JP2004252190A - 反射防止膜および画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性が良好で、大量生産に適し、優れた反射防止性能と高耐擦傷性とを有し、更に優れた帯電防止性能を有する反射防止膜を得る。
【解決手段】透明支持体上に、1〜200nmの平均粒径を有する導電性無機微粒子および架橋しているポリマー(好ましくはアニオン性基を有する)を含む帯電防止層と、含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を含み、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体(P)を含む硬化皮膜よりなる低屈折率層とをこの順に有する反射防止膜。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐擦傷性を有し、ほこり等の付着の少ない反射防止膜、およびそれを備えた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)などの様々な画像表示装置や、眼鏡やカメラのレンズに設けられている。
従来から、反射防止膜としては、金属酸化物の透明薄膜を、様々な波長の光の反射を防止するため複数層積層させた多層膜が普通に用いられている。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法により形成されている。この金属酸化物の透明薄膜は、反射防止膜として優れた光学的性質を有しているが、蒸着による形成方法は生産性が低く大量生産に適していないので、蒸着法に代えて、無機微粒子の塗布により反射防止膜を形成する方法が提案されている。
【0003】
例えば、微細空孔と微粒子状無機物とを有する反射防止層に関する技術(例えば、特許文献1参照)、支持体、高屈折率層および低屈折率層の順に積層した反射防止膜として、支持体と高屈折率層の間に中屈折率層を設けた反射防止膜(例えば、特許文献2参照)、その他、二種類以上の超微粒子(例えば、MgFとSiO)を混在させ、膜厚方向にその混合比を変化させた反射防止膜(例えば、特許文献3参照)、また、この反射防止膜に存在する超微粒子間隙をバインダーで充填する技術(例えば、特許文献4参照)が知られている。
さらに、多孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有する反射防止膜(例えば、特許文献5参照)、プラスチック中に高屈折率の無機微粒子を導入することで、屈折率1.80以上の高屈折率皮膜を形成する技術を利用した反射防止膜が知られている(例えば、特許文献6、特許文献7参照)。
【0004】
上記に挙げたものも含め反射防止膜は、一般に、最表面に適切な膜厚の低屈折率層を形成することにより作製できるが、低い反射率を実現するために低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。更に、反射防止膜は、ディスプレイ等の最表面に反射率を抑える最も有効な手段として用いることが望まれるため、高い耐擦傷性が要求される。材料の屈折率を下げるには、▲1▼フッ素原子を導入する、▲2▼密度を下げる(空隙を導入する)という手段があるが、一方でいずれも皮膜強度が損なわれ耐擦傷性が低下する傾向にあるため、低屈折率と高耐傷性の両立は困難である。
例えば、低屈折率の含フッ素ポリマーを硬化させる手段としては、種々の方法が知られており、水酸基等を有するポリマーを種々の硬化剤によって硬化させることが一般に行われてきた(例えば、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14参照)。しかしながら、硬化剤と含フッ素ポリマーは相溶性の点で問題がある場合が多く、透明性、皮膜硬度の点で改良が望まれている。
この問題に対して、メラミン系硬化剤と水酸基含有低屈折率ポリマーをあらかじめ加熱して部分縮合させる技術が提案された(例えば、特許文献15参照)。しかしながら、皮膜の透明性を高めるにはある程度効果が認められるもののなお十分なレベルとはいい難い。
【0005】
また一方で、従来の塗布型の反射防止膜においては、製造・加工工程や使用時に空気中のほこりを吸着しやすい、特に、空気中のほこりの吸着は、帯電しやすいプラスチックフイルムを透明支持体として用いる場合に生じる。製造・加工工程で空気中のほこりを吸着すると、反射防止膜に欠陥が生じやすく、また使用時に空気中のほこりを吸着すると、反射防止膜を設ける画像表示装置の視認性が低下する。空気中のほこりの吸着を防止するために、反射防止膜に導電性無機微粒子を含む帯電防止層を設けることが考えられる。帯電防止機能が優れた層を形成するためには、導電性無機微粒子を微細かつ均一に層内に分散させる必要あるが、導電性無機微粒子を微細に分散し、その微細な分散状態を保ったまま帯電防止層を形成することは難しい。無機微粒子の分散手段としては、一般的に界面活性剤や分散用(アニオン性またはカチオン性)ポリマーの使用が知られている。しかしながら、これらの分散手段は、帯電防止層の形成段階においてのみ機能し、帯電防止層の形成後は、これらの分散手段は全く機能しないだけではなく、帯電防止層の物理的強度(耐磨耗性)や化学的強度(耐薬品性)を劣化させてしまうことが問題である。
【0006】
【特許文献1】
特公昭60−59250号公報
【特許文献2】
特開昭59−50401号公報
【特許文献3】
特開平2−245702号公報
【特許文献4】
特開平5−13021号公報
【特許文献5】
特開平7−48527号公報
【特許文献6】
特開平8−110401号公報
【特許文献7】
特開平8−179123号公報
【特許文献8】
特開昭57−34107号公報
【特許文献9】
特開昭61−258852号公報
【特許文献10】
特開昭61−275311号公報
【特許文献11】
特開昭62−185740号公報
【特許文献12】
特開昭62−292848号公報
【特許文献13】
特開平8−92323号公報
【特許文献14】
特開平12−17028号公報
【特許文献15】
特開平10−25388号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、大量生産に適した塗布型の、反射率が低く、耐擦傷性に優れ、帯電防止機能を有する強度の優れた反射防止膜を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、表面の耐傷性に優れ反射防止された画像表示装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先ず低屈折率層における皮膜の透明性、硬度と屈折率の関係について鋭意検討した。その結果、低屈折率を示す含フッ素ポリマー自体が側鎖に自己架橋反応性の基である(メタ)アクリロイル基を有しているものが優れており、さらに含フッ素ポリマー中の(メタ)アクリロイル基の含率を上げることにより、硬化剤の使用量を無くすことができ、皮膜の透明性や皮膜硬度に対しても有利な低屈折率の皮膜が得られあることを見出した。
【0009】
一方、上記の含フッ素ポリマーを用いると、低屈折率層の硬度と屈折率の双方を満足することができるが、形成される反射防止膜の帯電性が上昇し、反射防止膜の防塵性が悪化することが問題となった。そこで、更に帯電防止性を得るために、下層に帯電防止層を設けることで帯電防止性をも両立することを見出した。
【0010】
さらに、帯電防止層においては、架橋しているアニオン性基を有するポリマーを用いることで、帯電防止層の導電性無機微粒子を微細に分散し、その微細な分散状態を保ったまま、強度にも優れる層を形成することができる。アニオン性基を有するポリマーは、帯電防止層形成前には、アニオン性モノマーの状態において、導電性無機微粒子の優れた分散剤として機能する。そして、アニオン性モノマーを帯電防止層の形成後に、重合および架橋させることにより、架橋しているアニオン性基を有するポリマーが形成され、導電性無機微粒子が強固に結合し、強度が優れた帯電防止層が得られる。この帯電防止層は、強度が非常に優れているため、ハードコート層(膜に耐傷性を付与するための層)としても機能させることができる。
【0011】
以上のように改良された低屈折率層および帯電防止層を有する本発明の反射防止膜は、塗布により簡単に製造することができ、大量生産に適している。この反射防止膜を用いることで、画像表示装置の画像表示面における光の反射を有効に防止することができる。
【0012】
すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜(13)の反射防止膜および下記(14)の画像表示装置により達成される。
【0013】
(1) 透明支持体上に、
1〜200nmの平均粒径を有する導電性無機微粒子および架橋しているポリマーを含む帯電防止層と、
含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を含み、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体(P)を含む硬化皮膜よりなる低屈折率層と、
をこの順に有することを特徴とする反射防止膜。
【0014】
(2) 帯電防止層の架橋しているポリマーがアニオン性基を有するポリマーであることを特徴とする上記(1)に記載の反射防止膜。
(3) 帯電防止層が、厚さが0.1〜10μmであり、導電性無機微粒子を20〜90質量%、アニオン性基を有するポリマーを10〜80質量%含むことを特徴とする上記(2)に記載の反射防止膜。
(4) アニオン性基を有するポリマーが、リン酸基、スルホン酸基またはカルボン酸基をアニオン性基として有することを特徴とする上記(2)または(3)に記載の反射防止膜。
(5) アニオン性基を有するポリマーが、アミノ基またはアンモニウム基を有することを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに記載の反射防止膜。
【0015】
(6) 共重合体(P)が下記一般式1で表されることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の反射防止膜。
【0016】
【化3】
Figure 2004252190
【0017】
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。
【0018】
(7) 一般式1で表される共重合体(P)が下記一般式2で表されることを特徴とする上記(6)に記載の反射防止膜。
