JP2004245113A - 斜板式容量可変コンプレッサー - Google Patents
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Abstract
【課題】ラグ側の伝達部とジャーナル側の伝達部との重ね合わせ部分の接触面積を一定にすることにより、斜板を滑らかに傾斜させるようにした斜板式容量可変コンプレッサーを提供する。
【解決手段】駆動軸16と一体に回転するラグ18から突設したラグ側伝達部18aと、駆動軸16に対して傾斜可能に取り付けたジャーナル21から突設したジャーナル側伝達部21bと、の重ね合わせ部分に、ジャーナル21に取り付けた斜板22の傾斜量の変化にかかわらず、両伝達部18a,21bの接触面積を一定に維持する定積接触手段30を設けたので、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとの重ね合わせ部分の摺動抵抗を一定にして、斜板22の傾斜量の変化、ひいては、コンプレッサー1の吐出量の変化を円滑にして安定的に容量可変機能を発揮することができる。
【選択図】 図4
【解決手段】駆動軸16と一体に回転するラグ18から突設したラグ側伝達部18aと、駆動軸16に対して傾斜可能に取り付けたジャーナル21から突設したジャーナル側伝達部21bと、の重ね合わせ部分に、ジャーナル21に取り付けた斜板22の傾斜量の変化にかかわらず、両伝達部18a,21bの接触面積を一定に維持する定積接触手段30を設けたので、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとの重ね合わせ部分の摺動抵抗を一定にして、斜板22の傾斜量の変化、ひいては、コンプレッサー1の吐出量の変化を円滑にして安定的に容量可変機能を発揮することができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動軸に設けた斜板の傾斜量が変化することによって作動流体の吐出容量を可変とする斜板式容量可変コンプレッサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
斜板式容量可変コンプレッサーは、回転する駆動軸に斜板を傾斜可能に設け、この斜板が傾斜した状態で回転することにより、斜板の外周縁部に相対移動自在に係合したピストンを往復運動させて作動流体を加圧送給するようになっており、前記斜板の傾斜量をこれの両面に作用する圧力差によって変化させることにより、加圧送給する作動流体の吐出容量を可変とするようになっている。
【0003】
このとき、前記斜板を駆動軸と一体に回転しつつ傾斜量を変化させるためには、駆動軸に結合して一体に回転させるラグを設けるとともに、このラグに対向させて斜板を固定するジャーナルを駆動軸に傾斜可能に設け、これらラグおよびジャーナルからそれぞれ突設した連結部を互いに重ね合わせて、ラグからジャーナル、ひいては斜板に回転力を伝達するとともに、ラグ側の連結部に長穴を形成して、ジャーナル側の連結部に圧入した連結ピンをその長穴に沿って移動させることにより、斜板の傾斜作動が可能になっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−303261号公報(第2,3頁、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の斜板式容量可変コンプレッサーでは、ラグ側およびジャーナル側の互いに重ね合わせた連結部には、斜板の滑らかな傾斜移動、ひいてはコンプレッサーの滑らかな容量変化を行うために、各連結部の重ね合わせ部分の摺動が斜板の傾斜位置に関わらず安定していることが要求される。
【0006】
ところが、前記連結部の重ね合わせ部分は、駆動軸の回転駆動力および斜板に作用するピストンの流体圧縮反力等の大きな外力を支持しつつ、容量可変時に各連結部の重ね合わせ部分が互いに面摺動することになる。
【0007】
このため、各連結部の接触面積が斜板の傾斜位置によって変化するため、摺動抵抗が変化して滑らかな摺動ができなくなってしまい、ひいては、コンプレッサーによる円滑な容量可変機能が損なわれてしまう。
【0008】
また、各連結部の摺動抵抗の変化原因としては、前記外力により発生する連結部の変形で相手連結部にエッジ当たりして引っ掛かることが考えられ、更に、連結部の変形原因としては、前記外力以外にラグ側の連結部の外側にこれを挟むようにジャーナル側の1対の連結部を配置した場合に、これら1対の連結部間に連結ピンを圧入したことも考えられ、この場合には連結ピンの圧入部分間の距離が長くなって、その分、圧入部分の形成誤差による変形力が連結ピンに作用し易くなる。
