JP2006016594A - 廃プラスチック油化処理装置および廃プラスチックの油化処理方法 - Google Patents

廃プラスチック油化処理装置および廃プラスチックの油化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 単純化、効率化、および合理化を図り、設備設置コストおよびランニングコストを大幅な低減することができる廃プラスチック油化処理装置を提供する。
【解決手段】 廃プラスチック油化処理装置40は、投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPETを選別除去し、その後、廃プラスチックを破砕する選別破砕処理設備60と、廃プラスチックを加熱して熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解処理設備70と、を備えている。選別破砕処理設備および熱分解処理設備はそれぞれ受け入れ口61,71と排出口62,72a,72bとを有している。廃プラスチック油化処理装置40は、選別破砕処理設備の排出口62と熱分解処理設備の受け入れ口71とを直接接続する移送手段65と、をさらに備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、塩ビ系樹脂やPET等を含む混合廃プラスチックを受け入れて油化処理を行う廃プラスチック油化処理装置、および廃プラスチックの油化処理方法に関する。
近年、プラスチックの利用が増加しており、これに伴って廃棄されるプラスチックの量も増大する傾向にあり、埋立て処分場の不足や焼却による有害ガスの発生等の環境問題が生じている。
図7は、出願人により開発された従来の廃プラスチック油化処理装置40を示す概略構成図である。図7を用いて、この廃プラスチック油化処理装置40の一連のシステムフローを以下に説明する。
自治体等にて分別収集された廃プラスチックは、まず選別施設の受入ストックヤード1に入り、その廃プラスチックは破袋機2で破袋された後、手選別ライン3にて廃プラスチックから大きな金属類と、石、紙、木等の異物とが選別除去され、その後、ベール圧縮機4によりベール状に圧縮加工される。ここまでの処理が選別施設にて行われる。
選別施設にて金属類および異物を除去されたベール状の廃プラスチックは、油化処理施設の前処理工程に入り、破砕機5で破砕および細断され、乾燥機6で乾燥され、さらに機械式選別機7で選別された後、造粒機8により造粒され廃プラスチック造粒物となる。廃プラスチク造粒物は、アルカリとして例えば消石灰を添加するアルカリ投入機9より粉末消石灰等のアルカリを添加され、その後、造粒物サイロ10に貯留される。この造粒物サイロ10から造粒物を充填機11によりフレコンパック等に移し替えて別の処理場や一時保管場所に移送することも行われている。ここまでの破砕機5から造粒物サイロ10までの処理が油化処理施設の前処理工程として行われる。
前処理工程の造粒物サイロ10から定量で切り出された廃プラスチック造粒物は、造粒物ホッパー12を介してスクリュー式脱塩素装置13(以下、脱塩装置13とも呼ぶ)に送り込まれ、350℃付近に加熱処理される。これにより、廃プラスチックに含まれているPVC(ポリ塩化ビニル)等の塩ビ系樹脂から塩素が除去され、脱塩化水素ガスが生成される。
脱塩素化された溶融プラスチックは溶融槽14に流下し、溶融槽14内にて約350℃で加熱保持および攪拌される。一方、脱塩化水素ガスは脱塩ガス配管16aを経て脱塩ガス燃焼炉16に導かれ、塩酸吸収塔(塩化水素吸収塔とも呼ぶ)17にて水に吸収されて塩酸となり、塩酸タンク18に回収される。
一方、溶融プラスチックは、溶融槽14から熱分解装置15に移送されて、熱分解装置15内で420℃付近まで加熱・昇温され、熱分解して熱分解ガスと残渣とが発生する。熱分解ガスはエジェクタ19にて凝縮され、分解油ドラム20に回収される。この分解油は生成油回収塔(蒸留塔)22に導かれ、沸点範囲の差により分留することによって、重油相当の重質油、軽油相当の中質油、および灯油相当の軽質油に分けて取り出され、重質油タンク23、中質油タンク24、および軽質油タンク25等にそれぞれ回収される。回収された重質油、中質油、軽質油は、各々の利用先に出荷される。
また、熱分解装置15で分解されずに残った熱分解残渣は熱分解装置15から排出されて、残渣冷却コンベア26にて搬送され、粉末状の残渣として残渣回収ホッパー27を介して残渣コンテナ28に回収される。この熱分解残渣は石炭と同程度の燃焼カロリーの固形燃料として利用することができ、残渣コンテナ28から利用先まで輸送されることもある。さらに、この粉末状の残渣を造粒することにより固形燃料としての汎用性を高めることができる。したがって、利用地まで輸送する前に、残渣を造粒することも行われている。
生成油回収塔(蒸留塔)22で油として分留されなかった低沸点のガス成分、および、塩化水素吸収塔17からのガス成分は、排ガス燃焼炉29にて850℃程度で燃焼されることにより、高温燃焼排ガスとして無害化処理される。その後、排ガスは排ガスボイラー30により排熱回収され、大気に放出される。
また最近では、廃プラスチック油化処理装置で回収した廃プラスチック生成油をケミカルリサイクル、サーマルリサイクルするだけでなく、生成油回収工程で分留した軽質油を石油製油所の石油精製プロセスに戻すフィードストックリサイクルを行うことにより、限られた石油資源を何度も有効にリサイクルすることも実用化されている。
このようなシステム構成の廃プラスチック処理装置を用いて、廃プラスチックを連続的に油化処理することができる。しかしながら、廃プラスチック中の鉄、アルミニウム、銅等の金属類、砂、石、紙、木等の異物は、選別設備および油化処理施設の前処理工程の2段階において徹底的に除去されているものの、PVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合物は選別除去されていない。そしてこれらの油化不適合樹脂は、廃棄時の分別不徹底により廃プラスチック中にかなり混入したまま、廃プラスチック油化処理装置40に持ち込まれている。処理される廃プラスチック中にPVC等の塩ビ系樹脂およびPET等が混入していると、PETは熱分解して重合反応の原因となる安息香酸等になり、PVCおよびPVDC等の塩ビ系の樹脂は熱分解して腐食性のガスである塩化水素ガス、フタル酸ガス等が発生する。そして、これらの安息香酸および塩化水素ガス等の副生成物は、機器および配管の腐食あるいは閉塞をもたらし、廃プラスチック油化処理装置の運転を阻害する原因となり得る。したがって、廃プラスチック油化処理装置においては、廃プラスチック中に混入した塩ビ系樹脂およびPET等に対する対策が必要となる。そして、現在、運転を阻害する腐食または閉塞等の問題を発生させないための対策として、例えば、機器および配管等についての一定温度保持、各部における閉塞を防止するための設計形状、腐食・摩耗防止のための機器、配管材質のグレードアップ化、不活性ガスの封入、分解清掃しやすくするための設計、監視センサーの追加等が行われている。
しかしながら、このような廃プラスチック油化処理装置においては以下に説明する3つの主要な問題が存在している。
まず第1の問題点は、投入された廃プラスチック中から大きな金属類の他、石、紙、木等の異物を選別除去する作業を、選別施設の手選別ライン3と、その後工程の油化処理施設の前処理工程における機械選別機7との2度に渡って行っていることに起因する。確かに、2度に渡って選別を行うことにより、廃プラスチック中の金属類および異物を徹底的に除去することができる。これにより、下流の脱塩油化処理工程でのトラブル、例えば、脱塩装置13のスクリュー、シリンダーの磨耗、熱分解装置投入機のスクリューの磨耗、熱分解装置15内のセラミックボールの磨耗または破損、バルブおよび配管内部における閉塞等のトラブルを防止することができる。しかしながら、収集した廃プラスチックは嵩密度が非常に低く嵩張るため、初期工程の選別施設が非常に大掛かりになり、施設の敷地面積を大きく確保しなければならないという問題が生じている。
しかしながら、今般、本願発明者らは本願発明を行うにあたり、これまでの廃プラスチック処理装置の建設および運転についての経験および研究から、一般廃プラスチック油化処理において、このような徹底した異物選別が不要であり、手選別による異物選別、あるいは、簡易な手選別と機械選別との組み合わせによる異物選別を行えば十分であるという知見を得た。
第2の問題点は、鉄、アルミニウム、銅等の金属類、および砂、石、紙、木等の異物の他、PVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂が分別不徹底あるいは分別困難なため、投入される廃プラスチック中にかなりの量の油化不適合物が混入していることに起因する。油化不適合樹脂が混入していたとしても廃プラスチックを安定して油化処理することができるようにするためには、油化不適合樹脂に対しての追加設備が必要になる。図7に示す廃プラスチック処理装置においては、油化不適合樹脂が混入してくる対策として、アルカリを添加するアルカリ投入機9を設置しており、さらに、PVC等の塩ビ系樹脂が混入してくる対策として、脱塩装置13、溶融槽14、脱塩ガス燃焼炉16、塩酸回収塔17、塩酸タンク18、塩酸出荷施設等の塩酸回収工程を設置している。このため、これらの施設を設置するコストがかかってしまうとともに、これらの設備に伴う人件費、電気代、燃料代、アルカリ添加剤代、補修費等のランニングコストも増大してしまうという問題が生じる。また、廃プラスチック処理装置が全体として大掛かりとなり、廃プラスチック処理装置の敷地を大きく確保しなければならないという問題も存在している。
