JP2004249076A - 脱臭装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】悪臭成分の分解・脱臭をより効果的に行うことが可能な脱臭装置を提供する。
【解決手段】円筒状光源(6)の外径R、円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)との間隙Z、ハニカム状光触媒担持体(5)の開口幅d、ハニカム状光触媒担持体(5)の厚みL、および円筒状光源(6)のピッチPとにより、P=α×{2d/L×(2Z+R)+d+R}で与えられる構造の特徴を表す変数αの値、およびZが、0.9≦α≦1.1,3mm≦Z≦10mmを満足する。
【選択図】 図1
【解決手段】円筒状光源(6)の外径R、円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)との間隙Z、ハニカム状光触媒担持体(5)の開口幅d、ハニカム状光触媒担持体(5)の厚みL、および円筒状光源(6)のピッチPとにより、P=α×{2d/L×(2Z+R)+d+R}で与えられる構造の特徴を表す変数αの値、およびZが、0.9≦α≦1.1,3mm≦Z≦10mmを満足する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、悪臭物質を含む空気の脱臭装置に関し、特に、光触媒を用いて空気中の悪臭物質を分解除去する脱臭装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、悪臭物質を含む空気を脱臭するために、活性炭やシリカゲル等の吸着材による該物質の吸着、該物質のオゾン酸化、芳香剤によるマスキング等が行われていた。
【0003】
しかし、吸着材は、短寿命であり、また、頻繁に交換が必要となることから、メンテナンスが厄介となる問題があった。また、オゾン酸化の場合、オゾン自体が人体に影響を与えることから、取扱いが厄介である。芳香剤によるマスキングは、根本的に悪臭を除去できず、しかも寿命が短いという問題があった。
【0004】
そこで、取り込んだ悪臭空気を紫外線で励起された光触媒に接触させて脱臭する脱臭装置が、例えば特開平3−157125号公報、特開平5−293165号公報に開示されている。光触媒は、活性炭等の吸着材と比較して、寿命が著しく長いことから、脱臭装置のメンテナンスが非常に簡便となる。光触媒方式の脱臭装置では、通常、酸化チタンを担持したハニカム基材に紫外線を照射して、酸化チタン上に吸着した悪臭成分を分解除去する。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−157125号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平5−293165号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
光触媒としては、ハニカム等の基材に酸化チタンを固定化したものが一般的に使用されているが、光触媒方式の脱臭装置で高い脱臭性能を得るためには、ハニカム状光触媒担持体の内部に紫外線を効果的に供給し、かつ、悪臭成分がハニカム状光触媒担持体に吸着するように、ハニカム状光触媒担持体とガスの接触確率を高めることが非常に重要となる。
【0008】
しかし、従来の光触媒方式の脱臭装置では、その点が十分に検討されていなかった。すなわち、ハニカム状光触媒担持体に十分な量の紫外線を照射するには、ハニカムセルの開口幅を大きくする必要があり、その結果として、悪臭成分と光触媒との接触が不充分となり、吸着及び分解・脱臭能力が低下するので、装置全体を大型化しなくてはならなかった。ハニカムセルの開口幅が小さい場合には、紫外線の照射を受けないハニカム状光触媒担持体の部分が増えて、十分に光触媒が活性化されないという問題があった。
【0009】
また、悪臭成分によって分解能が異なることから、悪臭成分が特定できない場合には、用意した光触媒で所望の除去効率が得られないことがあった。
【0010】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑みて、悪臭成分の分解・脱臭をより効果的に行うことが可能な脱臭装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の脱臭装置は、両端に吸気口および排気口を備えたケーシングと、吸気口から排気口へケーシング内の通風のための送風機と、通風方向に垂直かつ相互に等間隔に配置され、かつ通風方向に開口を有する3つ以上のハニカム状光触媒担持体と、ハニカム状光触媒担持体で仕切られたそれぞれの空間内に、通風方向に垂直な面内で平行かつ相互に等間隔に配置される2つ以上の円筒状光源とからなる。ハニカム状光触媒担持体で仕切られた空間の1つに含まれる円筒状光源の配置を通風方向に垂直な面に投影して表す時、第1の空間内に含まれる円筒状光源の配置が、隣接する第2の空間内に含まれる円筒状光源の配置にそれぞれ重なることを特徴とする。
【0012】
mm単位で表して、円筒状光源の外径R、円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙Z、ハニカム状光触媒担持体の開口幅d、ハニカム状光触媒担持体の厚みL、および円筒状光源の等間隔ピッチPとにより、式3
【0013】
【式3】
で与えられる構造の特徴を表す変数αの値、およびZが、式4
【0014】
【式4】
を満足することが望ましい。
【0015】
さらに、円筒状光源からの光が、ハニカム状光触媒担持体へ反射されるように、ケーシングの内面、および円筒状光源の間のそれぞれに反射部材を配置することが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の脱臭装置の一実施例の内部構造を示す断面図である。図2に、図1の拡大図を示す。
【0017】
