JP2004250755A - 金属基複合化部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】強化材を含むプリフォーム材料が分散されたスラリー中の分散媒をフィルタを介してスラリー容器内から吸引除去し、吸引除去により該フィルタ上に成形されたプリフォームを該フィルタとともに上記スラリー容器内から取り出し、該プリフォームを該フィルタ上で乾燥させ、該プリフォームを該フィルタを介して金型容器内にセットし、該金型容器内に母材金属の溶湯を注湯しつつ、該フィルタの背面側から該金型容器内を減圧して、該プリフォームに母材金属の溶湯を含浸させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属基複合化部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、アルミニウム合金等の母材金属と、セラミックス系の繊維や粒子等の強化材とが複合化されてなる、軽量・高強度等の特性を備えた金属基複合材料が広く用いられている。この金属基複合材料の製造方法としては、従来、強化材を含む多孔質のプリフォームに対して母材金属の溶湯を含浸させる際に、溶湯の浸透性の向上を図り、密閉型の金型容器内にプリフォームを配置した上で、該金型容器を密閉し、フィルタを介して真空引きを行うものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平09−287036号公報 (第3頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に開示される金属基複合材料の製造方法では、スラリー容器内で強化材,バインダ等のプリフォーム材料及び分散媒を混合して、分散媒をフィルタを介してスラリー容器内から吸引除去することで、プリフォームが成形される。成形されたプリフォームは、溶湯の含浸工程前の乾燥・焼成工程に応じて、前述したスラリー容器から取り出される。
【0005】
かかる金属基複合化材料の製造方法では、プリフォームが別個の容器間で移動させられるため、固体性に乏しい状態にあるプリフォームについては、その取扱いを十分慎重に行う必要があった。しかしながら、場合によっては、プリフォームの形状を確保し得ず、溶湯の含浸工程前に、不良品として除外すべき必要が生じることがあった。このため、従来では、プリフォームの安全を確保するために、より良好なハンドリング性を実現することが望まれていた。
【0006】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、プリフォームのハンドリング性に優れた金属基複合化部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る発明は、強化材を含むプリフォーム材料から構成される多孔質のプリフォームに母材金属を含浸させてなる金属基複合化部材の製造方法において、上記プリフォーム材料が分散されたスラリー中の分散媒をフィルタを介してスラリー容器内から吸引除去し、吸引除去により上記フィルタ上に成形されたプリフォームを該フィルタとともに上記スラリー容器内から取り出し、上記プリフォームを上記フィルタ上で乾燥させ、上記プリフォームを上記フィルタを介して金型容器内にセットし、上記金型容器内に上記母材金属の溶湯を注湯しつつ、上記フィルタの背面側から該金型容器内を減圧して、上記プリフォームに該母材金属の溶湯を含浸させることを特徴としたものである。
【0008】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、上記フィルタが、上記母材金属の溶湯の含浸時に該フィルタに対して差し込んだ母材金属と共に機械加工し易い材質から成形されていることを特徴としたものである。
【0009】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、上記フィルタが金属製であることを特徴としたものである。
【0010】
また、更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、上記フィルタが、その少なくともプリフォームと対向する側で、上記母材金属の溶湯に対する濡れ性が低い状態に設定されていることを特徴としたものである。
【0011】
また、更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、上記プリフォームを乾燥させた後に焼成する工程を備えており、上記フィルタが、該プリフォームの焼成工程時に酸化可能な材料からなり、その酸化によって、該フィルタの気孔表面に酸化層を生成させることを特徴としたものである。
