JP2010274323A - セラミックス金属鋳ぐるみ複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
耐摩耗性、耐熱性に優れたセラミックス・金属複合材料及びかかるセラミックス・金属複合材料を簡単かつ低コストで製造できる方法を提供する。
【解決手段】
本発明のセラミックス製多孔質体を溶融金属によって鋳ぐるみ一体化させたセラミックス・金属複合材料は、セラミックス製多孔質体が、500℃以上の温度でHV800以上のビッカース硬さを示す炭化珪素(SiC)、アルミナ(Al),窒化珪素(Si)のようなセラミックスから成り、金属種として1450℃以上の溶融状態にて鋳型内へ注湯を行う金属材料を使用し、鋳造法によってセラミックス製多孔質体を金属と一体化させて構成される。また本発明のセラミックス・金属複合材料の製造方法は、SiC、Al、Siのようなセラミックス多孔質体を予め鋳型内に設置し、溶けた金属溶湯を注湯する際に鋳型内を大気圧よりも減圧環境としながら注湯を行うことを含む。

Description

本発明は、セラミックス製多孔質体を溶融金属によって鋳ぐるみ一体化させたセラミックス・金属複合材料及びその製造法に関するものである。そして本発明は、硬質で耐摩耗性に優れるセラミックスと比較的硬質でも靭性を有する金属材料とを組み合わせることによって、硬質でも脆性破壊しない優れた耐摩耗性複合材を得ることにあり、特に最高使用環境温度が500℃以上の高温下で使用されることのある高温用部材、及び摩擦熱などの影響により摩擦面が最高温度500℃以上の温度になる場合にも複合材としての特性を発揮できる部品を使用する技術分野に関するものである。
一般にセラミックスと金属材料の複合化は、従来から検討されており、金属基複合材料(Metal Matrix Composite)やサーメットという材料が古くから使用されている。これらの材料は、金属含浸やホットプレスなどといった特殊製法で作られている材料が多く、部品として非常にコストが高くなり、この点が使用上の問題とされている。セラミックスと金属を複合化する技術は下記の先行技術文献に記載されているように種々提案されている。
特許第3049055号公報 特許第3096291号公報 特開2004−290998号公報 特公平2−49825号公報 実開平5−56273号公報 特許2907044号公報 特開平2008−2548号公報 特開平2008−2549号公報
500℃を超える高温環境においては、主に酸化物等のセラミックスを主体とした煉瓦や耐火物が使用されているが、強度的に構造物として支持する部材には割れ等の破損問題があるためセラミックスだけでは使用できない。そのため、耐火物の芯金としての金属部材や構造物そのものを金属部品で構成している部品が用いられている。このような金属部品には、高温でも強度が維持でき、高温酸化などに耐えるステンレス鋼系の材料や耐熱鋼と呼ばれる高クロム(Cr)系及び高クロム(Cr)高ニッケル(Ni)系の材料が主に用いられている。
この種の金属材料は、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)を多く含むため原材料の価格変動によって材料費が大きく変動する問題がある。特に、各種炉などの部品は数が多いため、より価格変動が大きくなり問題となっている。高温環境で使われる場合、その高温という環境によって常温の場合よりも促進される傾向のある高温腐食という腐食劣化問題も発生する。主には酸化であるが、焼却炉などの場合、硫黄(S)、塩素(Cl)などの成分が高温腐食を冗長し、金属表面から内部にまで浸透して、材料を侵食していき最終的にはひび割れから破断、脱落という状態に発展する。そのため、金属部材としては侵食し難い、耐食性のある金属種を選定するか、単純に肉厚を増加して侵食に対し抵抗する手段が多くとられている。耐食性のある金属種には、さらにNiを増量する場合やコバルト(Co)、タングステン(W)などの高価な金属を多用する傾向があり、価格上昇を招くことになる。また、肉厚を増加することは重量増加を招き、材料費の上昇や熱膨張量が増えることによる割れの増加などの弊害が多くなる。
