JP2004250496A - 塩素含有樹脂の脱塩素方法 - Google Patents
塩素含有樹脂の脱塩素方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004250496A JP2004250496A JP2003039830A JP2003039830A JP2004250496A JP 2004250496 A JP2004250496 A JP 2004250496A JP 2003039830 A JP2003039830 A JP 2003039830A JP 2003039830 A JP2003039830 A JP 2003039830A JP 2004250496 A JP2004250496 A JP 2004250496A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chlorine
- containing resin
- treatment
- carbonization
- sieve
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/50—Reuse, recycling or recovery technologies
- Y02W30/62—Plastics recycling; Rubber recycling
Abstract
【解決課題】樹脂系廃棄物の処理に際し,十分に塩素を低減することができる塩素含有樹脂の乾留処理による脱塩素方法を提供し、得られる処理物の燃料等への有効利用を可能とする。
【解決手段】乾留処理によって得られる炭化物の被粉砕性の差異により、塩素含有量の異なる炭化物を分別回収する方法であり、塩素含有樹脂を乾留処理し、該乾留処理物を粉砕し、該粉砕生成物を篩い分けて粗粒と微粉に分別し、該微粉を回収すること、該粗粒を循環し、新たな塩素含有樹脂とともに再度乾留処理すること、該乾留処理時の塩素含有樹脂の温度を350℃〜400℃とすることを特徴とする塩素含有樹脂の脱塩素方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】乾留処理によって得られる炭化物の被粉砕性の差異により、塩素含有量の異なる炭化物を分別回収する方法であり、塩素含有樹脂を乾留処理し、該乾留処理物を粉砕し、該粉砕生成物を篩い分けて粗粒と微粉に分別し、該微粉を回収すること、該粗粒を循環し、新たな塩素含有樹脂とともに再度乾留処理すること、該乾留処理時の塩素含有樹脂の温度を350℃〜400℃とすることを特徴とする塩素含有樹脂の脱塩素方法である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、塩素含有樹脂からの脱塩素方法に関し、さらに詳しくは、乾留処理による塩素含有樹脂廃棄物からの脱塩素を効率化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂系廃棄物の有効利用方法として、当該樹脂廃棄物を焼却して熱エネルギーを活用するサーマルリサイクルが広く行われている。しかし樹脂の中でも塩化ビニルなどに代表される塩素含有樹脂は、高濃度の塩素を含有しているために、他の樹脂に比較して発熱量が低いという欠点がある。さらに塩素含有樹脂を燃焼させると、有害性、有毒性の高い塩化水素ガスが発生する。また、適正な排ガス処理を行わないと、毒性の極めて高いダイオキシンも発生する。従って塩素含有樹脂をサーマルリサイクルする際には、事前に塩素含有樹脂を乾留処理により熱分解する等し、塩素分を除去して用いることが望ましい。しかし、従来の乾留処理では塩素含有樹脂の十分な脱塩素化は難しく、特開平11−116979号公報(特許文献1)に見るように、脱塩処理物には2,000ppm程度もの塩素が残留していた。
【0003】
一方、塩素含有樹脂をそのまま燃焼する場合には、処理設備の腐蝕対策や、排ガス、燃焼灰のダイオキシン対策に掛かる費用が膨大となるため、事実上、実用化は断念されているのが実情である。こうしたことから、塩素を含有する樹脂系廃棄物は、有効利用されることなく、埋立て等の最終処分をされているのが実態である。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−116979号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
