JP2004247139A - 燃料電池スタックのマウント構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望のシール性を確実に支持するとともに、単位セルに過剰な面圧が作用することを阻止可能にする。
【解決手段】マウント構造70は、燃料電池スタック10を車両の進行方向に沿って摺動可能に支持する可動ガイド機構74と、前記燃料電池スタック10に対して前記進行方向に作用する衝撃を吸収するダンパ機構76とを備える。可動ガイド機構74は、燃料電池スタック10の進行方向の一端側に設けられる第1可動部78と、前記燃料電池スタック10の進行方向の他端側に設けられる第2可動部80とを備え、この第2可動部80にダンパ機構76を構成するダンパユニット96a、96bが装着される。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単位セルを車両の進行方向に沿って複数積層する燃料電池スタックを、前記車両に搭載するための燃料電池スタックのマウント構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種の燃料電池が開発されており、例えば、固体高分子型燃料電池が知られている。この固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜(電解質)を採用している。この電解質膜の両側に、それぞれ電極触媒と多孔質カーボンからなるアノード側電極およびカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)をセパレータ(バイポーラ板)によって挟持することにより、単位セルが構成されている。この単位セルは、通常、所望の発電力を得るために、所定数だけ積層した燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この種の燃料電池において、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出されることにより、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
【0004】
ところで、上記の燃料電池スタックを車両等に搭載して使用する場合、走行中の振動や発進および停止の繰り返し等によって、前記燃料電池スタックに負荷が作用してしまう。このため、燃料電池スタックを車両に対して強固に固定する必要があり、例えば、特許文献1の車両用燃料電池の支持装置が知られている。
【0005】
この支持装置は、図11に示すように、燃料電池1を備え、この燃料電池1は、単位セル2とセパレータ3とが積層されるとともに、その積層方向両端には、車両前側プレート4と車両後側プレート5とが配置されることにより、スタックを構成している。車両前側プレート4には、第1支持部材6が配置されるとともに、車両後側プレート5には、第2支持部材7が配置されている。
【0006】
第1支持部材6は、燃料電池1が車両前方向に移動することを阻止する機能を有している。この第1支持部材6は、燃料電池1を車両前方向に移動不能に支持し、かつ車両上下方向に移動可能な支持部品6aと、車両の上下方向の振動を吸収するための緩衝部材6bとを備えている。
【0007】
第2支持部材7は、車両の急発進時や急加速時に、燃料電池1を車両後方向に移動可能にする機能を有している。この第2支持部材7は、燃料電池1を車両前後方向および上下方向に移動可能に支持する支持部品7aと、車両の上下方向の振動を吸収するための緩衝部材7bとを備えている。
【0008】
このような構成において、車両が急制動した場合に、燃料電池1の車両後側部分が第2支持部材7を介して車両前側へ移動可能となる。このため、車両が急制動した際には、燃料電池1を構成する各単位セル2とセパレータ3との隙間が狭まる方向に力が作用し、前記燃料電池1のシール性を高めることができる、としている。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−30771号公報(段落[0038]、[0039]、[0043]、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように車両の急制動時には、車両前側プレート4が第1支持部材6に支持されるための両前側への移動ができない。従って、この車両前側プレート4近傍の単位セル2およびセパレータ3には、相当に大きな面圧が付与されるおそれがある。これにより、例えば、単位セル2を構成する電解質・電極構造体に圧縮強度以上の面圧が作用し、前記電解質・電極構造体の耐用性が低下するという問題がある。
【0011】
さらに、セパレータ3が金属製セパレータで構成される際には、過剰な面圧が作用すると、この金属製セパレータが変形する場合がある。このため、燃料ガスや酸化剤ガスの反応ガス流路や冷却媒体流路を、所望の形状に維持することができないという問題がある。これにより、単位セル2に対して燃料ガスや酸化剤ガスを良好に供給することができず、前記単位セル2の発電性能が低下するおそれがある。