また、このような高温環境でも熱処理炉の場合は、搬送ローラーや台と耐熱治具の摩擦による金属治具摩耗、焼成炉の場合は被処理物が転動や摺動する際に金物と擦れあい摩耗する。このような高温環境では、先に示したように材料が限定されるため、表面の摩擦摩耗の問題に対し有効な手段が少なく、一般には溶射や硬化肉盛などの硬質物の表面被覆という手段が用いられている。しかし、高温環境では下地となる金属とその硬質物皮膜との熱膨張差によって応力が発生し、剥がれや亀裂発生の問題があり、必ずしも有効な手段とはなっていないのが現状である。
さらに,固形微細粒子を含む土砂や固形粒子が混在した気体や液体(ディスパージョンやスラリー)の混濁物質を搬送するポンプ部品や配管装置、攪拌装置には、すべり摩耗による問題とエロージョン摩耗による問題がある。このような部品にはその三次元的な形状から金属製の部品が多く用いられているが、この種の耐摩耗性を向上させる目的で基本的には硬質金属材料への材料変更や先にも述べた硬質物の被覆(溶射や硬化肉盛など)を行う場合が多い。但し、硬質系の金属材料は確かに耐摩耗性が向上する方向になるが、同時に脆性材料となり易くなり、金属本来の特徴でもある靭性を失っていくことになる。このため,割れや破損など衝撃に弱くなり使用する箇所や用途が制限されることになる。また、硬質物の被覆は、用途によっては大きな効果を発揮するが、衝撃系の摩擦や温度変化の大きな場合や同時に腐食環境がある場合などでは、必ずしも効果を発揮できない場合がある。
一方、エレベータ装置は最近の高層ビル化、高速化によってより高機能を求められるようになってきているが、万が一の安全装置としては、高層ビル化することによって新たなる問題が出てきている。エレベータには何重もの安全装置は装備されているが,かごを吊るしているワイヤーが切断するという最悪の事態が発生した場合、ガイドレールに噛み込むように挟む形で2個のパッドが装着されている。ある落下スピードに達したらこの安全装置が働き、パッドとガイドレールの摩擦によって制動し、停止させる機能のものである。最近のかごの大型化や高速化によって、その制動力は上昇しており、一般に軟鋼であるガイドレールと高速度鋼などで作られるパッドの摩擦による発生する摩擦熱が上昇しすぎて500℃を超えると高速度鋼の軟質化が始まり、それにより制動能力が低下して完全停止が出来なくなってきている。
このように、金属の本来の良さを維持しつつ、耐摩耗性を改善できる複合化手段が望まれている。その手段としてよくセラミックスなどとの複合化が取り上げられている。特許文献1に記載のものは、そのようなセラミックスとの複合化の一例である。ここではセラミックスに相当する部材に超硬合金(タングステンカーバイド)を用いたものであるが、予め粉末状に加工した超硬合金粉末を仮焼結させて塊状とした後に鋳型内に配置しておき、その鋳型内へ溶融金属を流し込み鋳包みする製造方法である。この方法によれば、部分的に一体化された超硬合金層を有する金属複合材料が製造可能である。しかし、実用上は超硬合金の粉砕が非常に困難であること、仮焼結を基本としているため事前処理が必要となり、価格的に問題があった。
特許文献2に記載のものは、硬質物として金属炭化物や金属窒化物で構成されたサーメット材を用いた例であるが、比較的軽比重であるサーメットと鋳ぐるみ金属には一般に大きな比重差が有り、通常、鋳ぐるみ製法で予め鋳型内にサーメットを配置しておいても流し込まれた溶融金属との比重差によってサーメットが浮いてしまう傾向がある。そのため位置を固定するのが難しく、混じりあったとしても偏析が発生する。それを解決するために金属種とこのサーメットとの比重差のあまり無い組合せにしている。その結果、ちょうど良い状態で混じり合って金属とサーメットの複合化ができるというものであるが、逆に非常に材料の制限が出てきて用途が限定されたものとなっていた。
特許文献3に記載のものは、特許文献2と同じサーメットと鋳ぐるみ金属との組み合わせであるが、サーメット粒子を予め成型して塊状とし、それを鋳型内に配置して鋳ぐるみを行う製造方法であって、その塊状のサーメット材を金網のような保持体で支持し溶融金属にて鋳ぐるみを行っている。ただ、この製造方法も特許文献1に記載のものと同様で、サーメットの粉体化と塊状に成型する事前処理が必要であり、かつ金網保持という手段のため鋳型内へのセッティングなどの処置に手間がかかり、やはり価格的な問題もあった。
