JP2004244525A - 導電性塗料 - Google Patents
導電性塗料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004244525A JP2004244525A JP2003036520A JP2003036520A JP2004244525A JP 2004244525 A JP2004244525 A JP 2004244525A JP 2003036520 A JP2003036520 A JP 2003036520A JP 2003036520 A JP2003036520 A JP 2003036520A JP 2004244525 A JP2004244525 A JP 2004244525A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- epoxy
- conductive paint
- resin
- ester resin
- epoxy ester
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
Abstract
【課題】従来の導電性塗料と同等の特性を保持しつつ、さらに高い塗膜形成性及び導電性を有する導電性塗料を提供する。
【解決手段】(A)水酸基を有するエポキシエステル樹脂と、(B)アルキル化メラミン化合物と、(C)銀粉と、(D)有機溶剤とを構成成分とし、(A)のエポキシエステル樹脂が、エポキシ樹脂のエポキシ基を脂肪酸と反応させエステル化して得られたものである導電性塗料。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)水酸基を有するエポキシエステル樹脂と、(B)アルキル化メラミン化合物と、(C)銀粉と、(D)有機溶剤とを構成成分とし、(A)のエポキシエステル樹脂が、エポキシ樹脂のエポキシ基を脂肪酸と反応させエステル化して得られたものである導電性塗料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水酸基を有するエポキシエステル樹脂を主成分とし、小型電子部品の接続や電極の形成に際し、電気特性やレべリング性に優れた導電性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板上へ導電回路を印刷したり、タンタルやアルミ固体電解コンデンサの陰極層を形成したりするために用いる導電性塗料としては、樹脂をベースにして金属やカーボンを配合したペースト状の導電性樹脂が用いられている。
【0003】
このベースの樹脂としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂やアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられているが、小型電子部品の電極形成用の導電性塗料としては、特に、エポキシ樹脂が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような導電性塗料の性質には、導電性が良好である他、塗膜形成性が高いことが要求される。そのため、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂等の硬化収縮が比較的大きい樹脂を用いることによって導電性を大きくする等の改良も行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−212492号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの導電性塗料は、エポキシ樹脂を主成分として用いているため、エポキシ樹脂の重合反応性が低いことに起因してその硬化物の分子量が低くなることが多かった。
【0007】
そのため、例えば、コンデンサの電極形成のために、従来のエポキシ樹脂でコンデンサ表面に塗膜を形成した場合、形成された陰極層の面部分は厚いが塗料がつきにくい角部分が薄くなってしまうことがあった。
【0008】
この塗膜の厚さにむらができることによって、電極における導電効率が低下するという欠点があり、この点を改善した導電性塗料が求められていた。
【0009】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、従来の導電性塗料と同等の特性を保持しつつ、さらに高い導電性及び塗膜形成性を有する導電性塗料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討した結果、導電性塗料の主成分として熱硬化性樹脂であるエポキシエステル樹脂を用いることによって、高い導電性及び塗膜形成性を有することを見出し本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の導電性塗料は、(A)水酸基を有するエポキシエステル樹脂と、(B)アルキル化メラミン化合物と、(C)銀粉と、(D)有機溶剤とからなることを特徴とするものである。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の導電性塗料の構成成分である(A)水酸基を有するエポキシエステル樹脂は、原料となるエポキシ樹脂のエポキシ基がエステル化されることによって得られる変性エポキシ樹脂であり、さらに水酸基を有するものである。
