JP6940289B2 - 可燃性廃棄物の処理方法および処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、可燃性廃棄物をセメント製造装置を利用して焼却処理する方法および処理装置に関する。より詳細には、複数の燃焼性の異なる可燃性廃棄物が混在する場合であっても、事前に混在する可燃性廃棄物の分離作業や過剰な粉砕加工を要することなく、可燃性廃棄物をセメント製造装置を利用して焼却処理する方法および処理装置に関する。
セメントの製造工程において、リサイクル燃料として廃プラスチック、木屑、廃タイヤ、廃油等の各種可燃性廃棄物が有効利用されている。
可燃性廃棄物は、その種類等によって燃焼特性やハンドリング性状が異なるため、種類毎にその燃焼特性等に合う燃焼設備を選定したり、かかる燃焼特性やハンドリング性状を改善するための前処理を施している。たとえば、粘性が低く燃焼性が良い廃油類、または確実に燃え切るサイズに粉砕処理した廃プラスチック類は、主燃料である微粉炭と一緒にセメントキルンバーナーで燃焼させて処理され(窯前処理)、粉砕等の前処理を施さない廃タイヤは、そのままの姿で原料入口側からセメントキルンに投入して処理され(窯尻処理)、一方、粘性の高い廃油は、木屑と混合して固体燃料化したもの(以下、「BOF」と称す。Biomass and Oily sludge Fuel)として仮焼炉で処理されている。
上記のように、多種多量の可燃性廃棄物の有効利用が行われている中、従来技術では処理が困難な可燃性廃棄物も増加している。たとえば、廃家電や廃自動車を破砕して金属等の有価物が回収された残渣であるシュレッダーダスト(以下、「SR」と称す。Shredder Residue)は、その内容物は破砕対象の廃棄物によって変わるために必ずしも一定しないが、主に樹脂、発泡ウレタン、繊維、ゴム等に若干の金属やガラスが含まれており、柔らかい樹脂分(プラスチック、ウレタン、ゴム、合成繊維屑、ハーネス被覆等)が金属等と複雑に絡み合っており、そのままでは燃料代替物としての活用が困難となっている。
また、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなるマトリックス材料と炭素繊維とを複合化した炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP」と称す。Carbon Fiber reinforced plastics)は、通常、上記炭素繊維が難燃性であるために、廃プラスチックにおける既往の処理技術を用いてセメント製造設備(セメントキルン、仮焼炉)のリサイクル燃料とした場合には、燃え残った炭素繊維がキルン排ガス中に混入してしまい、排ガスの集塵設備(電気集塵機等)において短絡等のトラブルを生じさせてしまうことがある。
さらに、SRや廃CFRP等の複数種の可燃物質が混在したタイプの可燃性廃棄物は、燃料として見た場合、混在している可燃物質毎に燃焼特性が異なるために燃え方が一様でなく、単物質のものに比べて燃焼時間が長時間化してしまう。そのために、後燃えと呼ばれる、原料上流側(ガスの流れでは下流側)まで当該可燃性廃棄物の燃焼が継続し、かかる可燃性廃棄物の後燃え箇所に相当するセメント製造設備が、散水等の冷却処置を施さなければならないほどに温度上昇が生じる等、可燃性廃棄物の熱量を有効に利用できない状態が生じやすい。
このような課題に対応するため、SRや廃CFRPの燃料リサイクル化では、混在している複数種の可燃物質を種類別に分離または分別した後に利用することが行われている。たとえば、特許文献1では、CFRPの処理方法として、酸素濃度が3%〜18%、温度が300℃〜600℃のガス雰囲気下で燃焼させないで処理してプラスチックを熱分解し、炭素繊維を回収する技術が開示されている。
また、特許文献2では、事前の物質分離工程の省略が可能な処理方法として、難燃性である炭素繊維の完全燃焼を目的として、CFRPの平均粒子径が3mm以下になるように粉砕した後に、温度が1200℃以上の箇所に供給する方法が開示されている。
一方、特許文献3では、セメント製造装置のクリンカクーラーから仮焼炉に熱空気を導入するためのダクトを利用して、一定以下の大きさの廃プラスチック破砕片を燃焼処理する方法が開示されている。
特開平6−99160号公報 特開2007−131463号公報 特開2002−145648号公報
しかしながら、特許文献1のような可燃性廃棄物の種類別に分離処理する提案においては非常に多くの労力が必要とされる。また、特許文献2のように可燃性廃棄物を微小片に粉砕する提案においても非常に多くの労力が必要とされ、さらには、かかる可燃性廃棄物に混在する易燃性物質は過粉砕の状態となってしまう。さらに、特許文献3のように、ダクト内で被処理物を完全に燃焼させる提案では、完全燃焼する可燃性廃棄物のみを予め分別処理する必要がある。
