JP2004248517A - 水中油型乳化食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構成脂肪酸が飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを油相に含有することを特徴とする水中油型乳化食品が上記の課題を解決する。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期間冷凍で保管された後に解凍しても分離せず、優れた冷凍耐性を有する水中油型乳化食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
マヨネーズなどの水中油型乳化食品は、油脂の凝固点以下の温度に置いた場合、油分が凍って結晶状になり、周りの水相を突き破って油滴同士が互いに接触し、それが室温に戻ったとき、油滴は集合して浮上し、油は上に水相は下にときれいに分離した状態になる。そのため、水中油型乳化食品に耐寒性を付与する技術が模索されてきた。マヨネーズの低温分離に対して最も影響の大きいのは使用する油の種類であるため、複数の油を混合することによって一種の融点降下の現象を起こし、耐寒性の強い油を得る方法(特許文献1参照)などの技術により、水中油型乳化食品の耐寒性を向上させていた。しかしながら、従来求められてきた耐寒性は、冬期北海道へ出荷した場合や、家庭用冷蔵庫の冷凍室に置いた場合などを想定していたため、5℃〜−15℃の温度領域を対象としていた。しかるに、近年冷凍食品などにマヨネーズのような乳化食品が使用されることになり、従来よりも厳しい−20℃〜−25℃という温度領域で数ヶ月と言った冷凍耐性が求められるようになった。
【0003】
この様な要求に対応する方法として、例えば変性ワキシスターチとポリグリセリン脂肪酸エステルを水相に併用する方法(特許文献2参照)、ソルビタン脂肪酸エステルを油相中に含有させる方法(特許文献3参照)、HLB3以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを油脂中に添加する方法(特許文献4、特許文献5参照)、油相に魚油及び亜麻仁油を用いる方法(特許文献6参照)などが提案されている。しかし、これらの方法は耐冷凍性として十分であるとは言い難く、解凍後、僅かながら油滴の浮上や水相の分離が起こる。また、分離が見られない場合においても、水中油型乳化食品の内部では粗大な油滴が多く観察され、それに伴って粘度の低下、風味や食感の悪化など冷凍前後で全く同一の水中油型乳化食品を得る方法はこれまで提案されていなかった。
【0004】
【特許文献1】
特公昭40−16738号公報
【特許文献2】
特開平5−53467号公報
【特許文献3】
特開平9−271353号公報
【特許文献4】
特開平10−313820号公報
【特許文献5】
特開2000−50837号公報
【特許文献6】
特開2001−78711号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、−20℃以下の温度領域で数ヶ月といった非常に厳しい冷凍条件下で保管した後、解凍しても全く分離しない、優れた冷凍耐性を有する水中油型乳化食品を提供することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
先に説明したように、冷凍保存した水中油型乳化食品の解凍時の油水分離は、冷凍保存時に油分が凍って結晶状になり、周りの水相を突き破って油滴同士が互いに接触し、それが室温に戻ったときに起こると考えられている。従って、冷凍保存時の油相の結晶化を抑制すれば、水中油型乳化食品の油水分離を防止できる。そこで、本発明者は、水中油型乳化食品中の油相の結晶化を防止する方法を鋭意検討した結果、特定の脂肪酸組成を有したポリグリセリン脂肪酸エステルを油相中に添加すると上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、構成脂肪酸が飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを油相に含有することを特徴とした、冷凍耐性に優れた水中油型乳化食品に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の水中油型乳化食品はマヨネーズに代表されるドレッシング類のことであり、形状は半固体状、乳化液状、分離液状であってもかまわない。一般にドレッシング類とは日本ではJAS規格に定められたもののことを指すが、油相と水相とからなる乳化物であれば特に制限はしない。
【0009】
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸であることが必要であり、不飽和脂肪酸は4重量%以下であることが望ましい。構成脂肪酸が不飽和脂肪酸のみであると、水中油型乳化食品に冷凍耐性を付与することができない。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は飽和脂肪酸であれば特に限定しないが、食品に添加することを考えた場合、炭素数8〜22の飽和脂肪酸が好ましい。さらに、それらは単独であっても2種以上を混合していても良いが、構成脂肪酸は2種以上の飽和脂肪酸を混合したものの方がより好ましい。
【0010】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルに使用するポリグリセリンは、水酸基価から算出した平均重合度で2〜15である。
【0011】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンに対する脂肪酸のエステル化率は60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。
それ以下であると水中油型乳化食品の冷凍耐性が不十分となる。
【0012】