【0014】
この水酸基は、導電性塗料を塗布して硬化させる際に、(B)アルキル化メラミン化合物と反応してエポキシエステル樹脂を架橋する架橋構造を作るのに必要な官能基であり、1分子中に1〜5個含まれることが好ましい。
【0015】
このエポキシエステル樹脂は、酸触媒の存在下、水酸基を有するエポキシ樹脂を脂肪酸と反応させて、エポキシ樹脂をエステル化することによって合成することができる。
【0016】
このエポキシエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型グリシジルエーテル、ノボラック型グリシジルエーテル、ビフェニル型グリシジルエーテル、ナフタレン型グリシジルエーテル、グリコール型グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ダイマー酸型グリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
また、このエポキシエステル樹脂の原料となる脂肪酸としては、1価の脂肪酸であれば、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のどちらも使用することができる。
【0018】
ただし、脂肪酸の炭素数が多いと、エステル化した後のエポキシエステル樹脂の粘性が高く、少ないと粘性が低くなり、共に導電性塗料の塗膜形成性及びレべリング性が低下することとなるため、脂肪酸の炭素数は8〜20であることが好ましい。
【0019】
この脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
脂肪酸の2種以上が混合したものとしては、植物油や動物油等の天然物から抽出した脂肪酸を多く含むものを使用することができ、例えば、アマニ油、ヤシ油、大豆油、綿実油等の植物から抽出した植物油が挙げられる。
【0021】
以上に例示したエポキシ樹脂及び脂肪酸を原料としてエポキシエステル樹脂を合成する際には、酸触媒を用いて加熱することにより効率良く反応させることができる。
【0022】
このとき用いる酸触媒としては、オニウム塩類、パラトルエンスルホン酸(PTS)、トリフェニルホスフィン(TPP)等が挙げられる。
【0023】
また、反応は50〜150℃で行うことができ、90〜110℃で行うことが本発明のエポキシエステル樹脂を効率良く得られる点で好ましい。
【0024】
180℃以上の高温で反応させると、脂肪酸がエポキシ基よりも水酸基と優先して反応し、エポキシ基がエステル化されずにそのまま残ることとなってしまい、このように得られたエポキシエステル樹脂はアルキル化メラミン化合物との架橋反応を効率良く行うことができなくなる。
【0025】
以上のように反応させることで、原料であるエポキシ樹脂の末端にあるエポキシ基と脂肪酸とが反応してエステル化されたエポキシエステル樹脂を得ることができる。
【0026】
この反応を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を原料としてエポキシエステル樹脂を合成する場合について例示すると、次のような反応式
【化1】
(ここで、式中、R1はアルキル基であり、重合度nは1〜5である。)で表すことができ、この反応式においては、末端にある2個のエポキシ基と2分子の脂肪酸が反応して一般式(I)で表されるエポキシエステル樹脂が合成される。
【0027】
本発明の導電性塗料の構成成分である(B)アルキル化メラミン化合物は、次の一般式(II)
【化2】
(ここで、式中、R2はアルキル基である。)で表される化合物である。
【0028】
このアルキル化メラミン化合物は、エポキシ樹脂の水酸基とアルキル化メラミン化合物のアルキル基とがアルコール交換反応をすることにより脱アルコールしてエポキシ樹脂と結合する。次いで、このアルキル化メラミン化合物が他のエポキシ樹脂と再度アルコール交換反応を行うことでエポキシ樹脂が架橋され、架橋構造が形成されることによって導電性塗料は硬化する。
【0029】
このアルコール交換反応による硬化は、100℃程度での低温硬化も可能であり、さらに高分子量体を形成しやすく、また、反応時に水酸基を生成しないため、電気特性や吸湿特性にも優れており塗料の硬化方法として最適である。
【0030】
この反応における硬化温度は、100℃〜200℃であればよく、130℃〜170℃であることが好ましい。
【0031】
このアルキル化メラミン化合物のアルキル基は、その炭素鎖が長いとアルコール交換反応の効率が落ちてしまうため、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0032】
