JP2004251529A - 傘脱水機 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で傘に付着した水分を除去することができ、さらに除去した水滴の処理を容易にできるようにすることを目的とする。
【解決手段】箱体1内の上部側に設けられた脱水処理空間部25に開口部3から挿入されて閉じた状態の傘2が収納されている場合に、箱体1内の下部側に設けられた送風機7が作動すると、送風機7は外部から取り入れた空気を箱体1内に設けられた空気流噴出手段である送気パイプ23に送風し、送気パイプ23に設けられた複数の孔24から脱水処理空間部25に収納された傘2の全長に亘って高速の空気流として噴出するようにしたので、傘2のシャフト26に沿って生地に高速の空気流が当たり、短時間で傘2に付着した水分を除去することができ、傘2から吹き飛ばされた水分は脱水処理空間部25から箱体1内の下部側に設けられた排気空間部21に流れ落ちるため、除去した水滴の処理も容易にできる。
【選択図】 図1
【解決手段】箱体1内の上部側に設けられた脱水処理空間部25に開口部3から挿入されて閉じた状態の傘2が収納されている場合に、箱体1内の下部側に設けられた送風機7が作動すると、送風機7は外部から取り入れた空気を箱体1内に設けられた空気流噴出手段である送気パイプ23に送風し、送気パイプ23に設けられた複数の孔24から脱水処理空間部25に収納された傘2の全長に亘って高速の空気流として噴出するようにしたので、傘2のシャフト26に沿って生地に高速の空気流が当たり、短時間で傘2に付着した水分を除去することができ、傘2から吹き飛ばされた水分は脱水処理空間部25から箱体1内の下部側に設けられた排気空間部21に流れ落ちるため、除去した水滴の処理も容易にできる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、傘に付着した水分を脱水する傘脱水機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の傘脱水機は、本体ケースに設けられた傘差込口の口縁と奥側とにそれぞれ環状の送風ノズルが設けられ、傘の差込み方向に向かって斜めに送風ノズルから放射状の空気流が吹出されるようになっており、濡れた傘を折畳んだ状態で傘差込口から差込むと、口元の送風ノズルから吹出される空気流が傘に当り跳ね返り、吹出し気流と衝突して乱流を生じ、傘の襞部分を揺さぶり傘布に付着した水分を揺さぶりながら空気流によって払拭していき、傘の差込み深さが増すに連れ奥側の送風ノズルにより同様の作用を受け傘布の水分を除去するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000―111250号公報(第3−4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の傘脱水機は、傘差込口の口縁と奥側とにそれぞれ設けられた環状の送風ノズルによって差し込まれた傘に空気を吹き付けているので、傘に付着した水分を除去するには、ゆっくり差し込んだり何回も挿し込んだりしなければならず、脱水処理に時間がかかるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、短時間で傘に付着した水分を除去することができ、さらに除去した水滴の処理が容易にできる傘脱水機を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る傘脱水機は、上部に傘を挿入するための開口部を有する箱体と、箱体内の上部側に設けられ、前記開口部から挿入されて閉じた状態の傘を収納して脱水を行う脱水処理空間部と、箱体内の下部側に設けられ、外部から取り入れた空気を送風する送風機と、箱体内に設けられ、前記送風機から送風される空気を前記脱水処理空間部に収納された前記傘の全長に亘って噴出する空気流噴出手段と、箱体内の下部側に前記脱水処理空間部の下部と連通して設けられ、該脱水処理空間部内に噴出された空気を外部に排出する排気空間部とを備えたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の傘脱水機に傘が挿入された状態の縦断面図、図2は同傘脱水機に傘が挿入される途中の状態の縦断面図、図3は同傘脱水機の斜視図、図4は図3のA−A線での横断面図、図5は図3のB−B線での横断面図である。
図において、この実施の形態1の傘脱水機は、大別して、上部の円筒体1aと下部の楕円筒体1bとからなる箱体1と、円筒体1aの傾斜した天面4の中央に形成され、傘2を挿入するための例えば、直径が約100mmから約120mmの開口部3と、円筒体1a内に形成され、開口部3から挿入された傘2に風を吹き付けて表面に付着する水分を除去する空気流噴出手段である送気パイプ23を備える空気流噴出手段収納部5と、楕円筒体1b内に形成され、取り込んだ空気を空気流噴出手段収納部5の送気パイプ23に送るための送風手段である2台の送風機7を左右に配置して備える送風手段収納部6とを有して構成されている。空気流噴出手段収納部5を形成する円筒体1aの底部と送風手段収納部6を形成する楕円筒体1bの上部はネジ1cにより連結されている。なお、開口部3の内側面は撥水処理加工が施されている。
【0008】
次に、傘脱水機1の内部構造について、図1の傘脱水機の縦断面図をもとに詳述する。
箱体1の楕円筒体1b内で送風手段収納部6の外側周囲に外部から空気を取り入れるための空気取入通路8が設けられており、その空気取入通路8の下方に取入口9が設けられ、空気取入通路8の上方に吸込口10が設けられている。
送風手段収納部6の上部には、空気取入通路8の吸込口10と連通し、上方に吸音構造体11が設けられた吸込気室12が設けられている。その吸込気室12の下部の隔壁13にはファン吸込口14が設けられている。
【0009】
送風手段収納部6の下部には、吸込気室12のファン吸込口14と連通し、送風機7が収納された排気室15が設けられている。
排気室15内に収納された送風機7は、排気室15の上部に設けられたパッキン材16と排気室15の下部である送風手段収納部6の底面18に設けられたゴムブッシュ17とにより、防振状態で固定されている。
また、排気室15の内側面19には送風機7に吸込まれた空気を楕円筒体1b内の中心に形成された排気空間部21に吹き出させる孔20が設けられている。また、排気室15の上部には4本の送気パイプ23の下端と接続される吹出口22が設けられている。
【0010】
箱体1の円筒体1a内に形成された空気流噴出手段収納部5に設けられた各送気パイプ23は、表面を撥水処理加工された例えば、直径30mm、厚み0.5mmのステンレス製である。その送気パイプ23の上端は塞がれており、下端は吹出口22に接続されている。また、送気パイプ23にはその略全長に亘り、円筒体1a内で空気流噴出手段収納部5の中心に形成された脱水処理空間部25に高い運動エネルギを有する高速の空気流を噴出させるための複数の孔24が設けられている。
なお、これらの孔24は4本の送気パイプ23を頂点とした四角形のおおよそ中心方向に向かって空気を噴出するようにレーザを使った後加工で設けられており、おおよそ傘2のシャフト26に沿って生地に空気流を当てることができるようになっている。
【0011】
また、4本の送気パイプ23は、互いに平行になるように設置してもよいが、排気室15の吹出口22と接続された送気パイプ23の対向同士の間隔を約70mmから90mmとし、開口部3近傍の送気パイプ23の対向同士の間隔を約100mmから120mmとすることにより、傘2の石突き27の根元から親骨28を通って露先29までとシャフト26との傾きや、折り畳まれた生地の折り目30とシャフト26との傾きと同じような角度となり、さらに脱水効率が向上する。
【0012】
さらに、送気パイプ23の下方の一端から上方の他端の間に設けられた複数の孔24は、下方ほど穴間のピッチが広く、上方になるほどピッチが狭くなっている。また、4本の送気パイプ23のうち相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24は、高さが1/2ずつずれている。
また、空気流噴出手段収納部5の上部には開口部3から挿入された傘2の存在を検知する第1の物体検知センサ33が設けられ、空気流噴出手段収納部5の下部には開口部3から挿入された傘2の存在を検知する第2の物体検知センサ34が設けられている。これら第1及び第2の物体検知センサ33,34は送風機7に対して通電制御を行う制御回路45に接続されている。
【0013】
箱体1の楕円筒体1b内の中心に形成された排気空間部21の下方には、除水した水滴を溜めるドレインタンク41が内蔵されている。ドレインタンク41の上面開口部は排気空間部21の排気開口部の大きさより多少大きい程度で、ドレインタンク上面の外周全周囲にはタンク凸部42を有している。また、ドレインタンク41の上面開口部周囲は吸水材43が貼りつけられており、ドレインタンク内部の中央には、クッション材44が設けられている。
【0014】
ドレインタンク41の上面開口部は、排気空間部21の排気開口部の大きさより多少大きい程度であるため、ドレインタンク41を取り出して運搬する場合にドレイン水はこぼれにくい。ドレインタンク41の上面の外周にはタンク凸部42が設けられているため、排気空間部21から滴下した水滴がドレインタンク41の上面開口部に入らないで該上面開口部の周囲に飛び散った場合においてもドレインタンク41の上面から流れ落ちて箱体1の底面にこぼれることはない。ドレインタンク41は例えば、ブロー成形などのより製造すれば、軽量でしかもタンク凸部42をドレインタンク41と一体で成形できる。
