JP2004249409A - 回転工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成によって被回転体の回転を可能にし、圧力が不要な時は早く回すことを可能にし、一方向の運動で正逆の回転を可能にして作業効率を改善し、電動機の利用により作業者の操作力を不要にして、ラチェットの操作におけるレバー切替を不要にするとともに、作業性が悪い位置に被回転体がある場合でも使用を可能にすること。
【解決手段】一部に形成された係合穴21によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体1の一端11に回転自在に支持された回転部材2と、本体1の他端12に配設され、一つの方向に移動する操作部材3と、前記操作部材3の一つの方向の動きを前記回転部材2に伝達する伝達部材4と、前記操作部材3の動きの方向を逆方向に変換する変換部材5とから成り、前記操作部材3の一つの方向の移動によって、該変換部材5の操作に応じて前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるように構成されている回転工具。
【選択図】 図1
【解決手段】一部に形成された係合穴21によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体1の一端11に回転自在に支持された回転部材2と、本体1の他端12に配設され、一つの方向に移動する操作部材3と、前記操作部材3の一つの方向の動きを前記回転部材2に伝達する伝達部材4と、前記操作部材3の動きの方向を逆方向に変換する変換部材5とから成り、前記操作部材3の一つの方向の移動によって、該変換部材5の操作に応じて前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるように構成されている回転工具。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトまたはナット等の被回転体を回転させる回転工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のボルトナットの締付工具は、一般的にスパナが使用されているが、生産ラインなどにおいては、インパクトレンチ等の専用工具が使用されている。締付トルクが管理されている箇所においてはトルクレンチが最終締付工具となっている。これらの専用工具は、ボルト位置が比較的見やすく、締付作業が容易な位置にあるものである。
【0003】
従来の締付工具は、外周にギャー状の突起部を有し内周が通しボルトに螺合するナットと嵌合する締付ソケットと、中央に上記通しボルト先端と係止する係止穴を外周にギャー状の突起部をそれぞれ有する回り止めソケットから成るもので、圧力に対しては関係無く締付ける工具であり、又締付け現在のラチェット工具の原型と思われる工具である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
従来のボルトナットの回転工具は、グリップと、このグリップに設けられた前後方向に長い本体と、この本体に前後摺動自在に嵌められた作動ロッドと、この作動ロッドを前後動させる駆動装置と、前記作動ロッドによって作動させられる、本体に前後揺動自在に設けられた揺動体と、この揺動体にその左右いずれの側からも着脱自在となされると共に、揺動体の揺動中心と同心となる回転中心を有するボルト頭又はナットに係合するソケットを有する係合具とを有するもので、狭い空間での使用を記載している(例えば特許文献2参照)。
【0005】
従来のボルトナット締め工具は、ボルトやナットの締付け位置から離れた位置でレンチを廻してボルトやナットの締付け作業や緩め作業を行うためのもので、道路工事等でパイプ連結工事において利用されるものである(例えば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平05−138545号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】
特開平08−025239号公報(第2−3頁、第1図〜第5図)
【特許文献3】
特開平08−197437号公報(第3−6頁、第1図、第2図、第4図、第7図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の締付工具は、圧力に対しては関係無く締付ける工具であり、又現在の締付けラチェット工具の原型と思われる工具であり、大型であり、構造的に弱いという問題があった。
【0008】
従来のボルトナットの回転工具は、ピストンを作動させるエヤや永久磁石を備えていなければいけないとともに、ボルトナットを何回転もさせることが出来ないという問題があった。
【0009】
従来のボルトナット締め工具は、ボルトやナットの締付け作業におけるトルクの管理を行うものではなく、逆転には連結チェーンをクロス状に張替えが必要であり、圧力が必要になるまでのボルトナット回転もラチェットレバーを何回も動かさなければいけないという問題があった。
【0010】
そこで本発明者は、一部に形成された係合穴によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体の一端に回転自在に支持された回転部材と、本体の他端に配設され、一つの方向に移動する操作部材と、前記操作部材の一つの方向の動きを前記回転部材に伝達する伝達部材とから成る回転工具において、前記操作部材の一つの方向の移動により前記伝達部材を介して前記被回転体を一つの回転方向に回転させるという本発明の第1の技術的思想に着眼し、前記操作部材の動きの方向を逆方向に変換する変換部材を備え該変換部材の操作により、前記操作部材の一つの方向の移動によって、前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるという本発明の第2の技術的思想に着眼するとともに、前記操作部材を、一つの方向に回転する電動機または正逆両方向に回転可能な電動機によって回転駆動するという本発明の第3の技術的思想に着眼し、更に研究開発を重ねた結果、簡単な構成によって前記被回転体の回転を可能にし、圧力が不要な時は早く回すことを可能にし、一方向の運動で正逆の回転を可能にして作業効率を改善し、電動機の利用により作業者の操作力を不要にして、ラチェットの操作におけるレバー切替を不要にするとともに、作業性が悪い位置に被回転体がある場合でも使用を可能にするという目的を達成する本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1に記載の第1発明)の回転工具は、
一部に形成された係合穴によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体の一端に回転自在に支持された回転部材と、
本体の他端に配設され、一つの方向に移動する操作部材と、
前記操作部材の一つの方向の動きを前記回転部材に伝達する伝達部材と
から成り、
前記操作部材の一つの方向の移動により前記被回転体を一つの回転方向に回転させるように構成されている
ものである。
【0012】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の回転工具は、
前記第1発明において、
前記操作部材の動きの方向を逆方向に変換する変換部材を備え
該変換部材の操作により、前記操作部材の一つの方向の移動によって、前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるように構成されている
ものである。
【0013】
本発明(請求項3に記載の第3発明)の回転工具は、
前記第2発明において、
前記操作部材が、前記本体の他端下部に下方に突設された作業者の掌によって包囲され握られる握部に対向して直線的に前後方向に移動自在に配設され、付勢部材によって前記握部に対して離れる方向の付勢力が付与されているレバー部材によって構成されている
ものである。
【0014】
本発明(請求項4に記載の第4発明)の回転工具は、
前記第3発明において、
前記伝達部材が、前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されるとともに、前記本体内にルーブ状に配設され、前記レバー部材の前後方向の直線的動きに応じて移動するタイミングベルトによって構成されている
ものである。
【0015】
本発明(請求項5に記載の第5発明)の回転工具は、
前記第4発明において、
前記変換部材が、前記回転部材を回転自在に支持する本体の一端を180度回動させる回動機構によって回動自在な構成にすることによって、
前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されたループ状の前記タイミングベルトを8の字状に捩じることにより、前記回転部材の回転方向を逆方向にするように構成されている
ものである。
【0016】
本発明(請求項6に記載の第6発明)の回転工具は、
前記第5発明において、