一方、特許文献4には、セラミックス製多孔質体と金属の複合化による最古の発明が記載されているが、この複合材料の開発趣旨が異なり流体を透過させる金属製品を製造するための製造方法である。3次元網目構造のセラミックス多孔質体を溶融金属で鋳ぐるみするに際し、表面から内部に至るまでの連続通気が可能な複合化を目的としている。セラミックスと金属の複合化材料ということのみで、十分な周囲技術の解明等がなされていなく、最適なセラミックスの種類や金属種の記載もなく、また、高温環境や摩耗性能に関する記載もない。
また、特許文献5には、加工プレス用の材料に塗油する装置部品が記載されており、鋳鉄とセラミックス多孔質体の流体透過性鋳鉄複合材料に関するものである。これも特許文献4と同様に開発趣旨が異なり塗油するための補油機構としての鋳鉄複合材料である。またセラミックスの最適化や金属種の最適化など,他の目的に使用する場合の記載もない。
特許文献6に記載のものは、エレベータの非常止め装置に関するものである。エレベータがワイヤー切れ等の非常事態に作動する停止装置の摺動片に複合材料を用いたものであり、ガイドレールと直接摺動する部材にセラミックスブロックを鋳ぐるみした摺動片を用い、その裏側に摺動片よりも熱伝導性の良い部材を組み合わせることにより、摩擦熱による熱の蓄積の緩和と高い摩擦抵抗を維持させるものである。しかし、例えばセラミックスブロックが1つの摺動片に22個程度も必要になり、鋳ぐるみを行う場合の鋳型内への設置や保持手段など非常に手間がかかると共にやはり価格的な問題がある。
さらに、特許文献7及び特許文献8には、多孔質体セラミックスと鋳鉄との複合化による鉄道車両用制輪子とその製造方法が記載されている。多孔質体セラミックスは、炭化珪素製とされ、鋳鉄制輪子との複合化によってブレーキ性能が向上するとされている。またその製造方法は円筒状の多孔質体セラミックスの中央孔に鋳型側に固定されたガイド棒を挿入することにより、溶融鋳鉄を注湯した際に浮力が働き、制輪子摺動面に保持される。制輪子としては有効な手段ではあるが、ガイド棒など汎用的な部品には使用しにくく、手間がかかることから価格上昇要因となっている。また、鋳鉄と本多孔質体セラミックスの複合材料のため、注湯温度が低く(1350〜1400℃程度)なっている。そのためセラミックスと鋳鉄との反応がほとんどなく、界面の接合状態は良くない。この制輪子の場合は、耐摩耗性の向上というよりも制動距離の短縮すなわち摩擦係数の上昇が大きな命題となっており、その目的でSiCセラミックス粒子を少量ずつ摩擦面へ供給している。しかし、耐摩耗という観点で見るとセラミックスと金属との密着性が乏しいことが問題となり、必ずしも耐摩耗性改善にはつながらないという問題点がある。
本発明は、このような耐摩耗性能の改善を主目的としており、セラミックスと金属の密着性に着目して耐摩耗性、耐熱性に優れたセラミックス・金属複合材料を提供すること及びかかるセラミックス・金属複合材料を簡単かつ低コストで製造できる方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の発明によれば、セラミックス製多孔質体を溶融金属によって鋳ぐるみ一体化させたセラミックス・金属複合材料において、
セラミックス製多孔質体が、 500℃以上の温度でHV800以上のビッカース硬さを示す炭化珪素(SiC)、アルミナ(Al),窒化珪素(Si)のようなセラミックスから成り、金属種として1450℃以上の溶融状態にて鋳型内へ注湯を行う金属材料を使用し、鋳造法によってセラミックス製多孔質体を金属と一体化させたことを特徴としている。
セラミックス製多孔質体は、鋳造用のフィルタすなわち溶解した金属をろ過するフィルタから成り、SiCを主成分とするセラミックスであり得る。
本発明の第1の発明によるセラミックス・金属複合材料は、鋼材等の熱処理を行うために加熱、高温保持される炉やごみ焼却炉、セメント工場の焼成炉、或いはセメント材料等を燃焼、焼却するための最高使用環境温度が500℃以上の炉用部品を構成するのに使用され得る。