塩素含有樹脂中の塩素を熱分解により脱塩素化する方法としては、乾留処理が知られている。乾留処理によって得られる炭化物は、十分に塩素を低減することができれば、微粉炭と同等の燃焼特性が期待でき、燃料等としての有効活用が図れる。しかし、前記のとおり通常単に乾留処理を行うのみでは十分な脱塩素は困難であり、乾留処理に掛かる処理温度や時間を種々変えても、一定量の塩素が残留するのを防止することができなかった。本発明は、このような塩素含有樹脂の乾留処理上の問題点を解消し,十分に塩素を低減することができる乾留処理による脱塩素方法を提供し,得られる処理物の有効利用を可能とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題の解決のため鋭意検討を行った結果、塩素含有樹脂の乾留処理によって得られる乾留処理物を粉砕すると、その粉砕生成物の粒度によって含有される塩素の量が異なることを発見した。これは、乾留処理物中で、塩素含有量の高い部分の被粉砕性が悪いことに起因する。したがって、乾留処理物の粉砕生成物を篩い分けることにより、塩素含有量の高い部分と低い部分に分離することが可能であり、炭化物の被粉砕性の違いを利用して、塩素含有量の異なる炭化物を回収することができることを見出した。さらに、塩素含有量の高い粗粉側の粉砕生成物を循環し、再度乾留処理することで一層の脱塩素化が図られ、塩素含有樹脂から塩素分を有効に効率よく除去できることを実証し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、塩素含有樹脂を乾留処理し、該乾留処理物を粉砕し、該粉砕生成物を篩い分けて粗粒と微粉に分別し、該微粉を回収することを特徴とする塩素含有樹脂の脱塩素方法である。 また、本発明は、塩素含有樹脂を乾留処理し、該乾留処理物を粉砕し、該粉砕生成物を篩い分けて粗粒と微粉に分別し、該粗粒を循環し、新たな塩素含有樹脂とともに再度乾留処理することを特徴とする塩素含有樹脂の脱塩素方法である。さらに本発明は、前記いずれかの塩素含有樹脂の脱塩素方法において、乾留処理時の塩素含有樹脂の温度が350℃〜400℃であることを特徴とする塩素含有樹脂の脱塩素方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる塩素含有樹脂とは、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂のように塩素を含有する樹脂であって、これに類するものであればとくに限定されるものではない。また、本発明の主なる目的は、塩素を含有する樹脂系廃棄物の有効利用にあり、対象物が廃棄物である以上、他の熱可塑性樹脂等の混入も考えられる。しかしながら、本発明では対象とする処理物の中に塩素含有樹脂が含まれていれば、目的外である他の樹脂が混入されることも妨げるものではない。
【0009】
ただし、他の樹脂が混入された状態で乾留処理した場合、樹脂の種類によって熱的挙動が異なるため、得られる炭化物の特性にばらつきが生じる可能性がある。本発明では、乾留処理によって得られる炭化物の被粉砕性の差異によって、塩素含有量の異なる炭化物を分別回収するので、上記のばらつきは、分別回収の精度を低下させる懸念がある。また、塩素含有樹脂以外の樹脂が混入している場合、これらの樹脂に塩素含有樹脂が覆われ、結果的に脱塩素が十分行われ難くなる可能性もある。このような観点から、対象処理物は塩素含有樹脂の比率が高ければ高いほど好ましい。したがって、よく知られている周知の方法、すなわち、比重分離法などによって、予め塩素含有樹脂を分別しておくことが好ましい。
【0010】
乾留処理する塩素含有樹脂の大きさはとくに制限されるものではなく、乾留処理に用いられる装置の大きさや特性に応じて適宜設定するが、投入原料の大きさが過度に大きい場合は、脱塩素反応が内部まで十分に進行しないことがあるので、できれば50mm以下、好ましくは20mm以下に破砕して使用することが好ましい。
【0011】
所定の大きさに破砕した塩素含有樹脂は、例えば外熱式のロータリーキルンや、バッチ炉などの装置を用いて乾留処理を行う。ここで、乾留処理時の塩素含有樹脂の温度すなわち処理温度が低すぎる場合には、塩素含有樹脂の熱分解速度が著しく低下する。一方、該処理温度が高すぎる場合には、塩素含有樹脂が溶融して取り扱い性が悪くなるばかりでなく、固形燃料としての生命線であるカーボンが気化して、得られる炭化物の発熱量が低くなってしまう等の問題を生じる。好ましい処理温度の範囲は、350℃〜400℃である。
