってシリコン薄膜26の結晶化が起こるが、説明を簡単にするために、主として一方向(図12(a)の矢印60方向)の結晶化の説明を行う。
【0099】
まず、図12(a)に示すように、反射防止膜52を介してシリコン薄膜26に第1のエネルギー密度を有するレーザビーム36を照射する(第1回目のレーザビーム照射)。本実施形態では、第1のエネルギー密度を420mJ/cmとしている。
【0100】
図6に示したように、開口部32の下のシリコン薄膜26の領域を完全に溶融するにはエネルギー密度が440mJ/cmのレーザビームを照射する必要があり、反射防止部50の下のシリコン薄膜26の領域を完全に溶融するには、エネルギー密度が350mJ/cmのレーザビームを照射する必要がある。エネルギー密度が420mJ/cmのレーザビームを、反射防止膜52を介してシリコン薄膜26に照射すると、反射防止部50の下のシリコン薄膜26の領域は完全に溶融するが、開口部32の下のシリコン薄膜26の領域は部分的に溶融し、一部に非溶融領域が残存する。
【0101】
従ってエネルギー密度が420mJ/cmのレーザビームの照射により、図12(a)に示すように、各開口部32の下のシリコン薄膜26の一部に非溶融領域(固体領域)26Sを残したまま、その他の領域に溶融領域26Mが形成される。このとき、溶融領域26Mのうち、反射防止部50の下の領域は開口部32の下の領域よりも温度が高い。従って、シリコン薄膜26の溶融領域26Mの中に、非溶融領域26Sに隣接する第1領域26Aと、第1領域26Aに隣接し、かつ第1領域26Aよりも温度の高い第2領域26Bとが形成される。
【0102】
溶融領域のうち、固体領域に接した温度の低い領域から結晶化が起こるので、上記第1回目のレーザビーム照射により、図12(b)に示すように、固体領域26Sを核として第1領域26Aに結晶粒26C1を生成させて、結晶粒26C1を第2領域26Bに向けて横方向(シリコン薄膜26の面内)に成長させることができる(第1結晶化工程)。
【0103】
この第1結晶化工程では、反射防止部50と開口部32との境界よりも開口部30の内側にあるシリコン薄膜26の領域に、結晶成長のための核が形成されている。第1結晶化工程で照射するレーザビームのエネルギー密度が、開口部32の下のシリコン薄膜26の領域を完全に溶融するエネルギー密度よりも小さく、反射防止部50の下のシリコン薄膜26の領域を完全に溶融するエネルギー密度よりも大きい範囲に設定されているため、反射防止部50の下のシリコン薄膜26の全領域と共に開口部32の下のシリコン薄膜26の一部の領域が溶融され、上記の位置に核が形成された。
【0104】
なお、本実施形態でも実施形態1と同様のXeClレーザ(波長:308nm)が用いられる。
【0105】
後述する第2結晶化工程を行わない場合、上記第1回目のレーザビーム照射により、図13(a)に示すように、反射防止部50の端部(ストライプ形状の反射防止部50の長辺)から開口部32の内側に(反射防止部50の短辺とほぼ平行方向)1.4μmの位置から反射防止部50に向かって1.6μm伸びる結晶粒26Cが形成される。
【0106】
本実施形態では図12(b)に示すように、上記結晶粒26Cが形成されてしまう前の時点で、結晶粒26C1の成長端が溶融領域26Mのうち、例えば第1領域26A内に存在している間に、第2のエネルギー密度を有するレーザビーム38を照射する(第2回目のレーザビーム照射)。第2のエネルギー密度は、例えば360mJ/cmである。
【0107】
ここで、第2のエネルギー密度は、第1結晶化工程で生成された結晶粒26C1を完全に溶融させるエネルギー密度(開口部下のシリコン薄膜26の領域を完全に溶融させるエネルギー密度440mJ/cmに対応)を下回るように決められる。
【0108】
第2回目のレーザビームの照射により、結晶粒26C1の成長端の成長方向側に存在する溶融領域(第3領域)にエネルギーを付与する。本実施形態では、第3領域は、反射防止部50の下に配置されている第2領域26Bに対応する。
【0109】
結晶粒26C1の成長端の成長方向側に存在する溶融領域26Dおよび26Bが冷却される過程で結晶化が進み、図12(c)に示すように結晶粒26C1が溶融状態にある第3領域26B内に横成長し、結晶粒26C2が形成される(第2結晶化工程)。第2結晶化工程では、第1結晶化工程で生成された結晶粒26C1の成長方向側にエネルギーを付与することにより、結晶粒26C1をさらに成長させて、その結晶粒径をさらに大きくすることができる。
【0110】
