JP2004250583A - コーティング組成物及び樹脂積層体 - Google Patents

コーティング組成物及び樹脂積層体 Download PDF

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Tomofuyu Marumo
朝冬 丸茂
Fumiaki Kakeya
文彰 掛谷
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Abstract

【課題】各樹脂層間が良好な密着性を有し、耐候性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性及び耐水性に優れた透明なコーティング組成物及びそれを用いた樹脂積層体を提供すること。
【解決手段】アルキルトリアルコキシシラン(A)、無水珪酸を含有し粒径が4〜7nmのコロイダルシリカ(B)、アミンカルボキシレート及び/又は第4級アンモニウムカルボキシレート(C)、シリコーン含有高分子紫外線吸収剤(D)を特定の比率で配合した樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]、及びポリカーボネート樹脂基材(E)の少なくとも一方の面を紫外線吸収剤(F)含有のアクリル樹脂層(G)で被覆し、該アクリル樹脂層(G)を前記コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]でコーティングし、硬化させた硬化層(H)からなる樹脂積層体(I)。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂用コーティング組成物及び該組成物を樹脂表面に塗布して硬化した樹脂積層体に関する。より詳細には、耐候性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性及び耐水性に優れた樹脂用コーティング組成物、及びポリカーボネート樹脂基材と、該基材の少なくとも一方の面上に紫外線吸収剤を含有するアクリル樹脂層を積層し、アクリル樹脂層上に前記コーティング組成物を塗布して硬化した硬化層からなる樹脂積層体に関する。
本発明の樹脂積層体は、透明性、耐候性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性及び耐水性に優れているので自動車や車両の窓ガラス、サンルーフ、ランプカバー、温室等の透明な屋根や採光窓、道路の防音壁、看板、自動販売機の前面板、カーポート、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学部材、LCDやEL表示用保護シート、酸素・水分等を遮断する隔膜等の幅広い分野に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
有機透明プラスチック材料、特にポリカーボネート樹脂は優れた衝撃強度及び高い荷重撓み温度を有し、寸法安定性、加工性、自己消火性に優れていることから、光学材料をはじめ多くの分野で使用されている。しかしながら、表面硬度が低く、耐摩耗性や耐候性に劣るため、透明材料として最も重要な透明性が損なわれるという問題点を有している。
また、他のプラスチック材料、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン及びポリ塩化ビニル等はその透明性、軽量性、易加工性等に優れているため種々の用途に使用されているが、これらの材料からなる成形品も他の素材に比較して、耐衝撃性、耐摩耗性、耐溶剤性が低く、且つ表面が傷つきやすいという問題点を有している。
【0003】
これらの問題点を解決するために、シリコーン系プライマーと、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる組成物でプラスチック基体を処理後、コロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物を塗布し、この塗膜を硬化させる方法が開示されている(特許文献1参照)が、耐候性が不十分で、さらにはプライマーと硬化膜(2コート)を塗布する必要があり、生産性の低下と言う大きな欠点があった。また、プラスチック基材表面に特定の層からなる3層構造を積層する提案もなされ(特許文献2)、さらには、紫外線吸収剤含有ポリカーボネート樹脂板に表面硬化層もしくはプライマー層、次いで表面硬化層が順次積層されてなる表面硬化板(特許文献3)も開示されているが、いずれの場合も2コート方式で非常に生産性の低いものであった。
【0004】
上記の2コート方式の生産性を改善するために、1コ−ト方式としてアクリル樹脂層の厚さが、ポリカーボネート層の1/10以下に構成した共押出しシートのアクリル樹脂層上に、電離放射線硬化型樹脂や、熱硬化型樹脂、シリコーン系硬化型樹脂を積層した積層体が開示(特許文献4)され、さらには、ポリカーボネート樹脂基材/紫外線吸収剤を含有する樹脂層/表面硬度層からなる積層体の表面硬化層として、1官能あるいは多官能のアクリレートモノマーあるいはオリゴマーなどの単独あるいは複数からなる樹脂組成物に硬化触媒として光重合開始剤が加えられた紫外線硬化型樹脂塗料、ポリオルガノシロキサン系、架橋型アクリル系又はメラミン系熱硬化型樹脂塗料を塗布、硬化させた積層体が開示(特許文献5)されているがいずれの場合も密着性、耐クラック性、耐候性等の点で不十分であった。
