JP2004249571A - インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク溜まりの気泡の除去を低コストで実現してインク供給不良及びインク吐出不良を防止したインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置を提供する。
【解決手段】ノズル開口に連通する複数の溝と、当該溝のそれぞれにインクを供給するインク室と、インクが貯留されたインク貯留手段と前記インク室とを連通するインク溜り31とを有するインクジェットヘッドにおいて、前記インク溜まり31の気泡3が溜まる領域に排出孔33を介して連通する空気溜まり部100を有し、該空気溜まり部100は、インク充填前の当該空気溜まり部100内の空気を実質的に排出した収縮状態と、インク充填後に、前記インク溜まりに溜まった気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態とに変化するようにする。
【選択図】 図6
【解決手段】ノズル開口に連通する複数の溝と、当該溝のそれぞれにインクを供給するインク室と、インクが貯留されたインク貯留手段と前記インク室とを連通するインク溜り31とを有するインクジェットヘッドにおいて、前記インク溜まり31の気泡3が溜まる領域に排出孔33を介して連通する空気溜まり部100を有し、該空気溜まり部100は、インク充填前の当該空気溜まり部100内の空気を実質的に排出した収縮状態と、インク充填後に、前記インク溜まりに溜まった気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態とに変化するようにする。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プリンタ、ファックスなどに適用されるインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数のノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを用いて被記録媒体に文字や画像を記録するインクジェット式記録装置が知られている。かかるインクジェット式記録装置では、被記録媒体に対向するインクジェットヘッドはヘッドホルダに固定され、ヘッドホルダがキャリッジに搭載されて被記録媒体の搬送方向とは直交する方向に走査される。
【0003】
このようなインクジェットヘッドとしては、例えば、圧電セラミックプレートにノズル開口と連通する溝状のチャンバを設け、このチャンバの両側の側壁に電極を形成して、側壁に電界を印加することで、チャンバの容積を変化させてノズル開口からインク滴を吐出させるヘッドチップが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように構成されるインクジェットヘッドでは、製造直後にインクジェット式記録装置に組み込んだ際や、インクジェットヘッドの交換及びインク貯留部の交換などを行った際などに、インク貯留部とチャンバとの間のインク流路及びチャンバ内に空気が侵入する。このように侵入した空気によって、チャンバへのインク供給不良や、インク吐出不良などが発生してしまう。このため、ノズル開口からチャンバ及びインク流路内を吸引することで、チャンバ及びインク流路内にインクを充填し、チャンバ及びインク流路内の気泡の除去を行っていた。
【0005】
しかしながら、インク流路には、インク貯留部とチャンバとを連通するインク溜まりが設けられており、ノズル開口からインクを吸引してもインク溜まり内には、インクの流れには実質的に干渉されない領域に気泡が溜まってしまう。この気泡によって、インク溜まりの容積が変化してしまい、並設されたチャンバの中央部の領域と両端部側の領域とではインクの供給量が異なってしまい、インク供給不良及びインク吐出不良などが発生するという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するため、インクタンクからインクジェットヘッドへのインクを授受するインク授受部に気泡を外部に排出する気泡排出路を設け、気泡排出路の他端に吸引手段を設けたインクタンク、インクジェットヘッド、インクジェット記録ユニット及びプリンタが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−265334号公報(第4〜6頁、第1〜4図)
【0008】
【特許文献2】
特開2002−337352号公報(第4〜5頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、気泡排出路を設け、吸引手段により気泡を吸引する従来のインクジェットヘッドでは、吸引手段として吸引ポンプ等の吸引装置が必要となり、インクジェットヘッドが複雑となると共に、高コストとなってしまうという問題がある。
【0010】
また、不飽和インクに気泡を溶け込ませる方法もあるが、気泡が溶けるまでに時間がかかると共に特殊なインクが必要となるという問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、インク溜まりの気泡の除去を低コストで実現してインク供給不良及びインク吐出不良を防止したインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する複数の溝と、当該溝のそれぞれにインクを供給するインク室と、インクが貯留されたインク貯留手段と前記インク室とを連通するインク溜りとを有するインクジェットヘッドにおいて、前記インク溜まりの気泡が溜まる領域に排出孔を介して連通する空気溜まり部を有し、該空気溜まり部は、インク充填前の当該空気溜まり部内の空気を実質的に排出した収縮状態と、インク充填後に、前記インク溜まりに溜まった気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態とを具備することを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記空気溜まり部の前記収縮状態が、インク充填時に前記ノズル開口側から吸引することにより行われることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記空気溜まり部を前記収縮状態とする収縮手段を具備することを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記インク溜まり部の前記収縮状態から前記膨張状態の最大まで変化する容積が、前記インク溜まりの容積以上であることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様のインクジェットヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0017】
