JP2022118564A - 燃料の改質方法、及び燃料の改質装置 - Google Patents

燃料の改質方法、及び燃料の改質装置 Download PDF

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裕之 宮下
Hiroyuki Miyashita
健史 藤井
Takeshi Fujii
光 矢田部
Hikaru Yatabe
豊明 仁木
Toyoaki Niki
寛明 久保
Hiroaki Kubo
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Abstract

【課題】廃棄物に由来する熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックと、熱可塑性樹脂とを含む原料の燃料への改質を円滑に進めることが可能であり、廃棄物を燃料として有効活用することを可能にする燃料の改質装置を提供すること。【解決手段】燃料の改質装置100は、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(A)、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(B1)及び熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)の組み合わせ、並びに、廃棄物(B1)及び原材料(B2)を含む配合物(C)、からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む原料を、酸素濃度が13体積%以下の雰囲気において、300~450℃の温度範囲に加熱して改質する加熱部20を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、燃料の改質方法、及び燃料の改質装置に関する。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、軽量及び高強度といった炭素繊維の特性を利用して、日用品、パソコン、家電、自動車、航空機、スポーツ用品及び建築土木分野等の様々な用途に使用されている。これらの製品の廃棄処分で生じるシュレッダーダストには、炭素繊維強化プラスチックが含まれている。
炭素繊維強化プラスチックは微細化すれば燃焼し易くなる。しかしながら、炭素繊維強化プラスチックは他の廃棄物より粉砕され難く、大きいサイズを維持し易い。このようにサイズの大きいCFRPを含む廃棄物を燃料として使用すると、炭素繊維が燃え残る場合がある。そこで、例えば、特許文献1では、CFRPを所定条件で加熱処理してCFRPの粉砕性を向上し、加熱処理後に粉砕して得られた粉砕物をセメント製造装置の燃料として用いる技術が提案されている。
特開2017-66383号公報
熱硬化性樹脂を含むCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、種々の分野で利用されており、今後、CFRPを含む廃棄物が増えていくと考えられる。ここで、特許文献1のような加熱処理を施すと、熱硬化性樹脂の揮発のみならず熱硬化性樹脂の分解も進行する。ここで過剰に分解が生じるとカロリーが消失するため、燃料としての有用性が低下してしまう。一方、加熱処理が不十分であると、炭素繊維の脆化が進行せず破砕が困難になるうえに、熱硬化性樹脂の改質が十分に進行しないため、炭素繊維の燃え残りが増えてしまうことが懸念される。また、CFRPのみならず熱可塑性樹脂を含有する廃棄物も増加していくことが予想される。このような事情の下、CFRPと熱可塑性樹脂の両方を併せて効率的に加熱処理する技術を確立することが求められる。
そこで、本開示は、廃棄物に由来する熱硬化性樹脂を含む炭素繊維強化プラスチックと、熱可塑性樹脂とを含む原料から燃料への改質を円滑に進めることが可能であり、廃棄物を燃料として有効活用することを可能にする燃料の改質方法及び燃料の改質装置を提供する。
本開示の一側面に係る燃料の改質方法は、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチック及び熱可塑性樹脂を含む廃棄物(A)、並びに、炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(B1)及び熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)の組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも一方を含む原料を、酸素濃度が13体積%以下の雰囲気において、300~450℃の温度範囲に加熱して改質する加熱工程を有する。
上記燃料の改質方法は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を同一の工程で処理できるため、個別に処理する場合よりも工程をシンプルにして設備の集約化又は簡素化を図ることができる。これによって、燃料の製造コスト及び設備コストを低減することができる。そして、加熱温度と雰囲気中の酸素濃度を特定の範囲にすることで、熱硬化性樹脂の分解が円滑に進行し、大気雰囲気で加熱する場合よりも短時間で廃棄物を燃料に改質することができる。このような燃料は、燃焼性に優れるとともに、熱硬化性樹脂が減容化されていることから、炭素繊維の燃え残りを低減することができる。
また、原料に含まれる熱可塑性樹脂については、加熱工程において、水分、並びに塩素分、硫黄分、有機分等の揮発成分及び有害成分が低減されるとともに、熱可塑性樹脂の過度な分解が抑制される。このため、固形分としての燃料の収率を維持しつつ、着火性及び安全性に優れる燃料とすることができる。また、加熱工程において熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の分解に伴って生じる分解ガスの燃焼が抑制されるため、燃料(固体燃料及び気体燃料)として利用できるトータルの熱量を増やすことができる。したがって、上記改質方法は、廃棄物由来の原料から燃料への改質を円滑に進めることが可能であり、廃棄物を燃料として有効活用することができる。なお、本開示における「体積%」は、標準状態(摂氏0℃、気圧1bar)における体積割合である。
