JP2004251704A - 光スペクトラムアナライザ - Google Patents
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Abstract
【課題】高速かつ高精度で波長スペクトラム分析を実施する。
【解決手段】アレイ導波路回折格子(AWG)1の入力ポート2に測定すべき光信号aを入力し、このAWGのn(n;2以上の整数)個の出力ポート3から出力される出力ポート毎の波長範囲内の波長λを有する複数の光信号bを測定し、合成して測定すべき光信号の波長スペクトラムkを得る光スペクトラムアナライザである。
そして、測定すべき光信号aの測定波長幅の1/nの波長幅だけAWGの各出力ポートから出力される光信号bの波長λが該当波長範囲内で掃引されるように、AWGの温度を掃引する。
【選択図】 図1
【解決手段】アレイ導波路回折格子(AWG)1の入力ポート2に測定すべき光信号aを入力し、このAWGのn(n;2以上の整数)個の出力ポート3から出力される出力ポート毎の波長範囲内の波長λを有する複数の光信号bを測定し、合成して測定すべき光信号の波長スペクトラムkを得る光スペクトラムアナライザである。
そして、測定すべき光信号aの測定波長幅の1/nの波長幅だけAWGの各出力ポートから出力される光信号bの波長λが該当波長範囲内で掃引されるように、AWGの温度を掃引する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアレイ導波路回折格子(AWG:Array Waveguide Grating 以下AWGと略記する)を用いて光信号の波長分析を行う光スペクトラムアナライザに関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムで用いられる光信号にどのような波長成分が含まれるかを調べる波長分析を行う光スペクトラムアナライザとして、従来、図12に示す機械的駆動方式の光スペクトラムアナライザが用いられていた。
【0003】
図12において、入射ファイバからの入射光は第1の放物面鏡で平行光となり、回折格子に照射される。回折格子では波長により反射方向の差を生じるため、波長選択された光が第2の放物面鏡に入射する。ここで、回折格子の角度を機械的に駆動して変えることにより波長掃引ができる。なお、この基本的な構成を元にして、光を回折格子に複数回入射させるようにして波長分解能を高めることも行われている。第2の放物面鏡でこの分光された光をスリット上に集光させ、スリットで必要な帯域だけ切り出し、出射光を得る。
【0004】
この機械的駆動方式では、回折格子またはそれ以外の光学系を機械的に駆動することにより波長掃引を行う。そのため、掃引速度は駆動系の性能により決まり、分解能は回折格子とスリットの性能により決まる。
【0005】
例えばこの回折格子の溝数は1000本/mm程度である。高い分解能にするためには光路長を大きく取ればよいが装置が大型になり、高速掃引を行うことが難しくなる。また、スリット幅はビーム径により数μm程度の限界があり、ここでも制限を受ける。現状の性能としては、光通信システムで用いられる光信号の波長範囲1540〜1560nmの波長幅20nmを掃引する際に、分解能50pmで、掃引時間500ms程度を要する。また、掃引波長幅が20nmより狭くなると精密な機構制御が必要になるため掃引時間が1000msと長くなってしまう技術上の問題があった。
【0006】
これとは別に、AWGを採用した光スペクトラムアナライザが特許文献1に提唱されている。
【0007】
AWGは、周知のように、入力ポートから入力された光信号を、複数の出力ポートから、出力ポート毎に割付けられた波長範囲内の波長を有する複数の光信号に分割して出力する機能を有する。
【0008】
この光スペクトラムアナライザにおいていは、図13に示すように、ペルチェ素子上にAWGを取付けて構成された一種の可変波長フィルタを用いる。AWGのアレイ導波路はポリマ導波路で形成されている。ペルチェ素子で温度制御することにより可変波長フィルタの中心波長を変化させ、分光する波長を掃引する。また、波長分光出力を光検出器で受けて処理することにより波長スペクトラムを得る。
【0009】
しかしながら、この特許文献1に記載された光スペクトラムアナライザにおいては、AWGが有する複数の出力ポートのうち、単一の出力ポートで光スペクトラムを観測する。単一の出力ポートによる分光では例えば波長帯域(波長幅)20nmを温度掃引する時に要する時間は120msであり、高速分光は期待できない。
【0010】
この光スペクトラムアナライザでは、光検出器から後の処理は示されておらず、温度が安定してから光検出器の出力を取出すことになり、高速な処理は期待できない。
【0011】
また、波長分解能はAWGのフィルタ特性により決まる。一般に、AWGにおいては、半値幅を数十pmまで実現できるが、測定波長帯域(波長幅)を広く取り、かつ高分解能にすると処理速度がさらに遅くなるために高速、高分解能の分光を実現することは難しい。
【0012】
【特許文献】
特開2002―214459号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように回折格子を用いた波長掃引では回折格子を機械的に駆動するために、光信号の解析に必要な波長範囲1540〜1560nmの波長幅20nmを掃引するための必要な掃引時間は0.5s程度が下限であった。また、AWGを波長可変フィルタとして用いた方式では単一の出力ポートの出力による波長掃引であるため、掃引時間は120msが下限であった。波長分解能を高くするとさらに必要な掃引時間が長くなる課題があった。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、AWGが有する複数の出力ポートから出力されるそれぞれ波長範囲の異なる光信号を測定し合成することによって、入力された光信号に対して、高速でかつ高精度で波長分析を実施できる光スペクトラムアナライザを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するために、本発明の光スペクトラムアナライザにおいては、AWGの入力ポートに測定すべき光信号を入力し、このAWGのn(n;2以上の整数)個の出力ポートから出力される出力ポート毎の波長範囲内の波長を有する複数の光信号を測定し、合成して測定すべき光信号の波長スペクトラムを得る。