以上の説明では、一方向60に進む結晶粒の成長について説明したが、複数の開口部32のそれぞれの両側に反射防止部50が形成されているので、実際には、方向60に対向する方向にも上記と同様の結晶粒の成長が起こっている。従って、第2結晶化工程において、向かい合う方向に成長する複数の結晶粒は、反射防止部50の中央付近(開口部32と反射防止部50との境界から2.0μmの位置)で衝突する。衝突位置には粒界40が形成される。以上により、結晶質シリコン薄膜が得られる。
【0111】
なお、第1の結晶化工程を行わず、第2のエネルギー密度のレーザビームを、反射防止膜52を介してシリコン薄膜26に照射すると、図13(b)に示すように反射防止部50と開口部32との境界近傍から、反射防止部50の中央に向かって結晶粒26Cが成長し、反射防止部50の中央(開口部32と反射防止部50との境界から2μmの位置)で衝突する。すなわち、反射防止部50の幅A3は、1回の溶融結晶化によって形成される結晶粒のサイズの2倍以下になるように設定されている。
【0112】
本実施形態によって得られた結晶質シリコン薄膜から反射防止膜52を除去し、膜表面を観察すると、反射防止部50が形成されていた領域と、開口部32に対応する領域の一部とに亘って伸びる、結晶粒径(開口部の短辺方向の長さ)が3.4μmの結晶粒を観察できた。
【0113】
図15を参照して説明した従来の製造方法を用いて結晶質シリコン薄膜を形成すると、結晶粒径は結晶粒の1回の成長サイズ未満であるため、2μm未満である。従って本実施形態の製造方法によると、上記従来の製造方法に比べて結晶粒径を1.4μm大きくすることができる。
【0114】
本実施形態によって得られた結晶性シリコン薄膜を用い、公知の方法により、n−chTFTを作製した。チャネル長を2μmとし、チャネル方向は、結晶成長方向(開口部の短辺方向)に平行な方向とした。このn−chTFTによると、移動度は320cm/Vsであり、また、閾値電圧のバラつきの大きい不良品の発生率は0/78(78個のTFTを測定した結果、規定値を外れたものが0個)であった。
【0115】
比較例として、第1回目のレーザビームの照射によって結晶粒26C(図13(a))が形成された後(全ての溶融領域が固化した後)、結晶粒26Cの先端側にある固化領域を再度溶融するように第2回目のレーザビームの照射を行う(図14参照)以外は、上記実施形態と同様の方法で結晶質シリコン薄膜を形成した。
【0116】
得られた結晶質シリコン薄膜から反射防止膜を除去し、膜表面を観察した結果、反射防止部と開口部との境界の下のシリコン薄膜の領域に粒界40が形成されたことがわかった。また、この比較例の製造方法では、第1回目のレーザビームの照射によって溶融した領域が完全に固化した後に、結晶粒26Cの先端側にある固化領域を再度溶融することにより、結晶成長させている。従って、第1回目のレーザビームの照射によって生成された結晶粒26Cが第2回目のレーザビームの照射による結晶成長の核となるため、結晶性を十分高くすることができない。
【0117】
比較例によって得られた結晶性シリコン薄膜を用い、上記と同様の方法でn−chTFTを作製した。移動度は290cm/Vsであったが、閾値電圧のバラつきの大きい不良品の発生率は9/78(78個のTFTを測定した結果、規定値を外れたものが9個)であった。
【0118】
以上説明したように、本実施形態によっても、結晶粒のサイズの大きい結晶質半導体膜を得ることができる。また、1つの連続した成長過程で結晶粒の粒径を大きくすることができるので、より結晶性の高い結晶質半導体膜が得られる。また、この結晶質半導体膜を用いて、閾値電圧のバラつきの小さい高性能な半導体装置を作製することができる。
【0119】
半導体膜としてシリコン薄膜を用いる場合を例示してきたが、本発明は、シリコン薄膜に限らず、ゲルマニウム、またはガリウムなどを含む様々な半導体膜に広く適用することができる。また、レーザビームを用いて半導体膜にエネルギーを付与する場合を例示したが、これに限らず、他の光源(例えば紫外線ランプ)や荷電粒子ビーム(例えば電子線)などを用いることもできる。
【0120】
【発明の効果】
本発明によると、結晶粒のサイズを十分に大きくすることができる結晶質半導体膜の製造方法が提供される。特にキャップ膜を用いる結晶質半導体膜の製造方法に本発明を採用すると、高い量産性で結晶質半導体膜を生産することができる。
【0121】
