JP2004252362A - 反射型投影光学系、露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents
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- G03F7/70216—Mask projection systems
- G03F7/70233—Optical aspects of catoptric systems, i.e. comprising only reflective elements, e.g. extreme ultraviolet [EUV] projection systems
Abstract
【課題】EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系を実現可能な反射型投影光学系、露光装置及びデバイス製造方法を提供する。
【解決手段】物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、前記像面から光路を辿って3番目のミラー及び前記像面から光路を辿って4番目のミラーが、前記像面から光路を辿って最初のミラーと前記像面から光路を辿って2番目のミラーの間に配置されたことを特徴とする反射型投影光学系を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、前記像面から光路を辿って3番目のミラー及び前記像面から光路を辿って4番目のミラーが、前記像面から光路を辿って最初のミラーと前記像面から光路を辿って2番目のミラーの間に配置されたことを特徴とする反射型投影光学系を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、露光装置に係り、特に、紫外線や極端紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を利用して半導体ウェハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの被処理体を投影露光する反射型投影光学系、露光装置及びデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化及び薄型化の要請から、電子機器に搭載される半導体素子の微細化への要求はますます高くなっている。例えば、マスクパターンに対するデザインルールはライン・アンド・スペース(L&S)0.1μm以下の寸法像を広範囲に形成することが要求され、今後は更に80nm以下の回路パターン形成に移行することが予想される。L&Sは、露光においてラインとスペースの幅が等しい状態でウェハ上に投影された像であり、露光の解像度を示す尺度である。
【0003】
半導体製造用の代表的な露光装置である投影露光装置は、マスク又はレチクル(なお、本出願ではこれらの用語を交換可能に使用する。)上に描画されたパターンをウェハに投影露光する投影光学系を備えている。投影露光装置の解像度(正確に転写できる最小寸法)Rは、光源の波長λと投影光学系の開口数(NA)を用いて次式で与えられる。
【0004】
【数1】
【0005】
従って、波長を短くすればするほど、及び、NAを上げれば上げるほど、解像度は良くなる。近年では、解像度はより小さい値を要求されNAを上げるだけではこの要求を満足するには限界となっており、短波長化により解像度の向上を見込んでいる。現在では、露光光源は、KrFエキシマレーザー(波長約248nm)及びArFエキシマレーザー(波長約193nm)からF2レーザー(波長約157nm)に移行しており、更には、EUV(extreme ultraviolet)光の実用化も進んでいる。
【0006】
しかし、光の短波長化が進むと光が透過する硝材が限られてしまうために屈折素子、即ち、レンズを多用することは難しく、投影光学系に反射素子、即ち、ミラーを含めることが有利になる。更に、露光光がEUV光になると使用できる硝材は存在しなくなり、投影光学系にレンズを含めることは不可能となる。そこで、投影光学系をミラー(例えば、多層膜ミラー)のみで構成する反射型投影光学系が提案されている。
【0007】
反射型投影光学系においては、ミラーにおける反射率を高めるために反射した光が強め合うようミラーには多層膜が形成されているが、光学系全体での反射率を高めるためにできるだけ少ない枚数で構成することが望ましい。また、マスクとウェハの機械的な干渉を防止するため、マスクとウェハが瞳を介して反対側に位置するよう投影光学系を構成するミラーの枚数は偶数枚であることが望ましい。
【0008】
更に、EUV露光装置に要求される線幅(解像度)が従来の値より小さくなってきたためNAを上げる必要があるが(例えば、波長13.5nmにおいてNA0.2)、従来の3枚乃至4枚のミラーでは、波面収差を減らすことが困難である。そこで、波面収差補正の自由度を増やすためにもミラーを非球面にすると共にミラーの数を6枚程度にする必要が生じてきており(以下、本出願では、かかる光学系を6枚ミラー系と称する場合もある。)、この種の6枚ミラー系が数多く提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0009】
露光装置においては、物体面には、通常、パターンの原版であるマスクが配置される。かかるマスクは、交換したり、パターンを焼き付けるときにスキャンしたりするため、上述した6枚ミラー系を実際の露光装置に適用する際には、マスク付近にステージ機構を配置する必要があり、ある程度のゆとりが必要となる。
【0010】
更に、露光装置は、通常、クリーンルーム内に設置されるために施設の制約から露光装置全体の大きさが制限され、従って、光学系の全長も制約を受ける。また、EUV光による露光の際には、EUV光が空気中で吸収されてしまうため光路を真空にする必要がある。そのため、真空引きの効率の面からも光学系の大きさは制約を受けることになる。以上のことから、光学系の全長(物体面から像面までの距離)及び有効径を増大させずに、物体面と物体面に最も近いミラー(の反射面)の間隔にゆとりをもたせる必要がある。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−100694号公報
【特許文献2】
特開2000−235144号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1の反射型投影光学系によれば、NAが0.14と0.16の2つの6枚ミラー系の実施例が開示されているが、NAが0.14の第1実施例では、第4のミラーM4が平面鏡であるため実質は5枚ミラー系であり、NAを更に大きくすることは難しい。また、NAが0.16の第2実施例では、第4のミラーM4に球面鏡を用いて設計上の自由度を増やしてはいるが、物体面から像面までの距離が2m以上と大きくなっているので実現が困難であると共に、ミラーの最大有効径が450mm程度もあり、高NA化に伴って更に大きくなる。
【0013】
何れの実施例においても、中間像が第2のミラーM2と第3のミラーM3の間に形成され、中間像から像面までの間に4枚ものミラーを有している。そのため、高NA化によって光束の幅が大きくなると、特に、中間像から像面までの光束の広がりが大きくなり、ミラーを所望の光束以外の光線と分離して配置することが難しくなる。従って、第1実施例及び第2実施例ともNA0.16以上の高NA化に対応することができない。無理にミラーを配置しようとすると、最大有効径が大きくなるなど別の問題も発生してくる。
【0014】
更に、物体面と物体面に最も近いミラーM2の距離が20mm乃至30mmと非常に短い。例えば、図2に示されているように、第2のミラーM2とマスクRとの距離は非常に長くなっており、このことからも特許文献1に開示された2つの光学系を実際に露光装置に適用することは難しいことがわかる。
【0015】
一方、特許文献2の反射型投影光学系にも、NAが0.2、0.28及び0.30など高NAの6枚ミラー系の実施例が開示されている。しかし、同様に、物体面と物体面に最も近い第2のミラーM2の距離が80mm乃至85mm程度と短いために、物体面に配置されたマスクをスキャンするためのステージ機構を配置することが困難である。更に、何れの実施例においても、有効径が最も大きいミラーは第4のミラーM4であり、かかる直径がNA0.2で540mm以上と非常に大きい構成となっている。その中でも最も有効径が大きいものは、NA0.28で直径650mmを超えており、高NA化に対応してミラーの最大有効径も同時に大きくなっている。
