JP2004252359A - 反射型投影光学系及び当該反射型投影光学系を有する露光装置 - Google Patents
反射型投影光学系及び当該反射型投影光学系を有する露光装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系の反射型投影光学系及び当該反射型投影光学系を有する露光装置を提供する。
【解決手段】物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、前記物体面側から前記像面側にかけて、凸面形状を有する第1の反射鏡、第2の反射鏡、第3の反射鏡、第4の反射鏡、第5の反射鏡、第6の反射鏡の順に光を反射する6枚の反射鏡を有し、前記第2の反射鏡から前記第3の反射鏡へ入射する光線と前記第4の反射鏡から前記第5の反射鏡へ入射する光線とが交差することを特徴とする反射型投影光学系を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、前記物体面側から前記像面側にかけて、凸面形状を有する第1の反射鏡、第2の反射鏡、第3の反射鏡、第4の反射鏡、第5の反射鏡、第6の反射鏡の順に光を反射する6枚の反射鏡を有し、前記第2の反射鏡から前記第3の反射鏡へ入射する光線と前記第4の反射鏡から前記第5の反射鏡へ入射する光線とが交差することを特徴とする反射型投影光学系を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、露光装置に係り、特に、紫外線や極端紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を利用して半導体ウェハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの被処理体を投影露光する反射型投影光学系及び当該反射型投影光学系を有する露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化及び薄型化の要請から、電子機器に搭載される半導体素子の微細化への要求はますます高くなっている。例えば、マスクパターンに対するデザインルールはライン・アンド・スペース(L&S)0.1μm以下の寸法像を広範囲に形成することが要求され、今後は更に80nm以下の回路パターン形成に移行することが予想される。L&Sは、露光においてラインとスペースの幅が等しい状態でウェハ上に投影された像であり、露光の解像度を示す尺度である。
【0003】
半導体製造用の代表的な露光装置である投影露光装置は、マスク又はレチクル(なお、本出願ではこれらの用語を交換可能に使用する。)上に描画されたパターンをウェハに投影露光する投影光学系を備えている。投影露光装置の解像度(正確に転写できる最小寸法)Rは、光源の波長λと投影光学系の開口数(NA)を用いて次式で与えられる。
【0004】
【数1】
【0005】
従って、波長を短くすればするほど、及び、NAを上げれば上げるほど、解像度は良くなる。近年では、解像度はより小さい値を要求されNAを上げるだけではこの要求を満足するには限界となっており、短波長化により解像度の向上を見込んでいる。現在では、露光光源は、KrFエキシマレーザー(波長約248nm)及びArFエキシマレーザー(波長約193nm)からF2レーザー(波長約157nm)に移行しており、更には、EUV(extreme ultraviolet)光の実用化も進んでいる。
【0006】
しかし、光の短波長化が進むと光が透過する硝材が限られてしまうために屈折素子、即ち、レンズを多用することは難しく、投影光学系に反射素子、即ち、ミラーを含めることが有利になる。更に、露光光がEUV光になると使用できる硝材は存在しなくなり、投影光学系にレンズを含めることは不可能となる。そこで、投影光学系をミラー(例えば、多層膜ミラー)のみで構成する反射型投影光学系が提案されている。
【0007】
反射型投影光学系においては、ミラーにおける反射率を高めるために反射した光が強め合うようミラーには多層膜が形成されているが、光学系全体での反射率を高めるためにできるだけ少ない枚数で構成することが望ましい。更に、EUV露光装置に要求される線幅(解像度)が従来の値より小さくなってきたためNAを上げる必要があるが(例えば、波長13.5nmにおいてNA0.2)、従来の3枚乃至4枚のミラーでは、波面収差を減らすことが困難である。そこで、波面収差補正の自由度を増すためにもミラーを非球面にすると共にミラーの枚数を増やす必要があり、これに伴い投影光学系を構成するミラーの数を6枚程度にする必要が生じてきた(以下、本出願では、かかる光学系を6枚ミラー系と称する場合もある。)。
【0008】
例えば、ミラーの有効径をできるだけ小さくしながらも高NAを実現させるために、光束を交差させている6枚ミラー系が提案されている(例えば、特許文献1、2及び3参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−006221号公報
【特許文献2】
国際公開第02/056114A2号パンフレット
【特許文献3】
米国特許第5815310号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1において提案されている6枚ミラー系の反射型投影光学系によれば、第2のミラー(M2)から第3のミラー(M3)へ入射する光束と第4のミラー(M4)から第5の反射鏡(M5)へ入射する光束とを交差させてミラーの有効径を小さくしているものの全長が長い。ミラーの有効径が小さいことは加工及び計測の点で有効であるが、全長が長く体積が大きくなることはEUV光が空気中で吸収されることを防ぐために光路を真空引きする際に欠点となる。
【0011】
また、物体面と物体面の近傍に配置される第2のミラー(M2)との間隔は、第1実施例で50mm、第2実施例で70mmと非常に短い。物体面には、通常、パターンの原版であるレチクルが配置される。かかるレチクルは、交換したり、パターンを焼き付けるときにスキャンしたりするため、実際の露光装置に適用する際には、レチクル付近にステージ機構を配置する必要があり、ある程度の間隔が必要となる。
【0012】
また、中間像が第3のミラー(M3)の近傍に存在するため、第3のミラー(M3)ではエネルギーが集中し、熱による収差発生やコンタミによる像劣化の原因となる。更に、物体側から像側へ順に面形状が凹凹凹凹凸凹と配置されているため、ペッツバール和を小さくすることが困難であり、その結果、スリット幅が0.8mmと小さい。
【0013】
次に、特許文献2において提案されている6枚ミラー系の投影光学系によれば、第2のミラー(M2)から第3のミラー(M3)へ入射する光束と第4のミラー(M4)から第5のミラー(M5)へ入射する光束とを交差させているが、第1のミラー(M1)が凹面であるために、第1のミラー(M1)から第2のミラー(M2)に入射する光束が光軸に対して大きく傾いている。その結果、後段のミラーの有効径が大きくなり、第4のミラー(M4)においては、有効径が670mmと大きくなってしまっている。更に、全長も1500mmと大きいので、加工、計測及び真空の安定性等の点から実現は困難である。
【0014】
特許文献3において提案されている6枚ミラー系の投影光学系によれば、第2のミラー(M2)から第3のミラー(M3)へ入射する光束と第4のミラー(M4)から第5のミラー(M5)へ入射する光束とを交差させているが、第1のミラー(M1)が凹面であるために、第1のミラー(M1)から第2のミラー(M2)に入射する光束が光軸に対して大きく傾いている。その結果、後段のミラーの有効径が500mm超と大きくなってしまっている。また、中間像が第4のミラー(M4)の近傍に存在するため、第4のミラー(M4)ではエネルギーが集中し、熱による収差発生やコンタミによる像劣化の原因となる。
【0015】