この場合、測定すべき光信号の測定波長幅の1/nの波長幅だけ各出力ポートから出力される光信号の波長が該当波長範囲内で掃引されるように、AWGの温度を掃引する。
【0016】
このように構成された光スペクトラムアナライザにおいては、測定対象の光信号をAWGの入力ポートに入力すると、n個の出力ポートから、n個の互いに異なる波長範囲内の波長を有するn個の光信号が出力される。そして、n個の出力ポートから出力されたn個の光信号の各波長を、AWGを温度制御して掃引して、n個の光信号を測定し、合成することによって、測定すべき光信号の波長スペクトラムを得ることができる。
【0017】
この場合、実際の必要な波長掃引幅は、測定すべき光信号の測定波長幅でなくて、測定波長幅の1/nのみでよい。例えば、光信号の解析に必要な波長範囲1540〜1560nmの波長幅(測定波長幅)20nmを掃引するために実際に必要な波長掃引幅は、出力ポート数を32(n=32)とすれば、20nm/32=0.63nmとなり、必要な波長掃引時間も大幅に短縮できる。
【0018】
また、別の発明の光スペクトラムアナライザは、温度調整器及び温度センサが組込まれ、入力ポートから入力した測定すべき光信号を、n(n;2以上の整数)個の出力ポートから出力ポート毎の波長範囲内の波長を有する複数の光信号に分離して出力するAWGと、このAWGの各出力ポートから出力される光信号を電気信号に変換する複数の光検出器と、この複数の光検出器から出力された各電気信号をデジタルの光検出信号データに変換する複数のA/D変換器と、測定すべき光信号の測定波長幅の1/nの波長幅だけ各出力ポートから出力される光信号の波長が該当波長範囲内で掃引されるように、温度調整器を介してAWGの温度を掃引する波長掃引制御部と、各光検出信号データを一時記憶するためのデータメモリと、温度センサからの温度センサ信号データ及び各A/D変換器から出力された各光検出信号データが入力され、各光検出信号データを出力された出力ポートの波長範囲の各波長に対応させてデータメモリに書込む複数の第1のデータ処理部と、このデータメモリに記憶された各波長の光検出信号データを読出して、測定すべき光信号の波長スペクトラムとして出力する第2のデータ処理部とを備えている。
【0019】
このように構成された光スペクトラムアナライザにおいては、光信号をAWGに入力し、波長掃引制御部にて、測定波長幅の1/nの波長幅だけ各出力ポートから出力される光信号の波長が該当波長範囲内で掃引されるように、AWGの温度制御を行う。
【0020】
第1のデータ処理部にて、AWGの複数の出力ポートに設置した光検出器により検出したアナログ値をA/D変換した光検出信号データと温度センサ信号データを元に算出した温度に対応した波長を対応させた光検出信号データをデータメモリに書込む。
【0021】
また、第2のデータ処理部にて、データメモリから光検出信号データを読出して、波長スペクトラムとして出力する。したがって、先の発明とほぼ同じ作用効果を奏することができる。
【0022】
さらに、別の発明は、上述した発明の光スペクトラムアナライザにおける、第1のデータ処理部は、入力された温度センサ信号データから波長範囲の波長に対応するアドレスを生成し、各光検出信号データを、データメモリ内の同時に入力された温度センサ信号データにて生成されたアドレスに書込む。また、第2のデータ処理部は、データメモリにおける各波長に対応するアドレスに記憶された光検出信号データを読出す。
【0023】
このように、温度センサ信号データを波長に対応するアドレスに変換することにより、データメモリの各アドレスには波長に対応した各光検出信号データが記憶されていることになり、第2のデータ処理部の処理負担を軽減できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る光スペクトラムアナライザの概略構成を示すブロック図である。
【0025】
測定すべき光信号aはAWG1の入力端子2に入力される。このAWG1は、例えば32個(n=32)の出力ポート3を有しており、図2に示すように測定すべき光信号aの測定波長範囲(測定波長幅)を分割して各出力ポート3にそれぞれ個別の光信号bとして出力する。
【0026】
測定波長範囲1540〜1560nmを32(n=32)の出力ポート3に分割する場合は1つの出力ポート3あたり20nm/32=0.63nmの波長範囲(波長幅)となる。AWG1の出力ポート3のフィルタ特性は半値幅25pmが実現可能である。したがって、AWG1の出力ポート3から出力される光信号bの最小波長幅は約25pmとなる。この半値幅とAWG1以降の処理速度により波長分解能が決まる。
【0027】
AWG1にはペルチェ素子やヒータ等の温度調整器4及び熱伝対等からなる温度センサ5が装着されており、温度制御部6から温度制御信号を入力して、AWG1内の光の導波路を温度調整することにより32個の出力ポート3に出力する光信号bの波長λを0.63nmの波長範囲(波長幅)内で可変できる。
【0028】
各出力ポート3からの光信号bはAWG1の各出力ポート3のフィルタ特性により切取られた波長成分を出力する。図2は温度制御が行われていない初期状態を示し、図3は温度制御を加えて波長λが変化した状態を示す。具体的には、図3の状態は図2の初期状態に比較して加熱した状態である。このようにAWG1の温度を上昇させると各出力ポート3から出力される光信号bの波長λを上昇できる。
【0029】
なお、AWG1への温度制御方式により、加熱時に反対方向(短波長側)に波長を変化させることも可能になる。
【0030】
特許文献1におけるAWGを用いた可変波長フィルタでは3Wの加熱電力を加えた場合に7nmの波長変化が得られている。掃引時間は、一般に出力強度0から3Wのパワーを加えて7nm離れた波長で出力レベルが90%になるのに60msかかっており、また3Wのパワーを加えておき、パワーを切断して印加前に比べて出力レベルが10%になるのに2msかかっている。
【0031】
この結果より、この実施形態における必要な0.63nmの波長掃引時間は、パワーオン時の時間60ms×0.63nm/7nm≒6msとパワー切断時の回復時間2msを加えて8msとなり、結果的に、測定すべき光信号aの測定波長範囲1540nm〜1560nmを1回掃引するのに要する掃引所要時間は10ms以下となり、高速掃引が可能である。
