JP2004184484A - 樹脂硬化膜及びこれを用いた用途 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂硬化膜及びこれを用いた用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信量の増大に伴って光通信技術の発展が期待されている。光通信技術のひとつである光導波路は、レーザーダイオード、フォトダイオード等の光デバイスどうし、あるいはそれらと光ファイバーを接続するために用いられる。この光導波路を作製するために石英ガラス等の無機材料、有機高分子材料など種々の材料が検討されている。一般に、光導波路には、光損失が小さく、耐熱性に優れ、コアとクラッドの屈折率差を制御できるなどの条件が要求されており、有機高分子材料では、例えば、含フッ素ポリイミドが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、含フッ素ポリイミドはシリコンウエハとの接着性が悪く、ドライエッチング後にクラックが入り易いなどの問題がある。
【0003】
一方、ポリベンゾオキサゾールは、引張強度、曲げ強度等の機械的強度が大きく、高い耐熱性を有する等の優れた特徴をもつ高性能エンジニアリングプラスチックであり、その研究は古くからなされている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。最近ではポリベンゾオキサゾールが半導体の多層配線用層間絶縁膜として有用であるとの報告(例えば、特許文献6参照)や、光学的な用途としてポリベンゾオキサゾールに可視光領域での透明性を付与させる方法が述べられている(特許文献7参照)。また含フッ素ポリベンゾオキサゾール樹脂を用いた光導波路用材料としての報告もある(特許文献8参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2657700号公報
【特許文献2】
特許第2813713号公報
【特許文献3】
特許第3131940号公報
【特許文献4】
特公昭42―19721号公報
【0005】
【特許文献5】
特許第1958747号公報
【特許文献6】
特開平11−181094号公報
【特許文献7】
特開平11−322929号公報
【特許文献8】
特開2002−173532号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、機械強度及び透明性が優れる硬化皮膜を提供するものであり、光導波路、光学フィルタ、光学レンズ、光スイッチ等の光部品に有用である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(I)
【化3】
(式中、R1は芳香環を有する4価の有機基を示し、2組のNHと2組のXHは、各々R1内の芳香環に互いにオルト位に結合しており、R2は2価の有機基を示し、Xは酸素原子または硫黄原子を示す)
で表される構成要素を有するポリベンゾアゾール前駆体を含有する樹脂を加熱硬化してなる樹脂硬化膜であり、前記樹脂硬化膜の引張り強さが100〜200MPaである樹脂硬化膜に関する。
【0008】
また、本発明は、構成要素の繰り返し数が1〜1000である前記樹脂硬化膜に関する。
【0009】
また、本発明は、波長1300nm及び1550nmでの光線透過率が80%/cm以上である前記樹脂硬化膜に関する。
【0010】
また、本発明は、波長1300nm及び1550nmでの屈折率が1.45〜1.75である前記樹脂硬化膜に関する。
【0011】
また、本発明は、一般式(I)中のXが酸素原子である前記樹脂硬化膜に関する。
【0012】
また、本発明は、一般式(I)中のXが硫黄原子である前記樹脂硬化膜に関する。
【0013】
また、本発明は、一般式(I)中のR2が下記式
【化4】
(式中、R3、R4、R5及びR6は各々独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の1価のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜10の1価のアルコキシ基を示す)
で表される有機基のいずれかである前記樹脂硬化膜に関する。
【0014】
また、本発明は、前記樹脂硬化膜を有する光導波路に関する。
【0015】
また、本発明は、前記樹脂硬化膜を有する光部品に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、特定の範囲の引張り強さを有する樹脂硬化膜を光学用途に用いることにより、優れた特性を有することを見出した。
【0017】
また、樹脂硬化膜を光学用途に用いる際に最も重要な特性は光透過性である。そこで本発明者らは樹脂硬化膜の光透過性を向上させるためには、樹脂硬化膜自体の光吸収を減少させることも重要であるが、硬化膜を加工する際に発生するクラックや表面荒れを極力低減することが特に重要であることを見出した。
【0018】
樹脂硬化膜を用いて光導波路を製造する場合、樹脂硬化膜自体の光線透過率が97%/cmであっても、クラックや表面荒れが存在するとそこで光が散乱してしまい、光導波路状態での光線透過率は30%/cm以下となり性能が著しく劣ることがある。また、樹脂硬化膜を光学用フィルタに用いる場合、クラックが発生することにより光透過性が減少するのみならず設計どおりの光透過選択性を出せなくなる恐れがある。このように、光学デバイスにおけるクラックや表面荒れの存在は、特性の著しい低下につながる重要な問題点となっている。
【0019】
本発明者らは、樹脂硬化膜とクラック及び表面荒れとの関係について鋭意検討した結果、樹脂硬化膜の引張り強さが100〜200MPaであれば、クラック及び表面荒れの発生を抑制することができ、優れた光学特性を有する光学デバイスを製造することができることを見出した。
【0020】
前記引張り強さは100〜200MPaであり、100〜180MPaであることが好ましく、105〜150MPaであることがより好ましい。この引張り強さが100MPa未満では光部品加工時にクラック及び表面荒れが生じ、引張り強さが200MPaを超えると光透過性に劣る。
【0021】
本発明の樹脂硬化膜の引張り強さを100〜200MPaの範囲にするには、例えば、以下に示すような方法がある。
【0022】
ポリベンゾオキサゾールは、ビス(アミノフェノール)誘導体とジカルボン酸誘導体を重合することにより、前駆体であるポリヒドロキシアミドを得、それを脱水閉環することによって得られる。ポリベンゾチアゾールは、上記ビス(アミノフェノール)誘導体をビス(アミノチオフェノール)誘導体に変え、同様の製法で得ることができる。
【0023】
ここで、ジカルボン酸誘導体として下記式
【化5】
(式中、R3、R4、R5及びR6は各々独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、Yは各々独立に活性エステル基を示す)
に示したものを使用すると、引張り強さを100MPa〜200MPaにすることが容易である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0024】
