JP2591688B2 - 繊維強化金属複合材料の製造方法 - Google Patents

繊維強化金属複合材料の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、金属強化用繊維成形体への金属溶湯の浸透
が容易であり、繊維と金属が充分密着したガス欠陥のな
い繊維強化金属複合材料の製造方法に関する。
(従来の技術とその問題点) 繊維強化金属複合材料の製造方法としては、金型内に
繊維成形体を配置し、金属溶湯を圧入して繊維成形体内
に金属溶湯を浸透させる高圧鋳造法が知られている。こ
の方法においては、繊維成形体内のガスを除去したり、
繊維成形体の形を保持する必要がある。
これまでに、金型内に配置された繊維成形体内のガス
を排気し、減圧下で金属溶湯を含浸させ、その後高圧下
で凝固させる方法が提案されている(特開昭60−6265
号)。しかし、この方法では、金属溶湯と繊維との濡れ
が悪い場合、あるいは金属複合材料の繊維体積率が大き
い場合には、減圧下で金属溶湯を含浸させることが困難
である。
その他、金型内に設けられた排気手段に直接繊維成形
体を接触させ、吸引することによって繊維成形体を排気
手段に固定するとともに繊維成形体内のガスを排気しな
がら金属溶湯を給湯し、加圧含浸させる方法が提案され
ている(特開昭61−257442号)。この方法においては、
排気手段に直接繊維成形体を接触、固定するために、予
熱繊維成形体の接触部分の温度が低下し、従って、金属
溶湯を均一に含浸させることが困難であり、繊維成形体
の変形が起き不都合である。
(問題点を解決するための技術的手段) 本発明は、繊維成形体の予熱温度を保ち、成形体内の
ガスを排気しながら金属溶湯を圧入、浸透させ、繊維と
金属が充分密着したガス欠陥のない繊維強化金属複合材
料の製造方法を提供する。
本発明は、繊維成形体内に金属溶湯を圧入する高圧鋳
造法によって繊維強化金属複合材料を製造する際に、金
型内に吸引排気のための排気口及び排気口を覆う多孔体
が設けられ、多孔体が部分的に接合された繊維成形体を
予熱し、この繊維成形体部の多孔体と金型内に設けられ
た排気口部の多孔体とを重ね合わせてから金型内に金属
溶湯を給湯し、排気口部の多孔体及び繊維成形体部の多
孔体を通して繊維成形体内のガスを吸引、排気しながら
金属溶湯を繊維成形体内に圧入することを特徴とする繊
維強化金属複合材料の製造方法に関する。
本発明で使用される繊維成形体は、例えば、炭化ケイ
素繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、Si−Ti
−C−O繊維(宇部興産(株)製チラノ繊維:登録商
標)、あるいはウェスカーを用いて製造することができ
る。
本発明の金属複合材料の製造に使用する金属として
は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネ
シウム、マグネシウム合金が挙げられる。
本発明の高圧鋳造法で使用される金型の具体例は、第
1図に示されている。金型1内の底面に吸引排気のため
の排気口2が設けられ、排気のための吸引装置3に接続
されている。また、金型内の排気口を覆うための多孔体
4が排気口部に設けられている。
排気口2に設けられた多孔体4は、吸引によって容易
にガスを通すが、金属溶湯を通さないような小孔を多数
有する耐熱成形体である。この多孔体の具体例として
は、シリカ、ジルコニア、アルミナなどの酸化物、鉄、
ニッケル、銅などの金属、あるいは炭化ケイ素、グラフ
ァイトなどの炭化物からなる成形体を挙げることができ
る。容易に手に入るレンガ、金属フィルターなどを直接
用いることもできる。また、所望の形状、大きさの多孔
体は、通常良く知られた成形法によって製造することが
できる。たとえば酸化物の場合、酸化物粉末を水ガラス
のような無機接着剤を用いて成形後、焼結する。金属の
場合は、例えば、特開平1−215933号の記載のように、
発砲金属にショットブラストを行って多孔体を製造する
ことができる。多孔体の体積率は、30〜70%が好まし
く、体積率が過度に小さ過ぎると金属溶湯が通過し、さ
らに多孔体の機械強度が弱いために鋳造圧で多孔体が破
壊される。また、体積率が過度に大き過ぎると、ガスの
吸引排気に長時間を要する。
金属強化用の繊維成形体5はその一部に多孔体6が接
合されており、繊維成形体に接合された多孔体6が、金
型内の排気口部に設けられた多孔体4に重ね合うように
繊維成形体を配置する。多孔体6は、予熱された繊維成