本発明は、このような事情に照らし、上記課題を解決すべく、複数の燃焼性の異なる可燃物質が混在する可燃性廃棄物であっても、混在する可燃物質の分離または分別作業や、可燃性廃棄物の微小片への粉砕のように、多くの労力を要する事前加工を必要とすることなく、かつ、可燃性廃棄物が有する熱量をセメント製造に有効利用してリサイクルしうる可燃性廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、複数の燃焼性の異なる可燃物質が混在する可燃性廃棄物であっても、混在する可燃物質の分離または分別作業や、可燃性廃棄物の微小片への粉砕のように、多くの労力を要する事前加工を必要とすることなく、かつ、可燃性廃棄物が有する熱量をセメント製造に有効利用してリサイクルしうる可燃性廃棄物の処理装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下に示す処理方法および処理装置により上記目的を達成できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の可燃性廃棄物の処理方法は、
揮発性の炭素および固定炭素を含有する可燃性廃棄物の処理を、クリンカクーラー、仮焼炉および上記クリンカクーラーから上記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスを流すダクトを備えるセメント製造装置を用いて行なう処理方法であって、
上記クリンカクーラーから上記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスが流れるダクト内で、上記可燃性廃棄物に含有される揮発性の炭素を揮発または燃焼させ、第1次処理廃棄物に変換する第1工程、および、
上記高温高酸素ガスにより上記第1次処理廃棄物を仮焼炉に導入して燃焼させる第2工程、を含むことを特徴とする。
本発明の可燃性廃棄物の処理方法は、上述の構成を有することにより、複数の燃焼性の異なる可燃物質が混在する可燃性廃棄物であっても、混在する可燃物質の分離または分別作業や、可燃性廃棄物の微小片への粉砕のように、多くの労力を要する事前加工を必要とすることなく、かつ、可燃性廃棄物が有する熱量をセメント製造に有効利用することが可能となる。以下、より詳細に説明する。
可燃物質の燃焼性は、燃焼源である炭素として、揮発性の炭素または固定炭素がどの程度含有されているかに強く影響され、一般に揮発性の炭素が多いほど燃焼性に優れた物質となりうる。また、固定炭素であっても条件が揃うことで充分な燃焼が可能である。たとえば、石炭の燃焼を例にあげると、石炭は加熱されると、まず揮発性の炭素(一酸化炭素、メタン等)が石炭から揮発し、その揮発した炭素が着火して火炎を生じる。そして揮発性の炭素の揮発が終わり、石炭が実質的に難燃性の固定炭素(チャー)のみとなった後の燃焼は、表面や内部に存在していた揮発性の炭素がなくなったことによって雰囲気(酸素)に曝された固定炭素が高温環境下で酸素と反応することで生じうる。このように、難燃性である固定炭素であっても、可燃温度および酸素との接触の条件が揃うことで燃焼が可能となりうる。
しかしながら、従来のセメント製造設備における可燃性廃棄物の利用箇所は、窯前処理(セメントキルンバーナー)では、温度が800℃〜2200℃(火炎温度)、雰囲気酸素濃度が2%〜21%と環境条件が不安定であることに加え、セメントキルンバーナーの吹込みポートから圧送空気と共に噴出するために可燃性廃棄物は微粉砕されることが前提となってしまう。また、可燃性廃棄物のサイズへの制限がない窯尻処理(セメントキルン原料入口部)では、温度は1000℃程あるものの、雰囲気酸素濃度が4%程度と低い。
一方、プレヒーター下部に設置されうる仮焼炉は、クリンカクーラーから抽気された温度600℃〜800℃、酸素濃度21%の高温高酸素ガス(3次空気)が常時送気される、温度が800℃〜2200℃(火炎温度)、雰囲気酸素濃度が15%〜21%の環境を有している。
この仮焼炉における高温、高酸素濃度環境は、上記固定炭素の燃焼場所として非常に好ましい。さらに、上記固定炭素を酸素に曝すために必要となる、固定炭素を覆っている揮発性炭素の除去には、上記クリンカクーラーからの高温高酸素ガスを、可燃性廃棄物からの揮発性炭素の揮発または燃焼に使用することができうる。このように、本発明者らは、酸素濃度が大気と同じであって、600℃〜800℃の温度を有するクリンカクーラーからの高温高酸素ガスが送気される抽気ダクト等のダクト(風管)を可燃性廃棄物の搬送経路とすることで、上記ダクト内を移送される間に可燃性廃棄物からは揮発性炭素が揮発し、その結果、固定炭素が露出した状態の可燃性廃棄物が、加熱されて仮焼炉に到達する処理方法を見出した。
さらに、上記ダクト内で揮発した炭素は、上記ダクト内で一部が燃焼して上記ダクト内の高温高酸素ガスおよび移送中の可燃性廃棄物を加熱し、また、上記高温高酸素ガスと共に仮焼炉に到達した揮発性の炭素は、仮焼炉の燃焼を補助することができうる。