【0012】
また、乾留処理に掛ける時間は、使用する装置、乾留する際の処理温度等によって様々であるが、いずれの装置を用いる場合でも、脱塩素反応を十分に進行させるには、ある程度の時間が必要である。一例として、例えば、外熱式のロータリーキルンを使用する場合、350℃〜400℃の処理温度にて、30分〜60分程度の滞留時間が推奨される。
【0013】
所定の条件にて乾留処理された乾留処理物、すなわち炭化物は粉砕し、得られた粉砕生成物をさらに篩い分けて篩残留分である粗粒と篩通過分である微粉に分別する。この操作により塩素含有量の異なる炭化物を別々に回収することができる。残留塩素の多い炭化物は粗粒として回収され、残留塩素の少ない炭化物は微粉として回収される。これは炭化物に残留する塩素量が、炭化物の被粉砕性と密接な関係にあるという、本発明者らによって見出された知見を利用したものであり、残留塩素が多い部位は被粉砕性に劣るため粗粒となり、一方、残留塩素の少ない部位は、炭化が進行し、被粉砕性に優れるため微粉となる。
【0014】
回収された微粉は、残留塩素が少ないため、そのまま微粉炭代替、燃料として利用することができる。一方、粗粒には残留塩素が多く存在するが、これを循環し再度、新たな塩素含有樹脂とともに乾留処理することによって、残存する塩素量を低減していくことができる。
【0015】
乾留処理物の粉砕は、とくに限定するものではなく、周知の方法が適宜利用できる。例えばボールミル粉砕、ロールプレス、インパクトクラッシャー等による衝撃粉砕など、種々の方法が利用できる。粉砕物は、篩を用いて、粗粒と微粉に分ける。この時の分級ポイントとなる篩い径は、塩素含有樹脂の種類、粒度や乾留処理条件、例えば、処理温度、乾留時間、酸素濃度、ガス流速、キルンの熱伝導効率性、或いは乾留処理物の粉砕方法、粉砕条件などの影響により、同一篩い径で分級したとしても、必ずしも得られる回収物中の塩素濃度は一様とはならない。従って、要求される残留塩素の量に応じて、篩い径は適宜設定する。
【0016】
【実施例】
乾留処理に用いた塩素含有樹脂は、塩素量54.1質量%、水分0質量%、揮発量95.5質量%、固定炭素4.5質量%、灰分3.0質量%、発熱量5,100kcal/kgの塩化ビニル樹脂とした。これを、密閉構造型の外熱式ローターリーキルン(φ150mm×L1,700mm)に60g/hで投入し、表1記載の乾留条件にて処理した。次に該乾留処理物を、圧力1〜10kgf/cm2となるよう調整したローラー型加圧ミルにより粉砕し、粉砕生成物を篩い目開き0.85mmの振動篩により篩通過分である微粉と篩残留分である粗粒とに分別を行った。
【0017】
〔試験例1〕処理温度350℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、黒色を呈して被粉砕性の優れる発泡体であった。また、該処理物の全体塩素量は、0.27質量%であり、 粉砕生成物の0.85mm篩通過分、篩残留分の塩素量はそれぞれ0.09質量%、0.65質量%となり、粗粒(篩残留分)の方に塩素が多く残存していることが確認できた。また、篩通過分の発熱量は8,500kcal/kgと高い結果であった。
【0018】
〔試験例2〕処理温度400℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、黒色を呈して被粉砕性の優れる発泡体であった。また、該処理物の全体塩素量は、0.23質量%であり、粉砕生成物の0.85mm篩通過分、篩残留分の塩素量はそれぞれ0.06質量%、0.55質量%となり、粗粒の方に塩素が多く残存していることが確認できた。また、篩通過分の発熱量は8,800kcal/kgと高い結果であった。
【0019】
〔試験例3〕処理温度320℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、茶褐色を呈して被粉砕性のやや悪い発泡体であった。また、該処理物の全体塩素量は、3.4質量%であり、粉砕生成物の0.85mm篩通過分、篩残留分の塩素量はそれぞれ2.20質量%、4.20質量%となり、粗粒の方に塩素が多く残存していることが確認できた。また、篩通過分の発熱量は5,800kcal/kgと低い結果であった。
【0020】