本発明の導電性塗料の構成成分である(C)銀粉としては、銀のみからなる粉末の他、銀を表面に有するコート粉、メッキ粉、複合粉等を好適に使用することができ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0033】
銀粉の形状については、特に限定されるものではなく、鱗片状、球状、不定形固体等のさまざまな形状のものを用いることができる。
【0034】
また、銀粉の大きさも特に制限されずに用いることができるが、銀粉が大きいと導電性塗料がペースト状になりにくく塗膜形成性が低下するため、5〜30μmであることが好ましい。
【0035】
本発明の導電性塗料の構成成分である(D)有機溶剤としては、エポキシエステル樹脂を溶解することができるものであればよく、トルエン、ジオキサン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジアセトンアルコール、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0036】
本発明の導電性塗料は、(A)水酸基を有するエポキシエステル樹脂と、(B)アルキル化メラミン化合物と、(C)銀粉と、(D)有機溶剤とを必須成分とするものであるが、本発明の目的に反することがなければ、必要に応じて硬化触媒、消泡剤、カップリング剤、その他の添加剤を配合することができる。
【0037】
本発明の導電性塗料を製造するには、まず、構成成分である(A)エポキシエステル樹脂と、(B)アルキル化メラミン化合物とを十分に混合し、次いで(C)銀粉を混合し、最後に(D)有機溶剤を添加した後、ディスパース、ニーダ、三本ロールミル等による混練処理を行い、減圧脱泡することにより行うことができる。
【0038】
なお、このように製造した導電性塗料は、基板上への導体回路印刷、各種半導体素子・電子部品の接着、コーティング等に使用することができ、これを、通常オーブン等により130〜180℃で30〜90分間程度加熱することで硬化させることができる。
【0039】
また、本発明の導電性塗料は、その構成成分が、(A)エポキシエステル樹脂100重量部、(B)アルキル化メラミン化合物 20〜80重量部、(C)銀粉 300〜1000重量部の範囲で配合されることが好ましい。
【0040】
【実施例】
次に、本発明について実施例を参照しながら説明する。
【0041】
(実施例1)
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(大日本インキ株式会社製、商品名:エピクロン840)400gをアマニ油80gと混合し、トリフェニルホスフィン1%の存在下、120℃で1時間反応させエステル化したところ、80℃で粘度2Pのエポキシエステル樹脂が得られた。
【0042】
得られたエポキシエステル樹脂を100重量部、アルキル化メラミン化合物(三井サイテック社製、商品名:サイメル506)を59重量部、鱗片状銀粉を600重量部及びシクロヘキサノンを170重量部の配合で混合し、ペースト状の熱硬化型導電性塗料とした。
【0043】
得られた導電性塗料のペーストをスライドグラス上に0.025mm×5mm×50mmの大きさでスクリーン印刷し、150℃で1時間加熱して硬化させた。
【0044】
この硬化した導電性塗料の表面抵抗を表面抵抗計(株式会社アドバンテスト製、商品名:デジタルマルチメータ R6441)で測定し、体積抵抗率に換算したところ、体積抵抗率は5.0×10−5Ω・mであった。
【0045】
次に、同様にして導電性ペーストの硬化物を0.2mm×10mm×40mmの大きさで作成し、硬化物をプレッシャークッカーテスト(PCT)にてエージングした(PCT条件:121℃、100%R.H.、2気圧、24時間)。エージング前後の重量変化を百分率に換算し、吸水率を求めたところ0.25%であった。
【0046】
また、セラミックス基板上に膜厚0.3mmの薄膜を作成し、硬化物をPCTにてエージングし(PCT条件:121℃、100%R.H.、2気圧、24時間)、エージング後の硬化物について剥がれ、膨れを観察したが、剥がれ、膨れとも観察されなかった。
【0047】
さらに、5mm角の立方体であるタンタルコンデンサに導電性塗料をディップ塗布し、硬化後断面を電子顕微鏡で観察し、面部と角部の膜厚を測定した。測定の結果、面部46μm、角部45μmであり、角部においても面部と同等の膜厚が形成されていることがわかった。
【0048】
これらの結果を表1にまとめて示した(表1参照)。
【0049】
(比較例1)
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(大日本インキ株式会社製、商品名:エピクロン840)100重量部、イミダゾール系化合物(四国化成株式会社製、商品名:2MA−OK)7重量部、鱗片状銀粉600重量部、シクロヘキサノン210重量部の配合で混合し、ペースト状の熱硬化型導電性塗料とした。
【0050】
