JP2004247477A - モールド金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機基板を用いたワークの何れに基板段差が生じていても、樹脂フラッシュやクラックの発生が生ずることなく樹脂封止することができるモールド金型を提供する。
【解決手段】ワークをクランプするモールド金型1の樹脂封止面側と反対面側をクランプするインサートブロック3に有機基板2の逃げを許容する逃げ凹部6が形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、半導体チップが基板上に配置されたワークの片面を樹脂封止するモールド金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体パッケージの小型化、薄型化に伴って、半導体パッケージ用基板として用いられるBGA用基板などのはんだボールピッチが狭ピッチ化し、該BGA用基板の配線密度が高密度化している。BGA用基板には、薄型で微細配線が可能な樹脂系基板(ガラスエポキシ樹脂基板などの有機基板)が好適に用いられている。
【0003】
一般にBGA用基板を樹脂封止するモールド金型は、BGA用基板を平坦面に形成されたフラットインサートブロックとキャビティ凹部が形成されたキャビティインサートブロックとでクランプして樹脂封止するようになっている(特許文献1参照)。
ところで、有機基板は、リードフレームなどに比べて、基板の板厚にばらつきが生じている。例えば、図7(a)(b)において、有機基板51には金属の配線層52に絶縁樹脂層53が積層されているため凹凸部54が生じている。また、製品にならない基板周縁部には、めっき用のバスラインなどの配線層が形成されることから、該基板周縁部に段差部55が形成される場合があったり、樹脂封止面側に樹脂フラッシュを防ぐためのダムとしての絶縁樹脂層などを形成する場合もあった。
【0004】
このように有機基板51の表面の段差に対しては、モールド金型56のキャビティインサートブロック57にキャビティ凹部59とは別に段差部55を逃す逃げ凹部58を形成して樹脂封止したり(図8(b)参照)、キャビティインサートブロック57により、段差部55を潰してクランプしてから樹脂封止するようにしていた(図8(a)参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−34035号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9(a)において、有機基板1の段差部55がキャビティ凹部59の端部にかかる場合には、モールド金型56により段差部55を潰してクランプすると、クラック又は白濁部が発生して、配線パターンが断線するおそれがあった。そこで、かかる場合には、図9(b)においてキャビティインサートブロック57にキャビティ凹部59に連続して段差部55を逃す逃げ凹部58を形成して樹脂封止することが考えられる。
【0007】
ところが、図10(a)のように、段差部55の段差が大きい有機基板51の場合には有効であるが、図10(b)のように段差部55の段差が小さい有機基板51の場合には、樹脂フラッシュ(樹脂漏れ)が生ずるおそれがあり、製品の外観を損なうおそれがある。これに対し、モールド金型56のクランプ力を調整して樹脂フラッシュを防ごうとしても、クラックが発生するおそれがある。このように、キャビティインサートブロック57側に逃げ凹部58を形成しても、有機基板51が有する段差部の大きさや位置により、樹脂フラッシュとクラック・白濁の発生という金型クランプ力の強弱という相反する性質の調整要素を程よく調整して樹脂封止することが困難であった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ワークに凹凸が生じていても、金型構造により樹脂フラッシュ又はクラック・白濁の発生を低減して樹脂封止することができるモールド金型を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。
即ち、半導体チップが基板上に配置されたワークの片面を樹脂封止するモールド金型において、ワークをクランプするモールド金型のうち、樹脂封止面側と反対面側をクランプするインサートブロックに基板の逃げを許容する逃げ凹部が形成されていることを特徴とする。