上記加熱工程では、上記原料を、酸素濃度が1体積%以上である雰囲気において上述の温度範囲で30分間~4時間加熱することが好ましい。これによって、加熱工程において熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の改質を一層最適化することができる。したがって、固形分として得られる燃料の収率を一層高くするとともに、分解ガスの燃焼抑制によって燃料として利用できる熱量を一層大きくすることができる。また、改質に要するエネルギー消費量が増えることを抑制できる。
上記原料として、廃棄物(B1)及び原材料(B2)を互いに混合することなく、加熱工程を行う加熱部に廃棄物(B1)及び原材料(B2)を導入してもよい。これによって、工程及び設備の簡素化を図ることができる。
上記加熱工程では、上記原料とともに融着防止材を加熱してもよい。これによって溶解した樹脂同士が融着したり、加熱設備に付着したりすることを抑制できる。
上記燃料の改質方法は、水蒸気、二酸化炭素、及び窒素から選ばれる少なくとも一種のガスを用いて、所定の酸素濃度に調整された供給ガスを得る供給ガス調製工程を有することが好ましい。この場合、上記供給ガスを用いて加熱工程における雰囲気の酸素濃度を調整することが好ましい。
加熱工程で、連続焼成炉等を用いる場合、原料の投入口等から酸素(大気)が流入する場合がある。このような酸素流入量に応じて、上記供給ガス調製工程で所定の酸素濃度に調整された供給ガスを用いることによって、加熱工程における雰囲気の酸素濃度を安定的に所定の範囲に維持することができる。また、これらの供給ガス調製工程に用いるガスが、燃料の改質方法のいずれかの工程で発生するガスであれば、燃料の改質方法全体のエネルギー効率を高め、燃料の生産効率を高めることができる。
上記燃料の改質方法は、加熱工程で発生する分解ガスを回収して燃焼させる分解ガス燃焼工程を有することが好ましい。上記加熱工程では、熱硬化性樹脂を含む炭素繊維強化プラスチックと熱可塑性樹脂とを含む原料を、大気よりも酸素濃度が大幅に低い条件で加熱することで熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の熱分解や揮発成分が揮発して生じるガスの燃焼を抑制し、分解ガスとして熱量の高いガスを得ることができる。このような分解ガスを燃焼する分解ガス燃焼工程によって、分解ガスの熱量を有効活用することができる。この際に発生する燃焼熱を、ボイラー発電の熱源、及び廃棄物の乾燥等に用いてもよい。これによって、燃料の改質方法全体でのエネルギー効率を向上することができる。
上記分解ガス燃焼工程で発生する燃焼排ガスを加熱工程において熱源として利用することが好ましい。このように分解ガス燃焼工程で発生する燃焼排ガスを加熱工程における熱源として利用することで、燃料の改質方法全体のエネルギー効率を向上することができる。
上記燃料の改質方法は、分解ガス燃焼工程で発生する燃焼排ガスと水とを接触させる接触工程を有し、接触工程で得られた冷却ガスを用いて、加熱工程における雰囲気の酸素濃度を調整することが好ましい。分解ガス燃焼工程で発生する燃焼排ガスは、酸素濃度が低く、且つ二酸化炭素濃度が高い。そして、このような燃焼排ガスと水とを接触させることで、水蒸気を含む冷却ガスが得られる。このような冷却ガスは、加熱工程における酸素濃度調整用のガスとして一層好適である。また、加熱工程の雰囲気の酸素濃度調整用に別途のガス供給設備を設置する必要性がなくなるため、工程及び設備の簡略化を図ることができる。
本開示の一側面に係る燃料の改質装置は、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(A)、並びに、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(B1)及び熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)の組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも一方を含む原料を、酸素濃度が13体積%以下の雰囲気において、300~450℃の温度範囲に加熱して改質する加熱部を備える。
上記燃料の改質装置は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を同一の設備で処理できるため、個別に処理する場合よりも設備構成をシンプルにして設備の集約化又は簡素化を図ることができる。これによって、燃料の製造コスト及び設備コストを低減することができる。そして、加熱温度と雰囲気中の酸素濃度を特定の範囲にすることで、熱硬化性樹脂の分解が円滑に進行し、大気雰囲気で加熱する場合よりも短時間で燃料に改質することができる。このような燃料は、燃焼性に優れるとともに、熱硬化性樹脂が減容化されていることから、炭素繊維の燃え残りを低減することができる。
また、原料に含まれる熱可塑性樹脂については、加熱部において、水分、並びに、塩素分、硫黄分、有機分等の揮発成分及び有害成分が低減されるとともに、熱可塑性樹脂の過度な分解が抑制される。このため、固形分として燃料の収率を維持しつつ、着火性及び安全性に優れる燃料とすることができる。また、加熱部で熱硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の分解に伴って生じる燃焼が抑制されるため、燃料(固体燃料及び気体燃料)として利用できるトータルの熱量を増やすことができる。したがって、上記改質装置は、廃棄物由来の原料から燃料への改質を円滑に進めることが可能であり、廃棄物を燃料として有効活用することができる。
上記加熱部では、上記原料を、酸素濃度が1体積%以上である雰囲気において上記温度範囲で30分間~4時間加熱することが好ましい。これによって、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の改質を一層最適化することができる。これによって、固形分として得られる燃料の収率を一層高くするとともに、分解ガスの燃焼抑制によって燃料として利用できる熱量を一層大きくすることができる。また、改質に要するエネルギー消費量が増えることを抑制できる。
上記原料として、廃棄物(B1)及び原材料(B2)を互いに混合することなく、加熱部に廃棄物(B1)及び原材料(B2)を導入してもよい。これによって、設備及び工程の簡素化を図ることができる。
上記加熱部では、上記原料とともに融着防止材を加熱してもよい。これによって溶解した樹脂同士が融着したり、加熱設備に付着したりすることを抑制できる。
上記燃料の改質装置は、水蒸気、二酸化炭素、及び窒素から選ばれる少なくとも一種のガスを用いて、所定の酸素濃度に調整された供給ガスを得る供給ガス調製部を備えることが好ましい。この場合、上記供給ガスを用いて加熱部における雰囲気の酸素濃度を調整することが好ましい。