本発明の脱臭装置は、反応容器であるケーシング(2)を有する。ケーシング(2)内の下部所定位置に吸気口(3)を設け、上部所定位置に排気口(4)を設ける。ケーシング(2)の内部には、集塵フィルタ(8)、ハニカム状光触媒担持体(5)、円筒状光源(6)、送風機(7)を設ける。ハニカム状光触媒担持体(5)は、ハニカム基材に光触媒が担持される。ハニカム状光触媒担持体(5)は、ケーシング(2)の横断面の全面に広がり、3段以上に配置されることが好ましい。
【0018】
光触媒としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、または、二酸化チタンおよび酸化亜鉛を主成分とした金属酸化物光触媒が、好適に用いられる。
【0019】
光触媒を担持するハニカム基材の材質としては、セラミックスや金属が好適に用いられる。ハニカム基材の構造としては、貫通して通風可能な空隙であるハニカムセルの断面が、例えば正六角形であるいわゆるハニカム構造や、三角形、四角形などの他の多角形であったり、コルゲート状であってもよく、本明細書ではこれらのような構造を持つ基材を総称してハニカム基材とする。
【0020】
ハニカム状光触媒担持体(5)のハニカムセルは、ケーシング(2)の縦断面に沿って、すなわち吸気口(3)から排気口(4)への流体の流れに沿って延在する。ハニカム状光触媒担持体(5)の厚みLは、すなわちハニカムセルの長さは、5〜30mmが好ましい。厚みLが5mm未満では、悪臭成分と光触媒との接触が不充分となり、脱臭性能が低下する。一方、厚みLが30mmを超えると、ガスの圧力抵抗が増加することに加えて、ハニカム状光触媒担持体(5)の内部に紫外線の照射を受けない部分が生じて、その部分の光触媒が十分に活性化されずに無駄となり、また、脱臭装置が大型化するので、設備コストが増大する。
【0021】
また、ハニカム基材の開口幅dは、2〜6mmが好ましい。ハニカム基材の開口幅dは、例えば対角線の長さのように、開口部の最大幅で規定する。開口幅dが小さくなるほど、ハニカム基材の表面積が増加することになるが、表面積が増加しても、紫外線ランプの紫外線強度が増加しなければ、脱臭性能は実質的に変わらない。ブラックライトや低圧水銀ランプといった円筒状光源の紫外線強度を考慮すると、ハニカム基材の開口幅は2〜6mmが好ましい。
【0022】
ハニカム状光触媒担持体(5)としては、ケーシング(2)から着脱可能な構造のカートリッジ式が好ましいが、ケーシング(2)に固定しても構わない。ケーシング(2)内に、該ハニカム状光触媒担持体(5)を、その開口面が通風方向に垂直となるように、かつ相互に等間隔で3つ以上、さらに好ましくは5つ以上配置し、ハニカム状光触媒担持体(5)の2つ以上の空間は、例えば20〜60mmの間隔で、それぞれの空間に複数個の円筒状光源(6)が等間隔で配置される。図1に示すように、全ての円筒状光源(6)が平面視で重なるように配置する。このように配置することにより、側面近くの円筒状光源が効率的に使用される。
【0023】
円筒状光源(6)としては、紫外線ランプを使用する。紫外線ランプは、波長が200〜400nmで、光触媒を励起させる能力を有するものであればよく、オゾンの発生などを考慮してブラックライトが好ましい。
【0024】
円筒状光源(6)と、ハニカム状光触媒担持体(5)の端部との距離Zは、3mm以上10mm以下が好ましい。10mmより長くなると、ハニカム状光触媒担持体(5)に供給される紫外線の強度が著しく低下するので好ましくない。一方、3mmより短くなると、実用上、円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)の交換作業が非常に不便になるので好ましくない。
【0025】
図2に示すように、mm単位で、円筒状光源の外径R、円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙Z、ハニカム状光触媒担持体の開口幅d、ハニカム状光触媒担持体の厚みL、および等間隔に配置された円筒状光源のピッチPを規定すると、パラメータR、Z、d、L、Pとにより、式5の関係式で、構造を表す変数αが表される。
【0026】
【式5】
【0027】
この変数αの値と、円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙Zとが、式6となるように、選択する。
【0028】
【式6】
【0029】
なお、円筒状光源(6)の外径Rは、15〜40mmである。
【0030】
このように選択することにより、ハニカム状光触媒担持体(5)の内部に十分な量の紫外線が供給されるので、効率的な悪臭成分の除去が可能となるとともに、脱臭装置の設備コストも最小化することができる。変数αの値が1.1よりも大きくなると、ハニカム状光触媒担持体(5)の内部に、紫外線強度の非常に低い部分が生じるために、光触媒の励起が不充分となり、悪臭成分の脱臭性能が低下する。変数αの値が0.9よりも小さくなると、ハニカム状光触媒担持体(5)の内部に、高強度の紫外線が供給されるが、ハニカム状光触媒担持体(5)の光触媒量が紫外線強度に対して不足するために、全体として効率が低下して、悪臭成分の脱臭性能が低下する。
【0031】
さらに、図3に、本発明の脱臭装置の異なる実施例の内部構造を断面図で示した。
【0032】
反射部材(9)、(10)は、円筒状光源(6)からの光が、ハニカム状光触媒担持体(5)へ反射されるように、ケーシング(2)の内面、および円筒状光源(6)の間のそれぞれに配置される。図示した例では、反射部材(9)は、4枚の平坦な鏡を傾斜させて上下に配置した断面菱形であり、反射部材(10)は、2枚の平坦な鏡を傾斜させて上下に配置した断面二等辺三角形であるが、効果的に光が反射されるように、直線と円弧や放物線などの曲線とを組み合わせた形状の断面とする。
【0033】
また、反射部材(9)、(10)の材質としては、紫外線反射効率の高い材料が好ましく、例えば、蒸着アルミ膜、アルミフォイル等が挙げられる。
【0034】
円筒状光源(6)の間に配置される反射部材(9)は、円筒状光源(6)の丁度、中間に配置すると全体として脱臭装置の効率を高められる。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明の脱臭装置を、実施例および比較例を用いて説明する。