前記レバー部材の一端にワンウェイクラッチを備えたスプライン部品が配設され、前記回転部材を駆動する前記握部に近づく方向に前記レバー部材が動く時は外周のスプライン部は回転しないで前記タイミングベルトに係合して前記タイミングベルトを移動させることにより、作業者による前記レバー部材の操作力を前記タイミングベルトを介して前記回転部材に伝達し、前記付勢部材の付勢力によって前記レバー部材が前記握部に対して離れる方向に動く時は外周のスプライン部のみが回転して前記タイミングベルトに係合しないので、前記タイミングベルトは移動しないで前記レバー部材のみが移動して戻るように構成されている
ものである。
【0017】
本発明(請求項7に記載の第7発明)の回転工具は、
前記第6発明において、
前記本体内にルーブ状に配設されたタイミングベルトに対して張力を付与する張力付与手段を備えている
ものである。
【0018】
本発明(請求項8に記載の第8発明)の回転工具は、
前記第3発明において、
前記伝達部材が、前記回転部材の外周の歯部に噛合する歯車列機構によって構成されている
ものである。
【0019】
本発明(請求項9に記載の第9発明)の回転工具は、
前記第8発明において、
前記変換部材が、前記歯車列機構中に介挿された一対の傘歯車機構によって構成され、一方の傘歯車に対して他方の傘歯車を公転することにより、噛合位置を180度変えることによって、前記回転部材の回転方向を逆方向にするように構成されている
ものである。
【0020】
本発明(請求項10に記載の第10発明)の回転工具は、
前記第1発明または前記第2発明において、
前記操作部材が、一つの方向に回転する電動機によって回転駆動されている
ものである。
【0021】
本発明(請求項11に記載の第11発明)の回転工具は、
前記第1発明において、
前記操作部材が、正逆両方向に回転可能な電動機によって回転駆動されている
ものである。
【0022】
【発明の作用および効果】
上記構成より成る第1発明の回転工具は、一部に形成された係合穴によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体の一端に回転自在に支持された回転部材と、本体の他端に配設され、一つの方向に移動する操作部材と、前記操作部材の一つの方向の動きを前記回転部材に伝達する伝達部材とから成り、前記操作部材の一つの方向の移動により前記伝達部材を介して前記被回転体を一つの回転方向に回転させるものであるので、簡単な構成によって前記被回転体の回転を可能にし、圧力が不要な時は早く回すことを可能にするという効果を奏する。
【0023】
上記構成より成る第2発明の回転工具は、前記第1発明において、前記操作部材の動きの方向を逆方向に変換する変換部材を備え、該変換部材の操作により、前記操作部材の一つの方向の移動によって、前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるので、前記操作部材の一方向の運動で前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0024】
上記構成より成る第3発明の回転工具は、前記第2発明において、前記操作部材が、前記本体の他端下部に下方に突設された作業者の掌によって包囲され握られる握部に対向して直線的に前後方向に移動自在に配設され、付勢部材によって前記握部に対して離れる方向の付勢力が付与されているレバー部材によって構成されているので、作業者が前記握部を握って前記レバー部材を直線的に前後方向に引くという簡単且つ確実な操作によって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するとともに、スパナの揺動が行えない狭い空間における前記被回転体の回転作業を可能にするという効果を奏する。
【0025】
上記構成より成る第4発明の回転工具は、前記第3発明において、前記伝達部材が、前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されるとともに、前記本体内にルーブ状に配設され、前記レバー部材の前後方向の直線的動きに応じて移動するタイミングベルトによって構成されているので、タイミングベルトという軽量で簡単な部材によって、前記レバー部材の前後方向の直線的動きを前記回転部材の前記係合穴に挿入された前記被回転体に確実に伝達して、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0026】
上記構成より成る第5発明の回転工具は、前記第4発明において、前記変換部材を構成する回動自在な前記回転部材によって、回転自在に支持された前記本体の一端を180度回動させることにより、前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されたループ状の前記タイミングベルトを8の字状に捩じることにより、前記回転部材の回転方向を逆方向にするので、前記本体の一端を180度回動させるという簡単な操作によって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0027】
上記構成より成る第6発明の回転工具は、前記第5発明において、前記レバー部材の一端にワンウェイクラッチを備えたスプライン部品が配設され、前記回転部材を駆動する前記握部に近づく方向に前記レバー部材が動く時は外周のスプライン部は回転しないで前記タイミングベルトに係合して前記タイミングベルトを移動させるこきにより、作業者による前記レバー部材の操作力を前記タイミングベルトを介して前記回転部材に伝達し、前記付勢部材の付勢力によって前記レバー部材が前記握部に対して離れる方向に動く時は外周のスプライン部のみが回転して前記タイミングベルトに係合しないので、前記タイミングベルトは移動しないで前記レバー部材のみが移動して戻るので、前記レバー部材を前記握部に近づく方向に引くという単一の操作の繰り返しによって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを連続的に行うことを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0028】
上記構成より成る第7発明の回転工具は、前記第6発明において、前記張力付与手段が、前記本体内にルーブ状に配設されたタイミングベルトに対して張力を付与するので、前記タイミングベルトの張力を制御するため、安定且つ一様な前記被回転体の締付および緩め作業を実現するという効果を奏する。
【0029】
上記構成より成る第8発明の回転工具は、前記第3発明において、前記伝達部材を構成する前記回転部材の外周の歯部に噛合する効率の高い確実な前記歯車列機構によって、前記レバー部材の前後方向の直線的動きを前記回転部材の前記係合穴に挿入された前記被回転体に確実に伝達して、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0030】
上記構成より成る第9発明の回転工具は、前記第8発明において、前記変換部材を構成する前記歯車列機構中に介挿された一対の傘歯車機構の一方の傘歯車に対して他方の傘歯車を公転することにより、噛合位置を180度変えることによって、前記回転部材の回転方向を逆方向にするので、前記回転部材の回転方向を逆方向にするので、前記本体の一端を180度回動させるという簡単な操作によって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0031】
上記構成より成る第10発明の回転工具は、前記第1発明または前記第2発明において、前記操作部材が、一つの方向に回転する電動機によって回転駆動されているので、電動機の利用により作業者の操作力を不要にするという効果を奏する。
【0032】
上記構成より成る第11発明の回転工具は、前記第1発明において、前記操作部材が、正逆両方向に回転可能な電動機によって回転駆動されるので、前記電動機の駆動方向によって前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるため、電動機の利用により作業者の操作力を不要にして、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0034】
(第1実施形態)
本第1実施形態の回転工具は、図1ないし図8に示されるように一部に形成された係合穴21によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体1の一端11に回転自在に支持された回転部材2と、本体1の他端12に配設され、一つの方向に移動する操作部材3と、前記操作部材3の一つの方向の動きを前記回転部材2に伝達する伝達部材4と、前記操作部材3の動きの方向を逆方向に変換する変換部材5とから成り、前記操作部材3の一つの方向の移動によって、該変換部材5の操作に応じて前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるように構成されているものである。
【0035】
前記回転部材2は、図2(A)に示されるように糸巻状の円形部材によって構成され、ボルトやナット等の被回転体を回転させる取付部としての中央の係合穴21として四角の穴が形成され、該四角穴にはボルトやナット等の被回転体を回転させるための付属部品が取り付けられる。
【0036】
前記回転部材2の外周部には、図2(B)に示されるようにスプラインが加工してある部品が配設され、軸方向両端に前記伝達部材4を構成するタイミングベルト41を挟持する一対の円形プレート23が配設されフランジ部を構成している。
【0037】