【0016】
そこで、本発明は、EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系を実現可能な反射型投影光学系、露光装置及びデバイス製造方法を提供することを例示的目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての反射型投影光学系は、物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、前記像面から光路を辿って3番目のミラー及び前記像面から光路を辿って4番目のミラーが、前記像面から光路を辿って最初のミラーと前記像面から光路を辿って2番目のミラーの間に配置されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の他の目的及び更なる特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての反射型投影光学系及び露光装置について説明する。なお、各図において同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。ここで、図1は、本発明の一側面としての反射型投影光学系100の例示的一形態及びその光路を示した概略断面図である。
【0020】
図1を参照するに、本発明の反射型投影光学系100は、物体面MS(例えば、マスク面)上のパターンを像面W(例えば、基板などの被処理体面)上に縮小投影する反射型投影光学系であって、特に、EUV光(例えば、波長13.4nm乃至13.5nm)に好適な光学系である。
【0021】
反射型投影光学系100は、6枚の反射鏡を有し、基本的に、物体面MSから光を反射する順番に、第1のミラー(凹面鏡)M1と、第2のミラー(凸面鏡)M2と、第3のミラー(凹面鏡)M3と、第4のミラー(凸面鏡)M4と、第5のミラー(凸面鏡)M5と、第6のミラー(凹面鏡)M6とを有し、第1のミラーM1乃至第3のミラーM3の3枚のミラーによって第4のミラーM4近傍に中間像MIを結像させ、かかる中間像MIを第5のミラーM5及び第6のミラーM6の2枚のミラーで像面W上に再結像するように構成されている。
【0022】
本発明の反射型投影光学系100を構成する6枚のミラーのうち、最も有効径の大きいものは第3のミラーM3(像面Wから光路を逆に辿って4番目の反射面)であるが、その最大有効径が全体的に小さいという特徴を有し、更に、第3のミラーM3と第4のミラーM4(像面Wから光路を逆に辿って3番目の反射面)が、第5のミラーM5(像面Wから光路を逆に辿って2番目の反射面)と第6のミラーM6(像面Wから光路を逆に辿って最初の反射面)との間に配置されているという特徴を有する。
【0023】
これにより、第3のミラーM3の有効径を抑え、第4のミラーM4での光線とミラーとを分離することができる。第3のミラーM3の有効径は、第2のミラーM2から離れるほど大きくなり、換言すれば、像面Wから離れるほど小さくなる。しかし、第3のミラーM3をより物体面MS側に配置すると、第4のミラーM4で光線とミラーが干渉してしまう。従って、第3のミラーM3は、第5のミラーM5と第6のミラーM6との間に配置するのが好ましい。
【0024】
また、第6のミラーM6に入射する光の入射角度を抑えるためには、第6のミラーM6と第5のミラーM5との間隔を離す必要があり、第6のミラーM6が像面Wから離れているほど光学性能を確保しやすい。しかし、第6のミラーM6の有効径は大きくなり、第4のミラーM4での光線とミラーの干渉を防ぐためには第4のミラーM4を第6のミラーM6より像面W側に配置しなければならない。従って、第3のミラーM3と第4のミラーM4は、第5のミラーM5と第6のミラーM6との間に配置することになる。このことは、反射型投影光学系100を構成するミラーの枚数が6枚に限らず、6枚以上でも成り立つ。像面Wから光路を逆に辿って4枚のミラーが上述した関係を満たすことにより最大有効径を小さくすることが可能となる。
【0025】
反射型投影光学系100は、物体面MSから第1のミラーM1へ入射する光線が5度以上の角度を有する非テレセントリックであり、且つ、像面W側の射出光線がテレセントリックであることも特徴となっている。例えば、照明光学系によって物体面MSに配置されたマスクを照明し、その像を像面Wに配置されたウェハ上に結像するためには、物体面MS側はある入射角を有することが必須となる。一方、像面W側は、例えば、像面Wに配置されるウェハが光軸方向に移動しても倍率の変化を少なくするために、テレセントリックであることが望ましい。
【0026】
反射型投影光学系100は、基本的には、1本の光軸の回りに軸対称な共軸光学系であり、光軸を中心としたリング状の像面で収差が補正されるため好ましいという長所を有している。但し、収差補正上又は収差調整上、反射型投影光学系100を構成する6枚のミラーが完全な共軸系となるように配置される必要はなく、若干の偏心をさせて収差を改善したり、配置上の自由度を向上させたりしてもよい。
【0027】
反射型投影光学系は、EUV光を用いる光学系では必須と考えられており、更なる高NA化が求められるにつれて、像面W側で光線のケラレをできるだけ排除する必要がある。本実施形態では、中間像MIを第3のミラーM3から第5のミラーM5の間で形成し、光線とミラーとの干渉を防いでいる。中間像MIは、第4のミラーM4近傍に形成した方が光線とミラーとの干渉を排除しやすいために望ましい。
【0028】
また、反射型投影光学系100において、第1のミラーM1は、物体面MSから射出された主光線を反射し、光軸方向に近づけるために凹面鏡であることが好ましい。第3のミラーM3は、第2のミラーM2で反射した光線を光軸方向に向ける必要があるために凹面鏡であることが好ましい。第2のミラーM2及び第4のミラーM4は、比較的パワー配置に自由度があるが、第1のミラーM1乃至第6のミラーM6の曲率半径をr1乃至r6とした場合、以下の数式2及び数式3で示すようなペッツバール項の和がゼロ近傍、好ましくはゼロになることが必要である。かかるペッツバール項の和を考慮すると、第3のミラーM3が凹面鏡のため第4のミラーM4は凸面鏡とすることが好ましく、第2のミラーM2は自由なパワー配置を取れることになる。
【0029】
【数2】
【0030】
【数3】
【0031】
反射型投影光学系100は、6枚のミラーで構成されているが、少なくとも1枚以上が非球面であればよく、かかる非球面の形状は、数式4に示す一般的な非球面の式で表される。但し、ミラーを非球面で構成することは収差を補正する上で好ましいという長所を有しており、できるだけ多くのミラー(好ましくは、6枚)を非球面で構成するとよい。また、本発明の反射型投影光学系100は、6枚ミラー系に限定されず、高性能化及び高NA化のために6枚以上のミラーで構成されてもよい。
【0032】
【数4】
【0033】
数式4において、Zは光軸方向の座標、cは曲率(曲率半径rの逆数)、hは光軸からの高さ、hは円錐係数、A、B、C、D、E、F、G、H、J、・・・は各々、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次、18次、20次、・・・の非球面係数である。
【0034】
反射型投影光学系100は、図1に示すように、開口絞りが第2のミラーM2上に配置されているが、第1のミラーM1上に配置してもよいし、第1のミラーM1から第2のミラーM2の間に配置してもよい。開口絞りの径は、固定であっても可変であってもよい。可変の場合には、開口絞りの径を可変とすることで、深い焦点深度を得られるなどの長所が得られ、これにより像を安定させることができる。
【0035】
第1のミラーM1乃至第6のミラーM6の表面には、EUV光を反射させる多層膜が施されており、かかる多層膜により光を強め合う作用を奏する。波長20nm以下のEUV光を反射することが可能な多層膜は、例えば、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜や、Mo層とベリリウム(Be)層を交互に積層したMo/Be多層膜などが考えられ、使用波長によって最適な材料を選択する。但し、本発明の多層膜は、上記した材料に限定されず、これと同様の作用及び効果を有する多層膜を適用することができる。
