JP2004250494A - 光学用樹脂及び光学用部品の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性をより高めたポリベンゾアゾールを構成要素とする光学用樹脂及び光学用部品の製造法を提供すること。
【解決手段】下記構造式(1):
【化1】
構造式(1)
で表される繰り返し単位(式中R1は芳香環を含む四価の有機基を示し、2組のNHとXHは、それぞれR1内の芳香環に互いにオルト位に結合している。また式中R2は2価の有機基、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。繰り返し単位数は1〜1000である)で表されるポリベンゾアゾール前駆体を構成要素とする樹脂を、不活性気体雰囲気下で加熱硬化することを特徴とする光学用樹脂の製造法;及び上記ポリベンゾアゾール前駆体を構成要素とする樹脂を、基板上に塗布し、不活性気体雰囲気下で加熱硬化することを特徴とする光学用部品の製造法。
【解決手段】下記構造式(1):
【化1】
構造式(1)
で表される繰り返し単位(式中R1は芳香環を含む四価の有機基を示し、2組のNHとXHは、それぞれR1内の芳香環に互いにオルト位に結合している。また式中R2は2価の有機基、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。繰り返し単位数は1〜1000である)で表されるポリベンゾアゾール前駆体を構成要素とする樹脂を、不活性気体雰囲気下で加熱硬化することを特徴とする光学用樹脂の製造法;及び上記ポリベンゾアゾール前駆体を構成要素とする樹脂を、基板上に塗布し、不活性気体雰囲気下で加熱硬化することを特徴とする光学用部品の製造法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリベンゾアゾール前駆体を特定の条件下で加熱硬化することを特徴とする光学用樹脂及び光学用部品の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信量の増大に伴って光通信技術の発展が期待されている。光通信技術のひとつである光導波路は、レーザーダイオードやフォトダイオードを始めとする光デバイスどうし、あるいはそれらと光ファイバーを接続するために用いられる。この光導波路を作製するため石英ガラスを始めとする無機材料、有機高分子材料など種々の材料が検討されている。一般に、光導波路には、光損失が小さい、耐熱性に優れている、コアとクラッドの屈折率差を制御できる、等の条件が要求されるが、例えば有機高分子材料としては、含フッ素ポリイミドが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、シリコンウエハとの接着性が悪い、ドライエッチング後にクラックが入り易い、など含フッ素ポリイミドにも問題がある。
【0003】
一方、ポリベンゾオキサゾールは、引っ張り強度、曲げ強度などの機械的強度が大きい、高い耐熱性を有する、等の優れた特徴をもつ高性能エンジニアリングプラスチックである。ポリベンゾオキサゾールの研究は古くからなされている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。最近ではポリベンゾオキサゾールが半導体の多層配線用層間絶縁膜として有用であるとの報告(例えば、特許文献6参照)や、さらに光学的な用途としてポリベンゾオキサゾールに可視光領域での透明性を付与させる方法も報告されている(例えば、特許文献7参照)。また、含フッ素ポリベンゾオキサゾール樹脂を用いた光導波路用材料についての報告もある(例えば、特許文献8参照)。
【特許文献】
【特許文献1】特許第2657700号公報
【特許文献2】特許第2813713号公報
【特許文献3】特許第3131940号公報
【特許文献4】特公昭42―19721号公報
【特許文献5】特許第1958747号公報
【特許文献6】特開平11−181094号公報
【特許文献7】特開平11−322929号公報
【特許文献8】特開2002−173532号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性をより高めたポリベンゾアゾールを構成要素とする光学用樹脂の製造法を提供することにある。
本発明の他の目的は、透明性をより高めたポリベンゾアゾールを構成要素とする光学用部品の製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の光学用樹脂の製造法、及び光学用部品の製造法を提供するものである。
1.下記構造式(1):
【0006】
【化3】
構造式(1)
で表される繰り返し単位(式中R1は芳香環を含む四価の有機基を示し、2組のNHとXHは、それぞれR1内の芳香環に互いにオルト位に結合している。また式中R2は2価の有機基、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。繰り返し単位数は1〜1000である)で表されるポリベンゾアゾール前駆体を構成要素とする樹脂を、不活性気体雰囲気下で加熱硬化することを特徴とする光学用樹脂の製造法。
2.加熱硬化温度が330℃以上である上記1に記載の光学用樹脂の製造法。
3.構造式(1)で表される繰り返し単位のXが酸素原子であるポリベンゾオキサゾール前駆体を構成要素とする上記1又は2記載の光学用樹脂の製造法。
4.構造式(1)で表される繰り返し単位のXが硫黄原子であるポリベンゾチアゾール前駆体を構成要素とする上記1又は2記載の光学用樹脂の製造法。
5.下記構造式(1):
【0007】
【化4】
構造式(1)
で表される繰り返し単位(式中R1は芳香環を含む四価の有機基を示し、2組のNHとXHは、それぞれR1内の芳香環に互いにオルト位に結合している。また式中R2は2価の有機基、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。繰り返し単位数は1〜1000である)で表されるポリベンゾアゾール前駆体を構成要素とする樹脂を、基板上に塗布し、不活性気体雰囲気下で加熱硬化することを特徴とする光学用部品の製造法。
6.光学用部品が高分子光導波路である上記5記載の光学用部品の製造法。
7.光学用部品が光学フィルタである上記5記載の光学用部品の製造法。