【0032】
図4に、温度制御部6から温度調整器4に印加する温度制御信号fの電圧の時間変化特性と、温度センサ5の温度センサ信号gから得られるAWG1の温度の時間変化特性と、各出力ポート3から出力される光信号bの波長λの時間変化特性を示す。
【0033】
波長掃引制御部7は、タイマ8の時間を用いて、図4に示す温度制御部6から温度調整器4に印加する温度制御信号fのタイミングを制御する。
図5は、AWG1を前述したように温度制御して波長掃引した場合に、AWG1の各出力ポート3から出力される各光信号bの各波長λの時間変化を示す。
【0034】
AWG1の各出力ポート3から出力される各光信号bは、それぞれ光検出器9で電気信号cに変換された後、A/D変換器10でデジタルの光検出信号データdへ変換されて、それぞれ第1のデータ処理部11へ入力される。この各第1のデータ処理部11には、温度センサ5から出力された温度センサ信号gがA/D変換器10でA/D変換されたデジタルの温度センサ信号データhが入力される。さらに、この各第1のデータ処理部11には、波長掃引制御部7から各種の指示iが入力されている。
【0035】
各第1のデータ処理部11は、図6(a)(b)に示すように、入力された温度センサ信号データhから、自己に対応する出力ポート3に割付られた0.63nmの波長幅を有す波長範囲内の波長λに対応するアドレスを生成する。そして、自己に入力された各光検出信号データdを、各波長の光検出信号データeとして、データメモリ12内の同時に入力された温度センサ信号データhにて生成されたアドレスに書込む。
【0036】
したがって、データメモリ12内の各アドレスは、測定すべき光信号aの20nmの波長幅を有する1540nm〜1560nmの測定波長範囲内の各波長λに対応する。そして、各波長λに対応する各アドレスには、該当波長λの光検出信号データeが記憶される。
【0037】
第2のデータ処理部14は、波長掃引制御部7からの指示iに基づいて、データメモリ12における各波長λに対応するアドレスに記憶された光検出信号データjを読出して、測定すべき光信号aの波長スペクトラムkとして、表示器15に表示出力する。この場合、指定された測定分解能に応じて、データメモリ12から読出した光検出信号データjに対して統計処理を実施して、波長スペクトラムkを算出して、表示器15に表示出力することも可能である。
【0038】
図7に、測定すべき光信号aが有する波長特性と、データメモリ12上のデータ(光検出信号データj)と、表示器15に表示された波長スペクトラムkとの対比を示す。
【0039】
そして、波長掃引制御部7は、図8に示す流れ図に従って各部に対する制御を実施する。
各第1のデータ処理部11と第2のデータ処理部14に対して温度制御掃引(波長掃引)の開始を指示iする(S1)。タイマ8に対して掃引時間(0.63nm掃引するのに必要な時間6ms)を設定して、タイマ8を起動する(S2)。そして、温度制御部6にAWG印加温度の上昇指示を送出する(S3)。タイマ8がタイムアップしたか判定する(S4)。タイムアップしていなければAWG印加温度の上昇指示に戻る(S3)。
【0040】
タイマ8がタイムアップしたならば(S4)、タイマ8に対して掃引を元に戻すのに必要な時間(0.63nm掃引した場合、2ms)を設定して、タイマ8を起動する(S5)。そして、温度制御部6にAWG印加温度の下降指示を送出する(S6)。タイマ8がタイムアップしたか判定する(S7)。タイムアップしていなければAWG印加温度の下降指示に戻る(S6)。
【0041】
タイマ8がタイムアップしたならば(S7)、測定すべき光信号aに対する測定終了かどうか判断し(S8)、終了でなければ、S2へ戻り、タイマ8に対して掃引時間(0.63nm掃引するのに必要な時間6ms)を設定して、タイマ8を起動する。そして、これ以降の処理を繰り返す。
終了の場合は(S8)、各第1のデータ処理部11と第2のデータ処理部14に対して温度制御掃引(波長掃引)の終了を指示iする(S9)。
【0042】
ここでは、AWG印加温度の上昇指示及び下降指示は、図4のように、掃引最終波長に対応する最終温度に達した場合に温度一定とする処理にしてもよい。
【0043】
また、各第1のデータ処理部11は、図9に示す流れ図に従って、入力された各光検出信号データdに対する処理を実施する。
【0044】
まず、波長掃引制御部7から指示iを受ける(P1)。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の開始であるかを判定し(P2)、開始指示でなかった場合は、波長掃引制御部7から指示iを受ける状態に戻る(P1)。開始指示があった場合には(P2)、この時点で入力されている温度センサ信号データhを自己内部に記憶する(P3)。温度センサ信号データhが、0.63nmの波長幅内の最終波長に対応する最終温度に達していなければ(P4)、この時点で入力されている光検出信号データdを自己内部に温度センサ信号データhに対応させて記憶する(P5)。そして、温度センサ信号データhの記憶に戻る(P3)。
【0045】
温度センサ信号データhが最終温度に達していれば(P4)、自己内部に記憶した各温度センサ信号データhから図6に示されているように温度に対応する波長λを求め、さらに自己内部に記憶した各光検出信号データdをデータメモリ12に書込む際のアドレスに変換する。そして、データメモリ12内のこのアドレスに自己内部に記憶した光検出信号データd(e)を書込む(P6)。
【0046】
この場合、前述したように、光検出信号データd(e)を書込むアドレスは複数ある第1のデータ処理部11毎に異なるアドレス範囲が割当てられており、第2のデータ処理部14で、光検出信号データe(j)を読出す際には全ての第1のデータ処理部11からの波長λが連続して読出せる配列とする。
【0047】
そして、波長掃引制御部7から指示iを受ける(P7)。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の終了の指示でなければ(P8)、P3へ戻り、温度センサ信号データhの記憶を行う。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の終了の指示の場合は(P8)、測定すべき光信号aに対する測定が終了したので、処理を終了する。
【0048】