【0019】
【化4】
Figure 2004252190
【0020】
一般式2中、X、x、yはそれぞれ一般式1と同義である。Bは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。z1およびz2はそれぞれの構成成分のモル%を表し、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。nは2≦n≦10を満たす整数を表す。
【0021】
(8) 一般式2で表される共重合体(P)が、40≦x≦60、30≦y≦60、0≦z1≦30、z2=0を満たすことを特徴とする上記(7)に記載の反射防止膜。
(9) 共重合体(P)由来の成分が低屈折率層固形分の70質量%以上を占めることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射防止膜。
【0022】
(10) 帯電防止層の表面抵抗が10〜1012Ω/sqであることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の反射防止膜。
(11) 帯電防止層が塗布により形成された層であり、架橋しているポリマーが層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成されたポリマーであることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の反射防止膜。
(12) 導電性無機微粒子が、インジウム含有酸化錫(ITO)またはアンチモン含有酸化錫(ATO)からなる上記(1)〜(11)のいずれかに記載の反射防止膜。
(13) 表面からの距離が1μm以内に帯電防止層を有することを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載の反射防止膜。
【0023】
(14) 上記(1)〜(13)のいずれかに記載の反射防止膜を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【0024】
【発明の実施の形態】
(反射防止膜の層構成)
反射防止膜の層構成を図1を引用しながら説明する。図1は、反射防止膜の様々な層構成を示す断面模式図である。
本発明の反射防止膜は、図1の(a)に示すように、透明支持体(5)、帯電防止層(4)、そして低屈折率層(1)の順序の層構成を有する。各層の間には他の層を設けてもよく、例えば、図1の(b)に示すように、帯電防止層(4)と低屈折率層(1)との間に、高屈折率層(2)を設けてもよい。
図1(b)のように、高屈折率層(2)と低屈折率層(1)とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、高屈折率層が下記式(I)、低屈折率層が下記式(II)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0025】
【数1】
Figure 2004252190
【0026】
式中、mは正の整数(一般に1、2または3)であり、nは高屈折率層の屈折率であり、そして、dは高屈折率層の層厚(nm)である。
【0027】
【数2】
Figure 2004252190
【0028】
式中、nは正の奇数(一般に1)であり、nは低屈折率層の屈折率であり、そして、dは低屈折率層の層厚(nm)である。
【0029】
図1の(c)に示すようには、さらに中屈折率層(3)を設け、透明支持体(5)、帯電防止層(4)、中屈折率層(3)、高屈折率層(2)、そして低屈折率層(1)の順序の層構成を有する反射防止膜であってもよい。(c)のように、中屈折率層(3)、高屈折率層(2)および低屈折率層(1)を有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記式(III)、高屈折率層が下記式(IV)、低屈折率層が下記式(V)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0030】
【数3】
Figure 2004252190
【0031】
式中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、nは中屈折率層の屈折率であり、そして、dは中屈折率層の層厚(nm)である。
【0032】
【数4】
Figure 2004252190
【0033】
式中、jは正の整数(一般に1、2または3)であり、nは高屈折率層の屈折率であり、そして、dは高屈折率層の層厚(nm)である。
【0034】
【数5】
Figure 2004252190
【0035】
式中、kは正の奇数(一般に1)であり、nは低屈折率層の屈折率であり、そして、dは低屈折率層の層厚(nm)である。
なお、式(I)〜(V)中、λは可視光域の光の波長を示し、通常は、緑の光の波長(λ=550nm)に対して、上記各式を満たすように各層を設計するのが好ましい。
以上のような層構成を有する本発明の反射防止膜の各層の材料について、以下説明する。
【0036】
(透明支持体)
本発明では、プラスチックフイルムを透明支持体として用いるのが好ましい。プラスチックフイルムの材料の例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましい。
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。
【0037】
透明支持体には、赤外線吸収剤またはは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤または紫外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO、TiO、BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンが含まれる。
透明支持体に、表面処理を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理処理がさらに好ましい。
【0038】
(低屈折率層)
本発明では低屈折率層は、含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を必須の構成成分とし、かつ主鎖が炭素原子のみからなる共重合体(P)を含む硬化皮膜によって形成される。共重合体由来(P)の成分は低屈折率層固形分の70質量%以上を占めることが好ましく、80質量%以上を占めることがより好ましく、90質量%以上を占めることが特に好ましい。層の低屈折率化と皮膜硬度の両立、および共重合体(P)との相溶性の観点からは多官能(メタ)アクリレート等の硬化剤を添加することは好ましくなく、逆に本発明では共重合体(P)を用いることにより、硬化剤なしに低屈折率で皮膜硬度の高く、透明性のある層を形成することができる。
【0039】
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49であることが好ましく、1.20〜1.45であることがより好ましく、1.20〜1.44であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることがさらに好ましい。
低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
具体的な低屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0040】
以下に本発明の低屈性率層に用いられる共重合体(P)について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下するので、本発明では共重合体(P)のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
【0041】
本発明に用いられる共重合体(P)は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を必須の構成成分として有する。共重合体(P)への(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、▲1▼水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、▲2▼上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、▲3▼上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、▲4▼エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、▲5▼カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、▲6▼3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して▲1▼または▲2▼の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
【0042】
これらの(メタ)アクリロイル基含有重合単位の組成比を高めれば、皮膜強度は向上するが屈折率も高くなるので、皮膜強度と低屈折率の両立の点からは、含フッ素ビニルモノマー重合単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有重合単位は5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
【0043】
本発明では、共重合体(P)において、上記含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
【0044】
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、イソプルピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
【0045】
本発明に用いられる共重合体(P)の好ましい形態として、前記一般式1のものが挙げられる。
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*‐(CH−O−**, *−(CH−NH−**, *−(CH−O−**, *−(CH−O−**, *−(CH−O−(CH−O−**, −CONH−(CH−O−**, *−CHCH(OH)CH−O−*, *−CHCHOCONH(CH−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。