かかる本発明では、充填前に収縮状態となると共に、インク充填後にインク溜まりの気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態となる空気溜まり部を設けるようにしたため、インク溜まり内の気泡の除去を容易に且つ低コストで実現できる。これにより、インク供給不良及びインク吐出不良を確実に防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るインクジェットヘッドの斜視図である。図2は、インクジェットヘッドの要部を示す断面図であり、図3は、ヘッドチップの分解斜視図及び斜視断面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態のインクジェットヘッド10は、ヘッドチップ20と、この一方面側に設けられる流路基板30と、ヘッドチップ20を駆動するための駆動回路等が搭載された配線基板40と、ヘッドチップ20内の圧力変化を緩和させるエアーダンパ50とを有し、これらの各部材は、それぞれベースプレート60に固定されている。
【0021】
まず、ヘッドチップ20について説明する。図3に示すように、ヘッドチップ20を構成する圧電セラミックプレート21には、ノズル開口22に連通する複数の溝からなるチャンバ23が並設され、各チャンバ23は、側壁24で隔離されている。各チャンバ23の長手方向の一端部は圧電セラミックプレート21の一端面まで延設されており、他端部は、他端面まで延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。この圧電セラミックプレート21に形成される各チャンバ23は、例えば、円盤状のダイスカッターにより形成され、深さが徐々に浅くなった部分は、ダイスカッターの形状により形成される。
【0022】
また、これら各チャンバ23の幅方向両側の側壁24には、チャンバ23の長手方向に亘って、側壁24を駆動させるための電界を印加する電極25が形成されている。この各チャンバ23内に形成される電極25は、例えば、公知の斜め方向からの蒸着により形成される。
【0023】
このようなチャンバ23の両側の側壁24の開口側に設けられた電極25には、フレキシブルプリントケーブル(FPC)等の外部配線41の一端が接合され、外部配線41の他端側は、配線基板40上の図示しない駆動回路に接合されることで、電極25は駆動回路に電気的に接続されている。
【0024】
さらに、圧電セラミックプレート21のチャンバ23の開口側には、インク室プレート26が接合されている。このインク室プレート26には、各チャンバ23のそれぞれに共通なインク室となる共通インク室27と、この共通インク室27に連通して各チャンバ23内にインクを供給するインク供給口27aとが設けられている。
【0025】
なお、インク室プレート26は、セラミックプレート、金属プレートなどで形成することができるが、圧電セラミックプレート21との接合後の変形を考えると、熱膨張率の近似したセラミックプレートを用いることが好ましい。
【0026】
また、圧電セラミックプレート21とインク室プレート26との接合体のチャンバ23が開口している端面には、ノズルプレート28が接合されており、ノズルプレート28の各チャンバ23に対向する位置にはノズル開口22が形成されている。
【0027】
本実施形態では、ノズルプレート28は、圧電セラミックプレート21とインク室プレート26との接合体のチャンバ23が開口している端面の面積よりも大きくなっている。このノズルプレート28は、ポリイミドフィルムなどに、例えば、エキシマレーザ装置を用いてノズル開口22を形成したものである。また、図示しないが、ノズルプレート28の被印刷物に対向する面には、インクの付着等を防止するための撥水性を有する撥水膜が設けられている。
【0028】
さらに、この圧電セラミックプレート21とインク室プレート26との接合体の各チャンバ23が開口している端面側の外周面には、この接合体が係合する係合孔28が設けられたノズル支持プレート29が接合されている。なお、このノズル支持プレート29は、ノズルプレート28の接合体端面の外側と接合されて、ノズルプレート28を安定して保持するためのものである。
【0029】
そして、このような構成のヘッドチップ20は、圧電セラミックプレート21のインク室プレート26とは反対側の面がベースプレート60に接合固定されており、インク室プレート26の一方面側には、流路基板30が接着剤等によって接合され、インク室プレート26の一方面はこの流路基板30によって封止されている。なお、この流路基板30は、インク室プレート26と流路基板30との間が完全に密封されるように固定されていればよく、例えば、インク室プレート26と流路基板30との間にOリングを設け、流路基板30をねじ部材等で固定するようにしてもよい。
【0030】
ここで、流路基板30について詳細に説明する。なお、図4は、本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの流路基板の上面図であり、図5は、流路基板の斜視図である。
【0031】
図4に示すように、流路基板30は、本実施形態では、内部に画成されたインク溜り31と、インク溜まり31の長手方向中央に設けられてインクが供給されるインク供給路32と、インク溜まり31の長手方向両側にそれぞれ設けられてインク溜り31内の気泡を排出する排出孔33とを具備する。
【0032】
また、インク供給路32には、図1に示すように、インクタンクにインク供給管51を介して接続されて所定量のインクを一時的に貯留するエアーダンパ50が接続されている。このエアーダンパ50は、ヘッドチップ20の共通インク室27及びチャンバ23内のインクの圧力調整を行うものである。詳しくは、インクジェットヘッド10が主走査方向に移動した際に、ヘッドチップ20内の圧力が変化し、ノズル開口22にインクの表面張力によって形成されたメニスカスが破壊されてしまう虞があり、このヘッドチップ20内の圧力変化をエアーダンパ50によって調整することで、安定したメニスカスを保持してインクを吐出できるようにするものである。また、エアーダンパ50は、その内部に所定量のインクと空気とを貯留することで、インク供給管51内の気泡がヘッドチップ20に混入するのを防止する気泡貯留にも寄与している。
【0033】
このような流路基板30のインク溜り31の共通インク室27a側の端部には、フィルタ34が設けられており、このフィルタ34によってある程度のゴミ、気泡等が除去されて共通インク室27a内にインクが供給されるようになっている。なお、このフィルタ34は、ヘッドチップ20からインクを吐出させる際に、各チャンバ23に対して背圧を発生させる作用もある。
【0034】
一方、流路本体32の長手方向両側にそれぞれ設けられた排出孔33には、インク溜まり31内の気泡を除去する空気溜まり部100が設けられている。
【0035】
この空気溜まり部100は、本実施形態では、側面が蛇腹状に形成された円筒形状を有する弾性部材で形成され、空気溜まり部100は、側面の蛇腹状の襞が伸縮することで、内部の容積を変形させるようになっている。
【0036】
なお、空気溜まり部100の材料としては、弾性部材であれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレン等の高分子材料などを挙げることができる。また、空気溜まり部100は、流路基板30に圧入及び接着により固定してもよく、また、流路基板30と共に一体成形により形成するようにしてもよい。
【0037】
ここで、空気溜まり部100は、インク充填前に空気溜まり部100内の空気を実質的に排出した収縮状態と、インク充填後にインク溜まり31に溜まった気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態とを具備し、収縮状態から膨張状態に変化することで、インク溜まり31に溜まった気泡を内部に吸引して、インク溜まり内の気泡を除去するようになっている。