さらに、第2のデータ処理部14は、図10に示す流れ図に従って、データメモリ12から各光検出信号データjを読取って波長スペクトラムkとして表示器15に表示出力する処理を実施する。
【0049】
はじめに、操作者の指示に基づいて測定分解能の設定を行う(Q1)。波長掃引制御部7から指示iを受ける(Q2)。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の開始であるかを判定し(Q3)、開始指示でなかった場合は、波長掃引制御部7から指示iを受ける状態に戻る(Q2)。
【0050】
開始指示があった場合には(Q3)、データメモリ12から各光検出信号データjを読出す(Q4)。そして先に設定した測定分解能で各光検出信号データjを波長スペクトラムkとして表示器15に出力する(Q5)。
【0051】
それから、波長掃引制御部7から指示iを受ける(Q6)。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の終了の指示でなければ(Q7)、Q4へ戻り、データメモリ12から各光検出信号データjを読出す。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の終了の指示の場合は(Q7)、測定すべき光信号aに対する測定が終了したので、処理を終了する。
【0052】
また、第2のデータ処理部14は、必要に応じて、表示器15に数値表示を行う。
【0053】
このように構成された光スペクトラムアナライザにおいては、測定すべき光信号aをAWG1の入力ポート2に入力すると、32個の出力ポート3から、32個の互いに異なる波長範囲に分割された32個の光信号bが出力される。AWG1を温度掃引(波長掃引)して32個の出力ポート3から出力された32の光信号bの各波長λを掃引して、第1、第2のデータ処理部11、14で信号処理(データ処理)することにより表示器15に波長スペクトラムkが表示される。
【0054】
この場合、実際の必要な波長掃引幅は、測定すべき光信号aの測定波長幅でなくて、測定波長幅の1/32のみでよい。具体的には、測定すべき光信号aの測定波長範囲1540〜1560nmの波長幅20nmの1/32の波長幅0.63nm分だけ各出力ポート3から出力される光信号bの波長λが、各出力ポート3に該当出力ポート3に割当られた波長幅0.63nmの波長範囲内で掃引されるように、AWG1の温度を掃引するのみでよい。
【0055】
前述したように、0.63nmの所要波長掃引時間は8msとなり、結果的に、測定すべき光信号aの測定波長範囲1540nm〜1560nmを1回掃引するのに要する掃引所要時間は10ms以下となり、高速掃引が可能である。また、0.63nmを10Msamples/sでA/D変換処理を行なえば0.008pmの波長分解能で処理可能なため、AWG1の各出力ポート3の帯域幅による波長分解能で分光可能である。
【0056】
このように機械的駆動部を用いた従来の波長掃引方法(測定波長範囲1540nm〜1560nmにて掃引所要時間500ms、分解能50pm)よりも高速で高分解能な光スペクトラム分光を実現する。
【0057】
なお、測定すべき光信号aの測定波長範囲(測定波長幅)が広い場合は、図11に示すように、測定すべき光信号aをカプラ17で分岐し、分岐した各光信号a1、a2を互いに異なる通過波長帯域を有するバンドパスフィルタ18を通過させて、個別のAWG1へ入力させる。すると、各AWG1の各出力ポート3から、測定すべき光信号aの全測定波長範囲における各波長を有した光信号bが出力される。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光スペクトラムアナライザにおいては、測定すべき光信号の測定波長幅の1/nの波長幅だけAWGの各出力ポートから出力される光信号の波長が自己に割当られた波長範囲内で掃引されるように、AWGの温度を掃引している。したがって、入力された光信号に対して、高速でかつ高精度で波長分析を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる光スペクトラムアナライザの概略構成を示すブロック図
【図2】同実施形態の光スペクトラムアナライザに組込まれたAWGの各出力ポートから出力される各光信号の波長分布を示す図
【図3】同じくAWGの各出力ポートから出力される各光信号の波長分布を示す図
【図4】AWGに加える温度と出力ポートから出力される光信号の波長との関係を示す図
【図5】AWGに加える温度の変化と各出力ポートから出力される各光信号の波長の変化との関係を示す図
【図6】AWGに加える温度と、各出力ポートから出力される各光信号の波長と、データメモリ内のアドレスとの関係を示す図
【図7】測定すべき光信号とデータメモリ上のデータと波長スペクトラムとの関係を示す図
【図8】同実施形態の光スペクトラムアナライザに組込まれた波長掃引制御部の動作を示す流れ図
【図9】同実施形態の光スペクトラムアナライザに組込まれた第1のデータ処理部の動作を示す流れ図
【図10】同実施形態の光スペクトラムアナライザに組込まれた第2のデータ処理部の動作を示す流れ図
【図11】複数のAWGが組込まれた光スペクトラムアナライザを示す模式図
【図12】機械的駆動方式を採用した従来の光スペクトラムアナライザの概略構成を示すブロック図
【図13】AWGを採用した従来の光スペクトラムアナライザの概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
1…AWG(アレイ導波路解析格子)、2…入力ポート、3…出力ポート、4…温度調整器、5…温度センサ、6…温度制御部、7…波長掃引制御部、8…タイマ、9…光検出器、10、13…A/D変換器、11…第1のデータ処理部、12…データメモリ、14…第2のデータ処理部、15…表示器
【発明の属する技術分野】
本発明はアレイ導波路回折格子(AWG:Array Waveguide Grating 以下AWGと略記する)を用いて光信号の波長分析を行う光スペクトラムアナライザに関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムで用いられる光信号にどのような波長成分が含まれるかを調べる波長分析を行う光スペクトラムアナライザとして、従来、図12に示す機械的駆動方式の光スペクトラムアナライザが用いられていた。