【0005】
以上のように、プライマーと硬化膜との2コ−ト方式では、特に生産効率が非常に低いという問題がある。また、プライマー無しでポリオルガノシロキサン系樹脂等をコーティングした、1コート方式の透明樹脂積層体を屋外で使用した場合、例えば自動車及び車両の窓やランプカバー、温室等の透明な屋根や採光窓、眼鏡レンズ、及びカメラレンズなどにおいて、太陽光線、雨、湿度、高温及び低温の温度差の厳しい屋外環境に耐えうる性能を有するコーティング剤及び樹脂積層体は、未だ十分ではない状況にある。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−182764号公報
【特許文献2】
特開平9−11405号公報
【特許文献3】
特開平9−174783号公報
【特許文献4】
特開平8−25589号公報
【特許文献5】
特開平8−230127号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は従来技術の問題点を解決しようとするもので、各樹脂層間が良好な密着性を有し、耐候性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性及び耐水性に優れ、生産性の高い透明なコーティング組成物及びそれを用いた樹脂積層体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するために鋭意検討し、第1の発明である樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]を見出した。すなわち本発明の樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]は、オルガノトリアルコキシシラン(A)、平均粒径4〜7nmの無水珪酸含有コロイダルシリカ(B)、アミンカルボキシレート及び/又は第4級アンモニウムカルボキシレート(C)、シリコーン含有高分子紫外線吸収剤(D)を特定の比率で配合したものである。特筆すべきことは、本発明の樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]には、成分(B)として平均粒径が4〜7nmと非常に微細なコロイダルシリカが使用されているため、耐候性が極めて優れていることである。
【0009】
本発明の上記樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]をポリカーボネート樹脂基材に直接コーティングし硬化させた場合、コーティング組成物(abcd)とポリカーボネート樹脂基材との密着性が不足する。また、ポリカーボネート樹脂基材の替わりに紫外線吸収剤含有のアクリル樹脂を用いて、アクリル樹脂にコーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]を塗布して硬化させた場合、密着性の問題はないが、得られた樹脂積層体の衝撃強度が著しく小さく、本発明の目的を達成できない。これに対し、ポリカーボネート樹脂基材(E)の少なくとも一方の面を紫外線吸収剤(F)含有のアクリル樹脂層(G)で被覆し、該アクリル樹脂層(G)を前記コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]でコーティングし、硬化させた硬化層(H)からなる樹積層体(I)は、前記の様な問題は全く発生せず、優れた各層間の密着性、透明性、耐候性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性及び耐水性を有していることを見出し、第2の発明を完成させた。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のコーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]は、
▲1▼下記式(1)で示されるオルガノトリアルコキシシラン(A)100重量部と
▲2▼無水ケイ酸含有量が10〜50重量%で、平均粒径が4〜7nmのコロイダルシリカ(B)50〜200重量部からなる組成物[(A)+(B)]100重量部に対し、
▲3▼アミンカルボキシレート及び/又は第4級アンモニウムカルボキシレート(C)を1.0〜5.0重量部配合した組成物[(A)+(B)+(C)]100重量部に対し、さらに
▲4▼シリコーン含有高分子紫外線吸収剤(D)を0.5〜35重量部配合したものである。
【0011】
Si(OR (1)
(式中、Rは置換基または非置換の一価の炭化水素基、Rはアルキル基)
【0012】