上記式中、Yである活性エステル基は各々独立に酸クロリド、カルボン酸とヒドロキシベンゾトリアゾールの反応で得られる誘導体等であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0025】
上記ジカルボン酸誘導体を用いてポリベンゾアゾール前駆体を製造する場合、ビス(アミノフェノール)誘導体のモル比0.5に対して、ジカルボン酸誘導体のモル比は、0.4〜0.7であることが好ましく、0.45〜0.6であることがより好ましく、0.45〜0.55であることが特に好ましい。前記モル比がこの範囲外では、分子量が十分に伸びない傾向がある。
【0026】
これらの原料からポリベンゾオキサゾール前駆体への反応条件は通常のポリアミドアルコールの重合体条件と同じでよく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒中で−20〜50℃の範囲で反応させることができる。
【0027】
重合体の数平均分子量は、5千〜30万であることが好ましく、1万〜25万であることがより好ましく、2万〜20万であることが特に好ましい。数平均分子量が5千未満では最終的に得られる樹脂硬化膜の機械特性が劣る傾向があり、30万を超えると重合体の溶解性が劣る傾向がある。
【0028】
上述したカルボン酸誘導体を用いない場合でも、ポリベンゾアゾール前駆体の数平均分子量を高めることによって樹脂硬化膜の引張り強さを100〜200MPaの範囲に調整することもできる。この数平均分子量は、5万〜100万であることが好ましく、8万〜50万であることがより好ましく、10万〜40万であることが特に好ましい。
【0029】
また、架橋性基をポリベンゾアゾール前駆体の主鎖内又は末端に導入し、硬化物を架橋体にすることも樹脂硬化膜の引張り強さを100〜200MPaの範囲に調整するために有効である。
【0030】
前記架橋性基は、架橋性基同士又は架橋性基とポリベンゾアゾール前駆体中のアミド基やヒドロキシ基が、熱、光、圧力等の外部刺激により反応する基であり、外部刺激により直接反応してもよいし、ラジカル、酸、塩基等を発生する触媒をあらかじめ加えておいてそれら触媒により反応させてもよい。
【0031】
前記架橋性基としては、例えば、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、イソシアナート基、シアナートエステル基、チオール基、ビニル基、ビニルエーテル基、マレイミド基、オキセタン基、アセチレン基、アルデヒド基、カルボン酸基及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0032】
また、前駆体末端と反応性を有する官能基を2個以上有する化合物をあらかじめ混合しておくのも有効な手法である。前記化合物の官能基の種類としては、例えば、エステル基、アミノ基等が挙げられる。
【0033】
その他、シリカ、アルミナ等の各種フィラーを分散させたり、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾチアゾール、ポリベンズイミダゾール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリフェニレンスルフィド、ベンゾシクロブテン重合体、脂環式高分子化合物、全フッ素ポリマー、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリシラン等の引張り強さの強いポリマーを混合することにより樹脂硬化膜の引張り強さを100〜200MPaの範囲に調整することができる。これらのフィラーやポリマー混合において、添加量及び混合量に特に制限はないが、粒径が使用波長の1/10より大きなフィラーや、ポリベンゾアゾール前駆体と相溶性の悪いポリマを混合すると光透過性が悪くなる傾向があるので好ましくない。
【0034】
本発明の樹脂硬化膜は、例えば、これらのポリベンゾアゾール前駆体を溶剤にとかして溶液とし、前記溶液に塗布し、加熱硬化することにより得ることができる。この加熱硬化は、前駆体が充分脱水閉環する条件で行うことが好ましく、最終硬化温度が330〜500℃であることが好ましく、340〜470℃であることがより好ましく、350〜450℃であることが特に好ましい。この最終硬化温度が330℃未満では前駆体の脱水閉環が不十分となり、アミド基が残留し、光透過性、特に1000〜1600nmの通信波長域の光透過性が減少する傾向があり、最終硬化温度が500℃を超えると前駆体の熱分解が進行し、着色不純物の生成によって透明性が低下する傾向がある。
【0035】
前記溶剤は、特に限定はなく、ポリベンゾアゾール前駆体が溶解することが好ましい。これらの溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、非プロトン性溶剤を用いることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0036】
前記加熱硬化は、例えば、ホットプレート、オーブン等を用いることができる。昇温時間及び冷却時間には特に制限はないが、昇温時間は、例えば、60℃30分、100℃30分、150℃30分、200℃30分、250℃30分、300℃30分、350℃30分のように段階的に昇温させることが好ましい。
【0037】
前記加熱硬化時は、例えば、空気中又は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができ、硬化膜の光透過性を高めるためには不活性ガス雰囲気下で硬化することが好ましい。
【0038】
前記塗布は、例えば、キャスト法やスピンコート法を用いることができ、最終膜厚が約10μmになるように調節することができる。
【0039】
前記基板は、加熱硬化の温度で変形及び変質をせず、平坦なものであることが好ましく、例えば、石英ガラス、シリコンウエハ等が挙げられる。
【0040】
前記ビス(アミノフェノール)誘導体としては、例えば、2,4−ジアミノ―1,5−ジヒドロキシベンゼン、3,3′―ジアミノ―4,4′―ジヒドロキシビフェニル、4,4′―ジアミノ―3,3′―ジヒドロキシビフェニル、2, 2′―ジアミノ―3,3′―ジヒドロキシビフェニル、3,3′―ジアミノ―2,2′―ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、これらの化合物中の芳香環の水素原子が部分的あるいは全てフッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチル基で置換された化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0041】