そして、揮発性の炭素と固定炭素の全ての炭素が燃焼した後の残渣(灰分または金属等の夾雑物)は、仮焼炉で発生する微粉炭等の他の燃料由来の灰分と共にセメントキルンに送られ、セメントクリンカの原料とすることができうる。
このように、本発明者らは、複数の燃焼性の異なる可燃物質が混在する可燃性廃棄物であっても、かかる可燃性廃棄物全体を揮発性の炭素、固定炭素および不燃物の混合物と見なし、さらに、従来、廃棄物処理に積極的に利用されることのなかった高温高酸素ガスの流路であるクリンカクーラーから仮焼炉に至るダクトを、かかる可燃性廃棄物の輸送装置、揮発性の炭素の揮発促進用装置または燃焼装置、および、固定炭素の加熱装置として活用することで、輸送中に揮発性の炭素が有効に除去された固定炭素を仮焼炉で効率的に燃焼させることができることを見出したものである。
また、本発明の可燃性廃棄物の処理方法において、上記第1工程において、比表面積が20m/g以上である上記第1次処理廃棄物に変換することが好ましい。上記比表面積を有する第1次処理廃棄物とすることにより、第1次処理廃棄物を第2工程においてより確実に燃焼させることができる。
また、本発明の可燃性廃棄物の処理方法において、上記可燃性廃棄物は、廃CFRP、BOF、ASR、RPF、RDF、木屑、廃タイヤ、ゴム屑、吸水性ポリマーの廃棄物、都市ゴミ、熱硬化性・熱可塑性樹脂の廃棄物、廃FRP、カーボンファイバーの廃棄物、光ファイバーの廃棄物、および、太陽電池の廃棄物からなる群から選択される1種以上の廃棄物を含むことが好ましい。本発明においては上記構成を有することにより、上記可燃性廃棄物が、難燃性である固体炭素を多く含有する廃棄物や、複数の燃焼性の異なる可燃物質が混在する可燃性廃棄物であっても、混在する可燃物質の分離または分別作業や、可燃性廃棄物の微小片への粉砕のように、多くの労力を要する事前加工を必要とすることなく、かつ、可燃性廃棄物が有する熱量をセメント製造に有効利用することが可能となる。
また、本発明の可燃性廃棄物の処理方法において、上記可燃性廃棄物の大きさが、当該可燃性廃棄物のかさ密度を指標に決定されることが好ましい。これにより、ダクト内での可燃性廃棄物の輸送時間を、より安定させることができる。
さらに、上記可燃性廃棄物が廃CFRPである場合、上記可燃性廃棄物は、公称目開き5.6mmのふるいを通過する大きさであることが好ましい。上記大きさとすることにより、難燃性の廃CFRPであっても、より効率的かつ確実に処理することができる。
また、本発明の可燃性廃棄物の処理方法において、上記第1工程において、上記ダクト内で上記可燃性廃棄物を500℃〜800℃で10秒以上加熱させることが好ましい。上記第1工程を上記条件となるように設定することにより、揮発性の炭素の揮発または燃焼が促進した、比表面積のより増加した望ましい形態の上記第1次処理廃棄物への変換がより確実となり、より効率的に処理することができる。
また、本発明の可燃性廃棄物の処理方法において、上記第1工程において、揮発性の炭素の含有量が20質量%以下である上記第1次処理廃棄物に変換することが好ましい。上記第1次処理廃棄物に変換することにより、難燃性の廃CFRP等の上記可燃性廃棄物であっても固定炭素が有効に酸素に曝されるため、第2工程においてより効率的かつ確実に処理することができる。
一方、本発明は、上記可燃性廃棄物の処理方法を達成するために、
クリンカクーラー、仮焼炉および上記クリンカクーラーから上記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスを流すダクトを備える可燃性廃棄物の処理装置であって、
上記ダクト内に、揮発性の炭素および固定炭素を含有する可燃性廃棄物を供給する供給部が設けられ、
上記ダクト内で、上記可燃性廃棄物に含有される揮発性の炭素を揮発または燃焼させ、第1次処理廃棄物に変換し、上記高温高酸素ガスにより上記第1次処理廃棄物を仮焼炉に導入して燃焼させることを特徴とする可燃性廃棄物の処理装置、を提供するものである。
前述した作用により、本発明の可燃性廃棄物の処理装置は、上述の構成を有することにより、複数の燃焼性の異なる可燃物質が混在する可燃性廃棄物であっても、混在する可燃物質の分離または分別作業や、可燃性廃棄物の微小片への粉砕のように、多くの労力を要する事前加工を必要とすることなく、かつ、可燃性廃棄物が有する熱量を有効にセメント製造に利用することが可能となる。
本発明の一実施形態が適用されるセメント製造装置の概略構成図である。 本発明の実施例1〜2および比較例1〜3として行ったTGの測定結果のグラフを示す。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の可燃性廃棄物の処理方法は、揮発性の炭素および固定炭素を含有する可燃性廃棄物の処理を、クリンカクーラー、仮焼炉および上記クリンカクーラーから上記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスを流すダクトを備えるセメント製造装置を用いて、第1工程と第2工程を含む工程を実施するものである。