前記式(1)ので示されるオルガノトリアルコキシシラン(A)中のRは、炭素数1〜8の置換基又は非置換の一価の炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基などのアルキル基、その他γ−クロロプロピル基、ビニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などが挙げられる。また、オルガノトリアルコキシシラン(A)中のRは、炭素数1〜5のアルキル基あり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
【0013】
これらのオルガノトリアルコキシシラン(A)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができ、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランである。
【0014】
本発明で使用するポリオルガノシロキサンを得るためのオルガノトリアルコキシシラン(A)の加水分解は、公知の方法、例えば酸触媒存在下該アルコキシシラン(A)の低級アルコール溶液に水を添加して行われる。低級アルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が例示される。また、上記加水分解の際にコロイダルシリカの水性分散液を酸触媒とともに添加しても良い。このようにして得られるポリオルガノシロキサンは、1〜2量体成分が実質的に存在せず、6量体以上が65重量%以上であって、数平均重合度が8〜30であることが好ましい。
【0015】
本発明のコーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]は、該組成物を構成するのコロイダルシリカ(B)には無水ケイ酸が10〜50重量%含有されており、かつコロイダルシリカの平均粒径が4〜7nmである。このようなコロイダルシリカ(B)の分散剤は、水または有機溶媒、さらに親水性有機溶媒(たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;ジアセトンアルコール等)の少なくとも1種と水との混合溶媒を用いることができる。これらの水系溶媒の中でも、水または水−メタノール混合溶媒が、分散安定性と、塗布後の分散媒の乾燥性の点で好ましい。
【0016】
コロイダルシリカを塩基性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックス30、スノーテックス40、触媒化成工業(株)のカタロイドS30、カタロイドS40、酸性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックスO、有機溶剤に分散させた商品として日産化学工業(株)のMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST等がある。
本発明では、安定性に優れた分散体を得るとともに特に耐候性に優れたコーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]を得るために、平均粒径が4〜7nmの範囲にあるコロイダルシリカを使用する。また、コロイダルシリカ(B)は、前記オルガノトリアルコキシシラン(A)100重量部に対して50〜200重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0017】
本発明のコーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]を構成するアミンカルボキシレート及び/又は第4級アンモニウムカルボキシレート(C)として、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート、ジメチルアニリンホルメート、テトラエチルアンモニウムベンゾエート、トリメチルベンジルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムアセテート、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテートなどをあげることができる。このアミンカルボキシレート及び/又は第4級アンモニウムカルボキシレート(C)は、アルコキシシラン(A)とコロイダルシリカ(B)からなる組成物[(A)+(B)]100重量部に対し1.0〜5.0重量部の範囲で使用される。アミンカルボキシレート及び/又は第4級アンモニウムカルボキシレート(C)の使用量が1.0重量部より少ないと皮膜の耐摩耗性が低く、5.0重量部を越えると皮膜の透明性が低下するので好ましくない。
【0018】
本発明の樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]を構成するシリコーン含有高分子紫外線吸収剤(D)は、特開2001−139924号公報開示の紫外線吸収剤であり、すなわち下記式(2)で示されるベンゾフェノン系紫外線吸収モノマー(d1)、及び下記式(3)で示されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収モノマー(d2)から選択された少なくとも一種の紫外線吸収モノマー(d1+d2)と、下記式(4)で示されるシリコーンマクロマー(d3)と、官能基含有共重合性ビニルモノマー(d4)と、官能基非含有共重合性ビニル化合物(d5)からなる重量平均分子量が10,000〜100,000の重合物である。