8.光学用部品が光学レンズである上記5記載の光学用部品の製造法。
9.光学用部品が光スイッチである上記5記載の光学用部品の製造法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、ポリベンゾアゾール前駆体を、特定の条件下で硬化することにより、より優れた光透過性を示すことを見出し本発明を完成するに至った。
ポリベンゾオキサゾールは、ビス(アミノフェノール)誘導体とジカルボン酸誘導体の重合により、前駆体であるポリヒドロキシアミドを得、それを脱水閉環することによって得られる。ポリベンゾチアゾールは、上記ビス(アミノフェノール)誘導体をビス(アミノチオフェノール)誘導体に変え、同様の製法で得ることができる。
ポリベンゾアゾール前駆体の脱水閉環によるポリベンゾアゾールの生成法を加熱によって行う際、空気条件下で行うと、空気中の酸素と前駆体または反応系中に含まれる未反応モノマーやオリゴマーなどが反応して着色物が生成する。着色物の生成により、ポリベンゾアゾールの光透過性が減少する。本発明は、前駆体の加熱硬化を不活性気体雰囲気下で行うことにより、上記副反応が抑制され、光透過性に優れたポリベンゾアゾールを得ることができるという発見に基づいて完成されたものである。
【0009】
本発明において、ポリベンゾアゾール前駆体の加熱硬化の際に使用する不活性気体の種類としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオンなど通常の有機物と反応しない気体があげられる。不活性気体雰囲気中の酸素濃度は、好ましくは2.23mol/m3以下、より好ましくは4.46x10−1mol/m3以下、さらに好ましくは4.46x10−2mol/m3以下である。酸素濃度が2.23mol/m3より多くなると酸素との反応が著しく進行し、光透明性が減少する。
ポリベンゾアゾール前駆体の加熱硬化は、前駆体が充分脱水閉環する条件で行う。加熱硬化温度は好ましくは330℃以上500℃以下であり、より好ましくは340℃以上470℃以下、さらに好ましくは350℃以上450℃以下である。加熱硬化温度が330℃より低いと、前駆体の脱水閉環が不十分となり、アミド基が残留し、光透過性、特に1000〜1600nmの通信波長域の光透過性が減少する。加熱硬化温度が500℃より高いと、前駆体の熱分解が進行し、着色不純物の生成によって透明性が低下する。
【0010】
ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する場合、ビス(アミノフェノール)誘導体のモル比を0.5とすると、ジカルボン酸誘導体のモル比は、0.4〜0.7であることが好ましく、0.45〜0.6であることがより好ましく、0.45〜0.55であることが特に好ましい。上記範囲外では、分子量が十分に伸びない傾向がある。これらの原料からポリベンゾオキサゾール前駆体への反応条件は通常のポリアミドアルコールの重合体製造条件と同じでよく、一般的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒中で、塩化リチウム、塩化カルシウムのような無機塩類の存在下、−20〜50℃の範囲で反応させる。重合体の数平均分子量としては、5千〜30万が好ましく、1万〜25万がより好ましく、2万〜20万が特に好ましい。上記範囲より小さいと、最終的に得られるポリベンゾオキサゾールの機械特性が劣る傾向があり、上記範囲より大きいと、重合体の溶解性が劣る傾向がある。
ポリベンゾアゾール前駆体中の構造式(1)の繰り返し単位数は、1〜1000である。1000を超えると溶解性に劣るという点で好ましくない。
【0011】
ポリベンゾチアゾール前駆体を製造する場合、ビス(アミノフェノール)誘導体をビス(アミノチオフェノール)誘導体に変え、ポリベンゾオキサゾール前駆体と同様の方法で製造することができる。
ポリベンゾオキサゾールを製造するのに用いられるビス(アミノフェノール)誘導体としては、特に制限はなく、例えば2,4−ジアミノ−1,5−ジヒドロキシベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び上記化合物中の芳香環の水素原子が部分的あるいは全てフッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル基で置換された化合物が挙げられ、それぞれ単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0012】
ポリベンゾチアゾールを製造するのに用いられるビス(アミノチオフェノール)誘導体の例としては、2,4−ジアミノ−1,5−ジメルカプトベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメルカプトビフェニル、2,2’−ジアミノ−3,3’−ジメルカプトビフェニル、3,3’−ジアミノ−2,2’−ジメルカプトビフェニル、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び上記化合物中の芳香環の水素原子が部分的あるいは全てフッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル基で置換された化合物が挙げられる。
【0013】
ポリベンゾアゾールを製造するのに用いられるジカルボン酸誘導体としては、特に制限はなく、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、2,2’−ジカルボキシビフェニル、2,3’−ジカルボキシビフェニル、3,3’−ジカルボキシビフェニル、3,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシジフェニルケトン、2,2’−ジカルボキシジフェニルケトン、2,3’−ジカルボキシジフェニルケトン、3,3’−ジカルボキシジフェニルケトン、3,4’−ジカルボキシジフェニルケトン、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、2,3’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、3,4’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