本発明は、一般には、露光装置に係り、特に、紫外線や極紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を利用して半導体ウェハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの被処理体を投影露光する反射型投影光学系、露光装置及びデバイス製造方法に関する。
近年の電子機器の小型化及び薄型化の要請から、電子機器に搭載される半導体素子の微細化への要求はますます高くなっている。例えば、マスクパターンに対するデザインルールはライン・アンド・スペース(L&S)0.1μm以下の寸法像を広範囲に形成することが要求され、今後は更に80nm以下の回路パターン形成に移行することが予想される。L&Sは、露光においてラインとスペースの幅が等しい状態でウェハ上に投影された像であり、露光の解像度を示す尺度である。
半導体製造用の代表的な露光装置である投影露光装置は、マスク又はレチクル(なお、本出願ではこれらの用語を交換可能に使用する。)上に描画されたパターンをウェハに投影露光する投影光学系を備えている。投影露光装置の解像度(正確に転写できる最小寸法)Rは、光源の波長λと投影光学系の開口数(NA)を用いて次式で与えられる。
R=k1×λ/NA (数式1)
したがって、波長を短くすればするほど、及び、NAを上げれば上げるほど、解像度は良くなる。近年では、解像度はより小さい値を要求されNAを上げるだけではこの要求を満足するには限界となっており、短波長化により解像度の向上を見込んでいる。現在では、露光光源は、KrFエキシマレーザー(波長約248nm)及びArFエキシマレーザー(波長約193nm)からF2レーザー(波長約157nm)に移行しており、更には、EUV(extreme ultraviolet)光の実用化も進んでいる。
しかし、光の短波長化が進むと光が透過する硝材が限られてしまうために屈折素子、即ち、レンズを多用することは難しく、投影光学系に反射素子、即ち、ミラーを含めることが有利になる。更に、露光光がEUV光になると使用できる硝材は存在しなくなり、投影光学系にレンズを含めることは不可能となる。そこで、投影光学系をミラー(例えば、多層膜ミラー)のみで構成する反射型投影光学系が提案されている。
反射型投影光学系においては、ミラーにおける反射率を高めるために反射した光が強め合うようミラーには多層膜が形成されているが、光学系全体での反射率を高めるためにできるだけ少ない枚数で構成することが望ましい。また、マスクとウェハの機械的な干渉を防止するため、マスクとウェハが瞳を介して反対側に位置するよう投影光学系を構成するミラーの枚数は偶数枚であることが望ましい。更に、EUV露光装置に要求される線幅(解像度)が従来の値より小さくなってきたためNAをあげる必要があるが(例えば、波長13.5nmにおいてNA0.2)、従来の3、4枚のミラーでは、波面収差を減らすことが困難である。そこで、波面収差補正の自由度を増やすためにもミラーの数を6枚程度にする必要が生じてきた(以下、本出願では、かかる光学系を6枚ミラー系と表現する場合もある)。この種の6枚ミラー系は、米国特許6033079公報、WO02/48796等に開示されている。
米国特許6033079号公報には実施例として2つのEUV光用の6枚の反射鏡から成る典型的な投影光学系が示されている。物体面からの入射光を受け、凹面形状の第1反射面、凹面もしくは凸面形状の第2反射面、凸面形状の第3反射面、凹面形状の第4反射面の4枚の反射鏡で中間像を形成し、さらに凸面形状の第5反射面、凹面形状の第6反射面を介して像面上に再結像させている。2つの実施例はいずれも第2反射面上に開口絞りを配置している。
また国際公開特許WO02/48796号公報には実施例として3つのEUV光用の6枚の反射鏡からなる典型的な投影光学系が示されている。物体面からの入射光を受け、凹面形状の第1反射面と凹面形状の第2反射面とで中間像を形成し、さらに凸面形状の第3反射面、凹面形状の第4反射面、凸面形状の第5反射面、凹面形状の第6反射面を介して像面上に再結像させている。3つの実施例はいずれも開口絞りを第1反射面と第2反射面の光路の間に配置している。
また、その他に、同様の光学系を開示しているものとして、特開2003−15040号公報や、米国公開公報2003/0076483号公報や、特開2001−185480号公報や、米国特許6172825号公報や、特開2002−6221号公報や、国際公開特許WO02/48796号公報等がある。
米国特許6033079号公報
国際公開特許WO02/48796号公報
特開2003−15040号公報
米国公開公報2003/0076483号公報
特開2001−185480号公報
米国特許6172825号公報
特開2002−6221号公報
国際公開特許WO02/48796号公報
しかしながら、前記米国特許6033079号公報に記載されている構成では、開口絞りが第2反射面と一致している為にフロントフォーカス(物面と物面の最近接反射面の面頂点との距離)が小さくなりレチクルステージなどの部材の配置が困難になる事、第4反射面の有効径が大きくなってしまい加工計測が困難となる事等の問題が生じてしまう。それは次の理由からである。EUV投影系では反射率を高める為にミラー表面に多層膜を施している。この多層膜の特性から、高い反射率を得る為には光線の入射角度(光線の入射点における反射面の法線と光線との成す角)を小さくした方が良い。また、EUV投影系ではNAを大きくし解像力を高める為に第6反射面の有効径が大きくなっており、そこでのケラレを防ぐ為に光軸から離れた場所に第4反射面を配置している。ところで前記米国特許6033079の実施例では第2反射面と開口絞りとが一致している為に、開口絞りから光軸から離れた第4反射面へと第3反射面のみを介して光束を導く必要がある。前述のように光線入射角を抑えている為、第3反射面と第4反射面との距離を大きくしなければ光軸から離れた第4反射面へと光束を導けず、第3反射面と第4反射面との距離が増大する。その為、物面と物面の最近接反射面である第4反射面との距離が短くなり、それゆえフロントフォーカスが小さくなる事、第4反射面上での光束の広がりが大きくなりすぎ、それゆえ最大有効径が700mmと非常に大きくなってしまう等の問題が生じる。
