JP2004250249A - 塑性セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

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Sueo Shimazu
季朗 嶋津
Masatsugu Miura
正嗣 三浦
Hiroaki Kuno
裕明 久野
Taro Kojima
太郎 小島
Toshiya Ogawa
俊哉 小河
Kenichi Ota
健一 太田
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AKOO CERAMIC KK
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Abstract

【課題】大きな塑性を発揮し、かつ簡易に製造可能であることにより製造コストの低廉化も実現可能な塑性セラミックスを提供する。
【解決手段】実質的にAl分、TiO分及びMgO分からなる原料が焼成されてなる。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塑性セラミックス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なセラミックスは、塑性変形を起こし難く、荷重に対して弾性限界で急激に亀裂が進展し、破壊してしまう。このいわゆる脆性破壊は、耐熱性等の利点を有するセラミックスの欠点であり、セラミックスの種々の用途への普及を制限する一因となっている。
【0003】
このため、セラミックスを金属や樹脂の粒子や繊維と複合化することによってその部材の塑性を確保しようとする試みがなされている。一方、特許文献1には、チタン酸アルミニウム(AlTiO)を主成分とした高破断歪セラミックスも開示されてはいる。この高破断歪セラミックスは、チタン酸アルミニウムとともに、コランダム(α−Al)、ムライト(Al4+2xSi2−2x10−x(0≦x≦1))及びルチル(TiO)の少なくとも1種が含まれてなるものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−26544号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、セラミックスに金属や樹脂の粒子や繊維を複合化しようとすると、製造方法が複雑になり、コストが高騰化することが懸念されるとともに、異種材料との複合化によりセラミックス特有の耐熱性等の利点が損なわれやすいという問題もある。
【0006】
一方、発明者らの試験結果によれば、上記特許文献1開示の高破断歪セラミックスは大きな塑性を発揮するとはいい難い。また、この高破断歪セラミックスは、所定量のAl分及びTiO分とともに、所定量のSiO分及びFe分を含有しており、やはり、製造方法が複雑であり、コストが高騰化することが懸念される。このため、この高破断歪セラミックスは、種々の用途に適用し難いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、大きな塑性を発揮し、かつ簡易に製造可能であることにより製造コストの低廉化も実現可能な塑性セラミックスを提供することを解決すべき課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題解決のために鋭意研究を行い、実質的にAl分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分からなる原料を焼成することによって塑性セラミックスが得られることを発見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の塑性セラミックスは、実質的にAl分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分からなる原料が焼成されてなることを特徴とする。
【0009】
発明者らの考察によれば、Al及びTiOがチタン酸アルミニウム(AlTiO)の結晶を構成するとともに、アルカリ土類酸化物がAl及び/又はTiOとともに他の結晶を構成する。本発明の塑性セラミックスでは、これらの結晶が固溶して柱状結晶をなしており、粒界にマイクロクラックを有して各柱状結晶が互いに絡み合い、歪みを高い値で示して大きな塑性変形を可能にしている。
【0010】