本発明の第1の発明によるセラミックス・金属複合材料は、粉体、土砂、汚泥などの固形粒子を含む気体、液体などの混合物質が衝突や断続接触したりするアブレシブ摩耗環境、すなわち例えば建設機械関係の土質改良機(掘り起こした土を攪拌して戻す改良機)のパドル(かき混ぜる羽)を構成するのに使用され得る。
本発明の第1の発明によるセラミックス・金属複合材料は、エレベータの緊急停止手段装置として配置されている非常停止装置用のパッド材を構成し得る。
また、本発明の第2の発明によれば、セラミックス製多孔質体を溶融金属によって鋳ぐるみ一体化させたセラミックス・金属複合材料の製造方法において、SiC、Al、Siのようなセラミックス多孔質体を予め鋳型内に設置し、溶けた金属溶湯を注湯する際に鋳型内を大気圧よりも減圧環境としながら注湯を行うことを特徴としている。
本発明の第1の発明によるセラミックス・金属複合材料は、セラミックス製多孔質体のセラミックス材質が500℃以上の温度でHV800以上のビッカース硬さを示すSiC、Al、Siのようなセラミックスから成り、また金属種として1450℃以上にて注湯を行う金属材料としたことにより、比較的安価に製造でき、高温での耐久性に優れ、耐摩耗性にも優れたものを提供することができる。
また、セラミックス製多孔質体がSiCを主成分とするセラミックスから成る場合には、金属との密着性に一層優れた金属とセラミックスの複合材料を提供することができる。また、金属よりも比重の低いセラミックスが複合化されているため、見かけの体積に対する重量の軽減(軽量化)が図れる。特に高温炉用部品などは、部品交換の際に重量物である金属部品を交換する手間が問題となっているが,この軽量化によって作業時間の短縮や安全性の向上につながることになる。
さらに、本発明の第1の発明によるセラミックス・金属複合材料が、鋼材等の熱処理を行うために加熱、高温保持される炉やごみやセメント材料等を燃焼,焼却するための最高使用環境温度が500℃以上の炉用部品に使用される場合には、軽量化による交換作業性の改善や低価格化の実現など本材料の採用効果が大きくなる。また本発明の第1の発明によるセラミックス・金属複合材料が、粉体、土砂、汚泥などの固形粒子を含む気体、液体などの混合物質が衝突や断続接触したりするアブレシブ摩耗環境で使用される部品に使用される場合には、安価な複合材料にて耐摩耗性を改善できることになる。一方、エレベータの緊急停止手段装置として配置されている非常停止装置用のパッド材に本発明の第1の発明によるセラミックス・金属複合材料が使用される場合には、高層ビルなどの制動距離の長い摩擦熱が非常に上昇する過酷なエレベータでも好適な非常停止装置用パッドを提供することができる。
また、本発明の第2の発明によるセラミックス・金属複合材料の製造方法では、SiC、Al、Siのようなセラミックス多孔質体を予め鋳型内に設置し、溶けた金属溶湯を注湯する際に鋳型内を大気圧よりも減圧環境としながら注湯を行うことによって、より細部にまで溶融金属が浸透することになり,より好適なセラミックス金属複合材料を得ることができる。
また、本発明の第2の発明によるセラミックス・金属複合材料の製造方法で使用され得る3次元網目状セラミックス自体は、鋳造用セラミックスフィルターとして市場において入手可能であり、そしてその製造方法から形状の自由度が高く、比較的安価であるため最終セラミックス・金属複合材料の価格を低く抑えることができる。
本発明のセラミックス・金属複合材料の製造に使用され得る3次元網目状セラミックス素材の外観写真を示す図。 本発明の一実施形態に係わるセラミックス・金属複合材料(SiC‐S13:ステンレス鋳鋼)の断面マクロ写真を示す図。 本発明の一実施形態に係わるセラミックス・金属複合材料(SiC‐H13:耐熱鋳鋼)の断面マクロ写真を示す図。 本発明の一実施形態に係わるセラミックス・金属複合材料(SiC‐27C:高クロム鋳鋼)の断面マクロ写真を示す図。 本発明の一実施形態に係わるセラミックス・金属複合材料(SiC‐S13:ステンレス鋳鋼)の断面ミクロ写真を示す図。 本発明の一実施形態に係わるセラミックス・金属複合材料(SiC‐H13:耐熱鋳鋼)の断面ミクロ写真を示す図。 本発明の一実施形態に係わるセラミックス・金属複合材料(SiC‐27C:高クロム鋳鋼)の断面ミクロ写真を示す図。 本発明の一実施形態に係わるセラミックス・金属複合材料(SiC‐H13:耐熱鋳鋼)の断面ミクロ拡大写真を示す図。 本発明の一実施形態に係わるセラミックス・金属複合材料(SiC‐S13:ステンレス鋼)の断面ミクロ拡大写真を示す図。 本発明の一実施形態に係わるセラミックス・金属複合材料(SiC‐27C:高クロム鋳鋼)の断面ミクロ写真を示す図。 本発明置いて使用され得る各種セラミックスの温度とビッカース硬さの関係を示すグラフ。 本発明の実施形態に係わるセラミックス金属複合材料と金属単体の耐摩耗実験の結果を示すグラフ。