【0036】
ここで、図1を参照して、本発明の反射型投影光学系100を用いて照明実験した結果について説明する。図1において、MSは物体面位置に置かれた反射型マスク、Wは像面位置に置かれたウェハを示している。
【0037】
反射型投影光学系100において、波長13.4nm付近のEUV光を放射する図示しない照明系によりマスクMSが照明され、マスクMSからの反射EUV光が、第1のミラー(凹面鏡)M1、第2のミラーM2、第3のミラー(凹面鏡)M3、第4のミラー(凸面鏡)M4、第5のミラー(凸面鏡)M5、第6のミラー(凹面鏡)M6の順に反射し、像面位置に置かれたウェハW上にマスクパターンの縮小像を形成している。
【0038】
なお、反射型投影光学系100は、第1のミラーM1から第3のミラーM3までの3枚のミラーで中間像MIが結像され、かかる中間像MIを残りのミラーでウェハW上に再結像するように構成されている。本実施形態では、第2のミラーM2を凸面鏡としているため、中間像MIは第4のミラーM4近傍に形成される。
【0039】
図1に示す反射型投影光学系100において、像側の開口数NA=0.26、縮小倍率=1/4倍、物体高=122mm乃至126mmの4mm幅の円弧状スリットである。ここで、図1の反射型投影光学系100の数値(曲率半径、面間隔、非球面係数など)を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
また、図1に示す反射型投影光学系100の製造誤差を含まない収差は、各画角で表2に示すようになる。
【0042】
【表2】
【0043】
表2を参照するに、|歪曲最大値|=2.87nmである。
【0044】
また、物体面MSと反射面の最小距離(物体面MSと第2のミラーM2との距離)は、419.4mmとなっており、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を回避するために十分な距離となっている。最大有効径の第3のミラーM3は、496.4mmと比較的小さくなっている。また、物体面MSから第1のミラーM1への主光線の傾きは、7度近傍となっており、照明系で物体面位置に置かれたマスクMSを照明し、像面位置に置かれたウェハW上に結像するために十分な構成となっている。
【0045】
次に、図2を参照して、本発明の反射型投影光学系100Aを用いて照明実験した結果について説明する。図2は、図1に示す反射型投影光学系100の別の形態を示した反射型投影光学系100A及びその光路を示す概略断面図である。図2において、MSは物体面位置に置かれた反射型マスク、Wは像面位置に置かれたウェハを示している。
【0046】
反射型投影光学系100Aにおいて、波長13.4nm付近のEUV光を放射する図示しない照明系によりマスクMSが照明され、マスクMSからの反射EUV光が、第1のミラー(凹面鏡)M1、第2のミラーM2、第3のミラー(凹面鏡)M3、第4のミラー(凸面鏡)M4、第5のミラー(凸面鏡)M5、第6のミラー(凹面鏡)M6の順に反射し、像面位置に置かれたウェハW上にマスクパターンの縮小像を形成している。
【0047】
なお、反射型投影光学系100Aは、第1のミラーM1から第3のミラーM33枚のミラーで中間像MIが結像され、かかる中間像MIを残りのミラーでウェハW上に再結像するように構成されている。本実施形態では、第2のミラーM2を凹面鏡としているため、中間像MIは第3のミラーM3と第4のミラーM4との間に形成される。
【0048】
図2に示す反射型投影光学系100Aにおいて、像側の開口数NA=0.2、縮小倍率=1/4倍、物体高=118mm乃至122mmの4mm幅の円弧状スリットである。ここで、図2の反射型投影光学系100Aの数値(曲率半径、面間隔、非球面係数など)を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
また、図2に示す反射型投影光学系100Aの製造誤差を含まない収差は、各画角で表4に示すようになる。
【0051】
【表4】
【0052】
表4を参照するに、|歪曲最大値|=17.8nmである。
【0053】
また、物体面MSと反射面の最小距離(物体面MSと第2のミラーM2との距離)は、294.258mmとなっており、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を回避するために十分な距離となっている。最大有効径の第3のミラーM3は、413.12mmと小さくなっている。また、物体面MSから第1のミラーM1への主光線の傾きは、7.6度近傍となっており、照明系で物体面位置に置かれたマスクMSを照明し、像面位置に置かれたウェハW上に結像するために十分な構成となっている。
【0054】
以上のように、本発明の投影光学系100及び100Aは、EUVの波長でNAを0.2よりも大きく(好ましくは、0.25以上)高NAながら、ミラーの最大有効径及び光学系の全長を小さくすることができる。また、物体面MSとミラーとの最小距離も十分に確保することが可能であるので、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を防止することができる。また、物体面MS側は非テレセントリックであって、物体面MSに置かれたマスクを照明し、像面Wに結像することが可能であり良好な結像性能を得ることができる。
【0055】
以下、図3を参照して、本発明の反射型投影光学系100を適用した露光装置200について説明する。図3は、反射型投影光学系100を有する露光装置200の例示的一形態を示す概略構成図である。本発明の露光装置200は、露光用の照明光としてEUV光(例えば、波長13.4nm)を用いて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行う投影露光装置である。
【0056】
図3を参照するに、露光装置200は、照明装置210と、マスクMSと、マスクMSを載置するマスクステージ220と、反射型投影光学系100と、被処理体Wと、被処理体Wを載置するウェハステージ230と、制御部240とを有する。制御部240は、照明装置210、マスクステージ220及びウェハステージ230に接続可能に接続されている。
【0057】
また、図3には図示しないが、EUV光は大気に対する透過率が低いため、少なくともEUV光が通る光路は真空雰囲気であることが好ましい。なお、図3において、X、Y、Zは3次元空間を示し、XY平面の法線方向をZ方向としている。
【0058】
照明装置210は、反射型投影光学系100の円弧状の視野に対応する円弧状のEUV光(例えば、波長13.4nm)によりマスクMSを照明する照明装置であって、図示しない光源と、照明光学系より構成される。なお、照明装置210を構成する光源及び照明光学系は当業界で周知のいかなる技術をも適応可能であり、本明細書での詳細な説明は省略する。例えば、照明光学系は、集光光学系、オプティカルインテグレーター、開口絞り、ブレード等を含み、当業者が想達し得るいかなる技術も適用可能である。
【0059】
マスクMSは、反射型又は透過型マスクで、その上には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成され、マスクステージ220に支持及び駆動される。マスクMSから発せられた回折光は、反射型投影光学系100で反射されて被処理体W上に投影される。マスクMSと被処理体Wとは、光学的に共役の関係に配置される。露光装置200は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、マスクMSと被処理体Wを走査することによりマスクMSのパターンを被処理体W上に縮小投影する。
【0060】
マスクステージ220は、マスクMSを支持して図示しない移動機構に接続されている。マスクステージ220は、当業界周知のいかなる構成をも適用することができる。例えば、図示しないリニアモーターなどで構成され、制御部240に制御されながら少なくともY方向にマスクステージ220を駆動することでマスクMSを移動することができる。露光装置200は、マスクMSと被処理体Wを制御部240によって同期した状態で走査する。