前記ビス(アミノチオフェノール)誘導体としては、例えば、2,4−ジアミノ―1,5−ジメルカプトベンゼン、3,3′―ジアミノ―4,4′―ジメルカプトビフェニル、4,4′―ジアミノ―3,3′―ジメルカプトビフェニル、2,2′―ジアミノ―3,3′―ジメルカプトビフェニル、3,3′―ジアミノ―2,2′―ジメルカプトビフェニル、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)メタン、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス (4−アミノ―3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、これらの化合物中の芳香環の水素原子が部分的あるいは全てフッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチル基で置換された化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0042】
本発明におけるポリベンゾアゾールには、前記したジカルボン酸誘導体以外のジカルボン酸誘導体を使用することができ、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4′−ジカルボキシビフェニル、2,2′−ジカルボキシビフェニル、2,3′−ジカルボキシビフェニル、3,3′−ジカルボキシビフェニル、3,4′−ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,2′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4′−ジカルボキシジフェニルケトン、2,2′−ジカルボキシジフェニルケトン、2,3′−ジカルボキシジフェニルケトン、3,3′−ジカルボキシジフェニルケトン、3,4′−ジカルボキシジフェニルケトン、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、2, 2′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、2,3′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、3,3′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、3,4′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,2′−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,3′−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,3′−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2′−ジカルボキシジフェニルメタン、2,3′−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3′−ジカルボキシジフェニルメタン、3,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、2,2′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、2,3′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、3,3′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、3,4′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,2′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル等の芳香族ジカルボン酸、ジカルボン酸のジクロリド、ジブロミド等の酸ハロゲン化物、ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等のジアルキルエステルなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0043】
本発明の光導波路は、例えば、以下の手段で製造することができる。シリコン等の基板にポリベンゾアゾール前駆体溶液を所定の厚さに塗布し、加熱により脱水閉環させ下部クラッド層を得る。次に下部クラッド層よりも屈折率の大きいポリベンゾアゾールの前駆体溶液を下部クラッド層の上に所定の厚さで塗布し、加熱により脱水閉環させてコア層を得る。次にコア層の上にレジストを塗布し、プリベーク、露光及び現像を行いパターニング化されたレジスト層を得る。その後ドライエッチング加工により導波路形状のコア層を得、残ったレジスト層を除去し、リッジ型光導波路を得る。
【0044】
埋め込み型光導波路の場合は、上記リッジ型導波路を作成後、さらにコア層よりも屈折率の小さいポリベンゾアゾールの前駆体溶液を所定の厚さで塗布し、加熱などにより脱水閉環させ上部クラッド層を得る。このようにして埋込型光導波路を得る。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
<実施例1>
攪拌装置のついた4つ口フラスコに2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 3.66g(0.01mol)、塩化リチウム 0.93g(0.022mol)、N−メチルピロリドン 16gを加え、攪拌しながら−3℃に冷却した。この溶液に4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド) 2.95g(0.01mol)を加え、数分間攪拌後、室温に戻しさらに24時間攪拌した。反応液を過剰の水中に滴下しポリマーを沈殿させ、濾過、乾燥を行い、ポリヒドロキシアミドを得た。GPCにより得られたポリマーの分子量を測定したところ、数平均分子量で114,000であった。
【0047】
得られたポリヒドロキシアミドをN,N−ジメチルアセトアミドに溶かし濃度30重量%の溶液になるように調製した。溶液を、スピナ−を用いて2μm厚のSiO2酸化膜がついたシリコンウエハ上に塗布し、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させた。得られたシリコンウエハ付フィルムを5重量%フッ酸水溶液に30分間浸漬し、ウエハからフィルムを剥がした。フィルムを水洗後、真空オーブン中60℃で6時間乾燥させ、ポリベンゾオキサゾールフィルムを得た。フィルムの屈折率を表1に示す。
【0048】
次にフィルムを1cm×4cmの短冊状に切り取り、50Nロードセルを取り付けたオリエンテック社製テンシロン試験機RTC−1250Aを用いて引張り強さを測定した。測定条件は、チャック間距離2cm、引張速度5mm/minで、15〜25℃の温度条件で5サンプル測定し、その平均値を引張り強さ値とした。結果を表1に示す。
【0049】
ここで引張強さとは、引張試験機を用いて試験片が破断するまで引っ張り、その際破断させるのに要した最大引張力を測定し、以下の式により算出した値である。
【0050】
引張強さ(Pa)=最大引張力(N)/試験片の断面積(m2)
【0051】
チャック間距離2cmに満たない試験片Aで引張り強さa′を測定する場合、チャック間距離2cmであらかじめ引張強さbを測定済みの別の試験片Bを試験片Aと同様のチャック間長さで引張強さb′を測定し、チャック間距離2cmでの試験片Aの引張強さaを以下の式で見積もることができる。