本発明の塑性セラミックスは、Al分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分からなる原料を単に焼成することによって得られる。しかも、発明者らの試験結果によれば、原料のAl分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分が広い割合で本発明の塑性セラミックスが得られる。このため、製造方法が簡易であり、コストの低廉化を実現できる。また、この塑性セラミックスは、成分が全て無機酸化物からなるため、セラミックス特有の耐熱性等の利点も発揮する。
【0011】
したがって、本発明の塑性セラミックスは、大きな塑性を発揮し、かつ簡易に製造可能であることにより製造コストの低廉化も実現可能である。
【0012】
本発明の塑性セラミックスの用途としては、例えば、耐熱性を有しつつ、歪応力を緩和させることを目的としたパッキンやシール材等が考えられる。歪応力を緩和させることを目的とするものは、通常、樹脂やゴム製のものであるが、それらは耐熱性に劣り、かつ劣化しやすい。この点、本発明の塑性セラミックスをそれに用いれば、耐熱性に優れ、かつ劣化し難い。また、耐熱性を有しつつ、比較的自由に変形可能なフィルタ等に用いることもできる。さらに、歪特性を生かしつつ、曲面に合わせて容易に貼着可能な建材等に用いることもできる。
【0013】
「実質的に」とは、原料がAl分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分以外に不可避のSiO分、Fe分等を含有していてもよいことを意味する。
【0014】
Al分を含む原料としては、Al、Al(OH)等を採用することができる。TiO分を含む原料としては、TiO等を採用することができる。発明者らの考察によれば、アルカリ土類酸化物分として、MgO分、CaO分、BaO分等を用いることができると考えられる。MgO分を含む原料としては、MgCO、Mg(OH)等を採用することができる。CaO分を含む原料としては、CaCO。Ca(OH)等を採用することができる。BaO分を含む原料としては、BaCO、Ba(OH)等を採用することができる。発明者らの試験結果によれば、MgO分をアルカリ土類酸化物分として採用すれば、チタン酸マグネシウムの結晶が構成され、塑性セラミックスが高い値の歪みを示す。
【0015】
発明者らの試験結果によれば、MgO分をアルカリ土類酸化物分として採用する場合、Al分、TiO分及びMgO分の合計を100質量%として、Al分が26質量%以上57質量%以下であり、TiO分が43質量%以上63質量%以下であり、MgO分が11質量%以下であることが好ましい。こうして得られる塑性セラミックスが高い値の歪を示す。
【0016】
本発明の塑性セラミックスは、本発明の塑性セラミックスの製造方法により製造することができる。この製造方法は、実質的にAl分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分からなる原料により調合物を得る調合工程と、該調合物を成形して成形体とする成形工程と、該成形体を焼成して塑性セラミックスを得る焼成工程とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の塑性セラミックスの製造方法では、調合工程によって実質的にAl分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分からなる原料により調合物を得、成形工程によってその調合物を成形体とし、焼成工程によってその成形体を焼成して塑性セラミックスを得る。
【0018】
発明者らの試験結果によれば、焼成工程を1400〜1600°Cで行うことが好ましい。焼成工程が1400°C未満では柱状結晶の成長が十分でなく、歪みが小さい。他方、焼成温度が1600°Cを超えれば、曲げ強度が低くなり、好ましくない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。実施形態では、以下に示す試験例1〜6を行う。
【0020】
(試験例1)
試験例1の製造方法では、図1に示す調合工程S10において、表1に示す質量部の割合になるように、Al分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分からなる原料を混合する。アルカリ土類酸化物分としてはMgO分を用いている。ここでは、Al分を50.0質量部、TiO分を50.0質量部に固定し、MgO分を0.0〜20.0質量部で変化させている。つまり、Al分、TiO分及びMgO分が全体で100質量%となる場合、Al分が0.41.67〜50.00質量%、TiO分が41.67〜50.00質量%及びMgO分が0.00〜16.66質量%で変化することとなる。そして、各混合物を1時間ボールミルで湿式粉砕し、粉砕物を120°Cで乾燥し、乾燥物を目開き0.5mmの篩いを通して調合物とする。