得られた導電性塗料について、前記した実施例と同様に、体積抵抗率、吸水率、膨れ・剥がれの有無、膜厚を測定、観察し、その結果を表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明のエポキシエステル樹脂を主成分とした導電性塗料は、従来の導電性塗料と同等の特性を保持しつつ、さらに塗膜形成性及び導電性が高く、さらに耐湿性も高いため小型電子部品の接続や電極の形成に有用である。
【0053】
さらに、本発明の導電性塗料はレべリング性が高く、コンデンサーの電極形成の際には、面部と角部の膜厚がほぼ同じとなり導電効率を高く維持することができるため、特に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水酸基を有するエポキシエステル樹脂を主成分とし、小型電子部品の接続や電極の形成に際し、電気特性やレべリング性に優れた導電性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板上へ導電回路を印刷したり、タンタルやアルミ固体電解コンデンサの陰極層を形成したりするために用いる導電性塗料としては、樹脂をベースにして金属やカーボンを配合したペースト状の導電性樹脂が用いられている。
【0003】
このベースの樹脂としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂やアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられているが、小型電子部品の電極形成用の導電性塗料としては、特に、エポキシ樹脂が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような導電性塗料の性質には、導電性が良好である他、塗膜形成性が高いことが要求される。そのため、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂等の硬化収縮が比較的大きい樹脂を用いることによって導電性を大きくする等の改良も行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−212492号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの導電性塗料は、エポキシ樹脂を主成分として用いているため、エポキシ樹脂の重合反応性が低いことに起因してその硬化物の分子量が低くなることが多かった。
【0007】
そのため、例えば、コンデンサの電極形成のために、従来のエポキシ樹脂でコンデンサ表面に塗膜を形成した場合、形成された陰極層の面部分は厚いが塗料がつきにくい角部分が薄くなってしまうことがあった。
【0008】
この塗膜の厚さにむらができることによって、電極における導電効率が低下するという欠点があり、この点を改善した導電性塗料が求められていた。
【0009】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、従来の導電性塗料と同等の特性を保持しつつ、さらに高い導電性及び塗膜形成性を有する導電性塗料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討した結果、導電性塗料の主成分として熱硬化性樹脂であるエポキシエステル樹脂を用いることによって、高い導電性及び塗膜形成性を有することを見出し本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の導電性塗料は、(A)水酸基を有するエポキシエステル樹脂と、(B)アルキル化メラミン化合物と、(C)銀粉と、(D)有機溶剤とからなることを特徴とするものである。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の導電性塗料の構成成分である(A)水酸基を有するエポキシエステル樹脂は、原料となるエポキシ樹脂のエポキシ基がエステル化されることによって得られる変性エポキシ樹脂であり、さらに水酸基を有するものである。
【0014】
この水酸基は、導電性塗料を塗布して硬化させる際に、(B)アルキル化メラミン化合物と反応してエポキシエステル樹脂を架橋する架橋構造を作るのに必要な官能基であり、1分子中に1〜5個含まれることが好ましい。
【0015】
このエポキシエステル樹脂は、酸触媒の存在下、水酸基を有するエポキシ樹脂を脂肪酸と反応させて、エポキシ樹脂をエステル化することによって合成することができる。
【0016】
このエポキシエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型グリシジルエーテル、ノボラック型グリシジルエーテル、ビフェニル型グリシジルエーテル、ナフタレン型グリシジルエーテル、グリコール型グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ダイマー酸型グリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