【0052】
a=a′×b/b′
【0053】
<実施例2>
実施例1の4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の代わりにテレフタル酸ジクロリドを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得、屈折率を測定し、引張試験を行った。結果を表1に示す。
【0054】
<実施例3>
実施例1の4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の代わりに4,4′−ベンゾフェノンジカルボン酸ジクロリドを用い、実施例1と同様にしてフィルムを得、屈折率を測定し、引張試験を行った。結果を表1に示す。
【0055】
<実施例4>
実施例1の4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の代わりに4,4′−ビフェニルジカルボン酸ジクロリドを用い、実施例1と同様にしてフィルムを得、屈折率を測定し、引張試験を行った。結果を表1に示す。
【0056】
<実施例5>
表面が酸化シリコン層である直径5インチのシリコンウエハ上に、実施例1で製造したポリヒドロキシアミドの20重量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させた。次にレジストをスピンコート法により塗布し、乾燥後導波路パターンのマスクを介して高圧水銀ランプで露光、現像することによりレジストパターン層を形成した。このレジストパターン層をマスクとしてドライエッチング装置を用いてRIE加工を行い、レジストパターンを剥離した。得られたリッジ型導波路のリッジ部を顕微鏡で観察したところクラックは皆無であった。
【0057】
<実施例6>
実施例2で得られたポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例5と同様にしてリッジ型導波路を製造し、顕微鏡で観察したところ、クラックは皆無であった。
【0058】
<実施例7>
実施例3で得られたポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例5と同様にしてリッジ型導波路を製造し、顕微鏡で観察したところ、クラックは皆無であった。
【0059】
<実施例8>
実施例4で得られたポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例5と同様にしてリッジ型導波路を製造し、顕微鏡で観察したところ、クラックは皆無であった。
【0060】
<実施例9>
表面が酸化シリコン層である直径5インチのシリコンウエハ上に、ビス(アミノフェノール)誘導体として2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジカルボン酸誘導体として2,2−ビス(4−カルボキシクロリドフェニル)ヘキサフルオロプロパンと4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の10:90のモル比の混合物を用いて製造したポリヒドロキシアミドの20重量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させ下部クラッド層を形成した。
【0061】
次にビス(アミノフェノール)誘導体として2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジカルボン酸誘導体として4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)を用いて製造したポリヒドロキシアミドの20重量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が6μmになるようにスピンコート法により塗布した後、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させコア層を形成した。
【0062】
次にレジストをスピンコート法により塗布し、乾燥後導波路パターンのマスクを介して高圧水銀ランプで露光、現像することによりレジストパターン層を形成した。このレジストパターン層をマスクとしてドライエッチング装置を用いてRIE加工を行い、レジストパターンを剥離した。さらに下部クラッド層形成時と同様の溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させ上部クラッド層を形成し埋込型導波路を得た。カットバック法によりこの導波路の損失を測定したところ、光線透過率で93%/cm(1300nm)、91%/cm(1550nm)であった。
【0063】
<比較例1>
実施例1の4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の代わりに4,4′−スルホニルジカルボン酸ジクロリドを用い、実施例1と同様にしてフィルムを得、屈折率を測定し、引張試験を行った。結果を表1に示す。
【0064】
<比較例2>
比較例1で得られたポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例5と同様にしてリッジ型導波路を製造し、顕微鏡で観察したところ、すべてのリッジ部にクラックが発生した。
【0065】
<比較例3>
実施例9のコア層に、比較例1で製造したポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例9と同様にして埋込型導波路を得、カットバック法によりこの導波路の損失を測定したところ、光線透過率で35%/cm(1300nm)、10%/cm(1550nm)であった。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】
本発明の硬化皮膜は、機械強度及び透明性が優れ、光導波路、光学フィルタ、光学レンズ、光スイッチ等の光部品に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂硬化膜及びこれを用いた用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信量の増大に伴って光通信技術の発展が期待されている。光通信技術のひとつである光導波路は、レーザーダイオード、フォトダイオード等の光デバイスどうし、あるいはそれらと光ファイバーを接続するために用いられる。この光導波路を作製するために石英ガラス等の無機材料、有機高分子材料など種々の材料が検討されている。一般に、光導波路には、光損失が小さく、耐熱性に優れ、コアとクラッドの屈折率差を制御できるなどの条件が要求されており、有機高分子材料では、例えば、含フッ素ポリイミドが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、含フッ素ポリイミドはシリコンウエハとの接着性が悪く、ドライエッチング後にクラックが入り易いなどの問題がある。
【0003】
