JP2004244864A - 軽量盛土工法における連結構造 - Google Patents

軽量盛土工法における連結構造 Download PDF

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香純 林
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Abstract

【課題】安定して円滑にコンクリート床版を沈下させることができる軽量盛土工法における連結構造を提供すること。
【解決手段】軽量盛土工法におけるコンクリート床版3と支柱5との連結構造1は,発泡樹脂ブロック21を積み上げて形成した発泡樹脂層2の上方等に配設されるコンクリート床版3と,発泡樹脂層2を側方から覆う保護壁4を支える支柱5とを,連結金具6によって連結してなる。連結金具6は,コンクリート床版3に配設した移動金具61と,支柱5に配設した支持金具62とからなる。移動金具61には,上下方向Hに向けて長く形成した長穴63が形成されており,支持金具62には,長穴63に挿入配置されるスライド部材64が配設されている。連結構造1は,スライド部材64が長穴63内をスライドして,コンクリート床版3の沈下を円滑に行わせるよう構成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,発泡樹脂ブロックを用いて道路等を形成する軽量盛土工法において,特にコンクリート床版と支柱とを連結する連結金具による連結構造に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,図10に示すごとく,発泡樹脂ブロック921を積み上げて舗装道路等を施工する軽量盛土工法が知られている。この軽量盛土工法においては,発泡樹脂ブロック921を積み上げて発泡樹脂層92を形成し,この発泡樹脂層92には,これを側方から覆う保護壁94を施工している。そして,この保護壁94は,H型鋼支柱95によって支えられており,このH型鋼支柱95と,上記発泡樹脂層92の上部又は中間部に配設されたコンクリート床版93とは連結金具96によって連結されている。
【0003】
そして,上記連結金具96は,上記コンクリート床版93に固定してあり,コンクリート床版93は,連結金具96がH型鋼支柱95のフランジ951を両側から挟持して上下(鉛直)方向にスライドすることにより,上下にスライド可能になっている。これにより,発泡樹脂層92及びコンクリート床版93の上方からアスファルト舗装等による荷重が加わった際には,発泡樹脂層92が若干圧縮され,コンクリート床版93は,発泡樹脂層92と共に若干沈下することができる。
このようなコンクリート床版93とH型鋼支柱95との連結構造9としては,例えば,特許文献1,2に示すものがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−209999号公報
【特許文献2】
特開2002−317447号公報
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記発泡樹脂層92及びコンクリート床版93への上方からの荷重は,必ずしも上方から垂直に加わる訳ではなく,垂直方向に傾斜した方向から加わることもある。すなわち,上記H型鋼支柱95を両側から挟持して上下方向にスライドする連結金具96の構造においては,上記発泡樹脂層92及びコンクリート床版93に上方から垂直に荷重が加わった場合には,コンクリート床版93は発泡樹脂層92の沈下と共に下方に垂直に沈下することができる。
【0006】
しかし,上記連結金具96の挟持連結構造においては,上記発泡樹脂層92及びコンクリート床版93に垂直方向に傾斜した方向から荷重が加わった場合には,上記連結金具96がこじてしまって(連結金具96がH型鋼支柱95に対して若干斜めに傾斜して引っ掛かってしまって),コンクリート床版93の円滑な沈下が妨げられるおそれがある。そして,この現象がひどいときには,上記H型鋼支柱95及び保護壁94が,上記発泡樹脂層92及びコンクリート床版93の方向に引きずり込まれてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,安定して円滑にコンクリート床版を沈下させることができる軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
本発明は,発泡樹脂ブロックを積み上げて形成した発泡樹脂層の上方又は該発泡樹脂層同士の上下方向の間に配設されるコンクリート床版と,上記発泡樹脂層を側方から覆う保護壁を支える支柱とを,連結金具によって連結してなる軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造において,
上記連結金具は,上記コンクリート床版に配設した移動金具と,上記支柱に配設した支持金具とからなり,
上記移動金具又は上記支持金具のいずれか一方には,上下方向に向けて長く形成した長穴が形成されていると共に,他方には,上記長穴に挿入配置されるスライド部材が配設されており,