mは0または1を表わす。
【0046】
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
【0047】
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表わし、含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位と共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
【0048】
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を例として挙げることができるが、好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
【0049】
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは40≦x≦60、30≦y≦60、0≦z≦30の場合であり、より好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは45≦x≦55、45≦y≦55、0≦z≦10の場合である。
【0050】
本発明に用いられる共重合体(P)の特に好ましい形態として一般式2が挙げられる。一般式2においてX、x、yは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーの重合単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの重合単位のモル%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表わす。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10(好ましくはz2=0)であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5(好ましくはz2=0)であることが特に好ましい。ただし、x、y、z1、z2の和は100である。
【0051】
一般式1又は2で表わされる共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
【0052】
以下に本発明で有用な共重合体の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
【化5】
Figure 2004252190
【0054】
【化6】
Figure 2004252190
【0055】
【化7】
Figure 2004252190
【0056】
【化8】
Figure 2004252190
【0057】
【化9】
Figure 2004252190
【0058】
本発明に用いられる共重合体(P)の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行うことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行うことができる。
【0059】
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
【0060】
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としてもよい。
【0061】
重合温度は生成する共重合体の分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
【0062】
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm、特に、1〜30kg/cm程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
【0063】
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
【0064】
本発明の低屈折率層形成組成物は、通常、液の形態をとり前記共重合体(P)を必須の構成成分とし、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
【0065】
前記したとおり、低屈折率層の皮膜硬度の観点からは硬化剤等の添加剤を添加することは必ずしも有利ではないが、高屈折率層との界面密着性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤、あるいはシリカ等の無機微粒子を少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して0〜30質量%の範囲であることが好ましく、0〜20質量%の範囲であることがより好ましく、0〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0066】
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0〜5質量%の場合である。
【0067】
ラジカル重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、または光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
【0068】
熱の作用によりラジカルを発生する化合物としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
【0069】
光の作用によりラジカルを発生する化合物を使用する場合は、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が行われる。
このような光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。これらの光ラジカル重合開始剤と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
【0070】
熱または光の作用によってラジカル重合を開始する化合物の添加量としては、炭素−炭素二重結合の重合を開始できる量であればよいが、一般的には低屈折率層形成組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%の場合である。
【0071】
低屈折率層塗布液組成物に含まれる溶剤としては、共重合体(P)を含む組成物が沈殿を生じることなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく2種類以上の溶剤を併用することもできる。好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
【0072】
その他低屈折率層形成組成物には各種シランカップリング剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を必要に応じて適宜添加してもよい。
【0073】
(帯電防止層)
図2は、帯電防止層の断面模式図である。図2においては、図の帯電防止層の上側に低屈折率層があり、下側に透明支持体がある場合を想定している。
図2に示すように、帯電防止層(4)は、空孔がなく、導電性無機微粒子(41)の間にポリマー(42)が充填されている層が好ましい。帯電防止層(4)内では、平均粒径が1〜200nmの導電性無機微粒子(41)が積み重なっている。そして、導電性無機微粒子(41)の間に、バインダーとして架橋しているポリマー(42)が充填されている。
【0074】
また、本発明のように帯電防止層を帯電防止性を有する反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。
【0075】
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の帯電防止層は、強度が優れており、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度(JIS−K−5400の規定)で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
【0076】
(帯電防止層の導電性無機微粒子)
帯電防止層に用いる導電性無機微粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性無機微粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機微粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
【0077】
導電性無機微粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
【0078】
導電性無機微粒子は、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが含まれる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機微粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が含まれる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
【0079】
導電性無機微粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナおよびシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
二種類以上の導電性無機微粒子を帯電防止層内で併用してもよい。
【0080】
帯電防止層中の導電性無機微粒子の割合は、20〜90質量%である。無機微粒子の割合は、25〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。
【0081】