【0012】
また、更に、本願の請求項6に係る発明は、請求項4に係る発明において、上記フィルタが、黒鉛粒子により成形されていることを特徴としたものである。
【0013】
また、更に、本願の請求項7に係る発明は、請求項4に係る発明において、上記プリフォームの吸引成形前に、上記フィルタのプリフォームと対向する側に塗型膜を形成することを特徴としたものである。
【0014】
また、更に、本願の請求項8に係る発明は、請求項4に係る発明において、上記プリフォームの吸引成形前に、黒鉛粒子が分散されたスラリー中の分散媒を上記フィルタを介して上記スラリー容器内から吸引除去し、該フィルタのプリフォームと対向する側に黒鉛粒子を含浸させることを特徴としたものである。
【0015】
また、更に、本願の請求項9に係る発明は、請求項1〜8に係る発明のいずれか一において、上記フィルタが、上記プリフォームの体積率より大きい体積率を有するように成形されていることを特徴としたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
本発明の金属基複合化部材の製造方法では、まず、強化材を含むプリフォーム材料で構成される予備成形体(以下、プリフォームという)を吸引成形する。図1の(a)は、プリフォームの吸引成形工程をあらわす説明図である。この吸引成形工程では、その底面に排気減圧孔2aを備えたスラリー容器2内に、多孔質のフィルタ10をセットした上で、強化材3及びそれを結合する結合材としてのバインダ4、並びに、分散媒5をスラリー容器2内で混合させる。その後、強化材3及びバインダ4が分散するスラリー(懸濁液)6をフィルタ10を介して吸引し、分散媒5を吸引除去して、フィルタ10上に脱液されたプリフォーム7を成形する。
【0017】
この実施の形態1では、強化材3として、ICI(ICI Chemicals & Polymers Ltd)製のアルミナ短繊維(商品名:サフィルRGミルド)を用い、バインダ4として、日産化学製のシリカゾル(商品名:スノーテックス30)を用い、また、分散媒5としては、水を用いた。更に、フィルタ10としては、アルミナ・シリカ繊維からなる直径90mm,厚さ6mm,体積率約10%のセラミックボードを用いた。
【0018】
プリフォーム7の吸引成形後には、その乾燥及び焼成を行ない、脱液後のプリフォーム7を固化させる。図1の(b)は、プリフォーム7の乾燥及び焼成工程をあらわす説明図である。この乾燥及び焼成工程に際しては、スラリー容器2内で成形されたプリフォーム7を、フィルタ10とともにスラリー容器2内から取り出し、フィルタ10上に置かれた状態で、乾燥及び焼成用の炉9内にセットする。
【0019】
この実施の形態1では、プリフォーム7を常温で12時間乾燥させ、その後、800℃で1時間焼成した。前述したプリフォーム原料を採用するとともに、かかる乾燥及び焼成工程を行うことで、直径90mm,厚さ5mm,体積率約30%のプリフォーム7を得た。
なお、焼成工程は、必要に応じて実施されるものであり、乾燥後のプリフォーム7について、所定以上の固体性が確保されていれば、特に実施されなくてもよい。
【0020】
プリフォーム7の乾燥及び焼成後には、プリフォーム7に対する母材金属溶湯の含浸を行なう。図1の(c)は、その含浸工程をあらわす説明図である。この含浸工程では、その底面に排気減圧孔12aを備えた金型容器12内に、乾燥及び焼成後のプリフォーム7及びフィルタ10をセットした上で、母材金属14の溶湯を注湯する。これと同時に、金型容器12の上方から溶湯に対してエア加圧を行い、また、真空ポンプ(不図示)を用いて排気減圧孔12aを介した金型容器12内の減圧を行う。これにより、プリフォーム7に母材金属14の溶湯が含浸させられ、プリフォーム7及び母材金属14の複合化がなされ、その結果、金属基複合化部材が得られる。
【0021】
この実施の形態1では、母材金属として、AC8A合金(JIS H5202)を用いた。また、母材金属14の溶湯の温度を750℃に設定し、プリフォーム7の予熱温度を600℃に設定した。更に、金型容器12の上方からの溶湯に対するエア加圧を、4kgf/cm2(≒0.392MPa)に設定した。
【0022】