一方、ポリベンゾオキサゾールは、引張強度、曲げ強度等の機械的強度が大きく、高い耐熱性を有する等の優れた特徴をもつ高性能エンジニアリングプラスチックであり、その研究は古くからなされている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。最近ではポリベンゾオキサゾールが半導体の多層配線用層間絶縁膜として有用であるとの報告(例えば、特許文献6参照)や、光学的な用途としてポリベンゾオキサゾールに可視光領域での透明性を付与させる方法が述べられている(特許文献7参照)。また含フッ素ポリベンゾオキサゾール樹脂を用いた光導波路用材料としての報告もある(特許文献8参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2657700号公報
【特許文献2】
特許第2813713号公報
【特許文献3】
特許第3131940号公報
【特許文献4】
特公昭42―19721号公報
【0005】
【特許文献5】
特許第1958747号公報
【特許文献6】
特開平11−181094号公報
【特許文献7】
特開平11−322929号公報
【特許文献8】
特開2002−173532号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、機械強度及び透明性が優れる硬化皮膜を提供するものであり、光導波路、光学フィルタ、光学レンズ、光スイッチ等の光部品に有用である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(I)
【化3】
(式中、R1は芳香環を有する4価の有機基を示し、2組のNHと2組のXHは、各々R1内の芳香環に互いにオルト位に結合しており、R2は2価の有機基を示し、Xは酸素原子または硫黄原子を示す)
で表される構成要素を有するポリベンゾアゾール前駆体を含有する樹脂を加熱硬化してなる樹脂硬化膜であり、前記樹脂硬化膜の引張り強さが100〜200MPaである樹脂硬化膜に関する。
【0008】
また、本発明は、構成要素の繰り返し数が1〜1000である前記樹脂硬化膜に関する。
【0009】
また、本発明は、波長1300nm及び1550nmでの光線透過率が80%/cm以上である前記樹脂硬化膜に関する。
【0010】
また、本発明は、波長1300nm及び1550nmでの屈折率が1.45〜1.75である前記樹脂硬化膜に関する。
【0011】
また、本発明は、一般式(I)中のXが酸素原子である前記樹脂硬化膜に関する。
【0012】
また、本発明は、一般式(I)中のXが硫黄原子である前記樹脂硬化膜に関する。
【0013】
また、本発明は、一般式(I)中のR2が下記式
【化4】
(式中、R3、R4、R5及びR6は各々独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の1価のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜10の1価のアルコキシ基を示す)
で表される有機基のいずれかである前記樹脂硬化膜に関する。
【0014】
また、本発明は、前記樹脂硬化膜を有する光導波路に関する。
【0015】
また、本発明は、前記樹脂硬化膜を有する光部品に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、特定の範囲の引張り強さを有する樹脂硬化膜を光学用途に用いることにより、優れた特性を有することを見出した。
【0017】
また、樹脂硬化膜を光学用途に用いる際に最も重要な特性は光透過性である。そこで本発明者らは樹脂硬化膜の光透過性を向上させるためには、樹脂硬化膜自体の光吸収を減少させることも重要であるが、硬化膜を加工する際に発生するクラックや表面荒れを極力低減することが特に重要であることを見出した。
【0018】
樹脂硬化膜を用いて光導波路を製造する場合、樹脂硬化膜自体の光線透過率が97%/cmであっても、クラックや表面荒れが存在するとそこで光が散乱してしまい、光導波路状態での光線透過率は30%/cm以下となり性能が著しく劣ることがある。また、樹脂硬化膜を光学用フィルタに用いる場合、クラックが発生することにより光透過性が減少するのみならず設計どおりの光透過選択性を出せなくなる恐れがある。このように、光学デバイスにおけるクラックや表面荒れの存在は、特性の著しい低下につながる重要な問題点となっている。
【0019】
本発明者らは、樹脂硬化膜とクラック及び表面荒れとの関係について鋭意検討した結果、樹脂硬化膜の引張り強さが100〜200MPaであれば、クラック及び表面荒れの発生を抑制することができ、優れた光学特性を有する光学デバイスを製造することができることを見出した。
【0020】
前記引張り強さは100〜200MPaであり、100〜180MPaであることが好ましく、105〜150MPaであることがより好ましい。この引張り強さが100MPa未満では光部品加工時にクラック及び表面荒れが生じ、引張り強さが200MPaを超えると光透過性に劣る。
【0021】
本発明の樹脂硬化膜の引張り強さを100〜200MPaの範囲にするには、例えば、以下に示すような方法がある。
【0022】
ポリベンゾオキサゾールは、ビス(アミノフェノール)誘導体とジカルボン酸誘導体を重合することにより、前駆体であるポリヒドロキシアミドを得、それを脱水閉環することによって得られる。ポリベンゾチアゾールは、上記ビス(アミノフェノール)誘導体をビス(アミノチオフェノール)誘導体に変え、同様の製法で得ることができる。
【0023】
ここで、ジカルボン酸誘導体として下記式
【化5】
(式中、R3、R4、R5及びR6は各々独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、Yは各々独立に活性エステル基を示す)
に示したものを使用すると、引張り強さを100MPa〜200MPaにすることが容易である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0024】
上記式中、Yである活性エステル基は各々独立に酸クロリド、カルボン酸とヒドロキシベンゾトリアゾールの反応で得られる誘導体等であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0025】
上記ジカルボン酸誘導体を用いてポリベンゾアゾール前駆体を製造する場合、ビス(アミノフェノール)誘導体のモル比0.5に対して、ジカルボン酸誘導体のモル比は、0.4〜0.7であることが好ましく、0.45〜0.6であることがより好ましく、0.45〜0.55であることが特に好ましい。前記モル比がこの範囲外では、分子量が十分に伸びない傾向がある。
【0026】
これらの原料からポリベンゾオキサゾール前駆体への反応条件は通常のポリアミドアルコールの重合体条件と同じでよく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒中で−20〜50℃の範囲で反応させることができる。
【0027】
重合体の数平均分子量は、5千〜30万であることが好ましく、1万〜25万であることがより好ましく、2万〜20万であることが特に好ましい。数平均分子量が5千未満では最終的に得られる樹脂硬化膜の機械特性が劣る傾向があり、30万を超えると重合体の溶解性が劣る傾向がある。