〔試験例4〕処理温度430℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、黒色を呈した被粉砕性の悪い溶融体であった。また、該処理物の全体塩素量は、0.10質量%と低い結果であるが、発熱量は6,100kcal/kgと低い結果であった。
【0021】
〔試験例5〕図1に示す循環経路を有する脱塩素工程を採用した。処理温度400℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、黒色を呈して被粉砕性の優れる発泡体であった。該乾留処理物は粉砕後、0.85mm篩通過分を回収し、篩残留分は循環して新たな塩素含有樹脂とともに再度また乾留処理に供した。定常状態に達した後の、回収される0.85mm篩通過分、循環される篩残留分の塩素量はそれぞれ0.05質量%、0.52質量%となり、回収された篩通過分の塩素残留量が十分低減されていることが確認できた。また、篩通過分の発熱量は8900kcal/kgと高い結果であった。
【0022】
【表1】
【0023】
表1の試験例1〜3の結果より、粗粒側(篩残留分)により高い塩素含有物が残り、微粉側(篩通過分)を回収することにより残留塩素量の低い乾留処理物が得られることが分かる。さらに試験例5より、該粗粒部分を循環し、原料の一部として再度乾留処理することによって、より効率的に脱塩素できることがわかった。試験例3では、処理温度が320℃と低いため、乾留処理物全体の脱塩素が十分ではなく、篩通過分の発熱量も低くなっている。試験例4では、処理温度が430℃と高いため、乾留処理物は溶融物となり、被粉砕性が悪く微粉が得られていない。したがって、処理温度としては、350℃〜400℃の範囲が好ましいことがわかる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の塩素含有樹脂からの脱塩素方法は、これまで取り除くことが困難であった塩素を、乾留処理物の被粉砕性の違いを活用し、高濃度塩素含有部分を再び脱塩処理工程へ循環させることで、塩化ビニル樹脂に代表される塩素含有樹脂から効率的に、高精度に、且つ安価に塩素を除去する方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る循環経路を有する塩素含有樹脂の脱塩素工程の一実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 塩素含有樹脂の脱塩素工程
2 新たな塩化ビニル樹脂
3 塩化ビニル樹脂供給槽
4 供給機
5 外熱式ロータリーキルン
6 ローラー型加圧ミル
7 振動篩
8 粗粒(篩残留分)
9 微粉(篩通過分)
【発明の属する利用分野】
本発明は、塩素含有樹脂からの脱塩素方法に関し、さらに詳しくは、乾留処理による塩素含有樹脂廃棄物からの脱塩素を効率化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂系廃棄物の有効利用方法として、当該樹脂廃棄物を焼却して熱エネルギーを活用するサーマルリサイクルが広く行われている。しかし樹脂の中でも塩化ビニルなどに代表される塩素含有樹脂は、高濃度の塩素を含有しているために、他の樹脂に比較して発熱量が低いという欠点がある。さらに塩素含有樹脂を燃焼させると、有害性、有毒性の高い塩化水素ガスが発生する。また、適正な排ガス処理を行わないと、毒性の極めて高いダイオキシンも発生する。従って塩素含有樹脂をサーマルリサイクルする際には、事前に塩素含有樹脂を乾留処理により熱分解する等し、塩素分を除去して用いることが望ましい。しかし、従来の乾留処理では塩素含有樹脂の十分な脱塩素化は難しく、特開平11−116979号公報(特許文献1)に見るように、脱塩処理物には2,000ppm程度もの塩素が残留していた。
【0003】
一方、塩素含有樹脂をそのまま燃焼する場合には、処理設備の腐蝕対策や、排ガス、燃焼灰のダイオキシン対策に掛かる費用が膨大となるため、事実上、実用化は断念されているのが実情である。こうしたことから、塩素を含有する樹脂系廃棄物は、有効利用されることなく、埋立て等の最終処分をされているのが実態である。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−116979号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