そこで、本発明は、EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系の反射型投影光学系及び当該反射型投影光学系を有する露光装置を提供することを例示的目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての反射型投影光学系は、物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、前記物体面側から前記像面側にかけて、凸面形状を有する第1の反射鏡、第2の反射鏡、第3の反射鏡、第4の反射鏡、第5の反射鏡、第6の反射鏡の順に光を反射する6枚の反射鏡を有し、前記第2の反射鏡から前記第3の反射鏡へ入射する光線と前記第4の反射鏡から前記第5の反射鏡へ入射する光線とが交差することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の目的及び更なる特徴は以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての反射型投影光学系及び露光装置について説明する。なお、各図において同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。ここで、図1は、本発明の一側面としての反射型投影光学系100の例示的一形態及びその光路を示した概略断面図である。
【0019】
図1を参照するに、本発明の反射型投影光学系100は、物体面MS(例えば、マスク面)上のパターンを像面W(例えば、基板などの被処理体面)上に縮小投影する反射型投影光学系であって、特に、EUV光(例えば、波長13.4nm乃至13.5nm)に好適な光学系である。
【0020】
反射型投影光学系100は、6枚の反射鏡を有し、基本的に、物体面MS側から光を反射する順番に、第1の反射鏡(凸面鏡)M1と、第2の反射鏡(凹面鏡)M2と、第3の反射鏡(平面鏡)M3と、第4の反射鏡(凹面鏡)M4と、第5の反射鏡(凸面鏡)M5と、第6の反射鏡(凹面鏡)M6とを有し、第1の反射鏡M1及び第2の反射鏡M2の2枚の反射鏡によって中間像MIを結像させ、かかる中間像MIを第3の反射鏡M3乃至第6の反射鏡M6の4枚の反射鏡で像面W上に再結像するように構成されている。
【0021】
更に、本発明の反射型投影光学系100は、構成する6枚の反射鏡のうち、最も有効径の大きい第4の反射鏡M4において最大有効径が小さいという特徴や、最も入射角の大きい第5の反射鏡M5において入射角が比較的小さいという特徴や、物体面MSから像面Wまでの全長が小さいという特徴があるが、詳しい値に関しては後述する。
【0022】
反射型投影光学系100は、物体面MSから第1の反射鏡M1へ入射する光線が5度以上の角度を有する非テレセントリックであり、且つ、像面W側の射出光線がテレセントリックであることも特徴となっている。例えば、照明光学系によって物体面MSに配置されたレチクルを照明し、その像を像面Wであるウェハ上に結像するためには、物体面MS側はある入射角を有することが必須となる。一方、像面W側は、例えば、像面Wに配置されるウェハが光軸方向に移動しても倍率の変化を少なくするために、テレセントリックであることが望ましい。
【0023】
反射型投影光学系100は、基本的には、1本の光軸の回りに軸対称な共軸光学系であり、光軸を中心としたリング状の像面で収差が補正されるため好ましいという長所を有している。但し、収差補正上又は収差調整上、反射型投影光学系100を構成する6枚の反射鏡が完全な共軸系となるように配置される必要はなく、若干の偏心をさせて収差を改善したり、配置上の自由度を向上させたりしてもよい。
【0024】
反射型投影光学系は、EUV光を用いる光学系では必須と考えられており、更なる高NA化が求められるにつれて、像面W側で光線のケラレをできるだけ排除する必要がある。本実施形態では、中間像MIを第2の反射鏡M2と第3の反射鏡M3との間で形成し、高NA時に大きな有効径を要する第6の反射鏡M6の近傍に配置することで、各反射鏡の有効径を小さく、且つ、ケラレがないようにしている。更に、第5の反射鏡M5と第6の反射鏡M6のパワーを大きくすることにより、光線と反射鏡とを分離した状態で高NAの所望の光学系を構成することが可能である。このとき、NAを大きく、且つ、バックフォーカスを保って結像させるためには、第5の反射鏡M5を凸面鏡、第6の反射鏡M6を凹面鏡にすることが好ましい。
【0025】
次に、反射型投影光学系100を構成する第1の反射鏡M1乃至第6の反射鏡M6の役割と光線を交差させることの利点について説明する。第1の反射鏡M1乃至第6の反射鏡M6の表面には、EUV光を反射させる多層膜が施されており、かかる多層膜により光を強め合う作用を奏する。波長20nm以下のEUV光を反射することが可能な多層膜は、例えば、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜や、Mo層とベリリウム(Be)層を交互に積層したMo/Be多層膜などが考えられ、使用波長によって最適な材料を選択する。但し、本発明の多層膜は、上記した材料に限定されず、これと同様の作用及び効果を有する多層膜を適用することができる。更に、入射角が大きすぎると多層膜での反射特性の劣化が考えられるため、全ての反射鏡(第1の反射鏡M1乃至第6の反射鏡M6)の入射角をできるだけ小さくした方がよい。本発明の反射型投影光学系100は、反射鏡の有効径及び光学系の全長が小さく(即ち、体積が小さく)、且つ、各反射鏡への入射角が小さい光学系である。
【0026】
例えば、特開2000−100694号公報において提案されている光学系内で光線の交差を行わない反射型投影光学系の場合、ミラーの入射角に制限があるために、第5のミラーへの入射角を第6のミラーに光線がケラレない範囲でできるだけ小さくしている。一方、第3のミラーの入射角を小さくするために第4のミラーを物体面寄りに配置しているが、かかる配置によって第4のミラーの有効径が大きくなり、NA0.2で直径540mm以上とかなり大きい構成になっている。その中でも最も有効径が大きいものは、NA0.28で直径650mmを超えており、高NAに対応してミラーの最大有効径も同時に大きくなっている。
【0027】
反射型投影光学系100は、第4の反射鏡M4の有効径が大きくなることを防ぐために第3の反射鏡M3と第4の反射鏡M4が、特開2000−100694号公報において提案されている反射型投影光学系に比べて、像面W側にシフトしている。このとき、第2の反射鏡M2と第3の反射鏡M3との間に中間像を形成し、且つ、第4の反射鏡M4の光軸側で第6の反射鏡M6の近傍に光線を通し、第3の反射鏡M3で反射した後に第4の反射鏡M4で第2の反射鏡M2の射出光線と交差させて光軸側に光線を戻すことで、第3の反射鏡M3と第4の反射鏡M4の有効径を小さくしても光線のケラレがないようにしている。
【0028】
また、このように第2の反射鏡M2からの射出光線と光軸との角度を小さくするために、第1の反射鏡M1を凸面鏡にしている。第1の反射鏡M1は、物体面MSから射出された主光線を反射させ光軸方向に近づけるが、凹面鏡を用いた場合、凸面鏡に比べて光軸に対して角度をもつため後段の反射鏡の有効径が大きくなる傾向があるために凸面鏡であることが好ましい。このように、光線を交差させ、光線の細くなる中間結像位置を好適に配置することは、上述したように、反射鏡の有効径を小さくできるだけではなく、反射鏡の入射角度も小さくすることができ、且つ、光路を共有しているので光学系の体積も小さくすることができる。
【0029】