また、逃げ凹部は、有機基板の樹脂フラッシュ防止用の逃げ凹部であることを特徴とする。この場合、樹脂フラッシュ防止用の逃げ凹部はキャビティ凹部の外周に形成されたクランプエリアより外側に形成されていることを特徴とする。
また、逃げ凹部は、有機基板のクラック発生部に対応して形成されたクラック防止用の逃げ凹部であることを特徴とする。この場合、クラック防止用の逃げ凹部は、キャビティ凹部の外周ラインが溝幅中心となるようにインサートブロックに形成されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るモールド金型の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。
図1(a)(b)は段差部の異なる有機基板をクランプした場合のモールド金型の模式断面図、図2(a)〜(c)はシングル基板用の樹脂フラッシュ低減用のインサートブロックの平面図、A−A断面図、B−B断面図、図3(a)〜(c)はマトリクス基板用の樹脂フラッシュ低減用のインサートブロックの平面図、A−A断面図、B−B断面図、図4(a)〜(c)はシングル基板用のクラック・白濁低減用のインサートブロックの平面図、A−A断面図、B−B断面図、図5(a)〜(c)はマトリクス基板用の樹脂フラッシュ低減用のインサートブロックの平面図、A−A断面図、B−B断面図、図6はモールド金型の一例を示す断面図である。
【0011】
先ず、モールド金型の概略構成について図1(a)(b)を参照して説明する。
図1(a)は段差部が大きい有機基板をクランプした場合、図1(b)は段差部が小さい有機基板をクランプした場合のモールド金型を示す。
本実施例では、モールド金型1は、ワークである有機基板2を支持する下型インサートブロック(フラットインサートブロック)3とキャビティ凹部4が形成された上型インサートブロック(キャビティインサートブロック)5とを有している。樹脂封止面側と反対面側をクランプする下型インサートブロック3には有機基板2の逃げ凹部6が所定位置に形成されている。有機基板2には、半導体チップ7が搭載されており、該半導体チップ7搭載面側が樹脂封止面となる。一方半導体チップ7搭載面側と反対面側ははんだボール搭載面となる。また、有機基板2の周縁部にはめっき用のバスラインなどの配線層の集中などにより、例えば40〜60μm程度の段差部8が形成される場合が多い。
【0012】
このように、樹脂封止面側と反対面側の下型インサートブロック3に逃げ凹部6が形成されているので、モールド金型1で有機基板2をクランプした際に、段差部8がキャビティ凹部4の端部にかかったとしても、有機基板2が有する弾性により段差部8の厚み分を逃げ凹部6へ逃がすことができる。したがって、有機基板2に段差部8が形成されていても、金型側でクランプ力を調整して樹脂フラッシュ又はクラック・白濁の発生を低減することができる。
【0013】
以下、下型インサートブロック3の逃げ凹部6の形成エリアは、樹脂フラッシュ低減用とクラック・白濁低減用とで形成箇所や形成エリアが異なるため場合に分けて説明する。
【0014】
先ず、樹脂フラッシュの発生を低減させるためのモールド金型1の構成について、図2及び図3を参照して説明する。図2はシングル基板、図3はマトリクス基板を樹脂モールドした場合の金型構造(下型インサートブロック3の構造)を示す。
図2(a)〜(c)に示すシングルタイプの有機基板2のうち、樹脂封止部(パッケージ部)9の周囲のみに、上型インサートブロック5によるクランプエリア10が形成され、該クランプエリア10の外側に逃げ凹部6が縦横に形成されている(斜線部参照)。
また、図3(a)〜(c)に示すマトリクスタイプの有機基板2のうち、樹脂封止部(パッケージ部)9の周囲のみに、上型インサートブロック5によるクランプエリア10が形成され、該クランプエリア10の外側に逃げ凹部6が縦横に形成されている。即ち、何れの場合も有機基板2でめっき用の配線パターンが形成される樹脂封止部(パッケージ部)9の外周に逃げ凹部6が形成されている。
【0015】
有機基板2の周縁部に段差部8が生じていても、有機基板2の弾性変形により当該段差に相当する板厚を逃げ凹部6で吸収して平坦度を維持してクランプでき、モールド金型1のクランプ力を必要以上に弱めることなく所定の大きさに設定して樹脂フラッシュを生ずることなく樹脂モールドすることが可能である。