第3の問題点は、分解油ドラムに回収された熱分解油の処理に起因している。分解油ドラムに回収された熱分解油は生成油回収塔(蒸留塔)22に導かれ、沸点範囲の差によって、重油相当の重質油、軽油相当の中質油、および灯油相当の軽質油に分留されて回収される。また、回収された重質油、中質油、軽質油は、各々の利用先に出荷するようになっている。このため、下流工程である生成油回収工程(蒸留工程)内の熱交換器、タンク、ポンプ、配管、計器類等の機器構成が非常に複雑でかつ大掛かりとなる。これにより、廃プラスチック油化処理装置の運転が複雑になってしまうとともに大きな敷地面積が必要になるという問題が生じる。
このような3つの主要な問題が存在するため、廃プラスチック油化処理装置40が全体として複雑かつ大掛かりとなり、これにより、膨大な装置設置コストおよびランニングコストが必要になり、採算性が得られなくなる。このため、廃プラスチックを元の油に戻し、且つ、地域密着型として本来的に最適なリサイクル施設であるべき廃プラスチック油化処理装置を各自治体等が設置しにくい状況となっている。
そこで、本発明はこのような問題点を鑑み、PVC等の塩ビ系樹脂、およびPET等を含む混合廃プラスチックを油化処理する廃プラスチック油化処理装置において、従来の装置が複雑かつ大掛かりとなる問題を解決し、従来の装置を大幅に単純化、効率化、合理化し、設備設置コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる廃プラスチック油化処理装置および廃プラスチックの油化処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPETを選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPETが選別除去された廃プラスチックを破砕する選別破砕処理設備であって、受け入れ口と排出口とを有する選別破砕処理設備と、選別破砕処理設備の下流側に設けられ、廃プラスチックを加熱して熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解処理設備であって、受け入れ口と排出口とを有する熱分解処理設備と、選別破砕処理設備の排出口と熱分解処理設備の受け入れ口とを直接接続する移送手段と、を備えたことを特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、選別破砕処理設備が、投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPETを選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPETが選別除去された廃プラスチックを破砕する選別破砕部と、選別破砕された廃プラスチックを造粒する造粒部であって、前記選別破砕処理設備の排出口に接続された造粒部と、を有することを特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、熱分解処理設備が、廃プラスチックを加熱溶融させる加熱溶融部であって、前記熱分解処理設備の受け入れ口に接続された加熱溶融部と、加熱溶融された廃プラスチックを熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解部と、を有することを特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する分解油回収部をさらに備えたことを特徴とする廃プラスチック油化処理設備である。
本発明は、分解油回収部に設けられた排出口と、分解油を精製する石油製油所と、を直接接続する分解油移送手段をさらに備えたこと特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、残渣を冷却して回収する残渣回収部と、残渣回収部に設けられた排出口と石油製油所とを直接接続する残渣移送手段と、をさらに備えたことを特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、分解油回収部において凝縮しなかった非凝縮ガスを燃焼させる燃焼炉部をさらに備え、燃焼炉部は分解油回収部と接続されており、分解油回収部で回収された分解油を燃料として使用することを特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、分解油回収部において凝縮しなかった非凝縮ガスを燃焼させる燃焼炉部をさらに備え、熱分解処理設備は燃焼炉部と接続されており、廃プラスチックを熱分解するための熱源として燃焼炉部の排ガスを使用することを特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、分解油回収部は分解油中のスラッジを分離除去する遠心分離機を有することを特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する分解油回収部と、残渣を冷却して回収する残渣回収部と、残渣回収部において回収された残渣と、分解油回収部において回収された分解油中のスラッジと、を混合して固形燃料を生成する固形燃料生成部と、をさらに備えたことを特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する分解油回収部と、残渣を冷却して回収する残渣回収部と、残渣回収部において回収された残渣を用いて固形燃料を生成する固形燃料生成部と、分解油回収部において凝縮しなかった非凝縮ガスを燃焼させる燃焼炉部と、をさらに備え、燃焼炉部は固形燃料生成部と接続されており、固形燃料生成部で生成された固形燃料を燃料として使用することを特徴とする廃プラスチック油化処理装置である。
本発明は、投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPETを選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPETが選別除去された廃プラスチックを破砕する選別破砕処理工程と、廃プラスチックを加熱して熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解処理工程と、を備え、廃プラスチックは、選別破砕処理工程と熱分解処理工程とを直接接続する移送手段により、選別破砕処理工程から熱分解処理工程へと移送されることを特徴とする廃プラスチックの油化処理方法である。
本発明は、選別破砕処理工程が、投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPETを選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPETが選別除去された廃プラスチックを破砕する工程と、選別破砕された廃プラスチックを造粒する工程と、を有し、造粒された廃プラスチックが熱分解処理工程へ直接移送されることを特徴とする廃プラスチックの油化処理方法である。
本発明は、熱分解処理工程が、選別破砕処理工程から直接移送されてきた廃プラスチックを加熱溶融する工程と、加熱溶融された廃プラスチックを熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる工程と、を有することを特徴とする廃プラスチックの油化処理方法である。
本発明は、熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する工程をさらに備え、該工程を経て回収された分解油は、分解油を精製する石油製油所へ直接移送されることを特徴とする廃プラスチックの油化処理方法である。
本発明によれば、廃プラスチック油化処理装置を単純化、効率化、合理化し、設備設置コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる。これにより、廃プラスチックを元の油に戻し、かつ、地域密着型として本来的に最適なリサイクル施設である廃プラスチック油化処理装置の採算性が成り立ち、一般廃プラ収集施設、廃プラスチック回収施設、あるいは廃プラスチック排出工場等において設置されやすくなり、資源リサイクルを推進することができる。
以下図面を参照して本発明による廃プラスチック油化処理装置の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