加熱部として、例えば連続焼成炉等を用いる場合、原料の投入口等から酸素(大気)が流入する場合がある。このような酸素流入量に応じて、上記供給ガス調製部で所定の酸素濃度に調整された供給ガスを用いることによって、加熱部における雰囲気の酸素濃度を安定的に所定の範囲に維持することができる。また、これらの供給ガス調製部に用いるガスが、燃料の改質装置内のいずれかの設備で発生するガスであれば、燃料の改質装置全体のエネルギー効率を高め、燃料の生産効率を高めることができる。
上記燃料の改質装置は、加熱部で発生する分解ガスを回収して燃焼させる分解ガス燃焼部を有することが好ましい。上記加熱部では、熱硬化性樹脂を含む炭素繊維強化プラスチックと熱可塑性樹脂を含む原料を、大気よりも酸素濃度が大幅に低い条件で加熱していることから、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の熱分解や揮発成分が揮発して生じるガスの燃焼を抑制し、分解ガスとして熱量の高いガスを得ることができる。このような分解ガスを燃焼する分解ガス燃焼部によって、分解ガスの熱量を有効活用することができる。この際に発生する燃焼熱を、ボイラー発電の熱源、及び廃棄物の乾燥等に用いてもよい。これによって、燃料の改質装置全体でのエネルギー効率を向上することができる。
上記分解ガス燃焼部で発生する燃焼排ガスを加熱部に供給することが好ましい。このように分解ガス燃焼部で発生する燃焼排ガスを加熱部に供給することで、燃焼排ガスを熱源として利用することができる。これによって、燃料の改質装置全体のエネルギー効率を向上することができる。
上記燃料の改質装置は、分解ガス燃焼部で発生する燃焼排ガスと水とを接触させる接触部を有し、接触部で得られた冷却ガスを用いて、加熱部における雰囲気の酸素濃度を調整することが好ましい。分解ガス燃焼部で発生する燃焼排ガスは、酸素濃度が低く、且つ二酸化炭素濃度が高い。そして、このような燃焼排ガスと水と接触させることで、水蒸気を含む冷却ガスが得られる。このような冷却ガスは、加熱部における酸素濃度調整用のガスとして一層好適である。また、加熱部の雰囲気の酸素濃度調整用に別途のガス供給設備を設置する必要性がなくなるため、装置構成の簡略化を図ることができる。
本開示によれば、廃棄物に由来する熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックと、熱可塑性樹脂とを含む原料の燃料への改質を円滑に進めることが可能であり、廃棄物を燃料として有効活用することを可能にする燃料の改質方法及び燃料の改質装置を提供することができる。
燃料の改質装置の一実施形態を示す図である。 燃料の改質装置の別の実施形態を示す図である。 燃料の改質装置のさらに別の実施形態を示す図である。
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
一実施形態に係る燃料の改質方法は、水蒸気、二酸化炭素、及び窒素から選ばれる少なくとも一種のガスを用いて、所定の酸素濃度に調整された供給ガスを得る供給ガス調製工程と、炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物を含有する原料を、酸素濃度が13体積%以下の雰囲気において、300~450℃の温度範囲に加熱して改質し改質物を得る加熱工程と、加熱工程で発生した可燃性ガスを含む分解ガスを燃焼させる分解ガス燃焼工程と、分解ガス燃焼工程で発生する燃焼排ガスと水とを接触させる接触工程と、を有する。
加熱工程は、原料として、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP」と称することもある。)及び熱可塑性樹脂を含む廃棄物(A)、並びに、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(B1)及び熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)の組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも一方を含む原料を用いる。ここでいう「組み合わせ」とは、廃棄物(B1)と原材料(B2)とを混合(混合工程)して調製した原料を加熱工程で用いてもよいし、廃棄物(B1)と原材料(B2)と混合することなく、別々に加熱工程で用いる加熱部に導入してもよい。この場合、廃棄物(B1)と原材料(B2)とを合流させたうえで加熱部に導入してもよい。
加熱工程では、当該原料とともに融着防止材を加熱してもよい。融着防止材としては、木質バイオマス及び微粉炭等の有機系融着防止材、並びに、石灰石、高炉スラグ、焼却灰、消石灰及びセメント製造工程に由来するダスト等の無機系融着防止材が挙げられる。有機系融着防止材を使用した場合、製造される固形の燃料にこれらが残存していても、燃料の燃焼と同時に有機系融着防止材も燃焼されるため、燃焼残渣の増加が抑制される。一方、無機系融着防止材を使用した場合、製造される固形の燃料をセメント製造設備で使用すれば、燃料に無機系融着防止材が残存していても、生じる燃焼残渣をセメント原料の一部として取り込んで資源として有効活用することが可能となる。なお、燃料として利用するときの汎用性を考慮すると、融着防止材として有機系融着防止材を使用することが好ましい。融着防止材は、上記原料と混合することなく加熱炉に導入されてよいし、原料と融着防止材の配合物又は混合物を加熱炉に導入してもよい。融着防止材を用いることによって、溶解した樹脂同士が融着すること、及び、溶融した樹脂が加熱設備に付着することを抑制できる。
熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)は、廃棄物であってもよいし、廃棄物でなくてもよい。廃棄物を用いれば、燃料の製造コストを低減することができる。廃棄物(B1)は熱可塑性樹脂を含まなくてよい。熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)は、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックを含まなくてよい。
廃棄物(B1)と原材料(B2)とを混合する混合工程を行うことによって、原料の均一性が向上し、運転の安定性を向上することができる。一方、廃棄物(B1)と原材料(B2)とを混合することなく加熱部に導入することによって、設備の簡素化及び工程の簡略化を図ることができる。これによって、燃料の改質に必要となるコストを低減することができる。加熱工程に用いる原料の別の例として、廃棄物(A)、廃棄物(B1)及び原材料(B2)を含むものが挙げられる。これによって、原料選択の自由度を向上し、一層汎用性の高い改質方法にすることができる。