【0019】
【化1】
Figure 2004250583
(式中、R11は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシル基を示す。R12は炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のオキシアルキレン基を示し、mは0又は1を示す。R13は水素原子、又は低級アルキル基を示す。Xはエステル結合、アミド結合、エーテル結合、又はウレタン結合を示す。)
【0020】
【化2】
Figure 2004250583
(式中、R21は水素原子、ハロゲン原子、又はメチル基を示す。R22は水素原子、又は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。R23は炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のオキシアルキレン基を示し、m21は0又は1を示す。R24は炭素数1〜8のアルキレン基、アミノ基を有する炭素数1〜8のアルキレン基、又はヒドロキシル基を有する炭素数1〜8のアルキレン基を示し、m22は0又は1を示す。R25は水素原子、又は低級アルキル基を示す。Xはエステル結合、アミド結合、エーテル結合、又はウレタン結合を示す。)
【0021】
【化3】
Figure 2004250583
(式中、R31は水素原子、又はメチル基を示す。R32は炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数1〜6のオキシアルキレン基を示し、m31は0又は1を示す。R33は炭素数1〜6のアルキレン基、アミノ基を有する炭素数1〜6のアルキレン基、又はヒドロキシル基を有する炭素数1〜6のアルキレン基を示し、m32は0又は1を示す。nは1〜200の整数を示し、Xはエステル結合又はアミド結合を示す。)
【0022】
シリコーン含有紫外線吸収剤(D)を構成する前記各成分の比率は、(d1+d2)/d3/d4/d5=5〜50/5〜60/50〜80/5〜20(重量%)である。また、シリコーンマクロマー(d3)の重量平均分子量は200〜10,000であることが好ましい。
シリコーン含有紫外線吸収剤(D)は、アルコキシシラン(A)、コロイダルシリカ(B)及びアミンカルボキシレート及び/又は第4級アンモニウムカルボキシレート(C)の合計100重量部に対し、0.5〜35重量部配合される。シリコーン含有紫外線吸収剤(D)の配合量が0.5重量部より少ないと、樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]の耐候性に対する改良効果が小さく、35重量部より多いと樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]を硬化した硬化層の線膨張係数が大きくなり過ぎるので好ましくない。
【0023】
樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]の分散溶媒は、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができ、分散溶媒としてはゾルの安定性や入手のし易さの観点から、水、或いは低級アルコールであるメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ケトン類であるメチルエチルケトン、ジアセチルアセトンなどを用いることが好ましい。又、本発明において前記溶媒効果を発現させるためには、組成物中の水分含有量が15%以下とすることが好ましい。15%を超えると水がシラノール基に選択的に配位するため、シラノール基の安定性が損なわれる。
【0024】
本発明の樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]の保存温度は、通常25℃以下、好ましくは15℃以下、更に好ましくは5℃以下である。25℃を超えると、保存期間が長い場合、加水分解・縮合反応が徐々に進行するので好ましくない。
本発明のポリオルガノシロキサンを含む組成物を用いて硬化被膜を形成させる際、硬化被膜の硬度や耐擦傷性の向上、又は高屈折率化などの光学的機能性を付与させるために、公知の硬化触媒や金属酸化物及びその他の添加物を適宜加えても良い。
【0025】
硬化触媒の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、n−ヘキシルアミン、プロピオン酸カリウム、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセンのごとき塩基性化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、錫アセチルアセトナート、ジブトキシ錫オクチレートの如き金属化合物類、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸の如き酸性化合物類が挙げられる。硬化触媒の添加量は、本発明の樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましい。