【0038】
ここで、空気溜まり部100を用いたインク充填順序について説明する。なお、図6及び図7は、インクの充填順序を示す流路基板の断面図である。
【0039】
インクジェットヘッド10内にインクを充填するため、詳しくは後述する吸引手段によってノズル開口22側から吸引する。なお、吸引手段としては、真空ポンプ等の吸引装置などを挙げることができる。
【0040】
これにより、図6(a)の状態から、空気溜まり部100内の空気1aがノズル開口22側から吸引手段によって吸引されると同時に、インク溜まり31内の空気1bが吸引され、図6(b)に示すように、空気溜まり部100は弾性変形した収縮状態となる。
【0041】
そして、吸引手段によって吸引を続けると、図7(a)に示すように、空気溜まり部100が収縮状態で、インク溜まり31内にインク2が充填される。このとき、インク溜まり31の長手方向両側の排出路33がそれぞれ設けられた領域は、インク2の流れに実質的に干渉されない領域であるため気泡3が溜まってしまう。
【0042】
次に、インク2の吸引が終了すると、図7(b)に示すように、空気溜まり部100は弾性変形して元の膨張状態に復帰する。これにより、インク溜まり31の長手方向両側に残留した気泡3と少量のインク2aとが空気溜まり部100内に吸引されてインク溜まり31内に残留した気泡3は除去され、インク溜まり31内はインク2のみで充填される。
【0043】
このように、空気溜まり部100によってインク溜まり31の気泡3を除去することができるため、気泡3の残留によるインク溜まり31の容積変化が原因で、共通インク室27a及び各チャンバ23へのインクの供給不足を確実に防止することができる。
【0044】
また、インク溜まり31に残留した気泡3がインク2と共に吐出される虞もなく、印字不良を確実に防止することができる。
【0045】
さらに、インク充填時にインクタンク側から加圧する必要もないため、加圧手段や加圧工程を省略することができる。
【0046】
ここで、上述したインクジェットヘッド10を搭載したシリアル型のインクジェット式記録装置について説明する。なお、図8は、インクジェット式記録装置の概略斜視図である。
【0047】
図8に示すように、色毎に設けられた複数のインクジェットヘッド10と、このインクジェットヘッド10が主走査方向に複数並設されて搭載されたキャリッジ110と、フレキシブルチューブからなるインク供給管120を介してインクを供給するインクタンク121とを具備し、キャリッジ110は、一対のガイドレール122a,122b上に軸方向に移動自在に搭載されている。また、ガイドレール122a,122bの一端側には駆動モータ123が設けられており、この駆動モータ123による駆動力が、当該駆動モータ123に連結されたプーリ124aと、ガイドレール122a,122bの他端側に設けられたプーリ124bとの間に掛け渡されたタイミングベルト125に沿って移動されるようになっている。
【0048】
また、キャリッジ110の搬送方向と直交する方向の両端部側には、ガイドレール122a,122bに沿ってそれぞれ一対の搬送ローラ126,127が設けられている。これらの搬送ローラ126,127は、キャリッジ110の下方に当該キャリッジ110の搬送方向とは直交する方向、すなわち副走査方向に被記録媒体Sを搬送するものである。
【0049】
そして、これら搬送ローラ126,127によって被記録媒体Sを送りつつキャリッジ110をその送り方向とは直交方向、すなわち主走査方向に走査することにより、インクジェットヘッド10によって被記録媒体S上に文字及び画像等が記録される。
【0050】
このキャリッジ110の移動によりインクジェットヘッド10のヘッドチップ20内のインクの圧力が変動するが、インクジェットヘッド10にエアーダンパ50を設けることによって圧力調整を容易に行うことができ、良好なインクの吐出を実行することができる。
【0051】
また、本実施形態では、空気溜まり部100がエアーダンパ50と同様にインクの圧力調整を行うことができる。
【0052】
なお、本実施形態のインクジェットヘッド10は、単色のインクを吐出するものであり、本実施形態では、黒色(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の4色に対応して4つ並設されてキャリッジ110に搭載されている。
【0053】
また、インクタンク121は、各インクジェットヘッド10に対応して各色毎に4つ設けられている。このようなインクカートリッジ121は、キャリッジ110の主走査方向の移動や、被記録媒体Sの移動の邪魔にならない位置で、且つインクジェットヘッド10内に負圧を与えるように、インクジェットヘッド10のノズル開口22よりも所定量低い位置に設けられている。
【0054】
また、ガイドレール122a,122bの軸方向一端側には、インクジェットヘッド20のノズル開口22から内部を吸引する吸引手段130が設けられている。そして、このような吸引手段130によって、ノズル開口22側から共通インク室27a及びチャンバ23内を初期状態やクリーニング時などの所定のタイミングで吸引することにより、共通インク室27a及びチャンバ23のインク内に存在する気泡を確実に除去することができ、良好な印刷品質を常に保持することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、4色のインクタンク121を搭載したインクジェット式記録装置を例示して説明したが、これに限定されず、5〜8色のインクカートリッジを搭載したインクジェット式記録装置であってもよい。
【0056】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1について説明したが、本発明のインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置はこのような構成に限定されるものではない。
【0057】
例えば、上述した実施形態1では、空気溜まり部100を側面に蛇腹状の襞が設けられた円筒形状としたが、収縮状態及び膨張状態に弾性変形して内容積が変化すれば、特にこれに限定されない。
【0058】
ここで、空気溜まり部の他の例について説明する。なお、図9は、空気溜まり部の他の例を示す断面図である。
【0059】
図9(a)に示すように、空気溜まり部100Aは、排出孔33に接合されたゴム等の弾性部材で形成された球形状を有する。
【0060】
このような空気溜まり部100Aでは、インク充填時に球形状が萎む方向に弾性変形することで収縮状態となり、インク充填が終了すると球形状が収縮状態から元の状態(膨張状態)に膨らもうとする弾性力によりインク溜まり31内の気泡を吸引するようになっている。
【0061】
また、図9(b)に示すように、空気溜まり部100Bは、一端が排出孔33に連通すると共に、他端に大気と連通する開口部106を備えた円筒部材101と、円筒部材101の内部に円筒部材101の軸方向に移動自在に設けられたピストン102と、一端がピストン102に固定されると共に他端が円筒部材101の開口部106を備えた他端に固定されて、自身が縮む方向に付勢するばね部材103とで構成されている。
【0062】
このような空気溜まり部100Bでは、インク充填時に空気溜まり部100Bのピストン102と円筒部材101とで画成された空間の空気が吸引されて、ばね部材103が延びる方向に弾性変形して空間が収縮した状態となる。そして、インク充填が終了すると、ばね部材103が縮む方向に弾性変形することで空間が膨張した状態となり、インク溜まり31内に残留した気泡を吸引するようになっている。