廃棄物(A)及び廃棄物(B1)に含まれる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、炭素繊維と熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂等が挙げられる。炭素繊維としては、例えば、アクリル繊維又はピッチ等を原料として高温で炭化して作製されたものが挙げられる。ただし、炭素繊維強化プラスチックは、上述以外の成分を含むものであってよい。
廃棄物(A)及び原材料(B2)に含まれる熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、及び、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン等が挙げられる。ただし、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は上述のものに限定されない。
廃棄物(A)及び廃棄物(B1)は、日用品、パソコン、家電、自動車、航空機、スポーツ用品及び建築土木分野等に由来するものであってよい。これらの廃棄物は、自動車及び家電等の廃棄で生じるシュレッダーダストであってよい。廃棄物(A)は、炭素繊維強化プラスチックのみならず、炭素繊維を含有しない熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を含んでいてよい。廃棄物(A)及び廃棄物(B1)は、炭素繊維を含有しない熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)は、例えば、自動車、家電等に由来するシュレッダーダストや、建設資材、包装容器、製造工程等に由来する廃棄物を含んでよい。廃棄物(A)及び廃棄物(B1)及び原材料(B2)は、金属及びゴム等の異物を含んでもよい。
加熱工程では、原料を、酸素濃度が13体積%以下の雰囲気において、300~450℃の温度範囲で、30分間~4時間加熱することが好ましい。このような温度範囲とすることによって、エネルギー消費量を抑制しつつ樹脂の分解を速やかに進行させることができる。上記温度範囲は、同様の観点から、300~400℃であってよく、330~380℃であってもよい。
加熱工程での上記温度範囲における加熱時間は、1時間~3.5時間であってもよく、1.5時間~3時間であってもよい。加熱時間が短くなり過ぎると、CFRPを含有する原料の状態によっては熱硬化性樹脂の分解及び減容化が不十分となり、改質物を燃焼した時に炭素繊維の燃え残りが生じやすくなる傾向にある。一方、加熱時間が長くなり過ぎると、熱硬化性樹脂の分解は十分に進行するものの、熱可塑性樹脂の分解が過剰となり、燃料の改質方法全体としてのエネルギー効率が低下する傾向にある。
加熱工程における雰囲気の酸素濃度は、13体積%以下であり、好ましくは12体積%以下であり、より好ましくは11体積%以下である。加熱工程における雰囲気の酸素濃度を低くすることによって、熱硬化性樹脂の分解が促進され、廃棄物を含む原料の改質を円滑に進めることができる。また、分解により発生する可燃性ガスの引火に関するリスクを大幅に低下させ、工程の安全性を向上させることができる。
一方、加熱工程における雰囲気の酸素濃度は、好ましくは1体積%以上であり、より好ましくは2体積%以上である。このような雰囲気下で加熱することによって熱可塑性樹脂に含まれる水分及び揮発分等が低減され、熱可塑性樹脂を十分に改質することができる。また、酸素濃度が低くなり過ぎると、熱硬化性樹脂の分解が特に速くなるため、CFRPの改質が短時間で完了するが、熱硬化性樹脂の分解の進行度の調整が難しくなる。分解が進行し過ぎると、熱硬化性樹脂が減り過ぎて、加熱工程中に炭素繊維が単離して改質物をハンドリングし難くなる傾向がある。したがって、酸素濃度を上述の範囲にすることによって、熱硬化性樹脂の分解の進行度の調整が容易になり、また、改質物のハンドリング性を良好に維持することができる。
加熱工程における酸素濃度は、加熱工程で供給される供給ガスの酸素濃度及び供給ガスの流量の少なくとも一方によって調整してもよい。停止状態から通常の運転状態に入った後は、供給するガスの酸素濃度を制御することによって処理条件を安定化させることができる。加熱工程における圧力は大気圧未満であってもよい。圧力を大気圧未満とすることによって、分解ガスが加熱設備から流出することを抑制することができる。また、分解時に生じるタール分の気化が促進され、改質物の融着を抑制することができる。
加熱工程に供給される供給ガスの酸素濃度は、供給ガス調製工程で調整される。供給ガスの酸素濃度は、加熱工程における雰囲気の酸素濃度を目標範囲に維持するために、加熱工程の酸素濃度を参照しながら調整することが好ましい。供給ガスの酸素濃度は12体積%以下であってよく、10体積%以下であってもよく、8体積%以下であってもよい。
加熱工程では、供給ガス調製工程で得られる供給ガス以外のガスを供給してもよい。そのようなガスは、酸素濃度を全く又は殆ど調整できないガス(空気)であってもよい。この場合、加熱工程の酸素濃度は、供給ガス調製工程で得られる供給ガスの酸素濃度によって調整してよい。供給ガス調製工程は、水蒸気、二酸化炭素、及び窒素から選ばれる少なくとも一種のガスと、酸素濃度を全く又は殆ど調整できないガス(空気)を用いて、所定の酸素濃度を有する供給ガスを得てもよい。
供給ガスに含まれる水蒸気、二酸化炭素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも一種のガスは、本燃料の改質方法におけるいずれかの工程に由来することが好ましい。これによって、加熱工程の酸素濃度を調整するために別途ガスを調達することが不要となり、より低いコストで廃棄物を含む原料の改質を行うことができる。ただし、上記工程に由来しないガスの供給を排除するものではなく、必要に応じて、水蒸気発生装置等を用いて不足するガスを補ってもよい。
各ガス中の酸素濃度の測定は、例えば、ジルコニア式又は磁気力式等の酸素濃度計によって計測してもよいし、別途設けられる酸素濃度の分析工程において分析してもよい。
加熱工程で得られるCFRPを含む改質物は、少なくとも一部が分解されていてもよい熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂と、炭素繊維とを含有する。加えて、原料に含まれていた金属及びゴム等の異物の残留物、同時に処理工程に投入された副原料由来の物質を含んでいてもよい。