前記本体1の他端12内の右端に配設される回転部材24を動力駆動する場合は、図3に示されるように前記回転部材24の中央の係合穴241として六角穴が形成され、外周部には前記回転部材2と同様のスプラインが加工されている。前記六角穴には、トルクレンチやラチェットレンチが取りつけ可能である。
【0038】
前記本体1の他端12内の中央に配設される回転部材25、26は、図4(A)、(B)に示されるように中央には丸穴251、261が形成され、外周部は上述と同様にスプラインが加工してある部品252、262が配設されている。前記回転部材26は、図4(C)に示されるように中央部の丸穴261にはワンウエイクラッチ33が圧入されている。
【0039】
前記伝達部材4は、図1および図5に示されるように前記回転部材2の外周のスプライン部22に巻装されるとともに、前記本体1内にルーブ状に配設され、前記レバー部材31の前後方向の直線的動きに応じて移動するタイミングベルト41によって構成されているものである。
【0040】
すなわち前記タイミングベルト41が、図1および図5に示されるように上述の回転部材2、24、25および26を構成する各部品の回りに巻装され、各部品が連結されている。
【0041】
前記操作部材3が、図1および図6に示されるように前記本体1の他端12下部に下方に突設された作業者の掌によって包囲され握られる握部13に対向して直線的に前後方向に移動自在に配設され、付勢部材32としてのスプリングによって前記握部13に対して離れる方向の付勢力が付与されているレバー部材31によって構成されているものである。
【0042】
前記変換部材5が、図1および図7に示されるように前記回転部材2を回転自在に支持する前記本体1の一端11を構成する突出部110を180度回動させる回動機構51によって回動自在な構成にすることによって、前記回転部材2の外周のスプライン部22に巻装されたループ状(図1)の前記タイミングベルト41を8の字状(図7)に捩じることにより、前記回転部材2の回転方向を逆方向にするように構成されているものである。
【0043】
本第1実施形態の工具においては、図1および図8(A)および(B)に示されるように先端部品である前記回転部材2を回転自在に支持する本体1の一端11としての突出部110は水平に、中央部品である動力部品が配設される本体1の他端12は垂直のクロス状態に組合わされている。
【0044】
前記クロス位置は、前記先端部品と中央部品の間で行っている。したがって先端部品部は、180度回転しても前記タイミングベルト41は接触しない構造になっている。しかも前記先端部品と前記突出部110は、180度以上回転しないように構成されており、かつ反対方向への回転もしないように構成されている。
【0045】
図8(A)に示されるようにベルト41のクロスしている部位において、輪ゴムに指を入れ、ある一面に平行に引っ張るように構成され、これを基準として片方を90°回転させた状態が本第1実施形態の工具の基本ベルト構想となっている。このクロス状態ではベルトが擦れ合うことも無く動力伝達もスムーズにいくように構成されている。
【0046】
先端部のボルトナット取付部である前記突出部110の動きを示す図8(B)ないし(F)を用いて,以下に詳細に説明する。
【0047】
前記本体1の他端12である工具本体側は固定で回転しないので、前記突出部110を構成する先端部のみが動く、この動きをC記号を参照して説明をする。
【0048】
図8(B)は工具の基本位置である:C記号は右にあり。
図8(C)は先端部を90°回転している:C記号は上にあり。
図8(D)は先端部を更に90°回転する:C記号は左にあり。
図8(E)は90°回転を戻した:図2(A)と同じ位置になる。
図8(E)はさらに90°回転を戻した:図1(A)と同じになる。
本第1実施形態における工具は上図の動きのように先端部が180°回転するが、図8(D)以上への回転は工具本体に回転防止(ストッパー)が付けてあることから出来なくなっている。
【0049】
前記レバー部材31の一端にワンウェイクラッチ33を備えたスプライン部品34が配設され、前記回転部材2を駆動する前記握部13に近づく方向に前記レバー部材31が動く時は外周のスプライン部341は回転しないで前記タイミングベルト41に係合して前記タイミングベルト41を移動させることにより、作業者による前記レバー部材31の操作力を前記タイミングベルト41を介して前記回転部材に伝達するように構成されている。
【0050】
前記回転部材26の中央にワンウエイクラッチ33が圧入されているクラッチ付き部品の保持方法について、図6(A)および(B)を用いて以下に述べる。
【0051】
クラッチ部品26とベルト41を合せ、これを前記操作レバー31の上端に一体的に配設されたクラッチ保持具34の溝に入れ、スライドピン35でクラッチ部品26およびクラッチ部品保持具34の穴に挿入する、この後本体ケースの片方の作動溝36にスライドピンを入れ、もう一方の本体ケース12の作動溝16と合わせると図6(B)に示すようになる。
【0052】
図6(B)は、側面より見た状態を示す(本体ケースは透明で表現)ものである。案内ピンがクラッチ保持具にネジで固定され、スプリング32が案内ピンに取付けられている、この案内ピン36は前記握部13に形成された穴17に挿入されていて、クラッチ部品26が移動する時に平行を保つ役目を果たしている。
【0053】
逆に前記付勢部材32の付勢力によって前記レバー部材31が前記握部13に対して離れる方向に動く時は外周のスプライン部341のみが回転して前記タイミングベルト41に係合しないので、前記タイミングベルト41は移動しないで前記レバー部材31のみが移動して戻るように構成されているものである。
【0054】
張力付与手段6が、図1および図7に示されるように前記回転部材2の外周のスプライン部22に巻装され、前記本体1内にルーブ状に配設された前記タイミングベルト41の一部を押圧するように所定間隔を置いて並設された一対のピン62、63の間に配設されたテンションローラ61を構成する前記回転部材25によって構成され、該タイミングベルト41に対して調整された所定の張力を付与するように構成されている。
【0055】
上記構成より成る本第1実施形態の回転工具は、前記操作部材3を、前記握部13に近づく方向に直線的に移動させる操作によって前記回転部材2が回転するものであるため、先端部としての突出部だけ挿入出来るスペースさえあれば、前記回転部材2を回転させることが出来るので、手が入り難い場所での作業であって、又スパナをあまり回転できないスペースの余裕が無い部位における作業を可能にするという効果を奏する。
【0056】
また本第1実施形態においては、使用するボルトナットの締付圧力が小さく(10Nm以下)であることから、動力伝達手段としてゴム製のタイミングベルト41を使用しており、伝達部材としてチェーンを使用していないので、軽量化を実現し、操作性を高めるとともに、圧力を要しない時は連続回転を可能にするものである。
【0057】
さらに本第1実施形態においては、回転が一方向の回転しか伝達できないが、この工具の先端部110を180度回転させるだけで、前記回転部材2としてのボルトナット部の逆転を可能にするので、タイミングベルト41の張替えは不要である。
【0058】
また本第1実施形態においては、圧力必要時は動力伝達用部にトルクレンチを接続できるように構成されているので、圧力必要時に対応することが出来るものである。
【0059】
さらに本第1実施形態においては、工具の全体を示す図1および図7から明らかなように前記タイミングベルト41のネジレが本体1の先端部品11からではタイミングベルト41が外れ易いので途中に支えコマ111があり、このコマ111によりタイミングベルト41のネジレの影響を防止している。
【0060】
(第2実施形態)
本第2実施形態の回転工具は、上述の第1実施形態における前記伝達部材としてのタイミングベルト41を、前記回転部材の外周の歯部に噛合する歯車列機構42に変更した点が主な相違点であり、以下相違点を中心に図9および図10を用いて説明する。
【0061】
本第2実施形態の回転工具は、変換部材5が、前記歯車列機構42中に介挿された一対の傘歯車機構422、423によって構成され、本体1の一端の突出部11を回転させて、一方の傘歯車422に対して他方の傘歯車423を公転することにより、噛合位置を前記一方の傘歯車422の上方の点(図9)と下方の点(図10)と180度変えることによって、回転部材2の回転方向を逆方向にするように構成されているものである。
【0062】
すなわち本第2実施形態における歯車列機構42は、図9に示される本体1の一端の突出部11が上方に位置する状態においては、レバー部材31が握部13に近づく方向に引かれると一体的に形成されたラック420が図中右方に移動し、該ラック420に噛合するする第1の傘歯車対421が図中矢印の方向に回転し、該第1の傘歯車対421に噛合する第2の傘歯車対422が図中矢印の方向に回転し、該第2の傘歯車対422に噛合する前記突出部11内に配設された第3の傘歯車および平歯車423が図中矢印の方向に回転し、第3の傘歯車および平歯車423に噛合する第4の平歯車424が図中矢印の方向に回転し、該第4の平歯車424に噛合する中央に係合穴21が形成された回転部材2が図中矢印の方向(時計方向)に回転して、ボルトまたはナット等の被回転体を時計方向に回転させ締着する。