導電性無機微粒子は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用する。導電性無機微粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。導電性無機微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散できる。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
【0082】
(帯電防止層のバインダー)
帯電防止層は、架橋しているポリマーをバインダーとして用いる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。アニオン性基は、導電性無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して、帯電防止層を強化する機能を有する。
【0083】
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
【0084】
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
【0085】
架橋構造は、二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋構造は、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
【0086】
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
【0087】
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
【0088】
ベンゼン環を有する繰り返し単位では、ベンゼン環は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。ベンゼン環は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。ベンゼン環は、置換基(例、アルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子)を有していてもよい。ベンゼン環とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、ベンゼン環を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、2〜98質量%であることが好ましく、4〜96質量%であることがさらに好ましく、6〜94質量%であることが最も好ましい。
【0089】
最も好ましいポリオレフィン主鎖を有するポリマーについて、アニオン性基を有する繰り返し単位(VI)、架橋構造を有する繰り返し単位(VII)、アニオン性基と架橋構造の両方を有する繰り返し単位(VIII)、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位(IX)およびベンゼン環を有する繰り返し単位(X)の例を、それぞれ以下の各式で示す。
【0090】
【化10】
Figure 2004252190
【0091】
式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Lは二価の連結基であり、そして、Anはカルボン酸基、スルホン酸基またはリン酸基である。式(VI)において、Lは、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがさらに好ましく、1〜10であることが最も好ましい。アルキレン基は環状構造を有していてもよい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜15であることがさらに好ましく、6〜10であることが最も好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ヒドロキシ、ハロゲン原子)を有していてもよい。Lの例を以下に示す。左側が主鎖に結合し、右側がAnに結合する。ALはアルキレン基、ARはアリーレン基を意味する。
【0092】
11:−CO−O−AL−(O−CO−AL)m1
(m1は、正の整数)
12:−CO−O−(AL−O)m2−AR−AL−AR−(O−AL)m3
(m2およびm3は、それぞれ正の整数)
13:−CO−O−AL−
14:−CO−O−AL−O−CO−
15:−CO−O−AL−O−CO−AR−
16:−CO−O−AL−O−CO−AL−
【0093】
式(VI)で表される繰り返し単位は、対応するエチレン性不飽和モノマーの付加重合反応により得られる。対応するエチレン性不飽和モノマーの例には、2−スルホエチルメタクリレート、2−カルボキシエチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロジェンフマレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフアレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェートおよびモノ(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェートが含まれる。これらのアニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーは、市販品を利用することもできる。
【0094】
【化11】
Figure 2004252190
【0095】
式中、Rは水素原子またはメチル基であり、nは2以上の整数であり、そして、Lはn価の炭化水素残基である。式(VII)において、nは2〜20であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、3〜6であることが最も好ましい。式(VII)において、Lは脂肪族残基であることが好ましく、飽和脂肪族残基であることがさらに好ましい。脂肪族残基中にエーテル結合(−O−)が含まれていてもよい。脂肪族残基は、分岐を有していてもよい。Lの炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜15であることがさらに好ましく、3〜10であることが最も好ましい。
【0096】
式(VII)で表わされる繰り返し単位は、対応するエチレン性不飽和モノマーの付加重合反応により得られる。さらに、対応するエチレン性不飽和モノマーは、L(−OH)nに相当する多価アルコールまたは多価フェノール(好ましくは多価アルコール)とアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルである。対応するモノマーの例には、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、プロピレングリコールジアクリレートなどのアルキレングリコール、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサントリメタクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレートおよびトリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレートが含まれる。これらの多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルも、市販品を利用することができる。
【0097】
【化12】
Figure 2004252190
【0098】
式中、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、そして、L31およびL32は、それぞれ、二価の連結基である。式(VIII−a)および(VIII−b)において、L31およびL32は、それぞれ、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがさらに好ましく、1〜10であることが最も好ましい。アルキレン基は環状構造を有していてもよい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜15であることがさらに好ましく、6〜10であることが最も好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ヒドロキシ、ハロゲン原子)を有していてもよい。L31およびL32の例は、前述したLの例(L11〜L16)と同様である。
【0099】
式(VIII−a)および(VIII−b)で表わされる繰り返し単位も、対応するエチレン性不飽和モノマーの付加重合反応により得られる。式(VIII−a)に対応するエチレン性不飽和モノマーの例には、ビス(2−メタクリルオキシエチル)フォスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ホスフェートおよびビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ホスフェートが含まれる。式(VIII−b)に対応するエチレン性不飽和モノマーの例には、β−アクリロイルオキシエチルフマレートおよびβ−アクリロイルオキシエチルマレエートが含まれる。エチレン性不飽和モノマーも、市販品を利用することもできる。
【0100】
【化13】
Figure 2004252190
【0101】
式中、R41、R42およびR43は、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、L、L4aおよびL4bは、それぞれ、二価の連結基であり、Amは、アミノ基または四級アンモニウム基である。式(IX−a)および(IX−b)において、L、L4aおよびL4bは、それぞれ、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがさらに好ましく、1〜10であることが最も好ましい。アルキレン基は環状構造を有していてもよい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜15であることがさらに好ましく、6〜10であることが最も好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子)を有していてもよい。L、L4aおよびL4bの例を以下に示す。左側が主鎖に結合し、右側がAmに結合する。ALはアルキレン基を意味する。
【0102】
41:−CO−O−AL−