まず、図1により、本発明による廃プラスチック油化処理装置の第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明による廃プラスチック油化処理装置40の第1の実施の形態を示す概略構成図である。なお、図1において、背景技術の節で既に説明した図7に示す廃プラスチック油化処理装置と同一部分については、同一符号を付し、その説明は省略する。
図1に示すように、本実施の形態による廃プラスチック油化処理装置40は、投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、PVC等の塩ビ系樹脂、およびPET等を選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPET等が選別除去された廃プラスチックを破砕する選別破砕処理設備60であって、受け入れ口61と排出口62とを有する選別破砕処理設備60と、選別破砕処理設備60の下流側に設けられ、廃プラスチックを加熱して熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解処理設備70であって、受け入れ口71と排出口72a,72bとを有する熱分解処理設備70と、選別破砕処理設備60の排出口62と熱分解処理設備70の受け入れ口71とを直接接続する移送手段65と、を備えている。また、廃プラスチック油化処理装置40は、熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する分解油回収部43と、残渣を冷却して回収する残渣回収部44と、分解油回収部43において凝縮しなかった非凝縮ガスを燃焼させる燃焼炉部48と、を備えている。
次に、図1により、この廃プラスチック油化処理装置40を用いて廃プラスチックを油化処理する際の一連のシステムフローを説明する。
自治体、廃プラスチック回収施設、あるいは廃プラスチック排出工場等で分別収集されて回収された廃プラスチックは、まず選別施設の受入ストックヤード1に入り、その廃プラスチックは破袋機2で破袋された後、選別破砕処理設備受け入れ口61を介して選別破砕処理設備60に送り込まれる。
本実施の形態において、選別破砕処理設備60は、手選別ライン3と、破砕機5と、乾燥機6と、機械式選別機7とを有する選別破砕部41のみからなっている。したがって、選別破砕部41は選別破砕処理設備受け入れ口61および排出口62と直接接続されており、さらに詳しくは、選別破砕処理設備受け入れ口61が手選別ライン3と直接接続され、選別破砕処理設備60の排出口62が機械式選別機7と直接接続されている。
破袋機2で破袋処理された廃プラスチックは、まず、選別破砕処理設備60の受け入れ口61から選別破砕部41の手選別ライン3に送り込まれる。手選別ライン3において、従来のように大きな金属類と、石、紙、木等の異物とを選別除去するだけでなく、人の目で見分けのつくPVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂も廃プラスチックから油化不適合物として選別除去される。次に、廃プラスチックは破砕機5に送られて破砕および細断され、その後、乾燥機6によって乾燥される。次に、廃プラスチックは機械式選別機7に送られる。機械式選別機7においても手選別ライン3と同様に、廃プラスチックから金属類と、異物と、塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂とが油化不適合物として機械的に精度良く選別除去され、油化に適したフラフ状の樹脂となり、機械式選別機7から定量で切り出される。
なお、機械式選別機7におけるPVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂の選別法として、従来の比重分離方式以外にも、赤外線による識別分離方式等が開発されており、これらを利用することにより、効率的かつ安定的に精度良く油化不適合樹脂を選別することができる。また、近赤外線を用いて廃プラスチックの物理的および化学的特性を分析し、廃プラスチック中の各樹脂を材質毎に分離する技術も進歩してきている。そして、この技術と金属探知機とを組み合わせた選別装置により、一般廃プラスチック、産業廃プラスチック類から金属類、PVC等の塩ビ系樹脂、PET、その他の油化不適合物を精度良く選別除去することも可能になりつつある。このような選別装置を活用することにより、従来の人手による選別の手間暇、人件費を大幅に改善することが可能となる。また、機械式選別機7単独で金属類の他、石、紙、木等の異物、およびPVC等の塩ビ系樹脂、PET等の油化不適合樹脂の選別が可能な場合には、手選別ラインを排除することもできる。なお、精度良く選別除去されたPVC等の塩ビ系樹脂およびPET等はそれぞれマテリアルリサイクル等に活用することができる。
以上ように選別破砕処理設備60において、廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPET等を選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPET等が選別除去された廃プラスチックを破砕する選別破砕処理工程を経た廃プラスチックは、選別破砕処理設備60の排出口62から排出され、移送手段65を介して熱分解処理設備70へと移送される。なお、移送手段65は、連結管やベルトコンベア等から構成され得る。
このように本実施の形態による廃プラスチック油化処理装置40の選別破砕処理設備60では、廃プラスチックから金属類と、石、紙、木等の異物とを選別除去するだけでなく、PVCおよびPET等の油化不適合樹脂も選別除去されている。これにより、PVC等の塩ビ系樹脂およびPET等が完全に除去されると、これらが分解油中に混入することにともなって生じる廃プラスチック油化処理装置40内の機器および配管の腐食、油生成ラインの閉塞の問題を解消することができる。したがって、廃プラスチック油化処理装置40にアルカリ投入機9(図7)を設け、アルカリ投入機9により廃プラスチックに粉末消石灰等のアルカリを添加する必要がなく、アルカリ投入機9を廃プラスチック油化処理装置40から省くことができる。これにより、廃プラスチック油化処理装置40の構成を簡易化することができるとともに、アルカリ投入機9の運転のために必要となっていた電気代、アルカリ添加剤等のランニングコストも不要とすることができる。
また、従来、選別施設における処理と、油化施設の前処理工程における処理との2段階に分けて、鉄、アルミニウム、銅等の金属類と、砂、石、紙、木等の異物とだけを持ち込まれる廃プラスチックから選別除去していた。この場合、我が国における2000年4月施行の容器包装リサイクル法に則し、一般家庭から排出される一般廃プラスチックの処理においては、途中で廃プラスチックを圧縮梱包するベール加工が必要であった。すなわち、図7に示すようにライン構成は「破袋→手選別→ベール加工→機械式選別」となっていた。
しかしながら、本実施の形態によれば、手選別ライン3と機械式選別機7とにより金属類と異物とを選別除去するだけでなく、PVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂も選別除去し、かつ「破袋→手選別→機械式選別」の単純なライン構成にして、油化不適合樹脂を含めたすべての選別処理を選別施設内にて一括して行うようにしている。したがって、ベール圧縮機4、ベール保管ヤード、油化前処理施設内の造粒機8、造粒物サイロ10、充填機11、造粒物保管ヤード、およびこれらの付帯設備をも排除することができる。これにより、従来の選別施設および油化前処理施設を合わせた廃プラスチック油化処理装置40全体が大掛かりとなってしまい装置の初期建設コストが膨大になるとともに、装置全体の構成が複雑となってしまい人件費、電気代、燃料代等のランニングコストも高くなるという、非効率な諸問題を一気に解決することができる。
なお、廃プラスチック排出工場等で分別収集が徹底していて、回収された廃プラスチック中にPVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂の混入が少なく、また、これらの選別が手選別ライン3にて十分行える場合には、機械式選機7におけるPVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂の廃プラスチックからの選別除去処理を不要とすることができる。また、乾燥している廃プラスチックを受け入れる場合には、乾燥機6も不要とすることができる。
このようにして選別施設にて油化不適合物を選別除去されるとともにフラフ状に成形された廃プラスチックは、「選別施設」から「高度ケミカルリサイクル施設」に入る。以下に、高度ケミカルリサイクル施設内でのシステムフローを説明する。
フラフ状となった廃プラスチックは移送手段65により上述した選別破砕処理設備60から熱分解処理設備70に送り込まれてくる。なお、上述したように選別破砕部41において廃プラスチックからPVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂が選別除去されている。このため、廃プラスチックを脱塩処理して塩酸を回収する処理は不要であり、図7に示す従来の廃プラスチック油化処理装置40から、溶融槽14、脱塩ガス燃焼炉16、塩酸吸収塔17、および塩酸タンク18等を省くことができる。これにより、廃プラスチック油化処理装置40を全体としてコンパクトな構成にすることができる。したがって、廃プラスチックは脱塩処理されることなく、選別破砕処理設備60から熱分解処理設備70へと移送手段65を介して直接送り込まれる。