【0061】
反射型投影光学系100は、マスクMS面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型光学系である。反射型投影光学系100は、上述した通りのいかなる形態をも適用可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。なお、図4では、図1に示す反射型投影光学系100を使用するが、かかる形態は例示的であり本発明はこれに限定されない。例えば、図2に示す反射型投影光学系100Aを使用することもできる。
【0062】
被処理体Wは、本実施形態ではウェハであるが、液晶基板その他の被処理体を広く含む。被処理体Wには、フォトレジストが塗布されている。
【0063】
ウェハステージ230は、被処理体Wを支持する。ウェハステージ230は、例えば、リニアモーターを利用してXYZ方向に被処理体Wを移動する。また、マスクステージ220とウェハステージ230の位置は、例えば、レーザー干渉計などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
【0064】
制御部240は、図示しないCPU、メモリを有し、露光装置200の動作を制御する。制御部240は、照明装置210、マスクステージ220(即ち、マスクステージ220の図示しない移動機構)、ウェハステージ230(即ち、ウェハステージ230の図示しない移動機構)と電気的に接続されている。CPUは、MPUなど名前の如何を問わずいかなるプロセッサも含み、各部の動作を制御する。メモリは、ROM及びRAMより構成され、露光装置200を動作するファームウェアを格納する。
【0065】
露光において、照明装置210から射出されたEUV光はマスクMSを照明し、マスクMS面上のパターンを被処理体W面上に結像する。本実施形態において、像面は円弧状(リング状)の像面となり、マスクMSと被処理体Wを縮小倍率比の速度比でスキャンすることにより、マスクMSの全面を露光する。
【0066】
次に、図4及び図5を参照して、露光装置200を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図4は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いてリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0067】
図5は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置200によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重の回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置200を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明は、ArFエキシマレーザーやF2レーザーなどのEUV光以外の波長200nm以下の紫外線用の反射型投影光学系として用いることもでき、大画面をスキャン露光する露光装置にもスキャンしない露光をする露光装置にも適用可能である。
【0069】
本出願は、更に以下の事項を開示する。
【0070】
〔実施態様1〕 物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、
前記像面から光路を辿って3番目のミラー及び前記像面から光路を辿って4番目のミラーが、前記像面から光路を辿って最初のミラーと前記像面から光路を辿って2番目のミラーの間に配置されたことを特徴とする反射型投影光学系。
【0071】
〔実施態様2〕 前記反射型投影光学系は、6枚以上のミラーを有することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0072】
〔実施態様3〕 前記像面から光路を辿って4番目のミラーから前記像面から光路を辿って2番目のミラーの光路の間に中間像を形成することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0073】
〔実施態様4〕 前記像面から光路を辿って3番目のミラーで中間像を形成することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0074】
〔実施態様5〕 前記像面から光路を辿って4番目のミラーは、最も有効径が大きいことを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0075】
〔実施態様6〕 主光線の各ミラーにおける光軸からの高さ方向の位置を、前記像面から光路を辿って4番目のミラーから前記像面から光路を辿って最初のミラーまでの変位方向と、前記物体面から前記像面から光路を辿って4番目のミラーまでの変位方向とを逆方向としたことを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0076】
〔実施態様7〕 前記反射型投影光学系を構成するミラーはすべてEUV光を反射する多層膜を有する非球面ミラーであることを特徴とする実施態様4記載の反射型投影光学系。
【0077】
〔実施態様8〕 前記物体面上に反射型マスクを配置することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0078】
〔実施態様9〕 前記物体面側が非テレセントリックであることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0079】
〔実施態様10〕 前記物体面から入射する光線は、前記物体面から光路を辿って最初のミラーに5度以上10度以下の角度で入射することを特徴とする実施態様9記載の反射型投影光学系。
【0080】
〔実施態様11〕 前記像面側の露光領域は、スリット幅0.8mm以上であることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0081】
〔実施形態12〕 前記像面側から前記物体側にかけて順に、前記2番目のミラー、前記4番目のミラー、前記3番目のミラー、前記最初のミラーの順に配置されており、前記反射型投影光学系が前記3番目のミラーと前記4番目のミラーとの間に中間像を形成することを特徴とする実施態様1乃至11のいずれか一項記載の反射型投影光学系。
【0082】
〔実施態様13〕 実施態様1乃至11のうちいずれか一項記載の反射型投影光学系と、
前記物体面上にマスクのパターンを位置付けるべく当該マスクを保持するマスクステージと、
前記像面上に感光層を位置付けるべく被処理体を保持するウェハステージと、
前記EUV光で前記マスクを照明する状態で前記マスクステージ及び前記ウェハステージを同期して走査する手段とを有することを特徴とする露光装置。
【0083】
〔実施形態14〕 光源からの光で前記パターンを照明する照明光学系と、前記パターンからの光を前記像面上に投影する、実施態様1乃至12のうちいずれか一項記載の反射型投影光学系とを有することを特徴とする露光装置。
【0084】
〔実施態様15〕 前記反射型投影光学系は、前記パターンからの反射光を前記像面上に投影することを特徴とする実施態様14記載の露光装置。
【0085】
〔実施態様16〕 実施態様13乃至15のうちいずれか一項記載の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、
露光された前記被処理体に所定のプロセスを行うステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系を実現可能な反射型投影光学系、露光装置及びデバイス製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一側面としての反射型投影光学系の例示的一形態及びその光路を示した概略断面図である。
【図2】図1に示す反射型投影光学系の別の形態を示した反射型投影光学系及びその光路を示す概略断面図である。
【図3】反射型投影光学系を有する露光装置の例示的一形態を示す概略構成図である。