またWO02/48796号公報に記載されている構成では、開口絞りが第1反射面と第2反射面との間に配置されており最大有効径の小さい系が構成できている。しかしながら第1反射面、第2反射面が共に凹面形状であり、この2つの反射面で一気に光束を集光させる傾向がある。その為物面に近い側に中間像が形成され、それゆえ第3反射面上での光束の広がりが小さくなってしまう。このような場合、加工過程で形成されるミラー表面のうねりや、ミラー材質中の気泡などが直接結像特性の劣化につながる事、エネルギー集中によって反射面の温度が上昇して面形状が変形する事、ミラー表面のゴミをウエハ上に転写してしまう事等の問題が生じる。
さらにWO02/48796の実施例では、開口絞りが第1反射面と第2反射面との間に有ると共に第2反射面が凹面形状である。この場合、第2反射面から第3反射面へと入射する光束の主光線と光軸とのなす角は小さくなる傾向にある。この場合、第3反射面が光軸のごく近くに配置されやすく、光軸から離れた第4反射面へと光束を導きにくくなる傾向がある。このことを防ぐ為に第1反射面と第2反射面との距離が大きくなってしまうと考えられる。それゆえフロントフォーカス(この場合、物面と物面の最近接反射面である第2反射面の面頂点との距離)が小さくなり、部材の配置が困難になってしまっている。
本発明の投影光学系は、上記問題を解決する為、物体面上のパターンからの光を、凹面形状の第1反射面、凸面形状の第2反射面、凸面形状の第3反射面、凹面形状の第4反射面、凸面形状の第5反射面、凹面形状の第6反射面の順に反射することにより像面上に前記パターンを縮小投影する投影光学系であって、前記第1反射面と前記第2反射面との間の光路に配置されている開口絞りを有し、前記第4反射面と前記第5反射面との間の光路に前記パターンの中間像を形成し、前記6面の反射面は、前記6面の反射面の曲率中心が光軸上に並ぶように、前記物体面と前記像面との間に配置されており、前記6面の反射面の各々の反射面に関して、前記各々の反射面の曲率中心を中心とし前記各々の反射面の曲率半径を半径とする球面と前記光軸との交点のうち、前記各々の反射面における前記光の反射位置に最も近い交点を面頂点とするとき、前記6面の反射面の面頂点は、前記光軸に沿って前記物体面側から前記像面側に向かって、前記第4反射面、前記第2反射面、前記第3反射面、前記第1反射面、前記第6反射面、前記第5反射面の順に並んでおり、前記物体面と前記物体面に最も近い面頂点との間隔L1と、前記物体面に最も近い面頂点と前記第1反射面の面頂点との間隔L2とが下記の条件を満足することを特徴としている。
本発明によれば、光線入射角度を抑え多層膜による反射率低下を抑えながら、ミラー最大有効径が比較的小さく加工計測が容易な、ミラー上で光束が適度な広がりを有するために結像特性が劣化しにくい、フロントフォーカスが十分に大きく部材の配置が容易な優れた反射型投影光学系が構成可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての反射縮小投影光学系の例について説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定するものではなく、本発明の目的が達成される範囲において、各構成要素が代替的に置換されてもよい。
ここで図1〜図3は、本発明の反射型縮小投影光学系とその光路を示す断面図を示したものである。本発明の反射縮小投影光学系は、物体面MS(例えば、マスク面)上のパターンを像面W(例えば、基板などの被処理体面)上に縮小投影する反射型投影光学系であって、特に、EUV光(波長は10〜15nm、より好ましくは13.4〜13.5nm)に好適な光学系である。
この反射縮小投影光学系は、6枚の反射鏡を有し、基本的に物体面MS側から光を反射する順番に、第1の反射鏡M1(凹面)と、第2の反射鏡M2(凸面)と、第3の反射鏡M3(凸面)と、第4の反射鏡M4(凹面)と、第5の反射鏡M5(凸面)と、第6の反射鏡M6(凹面)とを有しており、第1反射面と第2反射面との光路の間に開口絞りを配置するように構成されている。
ここで、レチクルのパターン面(物体面)から像面に至るある光線の光路において、前記第2反射面から前記第3反射面に入射する光路と、前記第4反射面から前記第5反射面に入射する光路とが交差しないように構成しており、有効径が大きな面が2面以上できてしまう事を回避し、光路が複雑になる事により部材の配置が困難になる事を防いでいる。
また、第2反射面の曲率半径の絶対値が1600mm以下となるように構成しており、加工・計測が容易な系が構成できている。
さらに中間像を第4反射面と第5反射面との間に形成している。この中間像は、6枚の反射面のいずれとも一致しない位置に形成されている。前記物体面上のパターンの中間像が前記6面の反射面のうち前記光の光路において隣り合う2面の反射面の間に形成されており、前記2面の反射面間の光路長をLimとするとき、前記中間像が前記2面の反射面のいずれに対してもLim×0.35以上離れている。ここで、前記中間像が前記2面の反射面のいずれに対してもLim×0.4以上離れるように構成すると尚良い。このように構成することによって、反射面上での光束の広がりが適度に大きくなり、反射面上のゴミやうねり、ミラー材質中の泡などによる結像特性の劣化を抑えている。
