JP2004244289A - 合成石英ガラスの製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成時に発せられる熱線からカメラを保護しながらも、インゴットやバーナー火炎などの合成炉内の状態を可視光等の特定波長の光で観察して、原料の燃焼状態や不純物分布などを合成中にも監視することができる合成石英ガラスの製造装置を提供する。
【解決手段】合成石英ガラスの合成時に発せられる光線の内、赤外線を遮蔽又は減光させ、特定波長の光を透過させる遮光部材としての赤外線カットフィルター18を備え、赤外線カットフィルター18を介して合成炉11内を観察可能とした。
【選択図】 図1
【解決手段】合成石英ガラスの合成時に発せられる光線の内、赤外線を遮蔽又は減光させ、特定波長の光を透過させる遮光部材としての赤外線カットフィルター18を備え、赤外線カットフィルター18を介して合成炉11内を観察可能とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、光リソグラフィ技術において400nm以下、好ましくは300nm以下の特定波長帯域でレンズやミラー等の光学系に使用される光リソグラフィー用光学部材として用いるのに適した石英ガラスを合成するための合成石英ガラスの製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコン等のウエハ上に集積回路の微細パターンを露光・転写する光リソグラフィ技術においては、ステッパと呼ばれる露光装置が用いられている。このステッパの光源は、近年のLSIの高集積化に伴ってg線(436nm)からi線(365nm)、さらにはKrF(248nm)やArF(193nm)エキシマレーザーへと短波長化が進められている。
【0003】
LSIの一種であるVLSI(超LSI)のうちでDRAMを例に挙げれば、LSIからVLSIへと展開されていくにつれ、1K→256K→1M→4M→16M→64M→256M→1Gと容量が増大していく。このような容量の増大に伴い、パターンの加工線幅がそれぞれ10μm→2μm→1μm→0.8μm→0.5μm→0.35μm→0.25μm→0.18μmと微細な線幅の露光が可能なステッパが要求されるようになってきた。
【0004】
このため、ステッパの投影レンズには、高い解像度と深い焦点深度とが必要とされる。一般に、ステッパの照明あるいは投影光学系に用いられるレンズ素材は、i線では主に高透過率化した多成分の光学ガラスが用いられ、KrF及びArFエキシマレーザーでは従来の光学ガラスにかえて合成石英ガラスやCaF2(蛍石)等のフッ化物単結晶が用いられる。
【0005】
特に16M以上の大容量のDRAMやマイクロプロセッサ等の量産ラインには、0.25μmの線幅の露光が可能なエキシマレーザーを用いたステッパが導入されている。このような微細な線幅の露光が可能なステッパに用いられる紫外線リソグラフィー用光学素子(照明あるいは投影光学系に用いられるレンズ素材)としては、紫外域での高透過率を達成するために高純度な合成石英ガラスが用いられる。
【0006】
この合成石英ガラスの有用な製法の一つとして、火炎加水分解法が知られている。火炎加水分解法は、合成石英ガラスの原料となるケイ素化合物を燃焼用バーナーからの火炎内へ酸水素炎と共に供給し、加水分解反応させシリカ微粒子を合成、堆積させると同時に溶融ガラス化して合成石英ガラスのインゴットを得る方法である。この合成方法を実現する合成石英ガラス製造装置は、いわゆるベルヌーイ炉に類似した構造であり、熱を逃がさないように外壁を二重壁にして排気を通し、炉内温度を1000℃以上の高温に保ちながら合成を行うものである。
【0007】
この製造装置は、炉本体(炉枠)と、この炉本体を載置保持する板(以下、「炉床板」と称する)と、炉本体内に設置されたインゴット形成用のターゲット(あるいは容器)と、このターゲットに先端を向けて設置された石英ガラス合成用のバーナーとを備えている。
【0008】
このように構成された合成石英ガラス製造装置を用いて合成(形成)される石英ガラスは、種々の原因により屈折率均質性が悪化することがある。屈折率均質性を悪化させる主な原因としては、石英ガラスを合成させる際に生じるさまざまな条件のゆらぎ(合成条件の変化)がある。
【0009】
例えば、耐火物の劣化による製造装置の構造変形、火炎による合成面の温度分布の変化、火炎加水分解反応あるいは熱分解・熱酸化反応、石英ガラスへの不純物の拡散状態の変化等である。これらの条件の変化は、結果的に石英ガラス内に脈理と呼ばれる成長縞や径方向の屈折率均質性に影響をもたらす。
【0010】
ここで、上記のような合成方法を使用して高い均質性を実現するためには、非常に精度の高い合成制御が必要不可欠である。例えば、インゴットとバーナー間の距離やインゴットの合成温度を一定にしたり、バーナーから噴出する火炎の燃焼状態を観察する。そのためには、テレビカメラ、CCDカメラ、IRカメラといった撮像装置を用いるのが一般的である(例えば、特許文献1、特許文献2,特許文献3参照)。
【0011】
しかし、カメラは精密電子光学機器であり、高温に対して弱い上、合成石英ガラスの合成時に発せられる極めて強い熱線によってレンズなどの光学部品やCCDなどの受光素子が傷んでしまう。従って、むき出しのカメラで合成状態を制御・監視することは、例え短時間であっても難しいものである。
【0012】
そのために、冷却装置を備えたカメラボックスでカメラを覆ったり、減光フィルターを通した光で撮影したりしてカメラを保護するようなものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−2829号公報。
【0014】
【特許文献2】
特開平9−169534号公報。
【0015】
【特許文献3】
特開平6−234530号公報。
【0016】
【特許文献4】