塩素含有樹脂中の塩素を熱分解により脱塩素化する方法としては、乾留処理が知られている。乾留処理によって得られる炭化物は、十分に塩素を低減することができれば、微粉炭と同等の燃焼特性が期待でき、燃料等としての有効活用が図れる。しかし、前記のとおり通常単に乾留処理を行うのみでは十分な脱塩素は困難であり、乾留処理に掛かる処理温度や時間を種々変えても、一定量の塩素が残留するのを防止することができなかった。本発明は、このような塩素含有樹脂の乾留処理上の問題点を解消し,十分に塩素を低減することができる乾留処理による脱塩素方法を提供し,得られる処理物の有効利用を可能とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題の解決のため鋭意検討を行った結果、塩素含有樹脂の乾留処理によって得られる乾留処理物を粉砕すると、その粉砕生成物の粒度によって含有される塩素の量が異なることを発見した。これは、乾留処理物中で、塩素含有量の高い部分の被粉砕性が悪いことに起因する。したがって、乾留処理物の粉砕生成物を篩い分けることにより、塩素含有量の高い部分と低い部分に分離することが可能であり、炭化物の被粉砕性の違いを利用して、塩素含有量の異なる炭化物を回収することができることを見出した。さらに、塩素含有量の高い粗粉側の粉砕生成物を循環し、再度乾留処理することで一層の脱塩素化が図られ、塩素含有樹脂から塩素分を有効に効率よく除去できることを実証し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、塩素含有樹脂を乾留処理し、該乾留処理物を粉砕し、該粉砕生成物を篩い分けて粗粒と微粉に分別し、該微粉を回収することを特徴とする塩素含有樹脂の脱塩素方法である。 また、本発明は、塩素含有樹脂を乾留処理し、該乾留処理物を粉砕し、該粉砕生成物を篩い分けて粗粒と微粉に分別し、該粗粒を循環し、新たな塩素含有樹脂とともに再度乾留処理することを特徴とする塩素含有樹脂の脱塩素方法である。さらに本発明は、前記いずれかの塩素含有樹脂の脱塩素方法において、乾留処理時の塩素含有樹脂の温度が350℃〜400℃であることを特徴とする塩素含有樹脂の脱塩素方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる塩素含有樹脂とは、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂のように塩素を含有する樹脂であって、これに類するものであればとくに限定されるものではない。また、本発明の主なる目的は、塩素を含有する樹脂系廃棄物の有効利用にあり、対象物が廃棄物である以上、他の熱可塑性樹脂等の混入も考えられる。しかしながら、本発明では対象とする処理物の中に塩素含有樹脂が含まれていれば、目的外である他の樹脂が混入されることも妨げるものではない。
【0009】
ただし、他の樹脂が混入された状態で乾留処理した場合、樹脂の種類によって熱的挙動が異なるため、得られる炭化物の特性にばらつきが生じる可能性がある。本発明では、乾留処理によって得られる炭化物の被粉砕性の差異によって、塩素含有量の異なる炭化物を分別回収するので、上記のばらつきは、分別回収の精度を低下させる懸念がある。また、塩素含有樹脂以外の樹脂が混入している場合、これらの樹脂に塩素含有樹脂が覆われ、結果的に脱塩素が十分行われ難くなる可能性もある。このような観点から、対象処理物は塩素含有樹脂の比率が高ければ高いほど好ましい。したがって、よく知られている周知の方法、すなわち、比重分離法などによって、予め塩素含有樹脂を分別しておくことが好ましい。
【0010】
乾留処理する塩素含有樹脂の大きさはとくに制限されるものではなく、乾留処理に用いられる装置の大きさや特性に応じて適宜設定するが、投入原料の大きさが過度に大きい場合は、脱塩素反応が内部まで十分に進行しないことがあるので、できれば50mm以下、好ましくは20mm以下に破砕して使用することが好ましい。
【0011】
所定の大きさに破砕した塩素含有樹脂は、例えば外熱式のロータリーキルンや、バッチ炉などの装置を用いて乾留処理を行う。ここで、乾留処理時の塩素含有樹脂の温度すなわち処理温度が低すぎる場合には、塩素含有樹脂の熱分解速度が著しく低下する。一方、該処理温度が高すぎる場合には、塩素含有樹脂が溶融して取り扱い性が悪くなるばかりでなく、固形燃料としての生命線であるカーボンが気化して、得られる炭化物の発熱量が低くなってしまう等の問題を生じる。好ましい処理温度の範囲は、350℃〜400℃である。