本発明において、「揮発性の炭素」とは、加熱温度が約550℃以下で揮発する炭素成分をいい、TG測定(試料量20mg、昇温1℃/分)において、300℃〜550℃の温度領域で重量減少として確認される炭素成分をいうものとする。また、上記揮発性の炭素には、熱分解や酸化等の化学変化によって炭素成分が変性、変質した上で揮発するものも含まれる。また、本発明において、「固定炭素」とは、上記温度域で揮発せずに残存する炭素成分をいうものとする。
本発明における上記第1工程では、上記クリンカクーラーから上記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスが流れるダクト内で、上記可燃性廃棄物に含有される揮発性の炭素を揮発または燃焼させ、第1次処理廃棄物に変換する。
また、本発明において、「第1次処理廃棄物」とは、揮発性の炭素および固定炭素を含有する可燃性廃棄物が上記第1工程で変換された固体の処理物をいい、より詳細には、上記第1工程において、上記可燃性廃棄物に含有される揮発性の炭素を揮発または燃焼させて得られる固体の処理物をいうものとする。本発明では未燃焼の揮発ガス、燃焼後の生成ガス等のガスは、この処理物、すなわち第1次処理廃棄物とは区別される。
また、「揮発性の炭素を揮発または燃焼させ」とは、揮発性の炭素の少なくとも一部を揮発させ、さらにその一部を燃焼させる意味であり、当該炭素が分解してガス等が生成する場合も含まれる。また、当該揮発性の炭素の一部が揮発していれば、他の部分が揮発せずに固体状態のままであってもよい。さらに、当該揮発した炭素の一部が燃焼していてもよい。ただし、このような場合であっても、第1次処理廃棄物において、揮発性の炭素の残存量が小さいほど好ましく、残存量がゼロの場合が特に好ましい。
本発明における上記第2工程では、上記高温高酸素ガスにより上記第1次処理廃棄物を仮焼炉に空気輸送して燃焼させる。ここで「仮焼炉に空気輸送して燃焼させる」とは、仮焼炉において、第1次処理廃棄物に含まれる炭素成分の全部を燃焼させることが望ましく、より具体的には揮発性の炭素の残渣成分(残存する場合)、および、固定炭素の全部を燃焼させることが望ましい。ただし、「固定炭素の全部」とは、第1次処理廃棄物に含まれる固定炭素の全部を意味するものであり、上記可燃性廃棄物に含有される固定炭素の一部が上記第1工程で燃焼する場合もありうることを否定しない意味である。また、仮焼炉で炭素成分のほぼ全部を燃焼させるにとどめる場合や、炭素成分の一部を燃焼させずに残す場合を本発明から排除するものではない。
本発明の可燃性廃棄物の処理方法は、本発明の可燃性廃棄物の処理装置を用いて好適に実施することができる。すなわち、本発明の可燃性廃棄物の処理装置は、クリンカクーラー、仮焼炉および上記クリンカクーラーから上記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスを流すダクトを備える可燃性廃棄物の処理装置であって、上記ダクト内に、揮発性の炭素および固定炭素を含有する可燃性廃棄物を供給する供給部が設けられている。
上記ダクトは、上記クリンカクーラーから上記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスを流しうるように接続されていればよく、たとえば、一方の端部は上記クリンカクーラーの上部に、他方の端部は上記仮焼炉の上部に接続していてもよい。クリンカクーラーには、焼成直後のセメントクリンカを冷却するための空気が供給され、これが高温のセメントクリンカと熱交換(加熱)されて、その一部が上記ダクトを介して、仮焼炉に導入される。仮焼炉に導入される高温高酸素ガスは、仮焼炉(微粉炭バーナー)の燃焼用空気として使用される。
上記供給部としては、所定サイズの可燃性廃棄物を上記ダクト内に供給できるものであれば、特に制限なく使用できるが、ダクトの内圧の影響を受けにくい構造の供給部が好ましい。また、供給部が設けられるダクト上の位置としては、可燃性廃棄物に含有される揮発性の炭素を十分に揮発または燃焼させる観点から、ダクトの上流側が好ましい。また、空気輸送を確実に行なう観点から、ダクトの水平部であって、ダクト内においては乱流の生じない位置が好ましい。
以下、図1に基づき、本発明の一実施形態が適用される可燃性廃棄物の処理装置の構成について説明する。この可燃性廃棄物の処理装置1は、セメント製造装置でもあって、セメント原料Rを予熱するプレヒーター2と、このプレヒーター2から抜き出されたセメント原料Rの少なくとも一部を仮焼成する仮焼炉3と、プレヒーター2および仮焼炉3を経たセメント原料Rを焼成してセメントクリンカCLとするロータリーキルン4と、ロータリーキルン4から排出されたセメントクリンカCLを冷却するクリンカクーラー5と、クリンカクーラー5から供給された高温高酸素空気HA(以下、「3次空気A3」と称する場合もある)を仮焼炉3へ送気するためのダクト6(たとえば、抽気ダクト等)から概略構成される。