【0003】
図12において、入射ファイバからの入射光は第1の放物面鏡で平行光となり、回折格子に照射される。回折格子では波長により反射方向の差を生じるため、波長選択された光が第2の放物面鏡に入射する。ここで、回折格子の角度を機械的に駆動して変えることにより波長掃引ができる。なお、この基本的な構成を元にして、光を回折格子に複数回入射させるようにして波長分解能を高めることも行われている。第2の放物面鏡でこの分光された光をスリット上に集光させ、スリットで必要な帯域だけ切り出し、出射光を得る。
【0004】
この機械的駆動方式では、回折格子またはそれ以外の光学系を機械的に駆動することにより波長掃引を行う。そのため、掃引速度は駆動系の性能により決まり、分解能は回折格子とスリットの性能により決まる。
【0005】
例えばこの回折格子の溝数は1000本/mm程度である。高い分解能にするためには光路長を大きく取ればよいが装置が大型になり、高速掃引を行うことが難しくなる。また、スリット幅はビーム径により数μm程度の限界があり、ここでも制限を受ける。現状の性能としては、光通信システムで用いられる光信号の波長範囲1540〜1560nmの波長幅20nmを掃引する際に、分解能50pmで、掃引時間500ms程度を要する。また、掃引波長幅が20nmより狭くなると精密な機構制御が必要になるため掃引時間が1000msと長くなってしまう技術上の問題があった。
【0006】
これとは別に、AWGを採用した光スペクトラムアナライザが特許文献1に提唱されている。
【0007】
AWGは、周知のように、入力ポートから入力された光信号を、複数の出力ポートから、出力ポート毎に割付けられた波長範囲内の波長を有する複数の光信号に分割して出力する機能を有する。
【0008】
この光スペクトラムアナライザにおいていは、図13に示すように、ペルチェ素子上にAWGを取付けて構成された一種の可変波長フィルタを用いる。AWGのアレイ導波路はポリマ導波路で形成されている。ペルチェ素子で温度制御することにより可変波長フィルタの中心波長を変化させ、分光する波長を掃引する。また、波長分光出力を光検出器で受けて処理することにより波長スペクトラムを得る。
【0009】
しかしながら、この特許文献1に記載された光スペクトラムアナライザにおいては、AWGが有する複数の出力ポートのうち、単一の出力ポートで光スペクトラムを観測する。単一の出力ポートによる分光では例えば波長帯域(波長幅)20nmを温度掃引する時に要する時間は120msであり、高速分光は期待できない。
【0010】
この光スペクトラムアナライザでは、光検出器から後の処理は示されておらず、温度が安定してから光検出器の出力を取出すことになり、高速な処理は期待できない。
【0011】
また、波長分解能はAWGのフィルタ特性により決まる。一般に、AWGにおいては、半値幅を数十pmまで実現できるが、測定波長帯域(波長幅)を広く取り、かつ高分解能にすると処理速度がさらに遅くなるために高速、高分解能の分光を実現することは難しい。
【0012】
【特許文献】
特開2002―214459号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように回折格子を用いた波長掃引では回折格子を機械的に駆動するために、光信号の解析に必要な波長範囲1540〜1560nmの波長幅20nmを掃引するための必要な掃引時間は0.5s程度が下限であった。また、AWGを波長可変フィルタとして用いた方式では単一の出力ポートの出力による波長掃引であるため、掃引時間は120msが下限であった。波長分解能を高くするとさらに必要な掃引時間が長くなる課題があった。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、AWGが有する複数の出力ポートから出力されるそれぞれ波長範囲の異なる光信号を測定し合成することによって、入力された光信号に対して、高速でかつ高精度で波長分析を実施できる光スペクトラムアナライザを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するために、本発明の光スペクトラムアナライザにおいては、AWGの入力ポートに測定すべき光信号を入力し、このAWGのn(n;2以上の整数)個の出力ポートから出力される出力ポート毎の波長範囲内の波長を有する複数の光信号を測定し、合成して測定すべき光信号の波長スペクトラムを得る。
この場合、測定すべき光信号の測定波長幅の1/nの波長幅だけ各出力ポートから出力される光信号の波長が該当波長範囲内で掃引されるように、AWGの温度を掃引する。
【0016】
このように構成された光スペクトラムアナライザにおいては、測定対象の光信号をAWGの入力ポートに入力すると、n個の出力ポートから、n個の互いに異なる波長範囲内の波長を有するn個の光信号が出力される。そして、n個の出力ポートから出力されたn個の光信号の各波長を、AWGを温度制御して掃引して、n個の光信号を測定し、合成することによって、測定すべき光信号の波長スペクトラムを得ることができる。
【0017】
この場合、実際の必要な波長掃引幅は、測定すべき光信号の測定波長幅でなくて、測定波長幅の1/nのみでよい。例えば、光信号の解析に必要な波長範囲1540〜1560nmの波長幅(測定波長幅)20nmを掃引するために実際に必要な波長掃引幅は、出力ポート数を32(n=32)とすれば、20nm/32=0.63nmとなり、必要な波長掃引時間も大幅に短縮できる。
【0018】
また、別の発明の光スペクトラムアナライザは、温度調整器及び温度センサが組込まれ、入力ポートから入力した測定すべき光信号を、n(n;2以上の整数)個の出力ポートから出力ポート毎の波長範囲内の波長を有する複数の光信号に分離して出力するAWGと、このAWGの各出力ポートから出力される光信号を電気信号に変換する複数の光検出器と、この複数の光検出器から出力された各電気信号をデジタルの光検出信号データに変換する複数のA/D変換器と、測定すべき光信号の測定波長幅の1/nの波長幅だけ各出力ポートから出力される光信号の波長が該当波長範囲内で掃引されるように、温度調整器を介してAWGの温度を掃引する波長掃引制御部と、各光検出信号データを一時記憶するためのデータメモリと、温度センサからの温度センサ信号データ及び各A/D変換器から出力された各光検出信号データが入力され、各光検出信号データを出力された出力ポートの波長範囲の各波長に対応させてデータメモリに書込む複数の第1のデータ処理部と、このデータメモリに記憶された各波長の光検出信号データを読出して、測定すべき光信号の波長スペクトラムとして出力する第2のデータ処理部とを備えている。
