JP2004250413A - マレイン酸ジエステルおよびオリブ油を含有する皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体を含有する、優れた熱安定性を有するオリブ油皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体および過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する皮膚外用剤。
【選択図】なし
【解決手段】L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体および過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する皮膚外用剤。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体および過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する、熱安定性に優れた皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アスコルビン酸誘導体を含有する皮膚外用剤が知られている。たとえば、アスコルビン酸誘導体とジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤を配合したアスコルビン酸類配合製剤が知られている(特許文献1参照)。また、(A)アスコルビン酸誘導体、(B)オリブ油などの植物抽出物、(C)ジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤からなる皮膚外用剤も知られている(特許文献2参照)。さらに、オリブ油、スクワラン、ビタミンCパルミテート、ビタミンEからなる美容オイルなどが市販されている。
一方、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルは下記式(I):
【0003】
【化1】
【0004】
で示される化合物であり、化粧品成分、抗酸化剤、ラジカルスカベンジャーまたは抗炎症剤として用いられることが知られている(特許文献3および4参照)。さらに具体的な用途として、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルは、美肌剤、抗シワ剤、美白剤、皮膚のしみ、そばかす、日焼けの予防・治療薬などとして用いられることが記載されている。
また、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルとオリブ油からなる油状の化粧品も記載されている。
【0005】
しかし、上記油状の化粧品を調製する際に、日本薬局方および化粧品原料基準規格の通常の市販オリブ油を用いる場合、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルの熱安定性が悪いことが判明した。
【0006】
このような背景下に、本発明者らは検討を重ねた結果、(1)L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルおよび過酸化物価の極めて低いオリブ油を含有する皮膚外用剤が優れた熱安定性を有することを見出し、また(2)抗酸化剤を共存させることによって皮膚外用剤の熱安定性がさらに向上することも見出し、これらの新知見に基づき、さらに研究を進めて本発明を完成させた。
【特許文献1】
特開2000−198723号公報
【特許文献2】
特開2000−119156号公報
【特許文献3】
国際公開第01/04114号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第03/006460号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体および過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する、熱安定性に優れた皮膚外用剤を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体(以下、本化合物ということもある。)および過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する皮膚外用剤。
(2)L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体の濃度は下限濃度が0.01w/w%で、上限濃度が10.0w/w%の範囲から選択される上記(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)さらに抗酸化剤を含有するものである上記(1)または(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)抗酸化剤がジブチルヒドロキシトルエンである上記(3)に記載の皮膚外用剤。
(5)ジブチルヒドロキシトルエンの濃度は下限濃度が0.005w/w%で、上限濃度が0.5w/w%の範囲から選択される上記(4)に記載の皮膚外用剤。
(6)化粧品である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
(7)L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−プロパノール付加体0.05〜0.3w/w%、ジブチルヒドロキシトルエン0.01〜0.1w/w%および過酸化物価0〜1.0のオリブ油99.6w/w%〜99.94w/w%を含有する皮膚外用剤に関する。
【0009】
本発明の皮膚外用剤には、化粧品、医薬部外品および医薬品が包含される。
【0010】