【0036】
(実施例1)
図1に、本実施例の脱臭装置の断面図を示す。図2は、図1の拡大図である。
【0037】
ハニカム状光触媒担持体(5)を構成するハニカム基材には、開口幅dを2.5mm、寸法116.5mm(縦)×260mm(横)×20mm(厚みL)のコージェライト製のハニカムを用い、該ハニカムにアナターゼ型酸化チタン(石原産業(株)製、型式ST−01)を100g/リットル担持して、ハニカム状光触媒担持体(5)を調製した。
【0038】
脱臭装置内には、該ハニカム状光触媒担持体(5)を合計で6段、配置した。また、図示した最下に位置する第1段のハニカム状光触媒担持体(5)の下方に集塵フィルター(8)を配置した。円筒状光源(6)には、管径Rが15.5mmのブラックライト(8W)をハニカム状光触媒担持体(5)の間に、異なる段の間では平面視で重なるように配置した。円筒状光源(6)の本数は、全ての段にそれぞれ5本ずつで、合計で25本とした。円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)の端部との距離Zは、5mmとした。また、円筒状光源(6)のピッチPを22mmとした。本実施例では、前述の式5で与えられる変数αの値は0.90となった。
【0039】
以上のように組み立てられた脱臭装置に、60ppmのメチルエチルケトン含有空気を、毎分1.5m3の風量で、1000時間吸引させた。1000時間後の、排出ガス中のメチルエチルケトンの濃度を、FIDガスクロマトグラフィにより分析した。測定結果を表1に示す。
【0040】
(実施例2)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を131.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを24.5mmとして、変数αの値が1.01となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0041】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0042】
(実施例3)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を143.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを26.5mmとして、変数αの値が1.09となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0043】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0044】
(実施例4)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を143.5mmとし、厚みLを15mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを26.5mmとし、変数αの値が1.00となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0045】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0046】
(実施例5)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を131.5mmとし、円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)の端部との距離Zを10mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを24.5mmとして、変数αの値が0.91となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0047】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0048】
(実施例6)
ハニカム状光触媒担持体(5)の開口幅dを5mmとし、縦寸法を164.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを30mmとして、変数αの値が0.90となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0049】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0050】
(実施例7)
ケーシング(2)の内面、および円筒状光源(6)の間のそれぞれに、蒸着アルミニウム製の反射部材(9)、(10)を配置したこと以外は、実施例6と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0051】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0052】
(比較例1)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を164.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを30mmとして、変数αの値が1.23となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0053】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0054】