本実施の形態において、熱分解処理設備70は、廃プラスチックを熱分解して残渣と熱分解ガスとを発生させる熱分解装置15を有する熱分解部42のみからなっている。また、熱分解処理設備70は、廃プラスチックを選別破砕処理設備60から受け入れるための受け入れ口71と、発生した熱分解ガスを次工程へと排出する熱分解ガス排出口72aと、発生した残渣を次工程へと排出する残渣排出口72bと、を有している。したがって、熱分解部42は熱分解処理設備70の受け入れ口71および排出口72a,72bと直接接続されている。また、本実施の形態においては、移送手段65は選別破砕処理設備60の排出口62と熱分解処理設備70の受け入れ口71とをそれぞれ介し、選別破砕処理設備60の選別破砕部41の機械式選別機7と、熱分解処理設備70の熱分解部42の熱分解装置15とを直接接続している。
移送手段から送り込まれてくる廃プラスチックは、熱分解処理設備70の受け入れ口71を経て熱分解装置15に送り込まれる。熱分解装置15は投入されるフラフ状廃プラスチックを420℃付近まで加熱・昇温する。これにより、廃プラスチックを熱分解して熱分解ガスが発生するとともに、分解されずに残った残渣が熱分解装置15内に生じる。
このように熱分解処理設備70において、廃プラスチックを加熱して熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解処理工程を経た後、生成された熱分解ガスは熱分解ガス排出口72aから排出されて分解油回収部43に送られる。一方、残渣は熱分解装置15から取り出され残渣排出口72bから排出されて、残渣回収部44に送られる。
なお、移送手段65から熱分解装置15に廃プラスチックがスムースに送り込まれるよう、受け入れ口71と熱分解装置15との間にホッパーを設けてもよい。この場合、移送手段65からホッパーに廃プラスチックを順次受け入れ、廃プラスチックをホッパー内に貯留し、必要に応じて熱分解装置15に廃プラスチックを投入していくようにすることもできる。
次に、分解油回収部43内におけるシステムフローについて説明する。
本実施の形態によれば、熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する分解油回収部43は、熱分解ガスを分解油に凝縮させるエジェクタ19と、分解油を回収する分解油ドラム20と、分解油を冷却する分解油冷却器21と、分解油を貯留する分解油タンク32とを有している。
すなわち、熱分解部42から分解油回収部43に送られてきた熱分解ガスは、まず、エジェクタ19によって凝縮され分解油が生成され、その分解油は分解油ドラム20に回収される。次に、この分解油ドラム20に溜まった分解油は分解油冷却器21によって冷却され、分解油ドラム20のレベル管理を行いながら分解油タンク32へと移送される。
このうちエジェクタ19は、本実施の形態において、分解油冷却器21に接続されており、回収および冷却された分解油(分解油冷却器21を通過した分解油)を熱分解部42から送られてきた熱分解ガス(エジェクタ19を通過する熱分解ガス)に向けて直接噴射するようになっている。これにより、分解油回収部43により回収された分解油を冷却源の一部または全部として、凝縮性の熱分解ガスを効率的に凝縮することができる。この場合、熱交換器等を用いて間接的に熱分解ガスを冷却する場合に比べ、効率的かつ安定的に熱分解ガスを冷却し凝縮することができる。また、分解油回収部43をコンパクトな大きさに構成することができ、これにより、廃プラスチック油化処理装置40も全体としてコンパクトな大きさに構成することができる。
また、分解油タンク32は回収した分解油を一旦貯留するためのものであり、これにより、回収された分解油は必要に応じて都度、分解油タンク32からタンクローリー等で利用先に出荷され得る。このため、廃プラスチック油化処理装置40で油化処理量を調整することなく常時安定的かつ最も効率的に油化処理を行うことが可能となり、生成した分解油を一旦分解油タンク32に貯留し、定期的に利用先に出荷することができる。また、生成した分解油中には炭素を主成分とするスラッジが混入している場合がある。本実施の形態のように分解油を一旦分解油タンク32に貯留することによってこのスラッジを沈降させることができ、これによって、スラッジ沈降後にスラッジを含まない高品質の分解油を安定的に利用先に供給することもできる。
次に、残渣回収部44内におけるシステムフローについて説明する。
本実施の形態によれば、残渣を冷却して回収する残渣回収部44は、残渣を冷却するとともに搬送する残渣冷却コンベア26と、残渣を冷却しながら回収するための残渣貯留ホッパー27と、残渣を貯留する残渣コンテナ28とを有している。
すなわち、熱分解装置15で分解されずに残った熱分解残渣は、熱分解装置15から排出されて残渣冷却コンベア26によって冷却されながら搬送され、粉末状の残渣として残渣回収ホッパー27を介して、残渣コンテナ28に回収される。この熱分解残渣は石炭と同程度の燃焼カロリーの固形燃料として利用可能であることから、残渣を残渣コンテナ28に入れて、利用地まで輸送される。さらに、この粉末状の残渣を造粒して汎用性の高い固形燃料とし、利用地まで輸送するようにしてもよい。このような態様については、第6の実施の形態として後に詳述する。
ところで、本実施の形態においては、図1に示すように、廃プラスチック油化処理装置40は、分解油回収部43において凝縮しなかった熱分解ガスからなる非凝縮ガス(オフガスともいう)を燃焼させるフレアスタック31を有した燃焼炉部48をさらに備えている。
熱分解装置15にて発生した熱分解ガスは、上述したように分解油回収部43のエジェクタ19により凝縮させられる。しかしながら、熱分解ガスのうち低沸点のガス成分が凝縮しきれず残ってしまう。燃焼炉部48はこの非凝縮ガスを無害化処理するためのものである。
本実施の形態において、分解油ドラム20の上部に溜まった非凝縮ガスはフレアスタック31に導入され、ここで完全燃焼処理されることにより、高温燃焼排ガスとして無害化処理される。これにより、廃プラスチック油化処理装置40内で発生した非凝縮ガスを廃プラスチック油化処理装置40内で安全に処理することができる。
この場合、燃焼炉部48が分解油回収部43に接続され、燃焼炉部48は分解油回収部43で回収された分解油を燃料として使用することができるようになっていることが好ましい。本実施の形態においては、図1に示すように、燃焼炉部48のフレアスタック31と分解油回収部43の分解油ドラム20とが接続しており、分解油ドラム20に回収された分解油の一部をフレアスタック31に供給することができるようになっている。したがって、燃焼炉部48のフレアスタック31は、本廃プラスチック油化処理装置40により熱分解して生成した分解油を、非凝縮ガスを燃焼させるための燃料の一部または全部として、用いることができるようになっている。
ただし、図1に示すように、本実施の形態においては、LPGを燃料としてフレアスタック31に供給することもできるようになっている。したがって、分解油ドラム20に回収した分解油の一部をフレアスタック31のバーナに供給してベースロードとして用いるとともに、必要に応じてLPGをフレアスタック31のバーナに供給することにより、発生する非凝縮ガス量が変動したとしても、非凝縮ガスを燃焼炉部48にて安定的に処理することができる。
また、非凝縮ガスを処理した際に、燃焼炉部48から排ガスが発生するが、この排ガスを再利用することが好ましい。本実施の形態においては、図1に示すように、燃焼炉部48のフレアスタック31と熱分解処理設備部70の熱分解装置15とが接続しており、フレアスタック31で発生した排ガスを熱分解装置15に供給することができるようになっている。したがって、熱分解処理設備70(熱分解処理設備70の熱分解装置15)は、燃焼炉部48により発生した排ガスを、廃プラスチックを熱分解するための熱源(燃料)の一部または全部として利用することができるようになっている。熱分解装置15は外部ジャケットから内部の廃プラスチックを加熱する方式で、内部温度を400℃から450℃程度まで加熱する必要がある。この場合、熱源として外部ジャケットに供給する加熱用ガスとしては、600℃程度の温度があれば十分である。フレアスタック31から排気される排ガス温度は850℃程度あり、この排ガスを空気等で一部希釈することにより、熱分解装置15の外部ジャケットに最適な温度に調整して供給することができる。
ただし、本実施の形態においては、LPGを燃料として熱分解装置15に供給することもできるようになっている。これにより、熱分解装置15を起動する場合等、大量の燃料を要する際には、LPGを燃料として用いることも可能であり、熱分解装置15によって廃プラスチックを安定して熱分解することができる。