【0019】
このように構成された光スペクトラムアナライザにおいては、光信号をAWGに入力し、波長掃引制御部にて、測定波長幅の1/nの波長幅だけ各出力ポートから出力される光信号の波長が該当波長範囲内で掃引されるように、AWGの温度制御を行う。
【0020】
第1のデータ処理部にて、AWGの複数の出力ポートに設置した光検出器により検出したアナログ値をA/D変換した光検出信号データと温度センサ信号データを元に算出した温度に対応した波長を対応させた光検出信号データをデータメモリに書込む。
【0021】
また、第2のデータ処理部にて、データメモリから光検出信号データを読出して、波長スペクトラムとして出力する。したがって、先の発明とほぼ同じ作用効果を奏することができる。
【0022】
さらに、別の発明は、上述した発明の光スペクトラムアナライザにおける、第1のデータ処理部は、入力された温度センサ信号データから波長範囲の波長に対応するアドレスを生成し、各光検出信号データを、データメモリ内の同時に入力された温度センサ信号データにて生成されたアドレスに書込む。また、第2のデータ処理部は、データメモリにおける各波長に対応するアドレスに記憶された光検出信号データを読出す。
【0023】
このように、温度センサ信号データを波長に対応するアドレスに変換することにより、データメモリの各アドレスには波長に対応した各光検出信号データが記憶されていることになり、第2のデータ処理部の処理負担を軽減できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る光スペクトラムアナライザの概略構成を示すブロック図である。
【0025】
測定すべき光信号aはAWG1の入力端子2に入力される。このAWG1は、例えば32個(n=32)の出力ポート3を有しており、図2に示すように測定すべき光信号aの測定波長範囲(測定波長幅)を分割して各出力ポート3にそれぞれ個別の光信号bとして出力する。
【0026】
測定波長範囲1540〜1560nmを32(n=32)の出力ポート3に分割する場合は1つの出力ポート3あたり20nm/32=0.63nmの波長範囲(波長幅)となる。AWG1の出力ポート3のフィルタ特性は半値幅25pmが実現可能である。したがって、AWG1の出力ポート3から出力される光信号bの最小波長幅は約25pmとなる。この半値幅とAWG1以降の処理速度により波長分解能が決まる。
【0027】
AWG1にはペルチェ素子やヒータ等の温度調整器4及び熱伝対等からなる温度センサ5が装着されており、温度制御部6から温度制御信号を入力して、AWG1内の光の導波路を温度調整することにより32個の出力ポート3に出力する光信号bの波長λを0.63nmの波長範囲(波長幅)内で可変できる。
【0028】
各出力ポート3からの光信号bはAWG1の各出力ポート3のフィルタ特性により切取られた波長成分を出力する。図2は温度制御が行われていない初期状態を示し、図3は温度制御を加えて波長λが変化した状態を示す。具体的には、図3の状態は図2の初期状態に比較して加熱した状態である。このようにAWG1の温度を上昇させると各出力ポート3から出力される光信号bの波長λを上昇できる。
【0029】
なお、AWG1への温度制御方式により、加熱時に反対方向(短波長側)に波長を変化させることも可能になる。
【0030】
特許文献1におけるAWGを用いた可変波長フィルタでは3Wの加熱電力を加えた場合に7nmの波長変化が得られている。掃引時間は、一般に出力強度0から3Wのパワーを加えて7nm離れた波長で出力レベルが90%になるのに60msかかっており、また3Wのパワーを加えておき、パワーを切断して印加前に比べて出力レベルが10%になるのに2msかかっている。
【0031】
この結果より、この実施形態における必要な0.63nmの波長掃引時間は、パワーオン時の時間60ms×0.63nm/7nm≒6msとパワー切断時の回復時間2msを加えて8msとなり、結果的に、測定すべき光信号aの測定波長範囲1540nm〜1560nmを1回掃引するのに要する掃引所要時間は10ms以下となり、高速掃引が可能である。
【0032】
図4に、温度制御部6から温度調整器4に印加する温度制御信号fの電圧の時間変化特性と、温度センサ5の温度センサ信号gから得られるAWG1の温度の時間変化特性と、各出力ポート3から出力される光信号bの波長λの時間変化特性を示す。
【0033】
波長掃引制御部7は、タイマ8の時間を用いて、図4に示す温度制御部6から温度調整器4に印加する温度制御信号fのタイミングを制御する。
図5は、AWG1を前述したように温度制御して波長掃引した場合に、AWG1の各出力ポート3から出力される各光信号bの各波長λの時間変化を示す。
【0034】
AWG1の各出力ポート3から出力される各光信号bは、それぞれ光検出器9で電気信号cに変換された後、A/D変換器10でデジタルの光検出信号データdへ変換されて、それぞれ第1のデータ処理部11へ入力される。この各第1のデータ処理部11には、温度センサ5から出力された温度センサ信号gがA/D変換器10でA/D変換されたデジタルの温度センサ信号データhが入力される。さらに、この各第1のデータ処理部11には、波長掃引制御部7から各種の指示iが入力されている。
【0035】
各第1のデータ処理部11は、図6(a)(b)に示すように、入力された温度センサ信号データhから、自己に対応する出力ポート3に割付られた0.63nmの波長幅を有す波長範囲内の波長λに対応するアドレスを生成する。そして、自己に入力された各光検出信号データdを、各波長の光検出信号データeとして、データメモリ12内の同時に入力された温度センサ信号データhにて生成されたアドレスに書込む。
【0036】
したがって、データメモリ12内の各アドレスは、測定すべき光信号aの20nmの波長幅を有する1540nm〜1560nmの測定波長範囲内の各波長λに対応する。そして、各波長λに対応する各アドレスには、該当波長λの光検出信号データeが記憶される。
【0037】