ここで、第1反射面、第2反射面、第3反射面、第4反射面、第5反射面、第6反射面それぞれの曲率中心が実質的に所定の光軸上に並ぶように、6面の反射面を配置している。ここで言う曲率中心とは、反射面が実質的に球面の場合はその球面の曲率中心を意味するが、反射面が実質的に非球面である場合は、その非球面の非球面成分を除去して求められる球面の曲率中心を意味するものとする。換言すると、反射面の回転中心の軸(反射面が球面の場合はこの球面の中心を通るすべての直線が回転中心の軸となり、その軸のいずれを意味しても良い。一方反射面が非球面の場合は、反射面を含む回転対称な非球面の回転中心の軸のことを意味する。)近傍の曲率に基づいた曲率中心を意味する。
また、物体面MSから第1ミラー(M1)へ入射する光線は非テレセントリックであって、かつ像側の射出光線はテレセントリックであることも特徴となっている。別途具備されている照明光学系によって物体面MSに配置されたレチクルを照明し、その像を像面Wであるウェハ上に結像するため、物体側はある入射角を持っていることが必須となる。一方像面側は、像面に配置されるウェハWが光軸方向に移動しても倍率の変化を少なくするために、テレセントリックにすることが望ましいのである。
また、本発明の反射型縮小投影光学系は、基本的には1本の光軸の回りに軸対称な共軸光学系となっていることで、光軸を中心とした狭いリング状の領域でのみ収差を補正すればよいという特長を有している。但し、収差補正上又は収差調整上、この反射型縮小投影光学系を構成する6枚のミラーが完全な共軸系になるように配置される必要はなく、若干の偏芯をさせて収差や配置上の自由度を向上させる手法も行われる。
NAを大きく、バックフォーカスを保って結像するためには、第5ミラー(M5)を凸面鏡、第6ミラー(M6)を凹面鏡にすることが好ましい。
また、物面から像面の間にすべての反射面が含まれており、レチクルステージ、及びウェハステージの配置が容易である等の特長も有する。
一般に径の大きな第6反射面でのケラレを防ぐ為に、第4反射面は光軸から離れた場所に配置しなければならない。今回提案の系では、開口絞りを第1反射面と第2反射面との間に配置しており、さらに第2反射面を凸面形状にしている。その構成ゆえ、光束を開口絞りから第4反射面へと導く際、第2反射面と第3反射面の計2つの反射面を用いて段階的に第4反射面へ導くことが可能となり、第1反射面と第2反射面との距離、第3反射面と第4反射面との距離を極端に大きくせずともよい構成となっている。このことにより、入射角を比較的小さく抑えた状態でも、フロントフォーカス(今回は物面から第4反射面の距離)を適度に大きく出来る為に部材の配置が容易であり、さらに第4反射面上での光束の広がりが適度である為に最大有効径が比較的小さく加工計測が比較的容易な系が構成できている。
さらに、入射角度を比較的小さくし、比較的小さな最大有効系であり、十分なフロントフォーカスを有する系を構成する為には、物面から物面の最近接反射面との距離(今回は物面から第4反射面までの距離)をL1、物面の最近接反射面から第1反射面との距離をL2とする時、L1とL2が次の式を満たすようにすることが好ましい。
0.75<L1/L2<1.25
さらに、
0.9<L1/L2<1.1
を満たすようにすればより好ましい。
また物面付近にはレチクルステージなど多数の部材が配置される為に、L1が250mm以上、好ましくは310mm以上を満たすように十分大きな値となることが好ましい。
また、物面の最近接反射面となる第2反射面と第4反射面との距離が小さくなりやすい。ミラーの厚さ、保持機構、冷却機構などの配置を考慮すると、第2反射面の面頂点と第4反射面の面頂点との光軸上での距離が10mm以上、好ましくは15mm以上であることが望ましい。
また、レチクルへの斜め入射の影響によって結像特性の劣化が生じる問題があり、この問題を回避する為には物体側テレセン度を小さくする必要がある。この場合、第2反射面と開口絞り面が一致していたのでは、物面から第1反射面へと入射する光束が第2反射面でケラレやすい。今回提案の系では絞りを第1反射面と第2反射面との間に配置している為に上記の問題が起こりにくい構成となっている。
また一般に反射面上での光束の広がりが小さい場合、ミラー加工時に生じる表面のうねりや、ミラー材質中の気泡が結像特性の劣化に直接影響してしまう事や、エネルギー集中によるミラーの変形やゴミを転写してしまう事などの問題が生じる。これらの問題の解決の為に、物体面上の円弧形状の照明領域の中心(重心であっても良いし、もしくは円弧形状の円周方向に関する中心線上の中心点であっても良い。)と光軸を含む平面と照明領域との交線の中心から発する光束が第4反射面に入射する光入射領域の、光軸からの距離の最大値と最小値との差が30mm以上であるように構成している。さらに40mm以上でるとより好ましい。(ただし、極端に大きい場合には加工計測が困難となる。)今回提案の系では、上述のように第3反射面と第4反射面との距離を比較的小さくしており第4反射面上での光束の広がりが小さくなる傾向にあるが、第2反射面と第3反射面とを共に凸面とすることにより、第4反射面上での光束の広がりを適度なものと出来ている。
また一般に有効径の大きな第6反射面はミラー厚が大きくなる為、第6反射面と第6反射面の最近接反射面との光軸上での面頂点の間隔が105mm以上、好ましくは110mm以上である事が望まれる。今回の系は上記条件を満足する値となっており、より構成が容易な系と成っている。