本実施形態の反射型投影光学系100では、第2の反射鏡M2は中間像を第6の反射鏡M6の近傍に形成して、ケラレなく光線と反射鏡を分離するために凹面鏡であることが望ましい。また、第3の反射鏡M3は、第2の反射鏡M2で光軸から離れる方向に反射された光線をより光軸方向に向ける必要があるため、平面鏡又は凹面鏡であることが好ましい。第3の反射鏡M3に凸面鏡を用いた場合、第4の反射鏡M4の有効径が大きくなってしまう。第4の反射鏡M4は、光線を光軸方向に戻す必要があるため凹面鏡であることが好ましく、このとき、第2の反射鏡M2から第3の反射鏡M3に入射する光線と交差させることで上述した効果を得ることができる。
【0030】
反射型投影光学系100は、6枚の反射鏡で構成されているが、少なくとも1枚以上が非球面であればよく、かかる非球面の形状は、数式2に示す一般的な非球面の式で表される。但し、反射鏡を非球面で構成することは収差を補正する上で好ましいという長所を有しており、できるだけ多くの反射鏡(好ましくは、6枚)を非球面で構成するとよい。
【0031】
【数2】
【0032】
数式2において、Zは光軸方向の座標、cは曲率(曲率半径rの逆数)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A、B、C、D、E、F、G、H、J、・・・は各々、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次、18次、20次、・・・の非球面係数である。
【0033】
反射型投影光学系100は、図1に示すように、開口絞りが第2の反射鏡M2上に配置されているが、第1の反射鏡M1から第2の反射鏡M2の間に配置してもよい。但し、第2の反射鏡M2上に開口絞りを設けることで、光線のケラレがないように配置することが容易に可能となり、円形状の開口絞りを配置することができる。開口絞りの径は、固定であっても可変であってもよい。可変の場合には、開口絞りの径を変化させることにより、光学系のNAを変化させることができる。開口絞りの径を可変とすることで、深い焦点深度を得られるなどの長所が得られ、これにより像を安定させることができる。
【0034】
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の反射型投影光学系100を用いて照明実験した結果について説明する。図2は、図1に示す反射型投影光学系100における光線の交差の様子を説明するための概略断面図である。図1及び図2において、MSは物体面位置に置かれた反射型レチクル、Wは像面位置に置かれたウェハを示している。
【0035】
反射型投影光学系100において、波長13.4nm付近のEUV光を放射する図示しない照明系によりレチクルMSが照明され、レチクルMSからの反射EUV光が、第1の反射鏡(凸面鏡)M1、第2の反射鏡M2、第3の反射鏡M3、第4の反射鏡M4、第5の反射鏡M5、第6の反射鏡M6の順に反射し、像面位置に置かれたウェハW上にレチクルパターンの縮小像を形成している。反射型投影光学系100は、図2に示すように、第2の反射鏡M2から第3の反射鏡M3へ入射する光線と第4の反射鏡M4から第5の反射鏡M5へ入射する光線とが位置CRで交差するように配置されている。
【0036】
なお、図1及び図2に示す反射型投影光学系100において、像側の開口数NA=0.24、縮小倍率=1/4倍、物体高=128mm乃至136mmの8mm幅の円弧状スリットである。ここで、図1及び図2の反射型投影光学系100の数値(曲率半径、面間隔、非球面係数など)を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
図1に示す反射型投影光学系100の製造誤差を含まない収差(像高の数点での最大値)は、波面収差=0.055λrms、|歪曲最大値|=2nmである。また、物体面MSと反射面の最小距離(物体面MSと第2の反射鏡M2との距離)は、100mmとなっており、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を回避するために十分な距離となっている。
【0039】
物体面MSから像面Wに至る光学系の全長は932.8mmとなっており、非常に短くなっているため最大有効径が小さいことにあわせて光学系の体積が小さいことになり、真空引きを行う際にも有利である。最大有効径の第4の反射鏡M4は、427.4mmと小さくなっている。また、入射角の最も大きい第5の反射鏡M5で、その入射角は18.15度である。入射角が大き過ぎると多層膜での反射特性の劣化が起こるため、全ての反射鏡の入射角をできるだけ小さくすることが重要であり、本実施形態の値は十分に小さいと言える。
【0040】
更に、物体面MSから第1の反射鏡M1への主光線の傾きは、9.0138度となっており、照明系で物体面に置かれたレチクルMSを照明し、像面であるウェハWに結像するために十分な構成となっている。
【0041】
以上のように、本発明の反射型投影光学系100は、EUVの波長でNAを0.2よりも大きく(好ましくは、0.25以上)高NAながら、反射鏡の最大有効径や入射角及び光学系の全長を小さくすることができ、更に、物体面MSと反射鏡との最小距離も十分に確保することが可能であるので、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を防止することができる。また、物体面MS側は非テレセントリックであって、物体面MSに置かれたレチクルを照明し、像面Wに結像することが可能であり良好な結像性能を得ることができる。
【0042】
以下、図3を参照して、本発明の反射型投影光学系100を適用した露光装置200について説明する。図3は、反射型投影光学系100を有する露光装置200の例示的一形態を示す概略構成図である。本発明の露光装置200は、露光用の照明光としてEUV光(例えば、波長13.4nm)を用いて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行う投影露光装置である。
【0043】
図3を参照するに、露光装置200は、照明装置210と、レチクルMSと、レチクルMSを載置するレチクルステージ220と、反射型投影光学系100と、被処理体Wと、被処理体Wを載置するウェハステージ230と、制御部240とを有する。制御部240は、照明装置210、レチクルステージ220及びウェハステージ230に制御可能に接続されている。
【0044】
また、図3には図示しないが、EUV光は大気に対する透過率が低いため、少なくともEUV光が通る光路は真空雰囲気であることが好ましい。なお、図3において、X、Y、Zは3次元空間を示し、XY平面の法線方向をZ方向としている。
【0045】
照明装置210は、反射型投影光学系100の円弧状の視野に対応する円弧状のEUV光(例えば、波長13.4nm)によりレチクルMSを照明する照明装置であって、図示しない光源と、照明光学系より構成される。なお、照明装置210を構成する光源及び照明光学系は当業界で周知のいかなる技術をも適応可能であり、本明細書での詳細な説明は省略する。例えば、照明光学系は、集光光学系、オプティカルインテグレーター、開口絞り、ブレード等を含み、当業者が想達し得るいかなる技術も適用可能である。
【0046】
レチクルMSは、反射型又は透過型レチクルで、その上には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成され、レチクルステージ220に支持及び駆動される。レチクルMSから発せられた回折光は、反射型投影光学系100で反射されて被処理体W上に投影される。レチクルMSと被処理体Wとは、光学的に共役の関係に配置される。露光装置200は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、レチクルMSと被処理体Wを走査することによりレチクルMSのパターンを被処理体W上に縮小投影する。
【0047】