本化合物の薬理学的に許容できる塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩およびカルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられるが、これら以外の塩であっても薬理学的に許容できる塩であればいずれのものであっても本発明の目的のため適宜に用いることができる。
【0011】
本化合物の分子が比較的弱い力で溶媒分子と結合する本化合物の溶媒付加体としては、エタノール付加体や1−プロパノール付加体などのアルコール付加体などが挙げられるが、これらのうち、結晶性や熱安定性の点で1−プロパノール付加体が特に好ましい。
【0012】
本発明の皮膚外用剤に含有される本化合物の濃度は、下限濃度が通常0.01w/w%程度、好ましくは0.05w/w%程度、より好ましくは0.1w/w%程度、上限濃度が通常10.0w/w%程度、好ましくは5.0w/w%程度、より好ましくは1.0w/w%程度、さらに好ましくは0.5w/w%程度、特に好ましくは0.3w/w%程度である。本化合物の特に好ましい濃度範囲は0.05w/w%〜0.3w/w%程度である。
【0013】
オリブ油はOlea europaea Linne (Oleaceae)の果実を圧縮して得た脂肪油である。日本薬局方および化粧品原料基準に記載のオリブ油は、酸価(油脂試料1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数で表される。)が1.0以下であり、わずかに特異臭のある微黄色〜黄色の液である。オリブ油の過酸化物価とは油脂中に含まれる過酸化物の量を示す指標であり、油脂にヨウ化カリウムを加えた場合に遊離されるヨウ素を油脂1kgに対するミリ当量数で表される。過酸化物価は酢酸−イソオクタン法によって測定される(基準油脂分析試験法)。
【0014】
本発明の皮膚外用剤に用いられるオリブ油は、過酸化物価が0〜1.0程度の油脂である。
【0015】
本発明の皮膚外用剤に用いられる過酸化物価0〜1.0のオリブ油は、特に吸着精製されたオリブ油が好ましい。たとえば製品名がクロピュアOL(クローダジャパン株式会社製)として市販されているものなどが好適である。とりわけ製造直後のクロピュアOLが好ましい。
【0016】
後記の試験例から明らかなように、本化合物と過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する皮膚外用剤にさらに抗酸化剤を含有させることによって、本化合物の熱安定性がさらに向上する。本発明の皮膚外用剤に含有される抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロールや酢酸トコフェロール等のビタミンE類、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸オクチルなどの没食子酸エステル類などが挙げられるが、これらのうちBHTが特に好ましい。
【0017】
本発明の皮膚外用剤に含有される抗酸化剤の濃度は、用いられる抗酸化剤の種類などによって異なるが、下限濃度が通常0.005w/w%程度、上限濃度が通常0.5w/w%程度である。たとえばBHTの場合、下限濃度が通常0.005w/w%、好ましくは0.01w/w%程度、上限濃度が通常0.5w/w%程度、好ましくは0.1w/w%程度である。BHTの特に好ましい濃度範囲は0.01w/w%〜0.1w/w%程度である。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、美肌の維持、シワの予防・改善に有用であり、さらに、美白の効果が期待できるとともに、皮膚のしみ、そばかす、日焼けの予防・治療にも有用である。
【0019】
本発明の皮膚外用剤には、本発明の目的に反しない限り、通常皮膚外用剤に用いられる成分、たとえば紫外線吸収剤、油脂類、香料などを適宜配合してもよい。
【0020】
紫外線吸収剤としては、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、ウロカニン酸系紫外線吸収剤などが挙げられる。油脂類としては、スクワランなどの炭化水素油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリル酸プロピレングリコールなどのエステル類が挙げられる。香料としては、バラ油、ジャスミン油、ラベンダー油などの天然香料、リモネン、シス−3−ヘキセノール、2,6−ノナジエナール、β−イオノンなどの合成香料が挙げられる。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、自体公知の調製法で、製造することができる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤においては、本発明の目的に反しない限り、その他同種または別種の薬効成分を適宜含有させてもよい。
【0023】
【実施例】
次に、試験例および製剤実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0024】
試験例1 熱安定性試験
試験物質 L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−プロパノール付加体
試験方法
下記処方▲1▼〜▲3▼のオリブ美容油をガラスバイヤル(硼珪酸)ビンに充填し、25℃、40℃、50℃で本化合物の残存率(%)を調べた。
【0025】
その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
オリブ油A:クロピュアOL(過酸化物価0.1未満、クローダジャパン株式会社販売)
オリブ油B:日本薬局方オリブ油(過酸化物価2.5、メルク・ホエイ株式会社販売)
オリブ油AまたはBの過酸化物価は、日本油化学会発行の「基準油脂分析試験法」(1996年)に記載の酢酸−イソオクタン法によって測定した。