【0015】
また、ドレインタンク41の上面開口部周囲に吸水材43を貼り付けているため、飛び散った水滴は、これにより保水されこの効果が一層向上する。
さらに、ドレインタンク41の取り出しは、図3に示すように例えば箱体1の楕円筒体1bの下部に設けられたタンクカバー48を開いて手前にスライドさせれば容易に取り出すことができる。
さらに、ドレインタンク41の内部中央にクッション材44が設けられていることにより、傘の石突き27がドレインタンク41の底面に当たり衝撃により壊れたりすることを防止できる。さらには、ドレインタンク41に溜まった水の中に石突き27部分及びこの周辺の傘布がこの水で濡れることを防ぐため、例えば厚みのあるクッション材44を設けることで石突き27部分が入り込む寸法を軽減できる。または、ドレインタンク41の上面開口部に傘2の石突き27のドレインタンク41への入り込みを規制する部材を設け、この部材にクッション材41を設けても良い。
また、清掃などで送風孔24から排気室15に入り込んだ水滴は、送風手段収納部6の底面18に設けられたドレイン排出孔47により送風機7が運転されれば排気室15が高圧になるため、排出できる。
【0016】
次に、この発明の実施の形態1の傘脱水機の動作について図1〜図4に基づいて説明する。
まず、傘脱水機に傘2を挿入して脱水する動作について説明する。
図1に示すように傘脱水機における箱体1の円筒体1aの上部に設けられた開口部3から手元31を持って閉じた傘2を挿入していくと、傘2の先端が開口部3を有する傾斜した天面4の内側を通って次第に下降していく。
そうすると、空気流噴出手段収納部5の上部に設けられた第1の物体検知センサ33が傘2の存在を検知し、さらに傘2を挿入していくと、空気流噴出手段収納部5の下部に設けられた第2の物体検知センサ34が傘2の存在を検知する。これら第1及び第2の物体検知センサ33、34が傘2の存在を検知し、その検知信号を受けた制御回路45は2台の送風機7にそれぞれ給電を開始する。そうすると、各送風機7が作動を開始して傘2の脱水が開始される。
【0017】
ところで、傘2を開口部3から挿入する際、図2のように傘のシャフト6を斜めに挿入した場合、傘の石突き27は、円筒体1aの内側面に当たり、下方へとガイドされ、その下部に位置した漏斗状の石突きガイド39で排気空間部21へとガイドされ、ドレインタンク41へと入りこみ、図1のように傘を真上から真直ぐに挿入した場合と同じになる。漏斗状の石突きガイド39の外径は円筒体1aの内側面に内接するようになっており、円筒体1aの内側面と石突きガイド39の外径部隙間部分に石突き27が入り込んでしまうというようなトラブルはなく、傘2の挿入性が非常に改善されている。
【0018】
このように、各送風機7が作動すると、取入口9から取り入れられた空気が、空気取入通路8を通り、空気取入通路8の上方に設けられた吸込口10から上部に吸音構造体11が設けられた吸込気室12を通って、吸込気室12の下部の隔壁13に設けられたファン吸込口14から送風機7に吸込まれる。
そして、送風機7に吸込まれて排気室15内に吹き出された空気は、排気室15内の静圧を上昇させ、一部は排気室15の内側面19に設けられた孔20より排気空間部21に高い運動エネルギを有する高速の空気流として噴出され、その他の空気の大部分は、排気室15の上部に設けられた吹出口22と下方の一端とが接続された送気パイプ23へ送風される。
【0019】
送気パイプ23を流れる空気は、送気パイプ23の下方の一端と上方の他端との間に設けられた複数の孔24より脱水処理空間部25に高い運動エネルギーを有する高速の空気流として噴出される。これら孔24は4本の送気パイプ23を頂点とした四角形のおおよそ中心方向に向かって空気を噴出するよう設けられているため、傘2のシャフト26に沿って生地に空気流が当たり、脱水される。
【0020】
また、箱体1の楕円筒体1bに設けられている送風手段収納部6はその中央に排気空間部21を有し、脱水処理空間部25と連通しており、その排気空間部21の下方にドレインタンク41の上面開口部が位置しているため、傘2から吹き飛ばされた水滴は、円筒体1aの内面に付着後、自重で滴下し石突きガイド39でガイドされ、排気空間部21からドレインタンク41内に溜まるため、特別な機構がなくても傘2から吹飛ばされた水滴を回収することができる。
また、開口部3からゴミなどを入れられた場合においても、脱水処理空間部25と排気空間部21は連通しているため、例えば、ドレインタンク41を取出せば、容易に取り除くことができる。
【0021】
ところで、傘2を抜くときに、相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される高速の空気流が衝突すると、開口部3から傘脱水機の外に向かって気流が発生する。この気流が傘2から吹き飛ばした水滴まで運ぶので、傘脱水機の使用者や周囲が水浸しになるおそれがある。そのため、前述したように、4本の送気パイプ23のうち相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24のピッチを1/2ずらし、相対する送気パイプ23の孔24から噴出される高速の空気流を上下方向に互い違いになるようにして、傘脱水機の外部へ向かう気流の発生を抑制している。
【0022】
図6はこの発明の実施の形態1の傘脱水機の第1の変形例を示し、図4と同様な横断面図である。
この実施の形態1の第1の変形例は、相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される高速の空気流の衝突を防ぐ手段として、孔のピッチを高さ方向にずらす実施の形態1と異なり、水平方向の高速空気流の噴出方向を変更するようにしたものである。
この第1の変形例では、図6に示すように、相対する2本の送気パイプ23の中心を結んだ線と孔24aから噴出される高速空気流の成す角θを5〜20度に設定したものである。
【0023】
この場合には、4本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される空気流の傾く方向が、それぞれの孔24から見て左前方になっており、いずれも相対する2本の送気パイプ23の中心を結んだ線と孔24から噴出される高速空気流の成す角θが5〜20度になる。このようにすることで、水平面上で相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される高速の空気流が衝突するのを防止している。
【0024】
図7はこの発明の実施の形態1の傘脱水機の第2の変形例で、図4と同様な横断面図である。
この実施の形態1の第2の変形例は、第1の変形例を改良したものである。
即ち、図6の第1の変形例では、4本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される空気流の傾く方向が、全ての送気パイプ23について、それぞれの孔24から見て左前方になっていると、高速気流を吹きつけることで傘2が一定方向に回転してしまうことがある。
そこで、図7に示す第2の変形例では、傘2に対して一方向にだけ空気流が吹き付けられないように、4本の送気パイプ23の孔24から噴出される空気流のうち一部だけ傾く方向をその他のものとは反対向きとなるように孔24bからの空気流の噴出方向を送気パイプ23aの中心から見て右前方となるようにした。こうすることにより、高速気流を吹きつけても、傘2が一定方向に回転してしまうことが解消される。
【0025】
上述した実施の形態1の傘脱水機では、内部に収納された傘2の隣り合った2本の親骨28の間の生地の折り目30が、親骨28よりも外側になり、折り目30が送気パイプ23間に挟まれた状態になる。
従って、例えば図7の構成を例にとると、送風が開始され、傘2の手元31を持ち、4本の送気パイプ23のうちの1本を送気パイプ23bとし、連続する折り目を順に折り目30a、30b、30cとし、これらの折り目の隣の親骨を親骨28a、28b、28c、28dとした場合、傘2を図に向かって右方向に回すことで送気パイプ23bに折り目30aから折り目30b、折り目30cまでが次々と接触し捲られる。
これにより、折り目30aと親骨28a間の生地、折り目30bと親骨28b間の生地、折り目30cと親骨28c間の生地、に次々に送気パイプ4bの孔24からの空気流が当たることになり脱水される。
【0026】
続いて、傘2を図に向かって左方向に回すことで送気パイプ23bに折り目30cから折り目30b、折り目30aまでが次々と接触し捲られる。
これにより、折り目30cと親骨28d間の生地、折り目30bと親骨28c間の生地、折り目30aと親骨28b間の生地、に次々に送気パイプ23bの孔24からの空気流が当たることになる。
このような作用が4本の送気パイプ23全てで起こるので、傘2全体が脱水される。なお、図では空気流の傾きを極端に表現しているので、一方の生地にしか吹き付けられないように見えるが、実際は前述したように5〜20度程度であり、さらに孔24から噴出した後の空気流は広がるので傘2を回す方向を変えるだけで生地の全ての面に空気流が吹き付けられる。
【0027】
このような傘2の生地の部分の脱水に加えて、図1を用いて説明したように、送風機7からの空気の一部は排気室15の内側面19に設けられた孔20より排気空間部21に高い運動エネルギを有する高速の空気流として噴出される。