42:−CO−NH−AL−
43:−AL−
【0103】
式(IX−a)および(IX−b)のAmのアミノ基および四級アンモニウム基の好ましい基などは前述したとおりである。
式(IX−a)および(IX−b)で表わされる繰り返し単位は、対応するエチレン性不飽和モノマーの付加重合反応により得られる。式(IX−a)に対応するエチレン性不飽和モノマーの例には、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、メタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドおよびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドが含まれる。式(IX−b)に対応するエチレン性不飽和モノマーの例には、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドが含まれる。アミノ基または四級アンモニウム基エチレン性不飽和モノマーも、市販品を利用することもできる。
【0104】
【化14】
Figure 2004252190
【0105】
式中、R51は水素原子またはメチル基であり、R52は水素原子、カルボキシル、炭素原子数が1〜6のアルキル基またはハロゲン原子であり、そして、Lは単結合または二価の連結基である。式(X)のR52がカルボキシルの場合、R52はベンゼン環のオルト位に結合することが好ましい。式(X)において、Lは、−CO−、−O−、アルキレン基の組み合わせから選ばれる二価の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがさらに好ましく、1〜10であることが最も好ましい。アルキレン基は環状構造を有していてもよい。アルキレン基は、置換基(例、アルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子)を有していてもよい。Lの例を以下に示す。左側が主鎖に結合し、右側がベンゼン環に結合する。ALはアルキレン基を意味する。
【0106】
50:単結合
51:−CO−O−(AL−O)m4− (m4は正の整数)
52:−CO−O−AL−
【0107】
式(X)で表わされる繰り返し単位は、対応するエチレン性不飽和モノマーの付加重合反応により得られる。対応するエチレン性不飽和モノマーの例には、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸および2−アクリロイルオキシエチルフタル酸が含まれる。ベンゼン環を有するエチレン性不飽和モノマーも、市販品を利用することができる。
【0108】
エポキシ基から誘導されるポリエーテル主鎖を有するポリマーの場合は、以上の各式の繰り返し単位のエチレン基(−CH−)の左側に酸素原子(−O−)を結合させた構造の繰り返し単位を用いればよい。
【0109】
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、帯電防止層の塗布液(前述した導電性無機微粒子の分散液)にモノマーとして添加し、層の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって形成することが好ましい。アニオン性基を有するモノマーは、塗布液中で導電性無機微粒子の分散剤として機能する。アニオン性基を有するモノマーの無機微粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜40質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%であることが最も好ましい。また、アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布液中で分散助剤として機能する。アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーのアニオン性基を有するモノマーに対する使用量は、3〜33質量%であることが好ましい。層の塗布と同時または塗布後に、重合反応によってポリマーを形成すれば、層の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることができる。
【0110】
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの重合反応は、光重合反応または熱重合反応を用いることができる。光重合反応が好ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。重合開始剤には、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
【0111】
市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲であることが好ましい。光重合反応によりポリマーを形成する場合、光源として低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ケミカルランプあるいはメタルハライドランプを用いることができる。照射効率が良好な高圧水銀ランプの使用が、最も好ましい。塗布液(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モノマー(またはオリゴマー)の重合を促進してもよい。また、塗布後の光重合反応の後に加熱して、形成されたポリマーの熱硬化反応を追加処理してもよい。
【0112】
アニオン性基を有するポリマーは、架橋しているため分子量の規定は困難である。帯電防止層中の架橋しているアニオン性基を有するポリマーの割合は、10〜80質量%が好ましく、30〜75質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることがさらに好ましい。
【0113】
帯電防止層またはその塗布液には、前述した成分(無機微粒子、ポリマー、分散媒体、重合開始剤、重合促進剤)以外に、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯電防止剤や接着付与剤を添加してもよい。レベリング剤の例として、フッ素化アルキルエステル(例えば、住友3M(株)のFC−430、FC−431)およびポリシロキサン(例えば、General Electric(株)のSF1023、SF1054、SF1079、Dow Corning(株)のDC190、DC200、DC510、DC1248、BYK Chemie(株)のBYK300、BYK310、BYK320、BYK322、BYK330、BYK370)が挙げられる。
【0114】
(高屈折率層および中屈折率層)
図1の(b)に示すように、帯電防止層と低屈折率層との間に高屈折率層を設けてもよい。さらに、図1の(c)に示すように、帯電防止層と高屈折率層との間に中屈折率層を設けてもよい。
高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。屈折率は、アッベ屈折率計を用いる測定や、層表面からの光の反射率からの見積もりにより求めることができる。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.65〜1.85であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層の厚さは、20nm〜500nmであることが好ましく、30nm〜300nmであることがさらに好ましく、40nm〜200nmであることが最も好ましい。高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。高屈折率層および中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0115】
高屈折率層および中屈折率層は、比較的屈折率が高いポリマーを用いて形成することが好ましい。屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが含まれる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応によりポリマーを形成してもよい。また、帯電防止層に使用したアニオン性基を有するポリマーを、高屈折率層および中屈折率層に使用してもよい。
【0116】
屈折率の高い無機微粒子を上記ポリマー中に分散してもよい。屈折率の高い無機微粒子を用いる場合は、比較的屈折率の低いポリマー、例えば、ビニル系ポリマー(アクリル系ポリマーを含む)、ポリエステル系ポリマー(アルキド系ポリマーを含む)、セルロース系ポリマーやウレタン系ポリマーでも、無機微粒子を安定に分散するために用いることができる。有機置換されたケイ素化合物を、高屈折率層および中屈折率層に添加してもよい。ケイ素化合物としては、低屈折率層の無機微粒子の表面処理に使用するシランカップリング剤またはその加水分解物が好ましく用いられる。
無機微粒子としては、金属(例、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン)の酸化物が好ましい。無機微粒子の粉末またはコロイド状分散物を上記のポリマーまたは有機ケイ素化合物と混合して、使用する。無機微粒子の平均粒径は、10〜200nmであることが好ましい。
【0117】
被膜形成能を有する有機金属化合物から、高屈折率層および中屈折率層を形成してもよい。有機金属化合物は、適当な媒体に分散できるか、液状であることが好ましい。有機金属化合物の例には、金属アルコレート(例、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−sec−ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−sec−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド)、キレート化合物(例、ジ−イソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−ブトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−エトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ビスアセチルアセトンジルコニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトアセテート、トリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエチルアセトアセテート)、有機酸塩(例、炭酸ジルコニールアンモニウム)およびジルコニウムを主成分とする活性無機ポリマーが含まれる。アルキルシリケート類、その加水分解物および微粒子状シリカ、特にコロイド状に分散したシリカゲルを高屈折率層および中屈折率層に添加してもよい。