【図4】デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示すステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
100、100A 反射型投影光学系
200 露光装置
210 照明装置
220 マスクステージ
230 ウェハステージ
240 制御部
M1 第1のミラー
M2 第2のミラー
M3 第3のミラー
M4 第4のミラー
M5 第5のミラー
M6 第6のミラー
MS 物体面(マスク)
W 像面(ウェハ)
MI 中間像
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、露光装置に係り、特に、紫外線や極端紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を利用して半導体ウェハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの被処理体を投影露光する反射型投影光学系、露光装置及びデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化及び薄型化の要請から、電子機器に搭載される半導体素子の微細化への要求はますます高くなっている。例えば、マスクパターンに対するデザインルールはライン・アンド・スペース(L&S)0.1μm以下の寸法像を広範囲に形成することが要求され、今後は更に80nm以下の回路パターン形成に移行することが予想される。L&Sは、露光においてラインとスペースの幅が等しい状態でウェハ上に投影された像であり、露光の解像度を示す尺度である。
【0003】
半導体製造用の代表的な露光装置である投影露光装置は、マスク又はレチクル(なお、本出願ではこれらの用語を交換可能に使用する。)上に描画されたパターンをウェハに投影露光する投影光学系を備えている。投影露光装置の解像度(正確に転写できる最小寸法)Rは、光源の波長λと投影光学系の開口数(NA)を用いて次式で与えられる。
【0004】
【数1】
【0005】
従って、波長を短くすればするほど、及び、NAを上げれば上げるほど、解像度は良くなる。近年では、解像度はより小さい値を要求されNAを上げるだけではこの要求を満足するには限界となっており、短波長化により解像度の向上を見込んでいる。現在では、露光光源は、KrFエキシマレーザー(波長約248nm)及びArFエキシマレーザー(波長約193nm)からF2レーザー(波長約157nm)に移行しており、更には、EUV(extreme ultraviolet)光の実用化も進んでいる。
【0006】
しかし、光の短波長化が進むと光が透過する硝材が限られてしまうために屈折素子、即ち、レンズを多用することは難しく、投影光学系に反射素子、即ち、ミラーを含めることが有利になる。更に、露光光がEUV光になると使用できる硝材は存在しなくなり、投影光学系にレンズを含めることは不可能となる。そこで、投影光学系をミラー(例えば、多層膜ミラー)のみで構成する反射型投影光学系が提案されている。
【0007】
反射型投影光学系においては、ミラーにおける反射率を高めるために反射した光が強め合うようミラーには多層膜が形成されているが、光学系全体での反射率を高めるためにできるだけ少ない枚数で構成することが望ましい。また、マスクとウェハの機械的な干渉を防止するため、マスクとウェハが瞳を介して反対側に位置するよう投影光学系を構成するミラーの枚数は偶数枚であることが望ましい。
【0008】
更に、EUV露光装置に要求される線幅(解像度)が従来の値より小さくなってきたためNAを上げる必要があるが(例えば、波長13.5nmにおいてNA0.2)、従来の3枚乃至4枚のミラーでは、波面収差を減らすことが困難である。そこで、波面収差補正の自由度を増やすためにもミラーを非球面にすると共にミラーの数を6枚程度にする必要が生じてきており(以下、本出願では、かかる光学系を6枚ミラー系と称する場合もある。)、この種の6枚ミラー系が数多く提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0009】
露光装置においては、物体面には、通常、パターンの原版であるマスクが配置される。かかるマスクは、交換したり、パターンを焼き付けるときにスキャンしたりするため、上述した6枚ミラー系を実際の露光装置に適用する際には、マスク付近にステージ機構を配置する必要があり、ある程度のゆとりが必要となる。
【0010】
更に、露光装置は、通常、クリーンルーム内に設置されるために施設の制約から露光装置全体の大きさが制限され、従って、光学系の全長も制約を受ける。また、EUV光による露光の際には、EUV光が空気中で吸収されてしまうため光路を真空にする必要がある。そのため、真空引きの効率の面からも光学系の大きさは制約を受けることになる。以上のことから、光学系の全長(物体面から像面までの距離)及び有効径を増大させずに、物体面と物体面に最も近いミラー(の反射面)の間隔にゆとりをもたせる必要がある。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−100694号公報
【特許文献2】
特開2000−235144号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1の反射型投影光学系によれば、NAが0.14と0.16の2つの6枚ミラー系の実施例が開示されているが、NAが0.14の第1実施例では、第4のミラーM4が平面鏡であるため実質は5枚ミラー系であり、NAを更に大きくすることは難しい。また、NAが0.16の第2実施例では、第4のミラーM4に球面鏡を用いて設計上の自由度を増やしてはいるが、物体面から像面までの距離が2m以上と大きくなっているので実現が困難であると共に、ミラーの最大有効径が450mm程度もあり、高NA化に伴って更に大きくなる。
【0013】
何れの実施例においても、中間像が第2のミラーM2と第3のミラーM3の間に形成され、中間像から像面までの間に4枚ものミラーを有している。そのため、高NA化によって光束の幅が大きくなると、特に、中間像から像面までの光束の広がりが大きくなり、ミラーを所望の光束以外の光線と分離して配置することが難しくなる。従って、第1実施例及び第2実施例ともNA0.16以上の高NA化に対応することができない。無理にミラーを配置しようとすると、最大有効径が大きくなるなど別の問題も発生してくる。
【0014】
更に、物体面と物体面に最も近いミラーM2の距離が20mm乃至30mmと非常に短い。例えば、図2に示されているように、第2のミラーM2とマスクRとの距離は非常に長くなっており、このことからも特許文献1に開示された2つの光学系を実際に露光装置に適用することは難しいことがわかる。
【0015】
一方、特許文献2の反射型投影光学系にも、NAが0.2、0.28及び0.30など高NAの6枚ミラー系の実施例が開示されている。しかし、同様に、物体面と物体面に最も近い第2のミラーM2の距離が80mm乃至85mm程度と短いために、物体面に配置されたマスクをスキャンするためのステージ機構を配置することが困難である。更に、何れの実施例においても、有効径が最も大きいミラーは第4のミラーM4であり、かかる直径がNA0.2で540mm以上と非常に大きい構成となっている。その中でも最も有効径が大きいものは、NA0.28で直径650mmを超えており、高NA化に対応してミラーの最大有効径も同時に大きくなっている。
【0016】
そこで、本発明は、EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系を実現可能な反射型投影光学系、露光装置及びデバイス製造方法を提供することを例示的目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての反射型投影光学系は、物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、前記像面から光路を辿って3番目のミラー及び前記像面から光路を辿って4番目のミラーが、前記像面から光路を辿って最初のミラーと前記像面から光路を辿って2番目のミラーの間に配置されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の他の目的及び更なる特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての反射型投影光学系及び露光装置について説明する。なお、各図において同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。ここで、図1は、本発明の一側面としての反射型投影光学系100の例示的一形態及びその光路を示した概略断面図である。