(比較例2)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を188.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを34mmとして、変数αの値が1.39となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0055】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0056】
(比較例3)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を143.5mmとし、厚みLを30mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを26.5mmとして、変数αの値が1.19となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0057】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0058】
(比較例4)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を131.5mmとし、円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)の端部との距離Zを15mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを24.5mmとして、変数αの値が0.83となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0059】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0060】
(比較例5)
ハニカム状光触媒担持体(5)の開口幅dを7.5mmとし、縦寸法を164.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを30mmとして、変数αの値が0.71となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0061】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
ハニカム状光触媒担持体(5)の厚みLは、実施例3、実施例4および比較例3で異なり、これらでは、その他の条件を一致させた。変数αの値が本発明の範囲にある実施例3および実施例4では、86%以上の高いメチルエチルケトンの除去率が得られ、変数αの値が本発明の範囲にない比較例3では、メチルエチルケトンの除去率が77%と低かった。
【0064】
ハニカム状光触媒担持体(5)の開口幅dは、実施例6、比較例1および比較例5で異なり、これらでは、その他の条件を一致させた。変数αの値が本発明の範囲にある実施例6では、87%の高いメチルエチルケトンの除去率が得られ、変数αの値が本発明の範囲にない比較例1および比較例5では、メチルエチルケトンの除去率が76%以下と低かった。
【0065】
円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙Zは、実施例2、実施例5および比較例4で異なり、これらでは、その他の条件を一致させた。変数αの値およびZが本発明の範囲にある実施例2および実施例5では、84%以上の高いメチルエチルケトンの除去率が得られ、変数αの値およびZが本発明の範囲にない比較例4では、メチルエチルケトンの除去率が73%と低かった。
【0066】
円筒状光源のピッチPは、実施例1〜3、比較例1および比較例2で異なり、ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法もその分、変化させ、これらでは、その他の条件を一致させた。変数αの値が本発明の範囲にある実施例1〜3では、86%以上の高いメチルエチルケトンの除去率が得られ、変数αの値が本発明の範囲にない比較例1および比較例2では、メチルエチルケトンの除去率が76%以下と低かった。
【0067】
実施例6の脱臭装置に反射部材を取り付けたものが実施例7であるが、それによってメチルエチルケトンの除去率は87%から93%に増加した。
【0068】
以上のように、本発明により、コストパフォーマンスの高い光触媒方式の脱臭装置を提供することが可能となる。
【0069】
なお、本発明は、脱臭装置に関する技術であるが、光触媒作用を発揮させて空気を浄化するすべての装置に適応可能である。
【0070】
【発明の効果】
本発明により、十分な光触媒作用を発揮させて高い脱臭効果を達成させることができ、コストパフォーマンスの高い脱臭装置を提供することが可能となった。また、ハニカム状光触媒担持体を必要以上に大きくする必要がないので、コンパクトな装置設計が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱臭装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】本発明の脱臭装置の異なる実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
2 ケーシング
3 吸気口
4 排気口
5 ハニカム状光触媒担持体
6 円筒状光源
7 送風機
8 集塵フィルター
9、10 反射部材
d ハニカム状光触媒担持体の開口幅
L ハニカム状光触媒担持体の厚み
P 円筒状光源のピッチ
R 円筒状光源の外径
Z 円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙
【発明の属する技術分野】
本発明は、悪臭物質を含む空気の脱臭装置に関し、特に、光触媒を用いて空気中の悪臭物質を分解除去する脱臭装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、悪臭物質を含む空気を脱臭するために、活性炭やシリカゲル等の吸着材による該物質の吸着、該物質のオゾン酸化、芳香剤によるマスキング等が行われていた。
【0003】