【0012】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、燃料電池スタック全体として所望のシール性を維持するとともに、単位セルに過剰な面圧が作用することを阻止可能な燃料電池スタックのマウント構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池スタックのマウント構造では、電解質の両側にそれぞれ電極が設けられた電解質・電極構造体を、セパレータにより挟持する単位セルを備え、前記単位セルが車両の進行方向に沿って複数積層されることにより、車載用の燃料電池スタックが構成される。
【0014】
この燃料電池スタックは、可動ガイド機構を介し車両の進行方向に沿って摺動可能に支持されるとともに、前記燃料電池スタックに対して前記進行方向に作用する衝撃が、衝撃吸収機構、例えば、ダンパ機構により吸収される。このため、車両の急発進や急停止等によって燃料電池スタックに積層方向に外力が作用した際、前記燃料電池スタック全体が積層方向に移動するとともに、ダンパ機構の作用下に該燃料電池スタックの衝撃が吸収される。
【0015】
従って、特に積層方向端部に配設されている単位セルに、過剰な面圧が作用することを確実に阻止することができる一方、単位セル間に必要以上の隙間が形成されることがない。これにより、簡単な構成で、単位セルを有効に保護することが可能になるとともに、所望のシール性を確保して発電性能の向上を図ることができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に係る燃料電池スタックのマウント構造では、セパレータは、金属製セパレータで構成されており、単位セルに作用する衝撃が良好に吸収されることによって、前記金属製セパレータが変形することを確実に阻止することが可能になる。このため、金属製セパレータに設けられている反応ガス流路や冷却媒体流路が変形することがなく、所望の発電性能を有効に維持することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るマウント構造70が適用される車載用の燃料電池スタック10の概略全体斜視図であり、図2は、前記燃料電池スタック10の一部断面側面図である。
【0018】
燃料電池スタック10は、複数の単位セル12が図示しない車両の進行方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備え、前記積層体14の積層方向(矢印A方向)両端には、ターミナル端子板16a、16bと、インシュレータ板18a、18bと、エンドプレート20a、20bとが外方に向かって、順次、配設される。
【0019】
エンドプレート20a、20bは、ケース部材22を介して一体的に結合される。ケース部材22は、下板24a、上板24bおよび側板24c、24dを備えており、これらがボルト26を介してエンドプレート20a、20bに固定される。
【0020】
図2および図3に示すように、各単位セル12は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)34と、前記電解質膜・電極構造体34を挟持する第1および第2金属製セパレータ36、38とを備える。なお、第1および第2金属製セパレータ36、38に代替して、例えば、カーボン製セパレータを使用してもよい。
【0021】
単位セル12の長辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔40a、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔42a、および燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔44bが設けられる。
【0022】
単位セル12の長辺方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔44a、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔42b、および酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔40bが設けられる。
【0023】
電解質膜・電極構造体34は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜46と、前記固体高分子電解質膜46を挟持するアノード側電極48およびカソード側電極50とを備える。
【0024】
アノード側電極48およびカソード側電極50は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布された電極触媒層とをそれぞれ有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜46の両面に接合されている。
【0025】