【0026】
金属酸化物の具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化鉄などが挙げられる。特に、耐擦傷性を目的とした硬化剤とする場合には、コロイダルシリカ(シリカゾル)が好適である。硬化剤として使用する場合の金属酸化物の添加量は、本発明のコーティング組成物100重量部に対して5〜500重量部、特に10〜200重量部であることが好ましい。これらの金属酸化物の存在下に縮合反応を行っても良く、また縮合反応後に加えても良い。
【0027】
本発明の樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]をアクリル樹脂層(G)上に塗装する方法は、塗装される成形品の形状や塗装目的に応じて、刷毛、ロール、ディッピング、流し塗り、スプレー、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、スクリーンプロセス等がある。
【0028】
ポリカーボネート樹脂基材(E)となるポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートを用いることができるが、芳香族ポリカーボネートが好ましい。本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化合物、またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることによって作られる、分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。製造方法については、特に限定されるものでは無く、ホスゲン法(界面重合法)あるいは、溶融法(エステル交換法)等公知の方法で製造することができる。さらに、溶融法で製造され末端OH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂も使用することができる。このようにして製造されたポリカーボネート樹脂のうち、本発明に使用されるポリカーボネート樹脂は、ポリスチレン換算重量平均分子量が45,000〜70,000のものである。
【0029】
次に、ポリカーボネート樹脂基材(E)とポリオルガノシロキサンを含む組成物の硬化層(H)との中間に位置するアクリル樹脂層(G)について具体的に述べる。アクリル樹脂層(G)におけるアクリル樹脂は、メチルメタクリレートの構成単位のモノマー量が全構成単位の総モノマー量に対して80モル%以上で、好ましくは80〜99モル%で、ポリスチレン換算重量平均分子量が70,000〜150,000であることが好ましい。アクリル樹脂がメチルメタクリレート単重合体では、熱安定性が劣る。またアクリル樹脂の荷重撓み温度は90℃以上が良く、好ましくは95℃以上、更に好ましくは100℃以上である。
【0030】
アクリル樹脂の製造方法は一般的に乳化重合法、懸濁重合法、連続重合法とに大別されるが、本発明に使用されるアクリル樹脂は連続重合法により製造されたアクリル樹脂が好ましい。さらに、連続製造法には連続塊状重合法と連続溶液重合法とに分けることができるが、本発明においてはどちらかの製法で得られたアクリル樹脂を用いることができる。
【0031】
アクリル樹脂層(G)中には、耐候性を長期間保持する目的のために紫外線吸収剤(F)を0.1〜5重量%含有するのがよい。好ましくは0.2〜3.5重量%含有し、さらに好ましい含有率は0.5〜3.0重量%である。紫外線吸収剤の含有率が0.1重量%未満の場合、十分な耐候性を示さない。また、5重量%を超えて配合してもさらなる耐候性向上は期待できないばかりでなく、これら添加剤がブリードアウトを起こし、白化の原因になったり、密着性の低下、また機械的性能、特に耐衝撃性を損ねることが多い。
【0032】
これらのアクリル樹脂層(G)に添加される紫外線吸収剤(F)の例としては、アクリル樹脂層の透明性を維持するためベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系、トリアジン系の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0033】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチレンブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等を例示することができる。
【0034】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロルベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等を例示することができる。