特開2000−295502号公報。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、合成中の様々な条件のゆらぎは合成石英ガラスの均質性を劣化させるが、それを監視するために上記のように減光フィルターを備えたカメラを用いると、減光フィルターは全体的に光を吸収するものであるため、強い赤外線を減光すると、可視光も非常に強く減光されてしまう。従って、可視光(色の付いた画像)での監視は現状の技術では難しいという問題があった。 しかし、合成時に観察される色(可視光)は監視者に有益な情報をもたらす。例えば、原料の燃焼状態や不純物の混入量などである。このように、熱線(赤外線)からカメラを保護する機構を備えた装置に関する発明はあっても、熱線を減光しながらも、可視光等の特定波長の光を積極的に観察するような装置に関する発明はなされていなかった。
【0018】
そこで、本発明は、合成時に発せられる熱線からカメラを保護しながらも、インゴットやバーナー火炎などの合成炉内の状態を可視光等の特定波長の光で観察して、原料の燃焼状態や不純物分布などを合成中にも監視することができる合成石英ガラスの製造装置を提供することを課題としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、合成石英ガラスの合成時に発せられる光線の内、赤外線を遮蔽又は減光させ、特定波長の光を透過させる遮光部材を備え、該遮光部材を介して合成炉内を観察可能とした合成石英ガラスの製造装置としたことを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記遮光部材を介して観察用カメラにて前記合成炉内を観察可能とした。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記遮光部材は赤外線カットフィルターから構成され、該赤外線カットフィルターにより、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として可視光を透過させるように構成したことを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記遮光部材は遷移金属を含んだ酸化物ガラスから構成され、該酸化物ガラスにより、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として可視光を透過させるように構成したことを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記遮光部材はIn2O3、ZnO、SnO2などの透明導電性材料の膜がガラス基材に積層されて構成され、該遮光部材により、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として可視光を透過させるように構成したことを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記遮光部材は誘電体多層膜やナローバンドパスフィルターなどの光学フィルターがガラス基材に積層されて構成され、該遮光部材により、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光を透過させるように構成したことを特徴とする。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成に加え、前記遮光部材を介して前記合成石英ガラスの合成面を観察可能なように、前記遮光部材を配置したことを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成に加え、前記遮光部材を介してバーナーの火炎を観察可能なように、前記遮光部材を配置したことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0028】
[発明の実施の形態1]
図1には、この発明の実施の形態1を示す。
【0029】
まず構成を説明すると、図1中符号11は合成石英ガラスの製造装置を主に構成する合成炉で、この合成炉11の天壁に下方に向けてバーナー12が配設される一方、合成炉11の下部には、インゴット13成形用のターゲット14が配設されている。
【0030】
また、この合成炉11の縦壁には、合成面Pと略同じ高さに窓部15が配置されており、この窓部15の側方には、CCDカメラ16が収容されたカメラボックス17が配置されている。
【0031】
このカメラボックス17の、前記窓部15に対向する前面には、「遮光部材」としての赤外線カットフィルター18が配設され、この赤外線カットフィルター18及び窓部15を介して、CCDカメラ16により、合成面が撮影(観察)できるように構成されている。
【0032】
その赤外線カットフィルター18は、合成炉11内からの赤外線(熱線)を遮光または減光する機能を備えると共に、特定波長の光として可視光を透過するように構成されている。
【0033】
この赤外線カットフィルター18としては、例えば遷移金属を含んだ酸化物ガラスにより構成される可視光域の吸収の少ない熱線吸収ガラスなどが挙げられる。 また、前記ターゲット14は、回転運動及び上下運動可能に設けられ、これらの運動をさせることにより、ターゲット14上に屈折率などの光学的性質が均質なインゴット13が形成されるようにしている。
【0034】
次に、かかる構成の合成石英ガラスの製造装置の作用について説明する。
【0035】
まず、合成石英ガラスの製造装置に設置されたバーナー12から原料ガス及び燃焼ガスを噴出させる。この燃焼ガスによる酸水素火炎により、原料ガスのSiCl4ガスが加水分解されて溶融石英となり、ターゲット14上に堆積してインゴット13が形成される。
【0036】
このような合成石英ガラスの製造中に、CCDカメラ16にて逐次、バーナー12の火炎や合成面を観察する。この場合には、CCDカメラ16の前面には、赤外線カットフィルター18が配設されているため、この赤外線カットフィルター18により、合成炉11内からの赤外線(熱線)が遮蔽又は減光される。
【0037】
これにより、CCDカメラ16には、赤外線(熱線)が遮蔽又は減光されて入射されるため、熱線による故障が未然に防止される。また、このCCDカメラ16は、カメラボックス17で覆われているため、熱の影響をより受け難い。