各ミラーの曲率半径をr1〜r6とした場合、下記の数式2、数式3で示したようなペッツバール項の和がゼロかほぼゼロになることが必要である。
・・・(数式2)
・・・(数式3)
また、本発明である反射型縮小投影光学系は、6枚のミラーで構成されているが、少なくとも1枚以上が非球面であれば良く、その形状は下記の数式3に示した一般的な式で表される。但し収差補正の観点から考えると、出来るだけ非球面の枚数が多い方がよく、6枚すべてが非球面であれば好ましい。
・・・(数式4)
数式4において、Zは光軸方向の座標、cは曲率(曲率半径rの逆数)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A、B、C、D、E、F、G、H、J、・・・は各々、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次、18次、20次、・・・の非球面係数である。
さらに、各々のミラーにはEUV光を反射させる多層膜が施されており、これによって光を強め合う作用を利用する。20nm以下のEUV光を反射するために可能な多層膜は、例えばモリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に積層したMo/Si多層膜や、モリブデン(Mo)とベリリウム(Be)を交互に積層したMo/Be多層膜などがあり、使用波長によって最適な材料を選択する。但し本発明の多層膜はこの材料に限ったものではなく、同様の効果をもつ材料はいずれの適用も可能である。
また、6面の反射面が、それぞれの光入射領域内に光を通過、吸収、若しくは透過させる領域を有さないように構成している。ここでは、各反射面の光入射領域内に開口等を有さない構成としている。これを被露光体(ウエハ)に到達する光束で考えると、第6反射面から被露光体(像面)に至る光束の、光軸に直交する断面における外周の内部に、光線が無い領域が無いように構成している。言い換えると、瞳に遮へいを有さないように構成しているということになる。一般に瞳に遮へいがあると、結像特性に著しい悪影響をおよぼすが、それを防いでいるのである。
また一般に多層膜の特性から、高い反射率を得る為には、入射角度の最大値が大きい場合には入射角度の幅を比較的小さくせねばならず、入射角度の最大値が小さい場合には入射角度の幅が比較的大きくても良いと言える。ところで今回提案の系では、前記6枚の反射面のうち最大入射角が最大である面は第3面である。比較的入射角度を小さく抑えているが、この第3反射面が反射率の低下につながりやすい。しかしながら今回提案の系では、上記多層膜の特性を考慮し第3反射面における入射角度特性を次の式を満足させる事で特性の劣化を防いでいる。θmaxは第3反射面での最大入射角度を表し、△θは第3反射面での最大入射角度と最小入射角度の差すなわち入射角度の幅を表している。
25°<θmax+△θ<35°
さらに、
28°<θmax+△θ
及び/又は、
θmax+△θ<30°
を満たすように構成するとより好ましい。
また、第2反射面から凸面形状の第3反射面へ収束光束を入射させ、凸面形状の第3反射面から第4反射面へと発散光束を入射させる構成としている。この場合、第3反射面内に置いて、光束の入射する有効部内での半径方向(光軸と垂直方向)の各点における最大入射角度が、前記有効部内において極大値となるような特性となり、それが入射角度幅を比較的小さくすることにつながり多層膜による特性の劣化を防いでいる。具体的には、第3反射面上において物体面上の円弧形状の照明領域からの光が入射する光入射領域と、物体面上の円弧形状の照明領域の弦の中心点と光軸とを含む平面との交線において、交線上の点の光軸からの距離の最小値をLmin、最大値をLmaxとしたとき、前記交線上のLmin+0.3×(Lmax−Lmin)以上Lmax以下の領域内で、交線上の各点における最大入射角度が極値を有するように構成している。さらに、交線上の(Lmax+Lmin)/2±0.2×(Lmax−Lmin)の領域内で、該交線上の各点における最大入射角度が極値を有するように構成すると尚望ましい。
6面の反射面の各々の反射面に関して、各々の反射面の曲率中心(反射面が球面の場合はその球面の曲率中心を意味し、反射面が非球面の場合はその反射面の非球面成分を除去した球面の曲率中心、もしくはその非球面を含む回転対称な非球面の、回転対称の軸近傍の曲率に基づいた曲率中心を意味する。)を中心とし各々の反射面の曲率半径(反射面が球面の場合はその球面の曲率半径を意味し、反射面が非球面の場合はこの反射面の非球面成分を除去した球面の曲率半径、もしくはこの非球面を含む回転対称な非球面の、回転対称の軸近傍の曲率に基づいた曲率半径を意味する。)を半径とする略球面と光軸との交点のうち、各々の反射面における光の反射位置に最も近い交点を面頂点とするとき、6面の反射面の面頂点が、光軸に沿って物体面側から像面側に向かって、第4反射面、第2反射面、第3反射面、第1反射面、第6反射面、第5射面の順に配置している。
6面の反射面の各々の反射面に関して、各々の反射面の曲率中心を中心とし各々の反射面の曲率半径を半径とする略球面と光軸との交点のうち、各々の反射面における光の反射位置に最も近い交点を面頂点とするとき、第3反射面の面頂点が、第6反射面の面頂点よりも物体側となるように構成している。また、第3反射面は第6反射面よりも物体面側に近い位置に配置されている。
開口絞りの位置が6面の反射面のうち第2反射面に最も近くなるように構成することが望ましい。