【0063】
さらに、図9(c)に示すように、空気溜まり部100Cは、一端が排出孔33に連通すると共に、他端が開口する円筒部材104と、円筒部材104の開口する他端を塞ぐ弾性体膜105とで構成されている。
【0064】
このような空気溜まり部100Cでは、インク充填時に弾性体膜105が円筒部材104の内部側に突出するように凹状に弾性変形して収縮状態となる。そして、インク充填が終了すると、弾性体膜105が凸状に弾性変形することで膨張状態となり、インク溜まり31内に残留した気泡を吸引するようになっている。
【0065】
このように、何れの空気溜まり部100A〜100Cとしても、膨張状態及び収縮状態となることで内容積を変化させてインク溜まり31内の気泡をその内部に吸引して除去することができる。
【0066】
また、上述した実施形態1では、吸引手段130によってノズル開口22からインクを吸引する際に、同時に空気溜まり部100内の空気を吸引し、空気溜まり部100を収縮状態とするようにしたが、これに限定されず、例えば、吸引時に、空気溜まり部100の収縮が十分に行われない場合など、空気溜まり部100を収縮手段によって収縮状態とするようにしてもよい。
【0067】
このような例を図10に示す。なお、図10は、他の実施形態に係る収縮手段を示す流路基板の断面図である。
【0068】
図10(a)に示すように、収縮手段200は、断面がコ字状の形状を有し、一方面には、切り欠き部201が形成されている。
【0069】
このような収縮手段200は、図10(b)に示すように、インク充填前に空気溜まり部100を収縮状態にして、排出孔33を切り欠き部201に挿入することで、切り欠き部201の設けられた面と、これに相対向する面とで空気溜まり部100を挟持し、収縮状態を維持するようになっている。
【0070】
このような状態で、インクの充填を行い、インクの充填が終了した際に、収縮手段200を空気溜まり部100から外すようにすればよい。
【0071】
このように収縮手段200を外すのは、インクの充填が終了した際に自動的に外されるようにしてもよく、また、手動により外すようにしてもよい。
【0072】
なお、このような収縮手段200の使用は、空気溜まり部100の吸引による収縮が十分に行われない場合に限定されず、常に使用することで、気泡の除去を確実に行わせるという信頼性を向上することができる。
【0073】
また、収縮手段200は、上述したものに限定されるものではなく、例えば、空気溜まり部を電磁石、モータ等により自動的に収縮状態となるようにしてもよい。
【0074】
さらに、上述した実施形態1では、流路基板30の長手方向両端に空気溜まり部100に連通する排出孔33を設けるようにしたが、排出孔33の位置は、インク溜まり31の気泡が溜まる領域であれば、特にこれに限定されず、例えば、インク溜まり31にインクを供給するインク供給路が、インク溜まり31の長手方向両端部にそれぞれ設けられている場合には、インク溜まり31の長手方向中央に気泡が溜まるため、排出孔をインク溜まりの長手方向中央に設けるようにすればよい。このように排出孔及び空気溜まり部を設ける領域は、インクジェットヘッドの形状等により適宜決定すればよい。
【0075】
また、上述した実施形態1では、空気溜まり部100とエアーダンパ50とを具備したインクジェットヘッド10を例示したが、特にこれに限定されず、空気溜まり部100によっても、インクジェットヘッドが主走査方向に移動した際のヘッドチップ20内の圧力変化を空気溜まり部100によって調整することができるため、エアーダンパ50を設置しないようにしてもよい。
【0076】
さらに、上述した実施形態1では、インクジェットヘッド10が主走査方向に移動するシリアル型のインクジェット式記録装置を例示したが、インクジェットヘッドが主走査方向に移動しないヘッド固定型のインクジェット式記録装置としてもよい。何れの場合においても、衝撃等の外乱が生じても、空気溜まり部100によってインクの振動を抑えると共に、インク溜まり31内に気泡を残留させないため、インク吐出不良等を防止することができる。
【0077】
また、本発明のインクジェットヘッドは、特に水性インクなどの浸透性の悪いインク、すなわち、気泡が発生し易いインクに対して優れた効果を発揮するが、勿論、その他の種類のインクに対しても適用できる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、充填前に収縮状態となると共に、インク充填後にインク溜まりの気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態とになる空気溜まり部を設けるようにしたため、インク溜まり内の気泡の除去を容易に且つ低コストで実現できる。これにより、インク供給不良及びインク吐出不良を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの要部断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るヘッドチップの分解斜視図及び斜視断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの上面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る流路基板の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るインク充填順序を示す流路基板の断面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係るインク充填順序を示す流路基板の断面図である。
【図8】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録装置の概略斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る空気溜り部の他の例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る収縮手段の斜視図及び流路基板の断面図である。
【符号の説明】
1a、1b 空気
2、2a インク
3 気泡
10 インクジェットヘッド
20 ヘッドチップ
30 流路基板
31 インク溜り
32 インク供給路
33 排出孔
34 フィルタ
40 配線基板
50 エアーダンパ
60 ベースプレート
100、100A、100B、100C 空気溜まり部
200 収縮手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プリンタ、ファックスなどに適用されるインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数のノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを用いて被記録媒体に文字や画像を記録するインクジェット式記録装置が知られている。かかるインクジェット式記録装置では、被記録媒体に対向するインクジェットヘッドはヘッドホルダに固定され、ヘッドホルダがキャリッジに搭載されて被記録媒体の搬送方向とは直交する方向に走査される。
【0003】