【0118】
(その他の層)
反射防止膜には、さらに、ハードコート層、防湿層、下塗り層や保護層を設けてもよい。ハードコート層は、透明支持体に耐傷性を付与するために設ける。ハードコート層は、透明支持体とその上の層との接着を強化する機能も有する。ただし、本発明の帯電防止層は、強度が優れているため、ハードコート層としても機能させることができ、ハードコート層は必須ではない。透明支持体の上には、帯電防止層に加えて、接着層、シールド層、滑り層や帯電防止層を設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。低屈折率層の上に、保護層を設けてもよい。保護層は、滑り層または汚れ防止層として機能する。
【0119】
滑り層に用いる滑り剤の例には、ポリオルガノシロキサン(例、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン)、天然ワックス(例、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油、ライスワックス、木ろう、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう、モンタンワックス)、石油ワックス(例、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス)、合成ワックス(例、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス)、高級脂肪酸アミド(例、ステアラミド、オレインアミド、N,N´−メチレンビスステアラミド)、高級脂肪酸エステル(例、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート)、高級脂肪酸金属塩(例、ステアリン酸亜鉛)およびフッ素含有ポリマー(パーフルオロ主鎖型パーフルオロポリエーテル、パーフルオロ側鎖型パーフルオロポリエーテル、アルコール変性パーフルオロポリエーテル、イソシアネート変性パーフルオロポリエーテル)が含まれる。
汚れ防止層には、含フッ素疎水性化合物(例、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フッ素オイル)を添加する。
保護層の厚さは、反射防止機能に影響しないようにするため、20nm以下であることが好ましい。保護層の厚さは、2〜20nmであることが好ましく、3〜20nmであることがさらに好ましく、5〜10nmであることが最も好ましい。
【0120】
(反射防止膜の製造および用途)
反射防止膜の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができる。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0121】
反射防止膜の反射率は低いほど好ましい。具体的には450〜650nmの波長領域での平均反射率が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.7%以下であることが最も好ましい。反射防止膜(下記のアンチグレア機能がない場合)のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。反射防止膜の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上である好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0122】
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。図3に示すような微粒子を使用した低屈折率層では、微粒子により反射防止膜の表面に凹凸が形成できる。微粒子により得られるアンチグレア機能では不充分な場合は、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層あるいは帯電防止層に比較的大きな粒子(粒径:50nm〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加してもよい。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
【0123】
反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。反射防止膜は、通常、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いる。
また、反射防止膜は、ケースカバー、光学用レンズ、眼鏡用レンズ、ウインドウシールド、ライトカバーやヘルメットシールド等にも利用できる。
【0124】
【実施例】
[実施例1]
(ATO分散物の調製)
ATO(アンチモン含有酸化錫、比表面積:95m/g、粉体比抵抗:2Ω・cm)20質量部、下記のアニオン性モノマー(1)3質量部、下記のアニオン性モノマー(2)3質量部およびシクロヘキサノン74質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ATO分散物を調製した。
【0125】
【化15】
Figure 2004252190
【0126】
【化16】
Figure 2004252190
【0127】
得られた分散物中のATOの平均粒子径をコールターカウンターで評価した。結果は表1に示す。
【0128】
(帯電防止層用塗布液の調製)
ATO分散物に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンを添加して帯電防止層用塗布液を調製した。添加量は、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマー(1)およびアニオン性モノマー(2)の合計量)とATOとの質量比が65/35、光重合開始剤と光増感剤との質量比が3/1、光重合開始剤と光増感剤の合計量とモノマーの合計量との質量比が6/100、そしてメチルエチルケトンとシクロヘキサノンとの質量比が1/1になるように調節した。
【0129】
得られた塗布液中のATOの分散安定性を沈降試験により評価した。塗布液を静置して100時間後に、上澄み液が現れなければA、現れればBとした。結果は表1に示す。
【0130】
(帯電防止層の形成)
ポリエチレンテレフタレートフイルムにポリエステル下塗り層を設けた。下塗り層の上に、帯電防止層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が6μmの帯電防止層を形成した。
帯電防止層のヘイズをヘイズメーター(NDH−1001DP、日本電色工業(株)製)で、表面抵抗を四探針法(ロレスタAP、三菱油化(株)製)で測定した。さらに、帯電防止層の鉛筆硬度をJIS−K−5400に従い測定した。結果を表2に示す。
【0131】
(含フッ素共重合体(P−1)の合成)
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cmであった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cmに達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ヘキサフルオロプロピレンとヒドロキシエチルビニルエーテルのモル比1:1の下記共重合体(a−1)の28gを得た。得られたポリマーの屈折率は1.406であった。
次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより含フッ素共重合体(P−1)を19g得た。得られたポリマーの数平均分子量は3.1万であり、屈折率は1.421であった。
【0132】
【化17】
Figure 2004252190
【0133】
(低屈折率層の形成)
本発明の共重合体(P−1)をメチルイソブチルケトンに30質量%の濃度になるように溶解し、光ラジカル発生剤イルガキュア907(商品名;チバ−ガイギー社製)を固形分に対して5質量%添加した塗布液を作製した。
塗布液を帯電防止層の上にバーコーターを用いて塗布し、紫外線を照射し硬化させ、乾燥膜厚が95nmの低屈折率層を形成した。このようにして、反射防止膜を作成した。
【0134】
作成した反射防止膜のヘイズと鉛筆強度を、帯電防止層と同様に評価した。
また、反射防止膜の耐擦傷性を、膜表面のスチールウール#0000による200gの荷重下にて10回擦った後の傷のつくレベルで確認した。判定は次の基準に従った。全く傷がつかない(◎)、わずかに傷がつく(○)、細かい傷が目立つ(△)、傷が著しい(×)。また、反射防止膜の平均反射率(450〜650nmの波長領域)を、反射率計(V−550、ARV−474、日本分光(株)製)で測定した。
さらに、反射防止膜の透明支持体側をCRT表面に張り付け、0.5μm以上のほこりを、1ft(立方フィート)当たり100〜200万個有する部屋で24時間使用した。反射防止膜100cm当たり、付着したほこりの数を測定し、20個未満の場合をA、20〜49個の場合をB、50〜199個の場合をC、200個以上の場合をDとして評価した。
結果は表3に示す。
【0135】
[実施例2]
ITO(錫含有酸化インジウム、比表面積:40m/g、粉体比抵抗:0.1Ω・cm)20質量部、実施例1で用いたアニオン性モノマー(1)3質量部、実施例1で用いたアニオン性モノマー(2)3質量部およびシクロヘキサノン74質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ITO分散物を調製した。得られたITO分散物を用いた以外は、実施例1と同様に反射防止膜を作成して評価した。結果は表1〜3に示す。
【0136】
[比較例1]