【0027】
結 果
表1から明らかなように、25℃、40℃および50℃において本化合物はオリブA油中の方がオリブ油B中より熱安定性に優れていた。また、BHTを配合すると本化合物の50℃での熱安定性がオリブ油A単独の場合よりさらに向上した。
【0028】
製剤実施例1 化粧品
L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−
プロパノール付加体 0.1g
BHT 0.05g
オリブ油(過酸化物価1.0以下) 99.85g
(調製方法)
(1)99.85gのオリブ油を採取する。
(2)(1)液を攪拌しながら、0.05gのBHTを加えて溶かす。
(3)(2)液を約90℃に加熱する。
(4)(3)液に0.1gのL−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−プロパノール付加体を加えて溶かす。
(5)(4)液を攪拌しながら均一に混合し、空冷する。
【0029】
製剤実施例2 化粧品
L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−
プロパノール付加体 0.1g
オリブ油(過酸化物価1.0以下) 99.9g
(調製方法)
(1)99.9gのオリブ油を採取し、90℃に加熱する。
(2)(1)液に0.1gのL−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−プロパノール付加体を加えて溶かす。
(3)(2)液を攪拌しながら均一に混合し、空冷する。
【0030】
製剤実施例3 化粧品
L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−
プロパノール付加体 0.3g
BHT 0.05g
オリブ油(過酸化物価1.0以下) 99.65g
製剤実施例1と同様に調製する。
【0031】
製剤実施例4 化粧品
L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−
プロパノール付加体 0.3g
オリブ油(過酸化物価1.0以下) 99.7g
製剤実施例2と同様に調製する。
【0032】
【発明の効果】
本発明の皮膚外用剤は熱安定性に優れており、美肌剤、抗シワ剤、美白剤、皮膚のしみ、そばかす、日焼けの予防・治療薬などとして有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体および過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する、熱安定性に優れた皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アスコルビン酸誘導体を含有する皮膚外用剤が知られている。たとえば、アスコルビン酸誘導体とジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤を配合したアスコルビン酸類配合製剤が知られている(特許文献1参照)。また、(A)アスコルビン酸誘導体、(B)オリブ油などの植物抽出物、(C)ジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤からなる皮膚外用剤も知られている(特許文献2参照)。さらに、オリブ油、スクワラン、ビタミンCパルミテート、ビタミンEからなる美容オイルなどが市販されている。
一方、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルは下記式(I):
【0003】
【化1】
【0004】
で示される化合物であり、化粧品成分、抗酸化剤、ラジカルスカベンジャーまたは抗炎症剤として用いられることが知られている(特許文献3および4参照)。さらに具体的な用途として、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルは、美肌剤、抗シワ剤、美白剤、皮膚のしみ、そばかす、日焼けの予防・治療薬などとして用いられることが記載されている。
また、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルとオリブ油からなる油状の化粧品も記載されている。
【0005】
しかし、上記油状の化粧品を調製する際に、日本薬局方および化粧品原料基準規格の通常の市販オリブ油を用いる場合、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルの熱安定性が悪いことが判明した。
【0006】
このような背景下に、本発明者らは検討を重ねた結果、(1)L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルおよび過酸化物価の極めて低いオリブ油を含有する皮膚外用剤が優れた熱安定性を有することを見出し、また(2)抗酸化剤を共存させることによって皮膚外用剤の熱安定性がさらに向上することも見出し、これらの新知見に基づき、さらに研究を進めて本発明を完成させた。
【特許文献1】
特開2000−198723号公報
【特許文献2】
特開2000−119156号公報
【特許文献3】
国際公開第01/04114号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第03/006460号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体および過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する、熱安定性に優れた皮膚外用剤を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体(以下、本化合物ということもある。)および過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する皮膚外用剤。