【0063】
また本第2実施形態における歯車列機構42は、図10に示される本体1の一端の突出部11が下方に位置する状態においては、レバー部材31が握部13に近づく方向に引かれると一体的に形成されたラック420が図中右方に移動し、該ラック420に噛合するする第1の傘歯車対421が図中矢印の方向に回転し、該第1の傘歯車対421に噛合する第2の傘歯車対422が図中矢印の方向に回転し、該第2の傘歯車422に噛合する前記突出部11内に配設された第3の傘歯車および平歯車423が図中矢印の方向に回転し、第3の傘歯車および平歯車423に噛合する第4の平歯車424が図中矢印の方向に回転し、該第4の平歯車424に噛合する中央に係合穴21が形成された回転部材2が図中矢印の方向(反時計方向)に回転して、ボルトまたはナット等の被回転体を時計方向に回転させ緩められる。
【0064】
本第2実施形態の回転工具は、前記伝達部材4を構成する前記回転部材2の外周の歯部に噛合する効率の高い確実な前記歯車列機構42によって、前記レバー部材31の前後方向の直線的動きを前記回転部材2の前記係合穴21によって前記被回転体に確実に伝達して、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0065】
また本第2実施形態の回転工具は、前記変換部材5を構成する前記歯車列機構42中に介挿された一対の傘歯車機構の一方の傘歯車422に対して他方の傘歯車423を公転することにより、噛合位置を180度変えることによって、前記回転部材2の回転方向を逆方向にするので、前記本体1の一端11を180度回動させるという簡単な操作によって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0066】
(第3実施形態)
本第3実施形態の回転工具は、操作部材が、正逆両方向に回転可能な電動機7によって回転駆動される点が上述の実施形態との主な相違点であり、以下相違点を中心に図11および図12を用いて説明する。
【0067】
本第3実施形態においては、上述の第2実施形態と同様に前記伝達部材として回転部材2の外周の歯部に噛合する歯車列機構43を採用し、本体1の他端12の長手方向の軸に平行に配設された傘歯車のドライブギヤ430は、伝達部材を駆動する操作部材を構成するもので、クラッチプランジャが介挿されたクラッチハウジングを介して電動ドライバー等の駆動モータと同様の正逆両方向回転可能な駆動モータ7によって正逆両方向に回転駆動される。
【0068】
前記ドライブギヤ430は、本体1の他端12の長手方向の軸に直角な方向に回転自在に配設された第1のドリブンギヤ431を構成する傘歯車4311に噛合して他端に一体的に形成された平歯車4312を回転駆動する。
【0069】
前記第1のドリブンギヤ431の平歯車4312は、本体1の一端11の長手方向の軸に直角な方向に回転自在に配設された第2のドリブンギヤ432を構成する平歯車に噛合する。
【0070】
前記第2のドリブンギヤ432を構成する平歯車は、本体1の一端11の長手方向の軸に直角な方向に回転自在に配設された中央にボルトまたはナットを係合させ回転する回転部材2の外周に形成された歯部に噛合する。
【0071】
本第3実施形態の回転工具は、前記操作部材としてのドライブギヤ430が、正逆両方向に回転可能な前記駆動モータ7によって回転駆動されるので、前記駆動モータ7の駆動方向によって前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるため、電動機の利用によって作業者の操作力を不要にして、前記駆動モータ7の駆動トルクに応じた高トルクおよび高速の回転駆動を可能にし、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0072】
また本第3実施形態の回転工具は、前記伝達部材4を構成する前記回転部材2の外周の歯部に噛合する効率の高い確実な前記歯車列機構43を介して、前記係合穴21によって前記被回転体に確実に伝達して、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0073】
さらに本第3実施形態の回転工具は、クラッチプランジャが介挿されたクラッチハウジングを介して電動ドライバー等の駆動モータと同様の正逆両方向回転可能な駆動モータ7によって、ボルトまたはナットを正逆両方向に回転駆動するものであるので、ボルトまたはナットを締めつけるトルクが過度に増大した場合は、クラッチプランジャと前記ドライブギヤとの間で滑りが生じ、過度な回転トルクの伝達が阻止され、ボルトまたはナットの折損等の事態を回避するという効果を奏する。
【0074】
【実施例】
以下本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
【0075】
(実施例)
本実施例の回転工具は、上述の第1実施形態をさらに具体的にしたもので、同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0076】
本実施例の回転工具は、図13ないし図16に示されるように一部に形成された係合穴21によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体1の一端11に回転自在に支持された回転部材2と、本体1の他端12に配設され、一つの方向に移動する操作部材3と、前記操作部材3の一つの方向の動きを前記回転部材2に伝達する伝達部材4と、前記操作部材3の動きの方向を逆方向に変換する変換部材5とから成り、前記操作部材3の一つの方向の移動によって、該変換部材5の操作に応じて前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるように構成されているものである。
【0077】
図16(A)、(B)は、回転部材2の正回転および逆回転におけるタイミングベルト41の姿勢を示すものである。
【0078】
上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の回転工具の全体を示す全体スケルトン図である。
【図2】本第1実施形態の回転工具における回転部材を示す平面図および側面図である。
【図3】本第1実施形態の回転工具における本体の他端内の右端に配設される回転部材を示す平面図である。
【図4】本第1実施形態の回転工具における本体の他端内の中央に配設される2つの回転部材を示す平面図および側面図である。
【図5】本第1実施形態の回転工具における伝達部材および張力付与手段を示す側面図である。
【図6】本第1実施形態の回転工具における操作部材およびワンウェイクラッチを示す部分側面図および部分正面図である。
【図7】本第1実施形態の回転工具における本体の一端を回転させタイミングベルトが捩じられた状態の全体を示す全体図である。
【図8】本第1実施形態の回転工具における本体の一端の回転を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態の回転工具の全体を示す全体スケルトン図である。
【図10】本発明の第2実施形態の回転工具における本体の一端を回転させた状態における全体を示す全体スケルトン図である。
【図11】本発明の第3実施形態の回転工具の全体を示す平面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の回転工具の全体を示す側面図である。
【図13】本発明の実施例の回転工具の内部詳細を示す側面図である。
【図14】本実施例の回転工具の詳細を示す正面図である。
【図15】本実施例の回転工具の詳細を示す横断面図である。
【図16】本実施例における回転部材2の正回転および逆回転におけるタイミングベルト41の姿勢を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 本体
11 一端
12 他端
21 係合穴
2 回転部材
3 操作部材
4 伝達部材
5 変換部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトまたはナット等の被回転体を回転させる回転工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のボルトナットの締付工具は、一般的にスパナが使用されているが、生産ラインなどにおいては、インパクトレンチ等の専用工具が使用されている。締付トルクが管理されている箇所においてはトルクレンチが最終締付工具となっている。これらの専用工具は、ボルト位置が比較的見やすく、締付作業が容易な位置にあるものである。
【0003】
従来の締付工具は、外周にギャー状の突起部を有し内周が通しボルトに螺合するナットと嵌合する締付ソケットと、中央に上記通しボルト先端と係止する係止穴を外周にギャー状の突起部をそれぞれ有する回り止めソケットから成るもので、圧力に対しては関係無く締付ける工具であり、又締付け現在のラチェット工具の原型と思われる工具である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