傘2を傘脱水機に充分挿入した場合に、この排気空間部21に石突き27が達すことになり、排気室15の内側面19に設けられた孔20からの高速の空気流によって、石突き27近傍の水分が脱水されることになる。
【0028】
このようにして傘2の脱水が行われるわけであるが、2台もの送風機7を動かすため、運転時に送風機7から騒音が発生する。そのため、前述したように送風手段である送風機7を箱体1の下部に設けることで使用者から騒音の発生する送風手段を遠ざけている。また、図1において吸込気室12の上面に吸音構造体11が設けられている。特に、この吸音構造体11は吸込気室12の上面の中でも排気室15と連通するファン吸込口14に対向する位置に設けられていることが望ましい。
【0029】
そして、脱水を終えると図1における開口部3の下方の円筒体1aの傾斜した天面4のスカート形状に基づく働きにより、露先29等が引っかからず滑らかに傘2を抜くことができる。このスカート形状の傾斜した天面4は、本体天面も兼ねており、樹脂などで一体成形され、筒状で上部の筒口が開口部3とほぼ同じくらいの直径であり、下部の筒口がこれより広い漏斗に似た形状である。なお、傾斜した天面4と開口部3との接続部分は、できるだけ短くなるように設計されており、傘2を抜くことにより、この部分が濡れたとしても傾斜した天面4に沿って噴出される空気によって、できるだけ早く乾燥するようになっている。
【0030】
このようにして傘2が引抜かれていくと、図1における第2の物体検知センサ34が物体の存在を検知しなくなり、さらに引抜かれていくと第1の物体検知センサ33も物体の存在を検知しなくなり、これらセンサ33,34の両方が傘2を検知しなくなった状態で各送風機7の運転が停止される。あるいは、一定時間以上、送風機7の運転が継続した場合に安全のため停止される。
以上のように傘2のシャフト26に沿って孔24を設けた送気パイプ23を設置しているので、傘2の脱水したい部分の全面に空気流を吹き付けることができ、高い脱水性能が得られる。
以上までの説明においては、物体検知センサは2ヶ所設けていたが、どちらか1ヶ所でも効果は低下するが問題はなく、送風機7の運転の開始、停止を行うことができる。
【0031】
また、この発明の実施の形態1では、傘2へ吹き付ける空気の通風路に送気パイプ23を用いているので、傘2の折り目30と折り目30の間に空気流の噴出する孔24を有する送気パイプ23を設置することでき、傘2の生地全体に空気流を当てることができるため、脱水能力が高い。
さらに、傘2へ吹き付ける空気の通風路に送気パイプ23を用いているので、空気流を噴出する送気パイプ23と空気流噴出手段収納部5の外側との間に充分な空間を得ることができる。この空間の存在のおかげで、傘2から吹き飛ばされた水分が空気流噴出手段収納部5の外側で跳ね返って傘2に再付着するのを防ぐことができると共に、パイプであるので安価に製造することができる。
【0032】
図8はこの発明の実施の形態1の傘脱水機の第3の変形例で、図4と同様な横断面図、図9は同第3の変形例の要部を示す斜視図である。
この第3の変形例は、送気パイプを用いた第1〜第2の変形例とは異なり、通風路を用いたものである。
この第3の変形例の傘脱水機は、空気流噴出手段収納部5を構成する円筒体1aから内部に向けてそれぞれ突出した4つの凸部35を設け、その各凸部35の先端側に上下に貫通して送風機7からの空気を流す通風路36を形成し、その各凸部35の先端に通風路36と連通し、通風路36内の空気を凸部35の外部へ噴出させるスリット状の吹出通路37を形成したものである。
このような構成としても、図4に示すように傘脱水機内に挿入した傘2の中心(シャフト26部分がこれに相当する)から送気パイプ23までの距離lと、傘2の中心から折り目30までの距離mとの関係のように、傘2の中心から凸部35までの距離nが前記mよりも小さければ、実施の形態1と同じように、傘2の生地全面に空気流を当てることができる。
【0033】
さらにいえば、この発明の実施の形態1の傘脱水機の機能のうち、空気流を傘2に吹き付ける機能と、傘2の折り目30の内側に入りこんで生地を捲り折り目30と折り目30の間に空気流を送り込み易くする機能とについて分けて考えれば、送気パイプ23を露出した構成のものや凸部35内に通風路36を備えた構成のように、空気流を噴出する孔24や吹出通路37と、傘2の折り目30の内側に入りこんで折り目30と折り目30の間に空気流を送り込み易くするためのパイプや凸部とを一体化しなくても、これらの機能は達成することができる。
【0034】
即ち、傘2の生地と接触して折り目30を捲きつかせることで空気流を親骨28と折り目30との間の生地に誘導する働きだけをさせる機能を有する傘生地捲り手段(例えば、パイプのような棒状のもの)を、傘2の中心から折り目までの距離mよりも傘2の中心からこの傘生地捲り手段までの距離が短くなるように設置し、それとは別に傘生地捲り手段の近傍に空気流を噴出する空気流噴出手段を設けるような構成としても、同じように脱水能力が高い傘脱水機が得られる。
なお、閉じた状態の傘2は石突き27から露先29にかけて広がっていっているので、折り目30と傘生地捲り手段とが接触するには、l、m、nは露先29に近い折り目30の位置を基準として設定する必要がある。
【0035】
この場合、送風手段収納部6の壁面と空気流を噴出する空気流噴出手段との位置関係によっては、除去した水分の跳ね返りにより、若干性能が劣るおそれがあるが、送風手段収納部6の壁面内側に水分が跳ね返りにくい素材や凹凸を設けたり、水が流れ落ちやすい形状とすれば、性能低下を抑制できる。
また、空気流を噴出する孔と傘2の生地との距離が開いてしまい流速が低下し、送風機7を同じ設定にしていると、十分な運動エネルギが得られない可能性があるが、その場合は送風機7の能力を上げてやればよい。
【0036】
また、開口部3の内側の面と送気パイプ23さらには円筒体1aの傾斜した天面4の内側に撥水処理加工を施すことで、1本の傘2の脱水が終わり、次の傘2の脱水を行うときに、前の傘2の水分が、後の傘2に付着することがなく、連続して使用する際の性能の安定化につながる。
【0037】
さらに、4本の送気パイプ23の間隔は、開口部3近傍が広く、排気室15側が狭くなるように構成されているので、傘2を閉じた状態での折り目30のシルエットに近く、一般的な傘2のように折り目30から親骨28までの長さがシャフト26に沿って変化していて、露先29に近いほど折り目30から親骨28までが長くなっている状態でも生地全体に空気流を吹き付けることができる。
【0038】
また、4本の送気パイプ23の下方の一端から上方の他端の間に設けられた複数の孔24は、下方である排気室15側ほど穴間のピッチが広く、上方である開口部3近傍になるほどピッチが狭くなっている。
そのため、一般的な傘2のように折り目30から親骨28までの長さがシャフト26に沿って変化していて、露先29に近いほど折り目30から親骨28までが長くなっている傘2では、付着する水分が多い露先29近傍に吹き付ける空気流は多く、付着する水分が少ない石突き27近傍に吹き付ける空気流は少なくなるので、送風機7の容量を大きくしなくても済み、効率のよい空気の吹き付けを行うことができる。
【0039】
さらに、4本の送気パイプ23のうち相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24の高さがずれているので、吹き付ける方向が同一直線上とならず、空気流同士の衝突により傘2から除去した水分が開口部3から飛び出すのを抑制することができる。
【0040】
また、4本の送気パイプ23のうち相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24の向きが該孔24からの空気流の流れる方向が水平面上で同一直線上にならないようにずらしているので、空気流同士の衝突により傘2から除去した水分が開口部3から飛び出すのを抑制することができる。
【0041】
さらに、4本の送気パイプ23に設けられた孔24の向きが各送気パイプ23の孔からの空気流の流れる方向が水平面上で同一方向にずらされることがないように、互いに異なる方向となるようにずらすようにしたので,傘2が空気流に押されて回ってしまうのを防ぐことができる。
【0042】
なお、このように対向する送気パイプ23の孔24から噴出される空気流が同一直線上にならないようにずらすことは、この実施の形態1の傘生地捲り手段と空気流噴出手段とを別に設けた構造の傘脱水機だけでなく、傘生地捲り手段を備えないリング状に空気流噴出手段を備えた傘脱水機や壁面に空気流噴出手段を備えた傘脱水機についても適用できる。
【0043】
また、送風機7を傘脱水機1の下部に配置したので、送風機7の運転騒音が使用者に与える影響を抑制できる。
【0044】
さらに、吸音構造体11は吸込気室12の上面の中でも排気室15と連通するファン吸込口14に対向する位置に設けたので、送風機7の運転騒音を効率よく吸音し、騒音を抑制することができる。
【0045】
また、開口部3の下方に、筒状で上部の筒口が開口部3とほぼ同じくらいの直径であり、下部の筒口がこれより広い漏斗に似た円筒体1aのスカート形状の傾斜した天面4を設けたので、傘2を抜くときに露先29が傘脱水機の内部に引っかかって抜けにくくなるのを防ぐことができ、さらに開口部3と傾斜した天面4も樹脂成形で一体化したため、製造コストも低減できる。
以上までの説明においては、箱体1は円筒体1aであったが、四角柱体でも良い。この場合には、天面4及び石突きガイド39は円錐形ではなく、角錐形にすれば良い。
【0046】
実施の形態2.