このようにして本実施の形態による廃プラスチック油化処理装置40においては、非凝縮ガスを廃プラスチック油化処理装置40内で安全かつ安定的に処理することができるだけでなく、その際に発生する燃焼排ガスを廃プラスチック油化処理装置40内において熱源として有効に活用することができる。
なお、本実施の形態において、フレアスタック31にて発生した高温燃焼排ガスを熱分解部42において熱源として利用する例を示したが、これに限られず、排ガスボイラー等に導入して排熱回収した後に大気に放出するようにしてもよい。
以上のように構成されたシステムフローの廃プラスチック油化処理装置40は、選別破砕処理工程において、処理される混合廃プラスチックからPVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂が選別除去されるようになっている。したがって、塩ビ系樹脂を処理するための設備、例えば、背景技術の節で説明した脱塩ガス燃焼炉16、塩化水素吸収塔17、塩酸タンク18等と、PETを処理するための設備、例えば、背景技術の節で説明したアルカリ投入機9等とが一切排除されている。そしてこれらの機器類が削除されることにより、人件費、電気代、燃料代等のランニングコスト、メンテナンスコストを大幅に低減することができる。
すなわち、以上のように構成されたシステムフローの廃プラスチック油化処理装置40は、従来のシステムから選別、前処理工程、脱塩工程、および生成油回収工程を大幅に単純化、簡略化、効率化することができる。これにより、廃プラスチック油化処理装置40の設置コストを大幅に低減することができるとともに、ランニングコストも大幅に低減することができる。さらに、廃プラスチック油化処理装置40をコンパクトかつ効率的な構成としたので、廃プラスチック油化処理装置40設置に必要な敷地を小さくすることができる。
なお、本実施の形態において、選別破砕部41において廃プラスチックから油化不適合物として、金属類、石、紙、木等の異物、および、PVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂を選別除去する例を示したが、これに限られない。選別破砕部41において、廃プラスチックから油化不適合物として、金属類、および、PVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂のみを選別除去するようにしてもよい。すなわち、廃プラスチック油化処理装置40の選別破砕部41で選別する油化不適合物を、特に、金属類、およびPVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂に限定することも可能である。
この場合、金属類および油化不適合樹脂以外の油化不適合物が多少混入すると、確かに、異物等のその他の油化不適合物が多い分だけ廃プラスチック投入量に対する油化回収率が低下する。しかしながら、混入する異物等のその他の油化不適合物の殆どが熱分解装置15から残渣として排出されるだけで、廃プラスチック油化処理装置40の運転自体に特に悪影響を及ぼしてしまうことはない。したがって、煩雑な選別除去処理を金属類と油化不適合樹脂とに限定することにより、廃プラスチック油化処理装置40の運転に悪影響を与えることなく、廃プラスチックを廃プラスチック油化処理装置40によって、より効率的かつより安定的に処理するようにすることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図2により、本発明による廃プラスチック油化処理装置の第2の実施の形態について説明する。図2は、本発明による廃プラスチック油化処理装置40の第2の実施の形態を示す概略構成図である。
図2に示す第2の実施の形態は、選別破砕処理設備60の構成が異なるのみであり、他は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。図2において、図1に示す第1の実施の形態、あるいは図7に示す廃プラスチック油化処理装置と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図2に示すように、本実施の形態による廃プラスチック油化処理装置40において、選別破砕処理設備60は、投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPET等を選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPET等が選別除去された廃プラスチックを破砕する選別破砕部41と、選別破砕された廃プラスチックを造粒する造粒部45と、からなっている。
そして、選別破砕部41が上流側に配置され、造粒部45が下流側に配置されている。したがって、選別破砕部41は選別破砕処理設備受け入れ口61に直接接続されており、造粒部45は選別破砕処理設備排出口62に直接接続されている。
本実施の形態による造粒部45は、選別破砕部41の機械式選別機7から送られてきた廃プラスチックを造粒する造粒機8と、造粒物状となった廃プラスチックを貯留する造粒物サイロ10とを有している。すなわち、機械式選別機7から送られてきた廃プラスチックは、まず、造粒機8により造粒される。これにより、廃プラスチックの取り扱いが容易となり、その後の処理を効率的に行うことができる。
ところで、図2に示すように、本実施の形態による造粒部45は造粒物サイロに貯留された造粒物状の廃プラスチックをフレコンパック等に充填する充填機11をさらに有している。すなわち、取り扱いの容易なこの造粒物状の廃プラスチックを、必要に応じて、充填機11によりフレコンパック等に移し替えて、別の処理場や一時保管場所に移送することもできる。これにより、一層効率的に廃プラスチックを処理することができる。なお、充填機11によりフレコンパック等に充填されない通常のシステムフローにおいては、造粒物サイロ10に貯留された廃プラスチックが、その後、高度ケミカルリサイクル施設に送り込まれる。
なお、本実施の形態においても、選別破砕処理設備60において廃プラスチック中からPCV等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂が選別除去されている。したがって、第1の実施の形態と同様に、従来の廃プラスチック油化処理設備において用いられてきた、脱塩処理のための設備、配管、および計器類を不要とすることができる。そして、本実施の形態においては、移送手段65は、選別破砕処理設備60の排出口62と熱分解処理設備70の受け入れ口71とをそれぞれ介し、選別破砕処理設備60の造粒部45の造粒物サイロ10と、熱分解処理設備70の熱分解部42の熱分解装置15と、を直接接続している。したがって、第1の実施の形態と同様に、破砕選別処理工程を経た廃プラスチックは、その後、熱分解処理設備70の熱分解装置15に直接投入されるようになっている。熱分解部42以降の廃プラスチックの処理は、図1に示す第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成されたシステムフローの廃プラスチック油化処理装置40も、従来の設備に比べて大幅に単純化、簡略化、効率化されており、初期設置コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる。
(第3の実施の形態)
次に、図3により、本発明による廃プラスチック油化処理装置の第3の実施の形態について説明する。図3は、本発明による廃プラスチック油化処理装置40の第3の実施の形態を示す概略構成図である。
図3に示す第3の実施の形態は、熱分解処理設備70の構成が異なるのみであり、他は図2に示す第2の実施の形態と略同一である。図3において、図1に示す第1の実施の形態、図2に示す第2の実施の形態、あるいは図7に示す従来の廃プラスチック油化処理装置と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図3に示すように、本実施の形態による廃プラスチック油化処理装置40において、熱分解処理設備70は、廃プラスチックを加熱溶融させる加熱溶融部46と、加熱溶融された廃プラスチックを熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解部42と、からなっている。
そして、加熱溶融部46が上流側に配置され、熱分解部42が下流側に配置されている。したがって、加熱溶融部46は熱分解処理設備受け入れ口71と直接接続されており、熱分解部42は熱分解処理設備排出口72a,72bと直接接続されている。
本実施の形態による加熱溶融部46は、廃プラスチックを加熱溶融する加熱溶融機32と、加熱溶融機32で溶融された廃プラスチックを一旦貯留し、熱分解部42に送り込む溶融槽14とを有している。