しかし、吸着材は、短寿命であり、また、頻繁に交換が必要となることから、メンテナンスが厄介となる問題があった。また、オゾン酸化の場合、オゾン自体が人体に影響を与えることから、取扱いが厄介である。芳香剤によるマスキングは、根本的に悪臭を除去できず、しかも寿命が短いという問題があった。
【0004】
そこで、取り込んだ悪臭空気を紫外線で励起された光触媒に接触させて脱臭する脱臭装置が、例えば特開平3−157125号公報、特開平5−293165号公報に開示されている。光触媒は、活性炭等の吸着材と比較して、寿命が著しく長いことから、脱臭装置のメンテナンスが非常に簡便となる。光触媒方式の脱臭装置では、通常、酸化チタンを担持したハニカム基材に紫外線を照射して、酸化チタン上に吸着した悪臭成分を分解除去する。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−157125号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平5−293165号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
光触媒としては、ハニカム等の基材に酸化チタンを固定化したものが一般的に使用されているが、光触媒方式の脱臭装置で高い脱臭性能を得るためには、ハニカム状光触媒担持体の内部に紫外線を効果的に供給し、かつ、悪臭成分がハニカム状光触媒担持体に吸着するように、ハニカム状光触媒担持体とガスの接触確率を高めることが非常に重要となる。
【0008】
しかし、従来の光触媒方式の脱臭装置では、その点が十分に検討されていなかった。すなわち、ハニカム状光触媒担持体に十分な量の紫外線を照射するには、ハニカムセルの開口幅を大きくする必要があり、その結果として、悪臭成分と光触媒との接触が不充分となり、吸着及び分解・脱臭能力が低下するので、装置全体を大型化しなくてはならなかった。ハニカムセルの開口幅が小さい場合には、紫外線の照射を受けないハニカム状光触媒担持体の部分が増えて、十分に光触媒が活性化されないという問題があった。
【0009】
また、悪臭成分によって分解能が異なることから、悪臭成分が特定できない場合には、用意した光触媒で所望の除去効率が得られないことがあった。
【0010】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑みて、悪臭成分の分解・脱臭をより効果的に行うことが可能な脱臭装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の脱臭装置は、両端に吸気口および排気口を備えたケーシングと、吸気口から排気口へケーシング内の通風のための送風機と、通風方向に垂直かつ相互に等間隔に配置され、かつ通風方向に開口を有する3つ以上のハニカム状光触媒担持体と、ハニカム状光触媒担持体で仕切られたそれぞれの空間内に、通風方向に垂直な面内で平行かつ相互に等間隔に配置される2つ以上の円筒状光源とからなる。ハニカム状光触媒担持体で仕切られた空間の1つに含まれる円筒状光源の配置を通風方向に垂直な面に投影して表す時、第1の空間内に含まれる円筒状光源の配置が、隣接する第2の空間内に含まれる円筒状光源の配置にそれぞれ重なることを特徴とする。
【0012】
mm単位で表して、円筒状光源の外径R、円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙Z、ハニカム状光触媒担持体の開口幅d、ハニカム状光触媒担持体の厚みL、および円筒状光源の等間隔ピッチPとにより、式3
【0013】
【式3】
で与えられる構造の特徴を表す変数αの値、およびZが、式4
【0014】
【式4】
を満足することが望ましい。
【0015】
さらに、円筒状光源からの光が、ハニカム状光触媒担持体へ反射されるように、ケーシングの内面、および円筒状光源の間のそれぞれに反射部材を配置することが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の脱臭装置の一実施例の内部構造を示す断面図である。図2に、図1の拡大図を示す。
【0017】
本発明の脱臭装置は、反応容器であるケーシング(2)を有する。ケーシング(2)内の下部所定位置に吸気口(3)を設け、上部所定位置に排気口(4)を設ける。ケーシング(2)の内部には、集塵フィルタ(8)、ハニカム状光触媒担持体(5)、円筒状光源(6)、送風機(7)を設ける。ハニカム状光触媒担持体(5)は、ハニカム基材に光触媒が担持される。ハニカム状光触媒担持体(5)は、ケーシング(2)の横断面の全面に広がり、3段以上に配置されることが好ましい。
【0018】
光触媒としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、または、二酸化チタンおよび酸化亜鉛を主成分とした金属酸化物光触媒が、好適に用いられる。
【0019】
光触媒を担持するハニカム基材の材質としては、セラミックスや金属が好適に用いられる。ハニカム基材の構造としては、貫通して通風可能な空隙であるハニカムセルの断面が、例えば正六角形であるいわゆるハニカム構造や、三角形、四角形などの他の多角形であったり、コルゲート状であってもよく、本明細書ではこれらのような構造を持つ基材を総称してハニカム基材とする。
【0020】
ハニカム状光触媒担持体(5)のハニカムセルは、ケーシング(2)の縦断面に沿って、すなわち吸気口(3)から排気口(4)への流体の流れに沿って延在する。ハニカム状光触媒担持体(5)の厚みLは、すなわちハニカムセルの長さは、5〜30mmが好ましい。厚みLが5mm未満では、悪臭成分と光触媒との接触が不充分となり、脱臭性能が低下する。一方、厚みLが30mmを超えると、ガスの圧力抵抗が増加することに加えて、ハニカム状光触媒担持体(5)の内部に紫外線の照射を受けない部分が生じて、その部分の光触媒が十分に活性化されずに無駄となり、また、脱臭装置が大型化するので、設備コストが増大する。
【0021】