上記コンクリート床版が沈下するときには,上記スライド部材が上記長穴内をスライドして,上記コンクリート床版の沈下を円滑に行わせるよう構成したことを特徴とする軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造にある(請求項1)。
【0009】
本発明における連結構造においては,上記連結金具は,一方が上記長穴を有すると共に他方が上記スライド部材を有する上記移動金具及び上記支持金具とからなる。また,上記コンクリート床版と上記支柱とは,上記スライド部材と上記長穴とのスライド可能な係合により連結されている。これにより,上記支柱及び上記保護壁の倒れ防止を行うことができる。
【0010】
そして,上記発泡樹脂層及びコンクリート床版に上方から垂直に荷重が加わった場合には,コンクリート床版は,上記スライド部材が上記長穴内をスライドすることにより,発泡樹脂層の圧縮沈下と共に円滑に沈下することができる。
さらに,本発明においては,上記発泡樹脂層及びコンクリート床版に上記垂直な方向に傾斜した傾斜方向から荷重が加わった場合でも,コンクリート床版は,上記スライド部材が上記長穴内をスライドすることにより,発泡樹脂層の圧縮沈下と共に円滑に沈下することができる。
【0011】
すなわち,本発明においては,上記スライド部材と長穴とによるスライド可能な係合により,上記移動金具が上記支持金具に引っ掛かってしまうようなことがほとんどない。また,上記スライド可能な係合により,上記コンクリート床版は,若干傾斜した状態でも沈下することができる。
そのため,上記コンクリート床版は,上記発泡樹脂層の沈下と共に安定して円滑に沈下を行うことができる。また,これにより,本発明においては,上記支柱及び保護壁が,上記発泡樹脂層及びコンクリート床版の方向に引きずり込まれてしまうことを防止することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において,上記スライド部材は,棒状部材からなることが好ましい。また,上記スライド部材が上記長穴に対向する部分は,円形断面形状を有していることが好ましい。この場合には,上記スライド部材を上記長穴内で一層円滑にスライドさせることができる。
【0013】
また,上記連結構造は,土壌傾斜面に上記発泡樹脂ブロックを積み上げて施工する道路構造に用いることができる。この場合には,上記発泡樹脂層及びコンクリート床版に対して,上記土壌傾斜面の下方側に道路構造の形成方向に沿って上記支柱を複数配設し,この複数の支柱に上記保護壁を取り付けることができる。そして,保護壁により,発泡樹脂層の上記下方側の側方を覆うことができる。
【0014】
また,上記連結構造は,土壌平坦面に上記発泡樹脂ブロックを積み上げて施工する道路構造にも用いることができる。この場合には,上記発泡樹脂層及びコンクリート床版の上記道路構造の幅方向の両側に,道路構造の形成方向に沿って上記支柱をそれぞれ複数配設すると共にこの複数の支柱に上記保護壁を取り付けることができる。そして,保護壁により,発泡樹脂層の上記幅方向の両側方を覆うことができる。
【0015】
また,上記連結構造は,土壌を掘り下げた地下に上記発泡樹脂ブロックを積み上げて施工する道路構造にも用いることができる。さらに,上記連結構造は,上記道路構造以外にも,上記軽量盛土工法を用いて施工される種々の構造物にも適用することができる。
【0016】
本発明において,上記移動金具は,上記コンクリート床版に固定する移動側基部と,該移動側基部から立設させると共に上記長穴を形成した移動側連結部とを有しており,一方,上記支持金具は,上記支柱に固定する支持側基部と,該支持側基部から立設させて上記移動側連結部の両側に配設する一対の支持側連結部とを有しており,上記スライド部材は,上記一対の支持側連結部同士の間に配設されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記移動金具及び支持金具を簡単に形成することができる。また,上記スライド部材が上記一対の支持側連結部同士の間に配設されているため,スライド部材の配設構造を両持ちはりの構造にすることができる。そのため,上記連結金具の強度を向上させることができる。
【0017】
また,上記支持金具が,上記コンクリート床版に固定する支持側基部と,該支持側基部から立設させると共に上記長穴を形成した支持側連結部とを有しており,一方,上記移動金具が,上記支柱に固定する移動側基部と,該移動側基部から立設させて上記支持側連結部の両側に配設する一対の移動側連結部とを有しており,上記スライド部材は,上記一対の移動側連結部同士の間に配設されていることもできる(請求項3)。
この場合にも,上記移動金具及び支持金具を簡単に形成することができる。また,上記と同様に,スライド部材の配設構造を両持ちはりの構造にすることができ,上記連結金具の強度を向上させることができる。
【0018】