第1金属製セパレータ36の電解質膜・電極構造体34に向かう面36aには、燃料ガス供給連通孔44aと燃料ガス排出連通孔44bとを連通する燃料ガス流路52が形成される。この燃料ガス流路52は、例えば、矢印B方向に延在する複数の溝部を設ける。第1金属製セパレータ36の面36bには、冷却媒体供給連通孔42aと冷却媒体排出連通孔42bとを連通する冷却媒体流路54が形成される。この冷却媒体流路54は、矢印B方向に延在する複数の溝部を設ける。
【0026】
第2金属製セパレータ38の電解質膜・電極構造体34に向かう面38aには、例えば、矢印B方向に延在する複数の溝部からなる酸化剤ガス流路56が設けられるとともに、この酸化剤ガス流路56は、酸化剤ガス供給連通孔40aと酸化剤ガス排出連通孔40bとに連通する。
【0027】
図1に示すように、エンドプレート20aの長辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、酸化剤ガス供給連通孔40a、冷却媒体供給連通孔42aおよび燃料ガス排出連通孔44bにそれぞれ連通する酸化剤ガス供給口60a、冷却媒体供給口62aおよび燃料ガス排出口64bが設けられる。エンドプレート20aの長辺方向の他端縁部には、燃料ガス供給連通孔44a、冷却媒体排出連通孔42bおよび酸化剤ガス排出連通孔40bにそれぞれ連通する燃料ガス供給口64a、冷却媒体排出口62bおよび酸化剤ガス排出口60bが設けられる。
【0028】
燃料電池スタック10は、マウント構造70を介して車両の取り付け部72に搭載される。マウント構造70は、燃料電池スタック10を、進行方向(矢印A方向)に沿って摺動可能に支持する可動ガイド機構74と、前記燃料電池スタック10に対して前記進行方向に作用する衝撃を吸収するダンパ機構(衝撃吸収機構)76とを備える。
【0029】
図2および図4に示すように、可動ガイド機構74は、燃料電池スタック10の矢印A1方向端部側に設けられる第1可動部78と、前記燃料電池スタック10の矢印A2方向端部側に設けられる第2可動部80とを設ける。第1可動部78は、取り付け部72にねじ止め固定されるとともに、矢印B方向に並列される固定レール82a、82bと、エンドプレート20bに固着される一対の可動レール84a、84bとを備える。可動レール84a、84bは、断面L字状を有しており、固定レール82a、82bに支持されて矢印A方向に進退自在である。なお、第1可動部78には、可動レール84a、84bが固定レール82a、82bから離脱することを阻止するために、例えば、ストッパ85a、85bを設けてもよい(図2参照)。
【0030】
第2可動部80は、エンドプレート20aに固定されるマウント部材86を備え、このマウント部材86がマウントベース88に支持される。マウントベース88は、取り付け部72にねじ止め固定され、矢印B方向両端には、断面コ字状の固定レール部90a、90bが互いに近接する方向に屈曲形成される。マウント部材86の矢印B方向両端には、固定レール部90a、90bに支持される可動レール部92a、92bが互いに離間する方向に突出して形成される。
【0031】
ダンパ機構76は、マウントベース88上に固定部材94を介して装着される一対のダンパユニット96a、96bを備える。ダンパユニット96a、96bから延在するロッド98a、98bは、マウント部材86に連結されており、このマウント部材86が固定される燃料電池スタック10は、前記ダンパユニット96a、96bを介して衝撃が吸収可能である。なお、ダンパユニット96a、96bは、例えば、油圧、空気圧または弾性体等を介して矢印A1方向および矢印A2方向の衝撃を吸収するように構成される。
【0032】
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
【0033】
まず、図1に示すように、燃料電池スタック10内には、エンドプレート20aの燃料ガス供給口64aから水素含有ガス等の燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス供給口60aから酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。さらに、冷却媒体供給口62aから純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。このため、積層体14では、矢印A方向に重ね合わされた複数の単位セル12に対し、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却媒体が矢印A1方向に直列的に供給される。
【0034】
図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔40aから第2金属製セパレータ38の酸化剤ガス流路56に導入され、電解質膜・電極構造体34のカソード側電極50に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔44aから第1金属製セパレータ36の燃料ガス流路52に導入され、電解質膜・電極構造体34のアノード側電極48に沿って移動する。
【0035】
