JP2004244964A - 建物 - Google Patents

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【課題】夏期の暑いときに屋根を効率よく冷却して、室内を涼しくする。雨漏りしない構造として、メンテナンスを簡単にして屋根を涼しくする。
【解決手段】建物は、片流れの屋根あるいはのこぎり屋根を備え、この屋根の内部に屋根プレート20から下方に離して区画壁3を設けて、区画壁3と屋根プレート20との間に外気換気層4を設けている。外気換気層4は、上下の両端部を外気換気口27で建物外に開口している。この建物は、太陽光による自然対流の作用によって、下方の外気換気口27から上方の外気換気口27に外気を流通させて、外気換気層4に外気を流通させるようにしている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、夏期の暑いときに室内を涼しくできる建物に関し、とくに、屋根を効率よく冷却できる建物に関する。
【0002】
【従来の技術】
夏期の暑いとき、建物の屋根は太陽熱に加熱されて極めて温度が高くなる。とくに、屋根に葺かれる瓦やスレート等の屋根材は、熱容量が大きいのでいったん加熱されると冷却されるのに時間がかかり、夜間になって涼しくなるまでに時間がかかる欠点もある。その上、屋根裏には外気が入らないために、夏期の晴天時においては60℃を越える高温に達することもある。このため、二階建ての建物にあっては、二階の温度が一階よりも相当に高くなる。この弊害を解消するために、瓦等の屋根材の下に断熱材を張設している。断熱材は、屋根材の熱が室内に伝わるのをできる限り少なくする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
屋根に断熱材を張設しているにもかかわらず、従来の建物は二階の温度が相当に高くなっているのが実状である。また、夜間になっても二階の温度が下がるのに極めて時間がかかっている。それは、屋根に張設している断熱材が、高温に加熱されて屋根材の熱の室内侵入を有効に阻止するのが極めて難しいからである。さらに、太陽の熱エネルギーが、1平方メートルに対して1kWと極めて大きいことも、屋根を涼しくするのを難しくしている。
【0004】
建物の屋根を少しでも涼しくするために、屋根の軒部に屋根裏の空気を排気する機構が開発されている。この建物は、屋根裏の空気を強制的に排気し、あるいは自然に排気して、屋根裏の温度を低下させる。この構造は、雨水の侵入を確実に阻止することが難しく、とくに台風のように強風のときに雨水が侵入しやすい弊害がある。屋根は雨水が侵入すると野地板等の木材を腐食させる弊害も発生する。とくに、屋根裏を涼しくするために、屋根裏の空気を多量に排気する構造にすると雨水が侵入しやすくなる。このため、屋根裏の空気換気量が制限され、効率よく屋根裏の温度を低下できない。
【0005】
本発明は、この欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、夏期の暑いときに屋根を効率よく冷却して、室内を涼しくできる建物を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、雨漏りしない構造であって、メンテナンスを簡単にして屋根を涼しくできる建物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の建物は、片流れの屋根あるいはのこぎり屋根を備え、この屋根の内部に屋根プレート20から下方に離して区画壁3を設けて、区画壁3と屋根プレート20との間に外気換気層4を設けている。外気換気層4は、上下の両端部を外気換気口27で建物外に開口している。この建物は、太陽光による自然対流の作用によって、下方の外気換気口27から上方の外気換気口27に外気を流通させて、外気換気層4に外気を流通させるようにしている。
【0007】
さらに、本発明の請求項2の建物は、陸屋根を備え、この屋根の内部に屋根プレート20から下方に離して区画壁3を設けて、区画壁3と屋根プレート20との間に外気換気層4を設けている。この外気換気層4は、少なくとも両端部を外気換気口27で建物外に開口して空気を流通できる状態としている。この建物は、太陽光による自然対流の作用と風の作用のいずれかまたは両方によって、一方の外気換気口27から他方の外気換気口27に外気を流通させて、外気換気層4に外気を流通させるようにしている。
【0008】
本発明の建物は、外気換気層4の端部を連結ダクト52で連結して、この連結ダクト52を建物外に開口して外気換気口27を設けることができる。
【0009】
さらに、本発明の建物は、壁の内部に区画壁3を設けて、壁の内部に外気換気層4を設け、あるいは、壁の内部を計画通気層5と、外気を換気させる外気換気層4とに区画することができる。この建物は、屋根と壁に設けている区画壁3を互いに連結して、屋根の外気換気層4と壁の外気換気層4とを連結することができる。さらに、この建物は、屋根と壁の外気換気層4を、屋根と壁の境界に設けている外気換気口27で外部に開口することができる。さらにまた、この建物は、建物の南側に位置する壁と屋根の外気換気層4を外部に開口することなく連通して、壁の外気換気層4の下部を建物外に開口すると共に、建物の北側に位置する壁と屋根の外気換気層4を外気換気口27で建物外に開口することができる。
【0010】
さらに、本発明の建物は、屋根に設けている区画壁3の室内側に、天井裏ダクト26である計画通気層5を設けて、計画通気層5を室内に連結することができる。さらに、この建物は、壁の内部に区画壁3を設けて、壁の内部を計画通気層5と、外気を換気させる外気換気層4とに区画し、屋根と壁に設けている区画壁3を互いに連結して、屋根の計画通気層5と壁の計画通気層5とを連結することができる。
【0011】
さらに、陸屋根を有する建物は、屋根の周囲に周壁53を設けると共に、この周壁53の内部に外気換気層4を設けて、この外気換気層4を屋根の外気換気層4に連結することができる。
【0012】
外気換気口27は、屋根の軒下に開口することができる。外気換気口27は、建物の垂直面に開口して、雨よけカバー51でカバーすることもできる。さらに、外気換気口27は、通過する空気量を調整する通気調整機構47を設けることができる。この外気換気口27は、通気調整機構47を開いて外気換気層4に外気を換気し、通気調整機構47を遮断して外気換気層4の換気を阻止することができる。さらにまた、本発明の建物は、室内空気を壁の外気換気層4または建物外に排気する排気ダクト8を設けることができる。
【0013】
片流れの屋根あるいはのこぎり屋根の屋根プレート20は、下地材19の上に瓦やスレート等の屋根材45を葺いた構造とすることができる。この建物は、下地材19と区画壁3との間に胴縁11を固定して、胴縁11で下地材19と区画壁3との間に外気換気層4を設けることができる。さらに、この建物は、屋根プレート20と区画壁3との間に、1層または複数層に中間プレート46を配設して、中間プレート46でもって外気換気層4を複数の層に区画することができる。中間プレート46は、断熱材10とすることができる。中間プレート4や断熱材10は、胴縁11を介して、屋根プレート20と区画壁3との間に固定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための建物を例示するものであって、本発明は建物を下記のものに特定しない。
【0015】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0016】
本発明の建物の屋根構造を図1ないし図3に示す。図1は片流れの屋根を有する建物を、図2はのこぎり屋根を有する建物を、図3は陸屋根を有する建物をそれぞれ示している。図1に示す建物は、一方向にのみ傾斜する屋根を備え、図2に示す建物は、一方向に傾斜する屋根を複数備えている。これらの図に示す屋根は、全体の傾斜角度を一定にしているが、屋根の傾斜角度は途中で変化させることもできる。図3に示す建物は、屋根を水平に設けている。