このようなインクジェットヘッドとしては、例えば、圧電セラミックプレートにノズル開口と連通する溝状のチャンバを設け、このチャンバの両側の側壁に電極を形成して、側壁に電界を印加することで、チャンバの容積を変化させてノズル開口からインク滴を吐出させるヘッドチップが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように構成されるインクジェットヘッドでは、製造直後にインクジェット式記録装置に組み込んだ際や、インクジェットヘッドの交換及びインク貯留部の交換などを行った際などに、インク貯留部とチャンバとの間のインク流路及びチャンバ内に空気が侵入する。このように侵入した空気によって、チャンバへのインク供給不良や、インク吐出不良などが発生してしまう。このため、ノズル開口からチャンバ及びインク流路内を吸引することで、チャンバ及びインク流路内にインクを充填し、チャンバ及びインク流路内の気泡の除去を行っていた。
【0005】
しかしながら、インク流路には、インク貯留部とチャンバとを連通するインク溜まりが設けられており、ノズル開口からインクを吸引してもインク溜まり内には、インクの流れには実質的に干渉されない領域に気泡が溜まってしまう。この気泡によって、インク溜まりの容積が変化してしまい、並設されたチャンバの中央部の領域と両端部側の領域とではインクの供給量が異なってしまい、インク供給不良及びインク吐出不良などが発生するという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するため、インクタンクからインクジェットヘッドへのインクを授受するインク授受部に気泡を外部に排出する気泡排出路を設け、気泡排出路の他端に吸引手段を設けたインクタンク、インクジェットヘッド、インクジェット記録ユニット及びプリンタが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−265334号公報(第4〜6頁、第1〜4図)
【0008】
【特許文献2】
特開2002−337352号公報(第4〜5頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、気泡排出路を設け、吸引手段により気泡を吸引する従来のインクジェットヘッドでは、吸引手段として吸引ポンプ等の吸引装置が必要となり、インクジェットヘッドが複雑となると共に、高コストとなってしまうという問題がある。
【0010】
また、不飽和インクに気泡を溶け込ませる方法もあるが、気泡が溶けるまでに時間がかかると共に特殊なインクが必要となるという問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、インク溜まりの気泡の除去を低コストで実現してインク供給不良及びインク吐出不良を防止したインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する複数の溝と、当該溝のそれぞれにインクを供給するインク室と、インクが貯留されたインク貯留手段と前記インク室とを連通するインク溜りとを有するインクジェットヘッドにおいて、前記インク溜まりの気泡が溜まる領域に排出孔を介して連通する空気溜まり部を有し、該空気溜まり部は、インク充填前の当該空気溜まり部内の空気を実質的に排出した収縮状態と、インク充填後に、前記インク溜まりに溜まった気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態とを具備することを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記空気溜まり部の前記収縮状態が、インク充填時に前記ノズル開口側から吸引することにより行われることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記空気溜まり部を前記収縮状態とする収縮手段を具備することを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記インク溜まり部の前記収縮状態から前記膨張状態の最大まで変化する容積が、前記インク溜まりの容積以上であることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様のインクジェットヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0017】
かかる本発明では、充填前に収縮状態となると共に、インク充填後にインク溜まりの気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態となる空気溜まり部を設けるようにしたため、インク溜まり内の気泡の除去を容易に且つ低コストで実現できる。これにより、インク供給不良及びインク吐出不良を確実に防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るインクジェットヘッドの斜視図である。図2は、インクジェットヘッドの要部を示す断面図であり、図3は、ヘッドチップの分解斜視図及び斜視断面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態のインクジェットヘッド10は、ヘッドチップ20と、この一方面側に設けられる流路基板30と、ヘッドチップ20を駆動するための駆動回路等が搭載された配線基板40と、ヘッドチップ20内の圧力変化を緩和させるエアーダンパ50とを有し、これらの各部材は、それぞれベースプレート60に固定されている。
【0021】
まず、ヘッドチップ20について説明する。図3に示すように、ヘッドチップ20を構成する圧電セラミックプレート21には、ノズル開口22に連通する複数の溝からなるチャンバ23が並設され、各チャンバ23は、側壁24で隔離されている。各チャンバ23の長手方向の一端部は圧電セラミックプレート21の一端面まで延設されており、他端部は、他端面まで延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。この圧電セラミックプレート21に形成される各チャンバ23は、例えば、円盤状のダイスカッターにより形成され、深さが徐々に浅くなった部分は、ダイスカッターの形状により形成される。
【0022】
また、これら各チャンバ23の幅方向両側の側壁24には、チャンバ23の長手方向に亘って、側壁24を駆動させるための電界を印加する電極25が形成されている。この各チャンバ23内に形成される電極25は、例えば、公知の斜め方向からの蒸着により形成される。
【0023】
このようなチャンバ23の両側の側壁24の開口側に設けられた電極25には、フレキシブルプリントケーブル(FPC)等の外部配線41の一端が接合され、外部配線41の他端側は、配線基板40上の図示しない駆動回路に接合されることで、電極25は駆動回路に電気的に接続されている。
【0024】
さらに、圧電セラミックプレート21のチャンバ23の開口側には、インク室プレート26が接合されている。このインク室プレート26には、各チャンバ23のそれぞれに共通なインク室となる共通インク室27と、この共通インク室27に連通して各チャンバ23内にインクを供給するインク供給口27aとが設けられている。
【0025】
なお、インク室プレート26は、セラミックプレート、金属プレートなどで形成することができるが、圧電セラミックプレート21との接合後の変形を考えると、熱膨張率の近似したセラミックプレートを用いることが好ましい。
【0026】