本発明によると、結晶粒のサイズが大きい結晶質半導体膜が得られるので、アクティブマトリクス型表示装置の画素TFTや、駆動回路のTFTをはじめ、ダイオード、メモリなど半導体膜を用いる種々の素子の特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)および(d)は本発明の実施形態の結晶質シリコン薄膜の製造方法を説明するための図である。
【図2】(a)、(b)および(c)は本発明の実施形態の結晶質シリコン薄膜の製造方法を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の結晶質シリコン薄膜の製造方法を説明するための図である。
【図4】(a)、(b)および(c)は、第1の実施形態の結晶質シリコン薄膜の製造方法を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態によって得られた結晶質シリコン薄膜の膜表面の観察結果を模式的に示す図である。
【図6】シリコン酸化膜の膜厚を変化させた場合に、シリコン薄膜を完全に溶融するのに必要とされるエネルギー密度の測定結果を示すグラフである。
【図7】(a)はエネルギー密度が530mJ/cmのレーザビームを照射した場合における結晶成長を模式的に示す図であり、(b)はエネルギー密度が450mJ/cmのレーザビームを照射した場合における結晶成長を模式的に示す図である。
【図8】比較例の結晶成長を模式的に示す図である。
【図9】比較例で得られた結晶質シリコン薄膜の膜表面の観察結果を模式的に示す図である。
【図10】(a)、(b)、(c)および(d)は、本発明の第1の実施形態の結晶質シリコン薄膜の製造方法の改変例を説明するための図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の結晶質シリコン薄膜の製造方法を説明するための図である。
【図12】(a)、(b)および(c)は、第2の実施形態の結晶質シリコン薄膜の製造方法を説明するための図である。
【図13】(a)はエネルギー密度が420mJ/cmのレーザビームを照射した場合における結晶成長を模式的に示す図であり、(b)はエネルギー密度が360mJ/cmのレーザビームを照射した場合における結晶成長を模式的に示す図である。
【図14】比較例の結晶成長を模式的に示す図である。
【図15】(a)および(b)は、従来の結晶質シリコン薄膜の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
2 絶縁基板
4 シリコン膜
6 非溶融領域
8 溶融領域
10 反射膜
12 反射部
14 開口部
18 粒界
22 絶縁基板
24 下地膜
26 シリコン薄膜
26A 第1領域
26B 第2領域
26C1 結晶粒
26C2 結晶粒
26C 結晶粒
26E 第3領域
26S 非溶融領域
26M 溶融領域
28 反射膜
30 反射部
32 開口部
36 第1回目のレーザビーム
38 第2回目のレーザビーム
40 粒界
50 反射防止部
52 反射防止膜

Claims (22)

  1. 絶縁基板上に形成された半導体膜を用意する工程と、
    前記半導体膜の少なくとも1つの第1領域と前記第1領域に隣接する少なくとも1つの第2領域とを含む領域にエネルギーを付与することによって、前記第1領域と前記第1領域よりも温度が高い前記第2領域とを含む溶融領域を選択的に形成し、非溶融領域に隣接する前記第1領域に複数の結晶粒を生成させて、前記複数の結晶粒を前記第2領域に向けて横成長させる、第1結晶化工程と、
    前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記第1領域または前記第2領域内に存在している間に、少なくとも前記成長端の成長方向側に存在する前記溶融領域の一部を含む第3領域にエネルギーを付与することにより、前記複数の結晶粒をさらに前記第3領域に横成長させる、第2結晶化工程とを包含する、結晶質半導体膜の製造方法。
  2. 前記第2結晶化工程によって横成長した前記複数の結晶粒のサイズは、前記第1結晶化工程におけるエネルギー付与によって成長可能な結晶粒のサイズよりも大きい、請求項1に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  3. 前記エネルギー付与は前記半導体膜にレーザビームを照射することにより実行される、請求項1または2に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  4. 前記第1結晶化工程の前に、反射部および開口部を含む反射膜を前記半導体膜上に形成する工程をさらに包含し、