,2’−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,3’−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,3’−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2’−ジカルボキシジフェニルメタン、2,3’−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシジフェニルメタン、3,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、2,2’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、2,3’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等の芳香族ジカルボン酸;ジカルボン酸のジクロリド、ジブロミド等の酸ハロゲン化物;ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等のジアルキルエステル等が挙げられ、それぞれ単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0014】
ポリベンゾアゾールの生成前に可塑剤、安定剤、屈折率調整剤などの添加剤や、種々の力学特性、光学特性を向上させる目的で、平均粒径が0.005〜20μmの充填剤をポリベンゾアゾール100質量部に対して、0.01〜50質量部配合したり、紫外線吸収剤、接着性改良剤、架橋剤などの各種有機物、無機物を添加したりしてもよい。さらに力学特性、光学特性、耐環境性などを向上する目的で、各種ポリマーを任意の比率で加えてもよい。このようなポリマーの例としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾチアゾール(ポリベンゾアゾールがポリベンゾオキサゾールの場合)、ポリベンゾオキサゾール(ポリベンゾアゾールがポリベンゾチアゾールの場合)、ポリベンズイミダゾール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾシクロブテン、脂環式高分子化合物、全フッ素ポリマー、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリシランなどがあげられる。
【0015】
次に本発明の光部品の製造方法を、高分子光導波路を例にとり説明する。
シリコン等の基板にポリベンゾアゾール前駆体溶液を所定の厚さに塗布し、加熱により脱水閉環させ下部クラッド層を得る。次に下部クラッド層よりも屈折率の大きいポリベンゾアゾールの前駆体溶液を下部クラッド層の上に所定の厚さで塗布後加熱により脱水閉環させてコア層を得る。次にコア層の上にレジスト塗布、プリベーク、露光、現像を行いパターニング化されたレジスト層を得る。その後ドライエッチング加工によりコア層を導波路形状にし、残ったレジスト層を除去し、リッジ型光導波路を得る。
埋め込み型光導波路の場合、上記リッジ型導波路を作成後、さらにコア層よりも屈折率の小さいポリベンゾアゾールの前駆体溶液を所定の厚さで塗布し、加熱などにより脱水閉環させ上部クラッド層を得る。このようにして埋込型光導波路を得る。
【0016】
ポリベンゾアゾール前駆体溶液に用いる溶剤は、好ましくは50〜200℃の範囲内の沸点を有するものである。そのような溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンが挙げられる。特別な場合にプロトン性溶剤が用いられるが、良好な結果は非プロトン性溶剤を用いることにより得られる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明のポリベンゾアゾールを用いた光学用樹脂の製造法について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
(実施例1)
攪拌装置のついた4つ口フラスコに2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン3.66g(0.01mol)、塩化リチウム0.93g(0.022mol)、N−メチルピロリドン16gを加え、攪拌しながら−3℃に冷却した。この溶液に4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)2.95g(0.01mol)を加え、数分攪拌後、室温に戻しさらに24時間攪拌した。反応液を過剰の水中に滴下しポリマーを沈殿させ、濾過、乾燥を行い、ポリヒドロキシアミドを得た。GPCにより得られたポリマーの分子量を測定したところ、数平均分子量で43,000であった。
得られたポリヒドロキシアミドをN,N−ジメチルアセトアミドに溶かし濃度30質量%の溶液になるように調製した。溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、窒素ガスを流入して酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分乾燥させ、ポリベンゾオキサゾールフィルムを得た。得られたポリベンゾオキサゾールフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過スペクトルを測定したところ、図1に示すような結果となり、損失値で1.5dB/cm(850nm)、0.3dB/cm(1300nm)、0.5dB/cm(1550nm)であった。
【0018】
(実施例2)
攪拌装置のついた4つ口フラスコに3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル2.16g(0.01mol)、塩化リチウム0.93g(0.022mol)、N−メチルピロリドン16gを加え、攪拌しながら−3℃に冷却した。この溶液に4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)2.95g(0.01mol)を加え、数分攪拌後、室温に戻しさらに24時間攪拌した。反応液を過剰の水中に滴下しポリマーを沈殿させ、濾過、乾燥を行い、ポリヒドロキシアミドを得た。GPCにより得られたポリマーの分子量を測定したところ、数平均分子量で33,000であった。