加熱工程では、大気よりも酸素濃度が大幅に低い雰囲気において原料を加熱している。このため、加熱工程では、熱可塑性樹脂の分解を抑制するとともに、熱分解性樹脂が分解して生じる分解ガスの燃焼が抑制され、可燃性成分を高い割合で含有する、高カロリーの分解ガスを得ることができる。すなわち、固形の改質物の収率を高く維持しつつ、分解ガスも燃料化することができる。このように改質物と燃料ガスの両方を、燃料として利用できるため、固体燃料と気体燃料を含むトータルの燃料回収量を十分に大きくすることができる。
本実施形態の改質方法における分解ガスは、可燃性成分を多く含むことから、加熱工程で生じた分解ガスを回収して燃焼させる分解ガス燃焼工程を有する。これによって、分解ガスを燃料として有効活用することができる。また、例えば、この分解ガスの燃焼排ガスを加熱工程において熱源として用いてもよい。これによって、分解ガスの燃焼熱を有効活用することができる。
接触工程では、分解ガス燃焼工程で発生する燃焼排ガスと水とを接触させる。これによって、二酸化炭素と水蒸気を含む冷却ガスを容易に得ることができる。このような冷却ガスは、加熱工程における酸素濃度を調製するためにそのまま加熱工程で用いてもよく、供給ガス調製工程で他のガスと混合して供給ガスとしてもよい。これによって、燃焼排ガスを有効利用することができる。
別の実施形態に係る燃料の改質方法では、上述の加熱工程の後、加熱工程で得られた炭素繊維を含む改質物を、水で冷却する冷却工程と、冷却した改質物を粉砕する粉砕工程と、粉砕した改質物を分級し、改質物の大きさに応じて改質物(粗大物)の一部を回収する回収工程とを行ってもよい。冷却工程は、水と改質物を直接接触させて冷却してもよく、冷却媒体等を介して間接的に冷却してもよい。例えば、改質物を鉄製の筒内に導入し、筒の外側から散水して冷却してもよい。このような冷却を行うことによって、円滑な冷却が可能となり、冷却の所要時間を短縮することができる。
粉砕後の改質物のサイズは特に限定されず、例えば、10mm以下であってよいし、5mm以下であってよいし、3mm以下であってもよい。粉砕工程は、例えば竪型ミルを用いて行ってもよいし、チューブミルを用いて行ってもよい。竪型ミルを用いることによって、粉砕工程と回収工程とを並行して行ってもよい。
回収工程では、粉砕工程で粉砕された改質物を分級し、改質物の大きさに応じて一部を回収する。例えば、所望のサイズよりも粗大な物が残存している場合には、分級して粗大物を回収してもよい。分級は、分級機によって行ってもよいし、粉砕機能と分級機能を兼ね備える竪型ミルで行ってもよい。
回収工程で回収された改質物の中で粗大な物は、粉砕工程で再度粉砕されてもよい。このような工程を有することによって、サイズの大きな炭素繊維を、改質物から排除することができる。回収工程で粗大物が排除された改質物は、固体燃料として燃焼させることができる。例えば、セメント製造設備のキルン又は仮焼炉で燃焼させてよい。
上記加熱工程を有する改質方法は、廃棄物に由来するCFRPと熱可塑性樹脂とを含む原料を速やかに改質することができる。上記加熱工程を経た改質物は、熱硬化性樹脂の分解の進行、及び熱可塑性樹脂の炭化の進行による可塑性の低減によって改質前と比較して強度が低下しているため、改質前に比べて粉砕され易くなっている。このため、改質物に含まれる炭素繊維は容易に微細化することができる。
また、改質によって熱硬化性樹脂が減容化されているため、熱硬化性樹脂の燃焼に要する時間が短くなり、炭素繊維の燃焼が円滑に開始される。その結果、炭素繊維の燃え残りを十分に低減することができる。これによって、例えば、改質物を固体燃料として用いたときに生じる排ガスに含まれる炭素繊維が、排ガス処理用の電気集塵機等に悪影響を与えることを抑制できる。原料に含まれる熱可塑性樹脂は過剰な分解が抑制されるため、固体燃料の収率を高く維持することができる。そして、熱可塑性樹脂の水分、並びに、塩素分、硫黄分、有機分等の揮発成分及び有害成分を低減されていることから、着火性にも安全性にも優れる固体燃料とすることができる。
上記改質方法は、例えば、図1に示す一実施形態に係る燃料の改質装置100を用いて行ってもよい。図1の改質装置100は、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(B1)と熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)とを混合して加熱部20に導入される原料を調製する混合部10と、酸素濃度が13体積%以下の雰囲気において、300~450℃の温度範囲に加熱して改質物を得る加熱部20と、改質物を水で冷却する冷却部30と、水で冷却された改質物を粉砕する粉砕部40と、粉砕した改質物を分級し、改質物の大きさに応じて改質物の少なくとも一部(粗大物)を回収する回収部50と、加熱部20で発生した分解ガスを燃料として用いる分解ガス燃焼部60と、加熱部20に供給する供給ガスを調製する供給ガス調製部90を備える。
混合部10は、通常のミキサであってもよいし、今後と粉砕を併せて行う粉砕機であってもよい。これによって、原料の変動を十分に抑制することができる。混合部10で調製された原料は加熱部20に導入される。加熱部20の加熱工程で発生する可燃性成分を含む分解ガスは、分解ガス回収部80によって回収され、分解ガス燃焼部60で燃焼される。このようにして加熱部20で発生する分解ガスを熱源として有効利用することができる。加熱部20で加熱工程を行った後、必要に応じて、冷却部30では冷却工程を、粉砕部40で粉砕工程を、回収部50で回収工程を、それぞれ行ってよい。加熱部20は外熱式の加熱装置であることが好ましい。加熱部20としては、例えば、外熱式ロータリーキルンを使用することができる。これによって、廃棄物(B1)と原材料(B2)とを混合しながら加熱することができる。また、粉砕部40を例えば竪型ミルとして、改質物の粉砕と分級とを並行して行ってよい。したがって、各工程の説明内容を、改質装置100の各構成部分に適用することができる。改質装置100は、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(B1)を改質して、燃焼性に優れる改質物を得ることができる。