【0017】
これらの屋根構造は、屋根プレート20から下方に離して区画壁3を設けて、区画壁3でもって、屋根プレート20と区画壁3との間に外気換気層4を設けている。外気換気層4は、外気を自然に、あるいは強制的に流通できるように、屋根の両側において、外気換気口27で建物外に開口している。図1ないし図3に示す建物は、外気換気層4を、傾斜方向に空気を流通できる状態としている。この外気換気層4は、上下の両端部を外気換気口27で建物外に開口している。
【0018】
屋根の両側に設けた外気換気口27で建物外に開口している外気換気層4は、一方の外気換気口27から他方の外気換気口27に外気を通過させて、外気を流通させる。外気換気層4に流通される外気は、夏期の暑いときに、屋根プレート20を下面から強制的に冷却する。この構造の建物は、単に屋根プレート20の下面を断熱する従来の建物に比較すると、実質的な断熱特性を著しく向上できる。また、屋根プレート20を外気で強制冷却するので、屋根プレート20の温度を速やかに低下できる特長もある。
【0019】
外気換気層4に自然に外気が換気されるのは、自然対流の作用と風の作用による。上り勾配の屋根は、傾斜面に太陽光線が強く当たる。たとえば、南斜面の屋根は、太陽光線がより強く当たる。太陽光線が強く当たる屋根プレート20は、高温に加熱される。加熱された屋根プレート20は、その下方の外気換気層4の空気を加温して軽くする。軽くなった空気は、外気換気層4の内部を上昇する。このため、より効率よく暖められる外気換気層4の空気は、ここを勢いよく上昇して、屋根の上部から建物外に排出される。すなわち、外気換気層4の空気は、下方から上方に自然に対流しながら流通されて、屋根プレート20を下面から冷却する。屋根が、南斜面に向かなくても、たとえば、屋根が東斜面や西斜面となっても、午前と午後において、屋根に太陽光線が強く照射されて、同じように対流作用が発生する。太陽光線に加熱される屋根プレート20は、夏の暑いときほど外気換気層4に多量の空気を換気して、効率よく強制冷却する。それは、屋根プレート20が加熱されるほど、外気換気層4の対流が甚だしくなるからである。このため、暑い夏ほど屋根プレート20を効率よく冷却できる。
【0020】
さらに、外気換気層4には、自然対流の作用のみでなく、風によっても強制的に送風されることがある。それは、一方の外気換気口27に風が強く吹き付けられると、この風が外気換気口27から外気換気層4に案内されて、内部を通過するからである。好都合なことに、日本では夏期の暑いときに主として南風が吹く。南風は、南斜面の下方に開口された外気換気口27に吹き付けられて、外気換気層4の空気を下方から上方へ強制的に送風する。この状態になると、太陽光線による温度差と、風との相乗作用で、外気換気層4により効果的に外気が送風される。
【0021】
このように、外気換気層4に自然に外気が換気される建物は、外気換気層に必ずしも外気を強制送風する必要はない。このため、ランニングコストを皆無にしながら理想的に建物を冷却できる。ただ、本発明の建物は、外気換気層に強制送風して屋根プレートを冷却することもできる。この建物は、外気換気層に強制的に外気を送風し、あるいは外気換気層から強制的に排気するファンを外気換気口に設けて、外気換気層をより効果的に換気できる。
【0022】
図1に示す建物は、屋根の外気換気層4の下端部と上端部に外気換気口27を設けている。外気換気層4の下端部に設けられる外気換気口27は、雨水が侵入しないように軒下に開口している。外気換気層4の上端部に設けられる外気換気口27は、建物の背面に開口している。この外気換気口27は、雨水が浸入しないように、雨よけカバー51でカバーしている。図に示す雨よけカバー51は、外気換気口27をカバーして雨水の浸入を阻止するプレートである。図の雨よけプレート51は、屋根の上面から背面に延長して設けており、外気換気口27からの空気を通過できるが雨水が浸入しないように下方を開口する状態で配設している。ただ、外気換気層の上端部に設けられる外気換気口は、必ずしも建物の背面に開口する必要はなく、たとえば、図4に示すように、建物の背面側にも軒を設けて、この軒下に外気換気口を開口することもできる。
【0023】
外気換気口27は、図1と図4に示すように、屋根の端縁に沿って開口することができるが、図5ないし図7に示すように、外気換気層4の端部を連結ダクト52で連結して、この連結ダクト52を介して建物の側面で建物外に開口することもできる。これらの図に示す連結ダクト52は、屋根の端縁に沿って延長しており、両端部を建物外に開口して外気換気口27としている。図に示す外気換気口27は、建物の側面に開口しており、雨よけカバー51でカバーして雨水が浸入しないようにしている。この構造の外気換気口27は、図2に示す屋根の下端部に配設して、外気換気層4に空気を流通させることができる。
【0024】
さらに、図1ないし図3の建物は、屋根と壁の両方に区画壁3を設けて、屋根と壁に外気換気層4を設けている。屋根と壁の区画壁3は、屋根と壁の境界で互いに連結している。壁の外気換気層4は、上端部と下端部を建物外に開口して、壁の外気換気層4にも外気を自然に換気できる構造としている。壁の外気換気層4の下端部は、外気換気口27として建物外に開口している。壁の外気換気層4の上端部は、屋根の外気換気層4の端部に連結している。したがって、壁の外気換気層4の上端部は、屋根の外気換気層4の外気換気口27を介して建物外に開口される。
【0025】
図1と図2に示す建物は、南側に位置する壁の外気換気層4の下端から流入して、この外気換気層4で暖められて上昇する空気と、南側に位置する軒下に設けられた外気換気口27から流入する空気とが、南斜面の屋根の外気換気層4に流入する。南斜面の屋根の外気換気層4を対流する空気と、北側に位置する壁の外気換気層4の下端から流入して上昇する空気とが、屋根の上端部に設けられた外気換気口27から建物外に排出される。図3に示す建物も、南側に位置する壁の外気換気層4の下端から流入して、この外気換気層4で暖められて上昇する空気と、南側に位置する軒下に設けられた外気換気口27から流入する空気とが、水平な屋根の外気換気層4に流入する。屋根の外気換気層4を対流する空気と、北側に位置する壁の外気換気層4の下端から流入して上昇する空気とが、北側に位置する軒下に設けられた外気換気口27から建物外に排出される。
【0026】
さらに、本発明の建物は、図5に示すように、壁に外気換気層4を設けて、建物の南側に位置する壁と屋根の外気換気層4を外部に開口することなく連通することができる。壁の外気換気層4の下部は、外気換気口27として建物外に開口される。建物の北側に位置する壁と屋根の外気換気層4を屋根の上端部に設けた外気換気口27で建物外に開口する。この構造の建物は、よりスムーズに外気換気層4の外気を循環できる。それは、南側の壁と屋根とが太陽光線で強く加温されて、外気換気層4の空気を暖かく軽くし、壁から屋根の外気換気層4に勢いよく対流されて、屋根の外気換気層4の空気を上端部の外気換気口27から押し出すからである。
【0027】
さらに、陸屋根を備える建物は、図8と図9に示す構造とすることもできる。この建物は、屋根の周囲に設けられた周壁53の内部にも外気換気層4を設けている。周壁53に設けられた外気換気層4は、屋根の外気換気層4に連通している。周壁53は、内周面に外気換気口27を開口している。さらに、図に示す建物は、壁に外気換気層4を設けて、壁の外気換気層4を屋根の外気換気層4に連通している。壁の外気換気層4の下部は、外気換気口27として建物外に開口される。この構造の建物は、たとえば、南側の周壁53に設けた外気換気口27を閉塞して北側の周壁53に設けた外気換気口27を開口すると、図8の矢印で示すように、南側の壁が太陽光線で強く加温されて、この壁の外気換気層4の空気が暖かく軽くなって、壁から屋根の外気換気層4に勢いよく対流される。屋根の外気換気層4を対流する空気と、建物の北側に位置する壁の外気換気層4の下端から流入して上昇する空気とが、北側に位置する周壁53に設けられた外気換気口27から建物外に排出される。さらに、図の鎖線で示すように、北側の周壁53の外気換気口27に強制換気機構54を設けてここから排気すると、より効果的に屋根を冷却できる。