【0021】
【表1】
Figure 2004250249
【0022】
次に、成形工程S20において、各調合物を500kgf/cmの圧力で乾式プレス成形し、成形体とする。
【0023】
そして、焼成工程S30において、各成形体を電気炉に入れ、1400、1500又は1600(°C)で2時間焼成する。こうして、試料No.1〜34の塑性セラミックスを得る。各塑性セラミックスの大きさは10(mm)×64(mm)×5(mm)である。
【0024】
各試料No.1〜34の塑性セラミックスに関し、収縮率(%)、かさ密度(g/cm)及び開気孔率(%)を測定することにより、各試料No.1〜34の塑性セラミックスの物性を調べる。その結果も表1に示す。なお、かさ密度(g/cm)は、アルキメデス法を用いて測定している。
【0025】
また、各試料No.1〜34の塑性セラミックスにおける曲げ強度(MPa)をオートグラフを用いて測定する。その際、オートグラフの測定スパンを40(mm)、そのクロスヘッドスピードを0.5(mm/min)として3点曲げ試験を行う。特に、3点曲げ試験を行う際、各試料No.1〜34の塑性セラミックスが破断するまでの間に生じる歪(%)を測定する。その結果も表1に示す。
【0026】
表1より、各試料No.1〜34の塑性セラミックスは0.12〜2.01(%)の大きな歪を示すことがわかる。
【0027】
また、1400、1500及び1600(°C)で焼成した場合の各試料No.1〜33に関するグラフを図2〜5に示す。図2に示すグラフは、MgO分の質量部を変化させた場合のかさ密度(g/cm)の変化を示す。また、図3に示すグラフは、MgO分の質量部を変化させた場合の開気孔率(%)の変化を示す。さらに、図4に示すグラフは、MgO分の質量部を変化させた場合の曲げ強度(MPa)の変化を示す。また、図5に示すグラフは、MgO分の質量部を変化させた場合の歪(%)の変化を示す。
【0028】
図5に示すように、MgO分の質量部を変化させた場合の歪(%)の変化を見ると、1500(°C)と1600(°C)とで焼成した場合のグラフがほぼ同じ軌道を描くことがわかる。特に、1500〜1600(°C)で焼成することにより、その塑性セラミックスが高い値の歪を示す。
【0029】
さらに、1500(°C)で焼成した試料No.2、5、20、32及び34に関し、SEM写真(約1500倍)を撮影する。図6に示すSEM写真が試料No.2のものであり、図7に示すSEM写真が試料No.5のものであり、図8に示すSEM写真が試料No.20のものであり、図9に示すSEM写真が試料No.32のものであり、図10に示すSEM写真が試料No.34のものである。図6〜10に示すように、試料No.2、5、20、32及び34のSEM写真には、AlTiOの結晶及びMgTiの結晶が固溶したと思われる柱状結晶が写しだされている。特に、図8に示す試料No.20のSEM写真によれば、試料No.20の塑性セラミックスには、他の塑性セラミックスに比して明確な柱状結晶の存在を確認することができる。
【0030】
また、試料No.20と同じ割合からなり、1400(°C)で焼成した試料No.19のSEM写真(約1500倍)を図11に示す。試料No.19の塑性セラミックスにおいても、柱状粒子の存在を確認することができる。特に、図8に示す試料No.20のSEM写真と図11に示す試料No.19のSEM写真とを比較することにより、図8に示すSEM写真では、試料No.20の塑性セラミックスに大きく粒成長した柱状結晶の存在を確認することができる。以上のことから、焼成工程S30を1400〜1600(°C)で行うことが好ましい。
【0031】
(試験例2)
試験例2の塑性セラミックスの製造方法では、試験例1と同様の条件の下、表2に示す質量部の割合になるように塑性セラミックスを製造する。ここでは、MgO分を3.0質量部に固定し、Al分を30.0〜90.0質量部、TiO分を70.0〜10.0質量部で変化させている。つまり、Al分、TiO分及びMgO分が全体で100質量%となる場合、MgO分が2.91質量%に固定され、Al分が29.13〜87.38質量%及びTiO分が9.71〜67.96質量%で変化することとなる。こうして、試料No.35〜44の塑性セラミックスを得る。
【0032】
【表2】