得られたポリヒドロキシアミドをN,N−ジメチルアセトアミドに溶かし濃度30質量%の溶液になるように調製した。溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、窒素ガスを流入して酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分乾燥させ、ポリベンゾオキサゾールフィルムを得た。得られたポリベンゾオキサゾールフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過スペクトルを測定したところ、損失値で2.5dB/cm(850nm)、0.7dB/cm(1300nm)、1.0dB/cm(1550nm)であった。
【0019】
(実施例3)
表面が酸化シリコン層である直径5インチのシリコンウエハ上に、ビス(アミノフェノール)誘導体として2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジカルボン酸誘導体として2,2−ビス(4−カルボキシクロリドフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いて製造したポリヒドロキシアミドの20質量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で最高温度350℃で4時間加熱処理をしてポリベンゾオキサゾールからなる下部クラッド層を形成した。
【0020】
次にビス(アミノフェノール)誘導体として2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジカルボン酸誘導体として2,2−ビス(4−カルボキシクロリドフェニル)ヘキサフルオロプロパンと4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の10:90のモル比の混合物を用いて製造したポリヒドロキシアミドの20質量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で最高温度350℃で4時間加熱処理をしてポリベンゾオキサゾールからなるコア層を形成した。次にレジストをスピンコート法により塗布し、乾燥後光導波路パターンのマスクを介して高圧水銀ランプで露光、現像することによりレジストパターン層を形成した。このレジストパターン層をマスクとしてドライエッチング装置を用いてRIE加工を行い、レジストパターンを剥離した。以上の工程によってリッジ型光導波路を得た。
【0021】
波長1300nmでの下部クラッド層の屈折率、複屈折率は1.520(TE)、1.513(TM)、0.007、コア層の屈折率、複屈折率は1.526(TE)、1.519(TM)、0.007であった。1300nmでの屈折率差は0.39%(TE)、0.39%(TM)、複屈折差は0であった。また、カットバック法によりこの光導波路の損失を測定したところ、0.5dB/cm(1300nm)、0.8dB/cm(1550nm)であった。光導波路の熱分解温度は450℃以上であった。
【0022】
(実施例4)
実施例3で作製したリッジ型光導波路の上に、下部クラッド層形成時と同様の溶液を加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で最高温度350℃で4時間加熱処理をしてポリベンゾオキサゾールからなる上部クラッド層を形成し埋込型光導波路を得た。
波長1300nmでの下部クラッド層の屈折率、複屈折率は1.520(TE)、1.513(TM)、0.007、コア層の屈折率、複屈折率は1.526(TE)、1.519(TM)、0.007であった。1300nmでの屈折率差は0.39%(TE)、0.39%(TM)、複屈折差は0であった。また、カットバック法によりこの光導波路の損失を測定したところ、0.3dB/cm(1300nm)、0.4dB/cm(1550nm)であった。
【0023】
(比較例1)
実施例1で得たポリヒドロキシアミド溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、酸素濃度約9mol/m3である空気雰囲気下オーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分乾燥させた。得られたフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過スペクトルを測定したところ、図1に示すような結果になり、損失値で>10dB/cm(850nm)、1.0dB/cm(1300nm)、1.2dB/cm(1550nm)であった。
【0024】
(比較例2)
実施例2で得たポリヒドロキシアミド溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、酸素濃度約9mol/m3である空気雰囲気下オーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分乾燥させた。得られたフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過スペクトルを測定したところ、損失値で>10dB/cm(850nm)、3.0dB/cm(1300nm)、8.5dB/cm(1550nm)であった。
【0025】
(比較例3)