水中油型乳化食品における該ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量は水中油型乳化食品を構成する油相の0.05重量%〜10重量%であり、好ましくは0.5重量%〜3重量%である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量が0.05重量%以下であると、本発明の効果が期待しがたく、また10重量%を越えて添加しても、添加量に応じた冷凍耐性の改善効果が得られない。
【0013】
本発明の水中油型乳化食品における油相を構成するポリグリセリン脂肪酸エステル以外の油相原料は、一般に水中油型乳化食品に使用されているものを用いれば良い。例えば、食用油、親油性の着色料、香辛料、風味原料などの成分が挙げられる。
【0014】
食用油としては、大豆油、ナタネ油、綿実油、コーン油などの植物油が適しているが、必要に応じてゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、牛脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油、藻類油、中鎖トリグリセライド、ジグリセライド、品質改良によって低飽和化されたこれらの油脂およびこれらの水素添加油脂、分別油脂なども使用できる。
【0015】
一方、水相を構成する水相原料についても、一般に水中油型乳化食品に使用されているものを用いれば良く、例えば全卵、卵黄、卵白、乳蛋白、大豆蛋白、合成乳化剤、天然乳化剤などの乳化素材や食酢、食塩、砂糖などの調味料、その他天然ガム、澱粉、親水性の着色料、香辛料、風味原料である。また、トマトやピクルスなどの食品を加えても良い。
【0016】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルの合成)
ポリグリセリン脂肪酸エステルは以下の様に合成した。デカグリセリン100gとラウリン酸200g、ステアリン酸150gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、触媒及び窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率95%のポリグリセリンラウリン酸/ステアリン酸エステルを得た。以下同様に、脂肪酸の種類を変化させて製造したものを表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】
(実施例1)
表2の原料及び配合組成により2種類の水中油型乳化食品を製造した。その手順として、ポリグリセリンラウリン酸/ステアリン酸エステルを大豆油に対して1重量%の割合で添加し、80℃で溶解させ、油相とした。その他の原料を混合して水相を調整した後、ホモミキサーで攪拌しながら油相を徐々に加え、水中油型乳化食品を作成した。
【0020】
【表2】
【0021】
(実施例2)
実施例1において使用したポリグリセリンラウリン酸/ステアリン酸エステルをポリグリセリンステアリン酸エステルに替えた。それ以外は実施例1と同様にして水中油型乳化食品を作成した。
【0022】
(実施例3)
実施例1において使用したポリグリセリンラウリン酸/ステアリン酸エステルをポリグリセリンカプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸エステルに替えた。それ以外は実施例1と同様にして水中油型乳化食品を作成した。
【0023】
(比較例1)
実施例1において使用したポリグリセリンラウリン酸/ステアリン酸エステルをポリグリセリンオレイン酸エステルに替えた。それ以外は実施例1と同様にして水中油型乳化食品を作成した。
【0024】
(比較例2)
実施例1において使用したポリグリセリンラウリン酸/ステアリン酸エステルをポリグリセリンステアリン酸/オレイン酸に替えた。それ以外は実施例1と同様にして水中油型乳化食品を作成した。
【0025】
(比較例3)
実施例1において使用したポリグリセリンラウリン酸/ステアリン酸エステルをソルビタントリステアレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にして水中油型乳化食品を作成した。
【0026】
(比較例4)
実施例1において使用したポリグリセリンラウリン酸/ステアリン酸エステルを用いなかった。それ以外は実施例1と同様にして水中油型乳化食品を作成した。
【0027】
(試験方法)
本実施例では、以下の方法で評価した。
(乳化状態)
得られた水中油型乳化食品を−20℃に6ヶ月間冷凍保存した後、25℃で解凍し、その乳化状態を観察することによって、冷凍耐性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0028】
(油滴粒子径)
得られた水中油型乳化食品を−20℃に6ヶ月間冷凍保存した後、25℃で解凍し、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製)を用いて、油滴の平均粒子径を測定した。結果を表3に示す。
【0029】
表3から明らかなように、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加した水中油型乳化食品は、分離が見られず乳化状態は良好であった。また、油滴の平均粒子径においても冷凍後の変化は全く見られず、油滴の合一及び乳化破壊を防止したことが分かる。
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】
本発明の水中油型乳化食品は、−20℃の冷凍下に数ヶ月間保存し、その後解凍しても分離することなく、冷凍前の乳化状態を維持することができる。従って、本発明の水中油型乳化食品を冷凍食品などに使用した場合にも、冷凍による物性変化を防止することができ、本来の食感や風味を維持することができる。
Claims (2)
- 構成脂肪酸が飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを油相に含有することを特徴とする水中油型乳化食品。
- 油相に構成脂肪酸が飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させることで冷凍耐性を有する水中油型乳化食品。
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