第2のデータ処理部14は、波長掃引制御部7からの指示iに基づいて、データメモリ12における各波長λに対応するアドレスに記憶された光検出信号データjを読出して、測定すべき光信号aの波長スペクトラムkとして、表示器15に表示出力する。この場合、指定された測定分解能に応じて、データメモリ12から読出した光検出信号データjに対して統計処理を実施して、波長スペクトラムkを算出して、表示器15に表示出力することも可能である。
【0038】
図7に、測定すべき光信号aが有する波長特性と、データメモリ12上のデータ(光検出信号データj)と、表示器15に表示された波長スペクトラムkとの対比を示す。
【0039】
そして、波長掃引制御部7は、図8に示す流れ図に従って各部に対する制御を実施する。
各第1のデータ処理部11と第2のデータ処理部14に対して温度制御掃引(波長掃引)の開始を指示iする(S1)。タイマ8に対して掃引時間(0.63nm掃引するのに必要な時間6ms)を設定して、タイマ8を起動する(S2)。そして、温度制御部6にAWG印加温度の上昇指示を送出する(S3)。タイマ8がタイムアップしたか判定する(S4)。タイムアップしていなければAWG印加温度の上昇指示に戻る(S3)。
【0040】
タイマ8がタイムアップしたならば(S4)、タイマ8に対して掃引を元に戻すのに必要な時間(0.63nm掃引した場合、2ms)を設定して、タイマ8を起動する(S5)。そして、温度制御部6にAWG印加温度の下降指示を送出する(S6)。タイマ8がタイムアップしたか判定する(S7)。タイムアップしていなければAWG印加温度の下降指示に戻る(S6)。
【0041】
タイマ8がタイムアップしたならば(S7)、測定すべき光信号aに対する測定終了かどうか判断し(S8)、終了でなければ、S2へ戻り、タイマ8に対して掃引時間(0.63nm掃引するのに必要な時間6ms)を設定して、タイマ8を起動する。そして、これ以降の処理を繰り返す。
終了の場合は(S8)、各第1のデータ処理部11と第2のデータ処理部14に対して温度制御掃引(波長掃引)の終了を指示iする(S9)。
【0042】
ここでは、AWG印加温度の上昇指示及び下降指示は、図4のように、掃引最終波長に対応する最終温度に達した場合に温度一定とする処理にしてもよい。
【0043】
また、各第1のデータ処理部11は、図9に示す流れ図に従って、入力された各光検出信号データdに対する処理を実施する。
【0044】
まず、波長掃引制御部7から指示iを受ける(P1)。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の開始であるかを判定し(P2)、開始指示でなかった場合は、波長掃引制御部7から指示iを受ける状態に戻る(P1)。開始指示があった場合には(P2)、この時点で入力されている温度センサ信号データhを自己内部に記憶する(P3)。温度センサ信号データhが、0.63nmの波長幅内の最終波長に対応する最終温度に達していなければ(P4)、この時点で入力されている光検出信号データdを自己内部に温度センサ信号データhに対応させて記憶する(P5)。そして、温度センサ信号データhの記憶に戻る(P3)。
【0045】
温度センサ信号データhが最終温度に達していれば(P4)、自己内部に記憶した各温度センサ信号データhから図6に示されているように温度に対応する波長λを求め、さらに自己内部に記憶した各光検出信号データdをデータメモリ12に書込む際のアドレスに変換する。そして、データメモリ12内のこのアドレスに自己内部に記憶した光検出信号データd(e)を書込む(P6)。
【0046】
この場合、前述したように、光検出信号データd(e)を書込むアドレスは複数ある第1のデータ処理部11毎に異なるアドレス範囲が割当てられており、第2のデータ処理部14で、光検出信号データe(j)を読出す際には全ての第1のデータ処理部11からの波長λが連続して読出せる配列とする。
【0047】
そして、波長掃引制御部7から指示iを受ける(P7)。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の終了の指示でなければ(P8)、P3へ戻り、温度センサ信号データhの記憶を行う。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の終了の指示の場合は(P8)、測定すべき光信号aに対する測定が終了したので、処理を終了する。
【0048】
さらに、第2のデータ処理部14は、図10に示す流れ図に従って、データメモリ12から各光検出信号データjを読取って波長スペクトラムkとして表示器15に表示出力する処理を実施する。
【0049】
はじめに、操作者の指示に基づいて測定分解能の設定を行う(Q1)。波長掃引制御部7から指示iを受ける(Q2)。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の開始であるかを判定し(Q3)、開始指示でなかった場合は、波長掃引制御部7から指示iを受ける状態に戻る(Q2)。
【0050】
開始指示があった場合には(Q3)、データメモリ12から各光検出信号データjを読出す(Q4)。そして先に設定した測定分解能で各光検出信号データjを波長スペクトラムkとして表示器15に出力する(Q5)。
【0051】
それから、波長掃引制御部7から指示iを受ける(Q6)。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の終了の指示でなければ(Q7)、Q4へ戻り、データメモリ12から各光検出信号データjを読出す。指示iが温度制御掃引(波長掃引)の終了の指示の場合は(Q7)、測定すべき光信号aに対する測定が終了したので、処理を終了する。
【0052】
また、第2のデータ処理部14は、必要に応じて、表示器15に数値表示を行う。
【0053】
このように構成された光スペクトラムアナライザにおいては、測定すべき光信号aをAWG1の入力ポート2に入力すると、32個の出力ポート3から、32個の互いに異なる波長範囲に分割された32個の光信号bが出力される。AWG1を温度掃引(波長掃引)して32個の出力ポート3から出力された32の光信号bの各波長λを掃引して、第1、第2のデータ処理部11、14で信号処理(データ処理)することにより表示器15に波長スペクトラムkが表示される。
【0054】