レチクルステージ220は、レチクルMSを支持して図示しない移動機構に接続されている。レチクルステージ220は、当業界周知のいかなる構成をも適用することができる。例えば、図示しないリニアモーターなどで構成され、制御部240に制御されながら少なくともY方向にレチクルステージ220を駆動することでレチクルMSを移動することができる。露光装置200は、レチクルMSと被処理体Wを制御部240によって同期した状態で走査する。
【0048】
反射型投影光学系100は、レチクルMS面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型光学系である。反射型投影光学系100は、上述した通りのいかなる形態をも適用可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0049】
被処理体Wは、本実施形態ではウェハであるが、液晶基板その他の被処理体を広く含む。被処理体Wには、フォトレジストが塗布されている。
【0050】
ウェハステージ230は、被処理体Wを支持する。ウェハステージ230は、例えば、リニアモーターを利用してXYZ方向に被処理体Wを移動する。また、レチクルステージ220とウェハステージ230の位置は、例えば、レーザー干渉計などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
【0051】
制御部240は、図示しないCPU、メモリを有し、露光装置200の動作を制御する。制御部240は、照明装置210、レチクルステージ220(即ち、レチクルステージ220の図示しない移動機構)、ウェハステージ230(即ち、ウェハステージ230の図示しない移動機構)と電気的に接続されている。CPUは、MPUなど名前の如何を問わずいかなるプロセッサも含み、各部の動作を制御する。メモリは、ROM及びRAMより構成され、露光装置200を動作するファームウェアを格納する。
【0052】
露光において、照明装置210から射出されたEUV光はレチクルMSを照明し、レチクルMS面上のパターンを被処理体W面上に結像する。本実施形態において、像面は円弧状(リング状)の像面となり、レチクルMSと被処理体Wを縮小倍率比の速度比でスキャンすることにより、レチクルMSの全面を露光する。
【0053】
次に、図4及び図5を参照して、露光装置200を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図4は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いてリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0054】
図5は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置200によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重の回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置200を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明は、ArFエキシマレーザーやF2レーザーなどのEUV光以外の波長200nm以下の紫外線用の反射型投影光学系として用いることもでき、大画面をスキャン露光する露光装置にもスキャンしない露光をする露光装置にも適用可能である。
【0056】
本出願は、更に以下の事項を開示する。
【0057】
〔実施態様1〕 物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、
前記物体面側から前記像面側にかけて、凸面形状を有する第1の反射鏡、第2の反射鏡、第3の反射鏡、第4の反射鏡、第5の反射鏡、第6の反射鏡の順に光を反射する6枚の反射鏡を有し、
前記第2の反射鏡から前記第3の反射鏡へ入射する光線と前記第4の反射鏡から前記第5の反射鏡へ入射する光線とが交差することを特徴とする反射型投影光学系。
【0058】
〔実施態様2〕 前記第2の反射鏡から前記第3の反射鏡の光路の間に中間像を形成することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0059】
〔実施態様3〕 前記第2の反射鏡の位置を開口絞り位置としたことを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0060】
〔実施態様4〕 前記反射型投影光学系の開口数は、0.2以上であることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0061】
〔実施態様5〕 前記6枚の反射鏡は、基本的に共軸系をなすように配置したことを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0062】
〔実施態様6〕 前記6枚の反射鏡のうち少なくとも1枚はEUV光を反射する多層膜を有する非球面ミラーであることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0063】
〔実施態様7〕 前記6枚の反射鏡はすべてEUV光を反射する多層膜を有する非球面ミラーであることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0064】
〔実施態様8〕 前記光は、波長20nm以下のEUV光であることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0065】
〔実施態様9〕 前記像面側がテレセントリックであることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0066】
〔実施態様10〕 前記物体面上に反射型レチクルを配置することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0067】
〔実施態様11〕 実施態様1乃至16のうちいずれか一項記載の反射型投影光学系と、
前記物体面上にレチクルのパターンを位置付けるべく当該レチクルを保持するレチクルステージと、
前記像面上に感光層を位置付けるべく被処理体を保持するウェハステージと、
前記EUV光で前記レチクルを照明する状態で前記レチクルステージ及びウェハステージを同期して走査する手段とを有することを特徴とする露光装置。
【0068】
〔実施態様12〕 光源からの光で前記パターンを照明する照明光学系と、前記パターンからの光を前記像面上に投影する、実施態様1乃至10のうちいずれか一項記載の反射型投影光学系とを有することを特徴とする露光装置。
【0069】
〔実施態様13〕 前記投影光学系は、前記パターンからの反射光を前記像面上に投影することを特徴とする実施態様12記載の露光装置。
【0070】
〔実施態様14〕 実施態様11乃至13のうちいずれか一項記載の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、
露光された前記被処理体に所定のプロセスを行うステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系の反射型投影光学系及び当該反射型投影光学系を有する露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一側面としての反射型投影光学系の例示的一形態及びその光路を示した概略断面図である。
【図2】図1に示す反射型投影光学系における光線の交差の様子を説明するための概略断面図である。
【図3】図1に示す反射型投影光学系を有する露光装置の例示的一形態を示す概略構成図である。
【図4】デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示すステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
100 反射型投影光学系