実施例1で得たポリヒドロキシアミド溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、酸素濃度約9mol/m3である空気雰囲気下オーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、320℃で30分乾燥させた。得られたフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過率を測定したところ、損失値で3.0dB/cm(1300nm)、5.5dB/cm(1550nm)であった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の製造法により、良好な光透過率を示すポリベンゾアゾールを製造することができ、光導波路、光学レンズ、光学フィルタ、光スイッチ用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1で作製したフィルムの光透過スペクトルを示す図面である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリベンゾアゾール前駆体を特定の条件下で加熱硬化することを特徴とする光学用樹脂及び光学用部品の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信量の増大に伴って光通信技術の発展が期待されている。光通信技術のひとつである光導波路は、レーザーダイオードやフォトダイオードを始めとする光デバイスどうし、あるいはそれらと光ファイバーを接続するために用いられる。この光導波路を作製するため石英ガラスを始めとする無機材料、有機高分子材料など種々の材料が検討されている。一般に、光導波路には、光損失が小さい、耐熱性に優れている、コアとクラッドの屈折率差を制御できる、等の条件が要求されるが、例えば有機高分子材料としては、含フッ素ポリイミドが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、シリコンウエハとの接着性が悪い、ドライエッチング後にクラックが入り易い、など含フッ素ポリイミドにも問題がある。
【0003】
一方、ポリベンゾオキサゾールは、引っ張り強度、曲げ強度などの機械的強度が大きい、高い耐熱性を有する、等の優れた特徴をもつ高性能エンジニアリングプラスチックである。ポリベンゾオキサゾールの研究は古くからなされている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。最近ではポリベンゾオキサゾールが半導体の多層配線用層間絶縁膜として有用であるとの報告(例えば、特許文献6参照)や、さらに光学的な用途としてポリベンゾオキサゾールに可視光領域での透明性を付与させる方法も報告されている(例えば、特許文献7参照)。また、含フッ素ポリベンゾオキサゾール樹脂を用いた光導波路用材料についての報告もある(例えば、特許文献8参照)。
【特許文献】
【特許文献1】特許第2657700号公報
【特許文献2】特許第2813713号公報
【特許文献3】特許第3131940号公報
【特許文献4】特公昭42―19721号公報
【特許文献5】特許第1958747号公報
【特許文献6】特開平11−181094号公報
【特許文献7】特開平11−322929号公報
【特許文献8】特開2002−173532号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性をより高めたポリベンゾアゾールを構成要素とする光学用樹脂の製造法を提供することにある。
本発明の他の目的は、透明性をより高めたポリベンゾアゾールを構成要素とする光学用部品の製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の光学用樹脂の製造法、及び光学用部品の製造法を提供するものである。
1.下記構造式(1):
【0006】
【化3】
構造式(1)
で表される繰り返し単位(式中R1は芳香環を含む四価の有機基を示し、2組のNHとXHは、それぞれR1内の芳香環に互いにオルト位に結合している。また式中R2は2価の有機基、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。繰り返し単位数は1〜1000である)で表されるポリベンゾアゾール前駆体を構成要素とする樹脂を、不活性気体雰囲気下で加熱硬化することを特徴とする光学用樹脂の製造法。
2.加熱硬化温度が330℃以上である上記1に記載の光学用樹脂の製造法。
3.構造式(1)で表される繰り返し単位のXが酸素原子であるポリベンゾオキサゾール前駆体を構成要素とする上記1又は2記載の光学用樹脂の製造法。
4.構造式(1)で表される繰り返し単位のXが硫黄原子であるポリベンゾチアゾール前駆体を構成要素とする上記1又は2記載の光学用樹脂の製造法。
5.下記構造式(1):
【0007】
【化4】
構造式(1)
で表される繰り返し単位(式中R1は芳香環を含む四価の有機基を示し、2組のNHとXHは、それぞれR1内の芳香環に互いにオルト位に結合している。また式中R2は2価の有機基、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。繰り返し単位数は1〜1000である)で表されるポリベンゾアゾール前駆体を構成要素とする樹脂を、基板上に塗布し、不活性気体雰囲気下で加熱硬化することを特徴とする光学用部品の製造法。
6.光学用部品が高分子光導波路である上記5記載の光学用部品の製造法。
7.光学用部品が光学フィルタである上記5記載の光学用部品の製造法。
8.光学用部品が光学レンズである上記5記載の光学用部品の製造法。
9.光学用部品が光スイッチである上記5記載の光学用部品の製造法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、ポリベンゾアゾール前駆体を、特定の条件下で硬化することにより、より優れた光透過性を示すことを見出し本発明を完成するに至った。
ポリベンゾオキサゾールは、ビス(アミノフェノール)誘導体とジカルボン酸誘導体の重合により、前駆体であるポリヒドロキシアミドを得、それを脱水閉環することによって得られる。ポリベンゾチアゾールは、上記ビス(アミノフェノール)誘導体をビス(アミノチオフェノール)誘導体に変え、同様の製法で得ることができる。
ポリベンゾアゾール前駆体の脱水閉環によるポリベンゾアゾールの生成法を加熱によって行う際、空気条件下で行うと、空気中の酸素と前駆体または反応系中に含まれる未反応モノマーやオリゴマーなどが反応して着色物が生成する。着色物の生成により、ポリベンゾアゾールの光透過性が減少する。本発明は、前駆体の加熱硬化を不活性気体雰囲気下で行うことにより、上記副反応が抑制され、光透過性に優れたポリベンゾアゾールを得ることができるという発見に基づいて完成されたものである。
【0009】