供給ガス調製部90は、水蒸気、二酸化炭素、及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む供給ガスを加熱部20に供給して、加熱部20の雰囲気を13体積%以下の酸素濃度に調整する。供給ガス調製部90は、水蒸気を含むガスを加熱部20に供給することが好ましい。水蒸気としては、冷却部30で加熱工程を経た改質物を冷却することによって得られる水蒸気を利用してもよい。これによって、加熱後の改質部の冷却を迅速に行いつつ、加熱部20の酸素濃度を簡便に低減することができる。供給ガス調製部90は、ガス流量を調節する調節弁と、目標とするガス流量を設定する演算部、演算部と調節弁との信号をやり取りする伝達部とを有していてもよい。
図2は、別の実施形態に係る燃料の改質装置を示す図である。図2の改質装置101は、図1の改質装置100の構成と比べて、混合部10を備えず、熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(B1)と熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)とを加熱部20に個別に導入する点、及び、分解ガス燃焼部60からの排ガスと水とを接触し冷却ガスを得る接触部62、及び加熱部20にガスを供給する供給ガス調製部91を備える点で異なっている。
接触部62では、水と分解ガス燃焼部60での燃焼によって生じる排ガスとを接触させる接触工程を行うことで冷却ガスを得る。この冷却ガスは、水蒸気を含有してもよい。接触部62で得られた冷却ガス(水蒸気含有ガス)の一部又は全部は、供給ガス調製部91を経由して冷却部30及び加熱部20に導入される。余剰な冷却ガスは系外に排出してもよい。なお、冷却ガスは、冷却部30を経由して、加熱部20に導入されてもよい。接触部62で得られた冷却ガスの加熱部20への供給流量は、供給ガス調製部91で調整する。なお、供給ガス調製部91は図1の供給ガス調製部90の機能に加えて、加熱部20に供給される冷却ガスの流量を算出し、余剰な排ガスを大気に放出する機能を有してもよい。
供給ガス調製部91は、接触部62で冷却された冷却ガスの加熱部20への流量を調製することで加熱部20における酸素濃度を制御してもよい。また、供給ガス調製部91は、接触部62で冷却された冷却ガスと、これとは異なる別のガス(例えば、水蒸気、二酸化炭素、及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むガス)との混合比を調整して、加熱部20に供給される供給ガスの酸素濃度を制御してもよい。供給ガス調製部91は、加熱部20と冷却部30の間に設け、冷却部30で発生する水蒸気含有ガスと他のガスとを混合して、加熱部20に供給する供給ガスを調製してもよい。
図2の改質装置101のその他の構成は、図1の改質装置100と同様であり、改質装置100の説明内容を適用することができる。
図3は、さらに別の実施形態に係る燃料の改質装置を示す図である。図3の改質装置102では、原料として熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と熱可塑性樹脂とを含む廃棄物(A)を用いる点、及び、回収部50で回収された改質物(粗大物)の一部を加熱部20に再投入する点が図1の改質装置100と異なっている。改質装置102では、CFRPと熱可塑性樹脂の両方を含む廃棄物を原料として用いることができる。また、改質装置102では、改質部の一部を加熱部20に再投入することによってCFRPに含まれる熱硬化性樹脂の分解及び減容化がさらに進行し、再度粉砕部40に導入された際により粉砕されやすくなる。これによって、改質物を燃焼させたときに生じる燃え残りを十分に低減することができる。
図3の改質装置102では、分解ガス燃焼部60で生じた排ガスを、燃焼排ガス供給部74(熱源導入部)によって加熱部20へ供給している。このように燃焼排ガスを加熱部20の熱源として用いてもよい。この場合、供給ガス調製部90は、燃焼排ガス供給部74からの排ガスの流量及び酸素濃度を加味して、加熱部20の供給する供給ガスの流量及び酸素濃度を調整する。このようにして、エネルギー効率を一層向上することができる。
図3の改質装置102のその他の構成は図1の改質装置100と同様であり、改質装置100の説明内容を適用することができる。上述の燃料の改質方法に関する内容は、図1,図2,図3の各改質装置100,101,102に適用され得る。
上記改質装置100,101,102は、CFRPと熱可塑性樹脂を含む原料を速やかに改質することができる。加熱部20を経た改質物は、熱硬化性樹脂の分解の進行によって改質前と比較して強度が低下しているため、改質前に比べて粉砕され易くなっている。このため、改質物に含まれる炭素繊維は容易に微細化することができる。また、改質によって樹脂が減容化されているため、熱硬化性樹脂の燃焼に要する時間が短くなり、炭素繊維の燃焼が円滑に開始される。その結果、炭素繊維の燃え残りを十分に低減することができる。また、原料に含まれる熱可塑性樹脂の分解が抑制され、固体燃料の収率を高く維持することができる。そして、熱可塑性樹脂の水分及び揮発分が低減されていることから、着火性にも安全性にも優れる燃料とすることができる。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、燃料の改質方法の各実施形態に係る内容を組み合わせてもよい。また、加熱工程の前に、原料を破砕する破砕工程を行ってもよい。破砕工程は、例えば、改質装置100における混合部10で行ってもよいし、混合部10と加熱部20の間に破砕部を別途設けてもよい。また改質装置101,102のいずれかの加熱部20の上流側に廃棄物(B1)又は廃棄物(A)を破砕する破砕部(不図示)を設けて当該破砕部において破砕工程を行ってよい。破砕工程では、原料を例えば10~100mmのサイズに破砕してもよい。破砕部としては、通常の破砕機を用いることができる。破砕部を設けることによって、加熱部20、冷却部30、粉砕部40及び回収部50において原料又は加熱物が詰まったり閉塞したりすることを抑制し、廃棄物を含む原料の改質を一層円滑に行うことが可能となる。
以下に具体的な実験例を参照して本開示の内容をより詳細に説明する。なお、廃棄物に含まれる炭素繊維強化プラスチックそのものでは、繊維含有量が揃った試験片を調整することが困難である。繊維含有量が変動すると、分解挙動の正確な判断が困難になることが懸念される。そのため、ここでは、炭素繊維強化プラスチックに含まれる代表的な樹脂である、エポキシ樹脂の分解挙動を比較検討した。
(実験例1)
複数の異なる雰囲気において、市販のエポキシ樹脂のTG-DTA分析(熱重量-示差熱分析)をそれぞれ行った。分析条件は以下のとおりとした。
<分析条件>