逃げ凹部6はフライス加工等で彫り込んでも良いが、下型インサートブロック3のゲート側端面3aと、有機基板2のゲート側端面2aとをほぼ一致させておくと(図6参照)、逃げ凹部6を研磨加工で形成することが可能となる。この場合、ゲート側、ベント側、キャビティ間及び縦横両端部に形成される逃げ凹部6の深さを適宜変えることも可能となり、樹脂基板の各部の厚さにばらつきがあっても金型側で容易に対応できる。また、逃げ凹部6の深さの調整も行い易い。
【0016】
次に、クラック・白濁の発生を低減させるためのモールド金型1の構成について、図4及び図5を参照して説明する。図4はシングル基板、図5はマトリクス基板を樹脂モールドした場合の金型構造(下型インサートブロック3の構造)を示す。
図4(a)〜(c)に示すシングルタイプの有機基板2のうち、上型インサートブロック5のキャビティ凹部4の端部である外周ライン(パッケージライン)11を溝幅中心となるように逃げ凹部6が矩形状に形成されている(斜線部参照)。
また、図5(a)〜(c)に示すマトリクスタイプの有機基板2のうち、上型インサートブロック5のキャビティ凹部4の端部である外周ライン(パッケージライン)11が溝幅中心となるように逃げ凹部6が矩形状に形成されている。即ち、何れの場合も有機基板2の段差部8がキャビティ凹部4の外周ライン11にかかった場合にクラックが発生し易いエリアに逃げ凹部6が形成されている。
【0017】
例えば、有機基板2に配線パターンによる30μm程度の段差部8が生じていても、段差部8を潰しすぎないよう逃げ凹部6で段差を吸収することでクランプ力を必要以上に強めることなく、モールド金型1のクランプ力を所定の大きさに設定してクラック・白濁を低減させて樹脂モールドすることが可能である。
逃げ凹部6は、フライス加工等で彫り込んでも良いが、放電加工を行うと加工用の電極を逃げ凹部6の平面形状に合わせて平らに形成して放電加工できるので、溝深さを均一にすることが可能である。放電加工で逃げ凹部6を設ける場合には梨地面に形成される。
【0018】
次に、モールド金型の一例について図6を参照して説明する。
下型インサートブロック3は、下型チェイスブロック12に弾性材13によりフローティング支持されている。下型チェイスブロック12には、センターインサートブロック14が搭載されており、センターインサートブロック14にはポット15が設けられている。ポット15には、プランジャ20が昇降可能に設けられている。ポット15に装填された樹脂タブレット等が加熱されて溶融し、該溶融樹脂をプランジャ20が押し上げて、金型カル18、金型ランナゲート19を通じてキャビティに向けて圧送りする。下型チェイスブロック12は、図示しない下型ベースブロックに支持されている。
【0019】
上型インサートブロック5は、上型チェイスブロック16に一体に支持されている。上型チェイスブロック16には、カルインサートブロック17が一体に支持されている。カルインサートブロック17に形成された金型カル18から上型インサートブロック5のキャビティ凹部4に連通する金型ランナゲート19が各々形成されている。上型チェイスブロック16は、図示しない上型ベースブロックに支持されている。
【0020】
下型インサートブロック3に有機基板2を搬入し、ポット15に樹脂タブレットなどを装填した後、モールド金型1をクランプする。このとき、有機基板2が有する段差部は前述した逃げ凹部6により吸収して樹脂封止が行われる。この場合、カルインサートブロック17とセンターインサートブロック14は当接しており、モールド金型1の有機基板2のクランプ力は弾性材13の弾性力を調整することにより行われる。例えば、弾性材13の直下のワッシャーの板厚を変更したり、調整駒などを用いて弾性材13の撓みを調整することにより行われる。また、クランプ力を調整して樹脂封止した結果、有機基板2に樹脂フラッシュが発生する場合とクラック・白濁が発生する場合とで、逃げ凹部6の形成パターンが異なる下型インサートブロック3を使い分けて樹脂モールドが行われる。尚、弾性材13としては、皿ばね、コイルばねなどが好適に用いられる。
【0021】