ATO(アンチモン含有酸化錫、比表面積:95m/g、粉体比抵抗:2Ω・cm)20質量部およびシクロヘキサノン80質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ATO分散物を調製した。得られたATO分散物を用いた以外は、実施例1と同様に反射防止膜を作成して評価した。結果は表1〜3に示す。
【0137】
[比較例2]
ATO(アンチモン含有酸化錫、比表面積:95m/g、粉体比抵抗:2Ω・cm)20質量部、界面活性剤(ブレノールA−17、吉村油化学(株)製)6質量部およびシクロヘキサノン74質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ATO分散物を調製した。得られたATO分散物を用い、帯電防止層に用いる光重合開始剤および光増感剤の合計量と界面活性剤およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの合計量との質量比を6/100に調節した以外は、実施例1と同様に反射防止膜を作成して評価した。結果は表1〜3に示す。
【0138】
[比較例3]
帯電防止層塗布液にATO分散物を添加しなかった以外は、実施例1と同様に反射防止膜を作成して評価した。結果は表1〜3に示す。
【0139】
[比較例4]
また、低屈折率層用塗布液として比較化合物(a−1)とサイメル303(商品名;三井サイテック(株)製メチロール化メラミン)との混合物(質量比8/2)をメチルイソブチルケトンに5質量%の濃度になるように溶解し、パラトルエンスルホン酸1水和物を固形分に対して2質量%添加して塗布液を作製した。得られた塗布液を低屈折率層用塗布液として用いた以外は実施例1と同様にして反射防止膜を作成して評価した。結果は表1 ̄表3に示す。
【0140】
[実施例3]
ATO(アンチモン含有酸化錫、比表面積:95m/g、粉体比抵抗:2Ω・cm)20質量部、下記のアニオン性モノマー(3)6質量部、下記のカチオン性モノマー1質量部およびシクロヘキサノン73質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ATO分散物を調製した。得られたATO分散物を用いた以外は、実施例1と同様に反射防止膜を作成して評価した。結果は表1〜3に示す。
【0141】
【化18】
Figure 2004252190
【0142】
【化19】
Figure 2004252190
【0143】
[実施例4]
ATO(アンチモン含有酸化錫、比表面積:95m/g、粉体比抵抗:2Ω・cm)20質量部、下記のアニオン性モノマー(4)6質量部およびシクロヘキサノン74質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ATO分散物を調製した。得られたATO分散物を用いた以外は、実施例1と同様に反射防止膜を作成して評価した。結果は表1〜3に示す。
【0144】
【化20】
Figure 2004252190
【0145】
[実施例5]
ATO(アンチモン含有酸化錫、比表面積:95m/g、粉体比抵抗:2Ω・cm)20質量部、実施例4で用いたアニオン性モノマー(4)6質量部、実施例3で用いたカチオン性モノマー1質量部およびシクロヘキサノン73質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ATO分散物を調製した。得られたATO分散物を用いた以外は、実施例1と同様に反射防止膜を作成して評価した。結果は表1〜3に示す。
【0146】
[実施例6]
ATO(アンチモン含有酸化錫、比表面積:95m/g、粉体比抵抗:2Ω・cm)20質量部、下記のアニオン性モノマー(5)6質量部、実施例3で用いたカチオン性モノマー1質量部およびシクロヘキサノン73質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ATO分散物を調製した。得られたATO分散物を用いた以外は、実施例1と同様に反射防止膜を作成して評価した。結果は表1〜3に示す。
【0147】
【化21】
Figure 2004252190
【0148】
[実施例7]
ATO(アンチモン含有酸化錫、比表面積:95m/g、粉体比抵抗:2Ω・cm)20質量部、下記のアニオン性モノマー(6)6質量部、実施例3で用いたカチオン性モノマー1質量部およびシクロヘキサノン73質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ATO分散物を調製した。ATO分散物に、グリセロールジメタクリレート(ブレンマーGMR、日本油脂(株)製)、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンを添加して帯電防止層用塗布液を調製した。添加量は、モノマーの合計量(グリセロールジメタクリレート、下記のアニオン性モノマー(6)およびカチオン性モノマーの合計量)とATOとの質量比が65/35、光重合開始剤と光増感剤との質量比が3/1、光重合開始剤と光増感剤の合計量とモノマーの合計量との質量比が6/100、そしてメチルエチルケトンとシクロヘキサノンとの質量比が1/1となるように調節した。ポリエチレンテレフタレートフイルムにポリエステル下塗り層を設け、下塗り層の上に、帯電防止層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射し、さらに100℃で1時間加熱して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が6μmの帯電防止層を形成した。帯電防止層の上に、実施例1と同様に乾燥膜厚が95nmの低屈折率層を形成し、反射防止膜を作成した。評価は、実施例1と同様に実施した。結果は表1〜3に示す。
【0149】
【化22】
Figure 2004252190
【0150】
[実施例8]
ATO(アンチモン含有酸化錫、比表面積:95m/g、粉体比抵抗:2Ω・cm)20質量部、下記のアニオン性モノマー(7)6質量部、実施例3で用いたカチオン性モノマー1質量部およびシクロヘキサノン73質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、ATO分散物を調製した。ATO分散物に、下記のエポキシ化シクロヘキサン系モノマー、下記の芳香族スルホニウム塩(光重合開始剤)、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンを添加して帯電防止層用塗布液を調製した。添加量は、モノマーの合計量(エポキシ化シクロヘキサン系モノマー、アニオン性モノマー(7)およびカチオン性モノマーの合計量)とATOとの質量比が65/35、光重合開始剤とモノマーの合計量との質量比が6/100、そしてメチルエチルケトンとシクロヘキサノンとの質量比が1/1となるように調節した。ポリエチレンテレフタレートフイルムにポリエステル下塗り層を設け、下塗り層の上に、帯電防止層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射し、さらに100℃で1時間加熱して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が6μmの帯電防止層を形成した。帯電防止層の上に、実施例1と同様に乾燥膜厚が95nmの低屈折率層を形成し、反射防止膜を作成した。評価は、実施例1と同様に実施した。結果は表1〜3に示す。
【0151】
【化23】
Figure 2004252190
【0152】
【化24】
Figure 2004252190
【0153】
【表1】
Figure 2004252190
【0154】
【表2】
Figure 2004252190
【0155】
【表3】
Figure 2004252190
【0156】
[実施例9]
二酸化チタン(一次粒子の平均粒子径:30nm)30.0質量部、実施例1で用いたアニオン性モノマー(1)2.25質量部、実施例1で用いたアニオン性モノマー(2)2.25質量部、実施例3で用いたカチオン性モノマー0.3質量部およびシクロヘキサノン65.2質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、二酸化チタン分散物を調製した。得られた分散物中の二酸化チタンの平均粒子径をコールターカウンターで測定したところ、52nmであった。二酸化チタン分散物に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンを添加して、高屈折率層用塗布液を調製した。添加量は、高屈折率層の屈折率が1.75となるように調整した。具体的には、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマー(1)、アニオン性モノマー(2)およびカチオン性モノマーの合計量)と二酸化チタンとの質量比が53.4/46.6、光重合開始剤と光増感剤との質量比が3/1、光重合開始剤と光増感剤の合計量とモノマーの合計量との質量比が6/100、そして、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンとの質量比が1/1になるように調節した。実施例1で形成した帯電防止層の上に、調製した高屈折率層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が60nmの高屈折率層を形成した。高屈折率層の上に、実施例1で調製した低屈折率層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が100nmの低屈折率層を形成した。作成した反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0157】
[実施例10]
実施例2で形成した帯電防止層の上に、実施例9と同様に、高屈折率層と低屈折率層を形成して、反射防止膜を作成した。作成した反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0158】
[比較例5]
比較例3で形成した帯電防止層の上に、実施例9と同様に、高屈折率層と低屈折率層を形成して、反射防止膜を作成した。作成した反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0159】
[比較例6]
また、低屈折率層用塗布液として比較例4で作製した塗布液を低屈折率層用塗布液として用いた以外は実施例9と同様にして反射防止膜を作成して評価した。結果を表4に示す。
【0160】
【表4】
Figure 2004252190
【0161】
[実施例11]