200 露光装置
210 照明装置
220 レチクルステージ
230 ウェハステージ
240 制御部
M1 第1の反射鏡
M2 第2の反射鏡
M3 第3の反射鏡
M4 第4の反射鏡
M5 第5の反射鏡
M6 第6の反射鏡
MS 物体面(レチクル)
W 像面(ウェハ)
MI 中間像
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、露光装置に係り、特に、紫外線や極端紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を利用して半導体ウェハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの被処理体を投影露光する反射型投影光学系及び当該反射型投影光学系を有する露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化及び薄型化の要請から、電子機器に搭載される半導体素子の微細化への要求はますます高くなっている。例えば、マスクパターンに対するデザインルールはライン・アンド・スペース(L&S)0.1μm以下の寸法像を広範囲に形成することが要求され、今後は更に80nm以下の回路パターン形成に移行することが予想される。L&Sは、露光においてラインとスペースの幅が等しい状態でウェハ上に投影された像であり、露光の解像度を示す尺度である。
【0003】
半導体製造用の代表的な露光装置である投影露光装置は、マスク又はレチクル(なお、本出願ではこれらの用語を交換可能に使用する。)上に描画されたパターンをウェハに投影露光する投影光学系を備えている。投影露光装置の解像度(正確に転写できる最小寸法)Rは、光源の波長λと投影光学系の開口数(NA)を用いて次式で与えられる。
【0004】
【数1】
【0005】
従って、波長を短くすればするほど、及び、NAを上げれば上げるほど、解像度は良くなる。近年では、解像度はより小さい値を要求されNAを上げるだけではこの要求を満足するには限界となっており、短波長化により解像度の向上を見込んでいる。現在では、露光光源は、KrFエキシマレーザー(波長約248nm)及びArFエキシマレーザー(波長約193nm)からF2レーザー(波長約157nm)に移行しており、更には、EUV(extreme ultraviolet)光の実用化も進んでいる。
【0006】
しかし、光の短波長化が進むと光が透過する硝材が限られてしまうために屈折素子、即ち、レンズを多用することは難しく、投影光学系に反射素子、即ち、ミラーを含めることが有利になる。更に、露光光がEUV光になると使用できる硝材は存在しなくなり、投影光学系にレンズを含めることは不可能となる。そこで、投影光学系をミラー(例えば、多層膜ミラー)のみで構成する反射型投影光学系が提案されている。
【0007】
反射型投影光学系においては、ミラーにおける反射率を高めるために反射した光が強め合うようミラーには多層膜が形成されているが、光学系全体での反射率を高めるためにできるだけ少ない枚数で構成することが望ましい。更に、EUV露光装置に要求される線幅(解像度)が従来の値より小さくなってきたためNAを上げる必要があるが(例えば、波長13.5nmにおいてNA0.2)、従来の3枚乃至4枚のミラーでは、波面収差を減らすことが困難である。そこで、波面収差補正の自由度を増すためにもミラーを非球面にすると共にミラーの枚数を増やす必要があり、これに伴い投影光学系を構成するミラーの数を6枚程度にする必要が生じてきた(以下、本出願では、かかる光学系を6枚ミラー系と称する場合もある。)。
【0008】
例えば、ミラーの有効径をできるだけ小さくしながらも高NAを実現させるために、光束を交差させている6枚ミラー系が提案されている(例えば、特許文献1、2及び3参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−006221号公報
【特許文献2】
国際公開第02/056114A2号パンフレット
【特許文献3】
米国特許第5815310号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1において提案されている6枚ミラー系の反射型投影光学系によれば、第2のミラー(M2)から第3のミラー(M3)へ入射する光束と第4のミラー(M4)から第5の反射鏡(M5)へ入射する光束とを交差させてミラーの有効径を小さくしているものの全長が長い。ミラーの有効径が小さいことは加工及び計測の点で有効であるが、全長が長く体積が大きくなることはEUV光が空気中で吸収されることを防ぐために光路を真空引きする際に欠点となる。
【0011】
また、物体面と物体面の近傍に配置される第2のミラー(M2)との間隔は、第1実施例で50mm、第2実施例で70mmと非常に短い。物体面には、通常、パターンの原版であるレチクルが配置される。かかるレチクルは、交換したり、パターンを焼き付けるときにスキャンしたりするため、実際の露光装置に適用する際には、レチクル付近にステージ機構を配置する必要があり、ある程度の間隔が必要となる。
【0012】
また、中間像が第3のミラー(M3)の近傍に存在するため、第3のミラー(M3)ではエネルギーが集中し、熱による収差発生やコンタミによる像劣化の原因となる。更に、物体側から像側へ順に面形状が凹凹凹凹凸凹と配置されているため、ペッツバール和を小さくすることが困難であり、その結果、スリット幅が0.8mmと小さい。
【0013】
次に、特許文献2において提案されている6枚ミラー系の投影光学系によれば、第2のミラー(M2)から第3のミラー(M3)へ入射する光束と第4のミラー(M4)から第5のミラー(M5)へ入射する光束とを交差させているが、第1のミラー(M1)が凹面であるために、第1のミラー(M1)から第2のミラー(M2)に入射する光束が光軸に対して大きく傾いている。その結果、後段のミラーの有効径が大きくなり、第4のミラー(M4)においては、有効径が670mmと大きくなってしまっている。更に、全長も1500mmと大きいので、加工、計測及び真空の安定性等の点から実現は困難である。
【0014】
特許文献3において提案されている6枚ミラー系の投影光学系によれば、第2のミラー(M2)から第3のミラー(M3)へ入射する光束と第4のミラー(M4)から第5のミラー(M5)へ入射する光束とを交差させているが、第1のミラー(M1)が凹面であるために、第1のミラー(M1)から第2のミラー(M2)に入射する光束が光軸に対して大きく傾いている。その結果、後段のミラーの有効径が500mm超と大きくなってしまっている。また、中間像が第4のミラー(M4)の近傍に存在するため、第4のミラー(M4)ではエネルギーが集中し、熱による収差発生やコンタミによる像劣化の原因となる。
【0015】
そこで、本発明は、EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系の反射型投影光学系及び当該反射型投影光学系を有する露光装置を提供することを例示的目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての反射型投影光学系は、物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、前記物体面側から前記像面側にかけて、凸面形状を有する第1の反射鏡、第2の反射鏡、第3の反射鏡、第4の反射鏡、第5の反射鏡、第6の反射鏡の順に光を反射する6枚の反射鏡を有し、前記第2の反射鏡から前記第3の反射鏡へ入射する光線と前記第4の反射鏡から前記第5の反射鏡へ入射する光線とが交差することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の目的及び更なる特徴は以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての反射型投影光学系及び露光装置について説明する。なお、各図において同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。ここで、図1は、本発明の一側面としての反射型投影光学系100の例示的一形態及びその光路を示した概略断面図である。