また、圧電セラミックプレート21とインク室プレート26との接合体のチャンバ23が開口している端面には、ノズルプレート28が接合されており、ノズルプレート28の各チャンバ23に対向する位置にはノズル開口22が形成されている。
【0027】
本実施形態では、ノズルプレート28は、圧電セラミックプレート21とインク室プレート26との接合体のチャンバ23が開口している端面の面積よりも大きくなっている。このノズルプレート28は、ポリイミドフィルムなどに、例えば、エキシマレーザ装置を用いてノズル開口22を形成したものである。また、図示しないが、ノズルプレート28の被印刷物に対向する面には、インクの付着等を防止するための撥水性を有する撥水膜が設けられている。
【0028】
さらに、この圧電セラミックプレート21とインク室プレート26との接合体の各チャンバ23が開口している端面側の外周面には、この接合体が係合する係合孔28が設けられたノズル支持プレート29が接合されている。なお、このノズル支持プレート29は、ノズルプレート28の接合体端面の外側と接合されて、ノズルプレート28を安定して保持するためのものである。
【0029】
そして、このような構成のヘッドチップ20は、圧電セラミックプレート21のインク室プレート26とは反対側の面がベースプレート60に接合固定されており、インク室プレート26の一方面側には、流路基板30が接着剤等によって接合され、インク室プレート26の一方面はこの流路基板30によって封止されている。なお、この流路基板30は、インク室プレート26と流路基板30との間が完全に密封されるように固定されていればよく、例えば、インク室プレート26と流路基板30との間にOリングを設け、流路基板30をねじ部材等で固定するようにしてもよい。
【0030】
ここで、流路基板30について詳細に説明する。なお、図4は、本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの流路基板の上面図であり、図5は、流路基板の斜視図である。
【0031】
図4に示すように、流路基板30は、本実施形態では、内部に画成されたインク溜り31と、インク溜まり31の長手方向中央に設けられてインクが供給されるインク供給路32と、インク溜まり31の長手方向両側にそれぞれ設けられてインク溜り31内の気泡を排出する排出孔33とを具備する。
【0032】
また、インク供給路32には、図1に示すように、インクタンクにインク供給管51を介して接続されて所定量のインクを一時的に貯留するエアーダンパ50が接続されている。このエアーダンパ50は、ヘッドチップ20の共通インク室27及びチャンバ23内のインクの圧力調整を行うものである。詳しくは、インクジェットヘッド10が主走査方向に移動した際に、ヘッドチップ20内の圧力が変化し、ノズル開口22にインクの表面張力によって形成されたメニスカスが破壊されてしまう虞があり、このヘッドチップ20内の圧力変化をエアーダンパ50によって調整することで、安定したメニスカスを保持してインクを吐出できるようにするものである。また、エアーダンパ50は、その内部に所定量のインクと空気とを貯留することで、インク供給管51内の気泡がヘッドチップ20に混入するのを防止する気泡貯留にも寄与している。
【0033】
このような流路基板30のインク溜り31の共通インク室27a側の端部には、フィルタ34が設けられており、このフィルタ34によってある程度のゴミ、気泡等が除去されて共通インク室27a内にインクが供給されるようになっている。なお、このフィルタ34は、ヘッドチップ20からインクを吐出させる際に、各チャンバ23に対して背圧を発生させる作用もある。
【0034】
一方、流路本体32の長手方向両側にそれぞれ設けられた排出孔33には、インク溜まり31内の気泡を除去する空気溜まり部100が設けられている。
【0035】
この空気溜まり部100は、本実施形態では、側面が蛇腹状に形成された円筒形状を有する弾性部材で形成され、空気溜まり部100は、側面の蛇腹状の襞が伸縮することで、内部の容積を変形させるようになっている。
【0036】
なお、空気溜まり部100の材料としては、弾性部材であれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレン等の高分子材料などを挙げることができる。また、空気溜まり部100は、流路基板30に圧入及び接着により固定してもよく、また、流路基板30と共に一体成形により形成するようにしてもよい。
【0037】
ここで、空気溜まり部100は、インク充填前に空気溜まり部100内の空気を実質的に排出した収縮状態と、インク充填後にインク溜まり31に溜まった気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態とを具備し、収縮状態から膨張状態に変化することで、インク溜まり31に溜まった気泡を内部に吸引して、インク溜まり内の気泡を除去するようになっている。
【0038】
ここで、空気溜まり部100を用いたインク充填順序について説明する。なお、図6及び図7は、インクの充填順序を示す流路基板の断面図である。
【0039】
インクジェットヘッド10内にインクを充填するため、詳しくは後述する吸引手段によってノズル開口22側から吸引する。なお、吸引手段としては、真空ポンプ等の吸引装置などを挙げることができる。
【0040】
これにより、図6(a)の状態から、空気溜まり部100内の空気1aがノズル開口22側から吸引手段によって吸引されると同時に、インク溜まり31内の空気1bが吸引され、図6(b)に示すように、空気溜まり部100は弾性変形した収縮状態となる。
【0041】
そして、吸引手段によって吸引を続けると、図7(a)に示すように、空気溜まり部100が収縮状態で、インク溜まり31内にインク2が充填される。このとき、インク溜まり31の長手方向両側の排出路33がそれぞれ設けられた領域は、インク2の流れに実質的に干渉されない領域であるため気泡3が溜まってしまう。
【0042】
次に、インク2の吸引が終了すると、図7(b)に示すように、空気溜まり部100は弾性変形して元の膨張状態に復帰する。これにより、インク溜まり31の長手方向両側に残留した気泡3と少量のインク2aとが空気溜まり部100内に吸引されてインク溜まり31内に残留した気泡3は除去され、インク溜まり31内はインク2のみで充填される。
【0043】
このように、空気溜まり部100によってインク溜まり31の気泡3を除去することができるため、気泡3の残留によるインク溜まり31の容積変化が原因で、共通インク室27a及び各チャンバ23へのインクの供給不足を確実に防止することができる。
【0044】
また、インク溜まり31に残留した気泡3がインク2と共に吐出される虞もなく、印字不良を確実に防止することができる。
【0045】
さらに、インク充填時にインクタンク側から加圧する必要もないため、加圧手段や加圧工程を省略することができる。
【0046】
ここで、上述したインクジェットヘッド10を搭載したシリアル型のインクジェット式記録装置について説明する。なお、図8は、インクジェット式記録装置の概略斜視図である。
【0047】