Figure 2004250249
【0033】
各試料No.35〜44の塑性セラミックスに関し、試験例1と同様、収縮率(%)、かさ密度(g/cm)及び開気孔率(%)を測定する。また、各試料No.35〜44の塑性セラミックスにおける曲げ強度(MPa)も測定し、各試料No.35〜44の塑性セラミックスが破断するまでの間に生じる歪(%)も測定する。その結果も表2に示す。
【0034】
表2より、各試料No.35〜44の塑性セラミックスでは、0.17〜0.31(%)の大きな歪が生じることがわかる。
【0035】
また、1400、1500及び1600(°C)で焼成した場合の試料No.19〜21、35〜44に関するグラフを図12〜15に示す。図12に示すグラフは、Al分の質量部を変化させた場合のかさ密度(g/cm)の変化を示す。また、図13に示すグラフは、Al分の質量部を変化させた場合の開気孔率(%)の変化を示す。さらに、図14に示すグラフは、Al分の質量部を変化させた場合の曲げ強度(MPa)の変化を示す。また、図15に示すグラフは、Al分の質量部を変化させた場合の歪(%)の変化を示す。さらに、1500(°C)で焼成した場合の試料No.42のSEM写真(約1500倍)を図16に示す。図8に示す試料No.20のSEM写真と図16に示す試料No.42のSEM写真とを比較することにより、図8に示すSEM写真により、試料No.20の塑性セラミックスに大きく粒成長した柱状結晶の存在を確認することができる。
【0036】
(試験例3)
試験例3の塑性セラミックスの製造方法では、試験例1と同様の条件の下、表3に示す質量部の割合になるように塑性セラミックスを製造する。ここでは、チタン酸アルミニウム(AlTiO)の結晶とチタン酸マグネシウム(MgTi)の結晶とが固溶して柱状結晶が得られていると仮定している。そして、AlTiOのモル比が1.000〜0.000まで変化し、MgTiのモル比が0.000〜1.000まで変化した場合、Al分、TiO分及びMgO分が全体で100質量%となるようにしたものを試料No.45〜72としている。また、焼成工程S30において、1400、1450、1500又は1550(°C)で焼成する。こうして、試料No.45〜72の塑性セラミックスを得る。
【0037】
【表3】
Figure 2004250249
【0038】
試料No.45〜72の塑性セラミックスに関し、試験例1と同様、収縮率(%)、かさ密度(g/cm)及び開気孔率(%)を測定する。また、各試料No.45〜72の塑性セラミックスにおける曲げ強度(MPa)も測定し、各試料No.45〜72の塑性セラミックスが破断するまでの間に生じる歪(%)も測定する。その結果も表3に示す。
【0039】
表3より、各試料No.45〜72の塑性セラミックスは、0.27〜2.59(%)の大きな歪が生じることがわかる。
【0040】
また、1400、1450、1500及び1550(°C)で焼成した場合の試料No.45〜72に関するグラフを図17に示す。図17に示すグラフは、表3に示すMgO分を質量%から質量部に換算し直したものであり、MgO分の質量部を変化させた場合の歪(%)の変化を示している。さらに、1500°Cで焼成した試料No.47、55、67、71の塑性セラミックスに関するグラフを図18、19に示す。図18に示すグラフは、試料No.47、55、67、71の塑性セラミックスについてX線解析を行った結果である。また、図19に示すグラフは、図18に示すグラフを一部拡大したものである。図18及び19に示すグラフにより、試料No.55、76の塑性セラミックスでは、AlTiOの結晶及びMgTiの結晶による柱状結晶を確実に形成していることがわかる。
【0041】
また、試料No.53〜56の塑性セラミックスに関し、SEM写真(約1500倍)を撮影する。図20に示すSEM写真が試料No.53のものであり、図21に示すSEM写真が試料No.54のものであり、図22に示すSEM写真が試料No.55のものであり、図23に示すSEM写真が試料No.56のものである。図20〜23に示す試料No.53〜56のSEM写真により、焼成温度の変化(1400〜1550(°C))に従って、柱状結晶が大きく成長していることがわかる。
【0042】
さらに、1500(°C)で焼成した試料No.47、51、55、59、63及び71の塑性セラミックスに関し、SEM写真(約350倍)を撮影する。図24に示すSEM写真が試料No.47のものであり、図25に示すSEM写真が試料No.51のものであり、図26に示すSEM写真が試料No.55のものであり、図27に示すSEM写真が試料No.59のものであり、図28に示すSEM写真が試料No.63のものであり、図29に示すSEM写真が試料No.71のものである。図24〜29に示す試料No.51、55、59及び63のSEM写真により、柱状結晶の存在を確認することができる。