実施例9で調製した二酸化チタン分散物に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンを添加して、中屈折率層用塗布液と高屈折率層用塗布液を調製した。中屈折率層用塗布液の添加量は、中屈折率層の屈折率が1.66となるように調整した。具体的には、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマー(1)、アニオン性モノマー(2)およびカチオン性モノマーの合計量)と二酸化チタンとの質量比が71.6/28.4、光重合開始剤と光増感剤との質量比が3/1、光重合開始剤と光増感剤の合計量とモノマーの合計量との質量比が6/100、そして、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンとの質量比が1/1になるように調節した。高屈折率層用塗布液の添加量は、高屈折率層の屈折率が1.95となるように調整した。具体的には、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマー(1)、アニオン性モノマー(2)およびカチオン性モノマーの合計量)と二酸化チタンとの質量比が26.0/74.0、光重合開始剤と光増感剤との質量比が3/1、光重合開始剤と光増感剤の合計量とモノマーの合計量との質量比が6/100、そして、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンとの質量比が1/1になるように調節した。実施例1で形成した帯電防止層の上に、調製した中屈折率層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が79nmの中屈折率層を形成した。中屈折率層の上に、調製した高屈折率層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が129nmの高屈折率層を形成した。高屈折率層の上に、実施例1で調製した低屈折率層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が92nmの低屈折率層を形成した。作成した反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0162】
[実施例12]
実施例2で形成した帯電防止層の上に、実施例11と同様に、中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層を形成して、反射防止膜を作成した。作成した反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0163】
[比較例7]
比較例3で形成した帯電防止層の上に、実施例11と同様に、中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層形成して、反射防止膜を作成した。作成した反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0164】
[比較例8]
また、低屈折率層用塗布液として比較例4で作製した塗布液を低屈折率層用塗布液として用いた以外は実施例11と同様にして反射防止膜を作成して評価した。結果を表5に示す。
【0165】
[実施例13]
実施例9で調製した二酸化チタン分散物に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンを添加して、中屈折率層用塗布液と高屈折率層用塗布液を調製した。中屈折率層用塗布液の添加量は、中屈折率層の屈折率が1.80となるように調整した。具体的には、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマー(1)、アニオン性モノマー(2)およびカチオン性モノマーの合計量)と二酸化チタンとの質量比が45.2/54.8、光重合開始剤と光増感剤との質量比が3/1、光重合開始剤と光増感剤の合計量とモノマーの合計量との質量比が6/100、そして、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンとの質量比が1/1になるように調節した。高屈折率層用塗布液の添加量は、高屈折率層の屈折率が1.95となるように調整した。具体的には、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマー(1)およびアニオン性モノマー(2)の合計量)と二酸化チタンとの質量比が26.0/74.0、光重合開始剤と光増感剤との質量比が3/1、光重合開始剤と光増感剤の合計量とモノマーの合計量との質量比が6/100、そして、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンとの質量比が1/1になるように調節した。実施例1で形成した帯電防止層の上に、調製した中屈折率層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が78nmの中屈折率層を形成した。中屈折率層の上に、調製した高屈折率層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が58nmの高屈折率層を形成した。高屈折率層の上に、実施例1で調製した低屈折率層用塗布液をバーコーターで均一に塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が95nmの低屈折率層を形成した。作成した反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0166】
【表5】
Figure 2004252190
【0167】
【発明の効果】
本発明の反射防止膜は、帯電防止層によりほこりの付着が抑制され、更に反射防止性能が高く、耐傷性に優れる。また、本発明の反射防止膜及びそれを設置した画像表示装置は、外光の映り込みが十分に防止されているうえ、耐傷性も高く、更にほこりの付着が少ないという優れた性質を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射防止膜の様々な層構成を示す断面模式図である。
【図2】帯電防止層の断面模式図である。
【図3】低屈折率層の断面模式図である。
【符号の説明】
1 低屈折率層
2 高屈折率層
3 中屈折率層
4 帯電防止層
5 透明支持体
11 低屈折率層の無機微粒子
13 低屈折率層のバインダー
41 帯電防止層の導電性無機微粒子
42 帯電防止層のバインダー

Claims (14)

  1. 透明支持体上に、
    1〜200nmの平均粒径を有する導電性無機微粒子および架橋しているポリマーを含む帯電防止層と、
    含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を含み、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体(P)を含む硬化皮膜よりなる低屈折率層と、
    をこの順に有することを特徴とする反射防止膜。
  2. 帯電防止層の架橋しているポリマーがアニオン性基を有するポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
  3. 帯電防止層が、厚さが0.1〜10μmであり、導電性無機微粒子を20〜90質量%、アニオン性基を有するポリマーを10〜80質量%含むことを特徴とする請求項2に記載の反射防止膜。
  4. アニオン性基を有するポリマーが、リン酸基、スルホン酸基またはカルボン酸基をアニオン性基として有することを特徴とする請求項2または3に記載の反射防止膜。
  5. アニオン性基を有するポリマーが、アミノ基またはアンモニウム基を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の反射防止膜。
  6. 共重合体(P)が下記一般式1で表されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止膜。
    Figure 2004252190
    一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。
  7. 一般式1で表される共重合体(P)が下記一般式2で表されることを特徴とする請求項6に記載の反射防止膜。
    Figure 2004252190
    一般式2中、X、x、yはそれぞれ一般式1と同義である。Bは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。z1およびz2はそれぞれの構成成分のモル%を表し、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。nは2≦n≦10を満たす整数を表す。
  8. 一般式2で表される共重合体(P)が、40≦x≦60、30≦y≦60、0≦z1≦30、z2=0を満たすことを特徴とする請求項7に記載の反射防止膜。
  9. 共重合体(P)由来の成分が低屈折率層固形分の70質量%以上を占めることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止膜。
  10. 帯電防止層の表面抵抗が10〜1012Ω/sqであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止膜。
  11. 帯電防止層が塗布により形成された層であり、架橋しているポリマーが層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成されたポリマーであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の反射防止膜。
  12. 導電性無機微粒子が、インジウム含有酸化錫(ITO)またはアンチモン含有酸化錫(ATO)からなる請求項1〜11のいずれかに記載の反射防止膜。
  13. 表面からの距離が1μm以内に帯電防止層を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の反射防止膜。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の反射防止膜を備えたことを特徴とする画像表示装置。
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