また、このエポキシエステル樹脂の原料となる脂肪酸としては、1価の脂肪酸であれば、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のどちらも使用することができる。
【0018】
ただし、脂肪酸の炭素数が多いと、エステル化した後のエポキシエステル樹脂の粘性が高く、少ないと粘性が低くなり、共に導電性塗料の塗膜形成性及びレべリング性が低下することとなるため、脂肪酸の炭素数は8〜20であることが好ましい。
【0019】
この脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
脂肪酸の2種以上が混合したものとしては、植物油や動物油等の天然物から抽出した脂肪酸を多く含むものを使用することができ、例えば、アマニ油、ヤシ油、大豆油、綿実油等の植物から抽出した植物油が挙げられる。
【0021】
以上に例示したエポキシ樹脂及び脂肪酸を原料としてエポキシエステル樹脂を合成する際には、酸触媒を用いて加熱することにより効率良く反応させることができる。
【0022】
このとき用いる酸触媒としては、オニウム塩類、パラトルエンスルホン酸(PTS)、トリフェニルホスフィン(TPP)等が挙げられる。
【0023】
また、反応は50〜150℃で行うことができ、90〜110℃で行うことが本発明のエポキシエステル樹脂を効率良く得られる点で好ましい。
【0024】
180℃以上の高温で反応させると、脂肪酸がエポキシ基よりも水酸基と優先して反応し、エポキシ基がエステル化されずにそのまま残ることとなってしまい、このように得られたエポキシエステル樹脂はアルキル化メラミン化合物との架橋反応を効率良く行うことができなくなる。
【0025】
以上のように反応させることで、原料であるエポキシ樹脂の末端にあるエポキシ基と脂肪酸とが反応してエステル化されたエポキシエステル樹脂を得ることができる。
【0026】
この反応を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を原料としてエポキシエステル樹脂を合成する場合について例示すると、次のような反応式
【化1】
(ここで、式中、R1はアルキル基であり、重合度nは1〜5である。)で表すことができ、この反応式においては、末端にある2個のエポキシ基と2分子の脂肪酸が反応して一般式(I)で表されるエポキシエステル樹脂が合成される。
【0027】
本発明の導電性塗料の構成成分である(B)アルキル化メラミン化合物は、次の一般式(II)
【化2】
(ここで、式中、R2はアルキル基である。)で表される化合物である。
【0028】
このアルキル化メラミン化合物は、エポキシ樹脂の水酸基とアルキル化メラミン化合物のアルキル基とがアルコール交換反応をすることにより脱アルコールしてエポキシ樹脂と結合する。次いで、このアルキル化メラミン化合物が他のエポキシ樹脂と再度アルコール交換反応を行うことでエポキシ樹脂が架橋され、架橋構造が形成されることによって導電性塗料は硬化する。
【0029】
このアルコール交換反応による硬化は、100℃程度での低温硬化も可能であり、さらに高分子量体を形成しやすく、また、反応時に水酸基を生成しないため、電気特性や吸湿特性にも優れており塗料の硬化方法として最適である。
【0030】
この反応における硬化温度は、100℃〜200℃であればよく、130℃〜170℃であることが好ましい。
【0031】
このアルキル化メラミン化合物のアルキル基は、その炭素鎖が長いとアルコール交換反応の効率が落ちてしまうため、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0032】
本発明の導電性塗料の構成成分である(C)銀粉としては、銀のみからなる粉末の他、銀を表面に有するコート粉、メッキ粉、複合粉等を好適に使用することができ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0033】
銀粉の形状については、特に限定されるものではなく、鱗片状、球状、不定形固体等のさまざまな形状のものを用いることができる。
【0034】
また、銀粉の大きさも特に制限されずに用いることができるが、銀粉が大きいと導電性塗料がペースト状になりにくく塗膜形成性が低下するため、5〜30μmであることが好ましい。
【0035】
本発明の導電性塗料の構成成分である(D)有機溶剤としては、エポキシエステル樹脂を溶解することができるものであればよく、トルエン、ジオキサン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジアセトンアルコール、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0036】
本発明の導電性塗料は、(A)水酸基を有するエポキシエステル樹脂と、(B)アルキル化メラミン化合物と、(C)銀粉と、(D)有機溶剤とを必須成分とするものであるが、本発明の目的に反することがなければ、必要に応じて硬化触媒、消泡剤、カップリング剤、その他の添加剤を配合することができる。