廃プラスチックは移送手段65から加熱溶融機32に投入されて加熱溶融され、ここで加熱溶融された廃プラスチックは溶融状態のまま溶融槽14に送られる。溶融槽14において、溶融状態の廃プラスチックが一旦貯留される。その後、廃プラスチックは溶融槽14でレベル管理されながら、熱分解部42の熱分解装置15に投入されていく。これにより、熱分解装置15の運転シーケンスを用いて、残渣排出バルブを閉めたまま溶融廃プラスチックを投入しつつ熱分解する投入運転段階と、残渣排出バルブを閉めたまま溶融廃プラスチックの投入も中断し熱分解装置内容物の温度を高めた状態で熱分解し油分を殆ど飛ばす焼締め運転段階と、溶融廃プラスチックの投入を中断したまま残渣排出バルブを開き熱分解装置15内の残渣を排出する残渣排出運転段階と、の3段階のサークルを繰返す運転条件で安全性を確保した運転を行うことができる。
このように、廃プラスチックを熱分解装置15に直接投入するのではなく、熱分解装置15の上流側に加熱溶融機32を設け、廃プラスチックを予め加熱溶融することにより、熱分解装置15での投入、加熱効率を高めることができる。また、熱分解装置15の加熱面積を減少させることができ、これにより、熱分解装置15をコンパクトな大きさに構成することができる。
なお、熱分解処理設備70より上流側における廃プラスチックの処理、および、熱分解部42により発生した熱分解ガスと熱分解残渣との処理については上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様である。
すなわち、本実施の形態においても、選別破砕処理設備60において廃プラスチック中からPCV等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂が選別除去されている。したがって、第1および第2の実施の形態と同様に、従来の廃プラスチック油化処理設備において用いられてきた、脱塩処理のための設備、配管、および計器類を不要とすることができる。そして、本実施の形態において、移送手段65は、選別破砕処理設備60の排出口62と熱分解処理設備70の受け入れ口71とをそれぞれ介し、選別破砕処理設備60の造粒部45の造粒物サイロ10と、熱分解処理設備70の加熱溶融部46の加熱溶融機71と、を直接接続している。したがって、破砕選別処理工程を経た廃プラスチックは、その後、加熱溶融部46の加熱溶融機32に直接投入されるようになっている。
以上のように構成されたシステムフローの廃プラスチック油化処理装置40も、従来の設備に比べて大幅に単純化、簡略化、効率化されており、初期設置コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる。
なお、第1の実施の形態と同様に加熱溶融部46の上流側にホッパーを設け、移送手段65からホッパーに廃プラスチックを順次受け入れるようにしてもよい。
また、本実施の形態において、選別破砕処理設備60が選別破砕部41と造粒部45とを有する例を示す図3を用いて説明されてきたが、これに限定されるものではなく、図11に示すように選別破砕処理設備60が選別破砕部41のみからなっていてもよい。この場合、移送手段65は、選別破砕処理設備60の排出口62と熱分解処理設備70の受け入れ口71とをそれぞれ介し、選別破砕処理設備60の選別破砕部41の機械式選別機7と、熱分解処理設備70の加熱溶融部46の加熱溶融機32と、を直接接続するようになる。
(第4の実施の形態)
次に、図4により、本発明による廃プラスチック油化処理装置の第4の実施の形態について説明する。図4は、本発明による廃プラスチック油化処理装置40の第4の実施の形態を示す概略構成図である。
図4に示す第4の実施の形態は、選別破砕処理設備60の構成が異なるのみであり、他は図2に示す第2の実施の形態と略同一である。図4において、図1乃至3に示す第1乃至3の実施の形態、あるいは図7に示す従来の廃プラスチック油化処理装置と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図4に示すように、本実施の形態による廃プラスチック油化処理装置40において、選別破砕処理設備60は、廃プラスチックにアルカリを添加するアルカリ投入部47をさらに備えている。アルカリ投入部47は、選別破砕された廃プラスチックを熱分解処理設備70に移送する前に、廃プラスチックにアルカリとして例えば消石灰を添加するアルカリ投入機9を有している。
上述した第1乃至第3の実施の形態と同様に、本実施の形態においても破砕選別部41においてPET等の油化不適合樹脂が選別除去される。しかしながら、破砕選別部41において油化不適合樹脂を殆ど除去することができ、油化処理施設側に入る選別済廃プラスチックに油化不適合樹脂が殆ど混入しなければ良いが、選別施設における選別性能が低下したり、廃プラスチック中に急激に油化不適合樹脂の混入率が高くなると、熱分解処理設備70へ投入される廃プラスチック中に油化不適合樹脂が多く混入し、分解油回収部43以降のラインが安息香酸の影響で閉塞したり、腐食が促進されたりする不具合が生ずるおそれもある。このような非常事態において、本実施の形態による廃プラスチック油化処理装置40によれば、選別破砕された廃プラスチックを熱分解処理設備70に投入する前に、アルカリ投入機9を用いて廃プラスチックに消石灰等のアルカリを添加することができ、上述した不具合を防止することができる。なお、消石灰等のアルカリの添加量を最適に制御する制御方法としては、熱分解ガス、あるいは、熱分解ガスを凝縮回収した分解油のpHからフィードバックして消石灰等のアルカリの投入量を決定するような方法が考えられる。
以上のように構成されたシステムフローの廃プラスチック油化処理装置40おいても、従来の設備に比べて大幅に単純化、簡略化、効率化されており、初期設置コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる。また、PVC等の塩ビ系樹脂およびPET等の油化不適合樹脂の選別除去が完全ではなかったとしても、以上のように構成されたシステムフローの廃プラスチック油化処理装置40おいては安定的に廃プラスチックを油化処理することができる。
なお、本実施の形態は、第2の実施の形態にアルカリ投入部47を加えた例を示す図4を用いて説明したが、当然にこれに限られるものではない。上述したアルカリ投入部47を第1の実施の形態、あるいは第3の実施の形態に加えることももちろん可能である。なお、第1の実施の形態にアルカリ投入部47を加える場合には、アルカリ投入部47は、選別破砕部41の下流側に設けられ、廃プラスチックはアルカリ投入部47によってアルカリを添加された後に、移送手段65によって選別破砕処理設備60から熱分解処理設備70まで移送されるようになる。
また、本実施の形態において、造粒部45よりも上流側および下流側における廃プラスチックの処理は、上述した第1乃至第3の実施の形態と同様となる。
(第5の実施の形態)
次に、図5により、本発明による廃プラスチック油化処理装置の第5の実施の形態について説明する。図5は、本発明による廃プラスチック油化処理装置40の第5の実施の形態を示す概略構成図である。
図5に示す第5の実施の形態は、とりわけ廃プラスチック油化処理装置40を石油製油所50と連繋して用いることができるように変形したものであり、廃プラスチック油化処理装置40の熱分解処理設備70以降における構成が異なるのみであり、他は図2に示す第2の実施の形態と略同一である。図5において、図1乃至4に示す第1乃至4の実施の形態、あるいは図7に示す従来の廃プラスチック油化処理装置と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本実施の形態による廃プラスチック油化処理装置40の分解油回収部43は分解油中のスラッジを分離除去する遠心分離機33を有している。この遠心分離機33は、分解油回収部43において凝縮および冷却した分解油中のスラッジを分離除去するためのものである。第1の実施の形態でも述べたように、生成した分解油中には炭素を主成分とするスラッジが混入している場合がある。しかしながら、本実施の形態のように、分解油を遠心分離機33に通すことによりスラッジを分離除去することができ、これにより、品質の高い分解油を利用先に供給することができる。
図5に示すように、本実施の形態において、分解油回収部43は分解油を排出する分解油排出口43bを有している。そして、廃プラスチック油化処理装置40は、分解油回収部43の分解油排出口43bと、分解油を受け入れる分解油受け入れ口50aを有した石油製油所50と、を直接接続する分解油移送手段67をさらに備えている。一般に、石油製油所50は、上述してきた分解油回収部43において生成されるような分解油を精製することができる精製ライン53を有している。本実施の形態における廃プラスチック油化処理装置40は石油製油所50に連携し、廃プラスチックの油化処理において石油製油所50の精製ライン53を有効に利用しようとするものである。
図5に示すように、分解油移送手段67は、分解油回収部43の分解油排出口43bと石油製油所50の分解油受け入れ口50aとをそれぞれ介し、分解油回収部43の遠心分離器33と石油製油所50の製油所タンク51とを直接接続している。そして、本実施の形態においては、分解油移送手段67を介し、石油製油所50の製油所タンク51に移送された分解油は、さらに製油所50の精製ライン53に注入されて精製されるようになっている。この場合、石油製油所50に送られる分解油は既に遠心分離機33によりスラッジを除去されているので都合が良い。ただし、石油製油所50内でスラッジの分離除去処理ができる場合には、遠心分離機33を省くことができる。なお、分解油移送手段67としては、例えば、連結管等を用いることができる。