【0009】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて、ラグ側の伝達部とジャーナル側の伝達部との重ね合わせ部分の接触面積を一定にすることにより、斜板を滑らかに傾斜させるようにした斜板式容量可変コンプレッサーを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明は、駆動軸と一体に回転するラグと、駆動軸に対して傾斜可能に取り付けたジャーナルと、このジャーナルに取付けて傾斜量に応じて作動流体を加圧送給するピストンのストローク量を可変とする斜板と、ラグおよびジャーナルから突設して、それぞれを摺動自在に重ねて回転力を伝達するラグ側伝達部およびジャーナル側伝達部と、を備え、
ラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の重ね合わせ部分は、ラグ側伝達部またはジャーナル側伝達部の一方に斜板を傾斜案内する長穴を形成するとともに、他方に圧入穴を形成し、この圧入穴に固定した連結ピンを前記長穴に移動自在に挿通して斜板の傾斜を許容するようになった斜板式容量可変コンプレッサーにおいて、
ラグ側伝達部とジャーナル側伝達部との重ね合わせ部分に、斜板の傾斜量の変化にかかわらず両伝達部の接触面積を一定に維持する定積接触手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】
以上の構成により本発明の斜板式容量可変コンプレッサーによれば、ラグ側伝達部とジャーナル側伝達部との重ね合わせ部分に定積接触手段を設けて、斜板の傾斜量の変化にかかわらず両伝達部の接触面積を一定に維持するようにしたので、ラグ側伝達部とジャーナル側伝達部との重ね合わせ部分の摺動抵抗を一定にして、斜板の傾斜量の変化、ひいては、コンプレッサーの吐出量の変化を円滑にして安定的に容量可変機能を発揮することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1〜図4は本発明にかかる斜板式容量可変コンプレッサーの一実施形態を示し、図1はコンプレッサーの全体断面図、図2はラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の連結部分の斜視図、図3はジャーナル側伝達部の斜視図、図4はラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の連結部分の要部拡大平面図である。
【0014】
本実施形態の斜板式容量可変コンプレッサー(以下、単にコンプレッサーと称する)は、例えば、車両用空調装置の冷凍サイクルに用いて、作動流体として超臨界冷媒である炭酸ガス(CO2)を断熱圧縮する場合に例をとって説明する。
【0015】
図1に示すようにコンプレッサー1は、中央部に配置したシリンダブロック2と、このシリンダブロック2の前側(図1中左側)に配置したフロントハウジング3と、シリンダブロック2の後側(図1中右側)に配置したリアハウジング4と、をスルーボルトBを介して締付け固定することにより全体のハウジングHを構成してある。
【0016】
シリンダブロック2には、複数(この実施形態では6つ)のシリンダボア5を周方向に等間隔をもって形成し、これら各シリンダボア5には摺動自在にピストン6を嵌合して、このピストン6の往復移動により冷媒を圧縮(加圧)するようになっている。
【0017】
フロントハウジング3は、シリンダブロック2との間にクランク室7を形成し、このフロントハウジング3の前端部(図1中左端部)を端壁3aによって閉塞してある。
【0018】
リアハウジング4は、その内部中央部に吐出室8を形成するとともに、この吐出室8の外周部に隔壁4bで隔成した吸入室9を形成してあり、リアハウジング4の後端部(図1中右端部)を端壁4aによって閉塞してある。
【0019】
シリンダブロック2とリアハウジング4との間には、これら両者間に挟んだ状態で平板状のバルブプレート10を介在してあり、このバルブプレート10には、前記隔壁4bの外方に位置してシリンダボア5と吸入室9とを連通する吸入孔11を形成するとともに、隔壁4bの内方に位置してシリンダボア5と吐出室8とを連通する吐出孔12を形成してあり、吐出孔12は吐出室8側に設けた弁板13により開閉可能となっている。
【0020】
シリンダブロック2の中心部およびフロントハウジング3の端壁3a中心部にそれぞれ形成した支持孔14,15に駆動軸16を回転自在に軸支し、この駆動軸16を端壁3aから外方に突出した端部16aに設けたプーリ17に入力した回転力によって回転駆動するようになっている。
【0021】
クランク室7内には、駆動軸16に嵌合してこの駆動軸16と一体に回転するラグ18を設けるとともに、このラグ18から後側(図中右側)に所定距離を隔てて駆動軸16に移動可能にスリーブ19を嵌挿し、このスリーブ19の外周にピン20を介して揺動自在にジャーナル21を嵌合してあり、このジャーナル21のボス部21aの外周に、傾斜量に応じて前記ピストン6のストローク量を可変とする斜板22を固定してある。
【0022】
ラグ18およびジャーナル21からは、図2にも示すようにラグ側伝達部18aおよびジャーナル側伝達部21bをそれぞれ相手方向に突設して設けてあり、これらラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bを摺動自在に重ね合わせることにより、ラグ18からジャーナル21に回転力を伝達できるようになっている。