なお、この含浸工程において、プリフォーム7及びフィルタ10を金属容器12内にセットするに際し、フィルタ10を、金型容器12内の底面に密着させることが好ましい。これにより、金型容器12を介してフィルタ10が冷却されるため、フィルタ10を通過する母材金属14の溶湯の凝固を促進させ、フィルタ10及び排気減圧孔12aへの溶湯侵入を防止することができる。この効果は、金型容器12の底部(フィルタ10と接触する面)を冷却すると、一層大きくなる。
【0023】
以上のように、この金属基複合化部材の製造方法では、プリフォーム7の吸引成形以降の工程を、プリフォーム7及びフィルタ10の組合せで行うことにより、プリフォーム7をそれがフィルタ10上で支持された状態で取り扱うことができる。これにより、図1の(a)〜(c)に示すような金属基複合化部材を製造するための一連の工程におけるプリフォーム7のハンドリング性を向上させることができる。
また、この金属基複合化部材の製造方法では、プリフォーム7の吸引成形工程時にスラリー容器2内にセットするフィルタと、プリフォーム7への母材金属の溶湯の含浸工程時に金型容器12内にセットするフィルタとを兼用化することができ、その結果、製造方法の経済性を向上させることができる。
【0024】
以下、本発明の別の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態では、特に記載しない限り、前述した実施の形態1における場合と同様の原料及び工程が採用されるものとする。
実施の形態2.
前述した実施の形態1では、フィルタ10として、アルミナ・シリカ繊維からなるセラミックボードを用いたが、これに限定されることなく、適切であれば他の材質からなるものを用いてもよい。この実施の形態2では、フィルタ10として、♯46,平均径約0.4mmのアルミニウムショットを、フェノール樹脂からなる有機バインダで成形させてなるものを用いた。ここでは、フィルタ10の体積率を、含浸工程時のフィルタ10への母材金属14の溶湯の差込みを抑制するために、プリフォーム7のそれよりも大きい約60%とした。また、この場合、フィルタ10の耐熱性を考慮して、焼成工程においては、その焼成温度を150℃に設定した。
【0025】
かかるフィルタ10を用いることにより、含浸工程時に母材金属14の溶湯がプリフォーム7を通過しフィルタ10まで差し込んだ場合に、フィルタ10の材質が、母材金属14と同じアルミニウムであるので、含浸工程後に不要なフィルタ及び差込み部分を切削除去する上で被削性がよく、それらを簡単に除去することができる。
【0026】
これに関連して、図2には、フィルタ10に対する母材金属14の差込み部分14aと、不要なフィルタ及び差込み部分(すなわち切削除去可能な部分)Rとを概略的に示す。この図に示すように、含浸工程においては、母材金属14の溶湯が、金属基複合化部材20を通過して、フィルタ10にその上面から差し込むことがある。母材金属の差込み部分を符号14aであらわす。しかし、この実施の形態2では、フィルタ10として、母材金属14と同じ材質からなるものを用いるので、フィルタ10とそれに差し込む母材金属14の差込み部分14aとが同じ材質となる。その結果、含浸工程後に切削除去部分Rを切削除去する上で被削性がよく、それらを簡単に除去することができる。つまり、フィルタ10として、母材金属14と同じ材質からなるものを用いる場合には、前述した実施の形態1においてフィルタ10と母材金属14とが異なる材質からなる場合に比べ、含浸工程後の機械加工が容易に可能となる。
【0027】
また、アルミニウムショットで成形されたフィルタ10の代わりに、アルミ繊維を有機バインダで成形されてなるものを用いた場合にも、同様の効果が得られた。更に、アルミ合金の切削切り粉を圧縮成形されてなるものを用いた場合には、有機バインダを使用せずにフィルタ10として成形可能であるため、経済性で優れるとともに、焼成工程における焼成温度を約500℃まで上昇可能であった。
【0028】
また、アルミショットの代わりに、安価な他の金属ショット(例えば亜鉛,スチール等)を用いることもできるが、この場合には、含浸工程後に不要なフィルタ及び差込み部分を切削除去する上で、異種金属の共加工となるため、その被削性について、アルミ系のフィルタを用いた場合よりは劣るものの、前述した実施の形態1における場合(セラミック系のフィルタを用いた場合)よりも優れた特性が得られた。
【0029】
ここでは、フィルタ10として、母材金属と同種の又は異種の金属からなるものを用いる例を挙げたが、特に金属に限定されることなく、機械加工の容易な材質からなるものであれば、含浸工程時に母材金属14の溶湯がフィルタ10まで差し込んだ場合にも、不要なフィルタ及び差込み部分を比較的容易に切削除去することができる。
【0030】
実施の形態3.