この場合、実際の必要な波長掃引幅は、測定すべき光信号aの測定波長幅でなくて、測定波長幅の1/32のみでよい。具体的には、測定すべき光信号aの測定波長範囲1540〜1560nmの波長幅20nmの1/32の波長幅0.63nm分だけ各出力ポート3から出力される光信号bの波長λが、各出力ポート3に該当出力ポート3に割当られた波長幅0.63nmの波長範囲内で掃引されるように、AWG1の温度を掃引するのみでよい。
【0055】
前述したように、0.63nmの所要波長掃引時間は8msとなり、結果的に、測定すべき光信号aの測定波長範囲1540nm〜1560nmを1回掃引するのに要する掃引所要時間は10ms以下となり、高速掃引が可能である。また、0.63nmを10Msamples/sでA/D変換処理を行なえば0.008pmの波長分解能で処理可能なため、AWG1の各出力ポート3の帯域幅による波長分解能で分光可能である。
【0056】
このように機械的駆動部を用いた従来の波長掃引方法(測定波長範囲1540nm〜1560nmにて掃引所要時間500ms、分解能50pm)よりも高速で高分解能な光スペクトラム分光を実現する。
【0057】
なお、測定すべき光信号aの測定波長範囲(測定波長幅)が広い場合は、図11に示すように、測定すべき光信号aをカプラ17で分岐し、分岐した各光信号a1、a2を互いに異なる通過波長帯域を有するバンドパスフィルタ18を通過させて、個別のAWG1へ入力させる。すると、各AWG1の各出力ポート3から、測定すべき光信号aの全測定波長範囲における各波長を有した光信号bが出力される。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光スペクトラムアナライザにおいては、測定すべき光信号の測定波長幅の1/nの波長幅だけAWGの各出力ポートから出力される光信号の波長が自己に割当られた波長範囲内で掃引されるように、AWGの温度を掃引している。したがって、入力された光信号に対して、高速でかつ高精度で波長分析を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる光スペクトラムアナライザの概略構成を示すブロック図
【図2】同実施形態の光スペクトラムアナライザに組込まれたAWGの各出力ポートから出力される各光信号の波長分布を示す図
【図3】同じくAWGの各出力ポートから出力される各光信号の波長分布を示す図
【図4】AWGに加える温度と出力ポートから出力される光信号の波長との関係を示す図
【図5】AWGに加える温度の変化と各出力ポートから出力される各光信号の波長の変化との関係を示す図
【図6】AWGに加える温度と、各出力ポートから出力される各光信号の波長と、データメモリ内のアドレスとの関係を示す図
【図7】測定すべき光信号とデータメモリ上のデータと波長スペクトラムとの関係を示す図
【図8】同実施形態の光スペクトラムアナライザに組込まれた波長掃引制御部の動作を示す流れ図
【図9】同実施形態の光スペクトラムアナライザに組込まれた第1のデータ処理部の動作を示す流れ図
【図10】同実施形態の光スペクトラムアナライザに組込まれた第2のデータ処理部の動作を示す流れ図
【図11】複数のAWGが組込まれた光スペクトラムアナライザを示す模式図
【図12】機械的駆動方式を採用した従来の光スペクトラムアナライザの概略構成を示すブロック図
【図13】AWGを採用した従来の光スペクトラムアナライザの概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
1…AWG(アレイ導波路解析格子)、2…入力ポート、3…出力ポート、4…温度調整器、5…温度センサ、6…温度制御部、7…波長掃引制御部、8…タイマ、9…光検出器、10、13…A/D変換器、11…第1のデータ処理部、12…データメモリ、14…第2のデータ処理部、15…表示器
Claims (3)
- アレイ導波路回折格子(1)の入力ポート(2)に測定すべき光信号(a)を入力し、このアレイ導波路回折格子のn(n;2以上の整数)個の出力ポート(3)から出力される出力ポート毎の波長範囲内の波長(λ)を有する複数の光信号(b)を測定し合成して前記測定すべき光信号の波長スペクトラム(k)を得る光スペクトラムアナライザであって、
前記測定すべき光信号(a)の測定波長幅の1/nの波長幅だけ前記各出力ポートから出力される光信号(b)の波長が該当波長範囲内で掃引されるように、前記アレイ導波路回折格子の温度を掃引することを特徴とする光スペクトラムアナライザ。 - 温度調整器(4)及び温度センサ(5)が組込まれ、入力ポート(2)から入力した測定すべき光信号(a)を、n(n;2以上の整数)個の出力ポート(3)から出力ポート毎の波長範囲内の波長を有する複数の光信号(b)に分離して出力するアレイ導波路回折格子(1)と、
このアレイ導波路回折格子の各出力ポートから出力される光信号を電気信号に変換する複数の光検出器(9)と、
この複数の光検出器から出力された各電気信号をデジタルの光検出信号データ(d)に変換する複数のA/D変換器(10)と、
前記測定すべき光信号の測定波長幅の1/nの波長幅だけ前記各出力ポートから出力される光信号の波長が該当波長範囲内で掃引されるように、前記温度調整器を介して前記アレイ導波路回折格子の温度を掃引する波長掃引制御部(7)と、
前記各光検出信号データを一時記憶するためのデータメモリ(12)と、
前記温度センサからの温度センサ信号データ及び前記各A/D変換器から出力された各光検出信号データが入力され、各光検出信号データを出力された出力ポートの波長範囲の各波長に対応させて前記データメモリに書込む複数の第1のデータ処理部(11)と、
前記データメモリに記憶された各波長の光検出信号データを読出して、前記測定すべき光信号の波長スペクトラム(k)として出力する第2のデータ処理部(14)と
を備えたことを特徴とする光スペクトラムアナライザ。 - 前記第1のデータ処理部は、入力された温度センサ信号データから前記波長範囲の波長に対応するアドレスを生成し、前記各光検出信号データを、前記データメモリ内の同時に入力された温度センサ信号データにて生成されたアドレスに書込み、
前記第2のデータ処理部は、前記データメモリにおける各波長に対応するアドレスに記憶された光検出信号データを読出す
ことを特徴とする請求項2記載の光スペクトラムアナライザ。
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