従って、各電解質膜・電極構造体34では、カソード側電極50に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極48に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0036】
次いで、アノード側電極48に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔44bに排出されて矢印A2方向に流動した後、エンドプレート20aの燃料ガス排出口64bから排出される(図1参照)。同様に、カソード側電極50に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔40bに沿って矢印A2方向に流動した後、エンドプレート20aの酸化剤ガス排出口60bから排出される。
【0037】
また、冷却媒体供給口62aに供給された冷却媒体は、冷却媒体供給連通孔42aから第1金属製セパレータ36の冷却媒体流路54に導入された後、矢印B方向に沿って流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体34を冷却した後、冷却媒体排出連通孔42bを矢印A2方向に移動し、エンドプレート20aの冷却媒体排出口62bから排出される。
【0038】
この場合、第1の実施形態では、燃料電池スタック10は、可動ガイド機構74を介し車両の進行方向(矢印A方向)に沿って摺動可能に支持されるとともに、前記燃料電池スタック10に対して前記進行方向に作用する衝撃が、ダンパ機構76により吸収される(図2および図4参照)。
【0039】
このため、車両の急発進や急停止等によって、燃料電池スタック10に矢印A方向に外力が作用すると、この燃料電池スタック10全体は、可動ガイド機構74を構成する第1および第2可動部78、80の案内作用下に、矢印A方向に移動する。その際、第2可動部80を構成するマウントベース88には、ダンパ機構76を構成するダンパユニット96a、96bが固定され、前記ダンパユニット96a、96bのロッド98a、98bがマウント部材86に連結されている。
【0040】
従って、燃料電池スタック10が矢印A方向に移動すると、ロッド98a、98bが緩やかに進退して、前記燃料電池スタック10の移動による衝撃が吸収される。これにより、特に、燃料電池スタック10の積層方向端部に配設されている単位セル12に過剰な面圧が作用することを確実に阻止することができる一方、単位セル12間に必要以上の隙間が形成されることがない。
【0041】
このため、第1の実施形態では、簡単な構成で、単位セル12の損傷を有効に防止することが可能になるとともに、所望のシール性を確保して、前記単位セル12の発電性能の向上を図ることが可能になるという効果が得られる。
【0042】
しかも、第1および第2金属製セパレータ36、38が用いられる際にも、この第1および第2金属製セパレータ36、38に過度の面圧が作用することを阻止できる。従って、第1および第2金属製セパレータ36、38が変形することを確実に阻止し、前記第1および第2金属製セパレータ36、38に設けられる燃料ガス流路52、酸化剤ガス流路56および冷却媒体流路54の形状を確保して、所望の発電性能を有効に維持することが可能になる。
【0043】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るマウント構造120が適用される車載用の燃料電池スタック110の概略斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3乃至第7の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0044】
燃料電池スタック110は、複数の単位セル12を積層した積層体14を備え、この積層体14の積層方向両端には、エンドプレート112、114が配設される。エンドプレート112、114は、複数本のタイロッド116を介して締め付け保持されており、前記エンドプレート112、114間に配置されている積層体14には、所望の締め付け荷重が付与されている。
【0045】
マウント構造120は、可動ガイド機構74とダンパ機構76とを備える。可動ガイド機構74は、第1および第2可動部78、122を設けるとともに、前記第2可動部122は、エンドプレート112に固定されるマウント部材124a、124bを備える。
【0046】
このマウント部材124a、124bは、取り付け部72に固定されるマウントベース126a、126bに係合して矢印A方向に案内されるとともに、前記マウントベース126a、126bには、ダンパ機構76を構成するダンパユニット96a、96bが固定される。ダンパユニット96a、96bのロッド98a、98bは、マウント部材124a、124bに連結される。なお、第1可動部78を構成する可動レール84a、84bは、エンドプレート114に固着される。
【0047】