図10はこの発明の実施の形態2の傘脱水機に傘が挿入された状態の縦断面図、図11は同傘脱水機の斜視図、図12は図11のC−C線での横断面図である。
なお、実施の形態1と同じ機能を有する部品には同一の番号を付し、説明を省略する。
この実施の形態2は、実施の形態1と送風手段収納部6の構成が異なるものである。
この実施の形態2の傘脱水機の箱体1は、上部の円筒体1aと下部の四角形の角筒体1bとからなっている。その角筒体1b内に2台の送風機7を備える送風手段収納部6が形成されている。そして、送風手段収納部6内の2台の送風機7は図12に示すように略対角に配置されている。
【0047】
また、送風手段収納部6内の中央部に壁面19に囲まれて排気空間部21を形成している。
このように四角形の角筒体1bに形成された送風手段収納部6内に2台の送風機7を略対角に配置することで、角筒体1bの下部に収納されるドレインタンク41も略四角形箱型に構成でき、容量が効率良く大きくできる。
また、箱体1の下部の角筒体1bに形成された送風手段収納部6内に重量物である2台の送風機7を配置することで、左右、前後ともに転倒しにくい構造になっている。
【0048】
また、送風手段収納部6の内側面と排気室15の外側との間には、図12に示すように2分された2つの空間があり、これら空間のうちの一方の空間に形成される空気取入通路8には、エアーフィルター50が設けられ、埃などが送風機7の駆動モーター内部に入りこむことを防ぐ。
また、これら空間のうちの他方の空間には、吹出通路37が形成されており、図1に示す実施の形態1と異なり、送風機7の空気の取入口9と吹出通路37が分離されているため、吹出通路37から排気される湿気を帯びた空気が取入口9から吸込まれて、前記駆動モーター内部に入りこむことを防ぐ。この種の駆動モーターは交流整流子モーターと呼ばれるブラシモーターであるため、ブラシ部分に水滴や埃が付着すると、モーターの寿命が低下するためである。
さらに、制御回路45を、図10に示すように、空気流噴出手段収納部5を形成する円筒体1aの外側に配置された制御回路45を制御回路カバー46で覆うことにより、メンテナンスはさらに容易になる。
以上までの説明においては、箱体1は円筒体1aであったが、四角柱体でも良い。さらには、送風手段収納部6の外形部分をそのまま箱体1の上方まで延長して箱体1をおおう形状とし、箱体1部分と送風手段収納部6を一体化し、全体として四角柱体となるようにすれば、一体感のあるデザインとなる。
【0049】
実施の形態3.
図13はこの発明の実施の形態3の傘脱水機の斜視図である。なお、実施の形態1、2と同じ機能を有する部品には同一の番号を付し、説明を省略する。
この実施の形態3は、箱体1の円筒体1aの外側に使用回数点検装置51を取り付けたものである。
このように箱体1の円筒体1aの外側に使用回数点検装置51を取り付けたのは、次の理由による。
上記実施の形態1,2の傘脱水機は短時間で傘に付着した水分を除去することができるが、ユーザーに使用して貰わなければ何にもならない。
近年、スーパーなどでは、買い物のビニール袋を削減するため、ビニール袋が不要なユーザーにはレジでレシートにスタンプを押して貰い、スタンプのあるレシートが貯まったら、商品券と交換するようなシステムがある。
【0050】
傘脱水機を使用すれば、スーパーなどの床の清掃も容易になるため、店側は非常に助かる。ここで、使用するユーザーがどのくらい使用したのかカウントする必要がある。
そこで、スタンプを押すかわりにユーザーに傘脱水機使用カードを発行しておき、ユーザーが傘脱水機を使用した場合に、傘脱水機に取り付けた使用回数点検装置40に傘脱水機使用カードを入れれば、使用されたことを示す記録が傘脱水機使用カードにメモリされ、その記録がある所定数以上になると終了が表示されるようにし、その表示を見て商品券と交換するようにすれば、お客が混雑して多少面倒でも使用してもらえる頻度が向上するということになる。
また、このようなサービスを行うことで雨天でも集客効果がアップすると思われる。
【0051】
さらに、ドレインタンク41に脱水した水滴が満水になれば、当然送風機7の運転も停止しなければならないため、この状態では傘脱水機を使用できない。
そこで、傘脱水機にドレインタンク41が満水したことを検知する満水検知センサを設け、満水検知センサの検知信号を制御回路45に送り、制御回路45は送風機7への通電を停止し、さらに制御回路45に満水検知センサの検知信号を外部に送信する送信部を設け、メンテナンスを行う人には制御回路45の送信部からの送信信号を受信する小形受信器を持たせておき、その小形受信器を持ったメンテナンスを行う人にドレインタンク41が満水したことを連絡するようにしておけば、メンテナンスを行う人が他の作業を行っていても、瞬時に満水を連絡でき、満水により、その後のユーザーが使用できないという時間を短縮することができる。
また、デパートなどでは、出入り口が複数あるため複数台設置されるため、例えば、どの傘脱水機が満水なのかも通報できればさらに良い。この場合には、制御回路45の送信部の送信周波数の多チャンネル化を図っておけば、どの傘脱水機が満水なのかも知ることができる。
【0052】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、箱体内の上部側に設けられた脱水処理空間部に開口部から挿入されて閉じた状態の傘が収納されている場合に、箱体内の下部側に設けられた送風機が作動すると、送風機は外部から取り入れた空気を箱体内に設けられた空気流噴出手段に送風し、空気流噴出手段は送風機から送風される空気を箱体内の上部側に設けられた脱水処理空間部に収納された傘の全長に亘って高速の空気流として噴出するようにしたので、傘のシャフトに沿って生地に高速の空気流が当たり、短時間で傘に付着した水分を除去することができ、傘から吹き飛ばされた水分は脱水処理空間部から排気空間部に流れ落ちるため、除去した水滴の処理も容易にできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の傘脱水機に傘が挿入された状態の縦断面図である。
【図2】同傘脱水機に傘が挿入される途中の状態の縦断面図である。
【図3】同傘脱水機の斜視図である。
【図4】図3のA−A線での横断面図である。
【図5】図3のB−B線での横断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1の傘脱水機の第1の変形例を示し、図4と同様な横断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1の傘脱水機の第2の変形例を示し、図4と同様な横断面図である。
【図8】この発明の実施の形態1の傘脱水機の第3の変形例で、図4と同様な横断面図である。
【図9】同第3の変形例の要部を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態2の傘脱水機に傘が挿入された状態の縦断面図である。
【図11】同傘脱水機の斜視図である。
【図12】図11のC−C線での横断面図である。
【図13】この発明の実施の形態3の傘脱水機の斜視図である。
【符号の説明】
1 箱体、1a 円筒体、1b 楕円筒体、2 傘、3 開口部、4 天面、5 空気流噴出手段収納部、6 送風手段収納部、7 送風機、8 空気取入通路、12 吸込気室、15 排気室、21 排気空間部、23 送気パイプ(空気流噴出手段、傘生地捲り手段)、24 送気パイプの孔(空気流噴出手段)、25 脱水処理空間部、41 ドレインタンク。
【発明の属する技術分野】
この発明は、傘に付着した水分を脱水する傘脱水機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の傘脱水機は、本体ケースに設けられた傘差込口の口縁と奥側とにそれぞれ環状の送風ノズルが設けられ、傘の差込み方向に向かって斜めに送風ノズルから放射状の空気流が吹出されるようになっており、濡れた傘を折畳んだ状態で傘差込口から差込むと、口元の送風ノズルから吹出される空気流が傘に当り跳ね返り、吹出し気流と衝突して乱流を生じ、傘の襞部分を揺さぶり傘布に付着した水分を揺さぶりながら空気流によって払拭していき、傘の差込み深さが増すに連れ奥側の送風ノズルにより同様の作用を受け傘布の水分を除去するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000―111250号公報(第3−4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の傘脱水機は、傘差込口の口縁と奥側とにそれぞれ設けられた環状の送風ノズルによって差し込まれた傘に空気を吹き付けているので、傘に付着した水分を除去するには、ゆっくり差し込んだり何回も挿し込んだりしなければならず、脱水処理に時間がかかるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、短時間で傘に付着した水分を除去することができ、さらに除去した水滴の処理が容易にできる傘脱水機を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る傘脱水機は、上部に傘を挿入するための開口部を有する箱体と、箱体内の上部側に設けられ、前記開口部から挿入されて閉じた状態の傘を収納して脱水を行う脱水処理空間部と、箱体内の下部側に設けられ、外部から取り入れた空気を送風する送風機と、箱体内に設けられ、前記送風機から送風される空気を前記脱水処理空間部に収納された前記傘の全長に亘って噴出する空気流噴出手段と、箱体内の下部側に前記脱水処理空間部の下部と連通して設けられ、該脱水処理空間部内に噴出された空気を外部に排出する排気空間部とを備えたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の傘脱水機に傘が挿入された状態の縦断面図、図2は同傘脱水機に傘が挿入される途中の状態の縦断面図、図3は同傘脱水機の斜視図、図4は図3のA−A線での横断面図、図5は図3のB−B線での横断面図である。