また、ハニカム基材の開口幅dは、2〜6mmが好ましい。ハニカム基材の開口幅dは、例えば対角線の長さのように、開口部の最大幅で規定する。開口幅dが小さくなるほど、ハニカム基材の表面積が増加することになるが、表面積が増加しても、紫外線ランプの紫外線強度が増加しなければ、脱臭性能は実質的に変わらない。ブラックライトや低圧水銀ランプといった円筒状光源の紫外線強度を考慮すると、ハニカム基材の開口幅は2〜6mmが好ましい。
【0022】
ハニカム状光触媒担持体(5)としては、ケーシング(2)から着脱可能な構造のカートリッジ式が好ましいが、ケーシング(2)に固定しても構わない。ケーシング(2)内に、該ハニカム状光触媒担持体(5)を、その開口面が通風方向に垂直となるように、かつ相互に等間隔で3つ以上、さらに好ましくは5つ以上配置し、ハニカム状光触媒担持体(5)の2つ以上の空間は、例えば20〜60mmの間隔で、それぞれの空間に複数個の円筒状光源(6)が等間隔で配置される。図1に示すように、全ての円筒状光源(6)が平面視で重なるように配置する。このように配置することにより、側面近くの円筒状光源が効率的に使用される。
【0023】
円筒状光源(6)としては、紫外線ランプを使用する。紫外線ランプは、波長が200〜400nmで、光触媒を励起させる能力を有するものであればよく、オゾンの発生などを考慮してブラックライトが好ましい。
【0024】
円筒状光源(6)と、ハニカム状光触媒担持体(5)の端部との距離Zは、3mm以上10mm以下が好ましい。10mmより長くなると、ハニカム状光触媒担持体(5)に供給される紫外線の強度が著しく低下するので好ましくない。一方、3mmより短くなると、実用上、円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)の交換作業が非常に不便になるので好ましくない。
【0025】
図2に示すように、mm単位で、円筒状光源の外径R、円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙Z、ハニカム状光触媒担持体の開口幅d、ハニカム状光触媒担持体の厚みL、および等間隔に配置された円筒状光源のピッチPを規定すると、パラメータR、Z、d、L、Pとにより、式5の関係式で、構造を表す変数αが表される。
【0026】
【式5】
【0027】
この変数αの値と、円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙Zとが、式6となるように、選択する。
【0028】
【式6】
【0029】
なお、円筒状光源(6)の外径Rは、15〜40mmである。
【0030】
このように選択することにより、ハニカム状光触媒担持体(5)の内部に十分な量の紫外線が供給されるので、効率的な悪臭成分の除去が可能となるとともに、脱臭装置の設備コストも最小化することができる。変数αの値が1.1よりも大きくなると、ハニカム状光触媒担持体(5)の内部に、紫外線強度の非常に低い部分が生じるために、光触媒の励起が不充分となり、悪臭成分の脱臭性能が低下する。変数αの値が0.9よりも小さくなると、ハニカム状光触媒担持体(5)の内部に、高強度の紫外線が供給されるが、ハニカム状光触媒担持体(5)の光触媒量が紫外線強度に対して不足するために、全体として効率が低下して、悪臭成分の脱臭性能が低下する。
【0031】
さらに、図3に、本発明の脱臭装置の異なる実施例の内部構造を断面図で示した。
【0032】
反射部材(9)、(10)は、円筒状光源(6)からの光が、ハニカム状光触媒担持体(5)へ反射されるように、ケーシング(2)の内面、および円筒状光源(6)の間のそれぞれに配置される。図示した例では、反射部材(9)は、4枚の平坦な鏡を傾斜させて上下に配置した断面菱形であり、反射部材(10)は、2枚の平坦な鏡を傾斜させて上下に配置した断面二等辺三角形であるが、効果的に光が反射されるように、直線と円弧や放物線などの曲線とを組み合わせた形状の断面とする。
【0033】
また、反射部材(9)、(10)の材質としては、紫外線反射効率の高い材料が好ましく、例えば、蒸着アルミ膜、アルミフォイル等が挙げられる。
【0034】
円筒状光源(6)の間に配置される反射部材(9)は、円筒状光源(6)の丁度、中間に配置すると全体として脱臭装置の効率を高められる。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明の脱臭装置を、実施例および比較例を用いて説明する。
【0036】
(実施例1)
図1に、本実施例の脱臭装置の断面図を示す。図2は、図1の拡大図である。
【0037】
ハニカム状光触媒担持体(5)を構成するハニカム基材には、開口幅dを2.5mm、寸法116.5mm(縦)×260mm(横)×20mm(厚みL)のコージェライト製のハニカムを用い、該ハニカムにアナターゼ型酸化チタン(石原産業(株)製、型式ST−01)を100g/リットル担持して、ハニカム状光触媒担持体(5)を調製した。
【0038】
脱臭装置内には、該ハニカム状光触媒担持体(5)を合計で6段、配置した。また、図示した最下に位置する第1段のハニカム状光触媒担持体(5)の下方に集塵フィルター(8)を配置した。円筒状光源(6)には、管径Rが15.5mmのブラックライト(8W)をハニカム状光触媒担持体(5)の間に、異なる段の間では平面視で重なるように配置した。円筒状光源(6)の本数は、全ての段にそれぞれ5本ずつで、合計で25本とした。円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)の端部との距離Zは、5mmとした。また、円筒状光源(6)のピッチPを22mmとした。本実施例では、前述の式5で与えられる変数αの値は0.90となった。
【0039】
以上のように組み立てられた脱臭装置に、60ppmのメチルエチルケトン含有空気を、毎分1.5m3の風量で、1000時間吸引させた。1000時間後の、排出ガス中のメチルエチルケトンの濃度を、FIDガスクロマトグラフィにより分析した。測定結果を表1に示す。
【0040】