図8に示すように、色毎に設けられた複数のインクジェットヘッド10と、このインクジェットヘッド10が主走査方向に複数並設されて搭載されたキャリッジ110と、フレキシブルチューブからなるインク供給管120を介してインクを供給するインクタンク121とを具備し、キャリッジ110は、一対のガイドレール122a,122b上に軸方向に移動自在に搭載されている。また、ガイドレール122a,122bの一端側には駆動モータ123が設けられており、この駆動モータ123による駆動力が、当該駆動モータ123に連結されたプーリ124aと、ガイドレール122a,122bの他端側に設けられたプーリ124bとの間に掛け渡されたタイミングベルト125に沿って移動されるようになっている。
【0048】
また、キャリッジ110の搬送方向と直交する方向の両端部側には、ガイドレール122a,122bに沿ってそれぞれ一対の搬送ローラ126,127が設けられている。これらの搬送ローラ126,127は、キャリッジ110の下方に当該キャリッジ110の搬送方向とは直交する方向、すなわち副走査方向に被記録媒体Sを搬送するものである。
【0049】
そして、これら搬送ローラ126,127によって被記録媒体Sを送りつつキャリッジ110をその送り方向とは直交方向、すなわち主走査方向に走査することにより、インクジェットヘッド10によって被記録媒体S上に文字及び画像等が記録される。
【0050】
このキャリッジ110の移動によりインクジェットヘッド10のヘッドチップ20内のインクの圧力が変動するが、インクジェットヘッド10にエアーダンパ50を設けることによって圧力調整を容易に行うことができ、良好なインクの吐出を実行することができる。
【0051】
また、本実施形態では、空気溜まり部100がエアーダンパ50と同様にインクの圧力調整を行うことができる。
【0052】
なお、本実施形態のインクジェットヘッド10は、単色のインクを吐出するものであり、本実施形態では、黒色(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の4色に対応して4つ並設されてキャリッジ110に搭載されている。
【0053】
また、インクタンク121は、各インクジェットヘッド10に対応して各色毎に4つ設けられている。このようなインクカートリッジ121は、キャリッジ110の主走査方向の移動や、被記録媒体Sの移動の邪魔にならない位置で、且つインクジェットヘッド10内に負圧を与えるように、インクジェットヘッド10のノズル開口22よりも所定量低い位置に設けられている。
【0054】
また、ガイドレール122a,122bの軸方向一端側には、インクジェットヘッド20のノズル開口22から内部を吸引する吸引手段130が設けられている。そして、このような吸引手段130によって、ノズル開口22側から共通インク室27a及びチャンバ23内を初期状態やクリーニング時などの所定のタイミングで吸引することにより、共通インク室27a及びチャンバ23のインク内に存在する気泡を確実に除去することができ、良好な印刷品質を常に保持することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、4色のインクタンク121を搭載したインクジェット式記録装置を例示して説明したが、これに限定されず、5〜8色のインクカートリッジを搭載したインクジェット式記録装置であってもよい。
【0056】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1について説明したが、本発明のインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置はこのような構成に限定されるものではない。
【0057】
例えば、上述した実施形態1では、空気溜まり部100を側面に蛇腹状の襞が設けられた円筒形状としたが、収縮状態及び膨張状態に弾性変形して内容積が変化すれば、特にこれに限定されない。
【0058】
ここで、空気溜まり部の他の例について説明する。なお、図9は、空気溜まり部の他の例を示す断面図である。
【0059】
図9(a)に示すように、空気溜まり部100Aは、排出孔33に接合されたゴム等の弾性部材で形成された球形状を有する。
【0060】
このような空気溜まり部100Aでは、インク充填時に球形状が萎む方向に弾性変形することで収縮状態となり、インク充填が終了すると球形状が収縮状態から元の状態(膨張状態)に膨らもうとする弾性力によりインク溜まり31内の気泡を吸引するようになっている。
【0061】
また、図9(b)に示すように、空気溜まり部100Bは、一端が排出孔33に連通すると共に、他端に大気と連通する開口部106を備えた円筒部材101と、円筒部材101の内部に円筒部材101の軸方向に移動自在に設けられたピストン102と、一端がピストン102に固定されると共に他端が円筒部材101の開口部106を備えた他端に固定されて、自身が縮む方向に付勢するばね部材103とで構成されている。
【0062】
このような空気溜まり部100Bでは、インク充填時に空気溜まり部100Bのピストン102と円筒部材101とで画成された空間の空気が吸引されて、ばね部材103が延びる方向に弾性変形して空間が収縮した状態となる。そして、インク充填が終了すると、ばね部材103が縮む方向に弾性変形することで空間が膨張した状態となり、インク溜まり31内に残留した気泡を吸引するようになっている。
【0063】
さらに、図9(c)に示すように、空気溜まり部100Cは、一端が排出孔33に連通すると共に、他端が開口する円筒部材104と、円筒部材104の開口する他端を塞ぐ弾性体膜105とで構成されている。
【0064】
このような空気溜まり部100Cでは、インク充填時に弾性体膜105が円筒部材104の内部側に突出するように凹状に弾性変形して収縮状態となる。そして、インク充填が終了すると、弾性体膜105が凸状に弾性変形することで膨張状態となり、インク溜まり31内に残留した気泡を吸引するようになっている。
【0065】
このように、何れの空気溜まり部100A〜100Cとしても、膨張状態及び収縮状態となることで内容積を変化させてインク溜まり31内の気泡をその内部に吸引して除去することができる。
【0066】
また、上述した実施形態1では、吸引手段130によってノズル開口22からインクを吸引する際に、同時に空気溜まり部100内の空気を吸引し、空気溜まり部100を収縮状態とするようにしたが、これに限定されず、例えば、吸引時に、空気溜まり部100の収縮が十分に行われない場合など、空気溜まり部100を収縮手段によって収縮状態とするようにしてもよい。
【0067】
このような例を図10に示す。なお、図10は、他の実施形態に係る収縮手段を示す流路基板の断面図である。
【0068】
図10(a)に示すように、収縮手段200は、断面がコ字状の形状を有し、一方面には、切り欠き部201が形成されている。
【0069】
このような収縮手段200は、図10(b)に示すように、インク充填前に空気溜まり部100を収縮状態にして、排出孔33を切り欠き部201に挿入することで、切り欠き部201の設けられた面と、これに相対向する面とで空気溜まり部100を挟持し、収縮状態を維持するようになっている。
【0070】
このような状態で、インクの充填を行い、インクの充填が終了した際に、収縮手段200を空気溜まり部100から外すようにすればよい。
【0071】
このように収縮手段200を外すのは、インクの充填が終了した際に自動的に外されるようにしてもよく、また、手動により外すようにしてもよい。
【0072】
なお、このような収縮手段200の使用は、空気溜まり部100の吸引による収縮が十分に行われない場合に限定されず、常に使用することで、気泡の除去を確実に行わせるという信頼性を向上することができる。