ここで、仮焼炉3は、ロータリーキルン4における熱負荷を低減するために、プレヒーター2で加熱されたセメント原料Rの少なくとも一部を分取して主として脱炭酸を行うものである。上記仮焼炉3は、炉内に投入した微粉炭が、クリンカクーラー5からダクト6を介して送気された高温高酸素空気HA中の酸素によって燃焼し、セメント原料Rを加熱するものである。そして、仮焼炉3から排出されたセメント原料Rおよび燃料の灰分等は、プレヒーター2の最下段のサイクロンを経由してロータリーキルン4に供給されるようになっている。
次いで、クリンカクーラー5は、ロータリーキルン4から排出された高温のセメントクリンカCLを冷却するためのもので、セメントクリンカCLを急冷するための冷却用空気CAが底部から供給されるようになっている。
クリンカクーラー5において冷却に用いられた空気CAは、セメントクリンカCLとの熱交換により高温となり、一部がロータリーキルン4における燃焼補助用の2次空気A2としてロータリーキルン4に供給され、他の一部が上記仮焼炉3への3次空気A3としてダクト6に供給され、残部が図示されない排気ラインによって外部に排気されるか、廃熱発電の熱源とされる。
ダクト6には、クリンカクーラー5から供給された高温高酸素空気HAが流れている。その温度は、一般に500℃〜800℃であり、流量は、一般に20Nm/s〜60Nm/sである。この流量は、流速に換算すると約10m/sに相当し、後述するダクト6の長さから、高温高酸素空気HAは十数秒でダクト6を通過して仮焼炉3に到達する。ダクト6内のガス流は、原料上流側に設置される主排気風車(IDF)によって仮焼炉3側を負圧にすることによって形成される。また、上記高温高酸素空気HAは、たとえば、600℃〜800℃であってもよい。また、上記高温高酸素空気HAは、酸素濃度が15%〜21%であることが好ましく、酸素濃度が18%〜21%であってもよい。
ダクト6の大きさと形状は、仮焼炉3、ロータリーキルン4またはクリンカクーラー5等の関連するセメント製造装置の大きさや性能によって異なるが、たとえば、直径が約4m〜5mの円形管で、クリンカクーラー5の上部から垂直方向に約20m立上った後、水平方向に約100mの長さを持った後、仮焼炉3と連結される。
また、本発明の可燃性廃棄物の処理方法において、上記第1工程において、ダクト6内で上記可燃性廃棄物W1を500℃〜800℃で10秒以上加熱させることが好ましく、上記第1工程での加熱は上記3次空気A3のもつ熱量のみでなされることが望ましいが、必要に応じてダクト6に加熱補助装置を設けてもよい。また、ダクト6内の温度は、550℃〜800℃であってもよく、600℃〜800℃であってもよい。また、ダクト6内の上記可燃性廃棄物W1の加熱時間は、11秒以上であってもよく、12秒以上であってもよい。また、上記第1工程におけるダクト6内での上記可燃性廃棄物W1の加熱は、550℃〜800℃で11秒以上であってもよく、600℃〜800℃で12秒以上であってもよい。上記第1工程を上記条件となるように設定することにより、揮発性の炭素の揮発または燃焼が促進した、比表面積のより増加した望ましい形態の上記第1次処理廃棄物W2への変換がより確実となり、より効率的に処理することができる。
また、本発明の処理対象物である可燃性廃棄物W1としては、炭素化合物を含有する廃棄物であればよいが、複数の燃焼性の異なる可燃物質が混在する可燃性廃棄物であっても、混在する可燃物質の分離または分別作業や、可燃性廃棄物の微小片への粉砕のように、多くの労力を要する事前加工を必要とすることなく、かつ、可燃性廃棄物が有する熱量を有効利用することが可能となる。上記可燃性廃棄物W1としては、特に制限はないが、具体的には、たとえば、SR、廃CFRP、BOF、RPF(Refuse derived paper and plastics densified fuel)、RDF(Refuse derived fuel)、木屑、廃タイヤ、ゴム屑、吸水性ポリマーの廃棄物、都市ゴミ、熱硬化性・熱可塑性樹脂の廃棄物、廃FRP(Fiber reinforced plastics)、カーボンファイバーの廃棄物、光ファイバーの廃棄物、太陽電池の廃棄物などをあげることができる。また、上記廃棄物は1種類を処理対象物としてもよく、あるいは2種以上を処理対象物としてもよい。
本発明の処理方法は、廃FRP、特に、廃CFRPの処理に効果的に利用できる。繊維強化プラスチック(FRP:Fiber reinforced plastics)、特に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber reinforced plastics)は、軽量でありながら機械的特性や耐蝕性に非常に優れた構造材料である。炭素繊維の含有率は、一般的に、30質量%〜80質量%程度とされている。なお、CFRPの炭素繊維の含有率は、JIS K 7075「炭素繊維強化プラスチックの繊維含有率および空洞率試験方法」に準拠した試験方法で求めることができる。