(2)L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体の濃度は下限濃度が0.01w/w%で、上限濃度が10.0w/w%の範囲から選択される上記(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)さらに抗酸化剤を含有するものである上記(1)または(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)抗酸化剤がジブチルヒドロキシトルエンである上記(3)に記載の皮膚外用剤。
(5)ジブチルヒドロキシトルエンの濃度は下限濃度が0.005w/w%で、上限濃度が0.5w/w%の範囲から選択される上記(4)に記載の皮膚外用剤。
(6)化粧品である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
(7)L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−プロパノール付加体0.05〜0.3w/w%、ジブチルヒドロキシトルエン0.01〜0.1w/w%および過酸化物価0〜1.0のオリブ油99.6w/w%〜99.94w/w%を含有する皮膚外用剤に関する。
【0009】
本発明の皮膚外用剤には、化粧品、医薬部外品および医薬品が包含される。
【0010】
本化合物の薬理学的に許容できる塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩およびカルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられるが、これら以外の塩であっても薬理学的に許容できる塩であればいずれのものであっても本発明の目的のため適宜に用いることができる。
【0011】
本化合物の分子が比較的弱い力で溶媒分子と結合する本化合物の溶媒付加体としては、エタノール付加体や1−プロパノール付加体などのアルコール付加体などが挙げられるが、これらのうち、結晶性や熱安定性の点で1−プロパノール付加体が特に好ましい。
【0012】
本発明の皮膚外用剤に含有される本化合物の濃度は、下限濃度が通常0.01w/w%程度、好ましくは0.05w/w%程度、より好ましくは0.1w/w%程度、上限濃度が通常10.0w/w%程度、好ましくは5.0w/w%程度、より好ましくは1.0w/w%程度、さらに好ましくは0.5w/w%程度、特に好ましくは0.3w/w%程度である。本化合物の特に好ましい濃度範囲は0.05w/w%〜0.3w/w%程度である。
【0013】
オリブ油はOlea europaea Linne (Oleaceae)の果実を圧縮して得た脂肪油である。日本薬局方および化粧品原料基準に記載のオリブ油は、酸価(油脂試料1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数で表される。)が1.0以下であり、わずかに特異臭のある微黄色〜黄色の液である。オリブ油の過酸化物価とは油脂中に含まれる過酸化物の量を示す指標であり、油脂にヨウ化カリウムを加えた場合に遊離されるヨウ素を油脂1kgに対するミリ当量数で表される。過酸化物価は酢酸−イソオクタン法によって測定される(基準油脂分析試験法)。
【0014】
本発明の皮膚外用剤に用いられるオリブ油は、過酸化物価が0〜1.0程度の油脂である。
【0015】
本発明の皮膚外用剤に用いられる過酸化物価0〜1.0のオリブ油は、特に吸着精製されたオリブ油が好ましい。たとえば製品名がクロピュアOL(クローダジャパン株式会社製)として市販されているものなどが好適である。とりわけ製造直後のクロピュアOLが好ましい。
【0016】
後記の試験例から明らかなように、本化合物と過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する皮膚外用剤にさらに抗酸化剤を含有させることによって、本化合物の熱安定性がさらに向上する。本発明の皮膚外用剤に含有される抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロールや酢酸トコフェロール等のビタミンE類、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸オクチルなどの没食子酸エステル類などが挙げられるが、これらのうちBHTが特に好ましい。
【0017】
本発明の皮膚外用剤に含有される抗酸化剤の濃度は、用いられる抗酸化剤の種類などによって異なるが、下限濃度が通常0.005w/w%程度、上限濃度が通常0.5w/w%程度である。たとえばBHTの場合、下限濃度が通常0.005w/w%、好ましくは0.01w/w%程度、上限濃度が通常0.5w/w%程度、好ましくは0.1w/w%程度である。BHTの特に好ましい濃度範囲は0.01w/w%〜0.1w/w%程度である。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、美肌の維持、シワの予防・改善に有用であり、さらに、美白の効果が期待できるとともに、皮膚のしみ、そばかす、日焼けの予防・治療にも有用である。
【0019】
本発明の皮膚外用剤には、本発明の目的に反しない限り、通常皮膚外用剤に用いられる成分、たとえば紫外線吸収剤、油脂類、香料などを適宜配合してもよい。
【0020】
紫外線吸収剤としては、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、ウロカニン酸系紫外線吸収剤などが挙げられる。油脂類としては、スクワランなどの炭化水素油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリル酸プロピレングリコールなどのエステル類が挙げられる。香料としては、バラ油、ジャスミン油、ラベンダー油などの天然香料、リモネン、シス−3−ヘキセノール、2,6−ノナジエナール、β−イオノンなどの合成香料が挙げられる。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、自体公知の調製法で、製造することができる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤においては、本発明の目的に反しない限り、その他同種または別種の薬効成分を適宜含有させてもよい。