【0038】
また、赤外線カットフィルター18は、赤外線を遮蔽又は減光させ、所定量の可視光を透過させることができるため、CCDカメラ16による撮影を良好に行うことができる。従って、非常に精度の高いインゴット13の位置測定、インゴット13の合成状態やバーナー12の火炎の観察を合成時においても逐次行うことができる。その結果、それらの情報を現在の合成条件にフィードバックさせることにより、長時間に渡って光学的性質(屈折率、歪など)が均質な合成石英ガラスを得ることができた。また、バーナー12の火炎の観察により、バーナー12の火炎の異常発生と合成石英ガラスの品質悪化の相関を突き止めることができた。さらに、そのCCDカメラ16で得た画像から、例えば炎色反応を利用してインゴット13の不純物濃度を推量したり、バーナー12の火炎の偏心や乱れからバーナー12の品質の選別を行うことも可能である。
【0039】
[発明の実施の形態2]
図2には、この発明の実施の形態2を示す。
【0040】
この実施の形態2は、CCDカメラ16及びカメラボックス17の位置が実施の形態1と相違している。
【0041】
すなわち、これらCCDカメラ16及びカメラボックス17は、合成炉11の下方に配設され、このCCDカメラ16が斜め上方に向けて配置されている。
【0042】
そして、このCCDカメラ16により、赤外線カットフィルター18を介して、バーナー12及びバーナー12からの火炎を斜め下方から観察できるようにしている。
【0043】
このようなものにあっては、バーナー12の火炎の観察、つまり、原料(ここではSiCl4)の燃焼状態の観察を合成時においても逐次行うことができる。これによれば、合成中、例えば、合成速度を速めるため原料を増加したが、原料の燃焼が不十分となり、炎が一部白色から橙色になった。換言すれば、炎の色が白色から橙色になるのを観察することにより、原料の燃焼が不十分であると判断できる。そこで、元の原料流量に戻して合成を再開し、安定した合成を継続することができた。
【0044】
燃焼温度と色は密接に関係している。燃焼温度が高くなると見える炎の色は、赤→橙→白と変化して行く。このため、可視域で透明且つ波長依存性の少ない赤外線カットフィルター18を用いれば原料の燃焼状態をより良好に観察することができる。
【0045】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0046】
[発明の実施の形態3]
図3には、この発明の実施の形態3を示す。
【0047】
この実施の形態3は、CCDカメラ16及びカメラボックス17の位置が実施の形態1と相違している。
【0048】
すなわち、これらCCDカメラ16及びカメラボックス17は、合成炉11の上方に配置され、このCCDカメラ16が斜め上方に向けて配置されると共に、合成炉11の天壁には窓部15が設けられている。
【0049】
そして、このCCDカメラ16は、窓部15及び赤外線カットフィルター18を介して、インゴット13の上面を観察できるようにしている。
【0050】
このようなものにあっては、インゴット13の上面を観察することにより、例えば炎色反応を利用してインゴット13の不純物濃度を推量することも可能である。
【0051】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0052】
[発明の実施の形態4]
図4には、この発明の実施の形態4を示す。
【0053】
この実施の形態4は、実施の形態1の窓部15の位置に、「遮光部材」としての赤外線カットフィルター18が設けられている。
【0054】
これによれば、赤外線カットフィルター18を介して直接目視により、合成炉11の内部を合成中に観察することができる。勿論、目視による観察とCCDカメラ16を用いた観察とを併用させることもできる。
【0055】
なお、その赤外線カットフィルター18には、合成炉11の内面側に、合成中において付着物が付くこともあるので、付着物を吸引・掃除する機構を設けることもできる。
【0056】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0057】
ところで、上記各実施の形態では、「遮光部材」として赤外線カットフィルター18を用いたが、これに限らず、他のものを用いることができる。
【0058】
例えば、In2O3、ZnO、SnO2などの透明導電性材料の膜をガラス基材に積層して遮光部材を構成することもできる。この遮光部材により、赤外線を遮蔽または減光させ、特定波長の光として可視光を透過させるようにすることができる。この一例として、インジウムティンオキサイト(ITO)(SnをドープしたIn2O3)などの透明導電性材料をガラス基材に積層して遮光部材を成形できる。このITO(SnをドープしたIn2O3)などの透明導電性材料は、より可視光を精細に観察することができ、この材料は可視光域で高い透過率を有するが1000nm以上の波長域で透過率がほとんどないのが特徴である。他にZnO、SnO2などの透明導電性材料の膜を使用することもできる。
【0059】
また、MgF2−CeO2系の誘電体多層膜などの光学フィルターがガラス基材に積層されて遮光部材を構成することもできる。この遮光部材により、赤外線を遮蔽または減光させ、特定波長の光を透過させるようにすることができる。この一例として、光学フィルターであるナローバンドパスフィルターをガラス基材に積層して遮光部材を成形できる。このナローバンドパスフィルターは、所望の波長域のみで観察する場合の効果的で、例えば炎色反応でNaの発光強度を見る場合などには、D線透過型のものを用いることができる。
【0060】
かかる遮光部材を用いると、赤外線を遮蔽または減光させ、波長589nmの光を透過させるようにすることができ、以下のような判定を行うことができる。例えば、合成を開始した直後には、強い589nmの発光が観測されたが合成時間が経過するに従って発光は弱くなった。また、発光の強度分布は、インゴット13の外周部が大きかった。従って、これらの観察結果から、バーナー12の原料からではなく、合成炉11の炉壁からNaが混入したものと推測できた。