【0020】
図1を参照するに、本発明の反射型投影光学系100は、物体面MS(例えば、マスク面)上のパターンを像面W(例えば、基板などの被処理体面)上に縮小投影する反射型投影光学系であって、特に、EUV光(例えば、波長13.4nm乃至13.5nm)に好適な光学系である。
【0021】
反射型投影光学系100は、6枚の反射鏡を有し、基本的に、物体面MSから光を反射する順番に、第1のミラー(凹面鏡)M1と、第2のミラー(凸面鏡)M2と、第3のミラー(凹面鏡)M3と、第4のミラー(凸面鏡)M4と、第5のミラー(凸面鏡)M5と、第6のミラー(凹面鏡)M6とを有し、第1のミラーM1乃至第3のミラーM3の3枚のミラーによって第4のミラーM4近傍に中間像MIを結像させ、かかる中間像MIを第5のミラーM5及び第6のミラーM6の2枚のミラーで像面W上に再結像するように構成されている。
【0022】
本発明の反射型投影光学系100を構成する6枚のミラーのうち、最も有効径の大きいものは第3のミラーM3(像面Wから光路を逆に辿って4番目の反射面)であるが、その最大有効径が全体的に小さいという特徴を有し、更に、第3のミラーM3と第4のミラーM4(像面Wから光路を逆に辿って3番目の反射面)が、第5のミラーM5(像面Wから光路を逆に辿って2番目の反射面)と第6のミラーM6(像面Wから光路を逆に辿って最初の反射面)との間に配置されているという特徴を有する。
【0023】
これにより、第3のミラーM3の有効径を抑え、第4のミラーM4での光線とミラーとを分離することができる。第3のミラーM3の有効径は、第2のミラーM2から離れるほど大きくなり、換言すれば、像面Wから離れるほど小さくなる。しかし、第3のミラーM3をより物体面MS側に配置すると、第4のミラーM4で光線とミラーが干渉してしまう。従って、第3のミラーM3は、第5のミラーM5と第6のミラーM6との間に配置するのが好ましい。
【0024】
また、第6のミラーM6に入射する光の入射角度を抑えるためには、第6のミラーM6と第5のミラーM5との間隔を離す必要があり、第6のミラーM6が像面Wから離れているほど光学性能を確保しやすい。しかし、第6のミラーM6の有効径は大きくなり、第4のミラーM4での光線とミラーの干渉を防ぐためには第4のミラーM4を第6のミラーM6より像面W側に配置しなければならない。従って、第3のミラーM3と第4のミラーM4は、第5のミラーM5と第6のミラーM6との間に配置することになる。このことは、反射型投影光学系100を構成するミラーの枚数が6枚に限らず、6枚以上でも成り立つ。像面Wから光路を逆に辿って4枚のミラーが上述した関係を満たすことにより最大有効径を小さくすることが可能となる。
【0025】
反射型投影光学系100は、物体面MSから第1のミラーM1へ入射する光線が5度以上の角度を有する非テレセントリックであり、且つ、像面W側の射出光線がテレセントリックであることも特徴となっている。例えば、照明光学系によって物体面MSに配置されたマスクを照明し、その像を像面Wに配置されたウェハ上に結像するためには、物体面MS側はある入射角を有することが必須となる。一方、像面W側は、例えば、像面Wに配置されるウェハが光軸方向に移動しても倍率の変化を少なくするために、テレセントリックであることが望ましい。
【0026】
反射型投影光学系100は、基本的には、1本の光軸の回りに軸対称な共軸光学系であり、光軸を中心としたリング状の像面で収差が補正されるため好ましいという長所を有している。但し、収差補正上又は収差調整上、反射型投影光学系100を構成する6枚のミラーが完全な共軸系となるように配置される必要はなく、若干の偏心をさせて収差を改善したり、配置上の自由度を向上させたりしてもよい。
【0027】
反射型投影光学系は、EUV光を用いる光学系では必須と考えられており、更なる高NA化が求められるにつれて、像面W側で光線のケラレをできるだけ排除する必要がある。本実施形態では、中間像MIを第3のミラーM3から第5のミラーM5の間で形成し、光線とミラーとの干渉を防いでいる。中間像MIは、第4のミラーM4近傍に形成した方が光線とミラーとの干渉を排除しやすいために望ましい。
【0028】
また、反射型投影光学系100において、第1のミラーM1は、物体面MSから射出された主光線を反射し、光軸方向に近づけるために凹面鏡であることが好ましい。第3のミラーM3は、第2のミラーM2で反射した光線を光軸方向に向ける必要があるために凹面鏡であることが好ましい。第2のミラーM2及び第4のミラーM4は、比較的パワー配置に自由度があるが、第1のミラーM1乃至第6のミラーM6の曲率半径をr1乃至r6とした場合、以下の数式2及び数式3で示すようなペッツバール項の和がゼロ近傍、好ましくはゼロになることが必要である。かかるペッツバール項の和を考慮すると、第3のミラーM3が凹面鏡のため第4のミラーM4は凸面鏡とすることが好ましく、第2のミラーM2は自由なパワー配置を取れることになる。
【0029】
【数2】
【0030】
【数3】
【0031】
反射型投影光学系100は、6枚のミラーで構成されているが、少なくとも1枚以上が非球面であればよく、かかる非球面の形状は、数式4に示す一般的な非球面の式で表される。但し、ミラーを非球面で構成することは収差を補正する上で好ましいという長所を有しており、できるだけ多くのミラー(好ましくは、6枚)を非球面で構成するとよい。また、本発明の反射型投影光学系100は、6枚ミラー系に限定されず、高性能化及び高NA化のために6枚以上のミラーで構成されてもよい。
【0032】
【数4】
【0033】
数式4において、Zは光軸方向の座標、cは曲率(曲率半径rの逆数)、hは光軸からの高さ、hは円錐係数、A、B、C、D、E、F、G、H、J、・・・は各々、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次、18次、20次、・・・の非球面係数である。
【0034】
反射型投影光学系100は、図1に示すように、開口絞りが第2のミラーM2上に配置されているが、第1のミラーM1上に配置してもよいし、第1のミラーM1から第2のミラーM2の間に配置してもよい。開口絞りの径は、固定であっても可変であってもよい。可変の場合には、開口絞りの径を可変とすることで、深い焦点深度を得られるなどの長所が得られ、これにより像を安定させることができる。
【0035】
第1のミラーM1乃至第6のミラーM6の表面には、EUV光を反射させる多層膜が施されており、かかる多層膜により光を強め合う作用を奏する。波長20nm以下のEUV光を反射することが可能な多層膜は、例えば、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜や、Mo層とベリリウム(Be)層を交互に積層したMo/Be多層膜などが考えられ、使用波長によって最適な材料を選択する。但し、本発明の多層膜は、上記した材料に限定されず、これと同様の作用及び効果を有する多層膜を適用することができる。
【0036】
ここで、図1を参照して、本発明の反射型投影光学系100を用いて照明実験した結果について説明する。図1において、MSは物体面位置に置かれた反射型マスク、Wは像面位置に置かれたウェハを示している。
【0037】
反射型投影光学系100において、波長13.4nm付近のEUV光を放射する図示しない照明系によりマスクMSが照明され、マスクMSからの反射EUV光が、第1のミラー(凹面鏡)M1、第2のミラーM2、第3のミラー(凹面鏡)M3、第4のミラー(凸面鏡)M4、第5のミラー(凸面鏡)M5、第6のミラー(凹面鏡)M6の順に反射し、像面位置に置かれたウェハW上にマスクパターンの縮小像を形成している。
【0038】
なお、反射型投影光学系100は、第1のミラーM1から第3のミラーM3までの3枚のミラーで中間像MIが結像され、かかる中間像MIを残りのミラーでウェハW上に再結像するように構成されている。本実施形態では、第2のミラーM2を凸面鏡としているため、中間像MIは第4のミラーM4近傍に形成される。