【0035】
サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリチル酸エステル等が例示できる。
【0036】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
【0037】
さらに、アクリル樹脂層(G)には一般的に入手可能な酸化防止剤及び着色防止剤等の添加剤が含まれる。これらアクリル樹脂層(G)に添加される酸化防止剤、着色防止剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、住友化学工業(株)、旭電化工業(株)等のカタログに記載の各種の酸化防止剤、着色防止剤の使用が可能である。
【0038】
酸化防止剤の例として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−フェノール)、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−t−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン、ジアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(ジノニルフェニル)フォスファイト、4,4’−チオビス(3−6−t−ブチルフェノール)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリスノリルフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等がある。さらに、旭電化工業(株)カタログに記載のPEP4C、PEP8、PEP24G、PEP36、HP−10等も使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
ポリカーボネート樹脂基材(E)の少なくとも片面に紫外線吸収剤(F)を含有するアクリル樹脂層(G)を設けた成形品を製造するための方法については、特に制限はない。例えば、ポリカーボネート樹脂基材(E)及びアクリル樹脂層(G)の原料樹脂を同時に溶融押出して成形する共押出法や、ポリカーボネート樹脂基材(E)をシート状に押出成形する際に同時にアクリル樹脂層(G)を溶融押出してラミネートする方法、予めフィルム状に成形されたアクリル樹脂層(G)をポリカーボネート樹脂基材(E)の押出成形時に連続的に熱ラミネートする方法、シート状或いはフィルム状に成形されたポリカーボネート樹脂基材(E)及びアクリル樹脂層(G)をプレス機にて熱圧着する方法等が用いられるが、安価に大量に生産する場合は共押出法が好適である。
【0040】
共押出法で用いられる押出装置としては、ポリカーボネート樹脂基材(E)を押出すメイン押出機と、被覆層となる紫外線吸収剤(F)を含有するアクリル樹脂層(G)を押出す1又は2以上のサブ押出機により構成され、通常サブ押出機はメイン押出機より小型のものが採用される。メイン押出機の温度条件は、通常230℃〜290℃、好ましくは240℃〜280℃であり、サブ押出機の温度条件は、通常220℃〜270℃、好ましくは230℃〜260℃である。2種以上の溶融樹脂を被覆する方法としては、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式等の公知の方法を用いることが出来る。この場合、フィードブロックで積層された溶融樹脂はTダイなどのシート成形ダイに導かれ、シート状に成形された後、表面を鏡面処理された成形ロール(ポリッシングロール)に流入して、バンクを形成する。このシート状成形物は、成形ロール通過中に鏡面仕上げと冷却が行われ、積層板が形成される。マルチマニホールドダイの場合は、該ダイ内で積層された溶融樹脂は同様にダイ内部でシート状に成形された後、成形ロールにて鏡面仕上げ及び冷却が行われ、積層板が形成される。ダイの温度としては、通常220℃〜280℃、好ましくは230℃〜270℃であり、成形ロール温度としては、通常100〜190℃、好ましくは110〜180℃である。ロールは縦型ロールまたは、横型ロールを適宜使用できる。
【0041】
該ポリカーボネート樹脂層(E)と該アクリル樹脂層(G)とを共押出しする際、フィードブロック、Tダイでの成形性、及びポリッシングロールでの巻き付き防止のために添加される滑剤は、アクリル樹脂に対して0.01〜1重量%であり、好ましくは0.02〜0.8重量%、更に好ましくは0.02〜0.7重量%である。滑剤添加量が0.01%未満の場合、ロールとの密着性改善には寄与することがなく、十分な効果を示さない。また、1%を超えて添加してもさらなる成形性改善効果は見られず、これら滑剤がブリードアウトを起こし、埃付着、次工程での塗料等の密着性不全など積層体の表面特性を低下させる原因となる場合も起こり得る。アクリル樹脂に添加される滑剤は、花王(株)、日本油脂(株)旭電化工業(株)、共栄社化学(株)などのカタログに記載の各種の滑剤の使用が可能である。これらの例として、エステル類としてブチルステアレート、アルコール類としてステアリルアルコール、グリセリンエステルとしてステアリン酸モノグリセライド、ソルビタンエステルとしてソルビタンモノパルミチテート、ソルビタンモノステアレート、多価アルコールとしてマンニトール、脂肪酸としてステアリン酸、油脂系ワックスとして硬化ひまし油、モノアマイドとしてのステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、ビスアマイドとしてエチレンビスステアリン酸アマイド、及び複合滑剤などを例示することができるがこれらだけに限定されるものではない。