装置名:TG-DTA 6300(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)
試料質量:2mg
昇温速度:10℃/分
最高到達温度:350℃
最高到達温度での保持時間:3時間
雰囲気:酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:21体積%)を、窒素ガスで希釈して調整(酸素濃度は、分析装置への導入ラインにおいて酸素濃度計により実測)
雰囲気における酸素濃度は、21体積%、14体積%、8体積%、3体積%及び0体積%の計5種類とした。各雰囲気におけるTG-DTA分析結果から、酸素濃度が低いほど、重量減少が促進されることが確認された。表1に、重量減少率が40%に到達するまでの時間を示した。また、表2に、昇温開始から60分間経過時点までの重量減少率を示した。
Figure 2022118564000002
表1に示すとおり、酸素濃度が21体積%から14体積%に減少すると、到達時間は約20%短縮されることが分かった。酸素濃度が8体積%以下の条件では、到達時間は酸素濃度が21体積%の場合の半分以下であった。エポキシ樹脂の分解に所要する時間の短縮には、酸素濃度が低い雰囲気が有効であることが確認された。
Figure 2022118564000003
表2に示すとおり、昇温開始後、比較的早期の段階において、酸素濃度が低い方が重量減少率が大きくなっていた。このことから、雰囲気における酸素濃度が、比較的低い温度でもエポキシ樹脂の分解速度に影響することが確認された。表2の「vs 酸素濃度21体積%」の欄には、昇温開始から60分間経過する時点までの重量減少率の、酸素濃度が21体積%の場合との差異を示している。酸素濃度が0体積%になると、エポキシ樹脂の分解が大幅に促進されることが確認された。
(実験例2)
実験例1で使用したエポキシ樹脂を用い、雰囲気管状電気炉を使用して、酸素濃度14体積%、8体積%、3体積%及び0体積%の雰囲気で350℃にて3時間加熱した試料の発熱量分析を行った。分析は、(株)吉田製作所製のボンベ型熱量計(型式:1013-J)を用い、JIS M 8814に準拠して行った。分析結果は表3に示すとおりであった。
Figure 2022118564000004
表3には、発熱量の結果と、加熱後に残った残分(100-重量減少率)と発熱量の積を併せて示した。残分×発熱量の値が大きい条件ほど、同量の廃棄物を処理した際に固形分として回収される燃料の熱量が大きくなる。表3の結果では、酸素濃度が低いほど(酸素濃度0体積%の場合を除く)、発熱量が大きくなり、残分×発熱量の値を大きくできることが確認された。このことから、所定の条件でCFRPを加熱する加熱工程を行うことによって、燃焼性に優れ且つ樹脂が減容された改質物が円滑に得られることが確認された。このような改質物を燃焼すると、燃焼によるエネルギーを利用しつつ、炭素繊維を円滑に完全燃焼できると考えられる。酸素濃度が0体積%の場合、重量減少率が大きいため、残分×発熱量の値は他の雰囲気よりも小さくなったが、樹脂の重量減少が最も大きく、且つ加熱後の改質物の発熱量が酸素濃度14体積%の場合よりも大きかった。このため、酸素濃度が0体積%の場合の方が、酸素濃度が14体積%の場合よりも、炭素繊維の燃焼を促進できると考えられる。
(実験例3)
複数の異なる雰囲気において、実験例1で用いたものと同じエポキシ樹脂を用いて、TG-DTA分析(熱重量-示差熱分析)とDSC分析(示差走査熱量分析)を行った。
それぞれの分析条件は以下のとおりとした。
<TG-DTAの分析条件>
装置名:TG-DTA 6300(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)
試料質量:2mg
昇温速度:10℃/分
最高到達温度:800℃
最高到達温度での保持時間:なし
雰囲気:酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:21体積%)を、窒素ガスで希釈して調整(酸素濃度は、分析装置への導入ラインにおいて酸素濃度計により実測)
<DSCの分析条件>
装置名:DSC6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)
試料質量:2.5mg
昇温速度:20~200℃は10℃/min、200~600℃は2.5℃/min
雰囲気:TG-DTAの分析条件と同じ
雰囲気における酸素濃度は、21体積%、8体積%、3体積%の計3種類とした。各雰囲気におけるTG-DTA分析結果及びDSC分析結果から、600℃昇温時点までの重量減少率及び発熱量をそれぞれ求めた。表4にこれらの結果を示した。
Figure 2022118564000005
表4に示す結果によれば、酸素濃度21体積%、8体積%、3体積%の3種類では、重量減少率に大きな相違はなかった。これは、低温域で保持を行っていないこと、及び600℃という高温であることが要因として考えられる。一方、発熱量は酸素濃度によって大きく異なる結果となった。これは、重量減少のメカニズムが異なることを示している。すなわち、酸素濃度が高い条件では、主に燃焼によって重量減少が発生しているのに対し、酸素濃度が低い条件であるほど、化学結合の切断、分解、揮発による重量減少の割合が増加していると考えられる。
このような結果から、炭素繊維強化プラスチックを加熱して得られる分解ガスの組成は、加熱時の雰囲気(酸素濃度)によって大きく異なると考えられる。すなわち、低酸素雰囲気で炭素繊維強化プラスチックを加熱して得られる分解ガスは、高酸素雰囲気で加熱して得られるガスよりも、高カロリーであると考えられる。表4に示す結果から、エポキシ樹脂の最終的な重量減少率は大きくは変わらないことから、低酸素雰囲気で炭素繊維強化プラスチックを加熱し、その際に得られる分解ガスを燃料として用いれば、改質固体燃料と気体燃料(分解ガス)のトータルの燃料回収量を、十分に高くすることができると考えられる。
(実験例4)
次に、熱可塑性樹脂の分解挙動を調べるため、代表的な熱可塑性樹脂として、市販の低密度ポリエチレン(PE)と市販のポリプロピレン(PP)を入手した。PE及びPPそれぞれのTG-DTA分析(熱重量-示差熱分析)をそれぞれ行った。分析条件は以下のとおりとした。
<分析条件>
装置名:TG-DTA 6300(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)
試料質量:8mg
昇温速度:10℃/分
最高到達温度:600℃
最高到達温度での保持時間:3時間