【0043】
(試験例4)
試験例4の塑性セラミックスの製造方法では、試験例1と同様の条件の下、表4に示す質量部の割合になるように塑性セラミックスを製造する。ここでは、Al分とTiO分とのモル比が1:1になるように、Al分を50.98質量部、TiO分を39.95質量部で固定し、MgO分を0.00〜3.02質量部まで変化させている。つまり、Al分、TiO分及びMgO分が全体で100質量%となる場合、Al分が54.26〜56.07質量%、TiO分が42.52〜43.93質量%及びMgO分が0.00〜3.22質量%で変化することとなる。また、焼成工程S30において、1500(°C)で焼成する。こうして、試料No.73〜76の塑性セラミックスを得る。
【0044】
【表4】
Figure 2004250249
【0045】
試料No.73〜76の塑性セラミックスに関し、試験例1と同様、曲げ強度(MPa)を測定する。また、各試料No.73〜76の塑性セラミックスが破断するまでの間に生じる歪(%)を測定する。その結果も表4に示す。
【0046】
表4より、各試料No.73〜76の塑性セラミックスでは、0.26〜0.95(%)の大きな歪が生じることがわかる。また、Al分とTiO分とのモル比が1:1になる場合、Al分が50.98質量部、TiO分が39.95質量部、MgO分が1.01質量部であれば、塑性セラミックスが高い値の歪を生じることができる。
【0047】
試験例1〜4によって得られた結果から、1500(°C)の焼成温度で焼成された塑性セラミックスで生じ得る歪は、図30に示す三成分系組成図に示す範囲で表示される。特に、Al分、TiO分及びMgO分の合計を100質量%として、Al分が26質量%以上57質量%以下であり、TiO分が43質量%以上63質量%以下であり、MgO分が11質量%以下であれば、塑性セラミックスは枠線Aに示す範囲内で高い値の歪を生じることができる。
【0048】
(試験例5)
試験例5の塑性セラミックスの製造方法では、試験例1と同様の条件の下、表5に示す質量部の割合になるように塑性セラミックスを製造する。アルカリ土類酸化物分としてはBaO分(BaCO)を用いている。ここでは、Al分を50.0質量部、TiO分を50.0質量部及びBaCO分を3.0質量部に固定している。つまり、Al分、TiO分及びMgO分が全体で100質量%となる場合、Al分が48.54質量%、TiO分が48.54質量%及びBaCO分が2.91質量%で固定されている。また、焼成工程S30において、1400、1500及び1600(°C)で焼成する。こうして、試料No.77〜79の塑性セラミックスを得る。
【0049】
【表5】
Figure 2004250249
【0050】
試料No.77〜79の塑性セラミックスに関し、試験例1と同様、収縮率(%)、かさ密度(g/cm)及び開気孔率(%)を測定する。また、各試料No.77〜79の塑性セラミックスにおける曲げ強度(MPa)も測定し、各試料No.77〜79の塑性セラミックスが破断するまでの間に生じる歪(%)も測定する。その結果も表5に示す。
【0051】
表5より、各試料No.77〜79の塑性セラミックスは、BaO分によっても歪を生じることがわかる。
【0052】
(試験例6)
試験例6の塑性セラミックスの製造方法では、試験例1と同様の条件の下、表6に示す質量%の割合になるように塑性セラミックスを製造する。アルカリ土類酸化物分としてはCaO分(CaO)を用いている。こうして、試料No.80〜82の塑性セラミックスを得る。
【0053】
【表6】
Figure 2004250249
【0054】
試料No.80〜82の塑性セラミックスに関し、試験例1と同様、収縮率(%)、かさ密度(g/cm)及び開気孔率(%)を測定する。また、各試料No.80〜82の塑性セラミックスにおける曲げ強度(MPa)も測定し、各試料No.80〜82の塑性セラミックスが破断するまでの間に生じる歪(%)も測定する。その結果も表6に示す。
【0055】
表6より、各試料No.80〜82の塑性セラミックスは、CaO分によっても歪を生じることがわかる。
【0056】
以上のようにして、試験例1〜6の塑性セラミックスでは、チタン酸アルミニウム(AlTiO)の結晶と、アルカリ土類酸化物がAl及び/又はTiOとともに構成する結晶とが固溶して柱状結晶をなし、粒界にマイクロクラックを有して各柱状結晶が互いに絡み合い、歪みを高い値で示して大きな塑性変形を可能にしていると考えられる。