    前記第1結晶化工程は、前記反射膜を介して前記半導体膜に第1のエネルギー密度を有する前記レーザビームを照射することにより、前記反射部の下の前記半導体膜の一部に前記第1領域を形成し、前記開口部の下の前記半導体膜に前記第2領域を形成する工程を包含し、
    前記第2結晶化工程は、前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記第1領域内に存在している間に、前記反射膜を介して前記半導体膜に第2のエネルギー密度を有する前記レーザビームを照射することにより、少なくとも前記第3領域を溶融する工程を包含する、請求項3に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  5. 前記第1結晶化工程の前に、反射防止部および開口部を含む反射防止膜を前記半導体膜上に形成する工程をさらに包含し、
    前記第1結晶化工程は、前記反射防止膜を介して前記半導体膜に第1のエネルギー密度を有する前記レーザビームを照射することにより、前記開口部の下の前記半導体膜の一部に前記第1領域を形成し、前記反射防止部の下の前記半導体膜に前記第2領域を形成する工程を包含し、
    前記第2結晶化工程は、前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記第1領域内に存在している間に、前記反射防止膜を介して前記半導体膜に第2のエネルギー密度を有する前記レーザビームを照射することにより、少なくとも前記第3領域を溶融する工程を包含する、請求項4に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  6. 前記第3領域は前記第2領域の一部を含む、請求項4または5に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  7. 前記反射膜の屈折率をn、前記レーザビームの波長をλとし、正の整数をkとしたときに、前記反射膜の厚さが(λ/4n)×2kである、請求項4に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  8. 前記反射防止膜の屈折率をn、前記レーザビームの波長をλとし、正の整数をkとしたときに、前記反射防止膜の厚さが(λ/4n)×(2k+1)である、請求項5に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  9. 前記第1結晶化工程の前に、複数のキャップ部と、それぞれが前記複数のキャップ部のそれぞれに隣接する複数の開口部とを備えたキャップ層を形成する工程を更に包含し、
    前記複数のキャップ部のそれぞれが、前記反射部または前記反射防止部に対応し、前記複数の開口部のそれぞれが前記開口部に対応する、請求項4から8のいずれかに記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  10. 前記半導体膜はシリコンを含む、請求項1から9のいずれかに記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  11. 前記反射膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを含む積層膜、またはアルミニウム膜のいずれかである、請求項4または7に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  12. 前記反射防止膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを含む積層膜のいずれかである、請求項5または8に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  13. 絶縁基板上に形成された半導体膜を用意する工程と、
    反射部、および前記反射部の第1方向に隣接して配置された開口部を含む反射膜を前記半導体膜上に形成する工程と、
    前記反射膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記半導体膜の前記開口部の下の領域に溶融領域を形成すると共に、前記反射部の下の領域に溶融領域および前記溶融領域に隣接する非溶融領域を形成し、前記非溶融領域を核として複数の結晶粒を生成させて、前記複数の結晶粒を前記第1方向に沿って横成長させる第1結晶化工程と、