従来のボルトナットの回転工具は、グリップと、このグリップに設けられた前後方向に長い本体と、この本体に前後摺動自在に嵌められた作動ロッドと、この作動ロッドを前後動させる駆動装置と、前記作動ロッドによって作動させられる、本体に前後揺動自在に設けられた揺動体と、この揺動体にその左右いずれの側からも着脱自在となされると共に、揺動体の揺動中心と同心となる回転中心を有するボルト頭又はナットに係合するソケットを有する係合具とを有するもので、狭い空間での使用を記載している(例えば特許文献2参照)。
【0005】
従来のボルトナット締め工具は、ボルトやナットの締付け位置から離れた位置でレンチを廻してボルトやナットの締付け作業や緩め作業を行うためのもので、道路工事等でパイプ連結工事において利用されるものである(例えば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平05−138545号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】
特開平08−025239号公報(第2−3頁、第1図〜第5図)
【特許文献3】
特開平08−197437号公報(第3−6頁、第1図、第2図、第4図、第7図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の締付工具は、圧力に対しては関係無く締付ける工具であり、又現在の締付けラチェット工具の原型と思われる工具であり、大型であり、構造的に弱いという問題があった。
【0008】
従来のボルトナットの回転工具は、ピストンを作動させるエヤや永久磁石を備えていなければいけないとともに、ボルトナットを何回転もさせることが出来ないという問題があった。
【0009】
従来のボルトナット締め工具は、ボルトやナットの締付け作業におけるトルクの管理を行うものではなく、逆転には連結チェーンをクロス状に張替えが必要であり、圧力が必要になるまでのボルトナット回転もラチェットレバーを何回も動かさなければいけないという問題があった。
【0010】
そこで本発明者は、一部に形成された係合穴によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体の一端に回転自在に支持された回転部材と、本体の他端に配設され、一つの方向に移動する操作部材と、前記操作部材の一つの方向の動きを前記回転部材に伝達する伝達部材とから成る回転工具において、前記操作部材の一つの方向の移動により前記伝達部材を介して前記被回転体を一つの回転方向に回転させるという本発明の第1の技術的思想に着眼し、前記操作部材の動きの方向を逆方向に変換する変換部材を備え該変換部材の操作により、前記操作部材の一つの方向の移動によって、前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるという本発明の第2の技術的思想に着眼するとともに、前記操作部材を、一つの方向に回転する電動機または正逆両方向に回転可能な電動機によって回転駆動するという本発明の第3の技術的思想に着眼し、更に研究開発を重ねた結果、簡単な構成によって前記被回転体の回転を可能にし、圧力が不要な時は早く回すことを可能にし、一方向の運動で正逆の回転を可能にして作業効率を改善し、電動機の利用により作業者の操作力を不要にして、ラチェットの操作におけるレバー切替を不要にするとともに、作業性が悪い位置に被回転体がある場合でも使用を可能にするという目的を達成する本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1に記載の第1発明)の回転工具は、
一部に形成された係合穴によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体の一端に回転自在に支持された回転部材と、
本体の他端に配設され、一つの方向に移動する操作部材と、
前記操作部材の一つの方向の動きを前記回転部材に伝達する伝達部材と
から成り、
前記操作部材の一つの方向の移動により前記被回転体を一つの回転方向に回転させるように構成されている
ものである。
【0012】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の回転工具は、
前記第1発明において、
前記操作部材の動きの方向を逆方向に変換する変換部材を備え
該変換部材の操作により、前記操作部材の一つの方向の移動によって、前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるように構成されている
ものである。
【0013】
本発明(請求項3に記載の第3発明)の回転工具は、
前記第2発明において、
前記操作部材が、前記本体の他端下部に下方に突設された作業者の掌によって包囲され握られる握部に対向して直線的に前後方向に移動自在に配設され、付勢部材によって前記握部に対して離れる方向の付勢力が付与されているレバー部材によって構成されている
ものである。
【0014】
本発明(請求項4に記載の第4発明)の回転工具は、
前記第3発明において、
前記伝達部材が、前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されるとともに、前記本体内にルーブ状に配設され、前記レバー部材の前後方向の直線的動きに応じて移動するタイミングベルトによって構成されている
ものである。
【0015】
本発明(請求項5に記載の第5発明)の回転工具は、
前記第4発明において、
前記変換部材が、前記回転部材を回転自在に支持する本体の一端を180度回動させる回動機構によって回動自在な構成にすることによって、
前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されたループ状の前記タイミングベルトを8の字状に捩じることにより、前記回転部材の回転方向を逆方向にするように構成されている
ものである。
【0016】
本発明(請求項6に記載の第6発明)の回転工具は、
前記第5発明において、
前記レバー部材の一端にワンウェイクラッチを備えたスプライン部品が配設され、前記回転部材を駆動する前記握部に近づく方向に前記レバー部材が動く時は外周のスプライン部は回転しないで前記タイミングベルトに係合して前記タイミングベルトを移動させることにより、作業者による前記レバー部材の操作力を前記タイミングベルトを介して前記回転部材に伝達し、前記付勢部材の付勢力によって前記レバー部材が前記握部に対して離れる方向に動く時は外周のスプライン部のみが回転して前記タイミングベルトに係合しないので、前記タイミングベルトは移動しないで前記レバー部材のみが移動して戻るように構成されている
ものである。
【0017】
本発明(請求項7に記載の第7発明)の回転工具は、
前記第6発明において、
前記本体内にルーブ状に配設されたタイミングベルトに対して張力を付与する張力付与手段を備えている
ものである。
【0018】
本発明(請求項8に記載の第8発明)の回転工具は、
前記第3発明において、
前記伝達部材が、前記回転部材の外周の歯部に噛合する歯車列機構によって構成されている
ものである。
【0019】
本発明(請求項9に記載の第9発明)の回転工具は、
前記第8発明において、
前記変換部材が、前記歯車列機構中に介挿された一対の傘歯車機構によって構成され、一方の傘歯車に対して他方の傘歯車を公転することにより、噛合位置を180度変えることによって、前記回転部材の回転方向を逆方向にするように構成されている
ものである。
【0020】
本発明(請求項10に記載の第10発明)の回転工具は、
前記第1発明または前記第2発明において、
前記操作部材が、一つの方向に回転する電動機によって回転駆動されている
ものである。
【0021】
本発明(請求項11に記載の第11発明)の回転工具は、
前記第1発明において、
前記操作部材が、正逆両方向に回転可能な電動機によって回転駆動されている
ものである。
【0022】
【発明の作用および効果】
上記構成より成る第1発明の回転工具は、一部に形成された係合穴によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体の一端に回転自在に支持された回転部材と、本体の他端に配設され、一つの方向に移動する操作部材と、前記操作部材の一つの方向の動きを前記回転部材に伝達する伝達部材とから成り、前記操作部材の一つの方向の移動により前記伝達部材を介して前記被回転体を一つの回転方向に回転させるものであるので、簡単な構成によって前記被回転体の回転を可能にし、圧力が不要な時は早く回すことを可能にするという効果を奏する。
【0023】
上記構成より成る第2発明の回転工具は、前記第1発明において、前記操作部材の動きの方向を逆方向に変換する変換部材を備え、該変換部材の操作により、前記操作部材の一つの方向の移動によって、前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるので、前記操作部材の一方向の運動で前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0024】
上記構成より成る第3発明の回転工具は、前記第2発明において、前記操作部材が、前記本体の他端下部に下方に突設された作業者の掌によって包囲され握られる握部に対向して直線的に前後方向に移動自在に配設され、付勢部材によって前記握部に対して離れる方向の付勢力が付与されているレバー部材によって構成されているので、作業者が前記握部を握って前記レバー部材を直線的に前後方向に引くという簡単且つ確実な操作によって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するとともに、スパナの揺動が行えない狭い空間における前記被回転体の回転作業を可能にするという効果を奏する。