【0028】
さらに、この構造の建物は、南側の周壁53に設けた外気換気口27を開口して北側の周壁53に設けた外気換気口27を閉塞すると、図9の矢印で示すように空気が循環する。この図に示すように、南側の壁が太陽光線で強く加温されて、この壁の外気換気層4の空気が暖かく軽くなって上昇し、南側の周壁53に開口された外気換気口27から建物外に排出される。このとき、壁から周壁53へと対流する空気流によって、屋根の外気換気層4の空気が南側の周壁53へと吸い込まれて流動する。空気は、流速が速くなると圧力が低下する性質があるからである。建物の北側に位置する周壁53に設けられた外気換気口27から流入する空気と、北側に位置する壁の外気換気層4の下端から流入して上昇する空気は、屋根の外気換気口27を対流して、南側に位置する周壁53に設けられた外気換気口27から建物外に排出される。さらに、図の鎖線で示すように、南側の周壁53の外気換気口27に強制換気機構54を設けてここから排気すると、より効果的に屋根を冷却できる。
【0029】
さらに、本発明の建物は、図4に示すように、屋根の外気換気層4を複数の層に区画することもできる。この図に示す建物は、屋根に設けた外気換気層4を中間プレート46でもって、上下に2層に区画している。この中間プレート46は、屋根と壁との境界部分において外壁1に連結している。上下に区画された外気換気層4は、上側の外気換気層4を屋根の両側において建物外に開口すると共に、下側の外気換気層4を壁の外気換気層4に連結して、壁の外気換気層4の下端部において建物外に開口している。上側の外気換気層4は、屋根の上下端部において外気換気口27を設けており、この外気換気口27を軒下に開口している。下側の外気換気層4は、壁の外気換気層4の下端部に設けた外気換気口27でもって建物外に開口している。この構造の建物は、屋根の一方の外気換気口27から流入される外気を、上側の外気換気層4に換気させて、反対側の外気換気口27から排気している。さらに、一方の壁の下端部の外気換気口27から流入される外気を壁の外気換気層4に通過させ、屋根に設けた下側の外気換気層4に換気させた後、反対側の壁の外気換気層4を通過させて排気している。すなわち、この構造の建物は、上下2層からなる屋根の外気換気層4に、独立して外気を換気する。したがって、屋根を強制的に冷却しながら、屋根と室内とを2層の空気層でもってより理想的に断熱できる特長がある。ただ、中間プレートは、必ずしも両側の下端部を外壁に連結する必要はなく、どちらか一方のみを外壁に連結することもできる。さらに、中間プレートは、下端部を外壁に連結することなく上下2層の外気換気層を屋根の外気換気口と壁の外気換気層に連結して換気することもできる。
【0030】
以上のように、屋根の外気換気層4に外気を換気させる建物は、夏期の暑いときに屋根を強制冷却して室内温度が上昇するのを有効に防止して快適にできる特長がある。さらに、本発明の建物は、冬の寒い時期には、屋根の外気換気層4に外気を換気することなく、すなわち外気の換気を停止して室内を外気換気層4で断熱することもできる。この構造の建物は、図1ないし図9に示すように、外気換気口27に通気調整機構41を設けて実現できる。通気調整機構41は、外気換気口27を通過する空気を遮断し、あるいは通過する空気の量を調整できる全ての機構が採用できる。通気調整機構41には、たとえば、開閉できる扉や蓋、あるいは、強制的に送風する強制換気機構等が使用できる。強制換気機構は、送風を停止することによって外気換気口を通過する空気を遮断できる。
【0031】
通気調整機構41の一例を図10に示す。この図に示す通気調整機構41は、換気開口48Aを開口している固定板48と平行に、貫通孔47Aを開口している開閉板47を往復運動できるように配置している。この開閉板47は、開閉機構49に往復運動されて換気開口48Aを開閉する。開閉機構49は、開閉板47の貫通孔47Aを換気開口48Aの上方に移動させて換気開口48Aを開口し、開閉板47の貫通孔47Aを換気開口48Aの間に位置させて換気開口48Aを閉塞する。したがって、開閉板47の貫通孔47Aと、固定板48の換気開口48Aは、互いに対向する位置に開口している。
【0032】
図に示す通気調整機構41は、往復運動される開閉板47を、開ストッパ55を介して開位置に、閉ストッパ56を介して閉位置に停止するようにしている。開ストッパ55は、開閉板47の貫通孔47Aが換気開口48Aを全開する位置で開閉板47を停止するように設けている。閉ストッパ56は、開閉板47が換気開口48Aを閉塞する位置で開閉板47を停止するように設けている。図10に示す通気調整機構41は、開閉板47を往復運動させるガイド孔57の近傍に位置して開閉板47から突出する開ストッパ55を設けると共に、開閉板47の先端の前方に位置して固定板48から突出する閉ストッパ56を設けている。これらの開ストッパ55及び閉ストッパ56は、凸条や凸部とすることができる。この開閉板47は、矢印Aで示す方向に移動する状態で、開ストッパ55がガイド孔57の開口縁部に当接して停止されて貫通孔47Aが換気開口48Aを全開する。また、開閉板47は、矢印Bで示す方向に移動する状態で、先端が閉ストッパ56に当接して停止されて換気開口48Aを閉塞する。さらに、開閉板47は、開ストッパ55または閉ストッパ56に当接しない中間位置においては、貫通孔47Aが換気開口48Aの開度を調整する状態で開口する。
【0033】
さらに、開ストッパ55と閉ストッパ56は、図11に示すように、開閉板47と固定板48とに設けてなるスリット58と摺動凸部59で構成することもできる。この図の通気調整機構41は、開閉板47の往復方向に延長されたスリット58を開閉板47に開口すると共に、このスリット58内を摺動する摺動凸部59を固定板48から突出して設けている。この通気調整機構41は、開閉板47が開位置にあるとき摺動凸部59がスリット58の開ストッパ55に当接して停止し、開閉板47が閉位置にあるとき摺動凸部59がスリット58の閉ストッパ56に当接して停止する。さらに、摺動凸部59がスリット58の開ストッパ55と閉ストッパ56の中間にある状態では、開閉板47の貫通孔47Aが換気開口48Aの開度を調整する状態で開口する。
【0034】
開閉板47と固定板48は、たとえば、図11に示すように、円形の貫通孔47Aと換気開口48Aを開口することができる。ただ、開閉板と固定板は、スリット状の貫通孔と換気開口を開口することもできる。スリット状の貫通孔と換気開口を有する開閉板と固定板は、スリットの縦方向に直交する横方向に相対的に往復運動させて換気開口を開閉する。開閉機構49は、開閉板47を往復できるシリンダー等が使用できる。ただ、通気調整機構は、開閉機構を設けることなく、手動で開閉することもできる。
【0035】
さらに、通気調整機構は、図示しないが、ルーバーとして外気換気口を開閉することもできる。ルーバーである通気調整機構は、細長い平行プレートを平行に配置すると共に、これらを連動して傾動できるように連結して実現できる。この通気調整機構は、平行プレートを開閉機構あるいは手動で傾動させて換気開口を開閉する。この通気調整機構は、外気換気口のほぼ全面を開くことができるので、外気換気層に効率よく換気できる。
【0036】
図1ないし図9に示す建物は、建物の両側に位置する外気換気口27に通気調整機構41を設けている。ただ、通気調整機構は、建物の片側にのみ設けることもできる。両側に位置する外気換気口27に通気調整機構41を備える建物は、全ての通気調整機構41を遮断することによって、外気換気層4への外気の侵入を完全に遮断できる。ただ、これらの建物は、必ずしも全ての通気調整機構41を閉じることなく、季節や天候に応じて一部の通気調整機構41を開くこともできる。たとえば、図の建物は、軒下の通気調整機構41を遮断して壁の下端部の通気調整機構41を開放し、あるいは反対に、壁の下端部の通気調整機構41を遮断して軒下の通気調整機構41を開放することができる。さらに、冬期の寒い日には、建物の北側に位置する壁と屋根の外気換気口27の通気調整機構41を遮断することによって、冷たい北風が侵入するのを有効に阻止できる。