ここで、開口絞りが第1反射面と第2反射面の間、及び/又は第1反射面と第2反射面との間の光路上に配置されており、第1反射面と第2反射面との間の光路長をLstとしたとき、開口絞りが第1反射面及び第2反射面から、Lst/10以上離れている。ここで、開口絞りが第1反射面及び第2反射面から、Lst/5以上離れているとさらに好ましい。
さらに、6面の反射面が物体面から像面の間に配置される(6面の反射面が物体面もしくはこの物体面を含む物体側平面と像面もしくは像面を含む像側平面との間に配置される)ことが望ましい。また、反射型投影光学系の光学パワーを有する光学素子がすべて、物体面から像面の間に配置されている。
また、6面の反射面のうち少なくとも1枚はEUV光を反射する多層膜を有する非球面ミラーであるように構成されている。さらに、この6枚の反射面がすべてEUV光を反射する多層膜を有する非球面ミラーであることが望ましい。
投影光学系で用いる光は、波長が10nm以上20nm以下のEUV光、さらに好ましくは波長13nm以上14nm以下のEUV光である。
物体面側が非テレセントリックであり、像面側が実質的にテレセントリックであるように構成されている。
本発明の露光装置は、光源からの光を用いて前記物体面上のパターンを照明する照明光学系と、前記物体面上のパターンを前記像面上に縮小投影する投影光学系とを有しており、物体面上に反射型マスクを配置したり、物体面をEUV光で照明した状態で、マスクステージ及びウエハステージを同期して走査したりするように構成した走査型露光装置を構成している。
次に、図1〜3を用いて、本発明である反射型投影光学系の実施形態の1例を示す。
図1、表1を用いて本発明の実施例1について説明する。
実施例1の反射型投影光学系は6枚の反射鏡を有し、基本的に物体面MS側から光が通過する順番に、第1の反射面M1(凹面)と、開口絞り、第2の反射面M2(凸面)、第3の反射面M3(凸面)、第4の反射面M4(凹面)と第5の反射面M5(凸面)、第6の反射面M6(凹面)とを有し、M4からM5の光路の間で中間像IMを結像させ、この中間像IMを残りの面で像面W上に再結像するように構成させている。
ここで、図1中の一点鎖線で描かれた直線が光軸であり、この光軸は、第1反射面、第2反射面、第3反射面、第4反射面、第5反射面、第6反射面それぞれの曲率中心を結んだ直線として定義することができる。但し、各反射面は収差を補正する等の目的で偏心させたり傾けたりすることがあるため、各反射面の曲率中心が必ずしも光軸上に並ぶとは限らず、ある反射面の曲率中心が若干光軸からずれた位置になることもありえる。
MSは物体面位置に置かれた反射型マスク、Wは像面位置に置かれたウェハを示している。照明光学系によって照明された反射型マスクを本発明である反射型縮小投影光学系によって像面であるウェハに縮小投影する。
表1に、図1の光学系の詳細を記した。像側の開口数であるNAは0.26であって、倍率は1/4倍、物体高は126〜134mm(像側で幅2mmの円弧形状視野)である。波面収差のRMSは7.2mλ、スタティックディストーションはレンジで2.2nmである。
上述のように、開口絞りをM1とM2との間に配置しているため、物体側テレセン度が103mradと小さいながら、物面からM1へと入射する光束のケラレを防いでいる。また、開口絞りから光軸から離れたM4へと光束を導く際に、M2とM3とで段階的に導いているために、最大入射角を26.5度に抑えながらM3〜M4間の距離を比較的短くする事が出来ており、第2反射面が凸面形状であることと合わせて、第4反射面M4上での光束の広がりが適度なものとなっている。具体的には、物体高130mmの物点から入射した光束の第4反射面上での光軸に対して垂直な方向の広がり(つまり第4反射面上での光の入射領域の光軸からの距離の最大値と最小値の差)は、40.8mmである。このように構成すれば、ミラー表面のうねり、ミラー材料中の気泡や、エネルギー集中によるミラーの変形、ゴミの転写などの影響を受けにくく、結像特性の劣化が起こりにくい構成とすることができる。それゆえM4上での光束の広がりが適度なものとなり、最大有効径も560mmに抑えられている。
ここで、この開口絞りは、第1反射面M1及び第2反射面M2から適切な距離離れていることが好ましい。本実施例においては、第1反射面と第2反射面の光路上の距離をLstとしたとき、第1反射面M1からの距離が0.668Lst、第2反射面からの距離が0.332Lstとなっている。
また、6面の反射面のうち光線入射角度の最大値が最大の面は第3反射面であり、第3反射面における最大の入射角度は26.5度で、入射角殿分布範囲は2.5度である。特に入射角殿分布が小さく出来ており、多層膜による反射率の低下を抑えた構成である。
また、物体面と物体面に最も近い反射面である第4反射面の面頂点との距離は、333.7mmであり、十分なフロントフォーカスを有している。また、第4反射面の面頂点と第2反射面の面頂点の光軸上での間隔は46.1mmであり、第6反射面の面頂点と第6反射面の最近接反射面である第1反射面の面頂点との距離は120mmである。このように構成することによって、第1反射面の裏面側や第6反射面の裏面側等に、第1反射面や第6反射面を駆動する機構或いは、第1反射面や第6反射面を冷却する機構等の様々な部材の配置が容易になった。また、物体面と物体面の最近接面であるM4の面頂点との距離L1、その物体面の最近接面であるM4の面頂点と第1反射面の面頂点との距離L2については、L1/L2が0.92となっており、十分なフロントフォーカスを有しつつ入射角度を抑えやすい構成となっている。