【0061】
ちなみに、アルカリ金属は、合成中に外的要因(合成炉11壁やバーナー12から)でも混入しうる代表的なガラス不純物である。特に、Na不純物は、合成石英ガラスの透過率と密接に関係しており、合成時に混入すると透過率は顕著に悪化する。従って、合成中にNa不純物が混入したか否か常に監視することは、合成石英ガラスの高均質化につながる。
【0062】
アルカリ金属やアルカリ土類金属は燃焼反応中独自の色(スペクトル線)を発する、いわゆる炎色反応を生じる。NaのD線は波長589nmで、最も代表的なスペクトル線である。合成中、この波長の光(黄色)の強度と強度分布をCCDカメラ16でモニターすることにより、不純物濃度とその分布の動向予測が可能となる。その他にも、Li(赤)、K(紫)、Ca(橙)等もこの方法で監視することが可能である。
【0063】
また、その「遮光部材」を、CCDカメラ16のレンズ部やその直前に装着することもできる。このCCDカメラ16自体に直接、「遮光部材」を配設することにより、CCDカメラ16を任意の場所に設置しやすく、機動性を向上させることができる。
【0064】
さらに、「観察用カメラ」として、CCDカメラ16を用いたが、これに限らず、ビデオカメラやスチールカメラ等を用いることもでき、「観察用カメラ」の配設位置は、上記各実施の形態のものに限らず、天井に吊したり、壁に掛けたりすることも可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載された発明によれば、合成石英ガラスの合成時に発せられる光線の内、赤外線を遮蔽又は減光させ、特定波長の光を透過させる遮光部材を備え、該遮光部材を介して合成炉内を観察可能としたため、強い赤外線(熱線)によってカメラ等が故障することなく、合成中に逐次合成炉内を観察でき、且つ、特定波長の光の量を確保できることから、その結果得られる情報を現在の合成条件にフィードバックさせることにより、非常に均一な合成石英ガラスを得ることができた。
【0066】
請求項2に記載の発明によれば、遮光部材を介して観察用カメラにて装置内部を観察可能としたため、カメラで撮影した画像を合成炉から離れた位置で観察することができる。
【0067】
請求項3及び4に記載の発明によれば、遮光部材により赤外線を遮蔽または減光させ、特定波長の光として可視光を透過させるように構成したため、観察に十分な可視光の光量を確保できることから、インゴットの合成状態やバーナーの火炎の観察を合成時においても逐次行うことができる。また、バーナーの火炎の観察により、バーナーの火炎の異常発生と合成石英ガラスの品質悪化の相関を突き止めることができた。さらに、そのカメラで得た画像から、例えば炎色反応を利用してインゴットの不純物濃度を推量したり、バーナーの火炎の偏心や乱れからバーナーの品質の選別を行うことも可能である。
【0068】
請求項5に記載の発明によれば、遮光部材はIn2O3、ZnO、SnO2などの透明導電性材料の膜がガラス基材に積層されて構成されているため、より可視光を精細に観察することができる。
【0069】
請求項6に記載の発明によれば、誘電体多層膜などの光学フィルターを用いることにより、任意の特定波長の光を透過させることができるため、任意の不純物濃度の検出等を行うことができる。
【0070】
特に、光学フィルターとしてD線透過型のナローバンドパスフィルターから構成し、ナローバンドパスフィルターにより、赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として波長589nmの光を透過させるように構成すれば、NaのD線は波長589nmで、最も代表的なスペクトル線であることから、Na不純物の混入状態を観察できる。このNa不純物は、合成石英ガラスの透過率と密接に関係しており、合成時に混入すると透過率は顕著に悪化する。従って、合成中にNa不純物が混入したか否か常に監視することは、合成石英ガラスの高均質化につながる。
【0071】
請求項7に記載の発明によれば、合成石英ガラスの合成面を観察できるため、インゴットの合成状態を直接的に観察できる。
【0072】
請求項8に記載の発明によれば、バーナーの火炎を観察できるため、バーナーの火炎の異常発生と合成石英ガラスの品質悪化の相関を突き止めることができると共に、炎色反応を利用してインゴットの不純物濃度を推量したり、バーナーの火炎の偏心や乱れからバーナーの品質の選別を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る合成石英ガラスの製造装置の概略図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る合成石英ガラスの製造装置の概略図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係る合成石英ガラスの製造装置の概略図である。
【図4】この発明の実施の形態4に係る合成石英ガラスの製造装置の概略図である。
【符号の説明】
11 合成炉
12 バーナー
13 インゴット
14 ターゲット
15 窓部
16 CCDカメラ(観察用カメラ)
17 カメラボックス
18 赤外線カットフィルター(遮光部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、光リソグラフィ技術において400nm以下、好ましくは300nm以下の特定波長帯域でレンズやミラー等の光学系に使用される光リソグラフィー用光学部材として用いるのに適した石英ガラスを合成するための合成石英ガラスの製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコン等のウエハ上に集積回路の微細パターンを露光・転写する光リソグラフィ技術においては、ステッパと呼ばれる露光装置が用いられている。このステッパの光源は、近年のLSIの高集積化に伴ってg線(436nm)からi線(365nm)、さらにはKrF(248nm)やArF(193nm)エキシマレーザーへと短波長化が進められている。