【0037】
このように、外気換気口27に通気調整機構41を備える建物は、通気調整機構41を開いて外気換気層4に外気を換気し、通気調整機構41を遮断して外気換気層4の換気4を阻止する。さらに、通気調整機構41は、開度を調整することにより、外気換気口27を通過する外気の量を調整することもできる。したがって、この構造の建物は、通気調整機構41の開閉や開度を制御することによって、より快適な室内環境が実現できる。
【0038】
さらに、図1、図4、図5に示す建物は、建物の屋外側に位置する外壁1と建物の室内側に位置する室内パネル2との間に区画壁3を設けて、壁の内部を計画通気層5と外気換気層4に区画している。これらの図の建物は、外壁1と区画壁3との間に外気換気層4を設けて、区画壁3と室内パネル2との間に計画通気層5を設けている。さらに、これらの図に示す建物は、屋根と壁の区画壁3を連結して、屋根と壁の計画通気層5を連結している。屋根や壁に計画通気層5を設けている建物は、壁内換気を理想的な状態にコントロールできる。ただ、本発明の建物は、壁内に必ずしも区画壁を設けて、壁の内部を外気換気層と計画通気層とに区画する必要はない。本発明の建物は、図2、図3、図8に示すように、壁内に計画通気層を設けることなく外気換気層4のみを設けて、壁と屋根の外気換気層4に外気を流通させることもできる。さらに、本発明の建物は、図12に示すように、屋根にのみ外気換気層4を設けて、この外気換気層4に外気を流通させることもできる。この図に示す建物は、壁の内部に計画通気層5を設けているが、計画通気層5は必ずしも設ける必要はない。
【0039】
図1、図4、図5に示すように、壁の内部を計画通気層5と外気換気層4とに区画している建物は、換気穴7で室内を壁の計画通気層5に連結して、計画通気層5の空気を室内に供給する。さらに、これらの図に示す建物は、室内の空気を外気換気層4または建物外に排気する排気ダクト8を備えている。図1の建物は、室内の空気を外気換気層4に排気する壁内排気ダクト8Aを備えている。図5の建物は、室内の空気を建物外に排気する屋外排気ダクト8Bを備えている。さらに、図4の建物は、室内の空気を外気換気層4に排気する壁内排気ダクト8Aと、室内の空気を建物外に排気する屋外排気ダクト8Bとを備えている。壁内排気ダクト8Aは、室内の空気を外気換気層4に排気し、屋外排気ダクト8Bは、室内の空気を建物外に換気する。図1と図5の建物は、壁内排気ダクト8Aと屋外排気ダクト8Bのいずれか一方を設けているが、建物は、建物内に設けている複数の室内のいずれかには壁内排気ダクトを設けて、他の室内に屋外排気ダクトを設けることもできる。また、室内によっては壁内排気ダクトと屋外排気ダクトの両方を設けることもできる。
【0040】
壁内排気ダクト8Aと屋外排気ダクト8Bは、図示しないが、空気の排気状態をコントロールできる開閉弁等の機構を内蔵して、室内空気の排気量を制御することができる。さらに、これらの図に示す建物は、壁内排気ダクト8Aと屋外排気ダクト8Bに、室内空気を強制的に排気する強制換気機構9を備える。強制換気機構9は、モーターで回転されるファンである。この強制換気機構9は、ファンの回転数を制御して、室内空気の 排気量をコントロールできる。このように、排気ダクト8に強制換気機構9を設けて室内の空気を強制的に外部へ排出すると室内の気圧はマイナスとなるが、計画通気層5の空気が換気穴7と幅木材50を通過して室内に流入されるので、室内の気圧のバランスが保てる。したがって、ドアの下部等の通気口は不要となり、効率よく暖房できると共に、美しいデザインに仕上げることができる。ただし、壁内排気ダクトと屋外排気ダクトは、図示しないが、強制換気機構を設けることなく、自然に室内空気を排気する構造とすることもできる。壁内排気ダクトと屋外排気ダクトは、室内と外気換気層または建物外とをダクトで連結することにより、自然に室内空気を排気することができる。
【0041】
室内パネル2を貫通する換気穴7は室内側に開口される。さらに、換気穴7の室内側開口部を隠ぺいするが閉塞しないように、室内パネル2に幅木材50を固定している。図の建物は、幅木材50として、壁と床との境界に幅木50Aを固定し、壁と天井との境界に天井回り縁50Bを固定している。さらに図示しないが、幅木材50として、額なげしを固定して換気穴の室内側開口部を隠ぺいすることもできる。建物は、幅木50A、天井回り縁50B、額なげしを固定する位置が決まっている。このため、建物は、これ等の幅木材50を固定する位置に換気穴7を開口して、幅木材50で換気穴7の開口部を隠ぺいする。
【0042】
計画通気層5の空気は、麦飯石、珪藻土、活性炭等の濾過材40を通過し、さらに室内パネル2の換気穴7と幅木材50とを通過して、室内に供給される。濾過材40は、室内パネル2の換気穴7に配置され、あるいは、換気穴7の近傍であって計画通気層5に配置される。濾過材40は、交換できるように、換気穴7や計画通気層5に配置される。濾過材40を交換するために、幅木材50は脱着できるように室内パネル2に固定される。幅木材50を外して、換気穴7の室内側の開口部を開き、換気穴7や計画通気層5に配置している濾過材40を交換する。この建物は、濾過材40で臭い等を除去した清澄な空気を室内に供給できる。
【0043】
さらに、図1、図4、図5および図12に示す建物は、床構造として、室内側の床板23と床下側に設けているプラットホーム24との間に隙間を設けて計画通気層5を設けている。壁の計画通気層5と床の計画通気層5とは互いに連通している。
【0044】
さらに、図1、図4、図5および図12に示す建物は、屋根の内部に外気換気層4の下層として、計画通気層5である天井裏ダクト26を設けている。屋根の計画通気層5である天井裏ダクト26は、建物の壁に設けている計画通気層5に連結している。壁と床に設けている計画通気層5と、屋根裏に設けている屋根の計画通気層5である天井裏ダクト26とは、互いに連結されて空気を循環できる状態としている。さらに、図1、図5、図12の建物は、屋根の計画通気層5である天井裏ダクト26を、区画壁3に設けている屋根換気口25を介して屋根の外気換気層4に連結している。屋根換気口25は、温度を検出して開閉され、あるいは手動で開閉されるシャッター38や強制換気機構39を設けることができる。この建物は、寒いとき、屋根換気口25のシャッター38を開き、あるいは強制換気機構39を運転して、屋根の外気換気層4で加温された暖かい空気を計画通気層5である天井裏ダクト26に流入させる。天井裏ダクト26の暖かい空気は、換気穴7から室内に供給される。とくに、これらの建物は、通気調整機構41を遮断した状態で、屋根換気口25のシャッター38を開き、あるいは強制換気機構39を運転して、屋根の外気換気層4で加温された暖かい空気を計画通気層5である天井裏ダクト26に流入させて、この暖かい空気を換気穴7から室内に供給することができる。このように、外気換気層4への外気の侵入を遮断した状態で、室内に空気を換気することにより、屋根の外気換気層4で加温された空気を室内に循環させて暖房効果を促進できる。
【0045】
壁内排気ダクト8Aは、図1と図4の矢印で示すように、室内の空気を外気換気層4に排気する。壁内排気ダクト8Aから室内の空気が供給される外気換気層4の空気温度は、室内の空気温度と外気温度との間の温度となる。たとえば、冬期の寒いとき、外気換気層4に暖かい室内空気が排気されるので、外気換気層4の空気温度は外気温度よりも高くなる。外気換気層4に排気される室内空気は、室内で加湿されて外気よりも絶対湿度が高くなっていることがあるので温度が下がると結露しやすい性質がある。しかしながら、室内空気を外気換気層4に排気して、外気換気層4の空気温度が高くなると、区画壁3の両面の温度差が少なくなり、排気された空気が区画壁3で温度が下がることは少なく、区画壁3に結露することはない。さらに外気換気層4は建物外に連結して換気しているので、このことによっても区画壁3の内面の結露を防止できる。外気が換気されることにより、外気換気層4の空気の絶対湿度が低くなるからである。また、外気換気層4に排気された室内の空気は、外壁1の内面で冷やされるが、ここに換気しているために結露することはなく、また仮に結露しても、外気が換気されて速やかに乾燥される。