【0012】
また、乾留処理に掛ける時間は、使用する装置、乾留する際の処理温度等によって様々であるが、いずれの装置を用いる場合でも、脱塩素反応を十分に進行させるには、ある程度の時間が必要である。一例として、例えば、外熱式のロータリーキルンを使用する場合、350℃〜400℃の処理温度にて、30分〜60分程度の滞留時間が推奨される。
【0013】
所定の条件にて乾留処理された乾留処理物、すなわち炭化物は粉砕し、得られた粉砕生成物をさらに篩い分けて篩残留分である粗粒と篩通過分である微粉に分別する。この操作により塩素含有量の異なる炭化物を別々に回収することができる。残留塩素の多い炭化物は粗粒として回収され、残留塩素の少ない炭化物は微粉として回収される。これは炭化物に残留する塩素量が、炭化物の被粉砕性と密接な関係にあるという、本発明者らによって見出された知見を利用したものであり、残留塩素が多い部位は被粉砕性に劣るため粗粒となり、一方、残留塩素の少ない部位は、炭化が進行し、被粉砕性に優れるため微粉となる。
【0014】
回収された微粉は、残留塩素が少ないため、そのまま微粉炭代替、燃料として利用することができる。一方、粗粒には残留塩素が多く存在するが、これを循環し再度、新たな塩素含有樹脂とともに乾留処理することによって、残存する塩素量を低減していくことができる。
【0015】
乾留処理物の粉砕は、とくに限定するものではなく、周知の方法が適宜利用できる。例えばボールミル粉砕、ロールプレス、インパクトクラッシャー等による衝撃粉砕など、種々の方法が利用できる。粉砕物は、篩を用いて、粗粒と微粉に分ける。この時の分級ポイントとなる篩い径は、塩素含有樹脂の種類、粒度や乾留処理条件、例えば、処理温度、乾留時間、酸素濃度、ガス流速、キルンの熱伝導効率性、或いは乾留処理物の粉砕方法、粉砕条件などの影響により、同一篩い径で分級したとしても、必ずしも得られる回収物中の塩素濃度は一様とはならない。従って、要求される残留塩素の量に応じて、篩い径は適宜設定する。
【0016】
【実施例】
乾留処理に用いた塩素含有樹脂は、塩素量54.1質量%、水分0質量%、揮発量95.5質量%、固定炭素4.5質量%、灰分3.0質量%、発熱量5,100kcal/kgの塩化ビニル樹脂とした。これを、密閉構造型の外熱式ローターリーキルン(φ150mm×L1,700mm)に60g/hで投入し、表1記載の乾留条件にて処理した。次に該乾留処理物を、圧力1〜10kgf/cm2となるよう調整したローラー型加圧ミルにより粉砕し、粉砕生成物を篩い目開き0.85mmの振動篩により篩通過分である微粉と篩残留分である粗粒とに分別を行った。
【0017】
〔試験例1〕処理温度350℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、黒色を呈して被粉砕性の優れる発泡体であった。また、該処理物の全体塩素量は、0.27質量%であり、 粉砕生成物の0.85mm篩通過分、篩残留分の塩素量はそれぞれ0.09質量%、0.65質量%となり、粗粒(篩残留分)の方に塩素が多く残存していることが確認できた。また、篩通過分の発熱量は8,500kcal/kgと高い結果であった。
【0018】
〔試験例2〕処理温度400℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、黒色を呈して被粉砕性の優れる発泡体であった。また、該処理物の全体塩素量は、0.23質量%であり、粉砕生成物の0.85mm篩通過分、篩残留分の塩素量はそれぞれ0.06質量%、0.55質量%となり、粗粒の方に塩素が多く残存していることが確認できた。また、篩通過分の発熱量は8,800kcal/kgと高い結果であった。
【0019】
〔試験例3〕処理温度320℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、茶褐色を呈して被粉砕性のやや悪い発泡体であった。また、該処理物の全体塩素量は、3.4質量%であり、粉砕生成物の0.85mm篩通過分、篩残留分の塩素量はそれぞれ2.20質量%、4.20質量%となり、粗粒の方に塩素が多く残存していることが確認できた。また、篩通過分の発熱量は5,800kcal/kgと低い結果であった。
【0020】