【0025】
上記構成より成る第4発明の回転工具は、前記第3発明において、前記伝達部材が、前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されるとともに、前記本体内にルーブ状に配設され、前記レバー部材の前後方向の直線的動きに応じて移動するタイミングベルトによって構成されているので、タイミングベルトという軽量で簡単な部材によって、前記レバー部材の前後方向の直線的動きを前記回転部材の前記係合穴に挿入された前記被回転体に確実に伝達して、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0026】
上記構成より成る第5発明の回転工具は、前記第4発明において、前記変換部材を構成する回動自在な前記回転部材によって、回転自在に支持された前記本体の一端を180度回動させることにより、前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されたループ状の前記タイミングベルトを8の字状に捩じることにより、前記回転部材の回転方向を逆方向にするので、前記本体の一端を180度回動させるという簡単な操作によって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0027】
上記構成より成る第6発明の回転工具は、前記第5発明において、前記レバー部材の一端にワンウェイクラッチを備えたスプライン部品が配設され、前記回転部材を駆動する前記握部に近づく方向に前記レバー部材が動く時は外周のスプライン部は回転しないで前記タイミングベルトに係合して前記タイミングベルトを移動させるこきにより、作業者による前記レバー部材の操作力を前記タイミングベルトを介して前記回転部材に伝達し、前記付勢部材の付勢力によって前記レバー部材が前記握部に対して離れる方向に動く時は外周のスプライン部のみが回転して前記タイミングベルトに係合しないので、前記タイミングベルトは移動しないで前記レバー部材のみが移動して戻るので、前記レバー部材を前記握部に近づく方向に引くという単一の操作の繰り返しによって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを連続的に行うことを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0028】
上記構成より成る第7発明の回転工具は、前記第6発明において、前記張力付与手段が、前記本体内にルーブ状に配設されたタイミングベルトに対して張力を付与するので、前記タイミングベルトの張力を制御するため、安定且つ一様な前記被回転体の締付および緩め作業を実現するという効果を奏する。
【0029】
上記構成より成る第8発明の回転工具は、前記第3発明において、前記伝達部材を構成する前記回転部材の外周の歯部に噛合する効率の高い確実な前記歯車列機構によって、前記レバー部材の前後方向の直線的動きを前記回転部材の前記係合穴に挿入された前記被回転体に確実に伝達して、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0030】
上記構成より成る第9発明の回転工具は、前記第8発明において、前記変換部材を構成する前記歯車列機構中に介挿された一対の傘歯車機構の一方の傘歯車に対して他方の傘歯車を公転することにより、噛合位置を180度変えることによって、前記回転部材の回転方向を逆方向にするので、前記回転部材の回転方向を逆方向にするので、前記本体の一端を180度回動させるという簡単な操作によって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0031】
上記構成より成る第10発明の回転工具は、前記第1発明または前記第2発明において、前記操作部材が、一つの方向に回転する電動機によって回転駆動されているので、電動機の利用により作業者の操作力を不要にするという効果を奏する。
【0032】
上記構成より成る第11発明の回転工具は、前記第1発明において、前記操作部材が、正逆両方向に回転可能な電動機によって回転駆動されるので、前記電動機の駆動方向によって前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるため、電動機の利用により作業者の操作力を不要にして、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0034】
(第1実施形態)
本第1実施形態の回転工具は、図1ないし図8に示されるように一部に形成された係合穴21によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体1の一端11に回転自在に支持された回転部材2と、本体1の他端12に配設され、一つの方向に移動する操作部材3と、前記操作部材3の一つの方向の動きを前記回転部材2に伝達する伝達部材4と、前記操作部材3の動きの方向を逆方向に変換する変換部材5とから成り、前記操作部材3の一つの方向の移動によって、該変換部材5の操作に応じて前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるように構成されているものである。
【0035】
前記回転部材2は、図2(A)に示されるように糸巻状の円形部材によって構成され、ボルトやナット等の被回転体を回転させる取付部としての中央の係合穴21として四角の穴が形成され、該四角穴にはボルトやナット等の被回転体を回転させるための付属部品が取り付けられる。
【0036】
前記回転部材2の外周部には、図2(B)に示されるようにスプラインが加工してある部品が配設され、軸方向両端に前記伝達部材4を構成するタイミングベルト41を挟持する一対の円形プレート23が配設されフランジ部を構成している。
【0037】
前記本体1の他端12内の右端に配設される回転部材24を動力駆動する場合は、図3に示されるように前記回転部材24の中央の係合穴241として六角穴が形成され、外周部には前記回転部材2と同様のスプラインが加工されている。前記六角穴には、トルクレンチやラチェットレンチが取りつけ可能である。
【0038】
前記本体1の他端12内の中央に配設される回転部材25、26は、図4(A)、(B)に示されるように中央には丸穴251、261が形成され、外周部は上述と同様にスプラインが加工してある部品252、262が配設されている。前記回転部材26は、図4(C)に示されるように中央部の丸穴261にはワンウエイクラッチ33が圧入されている。
【0039】
前記伝達部材4は、図1および図5に示されるように前記回転部材2の外周のスプライン部22に巻装されるとともに、前記本体1内にルーブ状に配設され、前記レバー部材31の前後方向の直線的動きに応じて移動するタイミングベルト41によって構成されているものである。
【0040】
すなわち前記タイミングベルト41が、図1および図5に示されるように上述の回転部材2、24、25および26を構成する各部品の回りに巻装され、各部品が連結されている。
【0041】
前記操作部材3が、図1および図6に示されるように前記本体1の他端12下部に下方に突設された作業者の掌によって包囲され握られる握部13に対向して直線的に前後方向に移動自在に配設され、付勢部材32としてのスプリングによって前記握部13に対して離れる方向の付勢力が付与されているレバー部材31によって構成されているものである。
【0042】
前記変換部材5が、図1および図7に示されるように前記回転部材2を回転自在に支持する前記本体1の一端11を構成する突出部110を180度回動させる回動機構51によって回動自在な構成にすることによって、前記回転部材2の外周のスプライン部22に巻装されたループ状(図1)の前記タイミングベルト41を8の字状(図7)に捩じることにより、前記回転部材2の回転方向を逆方向にするように構成されているものである。
【0043】
本第1実施形態の工具においては、図1および図8(A)および(B)に示されるように先端部品である前記回転部材2を回転自在に支持する本体1の一端11としての突出部110は水平に、中央部品である動力部品が配設される本体1の他端12は垂直のクロス状態に組合わされている。
【0044】
前記クロス位置は、前記先端部品と中央部品の間で行っている。したがって先端部品部は、180度回転しても前記タイミングベルト41は接触しない構造になっている。しかも前記先端部品と前記突出部110は、180度以上回転しないように構成されており、かつ反対方向への回転もしないように構成されている。
【0045】
図8(A)に示されるようにベルト41のクロスしている部位において、輪ゴムに指を入れ、ある一面に平行に引っ張るように構成され、これを基準として片方を90°回転させた状態が本第1実施形態の工具の基本ベルト構想となっている。このクロス状態ではベルトが擦れ合うことも無く動力伝達もスムーズにいくように構成されている。
【0046】
先端部のボルトナット取付部である前記突出部110の動きを示す図8(B)ないし(F)を用いて,以下に詳細に説明する。