【0042】
共押出により製造されたアクリル樹脂層(G)の膜厚は、1〜100μmが良く、好ましくは3〜80μm、さらに好ましくは5〜50μmである。1μm未満ではその効果が発揮されず、100μmを超えると樹脂積層体(I)の耐衝撃性を著しく低下させ、さらには経済性においても不利である。
また、アクリル樹脂層(G)上にコーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]を塗布し、硬化することによって形成される硬化層(H)の厚みは1〜10μmであり、好ましくは2〜8μm、さらに好ましくは3〜7μmである。硬化層(H)の厚みが1μm未満では耐候性が劣り、10μmを越えると硬化時にクラックが発生するので好ましくない。
【0043】
【実施例】
以下に本発明を実施例によってさらに詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。また、特に断らない限り、以下に記す「部」及び「重量%」はそれぞれ「重量部」及び重量%を意味する。
【0044】
本実施例で用いた評価、試験方法を以下に示す。
(1)密着性:JIS K5400に準拠し、サンプルをカミソリの刃で2mm間隔に6本ずつ切れ目をいれて25個の碁盤目をつくり、市販のセロテープ(登録商標)をよく密着させた後、90°手前方向に急激に剥がした時、塗膜が全く剥離しないものを○で表示した。
(2)テーバー摩耗性:ASTM−D1044に準拠し、テーバー摩耗性試験機にて摩耗輪CS−10Fを装着し、荷重500g下で500回転後のヘイズを測定し、試験前のヘイズを引いた値ΔHを示した。なお、ヘイズは日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH−2000にて測定した。
(3)耐煮沸性:評価サンプルを100℃の沸騰水に2時間浸漬した後の外観変化、密着性を評価し、変化のないものを○とした。
(4)耐候性:JIS K5400に準拠し、カーボンアーク式サンシャインウェザーメーターにて促進試験を行い密着性で剥離する迄の時間を求めた。
【0045】
製造例1(ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂被覆層からなる共押出シートの製造)
基板層にポリカーボネート樹脂(E−2000U、三菱ガス化学社製、ポリスチレン換算重量平均分子量;63,000)を用い、ポリカーボネートを押し出す押出機として、バレル直径65mm、スクリュウのL/D35、シリンダー温度270℃とした。
また、被覆層を形成するアクリル樹脂を押し出す押出機は、バレル直径32mm、スクリュウのL/D32、シリンダー温度250℃に設定した。2種類の樹脂を同時に溶融押出し、積層する際には、フィードブロックを使用し、ポリカーボネート樹脂の片面にアクリル樹脂を積層した。ダイヘッド内温度は270℃とし、ダイ内で積層一体化された樹脂は、鏡面仕上げされた3本のポリッシングロールに導かれ、1番ロール温度110℃、2番ロール温度130℃、3番ロール温度180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は1.2m/分、引き取り用ピンチロール速度1.6m/分とした。
得られたシートは、厚さ0.5mm、アクリル樹脂被覆層は20μmで、外観の優れたのもであった。
【0046】
ここで使用したアクリル樹脂は、連続重合法で製造された三菱ガス化学社製MGC−10(特開平7−133303号公報記載の方法)に紫外線吸収剤としてチヌビン1577(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製)2%と、酸化防止剤としてスミライザーBHT(住友化学工業社製)0.1%及びアデガスタブPEP−36(旭電化工業社製)0.05%及び滑剤として、ステアリルアルコール0.4%を添加した樹脂を用いた。
【0047】
実施例1〜2及び比較例1
メチルトリメトキシシラン(A)100重量部に、酢酸1部を混合した後、氷浴で冷却し攪拌を行いながら温度を0〜10℃に保持し、次いで表1に示した平均粒径のコロイダルシリカ(B)84部を滴下した。滴下後温度を10℃に保持し4時間攪拌を行った後、更にコロイダルシリカ(B)を84部を滴下し、20℃で12時間攪拌を行い熟成を行った。