(実施例2)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を131.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを24.5mmとして、変数αの値が1.01となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0041】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0042】
(実施例3)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を143.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを26.5mmとして、変数αの値が1.09となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0043】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0044】
(実施例4)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を143.5mmとし、厚みLを15mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを26.5mmとし、変数αの値が1.00となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0045】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0046】
(実施例5)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を131.5mmとし、円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)の端部との距離Zを10mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを24.5mmとして、変数αの値が0.91となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0047】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0048】
(実施例6)
ハニカム状光触媒担持体(5)の開口幅dを5mmとし、縦寸法を164.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを30mmとして、変数αの値が0.90となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0049】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0050】
(実施例7)
ケーシング(2)の内面、および円筒状光源(6)の間のそれぞれに、蒸着アルミニウム製の反射部材(9)、(10)を配置したこと以外は、実施例6と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0051】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0052】
(比較例1)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を164.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを30mmとして、変数αの値が1.23となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0053】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0054】
(比較例2)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を188.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを34mmとして、変数αの値が1.39となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0055】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0056】
(比較例3)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を143.5mmとし、厚みLを30mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを26.5mmとして、変数αの値が1.19となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0057】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0058】
(比較例4)
ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法を131.5mmとし、円筒状光源(6)とハニカム状光触媒担持体(5)の端部との距離Zを15mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを24.5mmとして、変数αの値が0.83となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0059】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0060】
(比較例5)
ハニカム状光触媒担持体(5)の開口幅dを7.5mmとし、縦寸法を164.5mmとし、円筒状光源(6)のピッチPを30mmとして、変数αの値が0.71となった以外は、実施例1と同様にして、脱臭装置を組み立てた。