また、M2、M3をともに凸面としている為に中間像をミラーから離れた場所に形成できており、それゆえミラー面上での光束の広がりが適度なものとなっている。これによって、ミラー表面のうねり、ミラー材料中の気泡や、エネルギー集中によるミラーの変形、ゴミの転写などの影響を受けにくく、結像特性の劣化が起こりにくい構成となっている。ここで、第4反射面と第5反射面との間の光路長をLimとしたとき、この中間像は、第4反射面から0.4Lim以上0.6Limの範囲内に形成されている。
図2、表2を用いて本発明の実施例2について説明する。特に述べない部分については実施例1と同様である。
像側の開口数であるNAは0.26であって、倍率は1/4倍、物体高は126〜134mm(像側で幅2mmの円弧形状視野)である。波面収差のRMSは13mλ、スタティックディストーションはレンジで2.7nmである。
開口絞りをM1とM2との間に配置しているため、物体側テレセン度が106.5mradと小さいながら、物面からM1へと入射する光束のケラレを防いでいる。また、開口絞りから光軸から離れたM4へと光束を導く際に、M2とM3とで段階的に導いているために、最大入射角を25.4度に抑えながらM3〜M4距離を比較的短くする事が出来ている。さらに、第2反射面が凸面形状であることから第4反射面上での光束の広がりが適度なものとなっている。
具体的には、物体高130mmの物点から入射した光束の第4反射面上での光軸に対して垂直な方向の広がりは60.3mmである。このように構成することによって、ミラー表面のうねり、ミラー材料中の気泡や、エネルギー集中によるミラーの変形、ゴミの転写などの影響を受けにくく、結像特性の劣化が起こりにくい構成とすることができている。また、最大有効径も560mmに抑えることができている。
ここで、この開口絞りは、第1反射面M1及び第2反射面M2から適切な距離離れていることが好ましい。本実施例においては、第1反射面と第2反射面の光路上の距離をLstとしたとき、第1反射面M1からの距離が0.685Lst、第2反射面からの距離が0.315Lstとなっている。
また、6面の反射面のうち光線入射角度の最大値が最大の面は第3反射面であり、第3反射面における最大の入射角度は25.4度、入射角度の分布は3.3度である。いずれも小さく抑えられており、多層膜による反射率の低下を抑えることができる。
また、物体面と物体面の最近接反射面である第4反射面との距離は329.2mmであり十分なフロントフォーカスを有している。また、第4反射面の面頂点と第2反射面の面頂点の光軸上での間隔は30.5mmであり、第6反射面の面頂点と第6反射面の最近接反射面である第1反射面の面頂点との距離は120mmである。このような構成にすることによって、第1反射面や第6反射面の裏面側に空間を確保することができるため、第1反射面や第6反射面を駆動する機構や、第1反射面や第6反射面を冷却する機構を配置する空間を確保することができる。また、物体面と物体面の最近接面であるM4の面頂点との距離L1、その物体面の最近接面であるM4の面頂点と第1反射面の面頂点との距離L2については、L1/L2が0.92となっており、十分なフロントフォーカスを有しつつ入射角度を抑えやすい構成となっている。
また、M2、M3をともに凸面としている為に中間像をミラーから離れた場所に形成できており、それゆえミラー面上での光束の広がりが適度なものとなっている。ミラー表面のうねり、ミラー材料中の気泡や、エネルギー集中によるミラーの変形、ゴミの転写などの影響を受けにくく、結像特性の劣化が起こりにくい構成である。
ここで、第4反射面と第5反射面との間の光路長をLimとしたとき、この中間像は、第4反射面から0.4Lim以上0.6Limの範囲内に形成されている。
図3、表3を用いて本発明の実施例3について説明する。特に記載しない部分に関しては、前述の実施例1、2と同様である。
像側の開口数であるNAは0.27であって、倍率は1/4倍、物体高は126〜134mm(像側で幅2mmの円弧形状視野)である。波面収差のRMSは14.4mλ、スタティックディストーションはレンジで2.3nmである。
開口絞りをM1とM2との間に配置しているため、物体側テレセン度が103mradと小さいながら、物面からM1へと入射する光束のケラレを防いでいる。また、開口絞りから光軸から離れたM4へと光束を導く際に、M2とM3とで段階的に導いているために、最大入射角を26.5度に抑えながらM3〜M4距離を比較的短くする事が出来ている。さらに、第2反射面が凸面形状であることから第4反射面上での光束の広がりが適度なものとなっている。
具体的には、物体高130mmの物点から入射した光束の第4反射面上での光軸に対して垂直な方向の広がりは50.9mmである。このように構成することによって、ミラー表面のうねり、ミラー材料中の気泡や、エネルギー集中によるミラーの変形、ゴミの転写などの影響を受けにくく、結像特性の劣化が起こりにくい構成とすることができている。また、最大有効径も560mmに抑えることができている。
ここで、この開口絞りは、第1反射面M1及び第2反射面M2から適切な距離離れていることが好ましい。本実施例においては、第1反射面と第2反射面の光路上の距離をLstとしたとき、第1反射面M1からの距離が0.657Lst、第2反射面からの距離が0.343Lstとなっている。
また、6面の反射面のうち光線入射角度の最大値が最大の面は第3反射面であり、第3反射面における最大の入射角度は26.5度、入射角度の分布は2.2度である。特に入射角度分布を小さく抑えられており、多層膜による反射率の低下を抑えることができる。