【0019】
図1を参照するに、本発明の反射型投影光学系100は、物体面MS(例えば、マスク面)上のパターンを像面W(例えば、基板などの被処理体面)上に縮小投影する反射型投影光学系であって、特に、EUV光(例えば、波長13.4nm乃至13.5nm)に好適な光学系である。
【0020】
反射型投影光学系100は、6枚の反射鏡を有し、基本的に、物体面MS側から光を反射する順番に、第1の反射鏡(凸面鏡)M1と、第2の反射鏡(凹面鏡)M2と、第3の反射鏡(平面鏡)M3と、第4の反射鏡(凹面鏡)M4と、第5の反射鏡(凸面鏡)M5と、第6の反射鏡(凹面鏡)M6とを有し、第1の反射鏡M1及び第2の反射鏡M2の2枚の反射鏡によって中間像MIを結像させ、かかる中間像MIを第3の反射鏡M3乃至第6の反射鏡M6の4枚の反射鏡で像面W上に再結像するように構成されている。
【0021】
更に、本発明の反射型投影光学系100は、構成する6枚の反射鏡のうち、最も有効径の大きい第4の反射鏡M4において最大有効径が小さいという特徴や、最も入射角の大きい第5の反射鏡M5において入射角が比較的小さいという特徴や、物体面MSから像面Wまでの全長が小さいという特徴があるが、詳しい値に関しては後述する。
【0022】
反射型投影光学系100は、物体面MSから第1の反射鏡M1へ入射する光線が5度以上の角度を有する非テレセントリックであり、且つ、像面W側の射出光線がテレセントリックであることも特徴となっている。例えば、照明光学系によって物体面MSに配置されたレチクルを照明し、その像を像面Wであるウェハ上に結像するためには、物体面MS側はある入射角を有することが必須となる。一方、像面W側は、例えば、像面Wに配置されるウェハが光軸方向に移動しても倍率の変化を少なくするために、テレセントリックであることが望ましい。
【0023】
反射型投影光学系100は、基本的には、1本の光軸の回りに軸対称な共軸光学系であり、光軸を中心としたリング状の像面で収差が補正されるため好ましいという長所を有している。但し、収差補正上又は収差調整上、反射型投影光学系100を構成する6枚の反射鏡が完全な共軸系となるように配置される必要はなく、若干の偏心をさせて収差を改善したり、配置上の自由度を向上させたりしてもよい。
【0024】
反射型投影光学系は、EUV光を用いる光学系では必須と考えられており、更なる高NA化が求められるにつれて、像面W側で光線のケラレをできるだけ排除する必要がある。本実施形態では、中間像MIを第2の反射鏡M2と第3の反射鏡M3との間で形成し、高NA時に大きな有効径を要する第6の反射鏡M6の近傍に配置することで、各反射鏡の有効径を小さく、且つ、ケラレがないようにしている。更に、第5の反射鏡M5と第6の反射鏡M6のパワーを大きくすることにより、光線と反射鏡とを分離した状態で高NAの所望の光学系を構成することが可能である。このとき、NAを大きく、且つ、バックフォーカスを保って結像させるためには、第5の反射鏡M5を凸面鏡、第6の反射鏡M6を凹面鏡にすることが好ましい。
【0025】
次に、反射型投影光学系100を構成する第1の反射鏡M1乃至第6の反射鏡M6の役割と光線を交差させることの利点について説明する。第1の反射鏡M1乃至第6の反射鏡M6の表面には、EUV光を反射させる多層膜が施されており、かかる多層膜により光を強め合う作用を奏する。波長20nm以下のEUV光を反射することが可能な多層膜は、例えば、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜や、Mo層とベリリウム(Be)層を交互に積層したMo/Be多層膜などが考えられ、使用波長によって最適な材料を選択する。但し、本発明の多層膜は、上記した材料に限定されず、これと同様の作用及び効果を有する多層膜を適用することができる。更に、入射角が大きすぎると多層膜での反射特性の劣化が考えられるため、全ての反射鏡(第1の反射鏡M1乃至第6の反射鏡M6)の入射角をできるだけ小さくした方がよい。本発明の反射型投影光学系100は、反射鏡の有効径及び光学系の全長が小さく(即ち、体積が小さく)、且つ、各反射鏡への入射角が小さい光学系である。
【0026】
例えば、特開2000−100694号公報において提案されている光学系内で光線の交差を行わない反射型投影光学系の場合、ミラーの入射角に制限があるために、第5のミラーへの入射角を第6のミラーに光線がケラレない範囲でできるだけ小さくしている。一方、第3のミラーの入射角を小さくするために第4のミラーを物体面寄りに配置しているが、かかる配置によって第4のミラーの有効径が大きくなり、NA0.2で直径540mm以上とかなり大きい構成になっている。その中でも最も有効径が大きいものは、NA0.28で直径650mmを超えており、高NAに対応してミラーの最大有効径も同時に大きくなっている。
【0027】
反射型投影光学系100は、第4の反射鏡M4の有効径が大きくなることを防ぐために第3の反射鏡M3と第4の反射鏡M4が、特開2000−100694号公報において提案されている反射型投影光学系に比べて、像面W側にシフトしている。このとき、第2の反射鏡M2と第3の反射鏡M3との間に中間像を形成し、且つ、第4の反射鏡M4の光軸側で第6の反射鏡M6の近傍に光線を通し、第3の反射鏡M3で反射した後に第4の反射鏡M4で第2の反射鏡M2の射出光線と交差させて光軸側に光線を戻すことで、第3の反射鏡M3と第4の反射鏡M4の有効径を小さくしても光線のケラレがないようにしている。
【0028】
また、このように第2の反射鏡M2からの射出光線と光軸との角度を小さくするために、第1の反射鏡M1を凸面鏡にしている。第1の反射鏡M1は、物体面MSから射出された主光線を反射させ光軸方向に近づけるが、凹面鏡を用いた場合、凸面鏡に比べて光軸に対して角度をもつため後段の反射鏡の有効径が大きくなる傾向があるために凸面鏡であることが好ましい。このように、光線を交差させ、光線の細くなる中間結像位置を好適に配置することは、上述したように、反射鏡の有効径を小さくできるだけではなく、反射鏡の入射角度も小さくすることができ、且つ、光路を共有しているので光学系の体積も小さくすることができる。
【0029】
本実施形態の反射型投影光学系100では、第2の反射鏡M2は中間像を第6の反射鏡M6の近傍に形成して、ケラレなく光線と反射鏡を分離するために凹面鏡であることが望ましい。また、第3の反射鏡M3は、第2の反射鏡M2で光軸から離れる方向に反射された光線をより光軸方向に向ける必要があるため、平面鏡又は凹面鏡であることが好ましい。第3の反射鏡M3に凸面鏡を用いた場合、第4の反射鏡M4の有効径が大きくなってしまう。第4の反射鏡M4は、光線を光軸方向に戻す必要があるため凹面鏡であることが好ましく、このとき、第2の反射鏡M2から第3の反射鏡M3に入射する光線と交差させることで上述した効果を得ることができる。
【0030】
反射型投影光学系100は、6枚の反射鏡で構成されているが、少なくとも1枚以上が非球面であればよく、かかる非球面の形状は、数式2に示す一般的な非球面の式で表される。但し、反射鏡を非球面で構成することは収差を補正する上で好ましいという長所を有しており、できるだけ多くの反射鏡(好ましくは、6枚)を非球面で構成するとよい。
【0031】
【数2】
【0032】
数式2において、Zは光軸方向の座標、cは曲率(曲率半径rの逆数)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A、B、C、D、E、F、G、H、J、・・・は各々、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次、18次、20次、・・・の非球面係数である。