【0028】
上述したカルボン酸誘導体を用いない場合でも、ポリベンゾアゾール前駆体の数平均分子量を高めることによって樹脂硬化膜の引張り強さを100〜200MPaの範囲に調整することもできる。この数平均分子量は、5万〜100万であることが好ましく、8万〜50万であることがより好ましく、10万〜40万であることが特に好ましい。
【0029】
また、架橋性基をポリベンゾアゾール前駆体の主鎖内又は末端に導入し、硬化物を架橋体にすることも樹脂硬化膜の引張り強さを100〜200MPaの範囲に調整するために有効である。
【0030】
前記架橋性基は、架橋性基同士又は架橋性基とポリベンゾアゾール前駆体中のアミド基やヒドロキシ基が、熱、光、圧力等の外部刺激により反応する基であり、外部刺激により直接反応してもよいし、ラジカル、酸、塩基等を発生する触媒をあらかじめ加えておいてそれら触媒により反応させてもよい。
【0031】
前記架橋性基としては、例えば、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、イソシアナート基、シアナートエステル基、チオール基、ビニル基、ビニルエーテル基、マレイミド基、オキセタン基、アセチレン基、アルデヒド基、カルボン酸基及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0032】
また、前駆体末端と反応性を有する官能基を2個以上有する化合物をあらかじめ混合しておくのも有効な手法である。前記化合物の官能基の種類としては、例えば、エステル基、アミノ基等が挙げられる。
【0033】
その他、シリカ、アルミナ等の各種フィラーを分散させたり、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾチアゾール、ポリベンズイミダゾール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリフェニレンスルフィド、ベンゾシクロブテン重合体、脂環式高分子化合物、全フッ素ポリマー、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリシラン等の引張り強さの強いポリマーを混合することにより樹脂硬化膜の引張り強さを100〜200MPaの範囲に調整することができる。これらのフィラーやポリマー混合において、添加量及び混合量に特に制限はないが、粒径が使用波長の1/10より大きなフィラーや、ポリベンゾアゾール前駆体と相溶性の悪いポリマを混合すると光透過性が悪くなる傾向があるので好ましくない。
【0034】
本発明の樹脂硬化膜は、例えば、これらのポリベンゾアゾール前駆体を溶剤にとかして溶液とし、前記溶液に塗布し、加熱硬化することにより得ることができる。この加熱硬化は、前駆体が充分脱水閉環する条件で行うことが好ましく、最終硬化温度が330〜500℃であることが好ましく、340〜470℃であることがより好ましく、350〜450℃であることが特に好ましい。この最終硬化温度が330℃未満では前駆体の脱水閉環が不十分となり、アミド基が残留し、光透過性、特に1000〜1600nmの通信波長域の光透過性が減少する傾向があり、最終硬化温度が500℃を超えると前駆体の熱分解が進行し、着色不純物の生成によって透明性が低下する傾向がある。
【0035】
前記溶剤は、特に限定はなく、ポリベンゾアゾール前駆体が溶解することが好ましい。これらの溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、非プロトン性溶剤を用いることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0036】
前記加熱硬化は、例えば、ホットプレート、オーブン等を用いることができる。昇温時間及び冷却時間には特に制限はないが、昇温時間は、例えば、60℃30分、100℃30分、150℃30分、200℃30分、250℃30分、300℃30分、350℃30分のように段階的に昇温させることが好ましい。
【0037】
前記加熱硬化時は、例えば、空気中又は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができ、硬化膜の光透過性を高めるためには不活性ガス雰囲気下で硬化することが好ましい。
【0038】
前記塗布は、例えば、キャスト法やスピンコート法を用いることができ、最終膜厚が約10μmになるように調節することができる。
【0039】
前記基板は、加熱硬化の温度で変形及び変質をせず、平坦なものであることが好ましく、例えば、石英ガラス、シリコンウエハ等が挙げられる。
【0040】
前記ビス(アミノフェノール)誘導体としては、例えば、2,4−ジアミノ―1,5−ジヒドロキシベンゼン、3,3′―ジアミノ―4,4′―ジヒドロキシビフェニル、4,4′―ジアミノ―3,3′―ジヒドロキシビフェニル、2, 2′―ジアミノ―3,3′―ジヒドロキシビフェニル、3,3′―ジアミノ―2,2′―ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ―4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ―2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ―3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、これらの化合物中の芳香環の水素原子が部分的あるいは全てフッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチル基で置換された化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0041】
前記ビス(アミノチオフェノール)誘導体としては、例えば、2,4−ジアミノ―1,5−ジメルカプトベンゼン、3,3′―ジアミノ―4,4′―ジメルカプトビフェニル、4,4′―ジアミノ―3,3′―ジメルカプトビフェニル、2,2′―ジアミノ―3,3′―ジメルカプトビフェニル、3,3′―ジアミノ―2,2′―ジメルカプトビフェニル、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)メタン、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス (4−アミノ―3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ―4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ―2−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ―3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ―3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、これらの化合物中の芳香環の水素原子が部分的あるいは全てフッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチル基で置換された化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0042】