また、分解油だけでなく、廃プラスチック油化処理装置40において生成される残渣、および非凝縮ガス(オフガス)も、石油製油所50へ移送されて、石油製油所50内に設けられた燃焼設備52へ移送されることが好ましい。この場合、廃プラスチック油化処理装置40で生成される分解油以外の生成物も全て石油製油所50内で有効利用あるいは処理することができるとともに、廃プラスチック油化処理装置40の構成をさらに単純化することができる。
本実施の形態においては、図5に示すように、残渣回収部44は残渣を排出する残渣排出口44bを有している。そして、廃プラスチック油化処理装置40は、残渣回収部44の残渣排出口44bと、石油製油所50に設けられた残渣受け入れ口50bと、を直接接続する残渣移送手段68をさらに備えている。図5に示すように、残渣移送手段68は、残渣回収部44の残渣排出口44bと石油製油所50の残渣受け入れ口50bとをそれぞれ介し、残渣回収部44の残渣コンテナ27と石油製油所50内に設けられている製油所燃焼設備52とを直接接続している。これにより、石油製油所50の製油所燃焼設備52は、残渣を燃料として使用することができるようになっている。なお、残渣移送手段68としては、例えば、連結管やベルトコンベア等を用いることができる。
さらに、図5に示すように、分解油回収部43は非凝縮ガスを排出する非凝縮ガス排出口43cを有している。そして、廃プラスチック油化処理装置40は、分解油回収部43の非凝縮ガス排出口43cと、石油製油所50に設けられた非凝縮ガス受け入れ口50cと、を直接接続する非凝縮ガス移送手段69をさらに備えている。図5に示すように、非凝縮ガス移送手段68は、分解油回収部43の非凝縮ガス排出口43cと石油製油所50の非凝縮ガス受け入れ口50cとをそれぞれ介し、分解油回収部43の分解油ドラム20と石油製油所50内に設けられている製油所燃焼設備52とを直接接続している。これにより、分解油回収部43において凝縮しきらなかった非凝縮ガスを石油製油所50内において安定的に無害化処理することができる。なお、非凝縮移送手段69としては、例えば、連結管等を用いることができる。
なお、本実施の形態において、分解油回収部43から石油製油所50へ分解油および非凝縮ガスを移送する工程よりも上流側における処理、および、残渣回収部44から石油製油所50へ残渣を移送する工程よりも上流側における処理は、上述した第1乃至第4の実施の形態と同様となる。
以上のように構成されたシステムフローの廃プラスチック油化処理装置40おいても、従来の設備に比べて大幅に単純化、簡略化、効率化されており、初期設置コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる。
また、分解油回収部43に遠心分離機33を設けたことにより、凝縮した分解油を冷却後に遠心分離機をとおして分解油中のスラッジを分離除去することができ、これにより、品質の高い分解油を利用先に供給することができる。
さらに、廃プラスチック油化処理装置40と石油製油所50とを直接接続する分解油移送手段67が設けられており、この分解油移送手段67を用いて廃プラスチック油化処理装置40から石油製油所50に分解油を直接移送することができるようになっている。従って、廃プラスチック油化処理装置40から石油製油所50までの輸送コストを削減することができる。また同様に、廃プラスチック油化処理装置40と石油製油所50とを直接接続する残渣移送手段68および非凝縮ガス移送手段69が設けられており、これらの残渣移送手段68および非凝縮ガス移送手段69を用いて廃プラスチック油化処理装置40から石油製油所50に残渣および非凝縮ガスを直接移送し、石油製油所50内において再利用あるいは無害化処理を行うことができるようになっている。これらのことから、石油製油所50内のユーティリティーを有効活用するとともに、廃プラスチック油化処理装置40の全体構成を単純化、簡易化することができる。また、廃プラスチック油化処理装置40と石油製油所50との有効な融合が図られ、資源リサイクルを推進することができる。
なお、本実施の形態は、第2の実施の形態を石油製油所50に連携させるように変形した例を示す図5を用いて説明したが、当然にこれに限られるものではない。第1の実施の形態、あるいは第3の実施の形態、あるいは第4の実施の形態を上述した構成に変形することにより石油製油所50と連携させることももちろん可能である。
また、石油製油所50と連携させることなく、第1乃至第4の実施の形態の分解油回収部43に遠心分離機33のみを設けるように変形することも可能である。
(第6の実施の形態)
次に、図6により、本発明による廃プラスチック油化処理装置40の第6の実施の形態について説明する。図6は、本発明による廃プラスチック油化処理装置40の第6の実施の形態の一部分を示す部分概略構成図である。
図6に示す第6の実施の形態は、廃プラスチック油化処理装置40が、残渣回収部44において回収された残渣と、分解油回収部43において回収されたスラッジとを用いて固形燃料を生成する固形燃料生成部55をさらに備えたことが異なるのみであり、他は図1乃至図5に示すに示す第1乃至第5の実施の形態と略同一である。図6において、図1乃至5に示す第1乃至5の実施の形態と同一部分には同一符号を付すとともに、第1乃至5の実施の形態と同一部分についての詳細な説明は省略する。また、図6に示されていない熱分解処理設備70よりも上流側の構成は、第1乃至第5の実施の形態の該当する構成のいずれをも適用することができる。
図6に示すように、本実施の形態による廃プラスチック油化処理装置40は、残渣回収部44において回収された残渣と、分解油回収部43において回収されたスラッジと、を用いて固形燃料を生成する固形燃料生成部55を備えている。固形燃料生成部55は、分解油回収部43において回収されたスラッジの一部または全部を、残渣回収部44において回収された残渣の一部または全部と混合する混合装置56と、混合装置56の下流に設けられ、残渣とスラッジとの混合物を造粒成形する成形装置57と、を有している。
熱分解装置15から排出された残渣は、一般の微粉炭燃焼炉等で燃焼可能であり、燃料として利用することができる。しかしながら、熱分解装置15から排出された残渣はカーボン主体の粒子の細かい粉末状であり、粉末状のまま燃料として用いようとすると、排ガス処理工程にバグフィルタ等の集塵設備を設置していない燃焼設備において排ガス中に粉塵が含まれてしまう問題や、利用先までの搬送中に粉塵が舞ってしまう等の問題が生じる。このため、本実施の形態においては、成形装置57を用いて、回収した残渣を成形し汎用性の高い固形燃料として利用できるようにしている。なお、成形装置57としては、一定の径に成形加工する造粒機、一定の板厚に圧縮成形加工する圧縮成形機、型に入れて圧入加工する圧入成形機等が用いられ得る。
なお、本実施の形態によれば、上述したように、固形燃料生成部55は成形装置57の上流側に残渣とスラッジとを混合する混合装置56をさらに有している。したがって、本実施の形態による固形燃料生成部55によれば、固形燃料は残渣とスラッジとを混合した材料から生成される。この場合、スラッジは、第5の実施の形態で説明した遠心分離機(油中スラッジ分離装置)33を分解油回収部43に設け、遠心分離機(油中スラッジ分離装置)33により分離した上で回収することが好ましく、これにより、安定的にスラッジを供給することができる。なお、第1の実施の形態で述べたように分解油タンク32に沈降したスラッジを回収して、混合装置56に供給するようにしてもよい。
また、混合装置56において残渣とスラッジとをよく混合することができるように、混合装置56の一部として残渣スラッジ貯留ホッパーを設けるとともに、残渣スラッジ貯留ホッパー構造内に回転攪拌羽根を設置する構造、あるいは、残渣スラッジ貯留ポッパー構造下部にロータリー羽根等を設置し内部を流動させる構造にすることが好ましい。さらに、一般にスラッジの流動点は高いため、スラッジが硬く固化してしまうことが生じ得る。この対策として、固形燃料生成部55に破砕機等を設け、固化しているスラッジを砕いてから混合装置56に供給することができるようにすることが好ましい。
以上のような固形燃料生成部55により、残渣とスラッジとを混合することができ、その混合物を成形して固形燃料を安定的に供給することができる。これにより、廃プラスチック油化処理装置40内で生じた残渣とスラッジとを、廃プラスチック油化処理装置40によって有効に再生させることができる。
ところで、図6に示すように、本実施の形態においては、固形燃料生成部55と燃焼炉部48とが接続されており、燃焼炉部48は固形燃料生成部55で生成された固形燃料を燃料の一部または全部として連続的に使用することができるようになっている。廃プラスチック油化処理装置40内で用いる燃焼用燃料として、廃プラスチック油化処理装置40による油化生成物を用いることができ、廃プラスチック油化処理装置のエネルギー効率を高めることができる。