図において、この実施の形態1の傘脱水機は、大別して、上部の円筒体1aと下部の楕円筒体1bとからなる箱体1と、円筒体1aの傾斜した天面4の中央に形成され、傘2を挿入するための例えば、直径が約100mmから約120mmの開口部3と、円筒体1a内に形成され、開口部3から挿入された傘2に風を吹き付けて表面に付着する水分を除去する空気流噴出手段である送気パイプ23を備える空気流噴出手段収納部5と、楕円筒体1b内に形成され、取り込んだ空気を空気流噴出手段収納部5の送気パイプ23に送るための送風手段である2台の送風機7を左右に配置して備える送風手段収納部6とを有して構成されている。空気流噴出手段収納部5を形成する円筒体1aの底部と送風手段収納部6を形成する楕円筒体1bの上部はネジ1cにより連結されている。なお、開口部3の内側面は撥水処理加工が施されている。
【0008】
次に、傘脱水機1の内部構造について、図1の傘脱水機の縦断面図をもとに詳述する。
箱体1の楕円筒体1b内で送風手段収納部6の外側周囲に外部から空気を取り入れるための空気取入通路8が設けられており、その空気取入通路8の下方に取入口9が設けられ、空気取入通路8の上方に吸込口10が設けられている。
送風手段収納部6の上部には、空気取入通路8の吸込口10と連通し、上方に吸音構造体11が設けられた吸込気室12が設けられている。その吸込気室12の下部の隔壁13にはファン吸込口14が設けられている。
【0009】
送風手段収納部6の下部には、吸込気室12のファン吸込口14と連通し、送風機7が収納された排気室15が設けられている。
排気室15内に収納された送風機7は、排気室15の上部に設けられたパッキン材16と排気室15の下部である送風手段収納部6の底面18に設けられたゴムブッシュ17とにより、防振状態で固定されている。
また、排気室15の内側面19には送風機7に吸込まれた空気を楕円筒体1b内の中心に形成された排気空間部21に吹き出させる孔20が設けられている。また、排気室15の上部には4本の送気パイプ23の下端と接続される吹出口22が設けられている。
【0010】
箱体1の円筒体1a内に形成された空気流噴出手段収納部5に設けられた各送気パイプ23は、表面を撥水処理加工された例えば、直径30mm、厚み0.5mmのステンレス製である。その送気パイプ23の上端は塞がれており、下端は吹出口22に接続されている。また、送気パイプ23にはその略全長に亘り、円筒体1a内で空気流噴出手段収納部5の中心に形成された脱水処理空間部25に高い運動エネルギを有する高速の空気流を噴出させるための複数の孔24が設けられている。
なお、これらの孔24は4本の送気パイプ23を頂点とした四角形のおおよそ中心方向に向かって空気を噴出するようにレーザを使った後加工で設けられており、おおよそ傘2のシャフト26に沿って生地に空気流を当てることができるようになっている。
【0011】
また、4本の送気パイプ23は、互いに平行になるように設置してもよいが、排気室15の吹出口22と接続された送気パイプ23の対向同士の間隔を約70mmから90mmとし、開口部3近傍の送気パイプ23の対向同士の間隔を約100mmから120mmとすることにより、傘2の石突き27の根元から親骨28を通って露先29までとシャフト26との傾きや、折り畳まれた生地の折り目30とシャフト26との傾きと同じような角度となり、さらに脱水効率が向上する。
【0012】
さらに、送気パイプ23の下方の一端から上方の他端の間に設けられた複数の孔24は、下方ほど穴間のピッチが広く、上方になるほどピッチが狭くなっている。また、4本の送気パイプ23のうち相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24は、高さが1/2ずつずれている。
また、空気流噴出手段収納部5の上部には開口部3から挿入された傘2の存在を検知する第1の物体検知センサ33が設けられ、空気流噴出手段収納部5の下部には開口部3から挿入された傘2の存在を検知する第2の物体検知センサ34が設けられている。これら第1及び第2の物体検知センサ33,34は送風機7に対して通電制御を行う制御回路45に接続されている。
【0013】
箱体1の楕円筒体1b内の中心に形成された排気空間部21の下方には、除水した水滴を溜めるドレインタンク41が内蔵されている。ドレインタンク41の上面開口部は排気空間部21の排気開口部の大きさより多少大きい程度で、ドレインタンク上面の外周全周囲にはタンク凸部42を有している。また、ドレインタンク41の上面開口部周囲は吸水材43が貼りつけられており、ドレインタンク内部の中央には、クッション材44が設けられている。
【0014】
ドレインタンク41の上面開口部は、排気空間部21の排気開口部の大きさより多少大きい程度であるため、ドレインタンク41を取り出して運搬する場合にドレイン水はこぼれにくい。ドレインタンク41の上面の外周にはタンク凸部42が設けられているため、排気空間部21から滴下した水滴がドレインタンク41の上面開口部に入らないで該上面開口部の周囲に飛び散った場合においてもドレインタンク41の上面から流れ落ちて箱体1の底面にこぼれることはない。ドレインタンク41は例えば、ブロー成形などのより製造すれば、軽量でしかもタンク凸部42をドレインタンク41と一体で成形できる。
【0015】
また、ドレインタンク41の上面開口部周囲に吸水材43を貼り付けているため、飛び散った水滴は、これにより保水されこの効果が一層向上する。
さらに、ドレインタンク41の取り出しは、図3に示すように例えば箱体1の楕円筒体1bの下部に設けられたタンクカバー48を開いて手前にスライドさせれば容易に取り出すことができる。
さらに、ドレインタンク41の内部中央にクッション材44が設けられていることにより、傘の石突き27がドレインタンク41の底面に当たり衝撃により壊れたりすることを防止できる。さらには、ドレインタンク41に溜まった水の中に石突き27部分及びこの周辺の傘布がこの水で濡れることを防ぐため、例えば厚みのあるクッション材44を設けることで石突き27部分が入り込む寸法を軽減できる。または、ドレインタンク41の上面開口部に傘2の石突き27のドレインタンク41への入り込みを規制する部材を設け、この部材にクッション材41を設けても良い。
また、清掃などで送風孔24から排気室15に入り込んだ水滴は、送風手段収納部6の底面18に設けられたドレイン排出孔47により送風機7が運転されれば排気室15が高圧になるため、排出できる。
【0016】
次に、この発明の実施の形態1の傘脱水機の動作について図1〜図4に基づいて説明する。
まず、傘脱水機に傘2を挿入して脱水する動作について説明する。
図1に示すように傘脱水機における箱体1の円筒体1aの上部に設けられた開口部3から手元31を持って閉じた傘2を挿入していくと、傘2の先端が開口部3を有する傾斜した天面4の内側を通って次第に下降していく。
そうすると、空気流噴出手段収納部5の上部に設けられた第1の物体検知センサ33が傘2の存在を検知し、さらに傘2を挿入していくと、空気流噴出手段収納部5の下部に設けられた第2の物体検知センサ34が傘2の存在を検知する。これら第1及び第2の物体検知センサ33、34が傘2の存在を検知し、その検知信号を受けた制御回路45は2台の送風機7にそれぞれ給電を開始する。そうすると、各送風機7が作動を開始して傘2の脱水が開始される。
【0017】
ところで、傘2を開口部3から挿入する際、図2のように傘のシャフト6を斜めに挿入した場合、傘の石突き27は、円筒体1aの内側面に当たり、下方へとガイドされ、その下部に位置した漏斗状の石突きガイド39で排気空間部21へとガイドされ、ドレインタンク41へと入りこみ、図1のように傘を真上から真直ぐに挿入した場合と同じになる。漏斗状の石突きガイド39の外径は円筒体1aの内側面に内接するようになっており、円筒体1aの内側面と石突きガイド39の外径部隙間部分に石突き27が入り込んでしまうというようなトラブルはなく、傘2の挿入性が非常に改善されている。
【0018】
このように、各送風機7が作動すると、取入口9から取り入れられた空気が、空気取入通路8を通り、空気取入通路8の上方に設けられた吸込口10から上部に吸音構造体11が設けられた吸込気室12を通って、吸込気室12の下部の隔壁13に設けられたファン吸込口14から送風機7に吸込まれる。