【0061】
実施例1と同様に、メチルエチルケトンを含む空気の脱臭試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
ハニカム状光触媒担持体(5)の厚みLは、実施例3、実施例4および比較例3で異なり、これらでは、その他の条件を一致させた。変数αの値が本発明の範囲にある実施例3および実施例4では、86%以上の高いメチルエチルケトンの除去率が得られ、変数αの値が本発明の範囲にない比較例3では、メチルエチルケトンの除去率が77%と低かった。
【0064】
ハニカム状光触媒担持体(5)の開口幅dは、実施例6、比較例1および比較例5で異なり、これらでは、その他の条件を一致させた。変数αの値が本発明の範囲にある実施例6では、87%の高いメチルエチルケトンの除去率が得られ、変数αの値が本発明の範囲にない比較例1および比較例5では、メチルエチルケトンの除去率が76%以下と低かった。
【0065】
円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙Zは、実施例2、実施例5および比較例4で異なり、これらでは、その他の条件を一致させた。変数αの値およびZが本発明の範囲にある実施例2および実施例5では、84%以上の高いメチルエチルケトンの除去率が得られ、変数αの値およびZが本発明の範囲にない比較例4では、メチルエチルケトンの除去率が73%と低かった。
【0066】
円筒状光源のピッチPは、実施例1〜3、比較例1および比較例2で異なり、ハニカム状光触媒担持体(5)の縦寸法もその分、変化させ、これらでは、その他の条件を一致させた。変数αの値が本発明の範囲にある実施例1〜3では、86%以上の高いメチルエチルケトンの除去率が得られ、変数αの値が本発明の範囲にない比較例1および比較例2では、メチルエチルケトンの除去率が76%以下と低かった。
【0067】
実施例6の脱臭装置に反射部材を取り付けたものが実施例7であるが、それによってメチルエチルケトンの除去率は87%から93%に増加した。
【0068】
以上のように、本発明により、コストパフォーマンスの高い光触媒方式の脱臭装置を提供することが可能となる。
【0069】
なお、本発明は、脱臭装置に関する技術であるが、光触媒作用を発揮させて空気を浄化するすべての装置に適応可能である。
【0070】
【発明の効果】
本発明により、十分な光触媒作用を発揮させて高い脱臭効果を達成させることができ、コストパフォーマンスの高い脱臭装置を提供することが可能となった。また、ハニカム状光触媒担持体を必要以上に大きくする必要がないので、コンパクトな装置設計が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱臭装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】本発明の脱臭装置の異なる実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
2 ケーシング
3 吸気口
4 排気口
5 ハニカム状光触媒担持体
6 円筒状光源
7 送風機
8 集塵フィルター
9、10 反射部材
d ハニカム状光触媒担持体の開口幅
L ハニカム状光触媒担持体の厚み
P 円筒状光源のピッチ
R 円筒状光源の外径
Z 円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙
Claims (2)
- 両端に吸気口および排気口を備えたケーシングと、吸気口から排気口へケーシング内の通風のための送風機と、通風方向に垂直かつ相互に等間隔に配置され、かつ通風方向に開口を有する3つ以上のハニカム状光触媒担持体と、ハニカム状光触媒担持体で仕切られたそれぞれの空間内に、通風方向に垂直な面内で平行かつ相互に等間隔に配置される2つ以上の円筒状光源とからなる脱臭装置であり、ハニカム状光触媒担持体で仕切られた空間の1つに含まれる円筒状光源の配置を通風方向に垂直な面に投影して表す時、第1の空間内に含まれる円筒状光源の配置が、隣接する第2の空間内に含まれる円筒状光源の配置にそれぞれ重なるようになっていて、mm単位で表して、円筒状光源の外径R、円筒状光源とハニカム状光触媒担持体との間隙Z、ハニカム状光触媒担持体の開口幅d、ハニカム状光触媒担持体の厚みL、および円筒状光源の等間隔ピッチPとにより、式1
【式1】
で与えられる構造の特徴を表す変数αの値、およびZが、式2
【式2】
を満足することを特徴とする脱臭装置。 - 円筒状光源からの光が、ハニカム状光触媒担持体へ反射されるように、ケーシングの内面、および円筒状光源の間のそれぞれに反射部材を配置したことを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。
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---|---|---|---|---|
JP2006296980A (ja) * | 2005-04-25 | 2006-11-02 | Iwasaki Electric Co Ltd | 有害物質処理装置 |
JP2007275837A (ja) * | 2006-04-11 | 2007-10-25 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 脱臭ユニット |
JP2013202429A (ja) * | 2012-03-27 | 2013-10-07 | Seiko Epson Corp | 紫外線照射装置 |
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2003
- 2003-06-18 JP JP2003173403A patent/JP2004249076A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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