【0039】
図1に示す反射型投影光学系100において、像側の開口数NA=0.26、縮小倍率=1/4倍、物体高=122mm乃至126mmの4mm幅の円弧状スリットである。ここで、図1の反射型投影光学系100の数値(曲率半径、面間隔、非球面係数など)を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
また、図1に示す反射型投影光学系100の製造誤差を含まない収差は、各画角で表2に示すようになる。
【0042】
【表2】
【0043】
表2を参照するに、|歪曲最大値|=2.87nmである。
【0044】
また、物体面MSと反射面の最小距離(物体面MSと第2のミラーM2との距離)は、419.4mmとなっており、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を回避するために十分な距離となっている。最大有効径の第3のミラーM3は、496.4mmと比較的小さくなっている。また、物体面MSから第1のミラーM1への主光線の傾きは、7度近傍となっており、照明系で物体面位置に置かれたマスクMSを照明し、像面位置に置かれたウェハW上に結像するために十分な構成となっている。
【0045】
次に、図2を参照して、本発明の反射型投影光学系100Aを用いて照明実験した結果について説明する。図2は、図1に示す反射型投影光学系100の別の形態を示した反射型投影光学系100A及びその光路を示す概略断面図である。図2において、MSは物体面位置に置かれた反射型マスク、Wは像面位置に置かれたウェハを示している。
【0046】
反射型投影光学系100Aにおいて、波長13.4nm付近のEUV光を放射する図示しない照明系によりマスクMSが照明され、マスクMSからの反射EUV光が、第1のミラー(凹面鏡)M1、第2のミラーM2、第3のミラー(凹面鏡)M3、第4のミラー(凸面鏡)M4、第5のミラー(凸面鏡)M5、第6のミラー(凹面鏡)M6の順に反射し、像面位置に置かれたウェハW上にマスクパターンの縮小像を形成している。
【0047】
なお、反射型投影光学系100Aは、第1のミラーM1から第3のミラーM33枚のミラーで中間像MIが結像され、かかる中間像MIを残りのミラーでウェハW上に再結像するように構成されている。本実施形態では、第2のミラーM2を凹面鏡としているため、中間像MIは第3のミラーM3と第4のミラーM4との間に形成される。
【0048】
図2に示す反射型投影光学系100Aにおいて、像側の開口数NA=0.2、縮小倍率=1/4倍、物体高=118mm乃至122mmの4mm幅の円弧状スリットである。ここで、図2の反射型投影光学系100Aの数値(曲率半径、面間隔、非球面係数など)を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
また、図2に示す反射型投影光学系100Aの製造誤差を含まない収差は、各画角で表4に示すようになる。
【0051】
【表4】
【0052】
表4を参照するに、|歪曲最大値|=17.8nmである。
【0053】
また、物体面MSと反射面の最小距離(物体面MSと第2のミラーM2との距離)は、294.258mmとなっており、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を回避するために十分な距離となっている。最大有効径の第3のミラーM3は、413.12mmと小さくなっている。また、物体面MSから第1のミラーM1への主光線の傾きは、7.6度近傍となっており、照明系で物体面位置に置かれたマスクMSを照明し、像面位置に置かれたウェハW上に結像するために十分な構成となっている。
【0054】
以上のように、本発明の投影光学系100及び100Aは、EUVの波長でNAを0.2よりも大きく(好ましくは、0.25以上)高NAながら、ミラーの最大有効径及び光学系の全長を小さくすることができる。また、物体面MSとミラーとの最小距離も十分に確保することが可能であるので、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を防止することができる。また、物体面MS側は非テレセントリックであって、物体面MSに置かれたマスクを照明し、像面Wに結像することが可能であり良好な結像性能を得ることができる。
【0055】
以下、図3を参照して、本発明の反射型投影光学系100を適用した露光装置200について説明する。図3は、反射型投影光学系100を有する露光装置200の例示的一形態を示す概略構成図である。本発明の露光装置200は、露光用の照明光としてEUV光(例えば、波長13.4nm)を用いて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行う投影露光装置である。
【0056】
図3を参照するに、露光装置200は、照明装置210と、マスクMSと、マスクMSを載置するマスクステージ220と、反射型投影光学系100と、被処理体Wと、被処理体Wを載置するウェハステージ230と、制御部240とを有する。制御部240は、照明装置210、マスクステージ220及びウェハステージ230に接続可能に接続されている。
【0057】
また、図3には図示しないが、EUV光は大気に対する透過率が低いため、少なくともEUV光が通る光路は真空雰囲気であることが好ましい。なお、図3において、X、Y、Zは3次元空間を示し、XY平面の法線方向をZ方向としている。
【0058】
照明装置210は、反射型投影光学系100の円弧状の視野に対応する円弧状のEUV光(例えば、波長13.4nm)によりマスクMSを照明する照明装置であって、図示しない光源と、照明光学系より構成される。なお、照明装置210を構成する光源及び照明光学系は当業界で周知のいかなる技術をも適応可能であり、本明細書での詳細な説明は省略する。例えば、照明光学系は、集光光学系、オプティカルインテグレーター、開口絞り、ブレード等を含み、当業者が想達し得るいかなる技術も適用可能である。
【0059】
マスクMSは、反射型又は透過型マスクで、その上には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成され、マスクステージ220に支持及び駆動される。マスクMSから発せられた回折光は、反射型投影光学系100で反射されて被処理体W上に投影される。マスクMSと被処理体Wとは、光学的に共役の関係に配置される。露光装置200は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、マスクMSと被処理体Wを走査することによりマスクMSのパターンを被処理体W上に縮小投影する。
【0060】
マスクステージ220は、マスクMSを支持して図示しない移動機構に接続されている。マスクステージ220は、当業界周知のいかなる構成をも適用することができる。例えば、図示しないリニアモーターなどで構成され、制御部240に制御されながら少なくともY方向にマスクステージ220を駆動することでマスクMSを移動することができる。露光装置200は、マスクMSと被処理体Wを制御部240によって同期した状態で走査する。
【0061】
反射型投影光学系100は、マスクMS面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型光学系である。反射型投影光学系100は、上述した通りのいかなる形態をも適用可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。なお、図4では、図1に示す反射型投影光学系100を使用するが、かかる形態は例示的であり本発明はこれに限定されない。例えば、図2に示す反射型投影光学系100Aを使用することもできる。
【0062】
被処理体Wは、本実施形態ではウェハであるが、液晶基板その他の被処理体を広く含む。被処理体Wには、フォトレジストが塗布されている。
【0063】
ウェハステージ230は、被処理体Wを支持する。ウェハステージ230は、例えば、リニアモーターを利用してXYZ方向に被処理体Wを移動する。また、マスクステージ220とウェハステージ230の位置は、例えば、レーザー干渉計などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