【0033】
反射型投影光学系100は、図1に示すように、開口絞りが第2の反射鏡M2上に配置されているが、第1の反射鏡M1から第2の反射鏡M2の間に配置してもよい。但し、第2の反射鏡M2上に開口絞りを設けることで、光線のケラレがないように配置することが容易に可能となり、円形状の開口絞りを配置することができる。開口絞りの径は、固定であっても可変であってもよい。可変の場合には、開口絞りの径を変化させることにより、光学系のNAを変化させることができる。開口絞りの径を可変とすることで、深い焦点深度を得られるなどの長所が得られ、これにより像を安定させることができる。
【0034】
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の反射型投影光学系100を用いて照明実験した結果について説明する。図2は、図1に示す反射型投影光学系100における光線の交差の様子を説明するための概略断面図である。図1及び図2において、MSは物体面位置に置かれた反射型レチクル、Wは像面位置に置かれたウェハを示している。
【0035】
反射型投影光学系100において、波長13.4nm付近のEUV光を放射する図示しない照明系によりレチクルMSが照明され、レチクルMSからの反射EUV光が、第1の反射鏡(凸面鏡)M1、第2の反射鏡M2、第3の反射鏡M3、第4の反射鏡M4、第5の反射鏡M5、第6の反射鏡M6の順に反射し、像面位置に置かれたウェハW上にレチクルパターンの縮小像を形成している。反射型投影光学系100は、図2に示すように、第2の反射鏡M2から第3の反射鏡M3へ入射する光線と第4の反射鏡M4から第5の反射鏡M5へ入射する光線とが位置CRで交差するように配置されている。
【0036】
なお、図1及び図2に示す反射型投影光学系100において、像側の開口数NA=0.24、縮小倍率=1/4倍、物体高=128mm乃至136mmの8mm幅の円弧状スリットである。ここで、図1及び図2の反射型投影光学系100の数値(曲率半径、面間隔、非球面係数など)を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
図1に示す反射型投影光学系100の製造誤差を含まない収差(像高の数点での最大値)は、波面収差=0.055λrms、|歪曲最大値|=2nmである。また、物体面MSと反射面の最小距離(物体面MSと第2の反射鏡M2との距離)は、100mmとなっており、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を回避するために十分な距離となっている。
【0039】
物体面MSから像面Wに至る光学系の全長は932.8mmとなっており、非常に短くなっているため最大有効径が小さいことにあわせて光学系の体積が小さいことになり、真空引きを行う際にも有利である。最大有効径の第4の反射鏡M4は、427.4mmと小さくなっている。また、入射角の最も大きい第5の反射鏡M5で、その入射角は18.15度である。入射角が大き過ぎると多層膜での反射特性の劣化が起こるため、全ての反射鏡の入射角をできるだけ小さくすることが重要であり、本実施形態の値は十分に小さいと言える。
【0040】
更に、物体面MSから第1の反射鏡M1への主光線の傾きは、9.0138度となっており、照明系で物体面に置かれたレチクルMSを照明し、像面であるウェハWに結像するために十分な構成となっている。
【0041】
以上のように、本発明の反射型投影光学系100は、EUVの波長でNAを0.2よりも大きく(好ましくは、0.25以上)高NAながら、反射鏡の最大有効径や入射角及び光学系の全長を小さくすることができ、更に、物体面MSと反射鏡との最小距離も十分に確保することが可能であるので、物体面MSのステージ機構や照明系との干渉を防止することができる。また、物体面MS側は非テレセントリックであって、物体面MSに置かれたレチクルを照明し、像面Wに結像することが可能であり良好な結像性能を得ることができる。
【0042】
以下、図3を参照して、本発明の反射型投影光学系100を適用した露光装置200について説明する。図3は、反射型投影光学系100を有する露光装置200の例示的一形態を示す概略構成図である。本発明の露光装置200は、露光用の照明光としてEUV光(例えば、波長13.4nm)を用いて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行う投影露光装置である。
【0043】
図3を参照するに、露光装置200は、照明装置210と、レチクルMSと、レチクルMSを載置するレチクルステージ220と、反射型投影光学系100と、被処理体Wと、被処理体Wを載置するウェハステージ230と、制御部240とを有する。制御部240は、照明装置210、レチクルステージ220及びウェハステージ230に制御可能に接続されている。
【0044】
また、図3には図示しないが、EUV光は大気に対する透過率が低いため、少なくともEUV光が通る光路は真空雰囲気であることが好ましい。なお、図3において、X、Y、Zは3次元空間を示し、XY平面の法線方向をZ方向としている。
【0045】
照明装置210は、反射型投影光学系100の円弧状の視野に対応する円弧状のEUV光(例えば、波長13.4nm)によりレチクルMSを照明する照明装置であって、図示しない光源と、照明光学系より構成される。なお、照明装置210を構成する光源及び照明光学系は当業界で周知のいかなる技術をも適応可能であり、本明細書での詳細な説明は省略する。例えば、照明光学系は、集光光学系、オプティカルインテグレーター、開口絞り、ブレード等を含み、当業者が想達し得るいかなる技術も適用可能である。
【0046】
レチクルMSは、反射型又は透過型レチクルで、その上には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成され、レチクルステージ220に支持及び駆動される。レチクルMSから発せられた回折光は、反射型投影光学系100で反射されて被処理体W上に投影される。レチクルMSと被処理体Wとは、光学的に共役の関係に配置される。露光装置200は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、レチクルMSと被処理体Wを走査することによりレチクルMSのパターンを被処理体W上に縮小投影する。
【0047】
レチクルステージ220は、レチクルMSを支持して図示しない移動機構に接続されている。レチクルステージ220は、当業界周知のいかなる構成をも適用することができる。例えば、図示しないリニアモーターなどで構成され、制御部240に制御されながら少なくともY方向にレチクルステージ220を駆動することでレチクルMSを移動することができる。露光装置200は、レチクルMSと被処理体Wを制御部240によって同期した状態で走査する。
【0048】
反射型投影光学系100は、レチクルMS面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型光学系である。反射型投影光学系100は、上述した通りのいかなる形態をも適用可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0049】
被処理体Wは、本実施形態ではウェハであるが、液晶基板その他の被処理体を広く含む。被処理体Wには、フォトレジストが塗布されている。
【0050】
ウェハステージ230は、被処理体Wを支持する。ウェハステージ230は、例えば、リニアモーターを利用してXYZ方向に被処理体Wを移動する。また、レチクルステージ220とウェハステージ230の位置は、例えば、レーザー干渉計などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