上述したモールド金型1を用いると、樹脂封止面側と反対面側の下型インサートブロック3に逃げ凹部6が形成されているので、モールド金型1で有機基板2をクランプした際に、段差部8がキャビティ凹部4の端部(外周ライン11)にかかったとしても、有機基板2が有する弾性により段差部8の厚み分を逃げ凹部6へ逃がすことができる。したがって、したがって、有機基板2に段差部8が形成されていても、金型クランプ力の強弱という相反する性質の調整要素を金型構造で調整して樹脂封止することで樹脂フラッシュ又はクラック・白濁の発生を低減し、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0022】
以上、本発明の好適な実施例について種々述べてきたが、上述した実施例に限定されるのではなく、例えばワークとしては、有機基板に限らず、フィルム基板など、他の基板材料も採用でき、封止樹脂も固形樹脂、粉末樹脂、顆粒樹脂、液状樹脂なども使用可能である。モールド金型1は上型インサートブロックにキャビティ凹部が形成されている場合に限らず、下型インサートブロックにキャビティ凹部が形成されていても良い。更にはモールド金型1はフローティング構造に限らずチェイスブロックにインサートブロックが直接支持されたリジッドな金型構造であっても良い等、法の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係るモールド金型を用いれば、樹脂封止面側と反対面側の下型インサートブロックに逃げ凹部が形成されているので、モールド金型で基板をクランプした際に、段差部がキャビティ凹部の端部(外周ライン)にかかったとしても、基板の段差部の段差分を逃げ凹部へ逃がすことができる。したがって、基板に段差部が形成されていても、金型クランプ力の強弱という相反する性質の調整要素を金型構造で調整して樹脂封止することで樹脂フラッシュ又はクラック・白濁の発生を低減し、製品の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】段差部の異なる有機基板をクランプした場合のモールド金型の模式断面図である。
【図2】シングル基板用の樹脂フラッシュ低減用のインサートブロックの平面図、A−A断面図、B−B断面図である。
【図3】マトリクス基板用の樹脂フラッシュ低減用のインサートブロックの平面図、A−A断面図、B−B断面図である。
【図4】シングル基板用のクラック・白濁低減用のインサートブロックの平面図、A−A断面図、B−B断面図である。
【図5】マトリクス基板用の樹脂フラッシュ低減用のインサートブロックの平面図、A−A断面図、B−B断面図である。
【図6】モールド金型の一例を示す断面図である。
【図7】従来のワーク及びモールド金型の説明図である。
【図8】従来のワーク及びモールド金型の説明図である。
【図9】従来のモールド金型の課題を示す説明図である。
【図10】従来のモールド金型の課題を示す説明図である。
【符号の説明】
1 モールド金型
2 有機基板
3 下型インサートブロック
4 キャビティ凹部
5 上型インサートブロック
6 逃げ凹部
7 半導体チップ
8 段差部
9 樹脂封止部
10 クランプエリア
11 外周ライン
12 下型チェイスブロック
13 コイルバネ
14 センターインサートブロック
15 ポット
16 上型チェイスブロック
17 カルインサートブロック
18 金型カル
19 金型ランナゲート
20 プランジャ

Claims (5)

  1. 半導体チップが基板上に配置されたワークの片面を樹脂封止するモールド金型において、
    ワークをクランプするモールド金型のうち、樹脂封止面側と反対面側をクランプするインサートブロックに基板の逃げを許容する逃げ凹部が形成されていることを特徴とするモールド金型。
  2. 前記逃げ凹部は、有機基板の樹脂フラッシュ防止用の逃げ凹部であることを特徴とする請求項1記載のモールド金型。
  3. 前記樹脂フラッシュ防止用の逃げ凹部はキャビティ凹部の外周に形成されたクランプエリアより外側に形成されていることを特徴とする請求項2記載のモールド金型。
  4. 前記逃げ凹部は、有機基板のクラック発生部に対応して形成されたクラック防止用の逃げ凹部であることを特徴とする請求項1記載のモールド金型。
  5. 前記クラック防止用の逃げ凹部は、キャビティ凹部の外周ラインが溝幅中心となるようにインサートブロックに形成されていることを特徴とする請求項4記載のモールド金型。
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