【0003】
LSIの一種であるVLSI(超LSI)のうちでDRAMを例に挙げれば、LSIからVLSIへと展開されていくにつれ、1K→256K→1M→4M→16M→64M→256M→1Gと容量が増大していく。このような容量の増大に伴い、パターンの加工線幅がそれぞれ10μm→2μm→1μm→0.8μm→0.5μm→0.35μm→0.25μm→0.18μmと微細な線幅の露光が可能なステッパが要求されるようになってきた。
【0004】
このため、ステッパの投影レンズには、高い解像度と深い焦点深度とが必要とされる。一般に、ステッパの照明あるいは投影光学系に用いられるレンズ素材は、i線では主に高透過率化した多成分の光学ガラスが用いられ、KrF及びArFエキシマレーザーでは従来の光学ガラスにかえて合成石英ガラスやCaF2(蛍石)等のフッ化物単結晶が用いられる。
【0005】
特に16M以上の大容量のDRAMやマイクロプロセッサ等の量産ラインには、0.25μmの線幅の露光が可能なエキシマレーザーを用いたステッパが導入されている。このような微細な線幅の露光が可能なステッパに用いられる紫外線リソグラフィー用光学素子(照明あるいは投影光学系に用いられるレンズ素材)としては、紫外域での高透過率を達成するために高純度な合成石英ガラスが用いられる。
【0006】
この合成石英ガラスの有用な製法の一つとして、火炎加水分解法が知られている。火炎加水分解法は、合成石英ガラスの原料となるケイ素化合物を燃焼用バーナーからの火炎内へ酸水素炎と共に供給し、加水分解反応させシリカ微粒子を合成、堆積させると同時に溶融ガラス化して合成石英ガラスのインゴットを得る方法である。この合成方法を実現する合成石英ガラス製造装置は、いわゆるベルヌーイ炉に類似した構造であり、熱を逃がさないように外壁を二重壁にして排気を通し、炉内温度を1000℃以上の高温に保ちながら合成を行うものである。
【0007】
この製造装置は、炉本体(炉枠)と、この炉本体を載置保持する板(以下、「炉床板」と称する)と、炉本体内に設置されたインゴット形成用のターゲット(あるいは容器)と、このターゲットに先端を向けて設置された石英ガラス合成用のバーナーとを備えている。
【0008】
このように構成された合成石英ガラス製造装置を用いて合成(形成)される石英ガラスは、種々の原因により屈折率均質性が悪化することがある。屈折率均質性を悪化させる主な原因としては、石英ガラスを合成させる際に生じるさまざまな条件のゆらぎ(合成条件の変化)がある。
【0009】
例えば、耐火物の劣化による製造装置の構造変形、火炎による合成面の温度分布の変化、火炎加水分解反応あるいは熱分解・熱酸化反応、石英ガラスへの不純物の拡散状態の変化等である。これらの条件の変化は、結果的に石英ガラス内に脈理と呼ばれる成長縞や径方向の屈折率均質性に影響をもたらす。
【0010】
ここで、上記のような合成方法を使用して高い均質性を実現するためには、非常に精度の高い合成制御が必要不可欠である。例えば、インゴットとバーナー間の距離やインゴットの合成温度を一定にしたり、バーナーから噴出する火炎の燃焼状態を観察する。そのためには、テレビカメラ、CCDカメラ、IRカメラといった撮像装置を用いるのが一般的である(例えば、特許文献1、特許文献2,特許文献3参照)。
【0011】
しかし、カメラは精密電子光学機器であり、高温に対して弱い上、合成石英ガラスの合成時に発せられる極めて強い熱線によってレンズなどの光学部品やCCDなどの受光素子が傷んでしまう。従って、むき出しのカメラで合成状態を制御・監視することは、例え短時間であっても難しいものである。
【0012】
そのために、冷却装置を備えたカメラボックスでカメラを覆ったり、減光フィルターを通した光で撮影したりしてカメラを保護するようなものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−2829号公報。
【0014】
【特許文献2】
特開平9−169534号公報。
【0015】
【特許文献3】
特開平6−234530号公報。
【0016】
【特許文献4】
特開2000−295502号公報。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、合成中の様々な条件のゆらぎは合成石英ガラスの均質性を劣化させるが、それを監視するために上記のように減光フィルターを備えたカメラを用いると、減光フィルターは全体的に光を吸収するものであるため、強い赤外線を減光すると、可視光も非常に強く減光されてしまう。従って、可視光(色の付いた画像)での監視は現状の技術では難しいという問題があった。 しかし、合成時に観察される色(可視光)は監視者に有益な情報をもたらす。例えば、原料の燃焼状態や不純物の混入量などである。このように、熱線(赤外線)からカメラを保護する機構を備えた装置に関する発明はあっても、熱線を減光しながらも、可視光等の特定波長の光を積極的に観察するような装置に関する発明はなされていなかった。
【0018】
そこで、本発明は、合成時に発せられる熱線からカメラを保護しながらも、インゴットやバーナー火炎などの合成炉内の状態を可視光等の特定波長の光で観察して、原料の燃焼状態や不純物分布などを合成中にも監視することができる合成石英ガラスの製造装置を提供することを課題としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、合成石英ガラスの合成時に発せられる光線の内、赤外線を遮蔽又は減光させ、特定波長の光を透過させる遮光部材を備え、該遮光部材を介して合成炉内を観察可能とした合成石英ガラスの製造装置としたことを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記遮光部材を介して観察用カメラにて前記合成炉内を観察可能とした。