【0046】
屋外排気ダクト8Bは、図4と図5の矢印で示すように、室内の空気を建物外に排気する。外気換気層4には室内空気を供給せず、建物外に連結されて外気を換気しているので、外気換気層4の内部に結露することはない。また、区画壁3内面にも結露することはない。外気換気層4に室内空気を供給しないからである。
【0047】
室内の空気を外気換気層4あるいは屋外へ排気すると、室内が閉鎖される状態では室内の圧力が低下して、計画通気層5の空気が換気穴7と幅木材50を通過して室内に流入される。計画通気層5の空気は、寒い冬期にあっては外気温度よりも暖かく、暑い夏期にあっては外気よりも涼しい。このため、計画通気層5の空気を室内に流入することにより、冬期にあっては室内が寒くなることがなく、また夏期にあっては暑くなることがなく、冷暖房の効率を高くできる。
【0048】
壁内排気ダクト8Aが室内空気を外気換気層4に排気し、あるいは屋外排気ダクト8Bが室内空気を建物外に排気すると、建物の空気は以下のように流れて室内に換気される。
(1) 壁内排気ダクト8Aや屋外排気ダクト8Bから室内空気が排気されて室内が負圧になると、換気穴7と幅木材50を通過して、計画通気層5の空気が室内に吸入される。区画壁3の室内側を天然木材とする建物は、計画通気層5の空気に、天然木材から放出される抗酸化物質等を添加する。とくに、天然木材に松等の針葉樹を使用する建物は、計画通気層5により多くの抗酸化物質を放出する。計画通気層5の空気に含まれる抗酸化物質は、換気穴7と幅木材50を通過して空気と一緒に室内に供給される。
【0049】
(2) 計画通気層5の空気が室内に吸入されると、計画通気層5は負圧になって、ここに空気が吸入される。この空気は、屋根換気口25を通過して屋根の外気換気層4から屋根の計画通気層である天井裏ダクト26に吸入され、あるいは床のプラットホーム24を通過して計画通気層5に吸入される。屋根換気口25は、冬期の寒い季節に屋根で暖められた空気を計画通気層5に供給する。床のプラットホーム24は、夏の暑いときにすずしい床下の空気を隙間を通過させて計画通気層5に供給する。また、屋根換気口25のない建物は、区画壁3の微細な空隙を透過して外気換気層4から計画通気層5に空気が吸入される。とくに、天然木材を並べて固定している区画壁3は、天然木材の間に隙間ができるので、この隙間を通過して外気換気層4から計画通気層5に空気が流入される。
【0050】
(3) 室内から外気換気層4に排気された空気は、外気が換気される外気換気層4で建物の外部に換気される。また、室内の空気を屋外排気ダクト8Bで建物外に排気する建物は、外気換気層4に外気が換気される。
【0051】
以上の建物は、壁内排気ダクト8Aや屋外排気ダクト8Bの強制換気機構9が室内の空気を強制的に外気換気層4や建物外に排気し、あるいは屋根換気口25に強制換気機構39を設けて、この強制換気機構39で強制的に空気を計画通気層5に供給して循環させることができる。また、壁内排気ダクト8Aの開口部を外気換気層4に開口し、さらに屋外排気ダクト8Bを建物外に開口して、自然に室内空気を吸い出すようにすることもできる。たとえば、壁内排気ダクト8Aの一端を外気換気層4に開口して、外気換気層4を対流する空気流で壁内排気ダクト8Aの空気を吸い出すことができる。空気は流速が速くなると圧力が低下する性質があるので、外気換気層4で対流して空気が流動すると、壁内排気ダクト8Aの開口部の圧力が低下して吸い出されるからである。
【0052】
以上の構造の建物の壁と床と屋根の詳細な構造を以下に詳述する。
図13の水平断面図と、図14の一部を除去した斜視図と、図15の垂直断面図は、建物の壁構造を示す。これらの図の壁構造は、建物の屋外側に位置する外壁1と、建物の室内側に位置する室内パネル2との間に区画壁3を配設して、区画壁3の両面に外気換気層4と計画通気層5とを設けている。外気換気層4は、外壁1と区画壁3との間に設けられ、計画通気層5は、区画壁3と室内パネル2との間に設けている。
【0053】
図の壁構造は、柱14の室内側に室内パネル2を固定して、屋外側に区画壁3を固定して、室内パネル2と区画壁3の間に計画通気層5を設けている。この壁構造は、柱14の両面に室内パネル2と区画壁3を固定しているので、柱14の太さが計画通気層5の幅となる。ただ、柱14の間には、筋かい15や室内パネル2を固定するための下地材等が設けられるので、筋かい等で計画通気層5の実質的な幅は狭くなる。計画通気層5は、室内の空気を循環させる。したがって、計画通気層5に設けられる筋かい等は、計画通気層5の空気の循環を阻止しないように柱14の間に固定される。図の壁構造は、筋かい15の幅を計画通気層5の幅よりも狭くして、計画通気層5の空気を上下に循環できるようにしている。
【0054】
図の壁構造は、表面にクロスを張った石膏ボードや天然板を室内パネル2としているが、室内パネル2には土壁や塗り壁等の真壁も使用できる。石膏ボードや天然板は、図13の断面図に示すように、柱14の室内側に固定されるが、真壁2Aは、図16の水平断面図に示すように、柱14の間に設けられる。室内パネルを真壁2Aとする壁構造は、柱14に固定される区画壁3との間に計画通気層5を設けている。計画通気層5には、ここの空気を上下に換気できるように、計画通気層5よりも幅の狭い筋かい15を固定している。ただ、筋かいは、上下に貫通して空気孔を設けて、計画通気層の空気を上下に換気できる構造とすることもできる。
【0055】
区画壁3は、空気中の湿度で伸縮する天然木材3Aを、換気隙間17ができるように並べて固定している。天然木材3Aは、厚さを30mm、幅を135mmとする。ただし、天然木材3Aは、厚さを20〜50mm、幅を50〜200mmとすることもできる。天然木材3Aを厚くすると、壁の断熱性と防音性が向上する。ただ、天然木材3Aを厚くすると施工コストが高くなるので、施工コストと断熱特性の両方を考慮して最適値とする。天然木材3Aには、スギ、マツ、モミ等の針葉樹が適している。とくに、スギは、低コストで優れた断熱特性を有する特長がある。また、湿度の変化で速やかに伸縮する特長もある。ただし、天然木材には、ヒノキ、キリ等も使用できる。マツとヒノキは優れた防音特性と吸湿性を有し、キリは優れた断熱特性を有する。
【0056】
板状の天然木材3Aは、図15に示すように、水平方向に延長して水平に柱14に固定される。また、筋かい15に直接釘打ちして体力壁の強度を増すことができる。天然木材3Aは、空気中の湿度で伸縮して、空気中の湿度が低くなると収縮し、空気中の湿度が高くなると膨張する。したがって、天然木材3Aの間に設けている換気隙間17は、湿度が低くなると広くなって空気を通過しやすくし、湿度が高くなると換気隙間17を狭くして空気を通過し難くする。区画壁3の天然木材3Aの間に設けている換気隙間17は、湿度で自動的にその間隔が制御される。湿度が高いときに換気隙間17が狭くなるので、外気換気層4と計画通気層5との空気の流通は遮断され、あるいは少なくなる。湿度が低くなると、換気隙間17が広くなって、外気換気層4と計画通気層5との空気は流通しやすくなる。すなわち、計画通気層5と外気換気層4との間で空気が流通するようになる。
【0057】
図15は、区画壁3を上下に切断した断面図である。この区画壁3は、天然木材3Aの上面に連結凸条31を設けて、下面には連結凸条31を案内する連結溝32を設けている。この区画壁3は、天然木材3Aの連結凸条31を隣の天然木材3Aの連結溝32に案内して隣接する天然木材3Aを連結している。さらに、この区画壁3は、天然木材3Aの収縮で換気隙間17を調整するために、連結凸条31を先端に向かって幅を次第に狭くして、連結溝32を開口部に向かって幅が広くなるようにしている。この天然木材3Aは、膨張して互いに接近すると換気隙間17が狭くなる。反対に天然木材3Aが収縮して互いに離れると換気隙間17が広くなる。ただ、天然木材3Aは、図17の断面図に示すように横断面が長方形となるように加工して、柱14に固定して換気隙間17を設けることもできる。