【0023】
ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bの重ね合わせ部分には、図1に示すようにラグ側伝達部18aに斜板22を傾斜案内する長穴23を形成するとともに、図3に示すようにジャーナル側伝達部21bに圧入穴24を形成し、この圧入穴24に圧入固定した連結ピン25を前記長穴23に移動自在に挿通することにより、ジャーナル21および斜板22の傾斜量変化が可能になるとともに、長穴23の長さによって斜板22の最大傾斜角度と最小傾斜角度を規制するようになっている。
【0024】
また、図2に示すように圧入穴24を形成した一方のジャーナル側伝達部21bを1本設けるとともに、長穴24を形成した他方のラグ側伝達部18aをジャーナル側伝達部21bの両側を挟むように対を成して2本設けてあり、これら1対のラグ側伝達部18a間にジャーナル側伝達部21bを配置して互いに重ね合わせてある。
【0025】
一方、前記シリンダボア5に摺動自在に嵌合したピストン6の突出端部6aには、斜板22の外周縁部を挟むように配置した前後1対のシュー26を斜板22の揺動方向に回転自在に設け、これらシュー26を介して斜板22の駆動軸16を中心とする回転をピストン6の往復移動に変換するようになっている。
【0026】
このようにピストン6が往復移動する際、ピストン6がシリンダボア5から抜け出る方向の移動に伴って、吸入室9内の冷媒を吸入孔11からシリンダボア5内に吸入し、次にピストン6がシリンダボア5内に挿入される方向の移動に伴って、シリンダボア5内の冷媒を断熱圧縮し、この断熱圧縮により高圧化した冷媒を吐出孔12から吐出室8へと圧送するようになっている。
【0027】
そして、吐出室8内に圧送した高圧の冷媒を、図外の冷凍サイクルの循環経路に吐出するとともに、この冷凍サイクルで冷却機能を果たして低圧化した冷媒を吸入室9内に戻すことになる。
【0028】
ところで、ハウジングH内には、クランク室7と吸入室9とを常時連通する図外の抽気通路と、クランク室7と吐出室8とを連通する図外の給気通路と、この給気通路を開閉制御する図外のコントロールバルブと、からなる圧力制御機構が設けられ、コントロールバルブの開閉制御によりクランク室7内の圧力を変化させることにより、クランク室7と吸入室9との圧力バランス(ピストン6の前後の圧力バランス)で斜板22の傾斜量を変化させて、コンプレッサー1の吐出容量を制御できるようになっている。
【0029】
ここで、本実施形態にあっては図4に示すように、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとの重ね合わせ部分に、斜板22(図1参照)の傾斜量の変化にかかわらず両伝達部(18a,21b)の接触面積を一定に維持する定積接触手段としての座部30を設けてある。
【0030】
座部30は、図3に示すようにジャーナル側伝達部21bの両側面21b′,21b′に、圧入穴24の周囲を取り囲むようにして所定厚みtをもって一体成形により突設し、この座部30の先端面をラグ側伝達部18aの内側面18a′に面接触させるようになっている。
【0031】
このとき、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとが相対移動させる全領域で、前記座部30はラグ側伝達部18aの内側面18a内に納まるようになっている。
【0032】
以上の構成により本実施形態のコンプレッサー1にあっては、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとの重ね合わせ部分に座部30を設けて、斜板22の傾斜量の変化にかかわらず両伝達部18a,21bの接触面積を一定に維持するようにしたので、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとの重ね合わせ部分の摺動抵抗が一定になり、斜板22の傾斜量の変化、ひいては、コンプレッサー1の吐出量の変化を円滑にして安定的に容量可変機能を発揮することができる。
【0033】
また、本実施形態では上述の作用・効果に加えて、前記座部30をジャーナル側伝達部21bの両側面21b′,21b′に、圧入穴24の周囲を取り囲むようにして所定厚みtをもって突設したので、両伝達部18a,21b間に座部30の肉厚t分の間隔が設けられるためエッジ当たりを防止できるようになり、斜板22の傾斜量の変化の更なる円滑化を達成できる。
【0034】
このとき、本実施形態では前記座部30をジャーナル側伝達部21bから一体成形により形成したが、これに限ることなく座部30をワッシャーとしてジャーナル側伝達部21bと別体として設けることもできる。
【0035】