【0064】
制御部240は、図示しないCPU、メモリを有し、露光装置200の動作を制御する。制御部240は、照明装置210、マスクステージ220(即ち、マスクステージ220の図示しない移動機構)、ウェハステージ230(即ち、ウェハステージ230の図示しない移動機構)と電気的に接続されている。CPUは、MPUなど名前の如何を問わずいかなるプロセッサも含み、各部の動作を制御する。メモリは、ROM及びRAMより構成され、露光装置200を動作するファームウェアを格納する。
【0065】
露光において、照明装置210から射出されたEUV光はマスクMSを照明し、マスクMS面上のパターンを被処理体W面上に結像する。本実施形態において、像面は円弧状(リング状)の像面となり、マスクMSと被処理体Wを縮小倍率比の速度比でスキャンすることにより、マスクMSの全面を露光する。
【0066】
次に、図4及び図5を参照して、露光装置200を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図4は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いてリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0067】
図5は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置200によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重の回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置200を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明は、ArFエキシマレーザーやF2レーザーなどのEUV光以外の波長200nm以下の紫外線用の反射型投影光学系として用いることもでき、大画面をスキャン露光する露光装置にもスキャンしない露光をする露光装置にも適用可能である。
【0069】
本出願は、更に以下の事項を開示する。
【0070】
〔実施態様1〕 物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、
前記像面から光路を辿って3番目のミラー及び前記像面から光路を辿って4番目のミラーが、前記像面から光路を辿って最初のミラーと前記像面から光路を辿って2番目のミラーの間に配置されたことを特徴とする反射型投影光学系。
【0071】
〔実施態様2〕 前記反射型投影光学系は、6枚以上のミラーを有することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0072】
〔実施態様3〕 前記像面から光路を辿って4番目のミラーから前記像面から光路を辿って2番目のミラーの光路の間に中間像を形成することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0073】
〔実施態様4〕 前記像面から光路を辿って3番目のミラーで中間像を形成することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0074】
〔実施態様5〕 前記像面から光路を辿って4番目のミラーは、最も有効径が大きいことを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0075】
〔実施態様6〕 主光線の各ミラーにおける光軸からの高さ方向の位置を、前記像面から光路を辿って4番目のミラーから前記像面から光路を辿って最初のミラーまでの変位方向と、前記物体面から前記像面から光路を辿って4番目のミラーまでの変位方向とを逆方向としたことを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0076】
〔実施態様7〕 前記反射型投影光学系を構成するミラーはすべてEUV光を反射する多層膜を有する非球面ミラーであることを特徴とする実施態様4記載の反射型投影光学系。
【0077】
〔実施態様8〕 前記物体面上に反射型マスクを配置することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0078】
〔実施態様9〕 前記物体面側が非テレセントリックであることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0079】
〔実施態様10〕 前記物体面から入射する光線は、前記物体面から光路を辿って最初のミラーに5度以上10度以下の角度で入射することを特徴とする実施態様9記載の反射型投影光学系。
【0080】
〔実施態様11〕 前記像面側の露光領域は、スリット幅0.8mm以上であることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0081】
〔実施形態12〕 前記像面側から前記物体側にかけて順に、前記2番目のミラー、前記4番目のミラー、前記3番目のミラー、前記最初のミラーの順に配置されており、前記反射型投影光学系が前記3番目のミラーと前記4番目のミラーとの間に中間像を形成することを特徴とする実施態様1乃至11のいずれか一項記載の反射型投影光学系。
【0082】
〔実施態様13〕 実施態様1乃至11のうちいずれか一項記載の反射型投影光学系と、
前記物体面上にマスクのパターンを位置付けるべく当該マスクを保持するマスクステージと、
前記像面上に感光層を位置付けるべく被処理体を保持するウェハステージと、
前記EUV光で前記マスクを照明する状態で前記マスクステージ及び前記ウェハステージを同期して走査する手段とを有することを特徴とする露光装置。
【0083】
〔実施形態14〕 光源からの光で前記パターンを照明する照明光学系と、前記パターンからの光を前記像面上に投影する、実施態様1乃至12のうちいずれか一項記載の反射型投影光学系とを有することを特徴とする露光装置。
【0084】
〔実施態様15〕 前記反射型投影光学系は、前記パターンからの反射光を前記像面上に投影することを特徴とする実施態様14記載の露光装置。
【0085】
〔実施態様16〕 実施態様13乃至15のうちいずれか一項記載の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、
露光された前記被処理体に所定のプロセスを行うステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系を実現可能な反射型投影光学系、露光装置及びデバイス製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一側面としての反射型投影光学系の例示的一形態及びその光路を示した概略断面図である。
【図2】図1に示す反射型投影光学系の別の形態を示した反射型投影光学系及びその光路を示す概略断面図である。
【図3】反射型投影光学系を有する露光装置の例示的一形態を示す概略構成図である。
【図4】デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示すステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
100、100A 反射型投影光学系
200 露光装置
210 照明装置
220 マスクステージ
230 ウェハステージ
240 制御部
M1 第1のミラー
M2 第2のミラー
M3 第3のミラー
M4 第4のミラー
M5 第5のミラー
M6 第6のミラー
MS 物体面(マスク)
W 像面(ウェハ)
MI 中間像
Claims (1)
- 物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、
前記像面から光路を辿って3番目のミラー及び前記像面から光路を辿って4番目のミラーが、前記像面から光路を辿って最初のミラーと前記像面から光路を辿って2番目のミラーの間に配置されたことを特徴とする反射型投影光学系。
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