【0073】
また、収縮手段200は、上述したものに限定されるものではなく、例えば、空気溜まり部を電磁石、モータ等により自動的に収縮状態となるようにしてもよい。
【0074】
さらに、上述した実施形態1では、流路基板30の長手方向両端に空気溜まり部100に連通する排出孔33を設けるようにしたが、排出孔33の位置は、インク溜まり31の気泡が溜まる領域であれば、特にこれに限定されず、例えば、インク溜まり31にインクを供給するインク供給路が、インク溜まり31の長手方向両端部にそれぞれ設けられている場合には、インク溜まり31の長手方向中央に気泡が溜まるため、排出孔をインク溜まりの長手方向中央に設けるようにすればよい。このように排出孔及び空気溜まり部を設ける領域は、インクジェットヘッドの形状等により適宜決定すればよい。
【0075】
また、上述した実施形態1では、空気溜まり部100とエアーダンパ50とを具備したインクジェットヘッド10を例示したが、特にこれに限定されず、空気溜まり部100によっても、インクジェットヘッドが主走査方向に移動した際のヘッドチップ20内の圧力変化を空気溜まり部100によって調整することができるため、エアーダンパ50を設置しないようにしてもよい。
【0076】
さらに、上述した実施形態1では、インクジェットヘッド10が主走査方向に移動するシリアル型のインクジェット式記録装置を例示したが、インクジェットヘッドが主走査方向に移動しないヘッド固定型のインクジェット式記録装置としてもよい。何れの場合においても、衝撃等の外乱が生じても、空気溜まり部100によってインクの振動を抑えると共に、インク溜まり31内に気泡を残留させないため、インク吐出不良等を防止することができる。
【0077】
また、本発明のインクジェットヘッドは、特に水性インクなどの浸透性の悪いインク、すなわち、気泡が発生し易いインクに対して優れた効果を発揮するが、勿論、その他の種類のインクに対しても適用できる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、充填前に収縮状態となると共に、インク充填後にインク溜まりの気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態とになる空気溜まり部を設けるようにしたため、インク溜まり内の気泡の除去を容易に且つ低コストで実現できる。これにより、インク供給不良及びインク吐出不良を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの要部断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るヘッドチップの分解斜視図及び斜視断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの上面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る流路基板の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るインク充填順序を示す流路基板の断面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係るインク充填順序を示す流路基板の断面図である。
【図8】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録装置の概略斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る空気溜り部の他の例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る収縮手段の斜視図及び流路基板の断面図である。
【符号の説明】
1a、1b 空気
2、2a インク
3 気泡
10 インクジェットヘッド
20 ヘッドチップ
30 流路基板
31 インク溜り
32 インク供給路
33 排出孔
34 フィルタ
40 配線基板
50 エアーダンパ
60 ベースプレート
100、100A、100B、100C 空気溜まり部
200 収縮手段
Claims (5)
- ノズル開口に連通する複数の溝と、当該溝のそれぞれにインクを供給するインク室と、インクが貯留されたインク貯留手段と前記インク室とを連通するインク溜りとを有するインクジェットヘッドにおいて、
前記インク溜まりの気泡が溜まる領域に排出孔を介して連通する空気溜まり部を有し、該空気溜まり部は、インク充填前の当該空気溜まり部内の空気を実質的に排出した収縮状態と、インク充填後に、前記インク溜まりに溜まった気泡を吸引して徐々に膨張する膨張状態とを具備することを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項1において、前記空気溜まり部の前記収縮状態が、インク充填時に前記ノズル開口側から吸引することにより行われることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項1において、前記空気溜まり部を前記収縮状態とする収縮手段を具備することを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記インク溜まり部の前記収縮状態から前記膨張状態の最大まで変化する容積が、前記インク溜まりの容積以上であることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項1〜4の何れかのインクジェットヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2427386A (en) * | 2005-06-23 | 2006-12-27 | Sii Printek Inc | Inkjet head having air bubble removal means |
JP2010023437A (ja) * | 2008-07-24 | 2010-02-04 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
-
2003
- 2003-02-20 JP JP2003042074A patent/JP2004249571A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2427386A (en) * | 2005-06-23 | 2006-12-27 | Sii Printek Inc | Inkjet head having air bubble removal means |
GB2427386B (en) * | 2005-06-23 | 2009-03-18 | Sii Printek Inc | Inkjet head and inkjet recording device |
US7604337B2 (en) | 2005-06-23 | 2009-10-20 | Sii Printek Inc. | Inkjet head and inkjet recording device |
JP2010023437A (ja) * | 2008-07-24 | 2010-02-04 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
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