【0047】
前記本体1の他端12である工具本体側は固定で回転しないので、前記突出部110を構成する先端部のみが動く、この動きをC記号を参照して説明をする。
【0048】
図8(B)は工具の基本位置である:C記号は右にあり。
図8(C)は先端部を90°回転している:C記号は上にあり。
図8(D)は先端部を更に90°回転する:C記号は左にあり。
図8(E)は90°回転を戻した:図2(A)と同じ位置になる。
図8(E)はさらに90°回転を戻した:図1(A)と同じになる。
本第1実施形態における工具は上図の動きのように先端部が180°回転するが、図8(D)以上への回転は工具本体に回転防止(ストッパー)が付けてあることから出来なくなっている。
【0049】
前記レバー部材31の一端にワンウェイクラッチ33を備えたスプライン部品34が配設され、前記回転部材2を駆動する前記握部13に近づく方向に前記レバー部材31が動く時は外周のスプライン部341は回転しないで前記タイミングベルト41に係合して前記タイミングベルト41を移動させることにより、作業者による前記レバー部材31の操作力を前記タイミングベルト41を介して前記回転部材に伝達するように構成されている。
【0050】
前記回転部材26の中央にワンウエイクラッチ33が圧入されているクラッチ付き部品の保持方法について、図6(A)および(B)を用いて以下に述べる。
【0051】
クラッチ部品26とベルト41を合せ、これを前記操作レバー31の上端に一体的に配設されたクラッチ保持具34の溝に入れ、スライドピン35でクラッチ部品26およびクラッチ部品保持具34の穴に挿入する、この後本体ケースの片方の作動溝36にスライドピンを入れ、もう一方の本体ケース12の作動溝16と合わせると図6(B)に示すようになる。
【0052】
図6(B)は、側面より見た状態を示す(本体ケースは透明で表現)ものである。案内ピンがクラッチ保持具にネジで固定され、スプリング32が案内ピンに取付けられている、この案内ピン36は前記握部13に形成された穴17に挿入されていて、クラッチ部品26が移動する時に平行を保つ役目を果たしている。
【0053】
逆に前記付勢部材32の付勢力によって前記レバー部材31が前記握部13に対して離れる方向に動く時は外周のスプライン部341のみが回転して前記タイミングベルト41に係合しないので、前記タイミングベルト41は移動しないで前記レバー部材31のみが移動して戻るように構成されているものである。
【0054】
張力付与手段6が、図1および図7に示されるように前記回転部材2の外周のスプライン部22に巻装され、前記本体1内にルーブ状に配設された前記タイミングベルト41の一部を押圧するように所定間隔を置いて並設された一対のピン62、63の間に配設されたテンションローラ61を構成する前記回転部材25によって構成され、該タイミングベルト41に対して調整された所定の張力を付与するように構成されている。
【0055】
上記構成より成る本第1実施形態の回転工具は、前記操作部材3を、前記握部13に近づく方向に直線的に移動させる操作によって前記回転部材2が回転するものであるため、先端部としての突出部だけ挿入出来るスペースさえあれば、前記回転部材2を回転させることが出来るので、手が入り難い場所での作業であって、又スパナをあまり回転できないスペースの余裕が無い部位における作業を可能にするという効果を奏する。
【0056】
また本第1実施形態においては、使用するボルトナットの締付圧力が小さく(10Nm以下)であることから、動力伝達手段としてゴム製のタイミングベルト41を使用しており、伝達部材としてチェーンを使用していないので、軽量化を実現し、操作性を高めるとともに、圧力を要しない時は連続回転を可能にするものである。
【0057】
さらに本第1実施形態においては、回転が一方向の回転しか伝達できないが、この工具の先端部110を180度回転させるだけで、前記回転部材2としてのボルトナット部の逆転を可能にするので、タイミングベルト41の張替えは不要である。
【0058】
また本第1実施形態においては、圧力必要時は動力伝達用部にトルクレンチを接続できるように構成されているので、圧力必要時に対応することが出来るものである。
【0059】
さらに本第1実施形態においては、工具の全体を示す図1および図7から明らかなように前記タイミングベルト41のネジレが本体1の先端部品11からではタイミングベルト41が外れ易いので途中に支えコマ111があり、このコマ111によりタイミングベルト41のネジレの影響を防止している。
【0060】
(第2実施形態)
本第2実施形態の回転工具は、上述の第1実施形態における前記伝達部材としてのタイミングベルト41を、前記回転部材の外周の歯部に噛合する歯車列機構42に変更した点が主な相違点であり、以下相違点を中心に図9および図10を用いて説明する。
【0061】
本第2実施形態の回転工具は、変換部材5が、前記歯車列機構42中に介挿された一対の傘歯車機構422、423によって構成され、本体1の一端の突出部11を回転させて、一方の傘歯車422に対して他方の傘歯車423を公転することにより、噛合位置を前記一方の傘歯車422の上方の点(図9)と下方の点(図10)と180度変えることによって、回転部材2の回転方向を逆方向にするように構成されているものである。
【0062】
すなわち本第2実施形態における歯車列機構42は、図9に示される本体1の一端の突出部11が上方に位置する状態においては、レバー部材31が握部13に近づく方向に引かれると一体的に形成されたラック420が図中右方に移動し、該ラック420に噛合するする第1の傘歯車対421が図中矢印の方向に回転し、該第1の傘歯車対421に噛合する第2の傘歯車対422が図中矢印の方向に回転し、該第2の傘歯車対422に噛合する前記突出部11内に配設された第3の傘歯車および平歯車423が図中矢印の方向に回転し、第3の傘歯車および平歯車423に噛合する第4の平歯車424が図中矢印の方向に回転し、該第4の平歯車424に噛合する中央に係合穴21が形成された回転部材2が図中矢印の方向(時計方向)に回転して、ボルトまたはナット等の被回転体を時計方向に回転させ締着する。
【0063】
また本第2実施形態における歯車列機構42は、図10に示される本体1の一端の突出部11が下方に位置する状態においては、レバー部材31が握部13に近づく方向に引かれると一体的に形成されたラック420が図中右方に移動し、該ラック420に噛合するする第1の傘歯車対421が図中矢印の方向に回転し、該第1の傘歯車対421に噛合する第2の傘歯車対422が図中矢印の方向に回転し、該第2の傘歯車422に噛合する前記突出部11内に配設された第3の傘歯車および平歯車423が図中矢印の方向に回転し、第3の傘歯車および平歯車423に噛合する第4の平歯車424が図中矢印の方向に回転し、該第4の平歯車424に噛合する中央に係合穴21が形成された回転部材2が図中矢印の方向(反時計方向)に回転して、ボルトまたはナット等の被回転体を時計方向に回転させ緩められる。
【0064】
本第2実施形態の回転工具は、前記伝達部材4を構成する前記回転部材2の外周の歯部に噛合する効率の高い確実な前記歯車列機構42によって、前記レバー部材31の前後方向の直線的動きを前記回転部材2の前記係合穴21によって前記被回転体に確実に伝達して、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0065】
また本第2実施形態の回転工具は、前記変換部材5を構成する前記歯車列機構42中に介挿された一対の傘歯車機構の一方の傘歯車422に対して他方の傘歯車423を公転することにより、噛合位置を180度変えることによって、前記回転部材2の回転方向を逆方向にするので、前記本体1の一端11を180度回動させるという簡単な操作によって、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0066】
(第3実施形態)
本第3実施形態の回転工具は、操作部材が、正逆両方向に回転可能な電動機7によって回転駆動される点が上述の実施形態との主な相違点であり、以下相違点を中心に図11および図12を用いて説明する。
【0067】
本第3実施形態においては、上述の第2実施形態と同様に前記伝達部材として回転部材2の外周の歯部に噛合する歯車列機構43を採用し、本体1の他端12の長手方向の軸に平行に配設された傘歯車のドライブギヤ430は、伝達部材を駆動する操作部材を構成するもので、クラッチプランジャが介挿されたクラッチハウジングを介して電動ドライバー等の駆動モータと同様の正逆両方向回転可能な駆動モータ7によって正逆両方向に回転駆動される。
【0068】
前記ドライブギヤ430は、本体1の他端12の長手方向の軸に直角な方向に回転自在に配設された第1のドリブンギヤ431を構成する傘歯車4311に噛合して他端に一体的に形成された平歯車4312を回転駆動する。
【0069】
前記第1のドリブンギヤ431の平歯車4312は、本体1の一端11の長手方向の軸に直角な方向に回転自在に配設された第2のドリブンギヤ432を構成する平歯車に噛合する。
【0070】
前記第2のドリブンギヤ432を構成する平歯車は、本体1の一端11の長手方向の軸に直角な方向に回転自在に配設された中央にボルトまたはナットを係合させ回転する回転部材2の外周に形成された歯部に噛合する。
【0071】