更に、本実施形態では長穴23を形成したラグ側伝達部18aを1対設けて、これら1対のラグ側伝達部18aを、圧入穴24を形成したジャーナル側伝達部21b両側を挟むようにしたので、圧入穴24に連結ピン25を圧入する際に発生し易い組立誤差を連結ピン25の中央部に限定して、全体の変形を抑制することができる。
【0036】
ところで、本発明の斜板式容量可変コンプレッサーを前記実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採ることができ、例えば、ラグ側伝達部18aに長穴23を形成し、ジャーナル側伝達部21bに圧入穴24を形成した場合を開示したが、これに限ることなくジャーナル側伝達部21bに長穴23を形成し、ラグ側伝達部18aに圧入穴24を形成することができ、この場合の定積接触手段は圧入穴24を形成したラグ側伝達部材18aに設けられることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜板式容量可変コンプレッサーの全体断面図。
【図2】本発明の一実施形態を示すラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の連結部分の斜視図。
【図3】本発明の一実施形態を示すジャーナル側伝達部の斜視図。
【図4】本発明の一実施形態を示すラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の連結部分の要部拡大平面図。
【符号の説明】
1 斜板式容量可変コンプレッサー
5 シリンダボア
6 ピストン
16 駆動軸
18 ラグ
18a ラグ側伝達部
21 ジャーナル
21b ジャーナル側伝達部
22 斜板
23 長穴
24 圧入穴
25 連結ピン
30 座部
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動軸に設けた斜板の傾斜量が変化することによって作動流体の吐出容量を可変とする斜板式容量可変コンプレッサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
斜板式容量可変コンプレッサーは、回転する駆動軸に斜板を傾斜可能に設け、この斜板が傾斜した状態で回転することにより、斜板の外周縁部に相対移動自在に係合したピストンを往復運動させて作動流体を加圧送給するようになっており、前記斜板の傾斜量をこれの両面に作用する圧力差によって変化させることにより、加圧送給する作動流体の吐出容量を可変とするようになっている。
【0003】
このとき、前記斜板を駆動軸と一体に回転しつつ傾斜量を変化させるためには、駆動軸に結合して一体に回転させるラグを設けるとともに、このラグに対向させて斜板を固定するジャーナルを駆動軸に傾斜可能に設け、これらラグおよびジャーナルからそれぞれ突設した連結部を互いに重ね合わせて、ラグからジャーナル、ひいては斜板に回転力を伝達するとともに、ラグ側の連結部に長穴を形成して、ジャーナル側の連結部に圧入した連結ピンをその長穴に沿って移動させることにより、斜板の傾斜作動が可能になっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−303261号公報(第2,3頁、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の斜板式容量可変コンプレッサーでは、ラグ側およびジャーナル側の互いに重ね合わせた連結部には、斜板の滑らかな傾斜移動、ひいてはコンプレッサーの滑らかな容量変化を行うために、各連結部の重ね合わせ部分の摺動が斜板の傾斜位置に関わらず安定していることが要求される。
【0006】
ところが、前記連結部の重ね合わせ部分は、駆動軸の回転駆動力および斜板に作用するピストンの流体圧縮反力等の大きな外力を支持しつつ、容量可変時に各連結部の重ね合わせ部分が互いに面摺動することになる。
【0007】
このため、各連結部の接触面積が斜板の傾斜位置によって変化するため、摺動抵抗が変化して滑らかな摺動ができなくなってしまい、ひいては、コンプレッサーによる円滑な容量可変機能が損なわれてしまう。
【0008】
また、各連結部の摺動抵抗の変化原因としては、前記外力により発生する連結部の変形で相手連結部にエッジ当たりして引っ掛かることが考えられ、更に、連結部の変形原因としては、前記外力以外にラグ側の連結部の外側にこれを挟むようにジャーナル側の1対の連結部を配置した場合に、これら1対の連結部間に連結ピンを圧入したことも考えられ、この場合には連結ピンの圧入部分間の距離が長くなって、その分、圧入部分の形成誤差による変形力が連結ピンに作用し易くなる。
【0009】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて、ラグ側の伝達部とジャーナル側の伝達部との重ね合わせ部分の接触面積を一定にすることにより、斜板を滑らかに傾斜させるようにした斜板式容量可変コンプレッサーを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明は、駆動軸と一体に回転するラグと、駆動軸に対して傾斜可能に取り付けたジャーナルと、このジャーナルに取付けて傾斜量に応じて作動流体を加圧送給するピストンのストローク量を可変とする斜板と、ラグおよびジャーナルから突設して、それぞれを摺動自在に重ねて回転力を伝達するラグ側伝達部およびジャーナル側伝達部と、を備え、
ラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の重ね合わせ部分は、ラグ側伝達部またはジャーナル側伝達部の一方に斜板を傾斜案内する長穴を形成するとともに、他方に圧入穴を形成し、この圧入穴に固定した連結ピンを前記長穴に移動自在に挿通して斜板の傾斜を許容するようになった斜板式容量可変コンプレッサーにおいて、
ラグ側伝達部とジャーナル側伝達部との重ね合わせ部分に、斜板の傾斜量の変化にかかわらず両伝達部の接触面積を一定に維持する定積接触手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】
以上の構成により本発明の斜板式容量可変コンプレッサーによれば、ラグ側伝達部とジャーナル側伝達部との重ね合わせ部分に定積接触手段を設けて、斜板の傾斜量の変化にかかわらず両伝達部の接触面積を一定に維持するようにしたので、ラグ側伝達部とジャーナル側伝達部との重ね合わせ部分の摺動抵抗を一定にして、斜板の傾斜量の変化、ひいては、コンプレッサーの吐出量の変化を円滑にして安定的に容量可変機能を発揮することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1〜図4は本発明にかかる斜板式容量可変コンプレッサーの一実施形態を示し、図1はコンプレッサーの全体断面図、図2はラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の連結部分の斜視図、図3はジャーナル側伝達部の斜視図、図4はラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の連結部分の要部拡大平面図である。
【0014】
本実施形態の斜板式容量可変コンプレッサー(以下、単にコンプレッサーと称する)は、例えば、車両用空調装置の冷凍サイクルに用いて、作動流体として超臨界冷媒である炭酸ガス(CO2)を断熱圧縮する場合に例をとって説明する。
【0015】
図1に示すようにコンプレッサー1は、中央部に配置したシリンダブロック2と、このシリンダブロック2の前側(図1中左側)に配置したフロントハウジング3と、シリンダブロック2の後側(図1中右側)に配置したリアハウジング4と、をスルーボルトBを介して締付け固定することにより全体のハウジングHを構成してある。
【0016】
シリンダブロック2には、複数(この実施形態では6つ)のシリンダボア5を周方向に等間隔をもって形成し、これら各シリンダボア5には摺動自在にピストン6を嵌合して、このピストン6の往復移動により冷媒を圧縮(加圧)するようになっている。
【0017】
フロントハウジング3は、シリンダブロック2との間にクランク室7を形成し、このフロントハウジング3の前端部(図1中左端部)を端壁3aによって閉塞してある。
【0018】
リアハウジング4は、その内部中央部に吐出室8を形成するとともに、この吐出室8の外周部に隔壁4bで隔成した吸入室9を形成してあり、リアハウジング4の後端部(図1中右端部)を端壁4aによって閉塞してある。
【0019】
シリンダブロック2とリアハウジング4との間には、これら両者間に挟んだ状態で平板状のバルブプレート10を介在してあり、このバルブプレート10には、前記隔壁4bの外方に位置してシリンダボア5と吸入室9とを連通する吸入孔11を形成するとともに、隔壁4bの内方に位置してシリンダボア5と吐出室8とを連通する吐出孔12を形成してあり、吐出孔12は吐出室8側に設けた弁板13により開閉可能となっている。
【0020】
シリンダブロック2の中心部およびフロントハウジング3の端壁3a中心部にそれぞれ形成した支持孔14,15に駆動軸16を回転自在に軸支し、この駆動軸16を端壁3aから外方に突出した端部16aに設けたプーリ17に入力した回転力によって回転駆動するようになっている。
【0021】
クランク室7内には、駆動軸16に嵌合してこの駆動軸16と一体に回転するラグ18を設けるとともに、このラグ18から後側(図中右側)に所定距離を隔てて駆動軸16に移動可能にスリーブ19を嵌挿し、このスリーブ19の外周にピン20を介して揺動自在にジャーナル21を嵌合してあり、このジャーナル21のボス部21aの外周に、傾斜量に応じて前記ピストン6のストローク量を可変とする斜板22を固定してある。
【0022】
ラグ18およびジャーナル21からは、図2にも示すようにラグ側伝達部18aおよびジャーナル側伝達部21bをそれぞれ相手方向に突設して設けてあり、これらラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bを摺動自在に重ね合わせることにより、ラグ18からジャーナル21に回転力を伝達できるようになっている。