また,上記支持金具は,その上下方向の固定位置を調節できるよう上記支柱に配設されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には,上記支持金具の上下方向の固定位置を調節することにより,上記コンクリート床版の上記支柱に対する上下方向の連結位置を調節することができる。
【0019】
【実施例】
以下に,図面を用いて本発明の軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造にかかる実施例につき説明する。
(実施例1)
図1に示すごとく,本例の軽量盛土工法におけるコンクリート床版3と支柱5との連結構造1(以下に単に連結構造1という)は,発泡樹脂ブロック21を積み上げて形成した発泡樹脂層2の上方又は発泡樹脂層2同士の上下方向Hの間に配設されるコンクリート床版3と,上記発泡樹脂層2を側方から覆う保護壁4を支える支柱5とを,連結金具6によって連結してなる。
上記連結金具6は,上記コンクリート床版3に配設した移動金具61と,上記支柱5に配設した支持金具62とからなる。
【0020】
図2に示すごとく,上記移動金具61には,上下方向Hに向けて長く形成した長穴63が形成されており,図3に示すごとく,上記支持金具62には,上記長穴63に挿入配置されるスライド部材64が配設されている。
そして,図1に示すごとく,上記連結構造1は,上記コンクリート床版3が沈下するときに,上記スライド部材64が上記長穴63内をスライドして,上記コンクリート床版3の沈下を円滑に行わせるよう構成されている。
【0021】
以下に,これを詳説する。
本例においては,図4に示すごとく,上記発泡樹脂ブロック21及びコンクリート床版3を用いた軽量盛土工法により,道路構造10を施工している。そして,本例では,上記保護壁4は上記道路構造10の左右方向(幅方向)Wの両側に設けられている。すなわち,上記保護壁4は,上記発泡樹脂層2の左右方向Wの両側に配設されており,上記支柱5は,上記左右方向Wに直交する長手方向Lに複数配設されている。そして,複数の支柱5により上記保護壁4を支えている。
【0022】
また,本例において,上下方向Hとは鉛直方向をいい,左右方向Wとは上記保護壁4及び支柱5を設ける方向又は上記道路構造10の幅方向Wをいい,長手方向Lとは道路構造10の施工方向をいう。
また,本例の発泡樹脂ブロック21(EPSブロックともいう)は,ポリスチレンを発泡させてなる発泡スチロールブロックである。なお,これ以外にも,種々の合成樹脂を発泡させた合成樹脂発泡体を上記発泡樹脂ブロック21として用いることができる。
【0023】
図2に示すごとく,上記移動金具61は,上記コンクリート床版3に固定する移動側基部611と,この移動側基部611から立設させると共に上記長穴63を形成した移動側連結部612とを有している。また,移動側連結部612は,板状部材からなり,この板状部材の面方向を上下方向Hに向けて立設してなる。
一方,図3に示すごとく,上記支持金具62は,上記支柱5に固定する支持側基部621と,この支持側基部621から立設させて上記移動側連結部612の長手方向Lの両側に配設する一対の支持側連結部622とを有している。また,上記スライド部材64は,上記一対の支持側連結部622同士の間に配設されている。また,各支持側連結部622も板状部材からなる。
【0024】
また,図1に示すごとく,移動側連結部612の面方向と各支持側連結部622の面方向とは,略同一方向を向いており,移動金具61と支持金具62とは,移動側連結部612の表面と支持側連結部622の表面とが互いに対向するよう配設されている。
また,図4に示すごとく,上記支持金具62は,上記複数の支柱5にそれぞれ配設されており,上記移動金具61は,上記複数の支持金具62に対向する上記コンクリート床版3の部位にそれぞれ配設されている。
【0025】
また,図2に示すごとく,上記長穴63の上下方向Hの長さH1は,上記発泡樹脂層2の沈下の見込み量に応じて設定しておくことが好ましい。例えば,長穴63の上下方向Hの長さH1は,50〜150mmとすることができる。また,上記長穴63の幅W1は,上記スライド部材64のスライドのし易さ及び上記連結構造1の連結強度を考慮して設定しておくことが好ましい。例えば,長穴63の幅W1は,上記スライド部材64の幅又は直径よりも2〜10mm大きくしておくことができる。
【0026】
また,図3に示すごとく,上記スライド部材64は,棒状部材としての丸棒からなる。さらに,本例のスライド部材64はボルトにより構成し,上記支持金具62は,このボルトを一対の支持側連結部622同士の間に掛け渡してなる。
また,図1に示すごとく,上記移動側連結部612と上記各支持側連結部622との間には,隙間71が形成してある。この隙間71の形成により,上記コンクリート床版3の沈下を一層円滑にすることができ,上記コンクリート床版3を若干斜めに傾斜した状態でも沈下させることができる。また,例えば,上記隙間71は,10〜30mmとすることができる。
【0027】