以下、添付図面を参照してさらに説明する。
セラミックス製多孔質体としては、図1に示すように3次元網目構造を呈しており、空隙の数としては25mmの長さ中に4〜9個のセルを有するサイズの空隙を有しているセラミックス多孔質体を使用した。空隙率としては見掛け上約85%となっている。材質はSiC(炭化珪素)が主成分である。金属種としては、いずれも1450℃以上の鋳込み温度となる以下に挙げる3材質を使用した。
(a)S13:ステンレス鋳鋼(Fe‐9Ni‐19Cr‐1.3Si‐1.3Mn‐0.06C)。
(b)H13:耐熱鋳鋼(Fe‐12Ni‐25Cr‐1.7Si‐1.5Mn‐0.4C)。
(c)27C:高クロム鋳鉄(Fe‐28Cr‐2.8C‐0.8Si‐0.9Mn)。
成分値はいずれも質量%である。
また、それぞれの鋳込みの注湯温度は、1450℃以上であり、すなわち、
(a)金属種としてS13:ステンレス鋳鋼を用いた場合には、鋳込みの注湯温度は1550℃とし、
(b)金属種としてH13:耐熱鋳鋼を用いた場合には、鋳込みの注湯温度は1500℃とし、また、
(c)金属種として27C:高クロム鋳鉄を用いた場合には、鋳込みの注湯温度は1450℃とした。
上記した炭化珪素セラミックス多孔質体を鋳ぐるみした結果、本セラミックス多孔質体の中にそれぞれの金属溶湯が侵入し複合化が確認されたが、高精度な計測の結果、平均で約1.0vol.%の空隙が存在することが判明した。これにより得られた複合材料でも金属とセラミックスの複合化という目的はほぼ達成しているが、さらに完全な複合材料とするために、本発明では、注湯前に砂型鋳型を減圧環境としておき、注湯時にもその減圧環境を維持しながら注湯を行う減圧注湯を行った。その結果,空隙率は約0.6vol.%となり、ほぼ完全な金属とセラミックスの複合化が達成された。
図2に示す写真(S13:ステンレス鋳鋼)、図3に示す写真(H13:耐熱鋳鋼)、図4に示す写真(27C:高クロム鋳鉄)は、減圧環境としない大気圧鋳造時のそれぞれの金属セラミックス複合材料の中央部断面写真であり、黒い部分は金属、白い部分はセラミックスを表している。これらの写真から認められるように、若干の空隙があるもののほぼ金属がセラミックス網目構造の空間の部分に侵入し、金属とセラミックスが微細に分散した複合材料となっている。また、図5の(a)、(b)、図6の(a)、(b)及び図7の(a)、(b)には、それぞれS13:ステンレス鋳鋼、H13:耐熱鋳鋼及び27C:高クロム鋳鉄を用いた場合のそれぞれの拡大写真を示している。これらの写真から特に(b)のセラミックス(黒い部分)と金属(白い部分)の界面の拡大写真では、金属がセラミックスの表面の凹凸によく侵入しており、高い密着性が確認された。
さらに、図8及び図9に示すH13:耐熱鋳鋼とS13:ステンレス鋳鋼の事例の金属組織写真においてセラミックス表面に接触している金属部分に反応相(浸炭と考えられる)が確認された。セラミックス中の炭素が拡散して金属の中に入っていくことにより、より一体化している。反応相は図10に示す27C:高クロム鋳鉄の場合にも確認された。セラミックスと金属の複合材料にはよく接触面における密着性の乏しさが問題とされるが,本発明による複合材料は,注湯温度を1450℃以上とすることにより、セラミックスと金属の反応を促進させると共に細部にまで金属を侵入させる効果があった。
上記の3材質は注湯温度が1450℃以上のため、このようなセラミックス表面への金属の侵入が確認されたが、それ以下の注湯温度では、セラミックスと金属の界面は金属の侵入はほとんど認められない。元々本発明で使用するセラミックスはねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄用の金属溶湯(溶融した金属)の不純物や酸化物の除去や整流効果を目的とした鋳型に設置されるフィルタであるため、一般に1350〜1400℃程度の注湯温度ではほとんど反応しないセラミックスを使用しているため、当然の結果と言える。