このように構成される第2の実施形態では、可動ガイド機構74を構成する第1可動部78がエンドプレート114側に設けられるとともに、第2可動部122がエンドプレート112側に設けられる。このため、燃料電池スタック110全体は、第1および第2可動部78、122を介して矢印A方向に進退可能である。
【0048】
その際、エンドプレート112に固着されるマウント部材124a、124bには、ダンパ機構76を構成するダンパユニット96a、96bのロッド98a、98bが固着される一方、前記ダンパユニット96a、96bがマウントベース126a、126bに固定されている。
【0049】
従って、車両の急発進や急停止等によって燃料電池スタック110に積層方向(矢印A方向)に外力が作用すると、前記燃料電池スタック110全体が矢印A方向に移動するとともに、ダンパ機構76の作用下に、前記燃料電池スタック110の衝撃が吸収される。これにより、簡単な構成で、単位セル12を有効に保護するとともに、所望のシール性を確保して発電性能の向上を図ることが可能になる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0050】
図6は、本発明の第3の実施形態に係るマウント構造130が適用される車載用の燃料電池スタック10の概略全体斜視図である。
【0051】
マウント構造130は、可動ガイド機構132と、ダンパ機構76とを備える。可動ガイド機構132は、ケース部材22の側板24c、24dに摺接してこのケース部材22全体を矢印A方向に案内するガイド部材134a、134b、134cおよび134dと、ガイド部材136a、136b、136cおよび136dとを備える。ガイド部材134a〜134dは、断面略L字状に構成され、水平部分が取り付け部72にねじ止めされるとともに、垂直部分が側板24c、24dの下部側に摺接する。ガイド部材136a〜136dは同様に、断面略L字状に構成され、水平部分が天板138にねじ止めされるとともに、垂直部分が側板24c、24dの上部側に摺接する。ダンパ機構76は、ダンパユニット96a、96bのロッド98a、98bがエンドプレート20aに直接連結されている。
【0052】
図7は、本発明の第4の実施形態に係るマウント構造140が適用される車載用の燃料電池スタック110の概略全体斜視図である。
【0053】
マウント構造140は、可動ガイド機構142とダンパ機構76とを備える。この可動ガイド機構142は、エンドプレート112、114に設けられたブロック部143a、143bに形成される略I字状の凹部144a、144bと、取り付け部72にねじ止め固定される略I字状のガイド部材146a、146bとを備える。ガイド部材146a、146bは、凹部144a、144bに嵌合することにより、燃料電池スタック110を矢印A方向に案内する。ダンパ機構76は、ダンパユニット96a、96bのロッド98a、98bがエンドプレート112に直接連結されている。
【0054】
図8は、本発明の第5の実施形態に係るマウント構造150が適用される車載用の燃料電池スタック10の概略側面説明図である。
【0055】
マウント構造150は、エンドプレート20a、20bに連結されるダンパ機構152を備えるとともに、このダンパ機構152は、燃料電池スタック10を矢印A方向に移動可能に支持する可動ガイド機構としての機能も併用している。
【0056】
ダンパ機構152は、ダンパユニット154a、154bを備え、前記ダンパユニット154aのロッド156aがエンドプレート20aに連結されるとともに、前記ダンパユニット154bのロッド156bがエンドプレート20bに連結されている。
【0057】
なお、ダンパユニット154a、154bは、それぞれ複数台ずつ設けられ、燃料電池スタック10の矢印A方向への摺動を許容するとともに、前記燃料電池スタック10に作用する衝撃を確実に吸収する機能を有する。
【0058】
図9は、本発明の第6の実施形態に係るマウント構造160が適用される車載用の燃料電池スタック10の概略側面説明図である。
【0059】
マウント構造160は、可動ガイド機構162とダンパ機構164とを備える。可動ガイド機構162は、エンドプレート20b側に連結される第1可動部78と、エンドプレート20a側に取り付けられる第2可動部166とを備える。この第2可動部166は、第1可動部78と同様に構成されている。
【0060】
ダンパ機構164は、燃料電池スタック10の下板24aに下方に向かって膨出形成される突起部168と、この突起部168に連結されるダンパユニット170とを備える。このダンパユニット170は、取り付け部72に固定されており、ロッド172が取り付け部168に連結されている。このダンパユニット170は、必要に応じて複数設けることができる。
【0061】
図10は、本発明の第7の実施形態に係るマウント構造160aが適用される車載用の燃料電池スタック10の概略側面説明図である。なお、第6の実施形態に係るマウント構造160と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0062】