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記遮光部材は赤外線カットフィルターから構成され、該赤外線カットフィルターにより、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として可視光を透過させるように構成したことを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記遮光部材は遷移金属を含んだ酸化物ガラスから構成され、該酸化物ガラスにより、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として可視光を透過させるように構成したことを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記遮光部材はIn2O3、ZnO、SnO2などの透明導電性材料の膜がガラス基材に積層されて構成され、該遮光部材により、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として可視光を透過させるように構成したことを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記遮光部材は誘電体多層膜やナローバンドパスフィルターなどの光学フィルターがガラス基材に積層されて構成され、該遮光部材により、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光を透過させるように構成したことを特徴とする。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成に加え、前記遮光部材を介して前記合成石英ガラスの合成面を観察可能なように、前記遮光部材を配置したことを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成に加え、前記遮光部材を介してバーナーの火炎を観察可能なように、前記遮光部材を配置したことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0028】
[発明の実施の形態1]
図1には、この発明の実施の形態1を示す。
【0029】
まず構成を説明すると、図1中符号11は合成石英ガラスの製造装置を主に構成する合成炉で、この合成炉11の天壁に下方に向けてバーナー12が配設される一方、合成炉11の下部には、インゴット13成形用のターゲット14が配設されている。
【0030】
また、この合成炉11の縦壁には、合成面Pと略同じ高さに窓部15が配置されており、この窓部15の側方には、CCDカメラ16が収容されたカメラボックス17が配置されている。
【0031】
このカメラボックス17の、前記窓部15に対向する前面には、「遮光部材」としての赤外線カットフィルター18が配設され、この赤外線カットフィルター18及び窓部15を介して、CCDカメラ16により、合成面が撮影(観察)できるように構成されている。
【0032】
その赤外線カットフィルター18は、合成炉11内からの赤外線(熱線)を遮光または減光する機能を備えると共に、特定波長の光として可視光を透過するように構成されている。
【0033】
この赤外線カットフィルター18としては、例えば遷移金属を含んだ酸化物ガラスにより構成される可視光域の吸収の少ない熱線吸収ガラスなどが挙げられる。 また、前記ターゲット14は、回転運動及び上下運動可能に設けられ、これらの運動をさせることにより、ターゲット14上に屈折率などの光学的性質が均質なインゴット13が形成されるようにしている。
【0034】
次に、かかる構成の合成石英ガラスの製造装置の作用について説明する。
【0035】
まず、合成石英ガラスの製造装置に設置されたバーナー12から原料ガス及び燃焼ガスを噴出させる。この燃焼ガスによる酸水素火炎により、原料ガスのSiCl4ガスが加水分解されて溶融石英となり、ターゲット14上に堆積してインゴット13が形成される。
【0036】
このような合成石英ガラスの製造中に、CCDカメラ16にて逐次、バーナー12の火炎や合成面を観察する。この場合には、CCDカメラ16の前面には、赤外線カットフィルター18が配設されているため、この赤外線カットフィルター18により、合成炉11内からの赤外線(熱線)が遮蔽又は減光される。
【0037】
これにより、CCDカメラ16には、赤外線(熱線)が遮蔽又は減光されて入射されるため、熱線による故障が未然に防止される。また、このCCDカメラ16は、カメラボックス17で覆われているため、熱の影響をより受け難い。
【0038】
また、赤外線カットフィルター18は、赤外線を遮蔽又は減光させ、所定量の可視光を透過させることができるため、CCDカメラ16による撮影を良好に行うことができる。従って、非常に精度の高いインゴット13の位置測定、インゴット13の合成状態やバーナー12の火炎の観察を合成時においても逐次行うことができる。その結果、それらの情報を現在の合成条件にフィードバックさせることにより、長時間に渡って光学的性質(屈折率、歪など)が均質な合成石英ガラスを得ることができた。また、バーナー12の火炎の観察により、バーナー12の火炎の異常発生と合成石英ガラスの品質悪化の相関を突き止めることができた。さらに、そのCCDカメラ16で得た画像から、例えば炎色反応を利用してインゴット13の不純物濃度を推量したり、バーナー12の火炎の偏心や乱れからバーナー12の品質の選別を行うことも可能である。
【0039】
[発明の実施の形態2]
図2には、この発明の実施の形態2を示す。
【0040】
この実施の形態2は、CCDカメラ16及びカメラボックス17の位置が実施の形態1と相違している。
【0041】
すなわち、これらCCDカメラ16及びカメラボックス17は、合成炉11の下方に配設され、このCCDカメラ16が斜め上方に向けて配置されている。
【0042】
そして、このCCDカメラ16により、赤外線カットフィルター18を介して、バーナー12及びバーナー12からの火炎を斜め下方から観察できるようにしている。
【0043】