本第3実施形態の回転工具は、前記操作部材としてのドライブギヤ430が、正逆両方向に回転可能な前記駆動モータ7によって回転駆動されるので、前記駆動モータ7の駆動方向によって前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるため、電動機の利用によって作業者の操作力を不要にして、前記駆動モータ7の駆動トルクに応じた高トルクおよび高速の回転駆動を可能にし、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0072】
また本第3実施形態の回転工具は、前記伝達部材4を構成する前記回転部材2の外周の歯部に噛合する効率の高い確実な前記歯車列機構43を介して、前記係合穴21によって前記被回転体に確実に伝達して、前記被回転体の正逆の回転すなわち前記被回転体の締付および緩めを可能にして作業効率を改善するという効果を奏する。
【0073】
さらに本第3実施形態の回転工具は、クラッチプランジャが介挿されたクラッチハウジングを介して電動ドライバー等の駆動モータと同様の正逆両方向回転可能な駆動モータ7によって、ボルトまたはナットを正逆両方向に回転駆動するものであるので、ボルトまたはナットを締めつけるトルクが過度に増大した場合は、クラッチプランジャと前記ドライブギヤとの間で滑りが生じ、過度な回転トルクの伝達が阻止され、ボルトまたはナットの折損等の事態を回避するという効果を奏する。
【0074】
【実施例】
以下本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
【0075】
(実施例)
本実施例の回転工具は、上述の第1実施形態をさらに具体的にしたもので、同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0076】
本実施例の回転工具は、図13ないし図16に示されるように一部に形成された係合穴21によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体1の一端11に回転自在に支持された回転部材2と、本体1の他端12に配設され、一つの方向に移動する操作部材3と、前記操作部材3の一つの方向の動きを前記回転部材2に伝達する伝達部材4と、前記操作部材3の動きの方向を逆方向に変換する変換部材5とから成り、前記操作部材3の一つの方向の移動によって、該変換部材5の操作に応じて前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるように構成されているものである。
【0077】
図16(A)、(B)は、回転部材2の正回転および逆回転におけるタイミングベルト41の姿勢を示すものである。
【0078】
上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の回転工具の全体を示す全体スケルトン図である。
【図2】本第1実施形態の回転工具における回転部材を示す平面図および側面図である。
【図3】本第1実施形態の回転工具における本体の他端内の右端に配設される回転部材を示す平面図である。
【図4】本第1実施形態の回転工具における本体の他端内の中央に配設される2つの回転部材を示す平面図および側面図である。
【図5】本第1実施形態の回転工具における伝達部材および張力付与手段を示す側面図である。
【図6】本第1実施形態の回転工具における操作部材およびワンウェイクラッチを示す部分側面図および部分正面図である。
【図7】本第1実施形態の回転工具における本体の一端を回転させタイミングベルトが捩じられた状態の全体を示す全体図である。
【図8】本第1実施形態の回転工具における本体の一端の回転を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態の回転工具の全体を示す全体スケルトン図である。
【図10】本発明の第2実施形態の回転工具における本体の一端を回転させた状態における全体を示す全体スケルトン図である。
【図11】本発明の第3実施形態の回転工具の全体を示す平面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の回転工具の全体を示す側面図である。
【図13】本発明の実施例の回転工具の内部詳細を示す側面図である。
【図14】本実施例の回転工具の詳細を示す正面図である。
【図15】本実施例の回転工具の詳細を示す横断面図である。
【図16】本実施例における回転部材2の正回転および逆回転におけるタイミングベルト41の姿勢を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 本体
11 一端
12 他端
21 係合穴
2 回転部材
3 操作部材
4 伝達部材
5 変換部材
Claims (11)
- 一部に形成された係合穴によってボルトまたはナット等の被回転体を回転させるものであって、本体の一端に回転自在に支持された回転部材と、
本体の他端に配設され、一つの方向に移動する操作部材と、
前記操作部材の一つの方向の動きを前記回転部材に伝達する伝達部材と
から成り、
前記操作部材の一つの方向の移動により前記被回転体を一つの回転方向に回転させるように構成されている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項1において、
前記操作部材の動きの方向を逆方向に変換する変換部材を備え
該変換部材の操作により、前記操作部材の一つの方向の移動によって、前記被回転体を正逆の回転方向に回転させるように構成されている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項2において、
前記操作部材が、前記本体の他端下部に下方に突設された作業者の掌によって包囲され握られる握部に対向して直線的に前後方向に移動自在に配設され、付勢部材によって前記握部に対して離れる方向の付勢力が付与されているレバー部材によって構成されている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項3において、
前記伝達部材が、前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されるとともに、前記本体内にルーブ状に配設され、前記レバー部材の前後方向の直線的動きに応じて移動するタイミングベルトによって構成されている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項4において、
前記変換部材が、前記回転部材を回転自在に支持する本体の一端を180度回動させる回動機構によって回動自在な構成にすることによって、
前記回転部材の外周のスプライン部に巻装されたループ状の前記タイミングベルトを8の字状に捩じることにより、前記回転部材の回転方向を逆方向にするように構成されている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項5において、
前記レバー部材の一端にワンウェイクラッチを備えたスプライン部品が配設され、前記回転部材を駆動する前記握部に近づく方向に前記レバー部材が動く時は外周のスプライン部は回転しないで前記タイミングベルトに係合して前記タイミングベルトを移動させることにより、作業者による前記レバー部材の操作力を前記タイミングベルトを介して前記回転部材に伝達し、前記付勢部材の付勢力によって前記レバー部材が前記握部に対して離れる方向に動く時は外周のスプライン部のみが回転して前記タイミングベルトに係合しないので、前記タイミングベルトは移動しないで前記レバー部材のみが移動して戻るように構成されている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項6において、
前記本体内にルーブ状に配設されたタイミングベルトに対して張力を付与する張力付与手段を備えている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項3において、
前記伝達部材が、前記回転部材の外周の歯部に噛合する歯車列機構によって構成されている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項8において、
前記変換部材が、前記歯車列機構中に介挿された一対の傘歯車機構によって構成され、一方の傘歯車に対して他方の傘歯車を公転することにより、噛合位置を180度変えることによって、前記回転部材の回転方向を逆方向にするように構成されている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項1または請求項2において、
前記操作部材が、一つの方向に回転する電動機によって回転駆動されている
ことを特徴とする回転工具。 - 請求項1において、
前記操作部材が、正逆両方向に回転可能な電動機によって回転駆動されている
ことを特徴とする回転工具。
Priority Applications (1)
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JP (1) | JP2004249409A (ja) |
-
2003
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