雰囲気:酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:21体積%)を、窒素ガスで希釈して調整(酸素濃度は、分析装置への導入ラインにおいて酸素濃度計により実測)
雰囲気における酸素濃度は、21体積%、14体積%、8体積%、3体積%及び0体積%の計5種類とした。各雰囲気におけるTG-DTA分析結果から、酸素濃度が高いほど、重量減少が促進されることが確認された。TG-DTA分析結果から、PE及びPPのそれぞれの350℃昇温時点までの重量減少率を求めた。表5にこれらの結果を示した。
Figure 2022118564000006
表5に示すとおり、PE及びPPはともに酸素濃度が高い方が重量減少率が大きくなっていた。この分解挙動は、熱硬化性樹脂とは逆の傾向になっている。この結果から、雰囲気における酸素濃度が、熱可塑性樹脂の分解速度に大きく影響すること、そして、その影響の度合いが熱可塑性樹脂の種類によって大きく異なることが確認された。すなわち、PPは、PEよりも分解の進行が速いため、酸素濃度を高くし過ぎると、加熱後の燃料の収率が大幅に減少することが確認された。これらの結果から、樹脂を低酸素雰囲気で分解する技術を適用することによって、酸素濃度による影響が大きい熱可塑性樹脂であっても過剰な分解を抑制することができるといえる。したがって、本開示によれば、種々の熱可塑性樹脂を燃料として有効利用することが可能となる。
表5の「vs 酸素濃度21体積%」の欄には、350℃に到達する時点までの重量減少率の、酸素濃度21体積%の場合における同時点までの重量減少率との差異を示している。酸素濃度が低くなり過ぎると改質不足になる傾向にある。
本開示によれば、廃棄物に由来する熱硬化性樹脂を含む炭素繊維強化プラスチックと熱可塑性樹脂を含む原料の改質を円滑に進めることが可能であり、廃棄物を燃料として有効活用することを可能にする燃料の改質方法及び燃料の改質装置を提供することができる。
10…混合部、20…加熱部、30…冷却部、40…粉砕部、50…回収部、60…分解ガス燃焼部、62…接触部、74…燃焼排ガス供給部、80…分解ガス回収部、90…供給ガス調製部、91…供給ガス調製部、100,101,102…改質装置。

Claims (16)

  1. 熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチック及び熱可塑性樹脂を含む廃棄物(A)、並びに、
    前記炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(B1)及び前記熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)の組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも一方を含む原料を、酸素濃度が13体積%以下の雰囲気において、300~450℃の温度範囲に加熱して改質する加熱工程を有する、燃料の改質方法。
  2. 前記加熱工程では、前記原料を、前記酸素濃度が1体積%以上である前記雰囲気において前記温度範囲で30分間~4時間加熱する、請求項1に記載の燃料の改質方法。
  3. 前記原料として、前記廃棄物(B1)及び前記原材料(B2)を互いに混合することなく、前記加熱工程を行う加熱部に前記廃棄物(B1)及び前記原材料(B2)を導入する、請求項1又は2に記載の燃料の改質方法。
  4. 前記加熱工程では、前記原料とともに融着防止材を加熱する、請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料の改質方法。
  5. 水蒸気、二酸化炭素、及び窒素から選ばれる少なくとも一種のガスを用いて、所定の酸素濃度に調整された供給ガスを得る供給ガス調製工程を有し、
    前記供給ガスを用いて前記加熱工程における前記雰囲気の酸素濃度を調整する、請求項1~4のいずれか一項に記載の燃料の改質方法。
  6. 前記加熱工程で発生する分解ガスを回収して燃焼させる分解ガス燃焼工程を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の改質方法。
  7. 前記分解ガス燃焼工程で発生する燃焼排ガスを前記加熱工程において熱源として利用する、請求項6に記載の燃料の改質方法。
  8. 前記分解ガス燃焼工程で発生する燃焼排ガスと水とを接触させる接触工程を有し、
    前記接触工程で得られた冷却ガスを用いて、前記加熱工程における前記雰囲気の酸素濃度を調整する、請求項6又は7に記載の燃料の改質方法。
  9. 熱硬化性樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチック及び熱可塑性樹脂を含む廃棄物(A)、並びに、
    前記炭素繊維強化プラスチックを含む廃棄物(B1)及び熱可塑性樹脂を含む原材料(B2)の組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも一方を含む原料を、酸素濃度が13体積%以下の雰囲気において、300~450℃の温度範囲に加熱して改質する加熱部を備える、燃料の改質装置。
  10. 前記加熱部では、前記原料を、前記酸素濃度が1体積%以上である前記雰囲気において前記温度範囲で30分間~4時間加熱する、請求項9に記載の燃料の改質装置。
  11. 前記原料として、前記廃棄物(B1)及び前記原材料(B2)を互いに混合することなく、前記加熱部に前記廃棄物(B1)及び前記原材料(B2)を導入する、請求項9又は10に記載の燃料の改質装置。
  12. 前記加熱部では、前記原料とともに融着防止材を加熱する、請求項9~11のいずれか一項に記載の燃料の改質装置。
  13. 水蒸気、二酸化炭素、及び窒素から選ばれる少なくとも一種のガスを用いて、所定の酸素濃度に調整された供給ガスを得る供給ガス調製部を備え、
    前記供給ガスを用いて前記加熱部における前記雰囲気の酸素濃度を調整する、請求項9~12のいずれか一項に記載の燃料の改質装置。
  14. 前記加熱部で発生する分解ガスを回収して燃焼させる分解ガス燃焼部を有する、請求項9~13のいずれか一項に記載の燃料の改質装置。
  15. 前記分解ガス燃焼部で発生する燃焼排ガスを前記加熱部に供給する、請求項14に記載の燃料の改質装置。
  16. 前記分解ガス燃焼部で発生する燃焼排ガスと水と接触させる接触部を有し、
    前記接触部で得られる冷却ガスを用いて、前記加熱部における前記雰囲気の酸素濃度を調整する、請求項14又は15に記載の燃料の改質装置。
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