このようなものにあっては、バーナー12の火炎の観察、つまり、原料(ここではSiCl4)の燃焼状態の観察を合成時においても逐次行うことができる。これによれば、合成中、例えば、合成速度を速めるため原料を増加したが、原料の燃焼が不十分となり、炎が一部白色から橙色になった。換言すれば、炎の色が白色から橙色になるのを観察することにより、原料の燃焼が不十分であると判断できる。そこで、元の原料流量に戻して合成を再開し、安定した合成を継続することができた。
【0044】
燃焼温度と色は密接に関係している。燃焼温度が高くなると見える炎の色は、赤→橙→白と変化して行く。このため、可視域で透明且つ波長依存性の少ない赤外線カットフィルター18を用いれば原料の燃焼状態をより良好に観察することができる。
【0045】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0046】
[発明の実施の形態3]
図3には、この発明の実施の形態3を示す。
【0047】
この実施の形態3は、CCDカメラ16及びカメラボックス17の位置が実施の形態1と相違している。
【0048】
すなわち、これらCCDカメラ16及びカメラボックス17は、合成炉11の上方に配置され、このCCDカメラ16が斜め上方に向けて配置されると共に、合成炉11の天壁には窓部15が設けられている。
【0049】
そして、このCCDカメラ16は、窓部15及び赤外線カットフィルター18を介して、インゴット13の上面を観察できるようにしている。
【0050】
このようなものにあっては、インゴット13の上面を観察することにより、例えば炎色反応を利用してインゴット13の不純物濃度を推量することも可能である。
【0051】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0052】
[発明の実施の形態4]
図4には、この発明の実施の形態4を示す。
【0053】
この実施の形態4は、実施の形態1の窓部15の位置に、「遮光部材」としての赤外線カットフィルター18が設けられている。
【0054】
これによれば、赤外線カットフィルター18を介して直接目視により、合成炉11の内部を合成中に観察することができる。勿論、目視による観察とCCDカメラ16を用いた観察とを併用させることもできる。
【0055】
なお、その赤外線カットフィルター18には、合成炉11の内面側に、合成中において付着物が付くこともあるので、付着物を吸引・掃除する機構を設けることもできる。
【0056】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0057】
ところで、上記各実施の形態では、「遮光部材」として赤外線カットフィルター18を用いたが、これに限らず、他のものを用いることができる。
【0058】
例えば、In2O3、ZnO、SnO2などの透明導電性材料の膜をガラス基材に積層して遮光部材を構成することもできる。この遮光部材により、赤外線を遮蔽または減光させ、特定波長の光として可視光を透過させるようにすることができる。この一例として、インジウムティンオキサイト(ITO)(SnをドープしたIn2O3)などの透明導電性材料をガラス基材に積層して遮光部材を成形できる。このITO(SnをドープしたIn2O3)などの透明導電性材料は、より可視光を精細に観察することができ、この材料は可視光域で高い透過率を有するが1000nm以上の波長域で透過率がほとんどないのが特徴である。他にZnO、SnO2などの透明導電性材料の膜を使用することもできる。
【0059】
また、MgF2−CeO2系の誘電体多層膜などの光学フィルターがガラス基材に積層されて遮光部材を構成することもできる。この遮光部材により、赤外線を遮蔽または減光させ、特定波長の光を透過させるようにすることができる。この一例として、光学フィルターであるナローバンドパスフィルターをガラス基材に積層して遮光部材を成形できる。このナローバンドパスフィルターは、所望の波長域のみで観察する場合の効果的で、例えば炎色反応でNaの発光強度を見る場合などには、D線透過型のものを用いることができる。
【0060】
かかる遮光部材を用いると、赤外線を遮蔽または減光させ、波長589nmの光を透過させるようにすることができ、以下のような判定を行うことができる。例えば、合成を開始した直後には、強い589nmの発光が観測されたが合成時間が経過するに従って発光は弱くなった。また、発光の強度分布は、インゴット13の外周部が大きかった。従って、これらの観察結果から、バーナー12の原料からではなく、合成炉11の炉壁からNaが混入したものと推測できた。
【0061】
ちなみに、アルカリ金属は、合成中に外的要因(合成炉11壁やバーナー12から)でも混入しうる代表的なガラス不純物である。特に、Na不純物は、合成石英ガラスの透過率と密接に関係しており、合成時に混入すると透過率は顕著に悪化する。従って、合成中にNa不純物が混入したか否か常に監視することは、合成石英ガラスの高均質化につながる。
【0062】
アルカリ金属やアルカリ土類金属は燃焼反応中独自の色(スペクトル線)を発する、いわゆる炎色反応を生じる。NaのD線は波長589nmで、最も代表的なスペクトル線である。合成中、この波長の光(黄色)の強度と強度分布をCCDカメラ16でモニターすることにより、不純物濃度とその分布の動向予測が可能となる。その他にも、Li(赤)、K(紫)、Ca(橙)等もこの方法で監視することが可能である。
【0063】
また、その「遮光部材」を、CCDカメラ16のレンズ部やその直前に装着することもできる。このCCDカメラ16自体に直接、「遮光部材」を配設することにより、CCDカメラ16を任意の場所に設置しやすく、機動性を向上させることができる。
【0064】
さらに、「観察用カメラ」として、CCDカメラ16を用いたが、これに限らず、ビデオカメラやスチールカメラ等を用いることもでき、「観察用カメラ」の配設位置は、上記各実施の形態のものに限らず、天井に吊したり、壁に掛けたりすることも可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載された発明によれば、合成石英ガラスの合成時に発せられる光線の内、赤外線を遮蔽又は減光させ、特定波長の光を透過させる遮光部材を備え、該遮光部材を介して合成炉内を観察可能としたため、強い赤外線(熱線)によってカメラ等が故障することなく、合成中に逐次合成炉内を観察でき、且つ、特定波長の光の量を確保できることから、その結果得られる情報を現在の合成条件にフィードバックさせることにより、非常に均一な合成石英ガラスを得ることができた。