形体の熱低下を防止するために、保温性が良好な小孔を
多数有する耐熱成形体であることが望ましく、金型内の
排気口部に設けられた多孔体4と同様に酸化物、金属、
炭化物などから製造される。多孔体6の体積率は、10〜
50%が好ましく、体積率が過度に小さ過ぎると多孔体の
機械強度が弱いために鋳造圧で多孔体が破壊される。ま
た、体積率が過度に大き過ぎると、保温性が低下し、従
って、繊維成形体の温度の低下が著しく、さらに、ガス
の吸引排気に長時間を要する。多孔体6を繊維成形体に
接合するために、コロイダルシリカ、エチルシリケート
などの無機接着剤を用いることができる。
本発明においては、多孔体6が接合された繊維成形体
5を予熱後、繊維成形体5を金型1内に排気口2に設け
られた多孔体4上に配置し、次いで金型1内に金属溶湯
7を給湯し、可動ポンチ8を金属溶湯7に接する位置ま
で降下させ、排気装置1によって多孔体4及び多孔体6
を通して繊維成形体内のガスを吸引排気しながら可動ポ
ンチ8によって金属溶湯7を繊維成形体5に加圧、浸透
させることによって繊維強化金属複合材料を製造する。
(発明の効果) 本発明によれば、繊維成形体の繊維部分が直接に排気
口部に設けられた多孔体と接触しないので、予熱された
繊維成形体の急速な温度低下を防止することができ、繊
維成形体内のガスを吸引排気しながら金属溶湯を加圧浸
透させるので、金属溶湯と濡れの悪い繊維及び体積率の
大きい繊維成形体においても、成形体の変形のない、均
一な繊維強化金属複合材料を製造することができる。
(実施例) 以下に実施例を示す。
実施例1 平均粒子径約100μmのSiO2粒子を水ガラスと混合
し、CO2ガスで硬化させた後、800℃で焼結して所望の形
状を有する金型内排気口部の多孔体を製造した。この多
孔体の体積率は60%であった。平均粒子径約200μmのS
iO2粒子を用いた以外は、前記と同様にして体積率50%
の繊維成形体接合用の多孔体を製造した。
繊維成形体としては、炭化ケイ素ウィスカーから製造
された100mm×100mm×100mmの立方形状のものを用い
た。この成形体の体積率は約25〜30%であった。この成
形体と前記の繊維成形体接合用の多孔体とは、コロイダ
ルシリカを用いて接合した。
金型内の排気口部に設置された多孔体上に、630℃に
予熱した多孔体が接合された繊維成形体を、多孔体どう
しが接触するように配置し、金型内に730℃の6061合金
溶湯を給湯し、可動ポンチを降下させて可動ポンチが溶
湯に接触した時点で吸引装置のスイッチを入れ、500kgf
/mm2の圧力で可動ポンチを作動させ、溶湯を繊維成形体
内に浸透させた。
凝固によって得られた繊維強化金属複合材料は、繊維
成形体の乱れ、ガス欠陥がなく、均一なものであった。
比較例1 多孔体が接合されていない繊維成形体を用いた以外
は、実施例1と同様の手法で繊維強化金属複合材料を製
造した。
得られた繊維強化金属複合材料は、排気口部の多孔体
に接触した部分に空隙が残っており、溶湯の浸透が充分
ではなかった。また、繊維成形体の割れも観察された。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の鋳造時の加圧鋳造装置の断面図であ
る。 1……金型、2……排気口、3……吸引装置、4……多
孔体、5……繊維成形体、6……多孔体、7……金属溶
湯、8……可動ポンチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−137661(JP,A) 特開 昭63−207467(JP,A) 特開 昭63−49356(JP,A) 特開 平1−180773(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維成形体内に金属溶湯を圧入する高圧鋳
    造法によって繊維強化金属複合材料を製造する際に、金
    型内に吸引排気のための排気口及び排気口を覆う多孔体
    が設けられ、多孔体が部分的に接合された繊維成形体を
    予熱し、この繊維成形体部の多孔体と金型内に設けられ
    た排気口部の多孔体とを重ね合わせてから金型内に金属
    溶湯を給湯し、排気口部の多孔体及び繊維成形体部の多
    孔体を通して繊維成形体内のガスを吸引、排気しながら
    金属溶湯を繊維成形体内に圧入することを特徴とする繊
    維強化金属複合材料の製造方法。
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