【0058】
天然木材3Aは、湿度が高いとき、たとえば湿度が80%になると換気隙間17が閉鎖されるように柱14に固定される。したがって、天然木材3Aは、柱14に固定するときの湿度で、換気隙間17の大きさを調整する。湿度が80%以上のときは、隣の天然木材3Aとの間に隙間ができないように柱14に固定する。湿度が低いときは、湿度によって換気隙間17の幅を調整して柱14に固定する。天然木材3Aの換気隙間17を調整して固定するときはスペーサーを使用する。スペーサーは、天然木材3Aの間に挟まれてシックネスゲージとして使用される。天然木材3Aを固定した後、スペーサーは除去される。
【0059】
図に示す区画壁3は、その外壁1側の表面に防水シート21を張設している。防水シート21は、区画壁3と外壁1との間の外気換気層4に配設されて、区画壁3に水が通過するのを阻止する。したがって、防水シート21は、水の通過を制限して空気を通過させるプラスチックシートである。防水シート21は、好ましくは水の通過を阻止して、空気のみを通過させるものが最適である。防水シート21のある区画壁3は、外気換気層4に水が浸入しても、この水が計画通気層5に通過するのを阻止できる特長がある。ただし、区画壁3には、必ずしも防水シート21を張設する必要はない。とくに、図15に示す区画壁3のように連結凸条31を連結溝32に入れて連結する構造は、区画壁3を水がほとんど通過しないので、防水シートを張設することなく、水の透過を満足できる程度に阻止することができる。
【0060】
さらに、以上の区画壁3は、空気中の湿度で伸縮する天然木材3Aを、換気隙間17ができるように並べて固定しているが、この発明は区画壁3を天然木材に特定しない。区画壁3には、天然木材以外の木材を、湿度が高いときに隙間ができるように固定し、あるいは湿度が高くても隙間ができないように固定して使用することができる。また、区画壁3には構造用合板を使用することもできる。構造用合板には、好ましくは、有害物質を含まないものを使用する。さらにまた、区画壁3には木材以外の石膏ボードやMDFなど、全ての板材を使用することができる。
【0061】
さらに、壁構造は、区画壁3から離して外壁1を固定して、区画壁3と外壁1との間に外気換気層4を設けている。図の壁構造は、区画壁3に胴縁11を固定し、この胴縁11に外壁1を固定して、外気換気層4を設けている。胴縁11は、断熱材10を外気換気層4に配設している。断熱材10は、合成樹脂を独立気泡を有するように板状に発泡成形したものである。ただ、断熱材には、合成樹脂の発泡体以外の断熱材も使用できるのは言うまでもない。胴縁11は、断熱材10の境界に配設されて、外気換気層4の定位置に断熱材10を固定している。胴縁11は、断熱材10を固定する保持凸条12を両側に突出して設けており、この保持凸条12で断熱材10を固定している。図13の胴縁11は、断熱材10を外壁1側に配設しているが、図において胴縁11の上下を反対にして、断熱材10を区画壁3側に固定することもできる。
【0062】
胴縁11は、区画壁3の外側に垂直に固定される。図に示す区画壁3は、天然木材3Aを水平に固定しているので、胴縁11を天然木材3Aと直交して固定している。垂直の胴縁11は、断熱材10との間に換気ダクトを設ける縦溝13を設けている。この縦溝13は、断熱材10を胴縁11に密着させる状態で、外気換気層4の空気を煙突のように効率よく自然対流できる。とくに、夏期の暑いときに、縦溝13の換気ダクトで効率よく空気を対流させて、胴縁11と外気換気層4を涼しくできる特長がある。図の胴縁11は、断熱材10との間と、区画壁3との間と外壁1との間に縦溝13を設けている。胴縁11は、釘止して、あるいは接着して区画壁3に固定される。胴縁11の縦溝13は、上下の両端を外気換気層4に連通させる。
【0063】
図の外壁1は、胴縁11に固定された下地サイディング1Bとこの下地サイディング1Bの表面に固定しているタイル等の外壁材1Aである。外壁1に板状のものを使用する場合、下地サイディング等を使用することなく、胴縁11に直接外壁1を固定することができる。
【0064】
図18と図19は床構造を示す。この図の床構造は、根太や大引き等の下地材16の上にプラットホーム24を固定し、プラットホーム24の上に床板23を固定して、プラットホーム24と床板23との間に計画通気層5を設けている。プラットホーム24は、前述の壁構造の区画壁と同じ構造の天然木材24Aを同じように固定している。プラットホーム24は、天然木材24Aを、湿度で自動調整される換気隙間30ができるように下地材16に固定している。この構造のプラットホーム24は、床下の湿度が低くなると換気隙間30が広くなって床下の空気を通過しやすくし、湿度が高くなると換気隙間30を狭くして空気を通過し難くする。このため、プラットホーム24と床板23との間に形成される計画通気層5の湿度が高くなるのを防止して、計画通気層5の内部やプラットホーム内面に結露するのを有効に防止できる。ただ、プラットホームは、コンパネ等の合板とすることもできる。さらに、プラットホームは、合板の上に、前述の壁構造の区画壁と同じ構造の天然木材を同じように固定することもできる。天然木材24Aのプラットホーム24は、その下面に、壁構造と同じ防水シートを張設することもできる。防水シートは、床下の水分がプラットホームを濡らすのを防止する。ただ、床下には雨水が侵入することが少ないので、防水シートは必ずしも張設する必要はないのは言うまでもない。
【0065】
さらに、プラットホーム24の上には、胴縁11を介して床板23を固定している。床板23とプラットホーム24との間に計画通気層5を設けて、ここに断熱材10を配設している。断熱材10は、壁構造と同じ胴縁11でもって、計画通気層5に配置される。図の胴縁11は、保持凸条12をプラットホーム24に固定している。この胴縁11は、断熱材10を床板23の下面に密着して固定できる。床は、プラットホーム24が充分な強度を有する場合、根太を省略して大引きにプラットホーム24を固定することができる。
【0066】
図18と図19の床構造は、床板23の下に床暖房シート34を敷設して床暖房できる。さらに、床構造は、図20に示すように、胴縁11を図18の姿勢とは上下反転してプラットホーム24と床板23の間に固定することもできる。この床構造は、断熱材10をプラットホーム24に密着するように固定する。胴縁11は、保持凸条12を床板23の下面に固定して、断熱材10をプラットホーム24に密着している。この床構造は、図21に示すように、床板23の下で断熱材10の上に暖房パネル35を配置して床板23を加温できる。暖房パネル35は、胴縁11の間にできる計画通気層5の全面に配置し、あるいは計画通気層5の一部に配置する。胴縁11は、図20に示すように、上面に横溝36を設けて、両側の計画通気層5を連結している。この構造は、暖房パネル35で加熱された空気を、横溝36に通過させて隣の計画通気層5に流入させる。このため、床板23の全面を均一に加熱できる。とくに、計画通気層5の一部に暖房パネル35を配置して、床板23の全面を均一に加温できる。
【0067】
二階の床は、図18や図22に示すように、振動吸収するゴム状弾性シート37を、胴縁11とプラットホーム24の間に固定する。この床構造は、床板23の振動をゴム状弾性シート37で吸収する。このため、二階の騒音が下の部屋に伝わるのを遮断できる。断熱材10に使用される合成樹脂発泡体や無機繊維の集合体は、音を吸収する性質がある。このため、二階の騒音が下の部屋に伝わるのを、ゴム状弾性シート37と断熱材10の両方で有効に遮断できる。とくに、図22に示すように、胴縁11とプラットホーム24との間にゴム状弾性シート37を配置すると共に、胴縁11で2層に断熱材10を固定する床構造は、もっとも効率よく騒音を遮断できる。図に示すように、胴縁11の下面にだけゴム状弾性シート37を配設する構造は、床全体にゴム状弾性シートをひく一般的な構造に比べて、コストを飛躍的に削減しながら騒音を遮断できる。