【0066】
請求項2に記載の発明によれば、遮光部材を介して観察用カメラにて装置内部を観察可能としたため、カメラで撮影した画像を合成炉から離れた位置で観察することができる。
【0067】
請求項3及び4に記載の発明によれば、遮光部材により赤外線を遮蔽または減光させ、特定波長の光として可視光を透過させるように構成したため、観察に十分な可視光の光量を確保できることから、インゴットの合成状態やバーナーの火炎の観察を合成時においても逐次行うことができる。また、バーナーの火炎の観察により、バーナーの火炎の異常発生と合成石英ガラスの品質悪化の相関を突き止めることができた。さらに、そのカメラで得た画像から、例えば炎色反応を利用してインゴットの不純物濃度を推量したり、バーナーの火炎の偏心や乱れからバーナーの品質の選別を行うことも可能である。
【0068】
請求項5に記載の発明によれば、遮光部材はIn2O3、ZnO、SnO2などの透明導電性材料の膜がガラス基材に積層されて構成されているため、より可視光を精細に観察することができる。
【0069】
請求項6に記載の発明によれば、誘電体多層膜などの光学フィルターを用いることにより、任意の特定波長の光を透過させることができるため、任意の不純物濃度の検出等を行うことができる。
【0070】
特に、光学フィルターとしてD線透過型のナローバンドパスフィルターから構成し、ナローバンドパスフィルターにより、赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として波長589nmの光を透過させるように構成すれば、NaのD線は波長589nmで、最も代表的なスペクトル線であることから、Na不純物の混入状態を観察できる。このNa不純物は、合成石英ガラスの透過率と密接に関係しており、合成時に混入すると透過率は顕著に悪化する。従って、合成中にNa不純物が混入したか否か常に監視することは、合成石英ガラスの高均質化につながる。
【0071】
請求項7に記載の発明によれば、合成石英ガラスの合成面を観察できるため、インゴットの合成状態を直接的に観察できる。
【0072】
請求項8に記載の発明によれば、バーナーの火炎を観察できるため、バーナーの火炎の異常発生と合成石英ガラスの品質悪化の相関を突き止めることができると共に、炎色反応を利用してインゴットの不純物濃度を推量したり、バーナーの火炎の偏心や乱れからバーナーの品質の選別を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る合成石英ガラスの製造装置の概略図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る合成石英ガラスの製造装置の概略図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係る合成石英ガラスの製造装置の概略図である。
【図4】この発明の実施の形態4に係る合成石英ガラスの製造装置の概略図である。
【符号の説明】
11 合成炉
12 バーナー
13 インゴット
14 ターゲット
15 窓部
16 CCDカメラ(観察用カメラ)
17 カメラボックス
18 赤外線カットフィルター(遮光部材)
Claims (8)
- 合成石英ガラスの合成時に発せられる光線の内、赤外線を遮蔽又は減光させ、特定波長の光を透過させる遮光部材を備え、該遮光部材を介して合成炉内を観察可能としたことを特徴とする合成石英ガラスの製造装置。
- 請求項1に記載の合成石英ガラスの製造装置において、
前記遮光部材を介して観察用カメラにて前記合成炉内を観察可能としたことを特徴とする合成石英ガラスの製造装置。 - 請求項1又は2に記載の合成石英ガラスの製造装置において、
前記遮光部材は赤外線カットフィルターから構成され、該赤外線カットフィルターにより、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として可視光を透過させるように構成したことを特徴とする合成石英ガラスの製造装置。 - 請求項1又は2に記載の合成石英ガラスの製造装置において、
前記遮光部材は遷移金属を含んだ酸化物ガラスから構成され、該酸化物ガラスにより、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として可視光を透過させるように構成したことを特徴とする合成石英ガラスの製造装置。 - 請求項1又は2に記載の合成石英ガラスの製造装置において、
前記遮光部材は透明導電性材料の膜がガラス基材に積層されて構成され、該遮光部材により、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光として可視光を透過させるように構成したことを特徴とする合成石英ガラスの製造装置。 - 請求項1又は2に記載の合成石英ガラスの製造装置において、
前記遮光部材は光学フィルターがガラス基材に積層されて構成され、該遮光部材により、前記赤外線を遮蔽または減光させ、前記特定波長の光を透過させるように構成したことを特徴とする合成石英ガラスの製造装置。 - 請求項1乃至6の何れかに記載の合成石英ガラスの製造装置において、
前記遮光部材を介して前記合成石英ガラスの合成面を観察可能なように、前記遮光部材を配置したことを特徴とする合成石英ガラスの製造装置。 - 請求項1乃至6の何れかに記載の合成石英ガラスの製造装置において、
前記遮光部材を介してバーナーの火炎を観察可能なように、前記遮光部材を配置したことを特徴とする合成石英ガラスの製造装置。
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-
2003
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