CFRPで用いられる炭素繊維としては、グラファイト状の炭素から形成され、剛性等の機械的特性に優れた繊維が用いられている。具体的には、炭素繊維としては、たとえば、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、または、セルロース系繊維等を酸化性雰囲気中で150℃〜400℃に加熱して耐炎化処理を行なった後、不活性雰囲気中で300℃〜2500℃で炭化または黒鉛化処理をして得られたものの他、水蒸気等の半活性雰囲気で賦活化した活性炭素繊維等をあげることができる。
CFRPで用いられるマトリックス材料としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられている。具体的には、熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリアミド樹脂、または、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂等をあげることができる。また、熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、または、フェノール樹脂等をあげることができる。これらの樹脂は、全てが発火点700℃以下であり、ほとんどが発火点600℃以下であり、多くが発火点500℃以下である。ここで、発火点は、たとえば、JIS K 7193「プラスチック−高温空気炉を用いる着火温度の求め方」で測定することができる。
また、燃焼によってダクト6内の高温高酸素ガスの温度が上昇するため、ダクト6に導入される高温高酸素ガス(通常は温度500℃〜800℃、酸素濃度21%)によって、廃CFRPのうち揮発性の炭素に相当する樹脂を十分に揮発または燃焼させることができる。
また、廃CFRPのうち固定炭素である炭素繊維については、廃CFRPの状態で仮焼炉3に導入しても、十分燃焼させることが困難である。しかし、本発明のように、揮発性の炭素に相当する樹脂を十分に揮発または燃焼させて、第1次処理廃棄物W2に変換した後に、仮焼炉3に導入することで、炭素繊維の全量を確実に燃焼させることができる。
本発明の処理方法においては、上記可燃性廃棄物W1を、たとえば、ダクト6中の高温高酸素空気HAの気流によって仮焼炉3まで空気輸送する。かかる空気輸送を確実に行うため、処理する可燃性廃棄物W1には、その密度および大きさについて制限が生じうる。たとえば、自動車のシートに用いられる発泡ウレタンを主体とするSR等では、一般にかさ密度が約30×10−3g/cmと小さいことから、直径が150mm以下(ほぼ球形で、公称目開き150mmの網ふるいを全通したもの)であれば、ダクト6内への供給部7をダクト6の垂直部に設置した場合であっても、高温高酸素空気HAの気流によって仮焼炉3まで搬送することができる。一方、かさ密度が約2g/cmである板状の廃CFRP等では、公称目開き8mmの網ふるいを全通しなければ、ダクト6の垂直部に設置した供給部7を使用した高温高酸素空気HAの気流による空気輸送は困難である。
ダクト6中で空気輸送可能な可燃性廃棄の大きさは、かかる可燃性廃棄物W1の形状等の不確実な要因が存在するために特定することは困難であるが、経験値および熱流体シミュレーション(アンシス・ジャパン株式会社製 FLUENT(Ver.17.1)(商品名))による計算に基づくと、それぞれ球形を呈するものであれば、かさ密度が0.1g/cm以下のものは直径100mm以下(公称目開き100mmの網ふるいを全通)、かさ密度が0.1g/cmよりも大きく0.5g/cm以下のものは直径10mm以下(公称目開き10mmの網ふるいを全通)、かさ密度が0.5g/cmよりも大きく1g/cm以下のものは直径5mm以下(公称目開き5mmの網ふるいを全通)、かさ密度が1g/cmよりも大きく3g/cm以下ものは直径1.7mm以下(公称目開き1.7mmの網ふるいを全通)であれば、ダクト6での空気輸送が可能である。これにより、揮発性の炭素が十分に揮発または燃焼した第1次処理廃棄物W2に変換することができ、この第1次処理廃棄物W2の全量を確実に仮焼炉3において燃焼させることができる。
上記可燃性廃棄物W1のサイズ調整に用いる方法は、公知の破砕方法を適宜用いることができる。たとえば、回転型カッター式剪断粗砕機等の粉砕装置で50mm以下に粗砕した後、ジョークラッシャ、ロールミル、ローラーミル、破砕機等の粉砕装置によって所定の大きさに小片化する方法をあげることができる。この際、廃CFRP等の比較的硬い可燃性廃棄物W1の粉砕作業を効率的に行うためには、後段の粉砕装置にはセパレーター等の分級装置を付設すると好ましい。
また、ダクト6内での可燃性廃棄物W1の空気輸送を確実に行うため、さらには、セメントクリンカCLをかかる可燃性廃棄物の落下によって汚染しないために、ダクト6への可燃性廃棄物W1の投入はダクト6の水平部で行うのが好ましく、さらに、上記可燃性廃棄物W1が仮焼炉3へ到達する前に、可燃性廃棄物W1中の揮発性の炭素の少なくとも一部を可燃性廃棄物から確実に揮発または燃焼させるために、可燃性廃棄物W1の投入は、ダクト6の水平部における高温高酸素空気HAの上流側であって、ダクト6内の滞留時間を長時間化できる位置が好ましい。