本発明において、ポリベンゾアゾール前駆体の加熱硬化の際に使用する不活性気体の種類としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオンなど通常の有機物と反応しない気体があげられる。不活性気体雰囲気中の酸素濃度は、好ましくは2.23mol/m3以下、より好ましくは4.46x10−1mol/m3以下、さらに好ましくは4.46x10−2mol/m3以下である。酸素濃度が2.23mol/m3より多くなると酸素との反応が著しく進行し、光透明性が減少する。
ポリベンゾアゾール前駆体の加熱硬化は、前駆体が充分脱水閉環する条件で行う。加熱硬化温度は好ましくは330℃以上500℃以下であり、より好ましくは340℃以上470℃以下、さらに好ましくは350℃以上450℃以下である。加熱硬化温度が330℃より低いと、前駆体の脱水閉環が不十分となり、アミド基が残留し、光透過性、特に1000〜1600nmの通信波長域の光透過性が減少する。加熱硬化温度が500℃より高いと、前駆体の熱分解が進行し、着色不純物の生成によって透明性が低下する。
【0010】
ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する場合、ビス(アミノフェノール)誘導体のモル比を0.5とすると、ジカルボン酸誘導体のモル比は、0.4〜0.7であることが好ましく、0.45〜0.6であることがより好ましく、0.45〜0.55であることが特に好ましい。上記範囲外では、分子量が十分に伸びない傾向がある。これらの原料からポリベンゾオキサゾール前駆体への反応条件は通常のポリアミドアルコールの重合体製造条件と同じでよく、一般的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒中で、塩化リチウム、塩化カルシウムのような無機塩類の存在下、−20〜50℃の範囲で反応させる。重合体の数平均分子量としては、5千〜30万が好ましく、1万〜25万がより好ましく、2万〜20万が特に好ましい。上記範囲より小さいと、最終的に得られるポリベンゾオキサゾールの機械特性が劣る傾向があり、上記範囲より大きいと、重合体の溶解性が劣る傾向がある。
ポリベンゾアゾール前駆体中の構造式(1)の繰り返し単位数は、1〜1000である。1000を超えると溶解性に劣るという点で好ましくない。
【0011】
ポリベンゾチアゾール前駆体を製造する場合、ビス(アミノフェノール)誘導体をビス(アミノチオフェノール)誘導体に変え、ポリベンゾオキサゾール前駆体と同様の方法で製造することができる。
ポリベンゾオキサゾールを製造するのに用いられるビス(アミノフェノール)誘導体としては、特に制限はなく、例えば2,4−ジアミノ−1,5−ジヒドロキシベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び上記化合物中の芳香環の水素原子が部分的あるいは全てフッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル基で置換された化合物が挙げられ、それぞれ単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0012】
ポリベンゾチアゾールを製造するのに用いられるビス(アミノチオフェノール)誘導体の例としては、2,4−ジアミノ−1,5−ジメルカプトベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメルカプトビフェニル、2,2’−ジアミノ−3,3’−ジメルカプトビフェニル、3,3’−ジアミノ−2,2’−ジメルカプトビフェニル、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び上記化合物中の芳香環の水素原子が部分的あるいは全てフッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル基で置換された化合物が挙げられる。
【0013】
ポリベンゾアゾールを製造するのに用いられるジカルボン酸誘導体としては、特に制限はなく、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、2,2’−ジカルボキシビフェニル、2,3’−ジカルボキシビフェニル、3,3’−ジカルボキシビフェニル、3,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシジフェニルケトン、2,2’−ジカルボキシジフェニルケトン、2,3’−ジカルボキシジフェニルケトン、3,3’−ジカルボキシジフェニルケトン、3,4’−ジカルボキシジフェニルケトン、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、2,3’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、3,4’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,2’−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,3’−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,3’−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2’−ジカルボキシジフェニルメタン、2,3’−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシジフェニルメタン、3,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、2,2’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、2,3’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等の芳香族ジカルボン酸;ジカルボン酸のジクロリド、ジブロミド等の酸ハロゲン化物;ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等のジアルキルエステル等が挙げられ、それぞれ単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0014】