【0068】
さらに、図3の建物は、一階の天井と二階の床との間にも、中間通気層29を設けて、ここに外気を換気する構造としている。この構造は、中間通気層29を通過する空気によって、一階の天井と二階の床とを効率よく冷却できる。さらに、この中間通気層29に通気することによって、二階の床からの振動が一階の天井に伝達されるのを低減できる特長もある。一階の天井と二階の床の間の空間が密閉されると、ちょうど太鼓の状態となって、密閉された空気が振動を伝える働きをして階下に音が伝達されやすくなる。これに対して、この図に示す建物では、中間通気層29の両端が外気換気層4に連通されているので、振動する空気圧が外気換気層4に流れて音の振動反復を防止でき、振動の伝達を著しく防ぐことができる。ただ、図示しないが、外壁と室内パネルとの間に区画壁を配設して、区画壁の両面に外気換気層と計画通気層とを設けている壁構造においては、中間通気層を計画通気層に連通することもできる。
【0069】
さらに、図23ないし図25は屋根構造を示す。図23は、図1、図5、図12に示す建物の屋根構造を示す垂直横断面図であり、図24は、図4に示す建物の屋根構造を示す垂直横断面図である。さらに、図25は、建物の屋根構造の一例を示す垂直縦断面図である。これらの図に示す屋根構造は、屋根プレート20を、下地材19の上に瓦やスレート等の屋根材45を葺いた構造としている。図示しないが、屋根プレートは、下地材の上面を防水シートや銅板で被覆する構造、あるいは下地材の上に防水層を設けた構造として、瓦やスレート等の屋根材を設けない構造とすることもできる。図に示す屋根は、梁18の上に区画壁3を固定している。区画壁3は、壁構造と同じ天然木材を同じように固定して設けられる。区画壁3の上面には、防水シート21を張設している。防水シート21は、壁構造のものと同じように、水の通過を制限して空気を通過させるプラスチックシートである。ただし、防水シートには空気と水の両方を通過させないシートも使用できる。区画壁3には、天然木材に代わって合板やMDF等の板材が使用できる。さらに、図の屋根構造は、区画壁3の上に、胴縁11を介して屋根プレート20の下地材19を固定して、この下地材19と区画壁3との間に外気換気層4を設けている。
【0070】
図23の屋根構造は、下地材19と区画壁3との間に断熱材10を配設している。図24の屋根構造は、屋根プレート20と区画壁3との間に、中間プレート46を配設して、中間プレート46でもって外気換気層4を複数の層に区画している。この図の屋根は、1層の中間プレート46でもって外気換気層を2層構造に区画しているが、下地材と区画壁との間に複数層の中間プレートを離して設けて、外気換気層を3層以上の層とすることもできる。中間プレート46は、断熱材10である。断熱材10の中間プレート46は、片面または両面にベニヤ板等の補強板を積層して、変形しないように外気換気層4に固定できる。ただ、充分な強度、いいかえると経時的に自重で変形しない程度の強度のある断熱材10は、補強板を使用することなく外気換気層に配設される。中間プレート46に断熱材10を使用すると、屋根の断熱特性をより向上できる。ただ、中間プレート46には、断熱材ではない板材、たとえば合板やパーチクルボード等の全ての板材が使用できる。外気換気層4を複数の層に区画する構造は、屋根の断熱特性を著しく向上できる。それは、複数の層の外気換気層4に外気を換気して、屋根を強制冷却できるからである。
【0071】
中間プレート46や断熱材10は、図23ないし図25に示すように、壁構造と同じように胴縁11で区画壁3に固定される。この屋根は、区画壁3に一定の間隔で胴縁11を平行に固定し、胴縁11に下地材19を固定して、すなわちこの胴縁11をたる木として屋根プレート20を施工する。胴縁11を固定するときに、中間プレート46や断熱材10が固定される。中間プレート46を固定する胴縁11は、中間プレート46の両側縁部を嵌入して固定する固定溝11Aを両側面に設けている。固定溝11Aは、中間プレート46を固定する位置を特定する。固定溝11Aは胴縁11の両側面に縦に延長して設けられる。中間プレート46を、外気換気層4を同じ厚さの2層に区画するように固定する胴縁11は、図において上下の中央部分に固定溝11Aを設ける。中間プレート46は、必ずしも外気換気層4を同じ厚さの複数層に区画する必要はない。屋根材に近い層を区画壁に近い層よりも厚く区画することもできる。中間プレート46の固定位置は、固定溝11Aで特定される。したがって、固定溝11Aを設ける位置を調整して、複数に区画される外気換気層4の厚さを特定する。胴縁は、中間プレートを複数の層に配設して、外気換気層を3層以上に区画することもできる。この胴縁は、複数の層に中間プレートを固定する固定溝を複数列に平行に設けている。
【0072】
以上の胴縁11は、区画壁3と下地材19との間に外気換気層4を設けることに加えて、中間プレート46や断熱材10を外気換気層4に固定する固定材にも併用される。図に示すように、中間プレート46や断熱材10を下地材19から離して配設し、下地材19のすぐ下側に外気換気層4を設ける構造は、外気換気層4を通過する空気で屋根プレート20の下地材19を効率よく冷却できる特長がある。図示しないが、外気換気層には、必ずしも断熱材を設ける必要はない。それは、外気換気層4に換気される空気が屋根プレート20を強制冷却するからである。
【0073】
さらに、図の屋根構造は、天井板である室内パネル2と区画壁3との間に屋根の計画通気層5である天井裏ダクト26を設けている。屋根の計画通気層5である天井裏ダクト26は、図1、図4、図5及び図12に示すように、屋根裏の天板である区間板60と区画壁3との間に設けることができる。さらに、屋根の計画通気層5である天井裏ダクト26は、図24に示すように、屋根裏に区画板を設けることなく、天井板である室内パネル2と区画壁3との間に設けることもできる。
【0074】
【発明の効果】
本発明の建物は、従来の建物では到底に考えられないほど効率よく建物の屋根を強制冷却できる。それは、本発明の建物が、屋根の内部に区画壁を設けて屋根プレートの下に外気換気層を設けると共に、この外気換気層の両端部を外気換気口で建物の外部に開口して、太陽光による自然対流の作用と風の作用のいずれかまたは両方によって外気を流通させるからである。この建物は、外気で屋根プレートを強制的に冷却するので、単に屋根プレートの下に断熱材を配設する構造に比較して、屋根を相当に涼しくできる。屋根が効率よく冷却されると、天井裏は外気が換気されず、また室内のように断熱特性の悪い窓等がないので、極めて涼しくできる。夏期に天井裏をいかに涼しくできるかは、建物にとって極めて大切なことである。それは、天井裏の温度が高くなると、天井の温度が高くなって、多量の輻射熱を室内に放射するからである。この状態で、室内を冷房して空気温度を低くしても、天井から輻射熱があると室内で快適には生活できない。この状態は、とくに二階建ての建物において、二階の室内温度が一階よりも高くなって、二階では快適に生活できないことで経験することである。本発明の建物は、天井裏の温度を室内よりも低くできるので、二階建ての建物においても、二階の室内温度を一階と同じように涼しく快適にできる。とくに、夏期において天井から多量の輻射熱が放射されず、極めて快適に正確できる特長がある。この状態は、瓦の裏面を断熱し、あるいは天井裏に断熱材を張設する従来の建物では到底に想像もできないことである。
【0075】