今回の金属とセラミックスの複合化実験は、炭化珪素(SiC)を用いたが,アルミナ(Al)、窒化珪素(Si)でも程度の多少はあるが、1450℃以上での反応は確認されている。
図11に示すグラフは、各種セラミックスの温度における硬さの変化を示したものである。各セラミックス共に温度上昇と共に硬さの低下は確認されたが、SiC、Si、Alは500℃においてもビッカース硬さHv800程度以上を示しており、金属に対しても十分な硬さの差が確認できる。この特性によって、鋼材等の熱処理を行うために加熱、高温保持される炉やごみやセメント材料等を燃焼,焼却するための最高使用環境温度が500℃以上の炉用部品である場合、セラミックスの硬質部分が有効に働き金属単体に比べて耐摩耗性が改善される。また、エレベータの緊急停止手段装置として配置されている非常停止装置用のパッド材の場合には、緊急停止装置の作動時に摩擦摺動によって摩擦熱が非常に上昇し、金属が軟質化する状況であっても本セラミックス部分が摩擦面に露出することで相手材のガイドレールとの摩擦抵抗を有効に生じさせ制動させる効果がある。
一方、土砂、汚泥などの固形粒子を含む気体、液体などの混合物質が衝突や断続接触したりするアブレシブ摩耗環境で使用される部品である場合には、前述したように本複合材料はセラミックスと金属の密着度が高いことが特徴であるため、よく金属セラミックスの複合材料で問題となるこの種の摩擦環境のときのセラミックス部分のみの剥離脱落や金属部分の優先的な摩耗を生じさせることなく、金属とセラミックスの界面が中間的な性状を示し、平均的に摩耗するようになり、図12に示すように金属単体時に比較していずれの金属も大きく耐摩耗性を改善することが可能となった。なお、図12に示す実験では、クロスレジンベルト(ベルト状の研磨布)に、対象物を置いて、一定荷重をかけて、ずれないようにし、30秒ベルトを回転させる実験を6回繰返した時の摩耗によって減少した量を測定した。

Claims (6)

  1. セラミックス製多孔質体を溶融金属によって鋳ぐるみ一体化させたセラミックス・金属複合材料において、
    セラミックス製多孔質体が、 500℃以上の温度でHV800以上のビッカース硬さを示す炭化珪素(SiC)、アルミナ(Al),窒化珪素(Si)のようなセラミックスから成り、金属種として1450℃以上の溶融状態にて鋳型内へ注湯を行う金属材料を使用し、鋳造法によってセラミックス製多孔質体を金属と一体化させたことを特徴とするセラミックス・金属複合材料。
  2. セラミックス製多孔質体が、鋳造用のフィルタすなわち溶解した金属をろ過するフィルタから成り、SiCを主成分とするセラミックスであることを特徴とする請求項1記載のセラミックス・金属複合材料。
  3. 鋼材等の熱処理を行うために加熱、高温保持される炉やごみ焼却炉、セメント工場の焼成炉、或いはセメント材料等を燃焼、焼却するための最高使用環境温度が500℃以上の炉用部品を構成するのに使用されることを特徴とする請求項1記載のセラミックス・金属複合材料。
  4. 粉体、土砂、汚泥などの固形粒子を含む気体、液体などの混合物質が衝突や断続接触したりするアブレシブ摩耗環境、すなわち例えば建設機械関係の土質改良機(掘り起こした土を攪拌して戻す改良機)のパドル(かき混ぜる羽)を構成するのに使用されることを特徴とする請求項1記載のセラミックス・金属複合材料。
  5. エレベータの緊急停止手段装置として配置されている非常停止装置用のパッド材を構成するのに使用されることを特徴とする請求項1記載のセラミックス・金属複合材料。
  6. セラミックス製多孔質体を溶融金属によって鋳ぐるみ一体化させたセラミックス・金属複合材料の製造方法において、
    SiC、Al、Siのようなセラミックス多孔質体を予め鋳型内に設置し、溶けた金属溶湯を注湯する際に鋳型内を大気圧よりも減圧環境としながら注湯を行うことを特徴とするセラミックス・金属複合材料の製造方法。
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