そして、送風機7に吸込まれて排気室15内に吹き出された空気は、排気室15内の静圧を上昇させ、一部は排気室15の内側面19に設けられた孔20より排気空間部21に高い運動エネルギを有する高速の空気流として噴出され、その他の空気の大部分は、排気室15の上部に設けられた吹出口22と下方の一端とが接続された送気パイプ23へ送風される。
【0019】
送気パイプ23を流れる空気は、送気パイプ23の下方の一端と上方の他端との間に設けられた複数の孔24より脱水処理空間部25に高い運動エネルギーを有する高速の空気流として噴出される。これら孔24は4本の送気パイプ23を頂点とした四角形のおおよそ中心方向に向かって空気を噴出するよう設けられているため、傘2のシャフト26に沿って生地に空気流が当たり、脱水される。
【0020】
また、箱体1の楕円筒体1bに設けられている送風手段収納部6はその中央に排気空間部21を有し、脱水処理空間部25と連通しており、その排気空間部21の下方にドレインタンク41の上面開口部が位置しているため、傘2から吹き飛ばされた水滴は、円筒体1aの内面に付着後、自重で滴下し石突きガイド39でガイドされ、排気空間部21からドレインタンク41内に溜まるため、特別な機構がなくても傘2から吹飛ばされた水滴を回収することができる。
また、開口部3からゴミなどを入れられた場合においても、脱水処理空間部25と排気空間部21は連通しているため、例えば、ドレインタンク41を取出せば、容易に取り除くことができる。
【0021】
ところで、傘2を抜くときに、相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される高速の空気流が衝突すると、開口部3から傘脱水機の外に向かって気流が発生する。この気流が傘2から吹き飛ばした水滴まで運ぶので、傘脱水機の使用者や周囲が水浸しになるおそれがある。そのため、前述したように、4本の送気パイプ23のうち相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24のピッチを1/2ずらし、相対する送気パイプ23の孔24から噴出される高速の空気流を上下方向に互い違いになるようにして、傘脱水機の外部へ向かう気流の発生を抑制している。
【0022】
図6はこの発明の実施の形態1の傘脱水機の第1の変形例を示し、図4と同様な横断面図である。
この実施の形態1の第1の変形例は、相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される高速の空気流の衝突を防ぐ手段として、孔のピッチを高さ方向にずらす実施の形態1と異なり、水平方向の高速空気流の噴出方向を変更するようにしたものである。
この第1の変形例では、図6に示すように、相対する2本の送気パイプ23の中心を結んだ線と孔24aから噴出される高速空気流の成す角θを5〜20度に設定したものである。
【0023】
この場合には、4本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される空気流の傾く方向が、それぞれの孔24から見て左前方になっており、いずれも相対する2本の送気パイプ23の中心を結んだ線と孔24から噴出される高速空気流の成す角θが5〜20度になる。このようにすることで、水平面上で相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される高速の空気流が衝突するのを防止している。
【0024】
図7はこの発明の実施の形態1の傘脱水機の第2の変形例で、図4と同様な横断面図である。
この実施の形態1の第2の変形例は、第1の変形例を改良したものである。
即ち、図6の第1の変形例では、4本の送気パイプ23に設けられた孔24から噴出される空気流の傾く方向が、全ての送気パイプ23について、それぞれの孔24から見て左前方になっていると、高速気流を吹きつけることで傘2が一定方向に回転してしまうことがある。
そこで、図7に示す第2の変形例では、傘2に対して一方向にだけ空気流が吹き付けられないように、4本の送気パイプ23の孔24から噴出される空気流のうち一部だけ傾く方向をその他のものとは反対向きとなるように孔24bからの空気流の噴出方向を送気パイプ23aの中心から見て右前方となるようにした。こうすることにより、高速気流を吹きつけても、傘2が一定方向に回転してしまうことが解消される。
【0025】
上述した実施の形態1の傘脱水機では、内部に収納された傘2の隣り合った2本の親骨28の間の生地の折り目30が、親骨28よりも外側になり、折り目30が送気パイプ23間に挟まれた状態になる。
従って、例えば図7の構成を例にとると、送風が開始され、傘2の手元31を持ち、4本の送気パイプ23のうちの1本を送気パイプ23bとし、連続する折り目を順に折り目30a、30b、30cとし、これらの折り目の隣の親骨を親骨28a、28b、28c、28dとした場合、傘2を図に向かって右方向に回すことで送気パイプ23bに折り目30aから折り目30b、折り目30cまでが次々と接触し捲られる。
これにより、折り目30aと親骨28a間の生地、折り目30bと親骨28b間の生地、折り目30cと親骨28c間の生地、に次々に送気パイプ4bの孔24からの空気流が当たることになり脱水される。
【0026】
続いて、傘2を図に向かって左方向に回すことで送気パイプ23bに折り目30cから折り目30b、折り目30aまでが次々と接触し捲られる。
これにより、折り目30cと親骨28d間の生地、折り目30bと親骨28c間の生地、折り目30aと親骨28b間の生地、に次々に送気パイプ23bの孔24からの空気流が当たることになる。
このような作用が4本の送気パイプ23全てで起こるので、傘2全体が脱水される。なお、図では空気流の傾きを極端に表現しているので、一方の生地にしか吹き付けられないように見えるが、実際は前述したように5〜20度程度であり、さらに孔24から噴出した後の空気流は広がるので傘2を回す方向を変えるだけで生地の全ての面に空気流が吹き付けられる。
【0027】
このような傘2の生地の部分の脱水に加えて、図1を用いて説明したように、送風機7からの空気の一部は排気室15の内側面19に設けられた孔20より排気空間部21に高い運動エネルギを有する高速の空気流として噴出される。
傘2を傘脱水機に充分挿入した場合に、この排気空間部21に石突き27が達すことになり、排気室15の内側面19に設けられた孔20からの高速の空気流によって、石突き27近傍の水分が脱水されることになる。
【0028】
このようにして傘2の脱水が行われるわけであるが、2台もの送風機7を動かすため、運転時に送風機7から騒音が発生する。そのため、前述したように送風手段である送風機7を箱体1の下部に設けることで使用者から騒音の発生する送風手段を遠ざけている。また、図1において吸込気室12の上面に吸音構造体11が設けられている。特に、この吸音構造体11は吸込気室12の上面の中でも排気室15と連通するファン吸込口14に対向する位置に設けられていることが望ましい。
【0029】
そして、脱水を終えると図1における開口部3の下方の円筒体1aの傾斜した天面4のスカート形状に基づく働きにより、露先29等が引っかからず滑らかに傘2を抜くことができる。このスカート形状の傾斜した天面4は、本体天面も兼ねており、樹脂などで一体成形され、筒状で上部の筒口が開口部3とほぼ同じくらいの直径であり、下部の筒口がこれより広い漏斗に似た形状である。なお、傾斜した天面4と開口部3との接続部分は、できるだけ短くなるように設計されており、傘2を抜くことにより、この部分が濡れたとしても傾斜した天面4に沿って噴出される空気によって、できるだけ早く乾燥するようになっている。
【0030】
このようにして傘2が引抜かれていくと、図1における第2の物体検知センサ34が物体の存在を検知しなくなり、さらに引抜かれていくと第1の物体検知センサ33も物体の存在を検知しなくなり、これらセンサ33,34の両方が傘2を検知しなくなった状態で各送風機7の運転が停止される。あるいは、一定時間以上、送風機7の運転が継続した場合に安全のため停止される。
以上のように傘2のシャフト26に沿って孔24を設けた送気パイプ23を設置しているので、傘2の脱水したい部分の全面に空気流を吹き付けることができ、高い脱水性能が得られる。
以上までの説明においては、物体検知センサは2ヶ所設けていたが、どちらか1ヶ所でも効果は低下するが問題はなく、送風機7の運転の開始、停止を行うことができる。
【0031】
また、この発明の実施の形態1では、傘2へ吹き付ける空気の通風路に送気パイプ23を用いているので、傘2の折り目30と折り目30の間に空気流の噴出する孔24を有する送気パイプ23を設置することでき、傘2の生地全体に空気流を当てることができるため、脱水能力が高い。
さらに、傘2へ吹き付ける空気の通風路に送気パイプ23を用いているので、空気流を噴出する送気パイプ23と空気流噴出手段収納部5の外側との間に充分な空間を得ることができる。この空間の存在のおかげで、傘2から吹き飛ばされた水分が空気流噴出手段収納部5の外側で跳ね返って傘2に再付着するのを防ぐことができると共に、パイプであるので安価に製造することができる。