この実施の形態3では、フィルタ10として、SUS316からなる体積率約60%の鉄系多孔質体を用いた。そして、プリフォーム7の焼成工程時に、プリフォーム7を支持するフィルタ10を酸化させて、その気孔表面に酸化層を生成させた。焼成工程においては、その焼成温度を800℃に設定した。
【0031】
フィルタ10が酸化層を備えることにより、その表面における濡れ性は低くなる。これによって、含浸工程時にフィルタ10への母材金属14の溶湯の差込みが抑制された。なお、本願明細書において、「濡れ性」とは、液体と固体が接触する際に、固体の接触面に対する液滴の接触角の大きさで判断される特性をあらわすものとする。この接触角が大きいほど、濡れ性が低いといえる。
【0032】
このように、フィルタ10として、プリフォーム7の焼成工程時に酸化可能な材料からなるものを用い、その気孔表面に酸化層を生成させることで、含浸工程におけるフィルタ10への母材金属14の溶湯の差込みを抑制することができる。その結果、含浸工程後の不要なフィルタ及び差込み部分を切削除去するための機械加工を容易化できる。
【0033】
実施の形態4.
この実施の形態4では、フィルタ10として、黒鉛粒子で成形されてなるものを用いた。成形に際して、乾燥及び焼成工程後のフィルタ10の体積率を、含浸工程時のフィルタ10への母材金属の溶湯の差込みを抑制するために、アルミナ短繊維からなるプリフォーム7の体積率より大きい約60%とした。また、焼成工程においては、その焼成温度を800℃に設定し、フィルタ10をなす黒鉛の酸化損耗を防止するために、非酸化雰囲気で焼成を行った。
【0034】
かかるフィルタ10を用いた場合には、母材金属14の溶湯(アルミ溶湯)の黒鉛に対する濡れ性が低く、また、フィルタ10の体積率が、プリフォーム7のそれよりも大きいため、含浸工程におけるフィルタ10への母材金属14の溶湯の差込みが抑制された。その結果、含浸工程後の不要なフィルタ及び差込み部分を切削除去するための機械加工を容易化することができた。
【0035】
なお、フィルタ10の成形する粒子としては、特に黒鉛粒子に限定されることなく、例えばチタニア粒子や窒化硼素粒子等の、溶湯に対する濡れ性の低い粒子を用いれば、同様の効果が得られた。
【0036】
実施の形態5.
この実施の形態5では、プリフォーム7の吸引成形前に、フィルタ10のプリフォーム7と対向する側に塗型をした。ここでは、酸化亜鉛からなる塗型剤を用いた。図3に、その上面に塗型膜22を備えたフィルタ10及び該フィルタ10上に成形されたプリフォーム7を示す。
【0037】
このように、フィルタ10のプリフォーム7と対向する側に塗型をすることにより、プリフォーム7の吸引成形に要する時間が延びるものの、母材金属14の溶湯に対するフィルタ表面の濡れ性は低くなる。これにより、含浸工程時のフィルタ10への溶湯差込みを十分に抑制することができた。
【0038】
実施の形態6.