本発明におけるポリベンゾアゾールには、前記したジカルボン酸誘導体以外のジカルボン酸誘導体を使用することができ、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4′−ジカルボキシビフェニル、2,2′−ジカルボキシビフェニル、2,3′−ジカルボキシビフェニル、3,3′−ジカルボキシビフェニル、3,4′−ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,2′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4′−ジカルボキシジフェニルケトン、2,2′−ジカルボキシジフェニルケトン、2,3′−ジカルボキシジフェニルケトン、3,3′−ジカルボキシジフェニルケトン、3,4′−ジカルボキシジフェニルケトン、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、2, 2′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、2,3′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、3,3′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、3,4′−ジカルボキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,2′−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,3′−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,3′−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2′−ジカルボキシジフェニルメタン、2,3′−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3′−ジカルボキシジフェニルメタン、3,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、2,2′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、2,3′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、3,3′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、3,4′−ジカルボキシジフェニルジフルオロメタン、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,2′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル等の芳香族ジカルボン酸、ジカルボン酸のジクロリド、ジブロミド等の酸ハロゲン化物、ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等のジアルキルエステルなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0043】
本発明の光導波路は、例えば、以下の手段で製造することができる。シリコン等の基板にポリベンゾアゾール前駆体溶液を所定の厚さに塗布し、加熱により脱水閉環させ下部クラッド層を得る。次に下部クラッド層よりも屈折率の大きいポリベンゾアゾールの前駆体溶液を下部クラッド層の上に所定の厚さで塗布し、加熱により脱水閉環させてコア層を得る。次にコア層の上にレジストを塗布し、プリベーク、露光及び現像を行いパターニング化されたレジスト層を得る。その後ドライエッチング加工により導波路形状のコア層を得、残ったレジスト層を除去し、リッジ型光導波路を得る。
【0044】
埋め込み型光導波路の場合は、上記リッジ型導波路を作成後、さらにコア層よりも屈折率の小さいポリベンゾアゾールの前駆体溶液を所定の厚さで塗布し、加熱などにより脱水閉環させ上部クラッド層を得る。このようにして埋込型光導波路を得る。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
<実施例1>
攪拌装置のついた4つ口フラスコに2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 3.66g(0.01mol)、塩化リチウム 0.93g(0.022mol)、N−メチルピロリドン 16gを加え、攪拌しながら−3℃に冷却した。この溶液に4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド) 2.95g(0.01mol)を加え、数分間攪拌後、室温に戻しさらに24時間攪拌した。反応液を過剰の水中に滴下しポリマーを沈殿させ、濾過、乾燥を行い、ポリヒドロキシアミドを得た。GPCにより得られたポリマーの分子量を測定したところ、数平均分子量で114,000であった。
【0047】
得られたポリヒドロキシアミドをN,N−ジメチルアセトアミドに溶かし濃度30重量%の溶液になるように調製した。溶液を、スピナ−を用いて2μm厚のSiO2酸化膜がついたシリコンウエハ上に塗布し、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させた。得られたシリコンウエハ付フィルムを5重量%フッ酸水溶液に30分間浸漬し、ウエハからフィルムを剥がした。フィルムを水洗後、真空オーブン中60℃で6時間乾燥させ、ポリベンゾオキサゾールフィルムを得た。フィルムの屈折率を表1に示す。
【0048】
次にフィルムを1cm×4cmの短冊状に切り取り、50Nロードセルを取り付けたオリエンテック社製テンシロン試験機RTC−1250Aを用いて引張り強さを測定した。測定条件は、チャック間距離2cm、引張速度5mm/minで、15〜25℃の温度条件で5サンプル測定し、その平均値を引張り強さ値とした。結果を表1に示す。
【0049】
ここで引張強さとは、引張試験機を用いて試験片が破断するまで引っ張り、その際破断させるのに要した最大引張力を測定し、以下の式により算出した値である。
【0050】
引張強さ(Pa)=最大引張力(N)/試験片の断面積(m2)
【0051】
チャック間距離2cmに満たない試験片Aで引張り強さa′を測定する場合、チャック間距離2cmであらかじめ引張強さbを測定済みの別の試験片Bを試験片Aと同様のチャック間長さで引張強さb′を測定し、チャック間距離2cmでの試験片Aの引張強さaを以下の式で見積もることができる。
【0052】
a=a′×b/b′
【0053】
<実施例2>