また,図1,図4に示すごとく,本例の連結構造1においては,上記発泡樹脂層2及びコンクリート床版3と,上記支柱5及び保護壁4との間には,上下方向Hに形成された上下空間72が形成されている。これにより,例えば雨等による水を上記上下空間72を落下させることができ,発泡樹脂層2及びコンクリート床版3に水が浸入しないようにすることができる。
【0028】
また,図1に示すごとく,上記支持金具62は,その上下方向Hの固定位置を調節できるよう上記支柱5に配設されている。また,本例の支柱5は,H型の断面形状を有するH型鋼からなる。そして,支持金具62の支持側基部621は,上記H型鋼の支柱5における一方のフランジ部51を両側から挟持して,上下方向Hに移動可能に支柱5に配設されている。そして,支持金具62は,上記発泡樹脂層2の上方又は発泡樹脂層2同士の上下方向Hの間に配設したコンクリート床版3の上下方向H位置に合わせて,上下方向Hに移動させてその固定位置を設定し,ビス等の固定具623によって上記支柱5に固定できるよう構成されている。
【0029】
また,上記支柱5には,上記H型鋼以外にも種々の断面形状を有する鋼材を用いることができる。
例えば,図5に示すごとく,上記支柱5には,C型の断面形状を有するC型鋼を用いることもできる。この場合には,上記支持金具62の支持側基部621は,C型鋼の支柱5における一方の側方部52を両側から挟持して上下方向Hに移動可能に支柱5に配設されると共に,ビス等の固定具623によってこの支柱5に固定できるよう構成することができる。
【0030】
また,例えば,図6に示すごとく,上記支柱5には,円形断面形状を有する丸鋼を用いることもできる。この場合には,上記支持金具62の支持側基部621は,丸鋼の支柱5を挿入配置できる環状形状に形成し,上下方向Hに移動可能に支柱5に配設されると共に,ビス等の固定具623によってこの支柱5に固定できるよう構成することができる。なお,同図においては,後述する実施例2に示すように,支持金具62の支持側連結部621に上記長穴63を形成した場合について示した。
【0031】
また,本例では,発泡樹脂層2の上方に上記コンクリート床版3を配設している。一方で,図示は省略するが,コンクリート床版3は,発泡樹脂層2同士の上下方向Hの間に配設されていることもできる。そして,発泡樹脂層2の上方のコンクリート床版3と,発泡樹脂層2同士の上下方向Hの間のコンクリート床版3とを合わせて,複数の段にコンクリート床版3を配設することができる。この場合には,各コンクリート床版3にそれぞれ上記移動金具61を設けると共に,この複数の移動金具61に対向して上記支柱5に複数の支持金具62を設けることができる。
【0032】
図1,図4に示すごとく,本例における連結構造1においては,上記コンクリート床版3と上記支柱5とは,上記スライド部材64と上記長穴63とのスライド可能な係合により連結されている。これにより,上記支柱5及び上記保護壁4の倒れ防止を行うことができる。また,上記スライド部材64が上記長穴63の幅方向の内壁631に当接することにより,コンクリート床版3と支柱5との間の距離をほぼ所定の距離に保つことができる。
【0033】
そして,図1,図4に示すごとく,上記発泡樹脂層2及びコンクリート床版3の上方にアスファルト等による舗装を行って,これらに上方から垂直に垂直荷重P1が加わった場合には,コンクリート床版3は,上記スライド部材64が上記長穴63内をスライドすることにより,発泡樹脂層2の圧縮沈下と共に円滑に沈下することができる。
さらに,本例においては,上記アスファルト,コンクリート又はレンガ等による舗装を行った際に,上記発泡樹脂層2及びコンクリート床版3に上記垂直な方向に傾斜した傾斜方向から傾斜荷重P2が加わった場合でも,コンクリート床版3は,上記スライド部材64が上記長穴63内をスライドすることにより,発泡樹脂層2の圧縮沈下と共に円滑に沈下することができる。
【0034】
すなわち,本例においては,上記スライド部材64と長穴63とによるスライド可能な係合により,上記移動金具61が上記支持金具62に引っ掛かってしまうようなことがほとんどない。また,上記スライド可能な係合により,上記コンクリート床版3は,若干傾斜した状態でも沈下することができる。
そのため,本例のコンクリート床版3は,上記発泡樹脂層2の沈下と共に安定して円滑に沈下を行うことができる。また,これにより,本例においては,上記支柱5及び保護壁4が,上記発泡樹脂層2及びコンクリート床版3の方向に引きずり込まれてしまうことを防止することができる。
【0035】
なお,上記垂直荷重P1及び傾斜荷重P2としては,上記舗装による荷重だけでなく,舗装の際に使用する路盤,又は上記道路構造10を通過する車両等による荷重である場合もある。
また,上記のごとく本例のコンクリート床版3が滑らかに沈下できる理由としては,以下のように考えられる。すなわち,上記連結金具6においては,上記スライド部材64が上記長穴63に対して対向する部分の面積が小さく,これらが接触したときに発生する摩擦抵抗を小さくすることができるためであると考えられる。
【0036】