【0023】
ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bの重ね合わせ部分には、図1に示すようにラグ側伝達部18aに斜板22を傾斜案内する長穴23を形成するとともに、図3に示すようにジャーナル側伝達部21bに圧入穴24を形成し、この圧入穴24に圧入固定した連結ピン25を前記長穴23に移動自在に挿通することにより、ジャーナル21および斜板22の傾斜量変化が可能になるとともに、長穴23の長さによって斜板22の最大傾斜角度と最小傾斜角度を規制するようになっている。
【0024】
また、図2に示すように圧入穴24を形成した一方のジャーナル側伝達部21bを1本設けるとともに、長穴24を形成した他方のラグ側伝達部18aをジャーナル側伝達部21bの両側を挟むように対を成して2本設けてあり、これら1対のラグ側伝達部18a間にジャーナル側伝達部21bを配置して互いに重ね合わせてある。
【0025】
一方、前記シリンダボア5に摺動自在に嵌合したピストン6の突出端部6aには、斜板22の外周縁部を挟むように配置した前後1対のシュー26を斜板22の揺動方向に回転自在に設け、これらシュー26を介して斜板22の駆動軸16を中心とする回転をピストン6の往復移動に変換するようになっている。
【0026】
このようにピストン6が往復移動する際、ピストン6がシリンダボア5から抜け出る方向の移動に伴って、吸入室9内の冷媒を吸入孔11からシリンダボア5内に吸入し、次にピストン6がシリンダボア5内に挿入される方向の移動に伴って、シリンダボア5内の冷媒を断熱圧縮し、この断熱圧縮により高圧化した冷媒を吐出孔12から吐出室8へと圧送するようになっている。
【0027】
そして、吐出室8内に圧送した高圧の冷媒を、図外の冷凍サイクルの循環経路に吐出するとともに、この冷凍サイクルで冷却機能を果たして低圧化した冷媒を吸入室9内に戻すことになる。
【0028】
ところで、ハウジングH内には、クランク室7と吸入室9とを常時連通する図外の抽気通路と、クランク室7と吐出室8とを連通する図外の給気通路と、この給気通路を開閉制御する図外のコントロールバルブと、からなる圧力制御機構が設けられ、コントロールバルブの開閉制御によりクランク室7内の圧力を変化させることにより、クランク室7と吸入室9との圧力バランス(ピストン6の前後の圧力バランス)で斜板22の傾斜量を変化させて、コンプレッサー1の吐出容量を制御できるようになっている。
【0029】
ここで、本実施形態にあっては図4に示すように、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとの重ね合わせ部分に、斜板22(図1参照)の傾斜量の変化にかかわらず両伝達部(18a,21b)の接触面積を一定に維持する定積接触手段としての座部30を設けてある。
【0030】
座部30は、図3に示すようにジャーナル側伝達部21bの両側面21b′,21b′に、圧入穴24の周囲を取り囲むようにして所定厚みtをもって一体成形により突設し、この座部30の先端面をラグ側伝達部18aの内側面18a′に面接触させるようになっている。
【0031】
このとき、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとが相対移動させる全領域で、前記座部30はラグ側伝達部18aの内側面18a内に納まるようになっている。
【0032】
以上の構成により本実施形態のコンプレッサー1にあっては、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとの重ね合わせ部分に座部30を設けて、斜板22の傾斜量の変化にかかわらず両伝達部18a,21bの接触面積を一定に維持するようにしたので、ラグ側伝達部18aとジャーナル側伝達部21bとの重ね合わせ部分の摺動抵抗が一定になり、斜板22の傾斜量の変化、ひいては、コンプレッサー1の吐出量の変化を円滑にして安定的に容量可変機能を発揮することができる。
【0033】
また、本実施形態では上述の作用・効果に加えて、前記座部30をジャーナル側伝達部21bの両側面21b′,21b′に、圧入穴24の周囲を取り囲むようにして所定厚みtをもって突設したので、両伝達部18a,21b間に座部30の肉厚t分の間隔が設けられるためエッジ当たりを防止できるようになり、斜板22の傾斜量の変化の更なる円滑化を達成できる。
【0034】
このとき、本実施形態では前記座部30をジャーナル側伝達部21bから一体成形により形成したが、これに限ることなく座部30をワッシャーとしてジャーナル側伝達部21bと別体として設けることもできる。
【0035】
更に、本実施形態では長穴23を形成したラグ側伝達部18aを1対設けて、これら1対のラグ側伝達部18aを、圧入穴24を形成したジャーナル側伝達部21b両側を挟むようにしたので、圧入穴24に連結ピン25を圧入する際に発生し易い組立誤差を連結ピン25の中央部に限定して、全体の変形を抑制することができる。
【0036】