【0032】
図8はこの発明の実施の形態1の傘脱水機の第3の変形例で、図4と同様な横断面図、図9は同第3の変形例の要部を示す斜視図である。
この第3の変形例は、送気パイプを用いた第1〜第2の変形例とは異なり、通風路を用いたものである。
この第3の変形例の傘脱水機は、空気流噴出手段収納部5を構成する円筒体1aから内部に向けてそれぞれ突出した4つの凸部35を設け、その各凸部35の先端側に上下に貫通して送風機7からの空気を流す通風路36を形成し、その各凸部35の先端に通風路36と連通し、通風路36内の空気を凸部35の外部へ噴出させるスリット状の吹出通路37を形成したものである。
このような構成としても、図4に示すように傘脱水機内に挿入した傘2の中心(シャフト26部分がこれに相当する)から送気パイプ23までの距離lと、傘2の中心から折り目30までの距離mとの関係のように、傘2の中心から凸部35までの距離nが前記mよりも小さければ、実施の形態1と同じように、傘2の生地全面に空気流を当てることができる。
【0033】
さらにいえば、この発明の実施の形態1の傘脱水機の機能のうち、空気流を傘2に吹き付ける機能と、傘2の折り目30の内側に入りこんで生地を捲り折り目30と折り目30の間に空気流を送り込み易くする機能とについて分けて考えれば、送気パイプ23を露出した構成のものや凸部35内に通風路36を備えた構成のように、空気流を噴出する孔24や吹出通路37と、傘2の折り目30の内側に入りこんで折り目30と折り目30の間に空気流を送り込み易くするためのパイプや凸部とを一体化しなくても、これらの機能は達成することができる。
【0034】
即ち、傘2の生地と接触して折り目30を捲きつかせることで空気流を親骨28と折り目30との間の生地に誘導する働きだけをさせる機能を有する傘生地捲り手段(例えば、パイプのような棒状のもの)を、傘2の中心から折り目までの距離mよりも傘2の中心からこの傘生地捲り手段までの距離が短くなるように設置し、それとは別に傘生地捲り手段の近傍に空気流を噴出する空気流噴出手段を設けるような構成としても、同じように脱水能力が高い傘脱水機が得られる。
なお、閉じた状態の傘2は石突き27から露先29にかけて広がっていっているので、折り目30と傘生地捲り手段とが接触するには、l、m、nは露先29に近い折り目30の位置を基準として設定する必要がある。
【0035】
この場合、送風手段収納部6の壁面と空気流を噴出する空気流噴出手段との位置関係によっては、除去した水分の跳ね返りにより、若干性能が劣るおそれがあるが、送風手段収納部6の壁面内側に水分が跳ね返りにくい素材や凹凸を設けたり、水が流れ落ちやすい形状とすれば、性能低下を抑制できる。
また、空気流を噴出する孔と傘2の生地との距離が開いてしまい流速が低下し、送風機7を同じ設定にしていると、十分な運動エネルギが得られない可能性があるが、その場合は送風機7の能力を上げてやればよい。
【0036】
また、開口部3の内側の面と送気パイプ23さらには円筒体1aの傾斜した天面4の内側に撥水処理加工を施すことで、1本の傘2の脱水が終わり、次の傘2の脱水を行うときに、前の傘2の水分が、後の傘2に付着することがなく、連続して使用する際の性能の安定化につながる。
【0037】
さらに、4本の送気パイプ23の間隔は、開口部3近傍が広く、排気室15側が狭くなるように構成されているので、傘2を閉じた状態での折り目30のシルエットに近く、一般的な傘2のように折り目30から親骨28までの長さがシャフト26に沿って変化していて、露先29に近いほど折り目30から親骨28までが長くなっている状態でも生地全体に空気流を吹き付けることができる。
【0038】
また、4本の送気パイプ23の下方の一端から上方の他端の間に設けられた複数の孔24は、下方である排気室15側ほど穴間のピッチが広く、上方である開口部3近傍になるほどピッチが狭くなっている。
そのため、一般的な傘2のように折り目30から親骨28までの長さがシャフト26に沿って変化していて、露先29に近いほど折り目30から親骨28までが長くなっている傘2では、付着する水分が多い露先29近傍に吹き付ける空気流は多く、付着する水分が少ない石突き27近傍に吹き付ける空気流は少なくなるので、送風機7の容量を大きくしなくても済み、効率のよい空気の吹き付けを行うことができる。
【0039】
さらに、4本の送気パイプ23のうち相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24の高さがずれているので、吹き付ける方向が同一直線上とならず、空気流同士の衝突により傘2から除去した水分が開口部3から飛び出すのを抑制することができる。
【0040】
また、4本の送気パイプ23のうち相対する2本の送気パイプ23に設けられた孔24の向きが該孔24からの空気流の流れる方向が水平面上で同一直線上にならないようにずらしているので、空気流同士の衝突により傘2から除去した水分が開口部3から飛び出すのを抑制することができる。
【0041】
さらに、4本の送気パイプ23に設けられた孔24の向きが各送気パイプ23の孔からの空気流の流れる方向が水平面上で同一方向にずらされることがないように、互いに異なる方向となるようにずらすようにしたので,傘2が空気流に押されて回ってしまうのを防ぐことができる。
【0042】
なお、このように対向する送気パイプ23の孔24から噴出される空気流が同一直線上にならないようにずらすことは、この実施の形態1の傘生地捲り手段と空気流噴出手段とを別に設けた構造の傘脱水機だけでなく、傘生地捲り手段を備えないリング状に空気流噴出手段を備えた傘脱水機や壁面に空気流噴出手段を備えた傘脱水機についても適用できる。
【0043】
また、送風機7を傘脱水機1の下部に配置したので、送風機7の運転騒音が使用者に与える影響を抑制できる。
【0044】
さらに、吸音構造体11は吸込気室12の上面の中でも排気室15と連通するファン吸込口14に対向する位置に設けたので、送風機7の運転騒音を効率よく吸音し、騒音を抑制することができる。
【0045】
また、開口部3の下方に、筒状で上部の筒口が開口部3とほぼ同じくらいの直径であり、下部の筒口がこれより広い漏斗に似た円筒体1aのスカート形状の傾斜した天面4を設けたので、傘2を抜くときに露先29が傘脱水機の内部に引っかかって抜けにくくなるのを防ぐことができ、さらに開口部3と傾斜した天面4も樹脂成形で一体化したため、製造コストも低減できる。
以上までの説明においては、箱体1は円筒体1aであったが、四角柱体でも良い。この場合には、天面4及び石突きガイド39は円錐形ではなく、角錐形にすれば良い。
【0046】
実施の形態2.
図10はこの発明の実施の形態2の傘脱水機に傘が挿入された状態の縦断面図、図11は同傘脱水機の斜視図、図12は図11のC−C線での横断面図である。
なお、実施の形態1と同じ機能を有する部品には同一の番号を付し、説明を省略する。
この実施の形態2は、実施の形態1と送風手段収納部6の構成が異なるものである。
この実施の形態2の傘脱水機の箱体1は、上部の円筒体1aと下部の四角形の角筒体1bとからなっている。その角筒体1b内に2台の送風機7を備える送風手段収納部6が形成されている。そして、送風手段収納部6内の2台の送風機7は図12に示すように略対角に配置されている。
【0047】
また、送風手段収納部6内の中央部に壁面19に囲まれて排気空間部21を形成している。
このように四角形の角筒体1bに形成された送風手段収納部6内に2台の送風機7を略対角に配置することで、角筒体1bの下部に収納されるドレインタンク41も略四角形箱型に構成でき、容量が効率良く大きくできる。
また、箱体1の下部の角筒体1bに形成された送風手段収納部6内に重量物である2台の送風機7を配置することで、左右、前後ともに転倒しにくい構造になっている。
【0048】
また、送風手段収納部6の内側面と排気室15の外側との間には、図12に示すように2分された2つの空間があり、これら空間のうちの一方の空間に形成される空気取入通路8には、エアーフィルター50が設けられ、埃などが送風機7の駆動モーター内部に入りこむことを防ぐ。
また、これら空間のうちの他方の空間には、吹出通路37が形成されており、図1に示す実施の形態1と異なり、送風機7の空気の取入口9と吹出通路37が分離されているため、吹出通路37から排気される湿気を帯びた空気が取入口9から吸込まれて、前記駆動モーター内部に入りこむことを防ぐ。この種の駆動モーターは交流整流子モーターと呼ばれるブラシモーターであるため、ブラシ部分に水滴や埃が付着すると、モーターの寿命が低下するためである。
さらに、制御回路45を、図10に示すように、空気流噴出手段収納部5を形成する円筒体1aの外側に配置された制御回路45を制御回路カバー46で覆うことにより、メンテナンスはさらに容易になる。
以上までの説明においては、箱体1は円筒体1aであったが、四角柱体でも良い。さらには、送風手段収納部6の外形部分をそのまま箱体1の上方まで延長して箱体1をおおう形状とし、箱体1部分と送風手段収納部6を一体化し、全体として四角柱体となるようにすれば、一体感のあるデザインとなる。
【0049】
実施の形態3.