    前記第1結晶化工程の後であって、かつ、前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記反射部の下の前記溶融領域内に存在している間に、前記複数の結晶粒を完全に溶融しないように前記反射膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記複数の結晶粒を、前記開口部の下の溶融領域内に前記第1方向に沿ってさらに横成長させる第2結晶化工程とを包含する、結晶質半導体膜の製造方法。
  14. 絶縁基板上に形成された半導体膜を用意する工程と、
    反射部、および前記反射部の第1方向に隣接して配置された開口部を含む反射膜を前記半導体膜上に形成する工程と、
    前記反射膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記半導体膜の前記開口部および前記反射部の下の領域に溶融領域を形成した後、冷却過程で、前記開口部の下の領域に固体領域を形成すると共に、前記反射部の下の領域に前記固体領域を核として第1の複数の結晶粒を生成させて、前記第1の複数の結晶粒を前記第1方向に沿って横成長させる第1結晶化工程と、
    前記第1結晶化工程の後であって、かつ、前記第1の複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記反射部の下の前記溶融領域内に存在している間に、前記第1の複数の結晶粒を完全に溶融しないように、かつ、前記固体領域を溶融するように、前記反射膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記第1の複数の結晶粒を、前記反射部の下の溶融領域内に前記第1方向に沿ってさらに横成長させるとともに、前記第1の複数の結晶粒を核として、前記開口部の下の領域に第2の複数の結晶粒を生成させて、前記第2の複数の結晶粒を前記第1方向と異なる第2方向に沿って横成長させる第2結晶化工程を包含する、結晶質半導体膜の製造方法。
  15. 絶縁基板上に形成された半導体膜を用意する工程と、
    開口部、および前記開口部の第1方向に隣接して配置された反射防止部を含む反射防止膜を前記半導体膜上に形成する工程と、
    前記反射防止膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記半導体膜の前記反射防止部の下の領域に溶融領域を形成すると共に、前記開口部の下の領域に溶融領域および前記溶融領域に隣接する非溶融領域を形成し、前記非溶融領域を核として複数の結晶粒を生成させて、前記複数の結晶粒を前記第1方向に沿って横成長させる第1結晶化工程と、
    前記第1結晶化工程の後であって、かつ、前記複数の結晶粒のそれぞれの成長端が前記開口部の下の前記溶融領域内に存在している間に、前記複数の結晶粒を完全に溶融しないように前記反射防止膜を介して前記半導体膜にレーザビームを照射することによって、前記複数の結晶粒を、前記反射防止部の下の溶融領域内に前記第1方向に沿ってさらに横成長させる第2結晶化工程とを包含する、結晶質半導体膜の製造方法。
  16. 前記第2結晶化工程によって横成長した前記複数の結晶粒のサイズは、前記第1結晶化工程におけるレーザビームの照射によって成長可能な結晶粒のサイズよりも大きい、請求項13または15に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  17. 前記第2結晶化工程によって横成長した前記第1の複数の結晶粒のサイズは、前記第1結晶化工程におけるレーザビームの照射によって成長可能な結晶粒のサイズよりも大きい、請求項14に記載の結晶質半導体膜の製造方法。
  18. 請求項1から17のいずれかに記載の方法で製造された結晶質半導体膜。
  19. 請求項18に記載の結晶質半導体膜を備える、半導体装置。
  20. 請求項18に記載の結晶質半導体膜を備える半導体装置であって、キャリアの移動方向が前記成長方向に略平行であるように構成されている、半導体装置。
  21. チャネル方向が前記成長方向に略平行に配置されたトランジスタを備える、請求項20に記載の半導体装置。
  22. 請求項19から21のいずれかに記載の半導体装置を備える、表示装置。
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