次に、酢酸セロソルブ45部、イソブチルアルコール50部及びKP−341(商品名:信越化学工業(株)製ポリオキシアルキレングリコールジメチルシロキサン共重合体)0.02部を滴下混合し、更に硬化触媒としてテトラメチルアンモニウムアセテートを0.02部滴下し混合し塗料を調製した。調製後、高分子タイプの紫外線吸収剤(一方社油脂工業(株)製XL−183 50wt%)を塗料中の樹脂分100部に対して10部添加し塗料を完成させた。
製造例1の共押シートのアクリル樹脂被覆面上に、前記塗料を塗布し、熱風乾燥機にて130℃で1時間硬化させた。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
Figure 2004250583
【0049】
比較例2
メチルトリメトキシシラン(A)100重量部に、酢酸1部を混合した後、氷浴で冷却し攪拌を行いながら温度を0〜10℃に保持し、次いでスノーテックス30(商品名日産化学工業(株)製コロイダルシリカSiO230wt%平均粒径10〜20nm)84部を滴下した。滴下後温度を10℃に保持し4時間攪拌を行った後、更にスノーテックスIBA−ST(商品名日産化学工業(株)製コロイダルシリカ25〜26wt%平均粒子径10〜20nm)84部を滴下し、20℃で50時間攪拌を行い熟成を行った。
次に、酢酸セロソルブ45部、イソブチルアルコール50部及びKP−341(商品名:信越化学工業(株)製ポリオキシアルキレングリコールジメチルシロキサン共重合体)0.02部を滴下混合し、更に硬化触媒としてテトラメチルアンモニウムアセテートを0.02部滴下し混合し塗料を調製した。調製後、紫外線吸収剤として2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンを塗料中の樹脂分100部に対して10部添加し塗料を完成させた。
製造例1の共押シートのアクリル樹脂被覆面上に、前記塗料を塗布し、熱風乾燥機にて130℃で1時間硬化させ、厚さ4μmの硬化層を積層した。得られた樹脂積層体を実施例1と同一条件で評価した結果、密着性と耐煮沸性は○、テーバー摩耗性ΔHは2.4%、耐候性処理後の密着性は2600時間であった。
【0050】
上記の実施例から明らかなように、本発明の樹脂積層体は初期密着性、テーバー摩耗性、耐煮沸密着性、耐候性処理後の密着性共に優れているが、比較例の樹脂積層体は耐候性処理後の密着性が非常に劣り、実用性の低いものであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]は、透明性、耐摩耗性、耐熱性及び耐水性のみならず、耐候性にも著しく優れている。また、ポリカーボネート樹脂基材(E)の少なくとも一方の面を紫外線吸収剤(F)含有のアクリル樹脂層(G)で被覆し、該アクリル樹脂層(G)を前記樹脂用コーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]でコーティングし、硬化させた硬化層(H)からなる樹脂積層体(I)は、各樹脂層間の密着性が良好で、透明性、耐候性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性及び耐水性に優れ、得られた塗膜は高光沢で鮮映感のある仕上がりの良いものが得られるので幅広い分野で使用できる。

Claims (5)

  1. ▲1▼下記式(1)で示されるオルガノトリアルコキシシラン(A)100重量部と、
    Si(OR (1)
    (式中、Rは置換基または非置換の一価の炭化水素基、Rはアルキル基)
    ▲2▼無水ケイ酸含有量が10〜50重量%で、粒径が4〜7nmのコロイダルシリカ(B)50〜200重量部からなる組成物[(A)+(B)]100重量部に対し、
    ▲3▼アミンカルボキシレート及び/又は第4級アンモニウムカルボキシレート(C)を1.0〜5.0重量部配合した組成物[(A)+(B)+(C)]100重量部に対し、さらに、
    ▲4▼シリコーン含有高分子紫外線吸収剤(D)を0.5〜35重量部配合したコーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]。
  2. ポリカーボネート樹脂基材(E)と、該基材(E)少なくとも一方の面上に紫外線吸収剤(F)を含有するアクリル樹脂層(G)を積層し、アクリル樹脂層(G)上に請求項1記載のコーティング組成物[(A)+(B)+(C)+(D)]を塗布後、硬化した硬化層(H)からなる樹脂積層体(I)。
  3. ポリカーボネート樹脂基材(E)/アクリル樹脂層(G)/硬化層(H)からなるものがフィルム、シート又はボードである請求項2記載の透明な樹脂積層体(I)。
  4. 前記アクリル樹脂層(G)中の紫外線吸収剤(F)がベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系又はトリアジン系の群から選ばれる1種以上の紫外線吸収剤であり、紫外線吸収剤の含有量が0.1〜5重量%である請求項2に記載の透明な樹脂積層体(I)。
  5. アクリル樹脂層(G)の厚みが10〜100μmであり、硬化層(H)の厚みが1〜10μmである請求項2記載の透明な樹脂積層体(I)。
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