とくに、本発明の建物は、冷房して涼しくするのではなく、太陽光による自然対流の作用や風の作用を有効に利用して屋根を強制冷却するので、冷房の熱負荷を著しく少なくして、室内を快適にできるという正に画期的な建物を実現する。このように、本発明の建物は、外気換気層に外気を自然に換気できるので、必ずしも強制送風しないで屋根プレートを効率よく冷却できる。また、強制送風するにしても簡単なファンで効率よく屋根プレートを冷却できる。このため、簡単な構造で安価に施工でき、しかもメンテナンスを簡単にできる特長もある。さらに、本発明の建物は、屋根の棟部を開口して換気する必要がないので、台風等の強い風雨のときにも雨漏りしない特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる建物の概略断面図
【図2】本発明の他の実施例にかかる建物の概略断面図
【図3】本発明の他の実施例にかかる建物の概略断面図
【図4】本発明の他の実施例にかかる建物の概略断面図
【図5】本発明の他の実施例にかかる建物の概略断面図
【図6】図5に示す建物のA−A線断面図
【図7】図5に示す建物のB−B線断面図
【図8】本発明の他の実施例にかかる建物の概略断面図
【図9】図8に示す建物の外気換気層に空気を換気する他の一例を示す概略断面図
【図10】通気調整機構の一例を示す概略断面図
【図11】開閉板と固定板の一例を示す斜視図
【図12】本発明の他の実施例にかかる建物の概略断面図
【図13】本発明の一実施例にかかる建物の壁構造を示す水平断面図
【図14】図13に示す壁構造の一部を除去した状態を示す斜視図
【図15】図13に示す壁構造の垂直断面図
【図16】壁構造の他の一例を示す水平断面図
【図17】壁構造の他の一例を示す垂直断面図
【図18】本発明の一実施例にかかる建物の床構造を示す垂直断面図
【図19】図18に示す床のA−A線断面図
【図20】床構造の他の一例を示す断面斜視図
【図21】床構造の他の一例を示す垂直断面図
【図22】床構造の他の一例を示す垂直断面図
【図23】本発明の一実施例にかかる建物の屋根構造を示す垂直横断面図
【図24】屋根構造の他の一例を示す垂直横断面図
【図25】本発明の一実施例にかかる建物の屋根構造を示す垂直縦断面図
【符号の説明】
1…外壁 1A…外壁材
1B…下地サイディング
2…室内パネル 2A…真壁
3…区画壁 3A…天然木材
4…外気換気層
5…計画通気層
7…換気穴
8…排気ダクト 8A…壁内排気ダクト
8B…屋外排気ダクト
9…強制換気機構
10…断熱材
11…胴縁 11A…固定溝
12…保持凸条
13…縦溝
14…柱
15…筋かい
16…下地材
17…換気隙間
18…梁
19…下地材
20…屋根プレート
21…防水シート
23…床板
24…プラットホーム 24A…天然木材
25…屋根換気口
26…天井裏ダクト
27…外気換気口
29…中間通気層
30…換気隙間
31…連結凸条
32…連結溝
34…床暖房シート
35…暖房パネル
36…横溝
37…ゴム状弾性シート
38…シャッター
39…強制換気機構
40…濾過材
41…通気調整機構
45…屋根材
46…中間プレート
47…開閉板 47A…貫通孔
48…固定板 48A…換気開口
49…開閉機構
50…幅木材 50A…幅木
50B…天井回り縁
51…雨よけカバー
52…連結ダクト
53…周壁
54…強制換気機構
55…開ストッパ
56…閉ストッパ
57…ガイド孔
58…スリット
59…摺動凸部
60…区画板

Claims (20)

  1. 片流れの屋根あるいはのこぎり屋根を備え、この屋根の内部に屋根プレート(20)から下方に離して区画壁(3)を設けて、区画壁(3)と屋根プレート(20)との間に外気換気層(4)を設けており、この外気換気層(4)は上下の両端部を外気換気口(27)で建物外に開口しており、太陽光による自然対流の作用によって、下方の外気換気口(27)から上方の外気換気口(27)に外気を流通させて、外気換気層(4)に外気を流通させるようにしてなる建物。
  2. 陸屋根を備え、この屋根の内部に屋根プレート(20)から下方に離して区画壁(3)を設けて、区画壁(3)と屋根プレート(20)との間に外気換気層(4)を設けており、この外気換気層(4)は、少なくとも両端部を外気換気口(27)で建物外に開口して空気を流通できる状態としており、太陽光による自然対流の作用と風の作用のいずれかまたは両方によって、一方の外気換気口(27)から他方の外気換気口(27)に外気を流通させて、外気換気層(4)に外気を流通させるようにしてなる建物。
  3. 外気換気層(4)の端部を連結ダクト(52)で連結しており、この連結ダクト(52)を建物外に開口して外気換気口(27)を設けている請求項1または2に記載される建物。
  4. 建物の壁の内部に区画壁(3)を設けて、壁の内部に外気換気層(4)を設けており、屋根と壁に設けている区画壁(3)を互いに連結して、屋根の外気換気層(4)と壁の外気換気層(4)とを連結している請求項1または2に記載される建物。
  5. 建物の壁の内部に区画壁(3)を設けて、壁の内部を計画通気層(5)と、外気を換気させる外気換気層(4)とに区画しており、屋根と壁に設けている区画壁(3)を互いに連結して、屋根の外気換気層(4)と壁の外気換気層(4)とを連結している請求項1または2に記載される建物。
  6. 屋根と壁の外気換気層(4)を、屋根と壁の境界に設けている外気換気口(27)で外部に開口している請求項4または5に記載される建物。
  7. 建物の南側に位置する壁と屋根の外気換気層(4)を外部に開口することなく連通して、壁の外気換気層(4)の下部を建物外に開口しており、建物の北側に位置する壁と屋根の外気換気層(4)を外気換気口(27)で建物外に開口している請求項4または5に記載される建物。
  8. 屋根に設けている区画壁(3)の室内側に、天井裏ダクト(26)である計画通気層(5)を設けており、計画通気層(5)を室内に連結している請求項1に記載される建物。
  9. 建物の壁の内部に区画壁(3)を設けて、壁の内部を計画通気層(5)と、外気を換気させる外気換気層(4)とに区画しており、屋根と壁に設けている区画壁(3)を互いに連結して、屋根の計画通気層(5)と壁の計画通気層(5)とを連結している請求項8に記載される建物。
  10. 屋根が周囲に周壁(53)を備え、この周壁(53)の内部に外気換気層(4)を設けており、この外気換気層(4)を屋根の外気換気層(4)に連結している請求項2に記載される建物。
  11. 外気換気口(27)を屋根の軒下に開口してなる請求項1ないし10のいずれかに記載される建物。
  12. 外気換気口(27)を建物の垂直面に開口しており、外気換気口(27)を雨よけカバー(51)でカバーしている請求項1ないし10のいずれかに記載される建物。
  13. 外気換気口(27)に、通過する空気量を調整する通気調整機構(41)を設けており、通気調整機構(41)を開いて外気換気層(4)に外気を換気し、通気調整機構(41)を遮断して外気換気層(4)の換気を阻止できるようにしている請求項1ないし10のいずれかに記載される建物。
  14. 室内空気を壁の外気換気層(4)または建物外に排気する排気ダクト(8)を設けている請求項1ないし13のいずれかに記載される建物。
  15. 屋根プレート(20)が、下地材(19)の上に瓦やスレート等の屋根材(45)を葺いた構造である請求項1に記載される建物。
  16. 下地材(19)と区画壁(3)との間に胴縁(11)を固定して、胴縁(11)で下地材(19)と区画壁(3)との間に外気換気層(4)を設けている請求項15に記載される建物。
  17. 屋根プレート(20)と区画壁(3)との間に、1層または複数層に中間プレート(46)を配設して、中間プレート(46)でもって外気換気層(4)を複数の層に区画している請求項1に記載される建物。
  18. 中間プレート(46)が断熱材(10)である請求項17に記載される建物。
  19. 胴縁(11)でもって、屋根プレート(20)と区画壁(3)との間に中間プレート(46)を固定している請求項17に記載される建物。
  20. 胴縁(11)を介して、屋根プレート(20)と区画壁(3)との間に断熱材(10)を固定している請求項1に記載される建物。
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