〔試験例4〕処理温度430℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、黒色を呈した被粉砕性の悪い溶融体であった。また、該処理物の全体塩素量は、0.10質量%と低い結果であるが、発熱量は6,100kcal/kgと低い結果であった。
【0021】
〔試験例5〕図1に示す循環経路を有する脱塩素工程を採用した。処理温度400℃、滞留時間60分で乾留処理をした乾留処理物は、黒色を呈して被粉砕性の優れる発泡体であった。該乾留処理物は粉砕後、0.85mm篩通過分を回収し、篩残留分は循環して新たな塩素含有樹脂とともに再度また乾留処理に供した。定常状態に達した後の、回収される0.85mm篩通過分、循環される篩残留分の塩素量はそれぞれ0.05質量%、0.52質量%となり、回収された篩通過分の塩素残留量が十分低減されていることが確認できた。また、篩通過分の発熱量は8900kcal/kgと高い結果であった。
【0022】
【表1】
【0023】
表1の試験例1〜3の結果より、粗粒側(篩残留分)により高い塩素含有物が残り、微粉側(篩通過分)を回収することにより残留塩素量の低い乾留処理物が得られることが分かる。さらに試験例5より、該粗粒部分を循環し、原料の一部として再度乾留処理することによって、より効率的に脱塩素できることがわかった。試験例3では、処理温度が320℃と低いため、乾留処理物全体の脱塩素が十分ではなく、篩通過分の発熱量も低くなっている。試験例4では、処理温度が430℃と高いため、乾留処理物は溶融物となり、被粉砕性が悪く微粉が得られていない。したがって、処理温度としては、350℃〜400℃の範囲が好ましいことがわかる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の塩素含有樹脂からの脱塩素方法は、これまで取り除くことが困難であった塩素を、乾留処理物の被粉砕性の違いを活用し、高濃度塩素含有部分を再び脱塩処理工程へ循環させることで、塩化ビニル樹脂に代表される塩素含有樹脂から効率的に、高精度に、且つ安価に塩素を除去する方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る循環経路を有する塩素含有樹脂の脱塩素工程の一実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 塩素含有樹脂の脱塩素工程
2 新たな塩化ビニル樹脂
3 塩化ビニル樹脂供給槽
4 供給機
5 外熱式ロータリーキルン
6 ローラー型加圧ミル
7 振動篩
8 粗粒(篩残留分)
9 微粉(篩通過分)
Claims (3)
- 塩素含有樹脂を乾留処理し、該乾留処理物を粉砕し、該粉砕生成物を篩い分けて粗粒と微粉に分別し、該微粉を回収することを特徴とする塩素含有樹脂の脱塩素方法。
- 前記篩い分け後の該粗粒を循環し、新たな塩素含有樹脂とともに再度乾留処理することを特徴とする請求項1に記載の塩素含有樹脂の脱塩素方法。
- 乾留処理時の塩素含有樹脂の温度が350℃〜400℃であることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の塩素含有樹脂の脱塩素方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003039830A JP2004250496A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | 塩素含有樹脂の脱塩素方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003039830A JP2004250496A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | 塩素含有樹脂の脱塩素方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004250496A true JP2004250496A (ja) | 2004-09-09 |
Family
ID=33023894
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003039830A Pending JP2004250496A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | 塩素含有樹脂の脱塩素方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004250496A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013199542A (ja) * | 2012-03-23 | 2013-10-03 | Taiheiyo Cement Corp | 廃棄物の処理方法 |