【0057】
以上の評価から、試験例1〜6の塑性セラミックスは、大きな塑性を発揮し、かつ簡易に製造可能であることにより製造コストの低廉化も実現可能であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係り、塑性セラミックスの製造方法の工程図である。
【図2】実施形態の試験例1に係り、MgO分の質量部の変化に対するかさ密度(g/cm)の変化のグラフである。
【図3】実施形態の試験例1に係り、MgO分の質量部の変化に対する開気孔率(%)の変化のグラフである。
【図4】実施形態の試験例1に係り、MgO分の質量部の変化に対する曲げ強度(MPa)の変化のグラフである。
【図5】実施形態の試験例1に係り、MgO分の質量部の変化に対する歪(%)の変化のグラフである。
【図6】実施形態の試験例1に係り、試料No.2のSEM写真である。
【図7】実施形態の試験例1に係り、試料No.5のSEM写真である。
【図8】実施形態の試験例1に係り、試料No.20のSEM写真である。
【図9】実施形態の試験例1に係り、試料No.32のSEM写真である。
【図10】実施形態の試験例1に係り、試料No.34のSEM写真である。
【図11】実施形態の試験例1に係り、試料No.19のSEM写真である。
【図12】実施形態の試験例2に係り、Al分の質量部の変化に対するかさ密度(g/cm)の変化のグラフである。
【図13】実施形態の試験例2に係り、Al分の質量部の変化に対する開気孔率(%)の変化のグラフである。
【図14】実施形態の試験例2に係り、Al分の質量部の変化に対する曲げ強度(MPa)の変化のグラフである。
【図15】実施形態の試験例2に係り、Al分の質量部の変化に対する歪(%)の変化のグラフである。
【図16】実施形態の試験例2に係り、試料No.42のSEM写真である。
【図17】実施形態の試験例3に係り、MgO分の質量部の変化に対する歪(%)の変化のグラフである。
【図18】実施形態の試験例3に係り、試料No.47、55、67、71のエックス線解析のグラフである。
【図19】実施形態の試験例3に係り、試料No.47、55、67、71のエックス線解析のグラフの一部拡大図である。
【図20】実施形態の試験例3に係り、試料No.53のSEM写真である。
【図21】実施形態の試験例3に係り、試料No.54のSEM写真である。
【図22】実施形態の試験例3に係り、試料No.55のSEM写真である。
【図23】実施形態の試験例3に係り、試料No.56のSEM写真である。
【図24】実施形態の試験例3に係り、試料No.47のSEM写真である。
【図25】実施形態の試験例3に係り、試料No.51のSEM写真である。
【図26】実施形態の試験例3に係り、試料No.55のSEM写真である。
【図27】実施形態の試験例3に係り、試料No.59のSEM写真である。
【図28】実施形態の試験例3に係り、試料No.63のSEM写真である。
【図29】実施形態の試験例3に係り、試料No.71のSEM写真である。
【図30】実施形態の試験例1〜4に係り、歪の範囲を示す三成分系組成図である。
【符号の説明】
S10…調合工程
S20…成形工程
S30…焼成工程

Claims (5)

  1. 実質的にAl分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分からなる原料が焼成されてなることを特徴とする塑性セラミックス。
  2. 前記アルカリ土類酸化物分はMgO分であることを特徴とする請求項1記載の塑性セラミックス。
  3. 前記Al分、前記TiO分及び前記MgO分の合計を100質量%として、該Al分が26質量%以上57質量%以下であり、該TiO分が43質量%以上63質量%以下であり、該MgO分が11質量%以下であることを特徴とする請求項2記載の塑性セラミックス。
  4. 実質的にAl分、TiO分及びアルカリ土類酸化物分からなる原料により調合物を得る調合工程と、
    該調合物を成形して成形体とする成形工程と、
    該成形体を焼成して塑性セラミックスを得る焼成工程とを有することを特徴とする塑性セラミックスの製造方法。
  5. 前記焼成工程を1400〜1600°Cで行うことを特徴とする請求項4記載の塑性セラミックスの製造方法。
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