また,本例においては,上記コンクリート床版3の上に起震機(偏心回転するモータにより振動を発生させる装置)を設置して,コンクリート床版3の沈下の起こり方について確認した。その結果,従来のコンクリート床版93とH型鋼支柱95との連結構造9(図10参照)に比べて,本例の連結構造1においては,発泡樹脂層2とコンクリート床版3との滑らかな沈下が生じることがわかった。
【0037】
(実施例2)
本例は,図7〜図9に示すごとく,上記支持金具62に設けた支持側連結部622に上記長穴63を形成し,上記移動金具61に一対に設けた移動側連結部612同士の間に上記スライド部材64を配設した例である。
また,支持側連結部622及び各移動側連結部612は,それぞれ板状部材からなり,この板状部材の面方向を上下方向Hに向けて立設してなる。また,支持側連結部622の面方向と各移動側連結部612の面方向とは,略同一方向を向いており,支持金具62と移動金具61とは,支持側連結部622の表面と移動側連結部612の表面とが互いに対向するよう配設されている。
本例においても,その他は上記実施例1と同様であり,上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造を示す斜視説明図。
【図2】実施例1における,コンクリート床版に配設した移動金具を示す斜視説明図。
【図3】実施例1における,支柱に配設した支持金具を示す斜視説明図。
【図4】実施例1における,連結構造を用いて道路構造を施工した状態を示す斜視説明図。
【図5】実施例1における,C型鋼の支柱に配設した支持金具を示す斜視説明図。
【図6】実施例1における,丸鋼の支柱に配設した支持金具を示す斜視説明図。
【図7】実施例2における,軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造を示す斜視説明図。
【図8】実施例2における,コンクリート床版に配設した移動金具を示す斜視説明図。
【図9】実施例2における,支柱に配設した支持金具を示す斜視説明図。
【図10】従来例における,軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造を示す斜視説明図。
【符号の説明】
1...連結構造,
2...発泡樹脂層,
21...発泡樹脂ブロック,
3...コンクリート床版,
4...保護壁,
5...支柱,
6...連結金具,
61...移動金具,
611...移動側基部,
612...移動側連結部,
62...支持金具,
621...支持側基部,
622...支持側連結部,
63...長穴,
64...スライド部材,

Claims (4)

  1. 発泡樹脂ブロックを積み上げて形成した発泡樹脂層の上方又は該発泡樹脂層同士の上下方向の間に配設されるコンクリート床版と,上記発泡樹脂層を側方から覆う保護壁を支える支柱とを,連結金具によって連結してなる軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造において,
    上記連結金具は,上記コンクリート床版に配設した移動金具と,上記支柱に配設した支持金具とからなり,
    上記移動金具又は上記支持金具のいずれか一方には,上下方向に向けて長く形成した長穴が形成されていると共に,他方には,上記長穴に挿入配置されるスライド部材が配設されており,
    上記コンクリート床版が沈下するときには,上記スライド部材が上記長穴内をスライドして,上記コンクリート床版の沈下を円滑に行わせるよう構成したことを特徴とする軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造。
  2. 請求項1において,上記移動金具は,上記コンクリート床版に固定する移動側基部と,該移動側基部から立設させると共に上記長穴を形成した移動側連結部とを有しており,
    一方,上記支持金具は,上記支柱に固定する支持側基部と,該支持側基部から立設させて上記移動側連結部の両側に配設する一対の支持側連結部とを有しており,上記スライド部材は,上記一対の支持側連結部同士の間に配設されていることを特徴とする軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造。
  3. 請求項1において,上記支持金具は,上記コンクリート床版に固定する支持側基部と,該支持側基部から立設させると共に上記長穴を形成した支持側連結部とを有しており,
    一方,上記移動金具は,上記支柱に固定する移動側基部と,該移動側基部から立設させて上記支持側連結部の両側に配設する一対の移動側連結部とを有しており,上記スライド部材は,上記一対の移動側連結部同士の間に配設されていることを特徴とする軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において,上記支持金具は,その上下方向の固定位置を調節できるよう上記支柱に配設されていることを特徴とする軽量盛土工法におけるコンクリート床版と支柱との連結構造。
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