CN104589545A (zh) * | 2015-01-20 | 2015-05-06 | 中南大学 | 一种从废旧混合塑料中分离含氯塑料的方法 |
-
2003
- 2003-02-18 JP JP2003039830A patent/JP2004250496A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013199542A (ja) * | 2012-03-23 | 2013-10-03 | Taiheiyo Cement Corp | 廃棄物の処理方法 |
CN104589545A (zh) * | 2015-01-20 | 2015-05-06 | 中南大学 | 一种从废旧混合塑料中分离含氯塑料的方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3095739B2 (ja) | 樹脂または有機化合物、あるいはそれらを含む廃プラスチックの処理方法 | |
JP5629053B2 (ja) | セメントの製造方法 | |
JP6661006B2 (ja) | 破砕した鉄スクラップからの残留物を回収および処理するためのプラントおよび方法 | |
US20080179257A1 (en) | Process for the Thermal Treatment of Pharmaceutical Waste Material | |
JP2011068771A (ja) | 固体燃料及びその製造方法 | |
TWI483918B (zh) | 水泥製造方法 | |
JP4008105B2 (ja) | 脱塩素化燃料の製造装置 | |
JP2017066383A (ja) | 炭素繊維強化プラスチックの処理方法及び燃料の製造方法 | |
JP2006016594A (ja) | 廃プラスチック油化処理装置および廃プラスチックの油化処理方法 | |
JP2011057750A (ja) | 固体燃料及びその製造方法 | |
JP2003253037A (ja) | 塩素含有合成樹脂の脱塩素処理方法 | |
JP5568843B2 (ja) | 固体原燃料の製造方法 | |
JP2012087222A (ja) | 炭素質原料の処理方法及び処理装置 | |
JP2004059754A (ja) | 廃棄物処理方法及びセメント原料製造方法 | |
JP2004250496A (ja) | 塩素含有樹脂の脱塩素方法 | |
JP2000008057A (ja) | 固形燃料およびその製造方法 | |
JP2020023087A (ja) | 廃棄物の処理システム、及び廃棄物の処理方法 | |
JP2004275973A (ja) | 汚染土壌の処理方法 | |
JP2013199542A (ja) | 廃棄物の処理方法 | |
JP3351294B2 (ja) | 塩素含有合成樹脂の処理方法および装置 | |
JPH10259273A (ja) | 含塩素高分子樹脂の塩素除去方法 | |
JP3495476B2 (ja) | 塩素含有プラスチックを含む廃棄物の処理方法及び装置 | |
CA2576355C (en) | Treatment of waste using three temperature stages within one chamber | |
JPH11199703A (ja) | 廃プラスチックの脱塩素処理方法 | |
JP2022118564A (ja) | 燃料の改質方法、及び燃料の改質装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050228 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070314 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070417 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070828 |