また、物体面と物体面の最近接反射面である第4反射面との距離は341.5mmであり十分なフロントフォーカスを有している。また、第4反射面の面頂点と第2反射面の面頂点の光軸上での間隔は20mmであり、第6反射面の面頂点と第6反射面の最近接反射面である第1反射面の面頂点との距離は120mmである。このような構成にすることによって、第1反射面や第6反射面の裏面側に空間を確保することができるため、第1反射面や第6反射面を駆動する機構や、第1反射面や第6反射面を冷却する機構を配置する空間を確保することができる。また、物体面と物体面の最近接面であるM4の面頂点との距離L1、その物体面の最近接面であるM4の面頂点と第1反射面の面頂点との距離L2については、L1/L2が0.97となっており、十分なフロントフォーカスを有しつつ入射角度を抑えやすい構成となっている。
また、M2、M3をともに凸面としている為に中間像をミラーから離れた場所に形成できており、それゆえミラー面上での光束の広がりが適度なものとなっている。ミラー表面のうねり、ミラー材料中の気泡や、エネルギー集中によるミラーの変形、ゴミの転写などの影響を受けにくく、結像特性の劣化が起こりにくい構成である。
ここで、第4反射面と第5反射面との間の光路長をLimとしたとき、この中間像は、第4反射面から0.4Lim以上0.6Limの範囲内に形成されている。
次に、図4を用いて上記の実施例1、2、3で示した投影光学系100、100A,100Bを適用した例示的な露光装置200について説明する。ここで、図4は、本発明の一側面としての露光装置200の例示的一形態を示す概略構成図である。
本発明の露光装置200は、露光用の照明光としてEUV光(例えば、波長13.5nm)を用いて、例えば、ステップ・アンド・スキャン方式やステップ・アンド・リピート方式でマスク220に形成された回路パターンを被処理体240に露光する投影露光装置である。かかる露光装置は、サブミクロンやクオーターミクロン以下のリソグラフィー工程に好適であり、以下、本実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(「スキャナー」とも呼ばれる。)を例に説明する。ここで、「ステップ・アンド・スキャン方式」とは、マスクに対してウェハを連続的にスキャン(走査)してマスクパターンをウェハに露光すると共に、1ショットの露光終了後ウェハをステップ移動して、次の露光領域に移動する露光方法である。「ステップ・アンド・リピート方式」は、ウェハの一括露光ごとにウェハをステップ移動して次のショットの露光領域に移動する露光方法である。
図4を参照するに、露光装置200は、光源からの光でマスク220を照明する照明装置210と、マスク220を載置するマスクステージ225と、マスク220からの光を被処理体240に導く投影光学系230と、被処理体240を載置するウェハステージ245と、アライメント検出機構250と、フォーカス位置検出機構260とを有する。ここで、図4においては、マスクを反射した後被処理体(ウエハ)に至るまでの反射型投影光学系の反射面(ミラー)の枚数が4枚であるが、これは図を簡略化するために4枚にしたものであり、この反射型投影光学系の反射面の枚数は、実施例1、2、3に記載されている通り6枚とするのが好ましい。勿論本発明の趣旨が変わらない範囲内で枚数を変化させても、それは本発明の範囲内である。
また、図4に示すように、EUV光は、大気に対する透過率が低く、残留ガス(高分子有機ガスなど)成分との反応によりコンタミを生成してしまうため、少なくとも、EUV光が通る光路中(即ち、光学系全体)は真空雰囲気VCとなっている。
照明装置210は、投影光学系230の円弧状の視野に対する円弧状のEUV光(例えば、波長13.4nm)によりマスク220を照明する照明装置であって、EUV光源212と、照明光学系214とを有する。
EUV光源212は、例えば、レーザープラズマ光源が用いられる。これは、真空容器中のターゲット材に高強度のパルスレーザー光を照射し、高温のプラズマを発生させ、これから放射される、例えば、波長13nm程度のEUV光を利用するものである。ターゲット材としては、金属膜、ガスジェット、液滴などが用いられる。放射されるEUV光の平均強度を高くするためにはパルスレーザーの繰り返し周波数は高い方がよく、通常数kHzの繰り返し周波数で運転される。
照明光学系214は、集光ミラー214a、オプティカルインテグレーター214bから構成される。集光ミラー214aは、レーザープラズマからほぼ等方的に放射されるEUV光を集める役割を果たす。オプティカルインテグレーター214bは、マスク220を均一に所定の開口数で照明する役割を持っている。また、照明光学系214は、マスク220と共役な位置に、マスク220の照明領域を円弧状に限定するためのアパーチャ214cが設けられている。かかる照明光学系214を構成する光学部材である集光ミラー214a及びオプティカルインテグレーター214bを冷却する冷却装置を設けても良い。集光ミラー214a及びオプティカルインテグレーター214bを冷却することにより熱膨張による変形を防止して、優れた結像性能を発揮することができる。
マスク220は、反射型マスクで、その上には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成され、マスクステージ225に支持及び駆動されている。マスク220から発せられた回折光は、本実施例1乃至3に記載した投影光学系230で反射されて被処理体240上に投影される。マスク220と被処理体240とは、光学的に共役の関係に配置される。露光装置200は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、マスク220と被処理体240を走査することによりマスク220のパターンを被処理体240上に縮小投影する。