図4の(a)及び(b)は、共に、本発明の実施の形態6に係る図であり、それぞれ、プリフォーム7の吸引成形工程に先立ち、黒鉛粒子が分散したスラリーからフィルタ10を介して分散媒を吸引除去する工程をあらわす説明図、および、図4の(a)に示す工程に続くプリフォームの吸引成形工程をあらわす説明図である。
この実施の形態6では、図4の(a)からよく分かるように、プリフォーム7の吸引成形前に、すなわち、強化材を含むプリフォーム材料が分散されたスラリー6を入れる前に、まず、黒鉛粒子が分散したスラリー31をスラリー容器2内に入れ、スラリー31中の分散媒を吸引除去して、フィルタ10のプリフォーム7と対向する側に黒鉛粒子を含浸させた。符号31aは、フィルタ10における黒鉛粒子の含浸部分をあらわす。
【0039】
その後、図4の(b)に示すように、強化材及びバインダを含むプリフォーム材料が分散されたスラリー6をスラリー容器2に入れ、スラリー6中の分散媒を吸引除去して、プリフォーム7(図4では不図示)を成形した。
【0040】
フィルタ10が、そのプリフォーム7に対向する側に黒鉛粒子の含浸部分31aを備えることにより、その表面における濡れ性は低くなる。これによって、含浸工程時にフィルタ10への母材金属14の溶湯の差込みが抑制された。
【0041】
なお、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本願の請求項1に係る発明によれば、吸引成形以降の工程では、プリフォームを、それを支持するフィルタと組み合わせて扱えるため、プリフォームのハンドリング性を向上させることができる。また、この発明によれば、プリフォームの吸引成形工程時にスラリー容器内にセットするフィルタと、プリフォームへの母材金属の溶湯の含浸工程時に金型容器内にセットするフィルタとを兼用化することができ、製造方法の経済性を向上させることができる。
【0043】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、上記フィルタが、上記母材金属の溶湯の含浸時に該フィルタに対して差し込んだ母材金属と共に機械加工し易い材質から成形されているため、上記母材金属の溶湯の含浸時にフィルタに対して溶湯が差し込んだ場合にも、後工程において良好な機械加工性を確保することができる。
【0044】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、基本的には上記請求項2に係る発明と同様の効果を奏することができるが、この場合には、フィルタが母材金属と同様に金属からなるため、後工程においては一層良好な機械加工性を確保することができる。
【0045】
また、更に、本願の請求項4に係る発明によれば、上記フィルタが、その少なくともプリフォームと対向する側で、上記母材金属の溶湯に対する濡れ性が低い状態に設定されているため、該母材金属の溶湯の含浸時に、フィルタ内への溶湯の差込みを有効に抑制することができる。
【0046】
また、更に、本願の請求項5に係る発明によれば、上記フィルタが、該プリフォームの焼成工程時に酸化可能な材料からなり、その酸化によって、該フィルタの気孔表面に酸化層を生成させるため、母材金属の溶湯の含浸時に、フィルタ内への溶湯の差込みを有効に抑制することができる。
【0047】
また、更に、本願の請求項6に係る発明によれば、上記フィルタが、黒鉛粒子により成形されているため、母材金属の溶湯の含浸時に、フィルタ内への溶湯差込みを有効に抑制することができる。
【0048】
また、更に、本願の請求項7に係る発明によれば、上記プリフォームの吸引成形前に、上記フィルタのプリフォームと対向する側に塗型膜を形成するため、母材金属の溶湯の含浸時に、フィルタ内への溶湯差込みを有効に抑制することができる。
【0049】
また、更に、本願の請求項8に係る発明によれば、上記プリフォームの吸引成形前に、黒鉛粒子が分散されたスラリー中の分散媒を上記フィルタを介して上記スラリー容器内から吸引除去し、該フィルタのプリフォームと対向する側に黒鉛粒子を含浸させるため、母材金属の溶湯の含浸時に、フィルタ内への溶湯差込みを有効に抑制することができる。