本実施形態では、可燃性廃棄物W1を投入するホッパー7aと、ホッパー7aの下方に設けられたスクリューフィーダ7bとを備える供給部7を、ダクト6の水平部における高温高酸素空気HAの上流側に設けた例を示す。
本発明では、高温高酸素空気HAの漏洩を防止する観点から、スクリューフィーダ7bのように、閉空間内で粉体を機械的に移動させる供給装置を用いることが好ましい。このような供給装置としては、スクリューフィーダの他、ロータリーフィーダ、プランジャーフィーダ等をあげることができる。
可燃性廃棄物W1のダクト6への投入方法は、たとえば、投入口からの高温高酸素空気HAの漏洩を防止するために二段ダンパーを付設した供給部7を用いることも可能である。これらの供給部7は、可燃性廃棄物W1をダクト6の内壁から落下させるだけのものであっても、ダクト6の内部気流の分布等から判断される好適な位置から可燃性廃棄物W1を投入するための導管を用いるものであってもよい。ただし、上記導管を用いる場合には、高温高酸素空気HAによる導管の加熱によって可燃性廃棄物W1が導管内面に付着し閉塞を生じることのないように、耐熱性および放熱性を備えた導管を使用する必要がある。
ここで、ダクト6は、一般に、ステンレス鋼等による鋼管であり、ダクト6内での燃焼を想定された材質設計等はなされていない。したがって、ダクト6内において可燃性廃棄物W1から揮発した揮発性の炭素の少なくとも一部が燃焼する本発明の実施においては、上記揮発性の炭素の燃焼ゾーンに相当するダクト6の内面は、耐火煉瓦等を張って耐熱構造とすることが好ましい。また、可燃性廃棄物W1等の流動を均一化するために、整流板を設けてもよい。
また、上記第1工程において、比表面積が20m/g以上である上記第1次処理廃棄物W2に変換することが好ましいが、35m/g以上であることがより好ましく、50m/g以上であることがさらに好ましい。上記第1工程において上記比表面積をもつ第1次処理廃棄物W2に変換することにより、難燃性の廃CFRP等からなる上記可燃性廃棄物W1であっても、第2工程においてより確実に仮焼炉において燃焼させることができる。
また、上記第1工程において、揮発性の炭素の含有量が20質量%以下である上記第1次処理廃棄物W2に変換することが好ましいが、10質量%以下に変換することがより好ましく、5質量%以下に変換することがさらに好ましい。上記第1工程において揮発性の炭素の含有量が上記範囲である第1次処理廃棄物W2に変換することにより、難燃性の廃CFRP等からなる上記可燃性廃棄物W1であっても、第2工程においてより効率的かつ確実に仮焼炉において処理することができる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
〔実施例、比較例〕
本実施例・比較例において、かさ密度が1.6g/cmで、厚さが0.8mmの板状の廃CFRP(炭素繊維(固定炭素)量:61質量%、マトリックス量:30質量%、灰分量:9質量%)を、回転型カッター式粉砕機で50mm以下に粗砕した。その後、さらに、ロールミルおよび破砕機によって破砕した後、網ふるいで表1に示す5種類の試料を作製した。
Figure 0006940289
得られた試料を、試料量に対して充分に大きい試料室を有し、一定流量の大気が連続して供給されている、700℃の等温電気炉内に11.5秒間静置した後における、固定炭素量(炭素繊維の燃焼残分量に相当)と揮発性の炭素量(マトリックスの燃焼残分量に相当)を、加熱後試料のTG測定における熱重量減少率から求めた。
上記加熱条件は、700℃に加熱された大気が、27.9Nm/s(=99.5m/s)で流れている、長さ80mのダクトに、廃CFRPを20g/sで投入した状態に相当するものである。なお、静置時間の11.5秒間は、一辺15mmの正方形を呈する当該廃CFRPを上記条件のダクトの水平部に投入した場合の、熱流体シミュレーション(FLUENT(Ver.17.1))から求めたダクト通過時間である。
また、固定炭素量および揮発性の炭素量を求める熱重量減少率の測定は、熱重量・示差熱測定装置(ネッチ・ジャパン株式会社製:TG−DTA 2020SR(商品名)、試料量20mg、昇温1℃/分)を用いて行った。具体的には、図2に示すように、揮発性の炭素の重量に相当する、廃CFRPを過熱した場合の熱重量曲線における300℃前後から500度前後までの重量減少量、および、固定炭素の重量に相当する、かかる熱重量曲線における550℃前後から800℃付近までの重量減少量を求めた。求めた固定炭素量と揮発性の炭素量から、未加熱の廃CFRPの固定炭素量と揮発性の炭素量のそれぞれ100%に対する残存率(重量%)を算出した。試験結果を表2に示す。なお、図2には参考例1として、加熱処理を施していない廃CFRPの熱重量曲線も示す。