図13はこの発明の実施の形態3の傘脱水機の斜視図である。なお、実施の形態1、2と同じ機能を有する部品には同一の番号を付し、説明を省略する。
この実施の形態3は、箱体1の円筒体1aの外側に使用回数点検装置51を取り付けたものである。
このように箱体1の円筒体1aの外側に使用回数点検装置51を取り付けたのは、次の理由による。
上記実施の形態1,2の傘脱水機は短時間で傘に付着した水分を除去することができるが、ユーザーに使用して貰わなければ何にもならない。
近年、スーパーなどでは、買い物のビニール袋を削減するため、ビニール袋が不要なユーザーにはレジでレシートにスタンプを押して貰い、スタンプのあるレシートが貯まったら、商品券と交換するようなシステムがある。
【0050】
傘脱水機を使用すれば、スーパーなどの床の清掃も容易になるため、店側は非常に助かる。ここで、使用するユーザーがどのくらい使用したのかカウントする必要がある。
そこで、スタンプを押すかわりにユーザーに傘脱水機使用カードを発行しておき、ユーザーが傘脱水機を使用した場合に、傘脱水機に取り付けた使用回数点検装置40に傘脱水機使用カードを入れれば、使用されたことを示す記録が傘脱水機使用カードにメモリされ、その記録がある所定数以上になると終了が表示されるようにし、その表示を見て商品券と交換するようにすれば、お客が混雑して多少面倒でも使用してもらえる頻度が向上するということになる。
また、このようなサービスを行うことで雨天でも集客効果がアップすると思われる。
【0051】
さらに、ドレインタンク41に脱水した水滴が満水になれば、当然送風機7の運転も停止しなければならないため、この状態では傘脱水機を使用できない。
そこで、傘脱水機にドレインタンク41が満水したことを検知する満水検知センサを設け、満水検知センサの検知信号を制御回路45に送り、制御回路45は送風機7への通電を停止し、さらに制御回路45に満水検知センサの検知信号を外部に送信する送信部を設け、メンテナンスを行う人には制御回路45の送信部からの送信信号を受信する小形受信器を持たせておき、その小形受信器を持ったメンテナンスを行う人にドレインタンク41が満水したことを連絡するようにしておけば、メンテナンスを行う人が他の作業を行っていても、瞬時に満水を連絡でき、満水により、その後のユーザーが使用できないという時間を短縮することができる。
また、デパートなどでは、出入り口が複数あるため複数台設置されるため、例えば、どの傘脱水機が満水なのかも通報できればさらに良い。この場合には、制御回路45の送信部の送信周波数の多チャンネル化を図っておけば、どの傘脱水機が満水なのかも知ることができる。
【0052】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、箱体内の上部側に設けられた脱水処理空間部に開口部から挿入されて閉じた状態の傘が収納されている場合に、箱体内の下部側に設けられた送風機が作動すると、送風機は外部から取り入れた空気を箱体内に設けられた空気流噴出手段に送風し、空気流噴出手段は送風機から送風される空気を箱体内の上部側に設けられた脱水処理空間部に収納された傘の全長に亘って高速の空気流として噴出するようにしたので、傘のシャフトに沿って生地に高速の空気流が当たり、短時間で傘に付着した水分を除去することができ、傘から吹き飛ばされた水分は脱水処理空間部から排気空間部に流れ落ちるため、除去した水滴の処理も容易にできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の傘脱水機に傘が挿入された状態の縦断面図である。
【図2】同傘脱水機に傘が挿入される途中の状態の縦断面図である。
【図3】同傘脱水機の斜視図である。
【図4】図3のA−A線での横断面図である。
【図5】図3のB−B線での横断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1の傘脱水機の第1の変形例を示し、図4と同様な横断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1の傘脱水機の第2の変形例を示し、図4と同様な横断面図である。
【図8】この発明の実施の形態1の傘脱水機の第3の変形例で、図4と同様な横断面図である。
【図9】同第3の変形例の要部を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態2の傘脱水機に傘が挿入された状態の縦断面図である。
【図11】同傘脱水機の斜視図である。
【図12】図11のC−C線での横断面図である。
【図13】この発明の実施の形態3の傘脱水機の斜視図である。
【符号の説明】
1 箱体、1a 円筒体、1b 楕円筒体、2 傘、3 開口部、4 天面、5 空気流噴出手段収納部、6 送風手段収納部、7 送風機、8 空気取入通路、12 吸込気室、15 排気室、21 排気空間部、23 送気パイプ(空気流噴出手段、傘生地捲り手段)、24 送気パイプの孔(空気流噴出手段)、25 脱水処理空間部、41 ドレインタンク。
Claims (14)
- 上部に傘を挿入するための開口部を有する箱体と、
箱体内の上部側に設けられ、前記開口部から挿入されて閉じた状態の傘を収納して脱水を行う脱水処理空間部と、
箱体内の下部側に設けられ、外部から取り入れた空気を送風する送風機と、
箱体内に設けられ、前記送風機から送風される空気を前記脱水処理空間部に収納された前記傘の全長に亘って噴出する空気流噴出手段と、
箱体内の下部側に前記脱水処理空間部の下部と連通して設けられ、該脱水処理空間部内に噴出された空気を外部に排出する排気空間部と
を備えたことを特徴とする傘脱水機。 - 上部に傘を挿入するための開口部を有する箱体と、
箱体内の上方側に設けられ、前記開口部から挿入されて閉じた状態の傘を収納して脱水を行う脱水処理空間部と、
箱体内の上部側に設けられ、前記脱水処理空間部に収納された傘の親骨と親骨の間の生地の折り目を捲る傘生地捲り手段と、
箱体内の下部側に設けられ、外部から取り入れた空気を送風する送風機と、
箱体内に設けられ、前記送風機から送風される空気を前記脱水処理空間部に収納された傘の全長に亘って噴出する空気流噴出手段と、
箱体内の下部側に前記脱水処理空間部の下部と連通して設けられ、該脱水処理空間部内に噴出された空気を外部に排出する排気空間部と
を備えたことを特徴とする傘脱水機。 - 前記傘生地捲り手段は前記箱体内の上部側で前記脱水処理空間部の外側に対向配置された複数のパイプであり、前記空気流噴出手段は前記送風機と連結された各パイプと、当該各パイプに設けられ、前記送風機から送風される空気を前記傘に向けて噴出するための複数の孔であることを特徴とする請求項2記載の傘脱水機。
- 前記各パイプに設けられた複数の孔は、下方側ほど穴間のピッチが広く、上方側ほど穴間のピッチが狭くなっていることを特徴とする請求項3記載の傘脱水機。
- 前記複数のパイプのうち相対する2本のパイプに設けられた孔は高さがずれていることを特徴とする請求項3記載の傘脱水機。
- 前記複数のパイプのうち相対する2本のパイプに設けられた孔の向きが該孔からの空気流の流れる方向が水平面上で同一直線にならないようにずらされていることを特徴とする請求項3記載の傘脱水機。
- 前記複数のパイプに設けられた孔の向きが各パイプの孔からの空気流の流れる方向が水平面上で互いに異なる方向となるようにずらされていることを特徴とする請求項3記載の傘脱水機。
- 前記箱体に前記送風機に対して通電制御を行う制御回路を設け、前記脱水処理空間部に物体検知センサを設け、前記制御回路はこれら物体検知センサの物体検知信号を受けて前記送風機に通電を行い、これら物体検知センサの物体検知信号を受けなくなったときに前記送風機への通電を停止するよう制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の傘脱水機。
- 前記箱体内の下部側に設けられた排気空間部の下に前記傘から除水した水滴を溜めるドレインタンクを配設したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の傘脱水機。
- 前記ドレインタンクの上面開口部は前記排気空間部の大きさより多少大きく形成し、前記ドレインタンクの上面全周に凸部を設けたことを特徴とする請求項9記載の傘脱水機。
- 前記ドレインタンクの内部中央にクッション材を設けたことを特徴とする請求項9記載の傘脱水機。
- 前記送風機は前記箱体内の下部側で当該箱体の前後、左右方向に対して略対角に配置されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載の傘脱水機。
- 前記箱体の外側に、傘脱水機使用カードに使用されたことを示す記録を書き込む使用回数点検装置を設けたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか記載の傘脱水機。
- 前記箱体の下部に前記ドレインタンクが満水したことを検知した検知信号を前記制御回路に送る満水検知センサを設け、前記制御回路は前記送風機への通電を停止させ、該制御回路に満水検知センサの検知信号を外部に送信する送信部を設けたこと特徴とする請求項8〜13のいずれか記載の傘脱水機。
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Cited By (2)
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JP2020005984A (ja) * | 2018-07-10 | 2020-01-16 | ヒガノ株式会社 | 傘の水切り装置 |
-
2003
- 2003-02-20 JP JP2003042168A patent/JP2004251529A/ja active Pending
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