【0037】
本発明の導電性塗料を製造するには、まず、構成成分である(A)エポキシエステル樹脂と、(B)アルキル化メラミン化合物とを十分に混合し、次いで(C)銀粉を混合し、最後に(D)有機溶剤を添加した後、ディスパース、ニーダ、三本ロールミル等による混練処理を行い、減圧脱泡することにより行うことができる。
【0038】
なお、このように製造した導電性塗料は、基板上への導体回路印刷、各種半導体素子・電子部品の接着、コーティング等に使用することができ、これを、通常オーブン等により130〜180℃で30〜90分間程度加熱することで硬化させることができる。
【0039】
また、本発明の導電性塗料は、その構成成分が、(A)エポキシエステル樹脂100重量部、(B)アルキル化メラミン化合物 20〜80重量部、(C)銀粉 300〜1000重量部の範囲で配合されることが好ましい。
【0040】
【実施例】
次に、本発明について実施例を参照しながら説明する。
【0041】
(実施例1)
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(大日本インキ株式会社製、商品名:エピクロン840)400gをアマニ油80gと混合し、トリフェニルホスフィン1%の存在下、120℃で1時間反応させエステル化したところ、80℃で粘度2Pのエポキシエステル樹脂が得られた。
【0042】
得られたエポキシエステル樹脂を100重量部、アルキル化メラミン化合物(三井サイテック社製、商品名:サイメル506)を59重量部、鱗片状銀粉を600重量部及びシクロヘキサノンを170重量部の配合で混合し、ペースト状の熱硬化型導電性塗料とした。
【0043】
得られた導電性塗料のペーストをスライドグラス上に0.025mm×5mm×50mmの大きさでスクリーン印刷し、150℃で1時間加熱して硬化させた。
【0044】
この硬化した導電性塗料の表面抵抗を表面抵抗計(株式会社アドバンテスト製、商品名:デジタルマルチメータ R6441)で測定し、体積抵抗率に換算したところ、体積抵抗率は5.0×10−5Ω・mであった。
【0045】
次に、同様にして導電性ペーストの硬化物を0.2mm×10mm×40mmの大きさで作成し、硬化物をプレッシャークッカーテスト(PCT)にてエージングした(PCT条件:121℃、100%R.H.、2気圧、24時間)。エージング前後の重量変化を百分率に換算し、吸水率を求めたところ0.25%であった。
【0046】
また、セラミックス基板上に膜厚0.3mmの薄膜を作成し、硬化物をPCTにてエージングし(PCT条件:121℃、100%R.H.、2気圧、24時間)、エージング後の硬化物について剥がれ、膨れを観察したが、剥がれ、膨れとも観察されなかった。
【0047】
さらに、5mm角の立方体であるタンタルコンデンサに導電性塗料をディップ塗布し、硬化後断面を電子顕微鏡で観察し、面部と角部の膜厚を測定した。測定の結果、面部46μm、角部45μmであり、角部においても面部と同等の膜厚が形成されていることがわかった。
【0048】
これらの結果を表1にまとめて示した(表1参照)。
【0049】
(比較例1)
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(大日本インキ株式会社製、商品名:エピクロン840)100重量部、イミダゾール系化合物(四国化成株式会社製、商品名:2MA−OK)7重量部、鱗片状銀粉600重量部、シクロヘキサノン210重量部の配合で混合し、ペースト状の熱硬化型導電性塗料とした。
【0050】
得られた導電性塗料について、前記した実施例と同様に、体積抵抗率、吸水率、膨れ・剥がれの有無、膜厚を測定、観察し、その結果を表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明のエポキシエステル樹脂を主成分とした導電性塗料は、従来の導電性塗料と同等の特性を保持しつつ、さらに塗膜形成性及び導電性が高く、さらに耐湿性も高いため小型電子部品の接続や電極の形成に有用である。
【0053】
さらに、本発明の導電性塗料はレべリング性が高く、コンデンサーの電極形成の際には、面部と角部の膜厚がほぼ同じとなり導電効率を高く維持することができるため、特に有用である。
Claims (3)
- (A)水酸基を有するエポキシエステル樹脂と、(B)アルキル化メラミン化合物と、(C)銀粉と、(D)有機溶剤とからなることを特徴とする導電性塗料。
- 前記(A)エポキシエステル樹脂が、エポキシ樹脂のエポキシ基を脂肪酸と反応させエステル化したものであることを特徴とする請求項1記載の導電性塗料。