Figure 0006940289
表2に示すように、全ての試料で揮発性の炭素が除去され、固定炭素が雰囲気に十分曝されている状態になっていた。この固定炭素のみとなったCFRPの、仮焼炉での燃焼性を評価するため、かかる固定炭素のみになったCFRPの比表面積を窒素吸着法(使用装置:Micromeritics製:ASAP−2400(商品名))で評価した。参考値として、微粉炭とDOC(Delayed oil coke)の各々に対して、還元雰囲気で900℃で7分間加熱して揮発性の炭素を除去したものについても、同様に比表面積を測定した。試験結果を表3に示す。
Figure 0006940289
表3に示すように、揮発性の炭素が除去された廃CFRPは、仮焼炉の燃料である微粉炭の比表面積の4倍もの非常に大きな比表面積を有していた。微粉炭の比表面積からは、少なくとも20m/gの比表面積を有していれば仮焼炉で十分に燃焼されると判断される。以上から、廃CFRPの固定炭素は、酸素濃度が高く、かつ800℃以上の温度環境である仮焼炉における燃焼性に優れていると判断され、表1、2に示す試料1(実施例1)とともに、試験結果で4.1%の固定炭素の残存率が認められた試料2(実施例2)であれば、確実に全量を仮焼炉で燃焼させることができうることがわかった。
このように、これまで焼却による処理が困難であった廃CFRPであっても、本発明の処理方法を用いることにより、公称目開き5.6mmのふるいを通過する大きさであればより確実に処理しうることが認められた。
1 可燃性廃棄物の処理装置
2 プレヒーター
3 仮焼炉
4 ロータリーキルン
5 クリンカクーラー
6 ダクト
7 供給部
7a ホッパー
7b スクリューフィーダー
A2 2次空気
A3 3次空気(=HA)
CA 冷却用空気
CL セメントクリンカ
HA 高温高酸素空気(=A3)
R セメント原料
W1 可燃性廃棄物
W2 第1次処理廃棄物

Claims (8)

  1. 揮発性の炭素および固定炭素を含有する可燃性廃棄物の処理を、クリンカクーラー、仮焼炉および前記クリンカクーラーから前記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスを流すダクトを備えるセメント製造装置を用いて行なう処理方法であって、
    前記クリンカクーラーから前記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスが流れるダクト内で、前記可燃性廃棄物に含有される揮発性の炭素を揮発または燃焼させ、第1次処理廃棄物に変換する第1工程、および、
    前記高温高酸素ガスにより前記第1次処理廃棄物を仮焼炉に導入して燃焼させる第2工程、を含み、
    前記可燃性廃棄物は、公称目開き5.6mmのふるいを通過する大きさの廃CFRPであり、
    前記第1工程において、比表面積が20m/g以上である前記第1次処理廃棄物に変換することを特徴とする可燃性廃棄物の処理方法。
  2. 前記第1工程において、前記ダクト内で前記可燃性廃棄物を500〜800℃で10秒以上加熱させることを特徴とする、請求項1に記載の可燃性廃棄物の処理方法。
  3. 前記第1工程において、揮発性の炭素の含有量が20質量%以下である前記第1次処理廃棄物に変換することを特徴とする、請求項1または2に記載の可燃性廃棄物の処理方法。
  4. 前記可燃性廃棄物の大きさが、当該可燃性廃棄物のかさ密度を指標に決定されることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の可燃性廃棄物の処理方法。
  5. クリンカクーラー、仮焼炉および前記クリンカクーラーから前記仮焼炉に向かって高温高酸素ガスを流すダクトを備える可燃性廃棄物の処理装置であって、
    前記可燃性廃棄物は、公称目開き5.6mmのふるいを通過する大きさの廃CFRPであり、
    前記ダクト内に、揮発性の炭素および固定炭素を含有する可燃性廃棄物を供給する供給部が設けられ、
    前記ダクト内で、前記可燃性廃棄物に含有される揮発性の炭素を揮発または燃焼させ、比表面積が20m/g以上である第1次処理廃棄物に変換し、前記高温高酸素ガスにより前記第1次処理廃棄物を仮焼炉に導入して燃焼させることを特徴とする可燃性廃棄物の処理装置。
  6. 前記ダクト内は500〜800℃であることを特徴とする、請求項5に記載の可燃性廃棄物の処理装置。
  7. 前記第1次処理廃棄物は、揮発性の炭素の含有量が20質量%以下であることを特徴とする、請求項5または6に記載の可燃性廃棄物の処理装置。
  8. 前記可燃性廃棄物の大きさが、当該可燃性廃棄物のかさ密度を指標に決定されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の可燃性廃棄物の処理装置。
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