【0023】
【実施例】
次に、試験例および製剤実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0024】
試験例1 熱安定性試験
試験物質 L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−プロパノール付加体
試験方法
下記処方▲1▼〜▲3▼のオリブ美容油をガラスバイヤル(硼珪酸)ビンに充填し、25℃、40℃、50℃で本化合物の残存率(%)を調べた。
【0025】
その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
オリブ油A:クロピュアOL(過酸化物価0.1未満、クローダジャパン株式会社販売)
オリブ油B:日本薬局方オリブ油(過酸化物価2.5、メルク・ホエイ株式会社販売)
オリブ油AまたはBの過酸化物価は、日本油化学会発行の「基準油脂分析試験法」(1996年)に記載の酢酸−イソオクタン法によって測定した。
【0027】
結 果
表1から明らかなように、25℃、40℃および50℃において本化合物はオリブA油中の方がオリブ油B中より熱安定性に優れていた。また、BHTを配合すると本化合物の50℃での熱安定性がオリブ油A単独の場合よりさらに向上した。
【0028】
製剤実施例1 化粧品
L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−
プロパノール付加体 0.1g
BHT 0.05g
オリブ油(過酸化物価1.0以下) 99.85g
(調製方法)
(1)99.85gのオリブ油を採取する。
(2)(1)液を攪拌しながら、0.05gのBHTを加えて溶かす。
(3)(2)液を約90℃に加熱する。
(4)(3)液に0.1gのL−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−プロパノール付加体を加えて溶かす。
(5)(4)液を攪拌しながら均一に混合し、空冷する。
【0029】
製剤実施例2 化粧品
L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−
プロパノール付加体 0.1g
オリブ油(過酸化物価1.0以下) 99.9g
(調製方法)
(1)99.9gのオリブ油を採取し、90℃に加熱する。
(2)(1)液に0.1gのL−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−プロパノール付加体を加えて溶かす。
(3)(2)液を攪拌しながら均一に混合し、空冷する。
【0030】
製剤実施例3 化粧品
L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−
プロパノール付加体 0.3g
BHT 0.05g
オリブ油(過酸化物価1.0以下) 99.65g
製剤実施例1と同様に調製する。
【0031】
製剤実施例4 化粧品
L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−
プロパノール付加体 0.3g
オリブ油(過酸化物価1.0以下) 99.7g
製剤実施例2と同様に調製する。
【0032】
【発明の効果】
本発明の皮膚外用剤は熱安定性に優れており、美肌剤、抗シワ剤、美白剤、皮膚のしみ、そばかす、日焼けの予防・治療薬などとして有用である。
Claims (7)
- L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体および過酸化物価0〜1.0のオリブ油を含有する皮膚外用剤。
- L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステルもしくはその薬理学的に許容できる塩またはその溶媒付加体の濃度は下限濃度が0.01w/w%で、上限濃度が10.0w/w%の範囲から選択される請求項1に記載の皮膚外用剤。
- さらに抗酸化剤を含有するものである請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
- 抗酸化剤がジブチルヒドロキシトルエンである請求項3に記載の皮膚外用剤。
- ジブチルヒドロキシトルエンの濃度は下限濃度が0.005w/w%で、上限濃度が0.5w/w%の範囲から選択される請求項4に記載の皮膚外用剤。
- 化粧品である請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用剤。
- L−アスコルビン酸−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールエステル・1−プロパノール付加体0.05〜0.3w/w%、ジブチルヒドロキシトルエン0.01〜0.1w/w%および過酸化物価0〜1.0のオリブ油99.6w/w%〜99.94w/w%を含有する皮膚外用剤。
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-
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- 2003-02-21 JP JP2003044906A patent/JP2004250413A/ja not_active Withdrawn
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