マスクステージ225は、マスク220を支持して図示しない移動機構に接続されている。マスクステージ225は、当業界周知のいかなる構造をも適用することができる。図示しない移動機構は、リニアモーターなどで構成され、少なくともX方向にマスクステージ225を駆動することでマスク220を移動することができる。露光装置200は、マスク220と被処理体240を同期した状態で走査する。
投影光学系230は、複数の反射ミラー(即ち、多層膜ミラー)230aを用いて、マスク220面上のパターンを像面である被処理体240上に縮小投影する。複数のミラー230aの枚数は、4枚乃至6枚程度(好ましくは6枚であるが、4枚であっても8枚であっても構わない)である。少ない枚数のミラーで広い露光領域を実現するには、光軸から一定の距離だけ離れた細い円弧状の領域(リングフィールド)だけを用いて、マスク220と被処理体240を同時に走査して広い面積を転写する。投影光学系230の開口数(NA)は、0.2乃至0.3程度である。かかる投影光学系230を構成する光学部材であるミラー230aを冷却装置を用いて冷却するようにしても良い。ミラー230aを冷却することで熱膨張による変形を防止して、優れた結像性能を発揮することができる。
被処理体240は、本実施形態ではウェハであるが、液晶基板その他の被処理体を広く含む。被処理体240には、フォトレジストが塗布されている。
ウェハステージ245は、ウェハチャック245aによって被処理体240を支持する。ウェハステージ245は、例えば、リニアモーターを利用してXYZ方向に被処理体240を移動する。マスク220と被処理体240は同期して走査される。また、マスクステージ225の位置とウェハステージ245の位置は、例えば、レーザー干渉計などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
アライメント検出機構250は、マスク220の位置と投影光学系230の光軸との位置関係、及び、被処理体240の位置と投影光学系230の光軸との位置関係を計測し、マスク220の投影像が被処理体240の所定の位置に一致するようにマスクステージ225及びウェハステージ245の位置と角度を設定する。
フォーカス位置検出機構260は、被処理体240面でフォーカス位置を計測し、ウェハステージ245の位置及び角度を制御することによって、露光中、常時被処理体240面を投影光学系230による結像位置に保つ。
露光において、照明装置210から射出されたEUV光はマスク220を照明し、マスク220面上のパターンを被処理体240面上に結像する。本実施形態において、像面は円弧状(リング状)の像面となり、マスク220と被処理体240を縮小倍率比の速度比で走査することにより、マスク220の全面を露光する。
ここで、露光装置においては、光学性能は投影光学系の光学部材の形状変化に対して敏感なので、冷却装置を投影光学系の光学部材(反射面)に用いることが多い。特に、光量の多いマスク側の光学部材に用いることが多い。但し、照明光学系に用いても構わない。特に、最も光源に近い反射光学部材は、光学部材の中で最も多量の光が入射するので、必然的に吸収する熱量も大きくなり、その吸収した熱による光学部材の形状の変化量も大きくなる。それを防ぐために、上述したような冷却装置により、多量の光を吸収することによる温度上昇を防ぐことができ、光学部材の温度差を低減して形状変化を抑えることができる。
次に、図5及び図6を参照して、上述の露光装置200を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図5は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。本実施形態においては、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いてリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、それが出荷(ステップ7)される。
図6は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置200によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。本実施形態のデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置200を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明の冷却装置は、ArFエキシマレーザーやF2レーザーなどのEUV光以外の波長200nm以下の紫外線用の光学部材に適用することもでき、マスクやウェハにも適用可能である。
本発明の実施例を示す図である。
本発明の実施例を示す図である。
本発明の実施例を示す図である。
本発明の一側面としての露光装置の例示的一形態を示す概略構成図である。
デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。
図5に示すステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
符号の説明
M1 第1反射鏡
M2 第2反射鏡
M3 第3反射鏡
M4 第4反射鏡
M5 第5反射鏡
M6 第6反射鏡
MS マスク(物体面)
W ウェハ(像面)
AS 開口絞り
AX 光軸
IM 中間像
200 露光装置
210 照明装置
214 照明光学系
214a 集光ミラー
214b オプティカルインテグレーター
220 マスク
230 投影光学系
230a 反射ミラー
240 被処理体
250 アライメント検出機構
260 フォーカス位置検出機構