以上のように構成されたシステムフローの廃プラスチック油化処理装置40おいても、従来の設備に比べて大幅に単純化、簡略化、効率化されており、初期設置コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる。また、廃プラスチック油化処理装置40内で生成される残渣およびスラッジを、固形燃料生成部55によって固形燃料として再生成し、有効に活用することができるようになっている。これにより、例えば、残渣やスラッジを産業廃棄物として処分する場合に比べ、産廃処分コストや処分場までの輸送コストを削減することができるとともに、資源リサイクルを推進することができる。
なお、本実施の形態による固形燃料生成部55は混合装置56を有し、残渣とスラッジとから固形燃料を形成する例を示したが、これに限られない。固形燃料生成部55から混合装置56を省き、成形装置57により残渣のみから固形燃料を形成するようにしてもよい。また、固形燃料生成部55から成形装置57を省くことも可能である。
また、本実施の形態において、固形燃料生成部55と燃焼炉部48とを接続するように構成したが、これに限られず、固形燃料生成部55で生成された固形燃料を廃プラスチック油化処理装置40から搬出し、別の施設において利用するようにしてもよい。
本発明による廃プラスチック油化処理装置の第1の実施の形態を示す概略構成図。 本発明による廃プラスチック油化処理装置の第2の実施の形態を示す概略構成図。 本発明による廃プラスチック油化処理装置の第3の実施の形態を示す概略構成図。 本発明による廃プラスチック油化処理装置の第4の実施の形態を示す概略構成図。 本発明による廃プラスチック油化処理装置の第5の実施の形態を示す概略構成図。 本発明による廃プラスチック油化処理装置の第6の実施の形態を示す部分概略構成図。 従来の廃プラスチック油化処理装置を示す概略構成図。
符号の説明
33 遠心分離機
40 廃プラスチック油化処理装置
41 選別破砕部
42 熱分解部
43 分解油回収部
43b 排出口
44 残渣回収部
44b 排出口
45 造粒部
46 加熱溶融部
48 燃焼炉部
50 石油製油所
50a 受け入れ口
50b 受け入れ口
51 製油所タンク
52 製油所燃焼設備
55 固形燃料生成部
60 選別破砕処理設備
61 受け入れ口
62 排出口
65 移送手段
67 分解油移送手段
68 残渣移送手段
70 熱分解処理設備
71 受け入れ口
72a 排出口
72b 排出口

Claims (15)

  1. 投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPETを選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPETが選別除去された廃プラスチックを破砕する選別破砕処理設備であって、受け入れ口と排出口とを有する選別破砕処理設備と、
    選別破砕処理設備の下流側に設けられ、廃プラスチックを加熱して熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解処理設備であって、受け入れ口と排出口とを有する熱分解処理設備と、
    前記選別破砕処理設備の排出口と前記熱分解処理設備の受け入れ口とを直接接続する移送手段と、を備えたことを特徴とする廃プラスチック油化処理装置。
  2. 前記選別破砕処理設備は、
    投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPETを選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPETが選別除去された廃プラスチックを破砕する選別破砕部と、
    選別破砕された廃プラスチックを造粒する造粒部であって、前記選別破砕処理設備の排出口に接続された造粒部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチック油化処理装置。
  3. 前記熱分解処理設備は、
    廃プラスチックを加熱溶融させる加熱溶融部であって、前記熱分解処理設備の受け入れ口に接続された加熱溶融部と、
    加熱溶融された廃プラスチックを熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチック油化処理装置。
  4. 熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する分解油回収部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチック油化処理設備。
  5. 前記分解油回収部に設けられた排出口と、分解油を精製する石油製油所と、を直接接続する分解油移送手段をさらに備えたこと特徴とする請求項4に記載の廃プラスチック油化処理装置。
  6. 残渣を冷却して回収する残渣回収部と、
    前記残渣回収部に設けられた排出口と前記石油製油所とを直接接続する残渣移送手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の廃プラスチック油化処理装置。
  7. 前記分解油回収部において凝縮しなかった非凝縮ガスを燃焼させる燃焼炉部をさらに備え、
    前記燃焼炉部は前記分解油回収部と接続されており、前記分解油回収部で回収された分解油を燃料として使用することを特徴とする請求項4に記載の廃プラスチック油化処理装置。
  8. 前記分解油回収部において凝縮しなかった非凝縮ガスを燃焼させる燃焼炉部をさらに備え、
    前記熱分解処理設備は前記燃焼炉部と接続されており、廃プラスチックを熱分解するための熱源として前記燃焼炉部の排ガスを使用することを特徴とする請求項4に記載の廃プラスチック油化処理装置。
  9. 前記分解油回収部は分解油中のスラッジを分離除去する遠心分離機を有することを特徴とする請求項4に記載の廃プラスチック油化処理装置。
  10. 熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する分解油回収部と、
    残渣を冷却して回収する残渣回収部と、
    前記残渣回収部において回収された残渣と、前記分解油回収部において回収された分解油中のスラッジと、を混合して固形燃料を生成する固形燃料生成部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチック油化処理装置。
  11. 熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する分解油回収部と、
    残渣を冷却して回収する残渣回収部と、
    前記残渣回収部において回収された残渣を用いて固形燃料を生成する固形燃料生成部と、
    前記分解油回収部において凝縮しなかった非凝縮ガスを燃焼させる燃焼炉部と、をさらに備え、
    前記燃焼炉部は前記固形燃料生成部と接続されており、前記固形燃料生成部で生成された固形燃料を燃料として使用することを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチック油化処理装置。
  12. 投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPETを選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPETが選別除去された廃プラスチックを破砕する選別破砕処理工程と、
    廃プラスチックを加熱して熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる熱分解処理工程と、を備え、
    廃プラスチックは、前記選別破砕処理工程と前記熱分解処理工程とを直接接続する移送手段により、前記選別破砕処理工程から前記熱分解処理工程へと移送されることを特徴とする廃プラスチックの油化処理方法。
  13. 前記選別破砕処理工程は、
    投入される廃プラスチックから油化不適合物である金属類、塩ビ系樹脂、およびPETを選別除去し、金属類、塩ビ系樹脂、およびPETが選別除去された廃プラスチックを破砕する工程と、
    選別破砕された廃プラスチックを造粒する工程と、を有し、
    造粒された廃プラスチックが前記熱分解処理工程へ直接移送されることを特徴とする請求項12に記載の廃プラスチックの油化処理方法。
  14. 前記熱分解処理工程は、
    選別破砕処理工程から直接移送されてきた廃プラスチックを加熱溶融する工程と、
    加熱溶融された廃プラスチックを熱分解し、熱分解ガスと残渣とを発生させる工程と、を有することを特徴とする請求項12に記載の廃プラスチックの油化処理方法。
  15. 熱分解ガスを凝縮して分解油として回収する工程をさらに備え、
    該工程を経て回収された分解油は、分解油を精製する石油製油所へ直接移送されることを特徴とする請求項12に記載の廃プラスチックの油化処理方法。
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