実施例1の4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の代わりにテレフタル酸ジクロリドを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得、屈折率を測定し、引張試験を行った。結果を表1に示す。
【0054】
<実施例3>
実施例1の4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の代わりに4,4′−ベンゾフェノンジカルボン酸ジクロリドを用い、実施例1と同様にしてフィルムを得、屈折率を測定し、引張試験を行った。結果を表1に示す。
【0055】
<実施例4>
実施例1の4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の代わりに4,4′−ビフェニルジカルボン酸ジクロリドを用い、実施例1と同様にしてフィルムを得、屈折率を測定し、引張試験を行った。結果を表1に示す。
【0056】
<実施例5>
表面が酸化シリコン層である直径5インチのシリコンウエハ上に、実施例1で製造したポリヒドロキシアミドの20重量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させた。次にレジストをスピンコート法により塗布し、乾燥後導波路パターンのマスクを介して高圧水銀ランプで露光、現像することによりレジストパターン層を形成した。このレジストパターン層をマスクとしてドライエッチング装置を用いてRIE加工を行い、レジストパターンを剥離した。得られたリッジ型導波路のリッジ部を顕微鏡で観察したところクラックは皆無であった。
【0057】
<実施例6>
実施例2で得られたポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例5と同様にしてリッジ型導波路を製造し、顕微鏡で観察したところ、クラックは皆無であった。
【0058】
<実施例7>
実施例3で得られたポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例5と同様にしてリッジ型導波路を製造し、顕微鏡で観察したところ、クラックは皆無であった。
【0059】
<実施例8>
実施例4で得られたポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例5と同様にしてリッジ型導波路を製造し、顕微鏡で観察したところ、クラックは皆無であった。
【0060】
<実施例9>
表面が酸化シリコン層である直径5インチのシリコンウエハ上に、ビス(アミノフェノール)誘導体として2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジカルボン酸誘導体として2,2−ビス(4−カルボキシクロリドフェニル)ヘキサフルオロプロパンと4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の10:90のモル比の混合物を用いて製造したポリヒドロキシアミドの20重量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させ下部クラッド層を形成した。
【0061】
次にビス(アミノフェノール)誘導体として2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジカルボン酸誘導体として4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)を用いて製造したポリヒドロキシアミドの20重量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、加熱後の膜厚が6μmになるようにスピンコート法により塗布した後、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させコア層を形成した。
【0062】
次にレジストをスピンコート法により塗布し、乾燥後導波路パターンのマスクを介して高圧水銀ランプで露光、現像することによりレジストパターン層を形成した。このレジストパターン層をマスクとしてドライエッチング装置を用いてRIE加工を行い、レジストパターンを剥離した。さらに下部クラッド層形成時と同様の溶液を、加熱後の膜厚が10μmになるようにスピンコート法により塗布した後、ホットプレート上空気中で、60℃で30分間、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、350℃で30分間硬化させ上部クラッド層を形成し埋込型導波路を得た。カットバック法によりこの導波路の損失を測定したところ、光線透過率で93%/cm(1300nm)、91%/cm(1550nm)であった。
【0063】
<比較例1>
実施例1の4,4′−オキシビス(ベンゾイルクロリド)の代わりに4,4′−スルホニルジカルボン酸ジクロリドを用い、実施例1と同様にしてフィルムを得、屈折率を測定し、引張試験を行った。結果を表1に示す。
【0064】
<比較例2>
比較例1で得られたポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例5と同様にしてリッジ型導波路を製造し、顕微鏡で観察したところ、すべてのリッジ部にクラックが発生した。
【0065】
<比較例3>
実施例9のコア層に、比較例1で製造したポリヒドロキシアミドを用いた以外は、実施例9と同様にして埋込型導波路を得、カットバック法によりこの導波路の損失を測定したところ、光線透過率で35%/cm(1300nm)、10%/cm(1550nm)であった。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】
本発明の硬化皮膜は、機械強度及び透明性が優れ、光導波路、光学フィルタ、光学レンズ、光スイッチ等の光部品に有用である。
Claims (9)
- 構成要素の繰り返し数が1〜1000である請求項1記載の樹脂硬化膜。
- 波長1300nm及び1550nmでの光線透過率が80%/cm以上である請求項1又は2記載の樹脂硬化膜。
- 波長1300nm及び1550nmでの屈折率が1.45〜1.75である請求項1、2又は3記載の樹脂硬化膜。
- 一般式(I)中のXが酸素原子である請求項1、2、3又は4記載の樹脂硬化膜。
- 一般式(I)中のXが硫黄原子である請求項1、2、3又は4記載の樹脂硬化膜。
- 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の樹脂硬化膜を有する光導波路。
- 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の樹脂硬化膜を有する光部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002347980A JP2004184484A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | 樹脂硬化膜及びこれを用いた用途 |
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