ところで、本発明の斜板式容量可変コンプレッサーを前記実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採ることができ、例えば、ラグ側伝達部18aに長穴23を形成し、ジャーナル側伝達部21bに圧入穴24を形成した場合を開示したが、これに限ることなくジャーナル側伝達部21bに長穴23を形成し、ラグ側伝達部18aに圧入穴24を形成することができ、この場合の定積接触手段は圧入穴24を形成したラグ側伝達部材18aに設けられることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜板式容量可変コンプレッサーの全体断面図。
【図2】本発明の一実施形態を示すラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の連結部分の斜視図。
【図3】本発明の一実施形態を示すジャーナル側伝達部の斜視図。
【図4】本発明の一実施形態を示すラグ側伝達部とジャーナル側伝達部の連結部分の要部拡大平面図。
【符号の説明】
1 斜板式容量可変コンプレッサー
5 シリンダボア
6 ピストン
16 駆動軸
18 ラグ
18a ラグ側伝達部
21 ジャーナル
21b ジャーナル側伝達部
22 斜板
23 長穴
24 圧入穴
25 連結ピン
30 座部
Claims (3)
- 駆動軸(16)と一体に回転するラグ(18)と、駆動軸(16)に対して傾斜可能に取り付けたジャーナル(21)と、このジャーナル(21)に取付けて傾斜量に応じて作動流体を加圧送給するピストン(6)のストローク量を可変とする斜板(22)と、ラグ(18)およびジャーナル(21)から突設して、それぞれを摺動自在に重ねて回転力を伝達するラグ側伝達部(18a)およびジャーナル側伝達部(21b)と、を備え、
ラグ側伝達部(18a)とジャーナル側伝達部(21b)の重ね合わせ部分は、ラグ側伝達部(18a)またはジャーナル側伝達部(21b)の一方に斜板(22)を傾斜案内する長穴(23)を形成するとともに、他方に圧入穴(24)を形成し、この圧入穴(24)に固定した連結ピン(25)を前記長穴(23)に移動自在に挿通して斜板(22)の傾斜を許容するようになった斜板式容量可変コンプレッサー(1)において、
ラグ側伝達部(18a)とジャーナル側伝達部(21b)との重ね合わせ部分に、斜板(22)の傾斜量の変化にかかわらず両伝達部(18a,21b)の接触面積を一定に維持する定積接触手段(30)を設けたことを特徴とする斜板式容量可変コンプレッサー。 - 定積接触手段は、ラグ側伝達部(18a)およびジャーナル側伝達部(21b)のうち、圧入穴(24)を形成した一方の伝達部(21b)に一体若しくは別体に設けた座部(30)であることを特徴とする請求項1に記載の斜板式容量可変コンプレッサー。
- ラグ側伝達部(18a)およびジャーナル側伝達部(21b)のうち、圧入穴(24)を形成した一方の伝達部(21b)に対して、長穴(23)を形成した他方の伝達部(18a)を、前記一方の伝達部(21b)の両側を挟むように対を成して設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の斜板式容量可変コンプレッサー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003034814A JP2004245113A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 斜板式容量可変コンプレッサー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003034814A JP2004245113A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 斜板式容量可変コンプレッサー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004245113A true JP2004245113A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33020401
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003034814A Pending JP2004245113A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 斜板式容量可変コンプレッサー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004245113A (ja) |
-
2003
- 2003-02-13 JP JP2003034814A patent/JP2004245113A/ja active Pending
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