【0050】
また、更に、本願の請求項9に係る発明によれば、上記フィルタが、上記プリフォームの体積率より大きい体積率を有するように成形されているため、母材金属の溶湯の含浸時に、フィルタ内への溶湯差込みを有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の金属基複合化部材の製造方法におけるプリフォームの吸引成形工程をあらわす説明図である。
(b)上記金属基複合化部材の製造方法におけるプリフォームの乾燥及び焼成工程をあらわす説明図である。
(c)上記金属基複合化部材の製造方法におけるプリフォームへの母材金属溶湯の含浸工程をあらわす説明図である。
【図2】フィルタに対する母材金属の差込み部分と、不要なフィルタ及び差込み部分からなる切削除去部分とを示す説明図である。
【図3】その表面側に塗型が形成されたフィルタ及びその上に成形されたプリフォームをあらわす説明図である。
【図4】(a)プリフォームの吸引成形工程に先立ち、黒鉛粒子が分散したスラリーからフィルタを介して分散媒を吸引除去する工程をあらわす説明図である。
(b)図4の(a)に示す工程に続く、プリフォームの吸引成形工程をあらわす説明図である。
【符号の説明】
2…スラリー容器
3…強化材
4…バインダ
5…分散媒
6…スラリー
7…プリフォーム
9…乾燥及び焼成用の炉
10…フィルタ
12…金型容器
14…母材金属
22…塗型膜
31…黒鉛粒子分散スラリー
31a…黒鉛粒子含浸部分
Claims (9)
- 強化材を含むプリフォーム材料から構成される多孔質のプリフォームに母材金属を含浸させてなる金属基複合化部材の製造方法において、
上記プリフォーム材料が分散されたスラリー中の分散媒をフィルタを介してスラリー容器内から吸引除去し、
上記吸引除去により上記フィルタ上に成形されたプリフォームを該フィルタとともに上記スラリー容器内から取り出し、
上記プリフォームを上記フィルタ上で乾燥させ、
上記プリフォームを上記フィルタを介して金型容器内にセットし、
上記金型容器内に上記母材金属の溶湯を注湯しつつ、上記フィルタの背面側から該金型容器内を減圧して、上記プリフォームに該母材金属の溶湯を含浸させることを特徴とする金属基複合化部材の製造方法。 - 上記フィルタが、上記母材金属の溶湯の含浸時に該フィルタに対して差し込んだ母材金属と共に機械加工し易い材質から成形されていることを特徴とする請求項1記載の金属基複合化部材の製造方法。
- 上記フィルタが金属製であることを特徴とする請求項2記載の金属基複合化部材の製造方法。
- 上記フィルタが、その少なくともプリフォームと対向する側で、上記母材金属の溶湯に対する濡れ性が低い状態に設定されていることを特徴とする請求項1記載の金属基複合化部材の製造方法。
- 上記プリフォームを乾燥させた後に焼成する工程を備えており、
上記フィルタが、該プリフォームの焼成工程時に酸化可能な材料からなり、その酸化によって、該フィルタの気孔表面に酸化層を生成させることを特徴とする請求項4記載の金属基複合化部材の製造方法。 - 上記フィルタが、黒鉛粒子により成形されていることを特徴とする請求項4記載の金属基複合化部材の製造方法。
- 上記プリフォームの吸引成形前に、上記フィルタのプリフォームと対向する側に塗型膜を形成することを特徴とする請求項4記載の金属基複合化部材の製造方法。
- 上記プリフォームの吸引成形前に、黒鉛粒子が分散されたスラリー中の分散媒を上記フィルタを介して上記スラリー容器内から吸引除去し、該フィルタのプリフォームと対向する側に黒鉛粒子を含浸させることを特徴とする請求項4記載の金属基複合化部材の製造方法。
- 上記フィルタが、上記プリフォームの体積率より大きい体積率を有するように成形されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一に記載の金属基複合化部材の製造方法。
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