ポリベンゾアゾールの生成前に可塑剤、安定剤、屈折率調整剤などの添加剤や、種々の力学特性、光学特性を向上させる目的で、平均粒径が0.005〜20μmの充填剤をポリベンゾアゾール100質量部に対して、0.01〜50質量部配合したり、紫外線吸収剤、接着性改良剤、架橋剤などの各種有機物、無機物を添加したりしてもよい。さらに力学特性、光学特性、耐環境性などを向上する目的で、各種ポリマーを任意の比率で加えてもよい。このようなポリマーの例としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾチアゾール(ポリベンゾアゾールがポリベンゾオキサゾールの場合)、ポリベンゾオキサゾール(ポリベンゾアゾールがポリベンゾチアゾールの場合)、ポリベンズイミダゾール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾシクロブテン、脂環式高分子化合物、全フッ素ポリマー、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリシランなどがあげられる。
【0015】
次に本発明の光部品の製造方法を、高分子光導波路を例にとり説明する。
シリコン等の基板にポリベンゾアゾール前駆体溶液を所定の厚さに塗布し、加熱により脱水閉環させ下部クラッド層を得る。次に下部クラッド層よりも屈折率の大きいポリベンゾアゾールの前駆体溶液を下部クラッド層の上に所定の厚さで塗布後加熱により脱水閉環させてコア層を得る。次にコア層の上にレジスト塗布、プリベーク、露光、現像を行いパターニング化されたレジスト層を得る。その後ドライエッチング加工によりコア層を導波路形状にし、残ったレジスト層を除去し、リッジ型光導波路を得る。
埋め込み型光導波路の場合、上記リッジ型導波路を作成後、さらにコア層よりも屈折率の小さいポリベンゾアゾールの前駆体溶液を所定の厚さで塗布し、加熱などにより脱水閉環させ上部クラッド層を得る。このようにして埋込型光導波路を得る。
【0016】
ポリベンゾアゾール前駆体溶液に用いる溶剤は、好ましくは50〜200℃の範囲内の沸点を有するものである。そのような溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンが挙げられる。特別な場合にプロトン性溶剤が用いられるが、良好な結果は非プロトン性溶剤を用いることにより得られる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明のポリベンゾアゾールを用いた光学用樹脂の製造法について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
(実施例1)
攪拌装置のついた4つ口フラスコに2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン3.66g(0.01mol)、塩化リチウム0.93g(0.022mol)、N−メチルピロリドン16gを加え、攪拌しながら−3℃に冷却した。この溶液に4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)2.95g(0.01mol)を加え、数分攪拌後、室温に戻しさらに24時間攪拌した。反応液を過剰の水中に滴下しポリマーを沈殿させ、濾過、乾燥を行い、ポリヒドロキシアミドを得た。GPCにより得られたポリマーの分子量を測定したところ、数平均分子量で43,000であった。
得られたポリヒドロキシアミドをN,N−ジメチルアセトアミドに溶かし濃度30質量%の溶液になるように調製した。溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、窒素ガスを流入して酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分乾燥させ、ポリベンゾオキサゾールフィルムを得た。得られたポリベンゾオキサゾールフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過スペクトルを測定したところ、図1に示すような結果となり、損失値で1.5dB/cm(850nm)、0.3dB/cm(1300nm)、0.5dB/cm(1550nm)であった。
【0018】
(実施例2)
攪拌装置のついた4つ口フラスコに3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル2.16g(0.01mol)、塩化リチウム0.93g(0.022mol)、N−メチルピロリドン16gを加え、攪拌しながら−3℃に冷却した。この溶液に4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)2.95g(0.01mol)を加え、数分攪拌後、室温に戻しさらに24時間攪拌した。反応液を過剰の水中に滴下しポリマーを沈殿させ、濾過、乾燥を行い、ポリヒドロキシアミドを得た。GPCにより得られたポリマーの分子量を測定したところ、数平均分子量で33,000であった。
得られたポリヒドロキシアミドをN,N−ジメチルアセトアミドに溶かし濃度30質量%の溶液になるように調製した。溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、窒素ガスを流入して酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分乾燥させ、ポリベンゾオキサゾールフィルムを得た。得られたポリベンゾオキサゾールフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過スペクトルを測定したところ、損失値で2.5dB/cm(850nm)、0.7dB/cm(1300nm)、1.0dB/cm(1550nm)であった。
【0019】
(実施例3)
表面が酸化シリコン層である直径5インチのシリコンウエハ上に、ビス(アミノフェノール)誘導体として2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジカルボン酸誘導体として2,2−ビス(4−カルボキシクロリドフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いて製造したポリヒドロキシアミドの20質量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で最高温度350℃で4時間加熱処理をしてポリベンゾオキサゾールからなる下部クラッド層を形成した。