- 前記(A)エポキシエステル樹脂 100重量部と、前記(B)アルキル化メラミン化合物 20〜80重量部と、前記(C)銀粉 300〜1000重量部とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性塗料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003036520A JP2004244525A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 導電性塗料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003036520A JP2004244525A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 導電性塗料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004244525A true JP2004244525A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33021583
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003036520A Withdrawn JP2004244525A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 導電性塗料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004244525A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007072162A1 (en) * | 2005-12-22 | 2007-06-28 | University Of Cape Town | Thick film semiconducting inks |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003036520A patent/JP2004244525A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007072162A1 (en) * | 2005-12-22 | 2007-06-28 | University Of Cape Town | Thick film semiconducting inks |
US9206324B2 (en) | 2005-12-22 | 2015-12-08 | Pst Sensors (Propietary) Limited | Thick film semiconducting inks |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6174106B2 (ja) | 導電性ペースト及び導電膜の製造方法 | |
JP4389148B2 (ja) | 導電ペースト | |
JP4935592B2 (ja) | 熱硬化型導電性ペースト | |
KR101133466B1 (ko) | 태양전지용 저온 건조형 전극 페이스트 조성물 및 이를 이용한 인쇄방법 | |
JP7075397B2 (ja) | 電極形成用樹脂組成物並びにチップ型電子部品及びその製造方法 | |
JP4235887B2 (ja) | 導電ペースト | |
KR20150011817A (ko) | 도전성 조성물 | |
JP6018476B2 (ja) | 熱硬化型導電性ペースト | |
JP4235888B2 (ja) | 導電ペースト | |
JP2007027101A5 (ja) | ||
JP3955805B2 (ja) | 導電性ペースト組成物 | |
JP4273399B2 (ja) | 導電ペースト及びその製造方法 | |
JP4224771B2 (ja) | 導電ペースト | |
JP2004244525A (ja) | 導電性塗料 | |
JP6639951B2 (ja) | 加熱硬化型導電性ペースト組成物およびその硬化物 | |
CN106634764A (zh) | 一种阻燃性导电银胶及其制备方法 | |
JP4482873B2 (ja) | 導電性ペースト、回路基板、太陽電池、及びチップ型セラミック電子部品 | |
JP2014080555A (ja) | 熱硬化性組成物及び熱硬化性導電性ペースト | |
JP7213050B2 (ja) | 電極形成用樹脂組成物並びにチップ型電子部品及びその製造方法 | |
JPH11134939A (ja) | 硬化性導電組成物 | |
JP4235885B2 (ja) | 導電ペースト | |
CN106832799A (zh) | 一种印刷电子用低温快速固化有机树脂载体及其制备方法和应用 | |
JP4224772B2 (ja) | 導電ペースト | |
JP4224774B2 (ja) | 導電ペースト | |
EP3093852B1 (en) | Use of an electrically conductive composition |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060509 |