【0051】
制御部240は、図示しないCPU、メモリを有し、露光装置200の動作を制御する。制御部240は、照明装置210、レチクルステージ220(即ち、レチクルステージ220の図示しない移動機構)、ウェハステージ230(即ち、ウェハステージ230の図示しない移動機構)と電気的に接続されている。CPUは、MPUなど名前の如何を問わずいかなるプロセッサも含み、各部の動作を制御する。メモリは、ROM及びRAMより構成され、露光装置200を動作するファームウェアを格納する。
【0052】
露光において、照明装置210から射出されたEUV光はレチクルMSを照明し、レチクルMS面上のパターンを被処理体W面上に結像する。本実施形態において、像面は円弧状(リング状)の像面となり、レチクルMSと被処理体Wを縮小倍率比の速度比でスキャンすることにより、レチクルMSの全面を露光する。
【0053】
次に、図4及び図5を参照して、露光装置200を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図4は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いてリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0054】
図5は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置200によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重の回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置200を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明は、ArFエキシマレーザーやF2レーザーなどのEUV光以外の波長200nm以下の紫外線用の反射型投影光学系として用いることもでき、大画面をスキャン露光する露光装置にもスキャンしない露光をする露光装置にも適用可能である。
【0056】
本出願は、更に以下の事項を開示する。
【0057】
〔実施態様1〕 物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、
前記物体面側から前記像面側にかけて、凸面形状を有する第1の反射鏡、第2の反射鏡、第3の反射鏡、第4の反射鏡、第5の反射鏡、第6の反射鏡の順に光を反射する6枚の反射鏡を有し、
前記第2の反射鏡から前記第3の反射鏡へ入射する光線と前記第4の反射鏡から前記第5の反射鏡へ入射する光線とが交差することを特徴とする反射型投影光学系。
【0058】
〔実施態様2〕 前記第2の反射鏡から前記第3の反射鏡の光路の間に中間像を形成することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0059】
〔実施態様3〕 前記第2の反射鏡の位置を開口絞り位置としたことを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0060】
〔実施態様4〕 前記反射型投影光学系の開口数は、0.2以上であることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0061】
〔実施態様5〕 前記6枚の反射鏡は、基本的に共軸系をなすように配置したことを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0062】
〔実施態様6〕 前記6枚の反射鏡のうち少なくとも1枚はEUV光を反射する多層膜を有する非球面ミラーであることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0063】
〔実施態様7〕 前記6枚の反射鏡はすべてEUV光を反射する多層膜を有する非球面ミラーであることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0064】
〔実施態様8〕 前記光は、波長20nm以下のEUV光であることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0065】
〔実施態様9〕 前記像面側がテレセントリックであることを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0066】
〔実施態様10〕 前記物体面上に反射型レチクルを配置することを特徴とする実施態様1記載の反射型投影光学系。
【0067】
〔実施態様11〕 実施態様1乃至16のうちいずれか一項記載の反射型投影光学系と、
前記物体面上にレチクルのパターンを位置付けるべく当該レチクルを保持するレチクルステージと、
前記像面上に感光層を位置付けるべく被処理体を保持するウェハステージと、
前記EUV光で前記レチクルを照明する状態で前記レチクルステージ及びウェハステージを同期して走査する手段とを有することを特徴とする露光装置。
【0068】
〔実施態様12〕 光源からの光で前記パターンを照明する照明光学系と、前記パターンからの光を前記像面上に投影する、実施態様1乃至10のうちいずれか一項記載の反射型投影光学系とを有することを特徴とする露光装置。
【0069】
〔実施態様13〕 前記投影光学系は、前記パターンからの反射光を前記像面上に投影することを特徴とする実施態様12記載の露光装置。
【0070】
〔実施態様14〕 実施態様11乃至13のうちいずれか一項記載の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、
露光された前記被処理体に所定のプロセスを行うステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、EUVリソグラフィーに適用可能で、高NA、且つ、ミラーの最大有効径及び光学系の全長が小さく、優れた結像性能を有する6枚ミラー系の反射型投影光学系及び当該反射型投影光学系を有する露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一側面としての反射型投影光学系の例示的一形態及びその光路を示した概略断面図である。
【図2】図1に示す反射型投影光学系における光線の交差の様子を説明するための概略断面図である。
【図3】図1に示す反射型投影光学系を有する露光装置の例示的一形態を示す概略構成図である。
【図4】デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示すステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
100 反射型投影光学系
200 露光装置
210 照明装置
220 レチクルステージ
230 ウェハステージ
240 制御部
M1 第1の反射鏡
M2 第2の反射鏡
M3 第3の反射鏡
M4 第4の反射鏡
M5 第5の反射鏡
M6 第6の反射鏡
MS 物体面(レチクル)
W 像面(ウェハ)
MI 中間像
Claims (1)
- 物体面上のパターンを像面上に縮小投影する反射型投影光学系であって、
前記物体面側から前記像面側にかけて、凸面形状を有する第1の反射鏡、第2の反射鏡、第3の反射鏡、第4の反射鏡、第5の反射鏡、第6の反射鏡の順に光を反射する6枚の反射鏡を有し、
前記第2の反射鏡から前記第3の反射鏡へ入射する光線と前記第4の反射鏡から前記第5の反射鏡へ入射する光線とが交差することを特徴とする反射型投影光学系。
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-
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