【0020】
次にビス(アミノフェノール)誘導体として2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジカルボン酸誘導体として2,2−ビス(4−カルボキシクロリドフェニル)ヘキサフルオロプロパンと4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の10:90のモル比の混合物を用いて製造したポリヒドロキシアミドの20質量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で最高温度350℃で4時間加熱処理をしてポリベンゾオキサゾールからなるコア層を形成した。次にレジストをスピンコート法により塗布し、乾燥後光導波路パターンのマスクを介して高圧水銀ランプで露光、現像することによりレジストパターン層を形成した。このレジストパターン層をマスクとしてドライエッチング装置を用いてRIE加工を行い、レジストパターンを剥離した。以上の工程によってリッジ型光導波路を得た。
【0021】
波長1300nmでの下部クラッド層の屈折率、複屈折率は1.520(TE)、1.513(TM)、0.007、コア層の屈折率、複屈折率は1.526(TE)、1.519(TM)、0.007であった。1300nmでの屈折率差は0.39%(TE)、0.39%(TM)、複屈折差は0であった。また、カットバック法によりこの光導波路の損失を測定したところ、0.5dB/cm(1300nm)、0.8dB/cm(1550nm)であった。光導波路の熱分解温度は450℃以上であった。
【0022】
(実施例4)
実施例3で作製したリッジ型光導波路の上に、下部クラッド層形成時と同様の溶液を加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、酸素濃度を3x10−2mol/m3以下に調整したオーブン中で最高温度350℃で4時間加熱処理をしてポリベンゾオキサゾールからなる上部クラッド層を形成し埋込型光導波路を得た。
波長1300nmでの下部クラッド層の屈折率、複屈折率は1.520(TE)、1.513(TM)、0.007、コア層の屈折率、複屈折率は1.526(TE)、1.519(TM)、0.007であった。1300nmでの屈折率差は0.39%(TE)、0.39%(TM)、複屈折差は0であった。また、カットバック法によりこの光導波路の損失を測定したところ、0.3dB/cm(1300nm)、0.4dB/cm(1550nm)であった。
【0023】
(比較例1)
実施例1で得たポリヒドロキシアミド溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、酸素濃度約9mol/m3である空気雰囲気下オーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分乾燥させた。得られたフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過スペクトルを測定したところ、図1に示すような結果になり、損失値で>10dB/cm(850nm)、1.0dB/cm(1300nm)、1.2dB/cm(1550nm)であった。
【0024】
(比較例2)
実施例2で得たポリヒドロキシアミド溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、酸素濃度約9mol/m3である空気雰囲気下オーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分乾燥させた。得られたフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過スペクトルを測定したところ、損失値で>10dB/cm(850nm)、3.0dB/cm(1300nm)、8.5dB/cm(1550nm)であった。
【0025】
(比較例3)
実施例1で得たポリヒドロキシアミド溶液を、スピナーを用いてシリコンウエハ上に塗布し、酸素濃度約9mol/m3である空気雰囲気下オーブン中で、60℃で30分、100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分、320℃で30分乾燥させた。得られたフィルムの熱分解温度は400℃以上であった。フィルムの光透過率を測定したところ、損失値で3.0dB/cm(1300nm)、5.5dB/cm(1550nm)であった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の製造法により、良好な光透過率を示すポリベンゾアゾールを製造することができ、光導波路、光学レンズ、光学フィルタ、光スイッチ用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1で作製したフィルムの光透過スペクトルを示す図面である。
Claims (9)
- 加熱硬化温度が330℃以上である請求項1に記載の光学用樹脂の製造法。
- 構造式(1)で表される繰り返し単位のXが酸素原子であるポリベンゾオキサゾール前駆体を構成要素とする請求項1又は2記載の光学用樹脂の製造法。
- 構造式(1)で表される繰り返し単位のXが硫黄原子であるポリベンゾチアゾール前駆体を構成要素とする請求項1又は2記載の光学用樹脂の製造法。
- 光学用部品が高分子光導波路である請求項5記載の光学用部品の製造法。
- 光学用部品が光学フィルタである請求項5記載の光学用部品の製造法。
- 光学用部品が光学レンズである請求項5記載の光学用部品の製造法。
- 光学用部品が光スイッチである請求項5記載の光学用部品の製造法。
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JP2011052225A (ja) * | 2004-12-13 | 2011-03-17 | Hitachi Chem Co Ltd | 光導波路材料用樹脂組成物、光導波路材料用樹脂フィルム及びこれらを用いた光導波路 |
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