マウント構造160aは、可動ガイド機構173とダンパ機構164とを備える。可動ガイド機構173は、下板24aの矢印A方向両端に固着されるブラケット174a、174bを備える。ブラケット174a、174bには、矢印A方向に長尺な長孔176a、176bが形成され、前記長孔176a、176bにゴムマウント178a、178bが配置されている。
【0063】
ゴムマウント178a、178bは、上部にカラー部材180a、180bが配置されており、このカラー部材180a、180bが長孔176a、176bに挿入される。ゴムマウント178a、178bの下部は、取り付け部72にねじ止め固定される。
【0064】
なお、第1乃至第7の実施形態では、燃料電池スタック10、110を選択的に使用することができ、また、他の種々の燃料電池スタックにおいても同様に適用することが可能である。
【0065】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池スタックのマウント構造は、可動ガイド機構を介し車両の進行方向に沿って摺動可能に支持されるとともに、前記燃料電池スタックに対して前記進行方向に作用する衝撃が、衝撃吸収機構により吸収される。このため、車両の急発進や急停止等によって燃料電池スタックに積層方向に外力が作用した際、前記燃料電池スタック全体が積層方向に移動するとともに、衝撃吸収機構の作用下に該燃料電池スタックの衝撃が吸収される。
【0066】
従って、特に積層方向端部に配設されている単位セルに、過剰な面圧が作用することを確実に阻止することができる一方、単位セル間に必要以上の隙間が形成されることがない。これにより、簡単な構成で、単位セルを有効に保護することが可能になるとともに、所望のシール性を確保して発電性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るマウント構造が適用される車載用の燃料電池スタックの概略全体斜視図である。
【図2】前記燃料電池スタックの一部断面側面図である。
【図3】前記燃料電池スタックを構成する単位セルの分解斜視図である。
【図4】前記マウント構造の斜視説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るマウント構造が適用される車載用の燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るマウント構造が適用される車載用の燃料電池スタックの概略全体斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るマウント構造が適用される車載用の燃料電池スタックの概略全体斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係るマウント構造が適用される車載用の燃料電池スタックの概略側面説明図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係るマウント構造が適用される車載用の燃料電池スタックの概略側面説明図である。
【図10】本発明の第7の実施形態に係るマウント構造が適用される車載用の燃料電池スタックの概略側面説明図である。
【図11】特許文献1に係る車両用燃料電池の支持装置の概略斜視説明図である。
【符号の説明】
10、110…燃料電池スタック 12…単位セル
14…積層体
20a、20b、112、114…エンドプレート
22…ケース部材 24a…下板
24b…上板 24c、24d…側板
34…電解質膜・電極構造体 36、38…金属セパレータ
46…固体高分子電解質膜 48…アノード側電極
50…カソード側電極
70、120、130、140、150、160、160a…マウント構造
74、132、142、162、173…可動ガイド機構
76、152、164…ダンパ機構 78、80、166…可動部
82a、82b…固定レール 84a、84b…可動レール
86、124a、124b…マウント部材
88、126a、126b…マウントベース
90a、90b…固定レール部 92a、92b…可動レール部
96a、96b、154a、154b…ダンパユニット
134a〜134d、136a〜136d、146a、146b…ガイド部材
144a、144b…凹部 174a、174b…ブラケット
178a、178b…ゴムマウント

Claims (2)

  1. 電解質の両側にそれぞれ電極が設けられた電解質・電極構造体を、セパレータにより挟持する単位セルを備え、前記単位セルを車両の進行方向に沿って複数積層する燃料電池スタックを、前記車両に搭載するための燃料電池スタックのマウント構造であって、
    前記燃料電池スタックを、前記進行方向に沿って摺動可能に支持する可動ガイド機構と、
    前記燃料電池スタックに対して前記進行方向に作用する衝撃を吸収する衝撃吸収機構と、
    を備えることを特徴とする燃料電池スタックのマウント構造。
  2. 請求項1記載のマウント構造において、前記セパレータは、金属製セパレータで構成されることを特徴とする燃料電池スタックのマウント構造。
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